著者
渡邊 靖志 上原 貞治
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

まず,一方の光子をタグしたπ0中間子の遷移形状因子の測定を行い,BaBarの結果と異なり,よりQCD極限値に近い結果を得て,この問題を落着させた。次にノータグ二光子過程によるK0S中間子対生成反応を閾値付近からの断面積を測定解析し,f2(1270)とa2(1320)の負の干渉,f2’(1525)の二光子幅×分岐比等の高精度の測定が可能となった。現在,一方の光子をタグしたπ0中間子対の微分断面積をQ2=30 GeV2まで測定解析して,論文として投稿準備中である。f2(1270)(ヘリシティ=2,1,0別々)とf0(980)中間子の遷移形状因子をQ2の関数として測定し,理論の予言と比較した。
著者
瀬口 正晴
出版者
神戸女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、Celiac 病を回避するために、グルテン同様の粘着性を有するジネンジョや過熟バナナを用いてグルテンフリーパンを調製した。ジネンジョを凍結乾燥後、小麦デンプン、砂糖、イーストなどと混合、発酵、焼成して製パンを行った。さらに過熟バナナを同様に用いてパンの調製をすすめた。その結果、何れも小麦粉パンに相当するパンが得られた。さらにジネンジョを高分子区分(多糖類)と低分子区分(ペプチド)に分画し製パンすると、何れの区分も製パンに必要なことがわかった。バナナは過熟のもの(黒)で膨化した。この過熟バナナをオートクレーブ処理するとパンはできなかった。
著者
中島 剛
出版者
杏林大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

疾病や外傷による脊髄障害後の運動機能回復は、適切かつ効果的なリハビリテーションを行うことが重要である。本研究は、障害後の脳から脊髄への運動系下行路システムの再構築を見据えた、神経リハビリ法の開発を目指す。特に、そのシステムの一部を構成し、脊髄障害後の代償機構の主役となる可能性を秘める「脊髄介在ニューロン」を含む神経ネットワークに焦点を絞り、この神経回路の活動励起とその可塑性を生じさせる方法論について検討することを目的とする。本年度は、その基礎研究として健常成人を対象に、ヒト脊髄介在ニューロンの活動を可視化するための最適刺激パラメータの検討を行った。まず、方法論として、上部頸髄に位置する脊髄介在ニューロンが1.運動野上肢領域から入力を受けること、さらには同じニューロンが、2.末梢性感覚入力を強く受けること、を利用し、組み合わせ刺激(1+2)で誘発筋電図の増強が起こり、これが介在ニューロンの活動を反映すると考えられている(空間的促通法)。そこで、今回は、運動野磁気刺激・末梢神経刺激の刺激間間隔を系統的に変え、誘発筋電図上(上腕二頭筋:BB)に得られる促通条件を検討した。その結果、尺骨神経(刺激強度:運動閾値の約1.0 倍)と運動野磁気刺激(運動閾値付近)の同時刺激による促通効果は、その刺激間間隔が7.5ミリ秒付近から観察され、10ミリ秒で最大となった。よって両刺激による神経伝導時間等を考慮すると、脊髄内、特に前運動ニューロンレベルにおいて空間的促通が生じている可能性が考えられる。また、この効果は、BBと手指筋の共収縮が重要であった。これらの結果は、ヒト間接的皮質脊髄路を効率よく賦活させるために重要な基礎データであり、今後これらのパラメータを用い、繰り返しの連発刺激によって当該神経機構に可塑的変化を引き起こす予定である。
著者
渡邉 浩一郎 白尾 国昭 波多野 豊 大津 智 森永 亮太郎 平島 詳典 久松 靖史 西川 和男 河野 桜
出版者
大分大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

2012年10月1日UMINへ「上皮成長因子受容体(EGFR)阻害薬の耐性獲得に対して制御性T細胞が及ぼす影響」(受付番号:R000010551)として登録を行った。皮膚及び血液検体の免疫組織学的検索の解析から、EGFR阻害薬投与後の皮疹の出現に伴い、制御性T細胞マーカーであるFOXP3およびCTLA-4陽性細胞の真皮への浸潤が経時的に増加していることを確認した。皮膚のmRNAレベルでも制御性T細胞のマーカーであるCTLA-4の発現が亢進していることが証明された。同時に測定した炎症性サイトカインや炎症抑制サイトカインは個体差が大きく一定した傾向をみることができなかった。
著者
庄司 学 八木 勇治 永田 茂 丸山 喜久 村尾 修 藤井 雄士郎
出版者
筑波大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究では、ライフラインシステムの中でも電力、都市ガス、上水道・下水道、道路網、通信に焦点をあて、東日本大震災のような地震と津波の作用が複合化する「地震津波複合災害」を対象とした上で、ライフラインシステムの物理的及び機能的被害と復旧支障の相互連関を精度よく表現する数理モデルを構築し、被害を受けた後の応急復旧過程の問題構造を定量的に明らかにした。
著者
ハイエン E.M. (2007 2009) ハイエン E M (2008)
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は、PCクラスタやグリッドやボランティアコンピューティング環境で稼働する生体シミュレーションを作成することである.この生体シミュレーションは、大阪大学基礎工学研究科の野村研究室と大阪大学臨床医工学融合研究教育センターと共同でinsilicoIDEモデル開発プラットフォームとinsilicoSimの生体シミュレーションプログラムを開発した.今年度はinsilicoIDEの外部のinsilicoSim生体シミュレーションのためのプログラムに開発を集中に行った.insilicoSimとは、様々な記述言語で記載されているモデルを読み込んで、モデルの動きとシミュレーションの流れを表示するデータ構造に変換し、数理的なシミュレーションの計算を行うプログラムである.プログラム開発のため複数の技術を利用した.モデル記述言語で共通点があるので、共通のパーザーを開発した.これで様々な言語を読み込む場合でも、パーサーが早くモデルを分析できる.モデル計算のためデータ構造を利用するけど、メモリとキャッシュの影響で比較的に遅いである.従って、シミュレーション速度を改善するためにモデルのデータ構造は簡単なバイトコードに変換する.ボランティアコンピューティング環境でのシミュレーションの開発も困難である.複数の大規模環境でプログラムを開発するため、Python言語でPyMWのライブラリを開発した.不信頼計算資源を利用するため、スケジューリング方法と理論も開発した.不信頼資源のスケジューリング理論とPyMWライブラリでボランティアコンピューティングやグリッドの環境で生体シミュレーションを開発できるようになった.
著者
江玉 睦明
出版者
新潟医療福祉大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究は,①日本人遺体を用いて,アキレス腱の解剖学的構造を分析し腓腹筋内側頭の効果的・選択的ストレッチング方法を考案することと,②健常成人を対象に,考案した方法が妥当であるかを,超音波画像診断装置を用いて検討することを目的とした.(実験①)日本人遺体16体25側を対象に検討し,膝関節伸展・足関節背屈に,足関節内反を加える肢位を考案した.(実験②)対象は健常成人男性8名に3つの肢位で検討した.その結果,解剖学的,運動学的検証により,膝関節伸展・足関節背屈に足関節内反を加えた肢位が,内側頭の効果的・選択的ストレッチングとして有効であることが明らかにできた.
著者
濱本 卓司
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

地震や台風による自然振動源からの振動と道路・鉄道交通や建設作業などの人工振動源からの振動を建築物の内外で計測するワイヤレス・センサ・ネットワークを構築することを目的に、ワイヤレスMEMS加速度センサの開発とZigBee無線データ転送及び処理方式の検討を行い、都市で発生する振動を広域高密度でモニタリングすることにより、安全で快適な都市の振動環境を評価し管理するための方法を提案した。
著者
前田 輪音
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究のメインの素材である長沼ナイキ基地訴訟について、関係者からの聞き取り・関連する資料収集・整理(一部は電子ファイル化)、長沼訴訟に関連する恵庭事件を素材に作成した授業プログラムの改訂・意味づけ、これらをもとにした長沼訴訟を素材にした授業プログラム(試案)の作成・実践・検証を行った。これらにより、憲法教育においては、憲法の理念や判決はもとより、憲法が議論された裁判にかかわる事実(歴史的背景・地理的背景、およびそれが将来の社会にもたらした影響など)が重要な素材となること、その事実を教育内容として再構成する際にはカテゴリー分けが重要となることの一端を明らかにした。
著者
八塚 美樹 川嶋 朗 上野 栄一
出版者
富山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

若年女性層の冷えは、ダイエット志向に加えて、生活環境の乱れや生活習慣が関連すると考えられ、日常生活上でできる冷え対策プログラムを開発し、その有用性を検討した.複数例に四肢末端の冷えの改善、肩こり、目の疲れ、頭痛、腰痛、便秘の改善を認めた.若年女性層の冷えの対策には、冷えに関する基本的知識の提供、冷え意識を高めること、生活に即した方法の選択と継続的な介入が有用であることが示唆された。今後、症例数を増やし継続した介入研究が必要である.
著者
神山 雅史 臼井 規朗 谷 岳人
出版者
近畿大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、家兎の耳介軟骨より作製した軟骨シートを用い、これを我々が開発したin vitroにおける回転培養法にて足場を用いない円筒状構造物として再生させた上で、さらに繊維芽細胞層、円柱繊毛上皮層という機能の異なる層構造を有する細胞シートを作製した。この細胞シート群を、種類の異なる細胞を層状に培養する目的で開発された細胞積層化技術を応用して、外層に繊維芽細胞層、中層に軟骨細胞層、内層に円柱繊毛上皮層を積層化し、回転培養法で円筒状の機能的構造体とすることを試みたが現時点では困難であった。本法によって機能的層構造を有した気管の再生が可能となれば、小児のように広範囲の気管を再生気管によって置換する治療法への道が開かれると考えられる。
著者
松原 守
出版者
京都学園大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

蛋白質のミリスチル化は重要な蛋白質脂質修飾の一つであり、がん遺伝子産物、シグナル伝達系の蛋白質に多く見られる。これまでミリスチル化は主に蛋白質と細胞膜との結合に重要であることが知られているが、蛋白質間相互作用における役割についてはほとんど解明されていなかった。本研究ではミリスチル化の蛋白質間相互作用の役割を明らかにするために、NAP-22とミリスチル化依存的に結合する蛋白質の解析を行った。その結果、ミリスチル化NAP-22のみに結合する蛋白質が見つかった。特にHMGB1という核内蛋白質は、細胞の種類に応じて細胞質や核でNAP-22とミリスチル化依存的に結合することが示唆された。
著者
福島 忠男 井上 勇介 早川 徹 岡畑 恵雄 土井 豊 武田 昭二 川口 稔 大野 純 豊田 美香
出版者
福岡歯科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

サケ由来DNAとポリカチオン(キトサン、ポリアルギニン、ポリヒスチジン、ポリリジン、プロタミン)からDNA/ポリカチオン複合体を合成し、インジェクション型スキャフォールド材の素材としての有効性を検討した。DNA/キトサンおよびDNA/プロタミン複合体が流動性に優れていた。また、炭酸アパタイトを添加しても流動性があり、骨形成能も示したのでインジェクション型スキャフォールド材の素材として有望と考えられた。
著者
池田 真利子
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2012-04-01

平成26年度は①H25年度までに調査したシュプレー沿岸域における開発計画のその後の展開に関する調査,②新選定調査地である旧西ベルリン市ノイケルン地区における調査を行った.まず,ベルリン市はEU域におけるドイツの経済・政治的中枢化に伴い,リスクの低い投資先として注目され,特に住宅を含む土地価格が地域的に偏在性を示しつつも上昇傾向にある.メディアシュプレ-計画はこうした開発動向に先駆けて,河岸域の開発特性をメディア関連産業の集積誘致と特色付けることにより,地域の全体的な開発を期待したものであった.しかし実態としては,旧市有地等の売却促進であり,必ずしも市民が望む開発ではなかったことが大きな市民運動の発生と区投票の開催をもたらした.また,旧東西境界域に属する同地域では,統一前後より以下2点の要因からアーティスト・市民主導による文化・創造的利用が積極的になされていった.1点目は旧東西境界域であるために,歴史的建造物や産業・工業遺産群が未修復の状態で残存していた点,2点目は第二次大戦後すぐに旧東独領に位置したため地権の所在が不明確であった点である.こうした状況下において,1990年後半以降には一時的な土地利用形態としてテンポラリーユースが利用されていったが,こうした文化創造的な場所性は観光産業振興においても積極的役割が期待され,2014年には一部地域において同計画が見直されることとなった.一方,ベルリン市インナーシティ地区の構造再編は,旧西独地域へと及びつつあり,当該年度は中でもノイケルン地区北東部ロイター街区におけるアーティスト,小売店事業主(商業,サービス業)を対象に経営形態や開設年,立地選択理由等に関する聞取り調査を行った.その結果,ロイター街区の改善過程においてアーティストは,カフェ・バーなどの集積を誘発している点において地域改善を促しているということが明らかとなった.
著者
細羽 竜也 金子 努 越智 あゆみ
出版者
県立広島大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本研究の目的は,若年層の精神科医療へのアクセスの実態を明らかにし,支援プログラムを作成することであった.大学生の精神科医療への態度を検討したところ,そのイメージは否定的であり,専門性の高さには期待が高いが,家族や友人にくらべると利用には回避的であった.また,相談支援の場で共感性が低い対応を受けると開示意欲が低下することもわかった.最後に支援プログラムを評価させたところ,支援についての自己決定が尊重れることが精神科医療へのアクセスを高めるために重要であることが示唆された.
著者
外山 美奈
出版者
浜松医科大学
雑誌
奨励研究
巻号頁・発行日
2012

研究目的:生命科学の教育現場において、生物材料を扱う能力が低下し生命現象そのものを理解できないことが問題になっている。我々の教育現場でも同様の状況であり、現状打破を目指し学生に生物に触れる機会を増やしたところ大きな改善を得た。また地域貢献事業を通して、初等中等の生徒に生物に触れる機会を与えると、青少年期教育より効果が絶大であることを体験した。そこで大学と地域中学との連携を確立し、「ニホンミツバチ」を材料として生物に触れる機会を与え科学への興味を増大させる教材開発を目的とした。研究方法:プレゼンテーションソフトによる、ニホンミツバチの紹介、飼育法および実験法のテキストを作成し、近隣中学校科学部の生徒達を対象に講義と実習を行い、個体の行動と社会性を学ばせた。その後、生徒達に実習で学んだこと、考察、感想についてまとめさせた。このフィードバック結果を基に、本教育法をより効果的に行うための方法を検討し、本年度作成した教育材料を改善した。研究成果:講義を聴講した段階ではハチは恐ろしいと思っていた生徒達が多かったが、実際に近くで観察させると、「ニホンミツバチ」はおとなしくて可愛いと感じるようになった。また天敵であるスズメバチを集団で熱殺することや、働き蜂の寿命は約30日であり日齢で仕事の役割が変わることを伝えることで、命の大切さを学んだ。生徒達の自然や生命への認識が変化したと思われる。比較的扱い安い「ニホンミツバチ」は理科的思考力を養う理科教育に適していることを実感した。ただ、中高生は学業や部活動で忙しく、なかなか時間が取れないという問題がある。理科的思考力向上という目的を達成するためには、継続的な観察実施も重要である。今後は、ウェブカメラを巣箱内外に設置し情報を自動記録し、離れた場所や後からでも観察ができる装置を構築し、生物に触れる現場教育と併用することでより効率的な教育法を確立したい。
著者
加藤 敦 三宅 えり子
出版者
同志社女子大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

第1に結婚・子育てによるキャリア中断を余儀なくされた女性が起業家精神並びに知識・スキルを育む過程を、周囲の環境と照らし明らかにした。女性起業家に対する面接調査を進め類型化・分析する一方、質問調査票にもとづく量的調査を実施し、女性起業家の生涯にわたる起業家精神の成長を「見える化」した。第2にNPO法人など非営利団体を主宰する女性経営者の起業家精神の醸成について、面接調査並びにNPO法人の事業報告書・財務報告書を分析し、明らかにした。第3に教育機関、特に女子大学・短大などにおける起業家精神の育成に向けた教育について、文献調査を踏まえ、米国、台湾、韓国の現地調査を行い、我が国と比較検証した。
著者
佐藤 倫正 木村 敏夫 松田 修 向 伊知郎 村田 英治 小西 範幸 角ケ谷 典幸 田代 樹彦 齊野 純子 中野 貴之 中山 重穂 西海 学 平賀 正剛 浅野 敬志 西舘 司 眞鍋 和弘 石井 康彦
出版者
愛知学院大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-04-01

IASBが現在取り組んでいる新概念フレームワークを「会計の大転換」という仮説にもとづいて追究した。それは、現行のIFRSを要約したものではなく、将来を見据えたビジョン型のフレームワークである。その知見をもとにIASBの「討議資料」と「公開草案」の持分の定義の矛盾に関してコメントレターを送った。大転換する会計の有用性の実証的検証は一般に困難であるが、資金法形式の利益分解の有用性を確認した。また、会計と文化の観点から多様な国々の大転換の許容度を検討した。現在、世界的に進行している「格差」は慣習的会計に起因する可能性があり、新しい会計による新しい資本主義に向けて、日本の貢献が期待されている。
著者
中川 利香
出版者
東洋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究ではマレーシアにおける政府の中小企業向け金融支援の特徴と効果について、(1)取締役にブミプトラが含まれている企業ほど支援を受けている、(2)担保を保有しているものの業績があまり良好でない中小企業に支援が提供されている、(3)支援が中小企業の雇用や売上に目立った効果を及ぼしていない、の3点を明らかにした。これより、政府は民族の区別なく成長が見込まれる中小企業により手厚い支援を提供する制度を構築することが必要であろう。その際、経営指標の面から支援を打ち切る基準(いわゆる卒業要件)を設定し、信用保証を利用した商業ベースの銀行借入に移行できるように制度設計を行うことが望ましい。
著者
高橋 泰嗣 佐藤 亮太郎 川畑 洋昭 高橋 浩光 加藤 幹雄 高橋 眞映
出版者
岡山県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

バナッハ空間の構造を調べるには、空間のもつ様々な性質及びそれら諸性質の相互の関係を詳細に考察することが必要である。本研究では、古典的なノルム不等式及びその一般化を用いて、空間の様々な性質を特徴づけ、諸性質の相互の関係を明らかにした。以下に、得られた結果の概要を示す。1.Clarkson型不等式とバナッハ空間の幾何学:Clarkson不等式(CI)の一般化として、多次元版及び重みつきを考察した。また、これらの不等式を用いて、空間の様々な性質(type-cotype,一様凸性など)を特徴づけた。更に、ランダムClarkson不等式の一般化も考察した。2.Von Neumann-Jordan(NJ-),James(J-)定数とバナッハ空間の幾何学:バナッハ空間のNJ-定数をJ-定数を用いて評価した。また、空間の正規構造係数をNJ-定数で評価した。更に、J-定数の一般化としてJames型定数を導入し、これらの定数との関連で空間の様々な性質を考察した。3.Hlawka型不等式とその拡張:空間のtype-cotypeとの関連でHlawka不等式の一般化を考察した。また、Hlawka不等式の拡張を積分形で与え、その応用としてDjokovic不等式を重みつきで与えた。これらの逆不等式の考察、及び、新たな解釈なども与えた。4.Absolute normについて:空間の幾何学的性質の多くが2次元的であることから、C^2上のabsolute normに着目し、その基本的な性質を対応する凸関数との関連で調査した。また、一般のバナッハ空間の直和にabsolute normを導入し、この空間の一様凸性や狭義の凸性を対応する凸関数との関連で調べた。更に、C^n上のabsolute normについても考察した。その他、種々のノルム不等式の拡張、エルゴード定理の拡張、ウェーブレット解析の応用などについて成果を得た。これらは、学会誌及び各種のシンポジウム等で発表した。