著者
木元 栄子
出版者
佛教大学社会学研究会
雑誌
佛大社会学 (ISSN:03859592)
巻号頁・発行日
no.43, pp.63-68, 2019-03-20

この小論の目的は,精神障害・発達障害者(以下精神障害者とする)の「キャリアの自立」を促進する方法について「ジェンダー」の視点から明らかにするために,関連する文献を概観することにある。結果,女性障害者において「女性」と「障害者」の「複合差別」について当事者自身が差別に気づいていないこと,また障害者に対する女性差別は男性差別にもつながるとまとめた。精神障害者発達障害者ジェンダーキャリア自立
著者
稲田 利徳
出版者
岡山大学教育学部
雑誌
岡山大学教育学部研究集録 (ISSN:04714008)
巻号頁・発行日
no.89, pp.p1-15, 1992-03

「道行きぶり」は今川了俊(貞世)(嘉暦元年―応永二十一年頃)の紀行文である。その冒頭は、「きさらぎ廿日夜ふかく、かすみつつ山のはちかき月影に、中なる川うちわたすほど」とだけあり、旅立ちの年時は明示されていないが、渡辺世祐氏は内容から判断して、了俊が応安四年(一三七一)、九州探題となって、大宰府に赴くときのものと考証された。このことは、後に紹介する書陵部蔵桂宮本「道行觸」の傍注によっても確認できる。二月二十日に京都を出発、播磨、備前、備中、備後、と山陽道を西下した了俊一行は、やがて安芸国に入り、厳島に参詣、さらに十一月二十九日、長門国の赤間関に到り、平家一門の霊を弔っているところでこの紀行文は閉じられている。その間、約九か月の旅程を六十首の和歌を縷めながら、簡潔な文章で記述する。
著者
柴田 知薫子 SHIBATA Chikako
出版者
群馬大学教育学部
雑誌
群馬大学教育学部紀要. 人文・社会科学編 = Annual reports of the Faculty of Education, Gunma University. Cultural science series (ISSN:03864294)
巻号頁・発行日
vol.69, pp.101-109, 2020

Phonological system of a particular language could change in thirty years of one generation. The Japanese language has undergone phonological evolution of its consonant system and prosodic system in these thirty years of the Heisei period: the distinctive feature of voiced plosives has changed from voicing to tenseness; the prosodic unit is changing from mora to syllable; the culminative function has predominated the distinctive function of word accent. These phonological changes are reflected on several cases of phonetic change among Japanese speakers of the Heisei generation.
著者
李 文平
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. TL, 思考と言語 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.112, no.339, pp.65-70, 2012-12-01

本稿では,日本語母語話者21名と中国語母語日本語学習者32名を対象として,フレーズ性判断課題を用いて「名詞+を+動詞」のコロケーション処理における頻度,MIと条件付き確率の影響を検証した.その結果,日本語母語話者と中国語母語日本語学習者の両方において,頻度の高いコロケーションがより速く,より正確に処理されることから,コロケーション処理に影響を与える要因はMIや条件付き確率よりも,コロケーションの頻度の方が強い傾向にあることが分かった.この結果より,頻度の高いコロケーションは一つのまとまった表現として処理されることで,教育上利用する価値のある項目であると考えられる.
著者
土井 元章 斉藤 珠美 長井 伸夫 今西 英雄
出版者
園芸学会
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.68, no.4, pp.854-860, 1999-07-15
被引用文献数
2 3

1. 小花の30%が開花した段階で採花したシュッコンカスミソウ'ブリストル・フェアリー'の切り花を水にいけ20&acd;29℃下に保持したところ, 20℃下では小花は形を保ったま老化してドライフラワー状となり, 黒花とはならなかったが, 23℃以上の温度下では急激に花弁がしおれて萎縮し, 黒花となった.2. つぼみ段階で採花した切り花に対し0.2mM STSと4%ショ糖を含む前処理液で3時間の水あげを行っただけでは, 25℃下における黒花の発生を完全に回避することはできなかった.前処理に引き続いて0.26mM 8-hydroxyquinoline sulfate (8-HQS)と4%ショ糖を含む開花用溶液にいけて糖を与え続けることにより, 小花の開花が促されるとともに, 25℃下でも黒花発生をほぼ抑えることができた.収穫から30%開花までの日数は, 20℃で5日, 25℃で3日程度を要した.また, 開花を促す際に20℃として光強度を15.0W・m^<-2>にまで高めることにより, 切り花品質が向上し, その後水にいけた場合の品質保持期間が延長された.3. 切り花の呼吸速度は温度に対して指数関数的に増加し, 20℃での呼吸速度は約210 μmol CO_2・hr^<-1>・100 gfw^<-1>で, Q_<10>=1.5となった.4. 25℃下で水にいけた切り花の小花では, 20℃下でいけたものに比べて, 2日目および4日目のブドウ糖, 果糖含量が1/2&acd;1/3, ショ糖含量が1/4程度にまで減少していた.また, 25℃下で開花用溶液にいけた切り花では, これら3種類の糖含量が高く推移し, このことが黒花の発生を抑制しているものと考えられた.5. つぼみ切りした切り花は, 出荷段階にまで開花を促した後の品質保持期間を低下させることなく, STS処理後ショ糖溶液による湿式で4週間程度の貯蔵が可能であった.
著者
西島 千尋
出版者
日本福祉大学
雑誌
現代と文化 : 日本福祉大学研究紀要 (ISSN:13451758)
巻号頁・発行日
no.130, pp.175-191, 2014-09-30

近年,ドラムの音を声で真似ることを基本とするヒューマンビートボックスおよびボイスパーカッションが主に青壮年層を中心に広まっている.前者は,日本でも大会(Japan Beatbox Championship,日本ビートボックス協会)が行われるようになり,都市でも主にクラブやバーで「バトル」が開催されるなど知名度を増しつつある文化である.特に,インターネットの動画サイトやクラブカルチャーと結びついて発展しているという点で新しい音楽文化であると言えよう.しかし,ビートボックスおよびボイスパーカッションについての研究はごく少なく,その実態 ビートボクサーたちの動機,何に惹かれるか,どのように活動しているか は明らかではない.そこで,ヒューマンビートボックスおよびボイスパーカッションに携わる青年たちにインタビュー調査を試みた.その結果,彼らは必ずしも「インターネット」や「クラブカルチャー」に惹かれてビートボックスを行うのではないということ,むしろ,その手法を教え合ったり,日常生活のなかでの「遊び」として行ったりといった草の根的な要素が強いことが明らかになった.
著者
千葉 徳爾
出版者
一般社団法人 人文地理学会
雑誌
人文地理 (ISSN:00187216)
巻号頁・発行日
vol.16, no.5, pp.449-462, 1964

It is said that in the village communities of the Shima Peninsula, though they have similarity in natural conditions and historical background, their traditional folk-customs are varied in all aspects. I also had my own experience when I was a member of the research committee for folk-customs in the district. For instance, the customary abdication system of the headship of a family, found at Kou Village, in the eastern end of the Peninsula and famous in its separate type of each household, has not found its resemblance in any other place in the vicinity.<br>I have been interested in this problem from the geographical standpoint, and here present a preliminary essay which will explain some of it. I think that the regional differences in various phases of these customs have been made in comparatively recent times, and that before that they had been alike in any village of this Peninsula, because the fragments of the ancient customs in some villages have the common features with the other Japanese folk-customs. One of the causations would be the destructions of frequent typhoons and tsunamis. The detailed explanation will be given in my future report when I get more certain data. In this introductory report, accordingly, I have explained those which have been regarded as the instances of the compultion of the community are, in fact, those of the transformation of the age class system which was characteristic of the ancient community, by seeing the following examples: the abdication system in Kou Village, the ceremonies of the contracts between formal fathers and formal sons in Matsuo Community and the system of theocratic self-government in Tategami Village Block Association.<br>The origin of the age class system in this Peninsula is a historical problem still to be elucidated. But it may be an important geographical factor that these folk-customs passed through the Meiji Era, an age of great reforms, and was affected by the governing classes of the villages because of their remote locations.
著者
岡田 敬司
出版者
京都大学大学院人間・環境学研究科
雑誌
人間・環境学 (ISSN:09182829)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.1-7, 2012-12-20

岡田は『自律者の育成は可能か-「世界の立ち上がり」の理論-』 において, 自律的判断が可能であるためには, 当の判断対象がそこに位置づいて原初的意味を獲得する「世界」が立ち上がっていなければならないと論じた. この原初的意味が与えられてこそ判断主体はこの対象に対する「合理的な」対処行為を決定できるわけである. 世界は断片知識群の構造化として立ち上がる. 構造を組み上げるのは座標軸あるいはカテゴリーのつながりである. 本稿はこの構造化の進行を担うものとしての「習熟」に着目した. 断片知識群が構造形成に転じる契機としての習熟である. 習熟によって世界は安定した意味付与母胎となるが, そこには知識の身体化, 無意識化の問題が避けがたく待ち受けている. 本稿の目指すのはこの問題の解明である.«Apprendre profondément», qu'est-ce-que cela veut dire? --Sur des conditions nécessaires du jugement autonome et de la décision autonome des conduites--J'ai posé une hypothèse dans mon livre; Formation des hommes autonomes, est-t-elle possible? Il s'agissait d' «Autostructuration d'un monde». Pour juger d'une façon autonome, il faut d'abord un monde structuré dans lequel se situe l'objet de ce jegement. Cette situation nous ayant donné le sens primordial de cette objet, nous devenons capables de décider notre propre conduite« rationnelle» ou «adaptative» vis-à-vis de l'objet. Ce qui fait la structuration d'un monde, ce sont des axes de coordonnées ou des réseaux des catégories. Cet miicle essaie d'éclairer le mécanisme d' «Apprendre profondément» qui fait avancer cette structuration. Il nous semble que le moment de la formation d'un monde structuré consiste en accumulation-condensation des connaissances fragmentaires.
著者
篠原 由利子
出版者
佛教大学社会福祉学部
雑誌
社会福祉学部論集 (ISSN:13493922)
巻号頁・発行日
no.15, pp.45-59, 2019-03-01

日本での精神疾患の治療は非自発的入院である医療保護入院から開始されることが多い。入院を望まない大多数の患者が民間単科精神科病院の閉鎖的な空間で入院期間を過ごすことになる。これら民間精神科病院では、いまだに医療法の特例許可により一般科より少ない基準の職員配置でよいとされている。ICFの定着、障害者の自立や完全な社会参加、差別禁止法など障害者の人権に関する国際的な動きが活発化しているなか、わが国で特に際立つのが非自発的入院の多さと精神科医療機関の閉鎖性である。このような環境の中では人権侵害が起きやすく、また現に起こってきた負の歴史がある。密室性や閉鎖性をはらむ精神科医療の人権侵害を監視し、適正な医療の提供を審査する機関が都道府県に設置されている精神医療審査会である。昭和63年の設置以来、時々の精神科医療の傾向と施策、あるいは人権意識の変化の影響を受けつつ幾度かの改正がなされたが、最近では機能不全をきたしているとの批判も少なくない。ここでは、これまでの改正内容をふり返りつつ、直近の平成25年の法改正以降もなお解決されていない人権擁護上の問題を明確にし、精神医療審査会が本来果たすべき人権擁護機関としての機能について論じていく。精神障害者の人権精神医療審査会医療保護入院
著者
平澤 洋一 松永 公廣 鄭 淑源
出版者
情報文化学会
雑誌
情報文化学会誌 = Journal of the Japan Information-culture Society (ISSN:13406531)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.52-59, 2011-07-31
参考文献数
18

日本の言語地理学は音韻・文法・語彙・人間行動などさまざまな特徴を手がかりにして調査語の分布を地図に描くことで,新旧・優劣・変化過程・伝播方向・方言区画などを明らかにしてきた。また,文化言語学は「言語は文化を映している」として,日本文化に関するさまざまな調査結果を提示してきたが,日本全域の文化圏の深層を地図上に描いた文献は管見に入らない。本研究は日本文化圏の深層,および現在にいたる歴史的変化過程をいくぶんなりとも明らかにすることを目的とする。本稿はその第一段階をなす。
著者
小林 伸行
出版者
日本社会学会
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.59, no.4, pp.805-820, 2009-03-31

本稿の目的は,N. ルーマンの教育システム論を他の機能システム論と比較可能な「特殊でない」機能システム論へと再構築することである.<br>ルーマンの教育システム論が他の機能システム論との比較可能性を損なっている要因は複数ある.包摂がすべての個人に及んでいない,固有メディアや二分コードを欠いたまま機能システムとしての自律性などが説明されてきた,コードとプログラムが明確に区別されない等である.本稿では,その淵源を主に「学校(教育)」に偏向した説明に求めつつ,そうした説明からの脱却を通じて他の機能システム論との比較可能性を教育システム論に付与するとともに,社会システム論全体の一貫した説明力を向上させる可能性を模索する.<br>そのために,教育システムのメディアを「ライフコース」から〈能力〉に,形式を「知識」から「手本/模範」に変更し,二分コードを「有能/無能」とすることを提案する.また,相対評価にも絶対評価にも変更されうるような従来の「選抜コード」を,有能か無能かの判断基準となる可変的なプログラムの一環として位置づけ直し,「有能/無能」コードとともに学習者だけでなく教育者にも向けられるものと見なしたうえで,教育システムの機能を「何かが〈できない〉ために諸人格の参入が不可能であるとの判断を延期させ,いずれ〈できる〉ようになって包摂が可能になると予期を変質させること」すなわち「包摂不可能性の認知的予期化」と規定する.
著者
三河 正彦 吉川 雅博 辻村 健 田中 和世
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集
巻号頁・発行日
vol.25, pp.97, 2009

本研究の目的は,図書館に設置され,図書館利用者と自然言語で会話し,分かりやすい情報提供が可能な図書館司書ロボットを構築することである.本ロボットは,視聴覚センサ等の知覚情報による図書館内の利用者の行動予測に基づく適切な受け付け行動,自然言語対話エンジンによる利用者からの質問や要望に対し適切な受け答え,利用者に理解しやすい情報案内が可能な機能を備える.本システムの特徴は,睡眠や覚醒等の意識状態を表現できる意識モデルを備えることである.複数の知覚センサを備え,知覚情報処理が並列に実行される図書館司書ロボットシステムでは,利用者の検出により覚醒し,その応対に必要な処理を優先して実行するが,利用者がいない時には知覚情報処理の優先順位が下がり,つまり表面的にはロボットが睡眠しているように見え,内部的には覚醒時に蓄積した知覚情報を処理し,実時間処理では得られない長期間蓄積した知覚情報から有益な情報を抽出,記憶する機能を備える.