著者
金 志虎
出版者
早稲田大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2011

今年度は、昨年度の当麻寺本尊の様式研究と当麻寺の伽藍配置の研究に引継ぎ、当麻寺における信仰の問題について検討することにした。まず当麻寺本尊の尊名の問題について検討した。現在当麻寺本尊の尊名は弥勒仏として伝わっているが、創建当初から弥勒であると伝える同時代の史料はなく、当麻寺本尊が創建当初から弥勒如来として制作安置されていたかははなはだ疑問である。当麻寺は古代日本において死者が往く場所として認識されていた二上山の東麓に立っており、当麻寺を建立した当麻氏は、その二上山の入口で喪葬関連の任務を担っていた氏族であったこと、そして、『日本書紀』や『続日本紀』などには当麻氏が天皇の死後に誄をのべるなど、喪葬関連の記事に多く登場していることに注目した。さらに七世紀後半の日本では、弥勒下生信仰に基づいた弥勒如来の造像例がないことを考慮すると、当麻寺本尊の尊名は弥勒ではなく阿弥陀とみるのがより自然な解釈である。つぎに当麻寺が浄土信仰の代表寺院として発展した背景について考察した。治承四年(1180)に平家勢の攻撃によって被害を受けた当麻寺では、復興するための手段として、聖徳太子信仰を利用しようとしたが、太子関連寺院として発展する要素がなかったため、新たに曼荼羅堂の当麻曼荼羅の存在に注目しなおし、太子信仰から当麻曼荼羅信仰に方向を転換した。その後、当麻曼荼羅は浄土宗西山派によって日本全国へ転写されるようになり、その結果当麻寺は当麻曼荼羅と中将姫の信仰の中心地として日本全国へ知られるようになった。鎌倉時代以降、当麻寺の復興事業が順調に進んでいることを考えると、当麻曼荼羅と中将姫を中心とする浄土信仰は成功したといえよう。報告者は、未だ解明されていない当麻寺史の全貌について美術史、仏教史、考古学の方向から新たな解釈を試みた。今後の当麻寺研究において新しい角度からより活発な議論が出ることを期待する。
著者
中村 精一
出版者
名古屋市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

抗腫瘍性サポニン・シラシロシド類の全合成に向け、CDE環部の立体選択的な合成を行った。分子内O-H挿入反応と続くオレフィン化により生じたジヒドロフランカルボン酸エステルを用いてIreland-Claisen転位を行うと、望みの異性体が立体選択的に得られることを見出した。生成物に対し、分子内1,3-双極付加環化反応によるD環構築、シクロプロパン化を経る核間位へのメチル基導入を行い、目的フラグメントの合成を達成した。また、転位の際の立体化学制御に隣接位の置換様式が重要な役割を果たしていることを明らかにし、酸化型テルペノイド合成に利用可能なキラル合成素子2種を立体選択的に得る方法を確立した。
著者
本田 健
出版者
山口大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

ホスホランバン(PLN)は心筋小胞体膜に局在する蛋白質で心筋収縮を負に調節している。その小胞体への局在を制御できれば、心機能の改善ひいては新たな心不全治療に繋がる。本研究ではPLNの小胞体局在にC末端のアミノ酸配列が重要である示唆を得た。また、この部位に結合して「PLNの局在を制御する蛋白質」の探索を試みると同時に、その支援技術としてPLNに特異的に結合する新しい分子ツール・アプタマーを開発した。
著者
森 博嗣 黒川 善幸 谷川 恭雄
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1995

本研究では、複合材料であるコンクリートの変形・破壊性状をミクロな立場から解析的に取り扱い、従来、実験的な情報の整理によってしか得られていないコンクリートの構成則を、理論的な立場から検討し、より汎用的な力学モデルを構築することを目的として、粘塑性サスペンション要素法を、粘弾塑性解析に拡張し、この新しい解析手法を用いた硬化コンクリートの変形・破壊性状のシミュレーションを行うとともに、実験的な検証によってその妥当性を確認した。本研究の成果は以下のようにまとめられる。1.粘弾塑性サスペンション要素解析手法の開発および拡張現有の2次元プログラムを3次元に拡張するとともに、細部に至る多数の境界条件を整備した。また、この結果を基づいて、多軸載荷・除荷、高速繰返し載荷、粗骨材の破壊、鉄筋による拘束などの条件にも適用可能な汎用的な機能をプログラムに付加した。2.入力データの整備1.で開発したプログラムに用いる入力データを得るために、既往の実験結果を整理した。3.コンクリートの応力-ひずみ曲線の解析および検証実験コンクリート円柱供試体の各種応力下における破壊挙動のシミュレーションを行た。また、小型の供試体を用いて同条件で実験を行い、解析結果と比較した。4.アコースティック・エミッション(AE)現象の解析および検証(谷川)1.および2の成果より、コンクリートの破壊過程で生じるAE弾性波の発生シミュレーションを行い、引張破壊とせん断破壊の差異、カイザー効果の機構などについて解析的な検討を行った。5.コンクリートの構成モデルの提案以上の研究結果を総括し、コンクリートの変形・破壊性状に与える影響要因を整理した上で、汎用的な力学モデルを構築するための基礎的な検討を行った。
著者
柳原 格 中平 久美子 西海 史子
出版者
地方独立行政法人大阪府立病院機構大阪府立母子保健総合医療センター(研究所)
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マイコプラズマ科のウレアプラズマ属細菌は、病理学的にはヒト胎盤における絨毛膜羊膜炎を引き起こし、流早産の原因となる。ウレアプラズマから精製したMBAタンパク質およびそのN末端合成リポペプチドは、in vitroにおいてTLR2依存的にNF-kBシグナルカスケードを活性化し、またin vivoでは妊娠マウスの流早産を引き起こした。これらのことからMBAは流早産の病原因子であることが示された。また、感染性流産を経験した日本人母体由来のウレアプラズマの全ゲノム配列を決定し、MBA以外の病原因子探索、ワクチン候補分子探索のための基盤となる情報を得た。
著者
泉 淳 前嶋 和弘 西山 隆行 馬 暁華 堀 芳枝 渡辺 将人 飯島 真里子 平塚 博子
出版者
東京国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

米国のイスラム系は、その内部構成の多様さにもかかわらず、その政治的関与と発言力を拡大させている。これは、米国内の他の少数派集団にも共通する傾向である。しかし、中東・イスラム地域における政治的不安定を反映して、米国内で「イスラム恐怖症」とも呼ばれる現象が顕著となったため、米国のイスラム系はこれへの防御的反応として政治的発言を活発化せざるを得ないという特殊性を持つ。このため、イスラム系は米国の政治外交に積極的な影響を与えるには至っていないが、人権擁護を中心とする社会的諸活動においては大きな進展を見せている。長期的には、イスラム系の政治的関与と発言力は、より積極化するものと考えられる。
著者
森 達哉
出版者
早稲田大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2013-08-30

本研究課題の遂行にあたり、特にアプリケーションとして有望であるテーマから研究を進めた。具体的には暗号化通信の通信先ホスト名を推定する問題に取り組みんだ。この問題を解決するために、ドメインネームグラフと呼ぶデータ構造とアルゴリズムを提案し、DNSの観測情報から暗号化された通信の宛先ホスト名を高精度に推定できることを実証した。結果を国際会議 TMA 2015 (採録率 29.6%)で発表、スケーラビリティに関する課題を克服した結果を 2015年度に Computer Comminications 誌にて発表。国内特許出願1件と同出願のPCT出願1件を実施。国内招待講演を1件実施。
著者
沖 真弥
出版者
九州大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2009

マウスのES細胞を浮遊培養すると、胚様体という凝集塊を形成する。その後、三胚葉を形成し、様々な組織を形成するが、極めて無秩序に分化するため、人為的に分化を制御することは難しい。そこで胚様体の性質のばらつきを調べるために、in situ hybridization法で各種分化マーカの染色をおこなった。その結果、同一シャーレ内の胚様体間だけでなく、単一胚様体内の細胞間でも性質のばらつきが非常に大きいことが明らかになった。特に中胚葉マーカは、day 8の胚様体でも約半数しか発現しておらず、さらに単一胚様体内においても発現細胞の分布はまばらであり、マウス胚のようにクラスター化されていなかった。また、原条前方マーカの発現も同様のばらつきを示したので、中胚葉の運命決定も無秩序であることが示唆された。そこで中胚葉の運命決定を均一なものにするために、FGFシグナルに着目した。マウス初期発生において、中胚葉の運命決定はFGFシグナルの濃度に依存する。したがって化学合成阻害剤でFGFシグナルのレベルを均一化できるのではないかと考えた。まず阻害剤の選別のために、マウス胚を各種FGFシグナル阻害剤で全胚培養し、FGFシグナル標的遺伝子の発現を調べたところ、PD173074という阻害剤が最も特異的かつ効果的であった。また、この阻害剤で受精後6-7日のマウス胚を培養したところ、Fgf8やその受容体Fgfr1の欠損胚と同様、沿軸中胚葉や中軸中胚葉マーカの発現異常を示した。特に沿軸中胚葉マーカの発現は阻害剤の濃度依存的に低下した。以上の結果より、胚様体のFGFシグナルをコントロールするための阻害剤として、PD173074は最も有力な候補であり、マウス胚においてはFGFシグナルのレベルを時期特異的にコントロールできることが明らかになった。
著者
松浦 好治 鈴木 賢 宇田川 幸則 樋口 範雄 BENNETT F. G. Jr. 姜 東局 岡 克彦 外山 勝彦 小川 泰弘 角田 篤泰 増田 知子 中村 誠 佐野 智也 SHEE Huey-Ling HWANG Ren-Hung DING Xiang-shun LEE Heejeoung
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、日中韓台・漢字文化圏の法情報について、深い相互理解と比較法研究の推進を目的とし、次の成果を得た。法情報共有の環 境整備として、各国研究者と共同で、中韓台法令とその英訳の対訳約14万文、英文官報の画像と日英対訳約16万文を集積するとともに、4法域法令用語標準対訳辞書の項目候補約13,000語の検討を推進した。また、日本法令の機械翻訳や文書構造化の手法を開発した。一方、分かりやすい法情報の提供事例として韓国とEUを調査するとともに、特定分野の理解を促進する法情報パッケージLawPackの例を構築した。また、地方自治体例規約98万本を蓄積・横断検索するシステムeLenを開発した。
著者
柏木 謙
出版者
東京農工大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

本研究課題では、周波数軸上での強度・位相変調による光パルス合成技術を利用して、ダークパルス、特にダークソリトンの合成とその非線形光学応用について検討を進めた。まずは、光パルス合成が可能な素子である光パルスシンセサイザを用いて、ダークパルスを高精度に生成する技術を開発した。続いて、光パルスシンセサイザで合成したダークソリトンを正常分散ファイバに伝搬させて、理論通りの光強度でソリトン伝搬することを実験的に示した。さらには、高強度では高次ソリトン圧縮によりパルス幅が減少すると共にスペクトルが拡大することを確認した。
著者
福村 裕史 西尾 悟 福村 裕史 KUDRYASHOV Igor
出版者
東北大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究は、ナノ領域の振動スペクトルを空間選択的に得ることを目的とし、測定システムの開発を行うと同時に、システムの動作確認のための分子系の開発も行った。測定システムは、走査型プローブ顕微鏡とラマン分光計を組み合わせたものである。ラマン励起は488nmの半導体レーザーにより行い、検出器には冷却型電荷結合型素子を用いた。走査型プローブは、白金イリジウム合金ワイヤーを機械的に先鋭化させ、その表面に化学的還元反応により銀をめっきして作製した。プローブ先端の銀粒子の大きさは電子顕微鏡観察により100-300nmであることを確認した。空間分解能を調べる標準試料を検討するため、レーザーを用いたナノ構造体作製に取り組んだ。最初にペリレン誘導体に355nmのパルスレーザーを照射しナノ構造体の作製を試みたが、ポリインなどの副生成物が生成することが明らかとなった。チオフェン誘導体を用いた場合には、光重合反応によって空間選択的高分子化が起こることを確認した。これを利用して導電性ポリチオフェンからなるグレーティング構造体を355nmのレーザー光の干渉パターン照射により作製した。最適条件では線幅約2μm、間隔約3μm、高さ平均200nm程度の格子ができた。この構造体について、表面増強ラマンスペクトルの測定を行った。チオフェン環の伸縮に帰属される1400-1550cm^<-1>の平均シグナル強度について10x10点のスペクトル強度マッピングを行ったところ、グレーティング構造を明瞭に確認できた。最終的に50nm程度の分解能があるということを示唆するデータが得られた。
著者
吉川 信幸 伊藤 伝 八重樫 元
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

従来病原が未定であったオウトウ芽枯病、リンゴ輪状さび果病、リンゴ奇形果病、およびリンゴえそモザイク病の病原ウイルスの解析に、次世代シークエンサーによるバイローム解析を応用し、オウトウ芽枯病からはオウトウBウイルス(ChVB)、リンゴえそモザイク病からはリンゴえそモザイクウイルス(ApNMV)の2種の新ウイルスを発見するとともに、リンゴ輪状さび果病の病原は、リンゴクロロティックリーフスポットウイルスの一系統であることを明らかにした。
著者
矢後 勝也 上島 励
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

マレー半島上に位置するクラ地峡とKangar-Pattani線は、動物地理区でのインドシナ亜区―スンダ亜区間の境界線として知られる。そこで形態や生態、分子データに基づいて、この両亜区間の境界線で種や亜種に分化したと考えられる陸上無脊椎動物(昆虫類と陸産貝類)の形成過程を調査した。今回調査した陸上無脊椎動物の範囲では、インドシナ亜区―スンダ亜区間での共通祖先からの分化は、5.0-6.0百万年前と9.5-10.5百万年前の大きく2回の分岐年代が推定された。これらの年代は海水面が大きく上昇して両亜区間が隔てられた時期とほぼ完全に一致していた。また、いくつかのグループでは分類学的再検討も行った。
著者
VONG BINHLONG (2014) VONG Binh Long (2013)
出版者
筑波大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2013-04-01

Motivation and Objective: Ulcerative colitis (UC), an inflammatory and intractable disease in colon area, affects millions of patients worldwide. Moreover, UC increases the risk of the development of colitis-associated colon cancer.Oral chemotherapy is the preferred treatment for colon cancer. However, this strategy faces many challenges, including instability in the gastrointestinal (GI) tract, insufficient bioavailability, low tumor targeting, and severe adverse effects. In this study, we designed a novel redox nanoparticle (RNP) that is an ideal oral therapeutics for colitis-associated colon cancer treatment.Results: RNP possesses nitroxide radicals in the core, which act as reactive oxygen species (ROS) scavengers. Orally administered RNP highly accumulated in colonic mucosa, and specifically internalized in cancer tissues, but less in normal tissues. Despite of long-term oral administration of RNP, no noticeable toxicities were observed in major organs of mice. Because RNP effectively scavenged ROS, it significantly suppressed tumor growth after accumulation at tumor sites. Combination of RNP with the conventional chemotherapy, irinotecan, led to remarkably improved therapeutic efficacy and effectively suppressed its adverse effects on GI tract.Conclusion: RNP is promising oral nanotherapeutics for UC and colon cancer treatment.
著者
青山 真人 杉田 昭栄
出版者
宇都宮大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、ヤギがトラック輸送により乗り物酔い(動揺病)になるか否かを検討した。ヒトに悪心(気分が悪いこと)や嘔吐を誘発する薬剤であるシスプラチンをヤギに投与したところ、顔を下に向け、動きが鈍くなった(これを「悪心様状態」とする)。また、ヤギをトラックで輸送すると、悪心様状態と類似の状態が誘発された。酔い止め薬として市販されている「ジフェンヒドラミン」を輸送前にヤギに投与すると、悪心様状態はかなり軽減された。これらのことより、ヤギは輸送により動揺病になるものと考えられた。
著者
山形 俊男 東塚 知己 升本 順夫 茅根 創
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

観測データ、モデル結果、サンゴ年輪解析の結果より、西インド洋の温暖化によって10年周期だったダイポールモード現象が2年前後に短周期化し、エルニーニョ/南方振動現象に代わってインド洋の気候を支配していることがわかった。また、大西洋南北ダイポールと亜熱帯ダイポールについては、新しいメカニズムを提唱することに成功した。さらに、インド洋熱帯域のセーシェルドームとその直上の海面水温の変動メカニズムを明らかにした。
著者
川原 靖弘
出版者
放送大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2009

PHS基地局の電界強度の利用のみでは探索が不可能な、紛失した輸送物を端末の電波を受信解析により探索する方法の考案と検証を行った。また、長期にわたり使用しない期間がある物流移動機器の測位において、移動機器の振動解析により移動停止判定を行うことで、PHS端末の消費電力及び通信コストの削減を実現する方法について、試作機を用い物流現場における有効性を評価した。
著者
島津 篤 吉村 理湖 藤本 千晴 高橋 綾華
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究において、軸索伸長のガイダンス因子として知られていたセマフォリン(Semaphorin; Sema) 3Aは、歯髄組織内および歯槽骨において広く分布していることが判明した。また歯髄細胞自身がSema3Aとその受容体を発現し、その周辺に局在するマクロファージはSema3A受容体のみを発現することが明らかとなり、歯髄細胞が分泌したSema3Aは、自身に対してオートクライン的に、マクロファージに対してはSema3Aを介して直接的あるいは間接的に制御している可能性が明らかとなり、Sema3A発現細胞を制御することによって、マクロファージの作用を制御できる可能性が示唆された。
著者
藤澤 有
出版者
三重大学
雑誌
一般研究(B)
巻号頁・発行日
1984

基質のわずかな構造の変化により生成物の光学収率,絶対配置が変動するパン酵母還元の基質特異性の問題を基質であるケトンに硫黄官能基を導入することにより解決して高光学純度の光学活性一級アルコールを合成する手法を確立し、更に硫黄官能基の多彩な反応性を利用して還元生成物をキラルシントンとして活用し、種々の光学活性天然有機化合物の効率的合成法を開発することができた。β-ケトエステルのα位にスルフェニル基を導入するとパン酵母還元より光学的に純粋なS体のβ-ヒドロキシエステルのみが得られる。又、エステル部分に硫黄原子を有するα-置換β-ケトジチオエステルの還元はジアステレオ選択的に進行し、シン体のβ-ヒドロキシジチオエステルを与え、これはマツハバチの性フェロモンである(1S,3S,7S)-3-アセトキシ-3,7-ジメチルペンタデカンの合成に応用できる。3-フェニルチオ-1-ヒドロキシ-2-プロパノンの還元生成物であるジオールから誘導できる(S)-グリシジルスルフィドは各種の光学活性二級アルコールの有用なキラルシントンであり、スズメバチの女王物質である5-ヘキサデカノリドの両対掌体,L-ロジノースやD-アミセトースなどのデオキシ糖へ容易に変換できる。α-ケト-1,3-ジチアンは高い不斉収率で還元されて(S)-α-ヒドロキシジアチンを与え、これは放線菌より単離された(4S,5S)および(4S,5R)-5-ヒドロキシ-4-デカノリドへ誘導できる。パン酵母は種々の含硫黄1,2-および1,3-ジケトン類のジアステレオおよびエナンチオ選択的にも有効であり対応する(S,S)-1,2-および1,3-ジオールを与える。これらはL-ジギトキソース,黄アゲハ蝶への摂食阻害物質である(4R,5S)-5-ヒドロキシ-2-ヘキセ-4-オリドや抗生物質ノナクチンの合成に用いられる。さらにパン酵母は含硫黄プレニル誘導体の炭素-炭素二重結合をも不斉還元でき、種々の光学活性テルペン合成に有用な飽和イソプレン誘導体を与える。
著者
小山 富士雄
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は平成20年から3年に亘って開発した「LCB式組織の健康診断法」を発展させて、モノづくり分野における安全文化向上に関する実証と普及に関する研究及び医療分野とサービス分野への適用研究からなる。実証研究は大手化学産業のグループ会社や大手ガラス会社で具体的に組織改善が進められている他、ISOマネジメントシステムの補完を目的として電気・電子業界でも導入が始まったことは、産業界でも注目されることとなった。この他、医療・介護分野やサービス特に金融分野についてエラー防止に関する手法の開発、想定外の事態対応として東電福島第一原発の組織管理の評価や今後のレジリエンスの具体的な手法について提言を行った。