著者
伊東 龍一 後藤 久太郎 斎藤 英俊 吉田 純一 吉野 敏武 山口 俊浩
出版者
熊本大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究は、江戸時代の建築図面のうち、立面および断面を描く建地割について作図技法・描法を検討し、また江戸時代の建地割の特徴を鮮明にするために中世以前の建地割も調査対象に加えて分析し、様々な技法の使用があったことを明らかにするとともに、それらの時代的変遷として、とくに平面図(指図)を附属するものはとしないもの、寸法線を記入しないものとするもの、朱線・朱文字の使用しないものとするものを指標とすることができ、これらは大凡、18世紀前期を境に前者から後者に移行することが明らかになった。これにともない図の名称も、18世紀前期を境に「地割」などから「建地割」になった。
著者
長谷川 晶子
出版者
京都産業大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究は、シュルレアリスムを代表するフランスの作家アンドレ・ブルトンとシュルレアリスムの影響を受けたメキシコの写真家マヌエル・アルバレス・ブラボの1938年から40年の活動をとりあげ、ふたりの交流が両者の創作活動に及ぼした審美的影響を確定することを目的とする。アルバレス・ブラボとブルトン、両者の1930年代のメキシコに関するテクストと写真を検証することで、メキシコ滞在後からブルトンの芸術論の変容した原因がブラボの写真の審美的影響にあるという仮説を証明することに努めた。
著者
卜部 格 根来 誠司 島 康文 四方 哲也
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1997

競争的共存が起こる簡単化した系を用いて、タンパク質分子に対して変異と選択を繰り返すと、それをコードしている塩基配列や機能は変化することができるのだろうか。このことをE.coli内の1遺伝子であるグルタミン合成酵素遺伝子に対して変異と選択を繰り返す実験室内進化系を構築することによって観察した。そして、その遺伝子に対する分子系統樹を作成し、塩基配列および分子機能の変化過程を観察した。また、どの配列をもったものが全体の何割を占めるのかという情報から、集団構造の変化を示した。その結果、グルタミン合成酵素をコードする塩基配列と活性は集団内に2種類以上の異なった配列、違った活性を保持しながら変化し、多様化していくことが観察された。集団構造の変化から、それぞれの配列を持つ菌体の増殖速度は、集団がどういった配列を持ったもので構成されているかによって変化することが示された。さらに、実験室内進化系では、その時々の株を-80℃で保存することが可能である。そのため、一度実験室内進化系で消失した株をその後の変異と選択との繰り返しで残った集団と競争実験することが可能である。そこで、実験室内進化系の途中段階で消失した変異体と後の世代の集団と競争させた結果、実験室内進化系の途中で消失した株は、後の世代の集団と安定して共存した。このことは、個々の菌体が持つ増殖能が培養に用いた培地、温度等の外部環境によって決まっているのではなく、集団構造に依存して変化することをより強く示している。本研究では、E.coli内のグルタミン合成酵素に変異と選択をかけるサイクルを繰り返す実験室内進化系において、その酵素が多様性を保ちながら変化することが観察された。
著者
金子 守恵
出版者
京都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2010

アフリカの人々による「ものをつくり・つかう方法(=技術)」が製作者と利用者のものと身体を介したコミュニケーションにより創造され続けていることをライフヒストリー法により描いた。個々の製作者が身体を介して試行錯誤し環境と独自の関わり方を見いだしていること、その視点を技術文化複合に加える重要性を提示した。個々人の技術的な差異に積極的な価値を付与していく事が内発的発展を展開する可能性につながると提起した。
著者
山内 直人 松永 佳甫 西出 優子 金谷 信子 石田 祐 田中 敬文 奥山 尚子
出版者
大阪大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

社会のダイバーシティ(多様性)が、ソーシャル・エクスクルージョン(社会的排除)をもたらすメカニズムを解明するとともに、ダイバーシティをポジティヴに評価・活用して、社会の活力維持につなげるための公共政策のあり方について研究を進めた。各国社会のダイバーシティおよびソーシャル・エクスクルージョンの状況と、各国の経済成長、起業、犯罪など、様々な社会経済パフォーマンスとの関係を定量的に分析した。
著者
田口 哲
出版者
北海道教育大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010-04-01

若い世代の中学校理科教師の多くは,高校までの物理と化学の縦割り教育,高校での物理未履修などにより,「化学反応とエネルギー」の本質を微視的な(原子・分子レベルの)エネルギー変換の観点からは深く理解せずに教えている可能性がある。そこで本研究では,直接認識できる巨視的な実験結果(例えば,吸熱・発熱現象)を基に,目には見えない微視的な現象(化学結合の切断・生成など)を観ることでこの分野の本質的理解を学習者に促す,理科教員養成のための先導的な実験教材を開発した。
著者
横山 徹 南 浩一郎 上田 陽 岡本 隆史
出版者
自治医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

腰痛をはじめとする疼痛機序解明を目的にTRPチャネルを中心に細胞内痛みセンサーの解析を行った。皮膚や脊髄などでは、痛み刺激に反応するTRPV1やTRPA1が中枢神経系では、水分調節に関係する視索上核の存在するバゾプレッシン産生細胞に興奮性に作用することをはじめて見出した。また、下肢の痛みなどではバゾプレッシンの分泌が増加し、痛みとバゾプレッシンに密接な関係がある可能性を明らかにした。
著者
遠藤 哲郎 鎌田 弘之
出版者
明治大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究では、カオス変復調システムを有限ビット長により構築した場合に現れる諸問題について検討し、カオス性の劣化を防ぐ対策について研究した。カオス信号は実数値(=その表現に無限桁を要する)で表現したときに、はじめてその本来の非周期,ランダム性を示す。しかし、実際の工学上の応用では、特にデジタルシステムを考えた場合、当然その表現は有限桁となる。このようにカオスの計算を有限桁演算で行った場合、どのような信号が現れるであろうか。一般にカオスを有限桁で表現すると、長い周期を持った周期信号になる(これを擬似カオスという)。この擬似カオスは1周期に比べて短い時間で考えれば近接する軌道の初期値鋭敏性や、自己相関関数や異なる初期値から出発した軌道の相互相関関数が時間と共に0に近づくというカオスと同様な性質を持っている。このような性質から擬似カオスは受信側と送信側のそれぞれで生成した擬似カオスの同期をとることにより、ある程度の秘匿性をもったカオス変復調システムを実現することができる。計算は実用的な16ビット固定小数点方式のデジタルシグナルプロセッサを想定し、乗算に伴う32ビットアキュームレータを特殊な方法によって16ビットに圧縮している。このようなシステムの性能は擬似カオス信号のランダム性の程度に依存する。そこで、具体的に擬似カオス信号のもつランダム性について検証する。近年、カオス信号のランダム性の検証は多方面で検討が始まっているが、ここではFlorida State Universityから提案されているDiehardと命名されている統計テストを採用し,ランダム性の検証を試みる。本研究では、Diehardテストによる規則性の判別とパラメータの設定法、およびリアプノフ指数から計算される予測不能性を示すKSエントロピーの分布とを比較し、Diehard Testにより規則性が見出されないための条件を求めることに成功した。
著者
小田 福男 加藤 敬太 乙政 佐吉 西本 章宏
出版者
小樽商科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

北海道から極東ロシアまでの北方圏における、北海道地域企業の産業クラスター形成と極東ロシア地域とのリンケージ・需要搬入による継続的活性化、地域ブランド強化の現状と方策を究明した。その結果、次のような知見が得られた。(1)産業クラスター形成における企業家活動、地域オープン・イノベーションのユニークな重要性。(2)地域ブランド・マネジメントにおける新規顧客とリピート顧客の異質性、各々で異なったアプローチを適用することの重要性。(3)北海道と極東ロシアとの地域間国際交流に関して、特に住宅・住宅建材分野でのロシア極東地域の現状の厳しさと長期的視点の重要性。
著者
羽賀 浩一
出版者
仙台高等専門学校
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

本装置は太陽光追尾可能なパラボラ反射板で太陽光を蒸発容器に集光し,蒸発容器内壁に霧状の微細水滴を噴霧して瞬時に蒸発させる高効率な単蒸留法を用いて淡水が得られる。使用した微細水滴は,スリットが形成された回転円盤への海水の導入により得られた。加熱した蒸発容器から黒体輻射による多大な熱輻射損失が発生するが,熱輻射損失を防ぐ選択吸収素材を導入し,淡水化効率40%を達成した。
著者
マディナベイティア ヨネ (2011) MADINABEITIA Ione (2010)
出版者
広島大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

人為改変や地球温暖化といった自然現象により外来種が侵入しつづけている。熱帯・亜熱帯水域に生息する魚類や、その寄生虫が日本にも生息すると言われている。特に、寄生性カイアシ類は養殖場内での感染拡大が容易であり宿主の成長率低下や大量死を引き起こす。それゆえ本研究の目的は、どの寄生虫が日本の養殖魚や天然魚において不都合な影響をもたらすか特定すると共に、熱帯・亜熱帯水域から日本の水域までの寄生虫の種多様性についても報告することにある。二重網法により、カイアシ類の発見は劇的に改善され、種数、数量共に、より正確な結果が得られるようになった。1500匹以上のカイアシ類が17種の魚類から二重網法により採取された。bomolochidsやphilichthyidsが最も多かった。Philichthyidsについていえば、沖縄近海において7種の魚類の側線から全部で6種のColobomatusが初めて報告された。Colobomatus colletteiの原記載は、熱帯水域であるニューギニア湾であり、亜熱帯水域である沖縄の海で初めて発見された。また、Procolobomatusがアジアで初めて発見された。以前の報告では東太平洋からだけであった。この研究でPhilichthyidsが亜科レベルにおいて宿主の系統発生についての情報をもたらした。Caligus sclerotinosusは、養殖場における幼魚の移動によってニュージーランドから日本へ侵入したと考えられていたが、最近、韓国の沿岸域からも養殖マダイへの寄生が発見された。また台湾の熱帯・亜熱帯水域のみで報告されていたMetacaligus latusが瀬戸内海で初めて発見された。日本でのC.sclerotinosusの発生は、人為改変によるものであり、M.latusは自然拡散によると考えられる。結論を述べると、5種のカイアシ類が国内の天然魚・養殖魚の両方に感染する外来種だと考えられる。本研究は低い宿主特異性を示す種のみでなく、高い種も宿主と共に熱帯・亜熱帯水域から日本への拡散が可能であることを示す。今後海水温上昇が続くようであれば、日本の水産に携わる者は将来侵入するであろう新たな外来種に対する準備を早急にすべきであろう。
著者
小林 和夫
出版者
大阪大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2010

昨年度に引き続き、ロンドンで在外研究を行った。国立公文書館と大英図書館、LSE図書館を研究の中心拠点として、大西洋貿易に関する統計資料やマニュスクリプト、二次文献調査を行い、ロンドン大学キングズ・カレッジのリチャード・ドレイトン教授らとの意見交換を行った。研究の目的は、18世紀大西洋経済を大きく支えていた黒人奴隷貿易を成り立たせていた対価となった商品(具体的には、インド産綿織物)とその流通過程を、私商人の史料をもとにして明らかにすることであった。とくに、18世紀末から19世紀初頭にかけて、インド産綿織物の卸商人として活躍していたトマス・ラムリー商会の販売記録簿や往復書簡を分析した結果、インドから輸入された綿織物が、ラムリーを介して、リヴァプールの奴隷商人の手に渡り、西アフリカに再輸出されていたのか解明することができた。それによって、イギリスの大西洋奴隷貿易の終盤においても、アジアと大西洋を結ぶ商業ネットワークが重要な役割を果たしていたことを明らかにすることができた。大西洋経済における金融制度の研究課題が残っていたが、ロンドン大学政治経済学院(LSE)の博士課程に進学することになったため、2011年9月をもって、日本学術振興会特別研究員を途中辞退することになった。研究成果としては、4月末にカナダ・モントリオールのマギル大学インド洋世界研究所で開催された国際会議で口頭発表を行った(報告題目:Indian Cotton Textiles as a Global Commodity:The Case of the British Atlantic Slave Trade)。他方、研究ノート「イギリスの大西洋奴隷貿易とインド産綿織物-トマス・ラムリー商会の事例を中心に-」が、『社会経済史学』第77巻3号に掲載された。本稿では、イギリスの大西洋奴隷貿易が大きく成長した理由を、黒人奴隷の対価となった商品の供給の面から分析し、とりわけインド産綿織物の流通に関わった商業ネットワークを論じたものである。
著者
石田 千晃
出版者
お茶の水女子大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、ICTが現代日本社会において苦境に陥りがちな人々やその支援者にどのように活用されており、どのような教育的実践が、既存のフォーマルな仕組み(それによる社会構造)を可視化・相対化する契機を含んでいるのかを、検証することを目的とした。主な調査対象は、1. ボランティア団体、NPO団体、2.ボランティアやNPO団体にプラットフォームを提供する事業組織で、活動内容(事業内容)、教育・学習実践、ICTの活用方法をインタビューやアンケート調査で聴取し、それぞれの位相における実態を明らかにした。1.2と学習活動の性質を比較するため、3.自身の教育実践も分析対象とした。
著者
岡本 威明 菅原 卓也 山内 明 加藤 匡宏
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

トリプトファンサプリメント事故品中に含まれる不純物3-phenylamino-L-alanine(PAA)を用いて、EoL-3細胞株およびヒト末梢血由来好酸球における各種ケモカインレセプター発現レベルの検討を行ったところ、PAA濃度依存的にヒト末梢血由来好酸球におけるCXCR2発現は増大し、CCR3発現は抑制された。EoL-3細胞株においても同様の傾向が確認された。これらの結果から、PAA曝露により好酸球に好中球の性質が一部付与され、インターロイキン(IL)-8への走化性を強めたことにより、更なる炎症が惹起され好酸球増多筋痛症(EMS)発症に至ったのではないかと推察された。
著者
上條 隆志
出版者
筑波大学
雑誌
奨励研究(A)
巻号頁・発行日
1999

三宅島において森林生態系の遷移を明らかにすることを目的として以下の研究を行った。1.11年度設置の調査区(1962溶岩、1874溶岩および8000年以上前の噴火堆積物(極相)に各2カ所)に加え、1983溶岩上に2カ所の調査区を設置した。その結果、(1)他の植物が全く生育しない溶岩上にオオバヤシャブシが侵入し低木林を形成し、その後、タブノキーオオシマザクラ林、スダジイ林へと遷移すること、(2)地上部現存量は125年(1874溶岩)で12-20kg/m^2であり、ハワイの研究例(137年で1.9kg/m^2)に比べ、遥かに大きくなることが明かとなった。これは、オオバヤシャブシの窒素固定作用が遷移を促進しているためと考えられた。2.土壌断面調査を行い、11年度の規則サンプリングによる土壌分析結果と併せて解析を行った。地上部炭素量は急速に増加するのに対して、土壌炭素量の増加速度は125年で0.4-0.6kg/m^2と遅く、地上部に対する土壌炭素量の比は0.04-0.1と著しく小さかった。一方、極相ではその比は0.7-1.4と大きく、炭素蓄積速度が地上部と土壌で異なる変化様式を持つことが明かとなった。3.各年代の溶岩上のオオバヤシャブシの葉の窒素濃度を測定した。窒素濃度は年代に関わらず、2%前後と高い値を示した。これは、オオバヤシャブシの窒素固定能力によるものであり、遷移初期の土壌でN濃度が高い(11年度研究成果)のは、窒素を含んだオオバヤシャブシのリター供給が関係していると考えられた。4.各調査区にリタートラップを設置した。2000年7月より噴火活動が活発化したため、定期的なサンプリングはできなかったが、火山灰が森林生態系の遷移に与える影響に関する基礎データを得ることができた。5.以上の研究成果と11年度研究成果を基に論文を作成し、国際誌に投稿した。
著者
森 淳二朗 鈴木 不二一 小池 和男 稲上 毅
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2001

平成13年度・14年度の研究で得られた成果は、以下のごとくである。1 従来、企業理論は、経済学において展開されてきたが、森論文は、法理論として、すなわち、株式会社制度の法解釈論として、新たな企業理論を展開できることを論証している。これまでの企業理論は、「所有と経営の分離」に株式会社の特徴があるとみており、会社法もその考えを前提にして組み立てられている。これに対して、森論文は、株式会社には、「所有と経営の分離」だけでなく、「所有と経営の協働」の側面もあることを明らかにし、その両面を前提にして会社法を組み立てる必要があることを指摘している。この新たな企業理論を前提にして、森論文は、ドイツの共同決定制度とはまったく異なる論理で、従業員がコーポレート・ガバナンスに関わることの正当性と積極的意義を明らかにしたのである。2 新たなコーポレートガバナンス・モデルは、米国型のように株主利益のみを重視するのでなぐ、株主利益重視と従業員利益重視の両立を目指している。稲上論文は、このような両立性を志向する試みは、決して特異なものではなく、国際的な理論潮流においても、そうした方向を目指す流れが強まっている状況を分析している。3 従業員は具体的にどのような意味において企業の効率性に寄与しているのか。小池論文は、従業員の技能形成がどのように形成され、またその技能の特殊性のもつ意味を、企業、業種、職種の三つに区別しながら、明らかにしている。4 鈴木論文は、これまでわが国の労働組合・従業員が企業において現実にどのような役割を果たしてきたか、またその役割がどのように変化しているかを分析している。
著者
林 正博
出版者
東京都市大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

一部の小さな故障が、通信ネットワーク全体に波及し、大きな被害をもたらすカスケード故障に対する対策を評価する方法を確立し、数値実験により、効果的な対策につながる評価結果を得た。具体的には、従来のような、カスケード故障発生後の分離されたネットワークのブロックの大きさを評価尺度とするのではなく、対地間の通信量の違いを考慮に入れた評価尺度提案し、評価する方法を確立した。さらに、カスケード故障の発生頻度に着目し、必ずしも大規模でなくても、頻度の大きいカスケード故障を想定した評価尺度などを考案し、対策の評価を行った。結果として、装置の導入のやり方によって、カスケード故障の規模や頻度が異なることが判明した。
著者
滝沢 博胤
出版者
東北大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究では、超高圧力反応場用いてLi-B-S系、マイクロ波反応場を用いてLi-Sn-O系新規Liイオン伝導性化合物を探索した。高圧合成法により新規相Li2B2S5の詳細な合成条件および結晶学的データの取得、およびマイクロ波合成法により新規相Li4xSn4-xO8の合成に成功した。Li2B2S5は単斜晶系の骨格構造がBS4面体の連結によって構成されており、一次元チャンネル内にLiイオンが配置していることが明らかとなった。また、Li4xSn4-xO8はラムスデライト構造を有し、一次元チャンネル内にLiイオンが配置していた。
著者
原 通範
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2007

本研究の目的は,重度な知的障害者A:GOちゃんが,3年間のプールでのシンクロを中心とした水泳指導を通じて海での遠泳を獲得できるかどうかを確認することにあった。得られた成果は次の通りである。(1)2008年度夏の遠泳においては,ほぼ全コースを一定の休憩を取りながら泳ぎ通すことができるようになった。(2)しかし,その翌年(2009年度夏)はほとんどのところを泳がず,最後の約30mをようやく泳ぐことができたという結果となってしまった。以上2点の結果を通じて,以下3点を考察した。(1)障害特性として,自閉傾向があり,知的障害,行動面で重度な障害を有する広汎性の発達障害であること。(2)前頭葉機能としてのワーキングメモリーにおける問題が大きいこと。(3)泳ぎの運動を持続的に行えるためには,呼吸法のアフォーダンスを誘発するポールくぐりの運動課題とシンクロ的泳ぎを併用して行うことが重要であること。