著者
甲斐 教行
出版者
茨城大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

中部イタリアのフィレンツェで活動した彫刻家コッラード・ヴィーニ(1888-1956年)の伝記的消息および進歩史観を、存命する三名の弟子への取材により明らかにした。またその親交の深かったホテル・バリオーニの経営者フランチェスコ・バリオーニが依頼した同ホテル開業25周年記念メダル《ケレス》を、彫刻家が抱いた進歩史観の観点から、文明の寓意と解釈した。さらに、《ケレス》、北米の墓地のための《キリスト磔刑》、南イタリアのシチリア州ラグーサの郵政電信庁舎を飾る女性擬人像の個人像習作を初公刊し、女性擬人像の主題を同庁舎設計者マッツォーニの残した文書に基づき初めて特定し、図像分析を行った。
著者
山口 奈美
出版者
宮崎大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

膝外側円板状半月は、発生原因は明らかではないが人種によって発生頻度が異なり、特に本邦を含めた東アジア地域で頻度が高いとされている。今回の研究は円板状半月が日常生活動作ならびスポーツ動作に与える影響について3次元動作分析システムを用いて歩行分析を行った。膝外側円板状半月単独損傷群8例10膝、コントロール群9例の歩行分析を行った。現在その結果を元にデータを解析・検討中である。
著者
水田 邦子 飛梅 圭
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、TMEM16E遺伝子の機能および生理的役割を分子細胞生物学的手法により検討し、TMEM16E関連遺伝性疾患発症の分子メカニズムを解明することを目的とした.その結果,TMEM16Eノックアウトマウスでは明らかな表現型が認められず,他の筋ジストロフィー関連分子の代償性活性化により相殺されている可能性が予想された.さらに,ヒト筋芽細胞のin vitro分化の系において,TMEM16E蛋白が筋管細胞のみならず分裂期の筋芽細胞においても高発現していることを発見したことから,筋分化とは別に細胞周期依存的にその発現が調節されることが予想された.
著者
大村 華子
出版者
京都大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究では、どういった国内外の要因が、国家の限りある予算を安全保障と社会保 障する際に影響を与えているのかを明らかにすることを目的に進められた。分析の結果、議会で左派が多く、選挙制度が比例代表制であるほど社会保障費の割合は高まり、そうではない場合に、安全保障費の割合が高まることが明らかになった。研究の成果は、2012 年3 月には海外査読誌への投稿し、査読を受けているところである。
著者
谷本 潤 萩島 理 成田 健一
出版者
九州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

一連の風洞模型実験,Large Eddy Simulation(LES)に基づく数値実験により,建築物を主体とする地上の粗度要素が大気境界層下端への熱・空力学フォーシング(強制力)として如何に作用するかに関して,その素過程解明の端緒を得た.[流体物理科学への貢献]また,都市キャノピーモデルへの適用,更には街区内歩行者レベルの温熱環境予測評価大系への応用を念頭に置き,上記の熱・空気力学フォーシングを実際には複雑系である都市や建築の幾何形状を適切にパラメータライズすることで,バルク輸送係数としてモデル化した.[都市環境工学への貢献]
著者
大師堂 経明 大場 一郎 相沢 洋二 小松 進一 小原 啓義
出版者
早稲田大学
雑誌
一般研究(A)
巻号頁・発行日
1989

この計画は総じて予算の割に目標が高いために、あちこちで資金難の問題にぶつかるが、とにかく直径20mφのパラボラアンテナ64台の働きをする装置が1億円強でできあがり、観測結果が出始めた。早稲田大学が開発したこの観測装置については、URSI(国際電波連合)総会(1990プラハ)の招待講演で報告し、各国の関係者はその安さに驚いていた。安く建設できた理由は、干渉計のデザインにあたって電磁波の基本的性質(エルゴ-ト的信号と非エルゴ-ト的信号)にまでたちもどって検討を行い、十分時間をかけて試験的研究をおこない、その成果をふまえて大型化するというプロセスをとったからである。手間をかけて開発し、アルゴリズムの最適化を行ったということである。広い視野を高い感度でマッピングするために小型のアンテナを多数、狭い範囲に配置する計画をカナダのドミニオン電波天文台、米国国立電波天文台/NRL、などがもっている。早稲田大学のプロジェクトと似た計画であるが、方式としては従来のフ-リエ合成干渉計のアルゴリズムを使うため100億円以上かかりそうで実現は簡単ではない。以下では1991年5月に提出した交付申請書(今年度の研究実施計画)のうち何が実現でき、何ができなかったかを記す。またできなかった部分についての対策と今後の見通しについて述べる。(*)位相を精密に測るためには、各アンテナに正確なロ-カル信号を送る必要がある。現在8台あるがそれぞれでは1次元像しか得られない。その装置を作る予算が足りないので、民間の財団などへ申請中である(本度の研究実施計画1991年5月)。→山田科学財団より600万円の研究助成が得られ、必要なロ-カル信号発信器64ー8=56台のうち半分ほどをつくるめどがついた。現時点でできる最善のことは、必要な56台全部をつくり、支払いのできない部分についてはメ-カ-から貸与を受け、後日支払を行うやりかたである。成果としては、まず1次元のうち2素子を使って天の川にある超新星の残骸カシオペアAの干渉じまが得られ、1991年10月の日本天文学会で発表した。この天体は、その膨張速度を逆算すると今から250年前にカシオペア座で爆発したはずであるが、世界のどこにもその記録が残っていない。引きつずき、カニ星雲(1054年に爆発した超新星の残骸で、藤原定家の名月記に記録がある)、はくちょう座A(銀河系の外にある電波銀河)、オリオンA(銀河系中の大きな電離水素領域)などの干渉縞が受信された。さらに2素子から8素子への拡張も比較的スム-ズに実現でき、1991年12月には8素子1次元大型アレイにより上記天体の微分像の直接合成に合功した。つまり毎秒2千万枚のカニ星雲やカシオペアA微分像が世界で初めて得られた。これらの結果はリストにあげた論文として報告した。また多くの新聞社、テレビ局の取材を受けた。(*)パルサ-サ-ベイ用の分散消去フィルタ-の概念設計を行う。→これは非エルゴ-ト的信号も観測できる早稲田大学干渉計でなければできないプロジェクトである。概念設計をすすめた結果、既存のパラボラアンテナをそのまま用い、既存のディジタルレンズのほぼ2倍の規模の処理システムでパ-クスを上回る感度でミリ秒パルサ-のサ-ベイが可能であることがわかった。すなわち空間・時間フ-リエ変換を行い、その結果を2乗積分した後に周波数・時間領域で2次元FFTを行う方法(2+1+2次元FFT)である。このシステムは移設が簡単であり、ワイヤ-をたらしただけの14mφの簡易球面アンテナを110m四方に64台展開するだけで、アレシボを上回る感度でパルサ-を捜すことができる。総経費は3億円で、現在、特別推進研究に応募している。これが実現すると世界最大の集光力をもつ電波望遠鏡となり、多くの連星ミリ秒パルサ-を捜していまだに実現されていない強重力場中での一般相対論の検証に貢献できるであろう。
著者
花木 賢一
出版者
岩手医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では免疫不全マウスを用いた実験を障害すると考えられる主要な日和見感染症起因微生物であり、感染マウスの糞便に排出される黄色ブドウ球菌、マウス肝炎ウイルス(MHV)、マウスノロウイルス(MNV)、肺パスツレラを単一の方法で同時に検出を可能にすることを目的として等温遺伝子増幅法(LAMP法)の開発を行った。MHVとMNVに対しては62℃90分の反応で検出する逆転写LAMP法をそれぞれ完成させた。また、黄色ブドウ球菌に対しては薬剤耐性能と消毒薬耐性能も同時に判別する3つのLAMP法を完成している。肺パスツレラを検出するLAMP法は特異プライマーの設計ができておらず、検討継続中である。
著者
甘糟 和男 向井 徹 笹倉 豊喜
出版者
東京海洋大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2013-04-01

高周波のリニアFM信号が使用可能なブロードバンドエコーサウンダーを構築した。システムの有効な周波数帯域は250~700 kHzであり,動物プランクトンの観測に適している。パルス圧縮処理によって距離分解能を向上させることにより,直径38.1 mmのタングステンカーバイド球の鏡面反射エコーを捉え,これを利用したシステムの送受信系感度を較正する手法を確立した。さらに,直径20.6 mmのタングステンカーバイド球と体長20~40 mmのヤマトヌマエビを対象とした水槽実験により,測定対象に固有のスペクトルが測定できることを確かめた。本研究の成果は,新しい動物プランクトンの観測手法の開発につながる。
著者
池田 恵子
出版者
山口大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

日英同盟期の融合文化規範としてのスポーツに着目した。質実剛健、良妻賢母は日本における中等教育機関の教育理念に相当したが、それらは英国中流階級のエリート教育において理想とされた教育理念を媒介し、スポーツ教育と帝国主義との関わりを経由している。第二次世界大戦の勃発以前には、スポーツ教育を通じて英国規範を活用したにもかかわらず、ファシズム期には国粋主義的文化規範への昇華を意図し、国防体育が実践された。いずれも、近代国民国家形成期に日本的ナショナリズムを構築する上で、巧みに利用された外国の文化システムの援用であった。これらを複合的に融合することで日本独自のスポーツ的風土が醸成された経緯を説明している。
著者
伊藤 正人 佐伯 大輔 山口 哲生
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ハトを対象に、遅延割引、社会割引、社会的ジレンマ場面における共有選択を測定し、価値割引率や選択率の間の相関関係を調べた。その結果、遅延割引率と、社会割引率や共有選択率との間に有意な相関は見られなかった。また、社会割引率と、チキンゲーム・サクラあり・ランダム条件で得られた共有選択率の間には、有意な負の相関が見られた。これらの結果は、衝動性-利己性の関係がハトとヒトにおいて異なる可能性を示している。
著者
原田 二朗
出版者
久留米大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

ヘムオキシゲナーゼは、シトクロムP450還元酵素やビリベルジン還元酵素など複数のタンパク質と相互作用し、基質ヘムをビリベルジン、次いでビリルビンへと変換するヘム分解系で働く酵素である。本研究課題では、ヘムオキシゲナーゼに関わる酵素群との相互作用機構を明らかとすることを目的としている。また研究の一環として、新しい手法であるNMR緩和分散測定法が、タンパク質の未知機能探索に有効であることを実証していく。
著者
村井 陽子 奥田 豊子
出版者
相愛大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

豆摂取を促進するため、幼稚園、小学校の保護者を対象に、簡単な豆料理の調理実習と豆に関する講話による料理講習会を開催し、豆摂取背景要因と実習豆献立の評価を調査した。実習豆献立を家庭で作る意欲高群は、豆についての関心が高く、食生活を重視する傾向を示した。また、動機づけには、実習献立の評価および食生活重視度が影響していることが示唆された。さらに、小学校保護者を対象として、6種の豆料理について嗜好性と調理意欲を調べた結果、豆摂取が進みにくい層で、豆素材製品使用献立が家庭での調理に結びつく可能性が示された。豆調理頻度向上には、豆料理を紹介する印刷媒体による働きかけも有効であることが示唆された。
著者
荒井 晃作 井龍 康文 町山 栄章 井上 卓彦 佐藤 智之 松田 博貴 佐々木 圭一
出版者
独立行政法人産業技術総合研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

琉球弧の一部である沖縄島及び宮古島の間には広いプラットフォーム状(平らな高まり)の地形が存在している.本研究ではこの高まり状の地形の地質学的な発達史に関して,島嶼の沈降という切り口で研究を進めた.プラットフォーム状の地形は,その縁辺における断層運動に伴って,壊れるように沈降していること.プラットフォームの高まり自体はほぼ安定していて,約1万数千年前の最終氷期にはサンゴ礁が存在していた可能性が高いことが明らかになった。
著者
志久 修
出版者
佐世保工業高等専門学校
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究では、斜めから撮影することにより射影ひずみを受けている文字列の認識方法の開発を行った。具体的には、(1)射影ひずみを受けている文字の形状正規化方法の開発、(2)個々の文字の認識結果(文字コード+画像中の文字位置)から、文字列辞書(文字コード列)を利用することにより、個々の文字を文字列にグループ化(文字列を認識)する方法の開発を行った。実験により開発した方法の有効性を確認した。
著者
高山 成
出版者
大阪工業大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

近年、登攀型の壁面緑化植物として急速に普及しているノアサガオを使って、植栽面の面積に対して約11倍の葉面積を繁茂させた。この壁面緑化物の水消費量の日平均値は、1日あたり18.4mmであった。気象条件のみに支配される基準蒸発散量に対する水消費量の比を水消費量率とした時、同期間における水消費量の最大値は15程度だった。水消費量率の最大値15に対する日々の水消費量率を標準水消費量率として、日平均風速、日平均土壌体積含水率、日積算壁面日射量、対地葉面積指数の環境因子を説明変数とする推定モデルを構築した。日々の水消費量の実測値に対する、モデルの推定値の絶対平均誤差は6.1%程度と良好な結果が得られた。
著者
呉 景龍 峠 哲男 高橋 智 楊 家家 福山 秀直 福山 秀直 高橋 智 楊 家家
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

認知症の早期診断を実現するために(1)海外での認知症調査研究(2)認知症診断技術の国際基準の提案,および(3)認知症社会対策の提言を目指して調査研究を実施した共同研究者,海外の認知症関連研究者と連絡を取って,認知症に関する認知実験などの実験結果の収集,検討を行い,特に健康高齢者と認知症患者の間の触覚の認知機能の差が,認知症の早期診断に有効であるという結果を得た.この結果と本研究で構築したネットワークを元に,国際的な大規模実験に向けての準備をすすめることができた.
著者
吉田 恒雄
出版者
駿河台大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

精神障害者による児童虐待に関するアンケート調査からは、担当者がとりわけ困難な課題と感じているのは、当事者との関係の構築や精神保健福祉に関する専門知識の不足であることが明らかになった。先行研究調査からは、この問題の背景には精神障害だけでない複合的原因があること、この問題が児童虐待への対応、社会的養護の根本的課題であり、かつ多機関連携がとくに求められる課題であることを知ることができた。法学文献調査からは障害者による在宅子育て支援の視点を法律に明記することが重要であることが、 関連分野の研究者・実務家からは対応組織のマネージメントの重要性、重大事件でのケースの評価に関する課題が示された。
著者
鎌田 とし子 鎌田 哲宏 大野 剛志 栗田 克実 羽原 美奈子 高波 澄子 信木 晴雄 佐々木 悟 豊島 琴恵 嶋崎 東子 松浦 智和 松岡 昌則 北島 滋 山下 由紀夫 中澤 香織 石川 紀子 菅原 千鶴子
出版者
旭川大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

本研究は、北海道北部地域にある集落を3か所(北海道中川郡音威子府村、増毛郡増毛町、上川郡東川町)選び、①限界集落、②維持集落、③再生・発展集落とし、3者の比較を行うことで、集落の限界化が進行する社会的要因を探求する実態調査を行った。その結果、人口流出を阻止する要因は5万円程度の雇用機会であり、最低生活を維持できる自給経済と、無償の相互援助関係の存在であった。生産性の高い農地は、借り手と買い手がいるため、農業企業が出現し、周辺地域に雇用市場が発生した。また、子育て支援策と団地造成で人口流入が進むことが明らかになった。
著者
山名 淳 宮本 健市郎 山﨑 洋子 渡邊 隆信
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

本研究は、新教育運動期において、児童・生徒の「本性」に基づいて彼らの自己活動の余地を保持するために、学校における「アジール」的な時空間(教師の明確な計画性を逃れる曖昧な時空間)の重要性が認識され始めたことに注目し、新教育的な学校における「アジール」との関わりにおける教師の技法を、新教育運動の影響が最も鮮明にみられたイギリス、ドイツ、アメリカ合衆国を考察対象として比較史的に究明することを心試みた。日本との比較考察という視点も導入し、今後の継続的な研究の展望を示した。本研究の成果は、報告書『新教育運動期における学校の「アジール」をめぐる教師の技法に関する比較史的研究』にまとめて公にした。