著者
松本 侑子
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.69, no.2, pp.61, 2019-02-01 (Released:2019-02-01)

今月号の特集は「企業博物館」です。東日本大震災を機に,博物館(Museum),図書館(Library),文書館(Archive)によるMLA連携が活発になり,時を同じくして大学(University),産業界(Industry)も加えたMALUI連携という概念も出てきました。近年ではデジタルアーカイブの活性化により,実際の館同士の連携だけでなくオンラインでも連携が図られつつあります。中でも博物館については文書以外の資料も扱うため,連携をすすめるためにはお互いの資料に対する考え方や活用方法の共有が必要ではないでしょうか。また,博物館での資料展示はよりビジュアルに訴えたり実際に触れるものにしたりと,見る人を惹きつけ,理解を促すための工夫が行われているため,資料活用の参考になるのではないかと考えられます。今号では,ある程度の連携が進んでいる公共博物館ではなく,さらに幅広い資料を扱うという点から,企業博物館に着目しました。企業博物館は企業活動や企業文化の記録と発信,市民とのコミュニケーション等のために企業が運営している博物館等といえます。企業博物館はその企業の生業に関連する資料を扱うため,館ごとに実に多様な資料を扱っています。また,資料の保存が重要であることは当然ですが,企業博物館はその性質上,発信や資料の活用などにも一層積極的に取り組んでいる館が多いのではないかと考えられます。多様な資料を収集・管理し発信する機関として,企業博物館を取り上げることで,これから博物館との連携を考えている関係者の方々や,資料の魅せ方や活用方法を検討している方々の検討材料になるのではないかと考え,本特集を企画しました。高柳直弥氏には,これまで本紙では取り上げることの少なかった企業博物館の目的,形態などの基礎的な情報に加えて,資料の収集・管理の現状と運営上の課題,今後の展望などについて豊富な事例を交えつつ概観していただきました。続いて資生堂企業資料館に企業活動の中での館の位置付けや多様な資料の収集・活用についてご紹介いただきました。さらに,資料の形態に着目し,冊子等の紙資料を主に扱う館として帝国データバンク史料館での取り組みについて,また紙資料以外の多様な資料を扱う博物館として竹中大工道具館での建築や大工道具などの多様な資料の管理や展示について,さらにデジタルアーカイブに近い分野として映像資料に焦点を当て,NHKアーカイブスでのメタデータ管理や資料収集方法について,それぞれご紹介いただきました。いずれも豊富な事例を具体的に紹介していただきましたので,これから多様な資料を扱い,活用しようとしている方やMLA,MALUI連携をすすめようとしている方のご参考になれば幸いです。(会誌担当編集委員:松本侑子(主査),小出恵子,寺島久美子,當舎夕希子)
著者
横平 弘
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木史研究 (ISSN:09167293)
巻号頁・発行日
vol.15, pp.207-214, 1995-06-09 (Released:2010-06-15)
参考文献数
32

JR釧網本線の施工困難な建設路線区間について比較線を選定して費用を試算し、現有の建設路線との比較の結果、比較線の方が約114万円低額で、平成4年の卸売物価スライドで11億余万円に相当し、建設費総額の13%を占める巨額となった。また、比較線の実現により、軟弱地盤地帯にある現有路線が地震の多発による列車の不通と路盤の点検などで余儀なくされている不便や労苦と多額な保線費もかなり解消されるため比較線のメリットは大きく、従って現有の建設路線の妥当性は不十分と見られる。
著者
久保下 亮 岡 慎一郎 田原 弘幸
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb1397, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 不慣れな運動を行った後や,過度な運動を行った後の24~48時間後をピークとして生じる遅発性筋肉痛(Delayed Onset Muscle Soreness;DOMS)は,遠心性収縮の収縮様式を用いた運動後に生じやすい。その原因は諸説様々な形で述べられている。運動中に生じる筋や結合組織の微細構造の損傷後の炎症反応に伴う筋内圧の増加などの機械的刺激や,筋温の上昇による熱刺激,ブラジキニン,セロトニン,ヒスタミン,カリウムイオンなどの発痛物質による化学的刺激それぞれが,多種侵害受容器であるAδ線維やC線維の自由終末に作用することによって痛みが受容されると考えられる。その評価方法に至っては,VAS(Visual Analogue Scale)やフェイススケールなどが簡易的に用いられており,その他,血中生化学的マーカーにより評価する方法,超音波画像法や磁気共鳴映像法(Magnetic Resonance Imaging:MRI)など筋内部の変化を画像化して評価する方法などが用いられている。今回は,プライオメトリクストレーニングを用いて意図的に大腿四頭筋にDOMSを生じさせ,トレーニング前後での内側広筋(以下,VM)と外側広筋(以下,VL)の筋硬度と膝関節伸展ピークトルクとにどのような変化が生じるのか検討してみた。【方法】 対象は現在運動器疾患を有していない学生20名(男性13名,女性7名),平均年齢20.7±0.2歳である。まず,被験者のVMとVLの筋硬度を背臥位にて生体組織硬度計PEK-1(井元製作所製)を用いて計測した。次に,膝関節伸展ピークトルクの測定を等速性筋力測定器であるBIODEX SYSTEM3(BIODEX社製)を用いて行った。角速度は60°/secで反復回数を5回とした。その後,プライオメトリクストレーニングとしてボックスジャンプとデプスジャンプを10回×3セット施行し,トレーニング終了から24時間後(以下,Ex後24h),48時間後(以下,Ex後48h)にVMとVLの筋硬度と膝伸展ピークトルクを測定した。統計学的分析には,反復測定分散分析を用いた。【倫理的配慮、説明と同意】 対象者には紙面を用いて研究内容を説明し,研究への参加による利益,不利益を示し,同意を得た上で本研究に参加してもらった。【結果】 膝関節伸展ピークトルクの平均は,トレーニング前(以下,Ex前)が167.8±10.6Nm,Ex後24hが163.5±10.6Nm,Ex後48hが159.3±11.1Nmであり,Ex前とEx後48hとの間に有意差を認めた(p<0.01)。VMの筋硬度の平均は,Ex前が40.1±0.7,Ex後24hが42.2±0.7,Ex後48hが45.2±0.8であり,全てにおいて有意差を認めた(p<0.01)。VLの筋硬度における平均は,Ex前が53.8±0.9,Ex後24hが55.0±0.8,Ex後48hが57.8±0.8であり,Ex前とEx後48h,Ex後24hとEx後48hとの間において有意差を認めた(p<0.01)。【考察】 今回,VMやVLに対し強い遠心性収縮を要求するプライオメトリクストレーニング(ボックスジャンプ,デプスジャンプ)を行うことで,トレーニング後は筋硬度が上がり,膝関節伸展筋力も低下するという結果から,強い遠心性収縮を用いるトレーニングは筋を損傷させることにより筋機能が著しく向上することはありえないと思われる。野坂らによると,エクセントリックトレーニングにより筋機能の向上を図る際には,筋力の回復に長期を要するような強い負荷は効果的でなく,筋力の増加は,比較的軽度な負荷のトレーニングでも達成できると述べている。高負荷なトレーニング後は筋疲労が残存していたり,筋の緊張状態も高いことより,トレーニング後の休息ならびに次のトレーニングまでの間隔が,トレーニング効果を上げるために非常に重要な要素であることを示している。
著者
真部 真里子
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.57, no.1, pp.21-29, 2006 (Released:2007-10-12)
参考文献数
13
被引用文献数
5

We examined the correlation between the odour desirability and the overall desirability by a sensory evaluation of four kinds of soybean paste (miso), differing in the food material and/or fermentation period. Compared with the three other kinds of miso, soy miso was particularly disliked for both its odour and overall attributes. The results of the sensory evaluation also suggested that familiarity with the food contributed to its overall desirability. Most subjects seemed to be unfamiliar with soy miso and barley miso, although barley miso was acceptable as well as the two kinds of rice miso. The aromas of these four kinds of miso were then investigated by headspace solid-phase microextraction (HS-SPME) and gas chromatographic-olfactometric (GC-O) analysis. The results showed that soy miso had a characteristic odour which was undesirable and resulted in a low evaluation. The results of this survey of miso for food preference suggest that an unpleasant odour induced an overall dislike for it.
著者
上野 雄己 小塩 真司
出版者
一般社団法人 日本健康心理学会
雑誌
Journal of Health Psychology Research (ISSN:21898790)
巻号頁・発行日
pp.180627106, (Released:2018-11-09)
参考文献数
46
被引用文献数
3

The relationship between exercise behavior and the Big Five personality traits in Japanese adults (N=4,313, 2,618 men, 1,695 women; mean age=49.05 years, SD=10.84, age range=20–69 years) was investigated. Results indicated that exercise behavior was significantly correlated with Neuroticism (ρ=−.12), Extraversion (ρ=.18), Openness (ρ=.14), Agreeableness (ρ=.06), and Conscientiousness (ρ=.13). Controlling for sex, age, body mass index, educational level, household income, marital status, and the number of children indicated that levels of Extraversion and Openness were positively and significantly associated with exercise behavior. These findings suggest that personality traits influenced exercise behavior in Japanese people, and corroborated international studies.
著者
出村 嘉史
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.78, no.694, pp.2529-2536, 2013-12-30 (Released:2014-07-10)
参考文献数
13
被引用文献数
1

After the first designation as a planned city by the City Planning Act, Gifu City had quickly expanded its limits during the early Showa era. In the first stage of Gifu City Planning Project, it was aimed to be grown as the city of manufacturing industry. According this vision the main street network was planned. The suburban parts of this street network were, however, decided to construct as the Land Readjustment Projects to save the public construction costs. After all, the landowners of the Land Readjustment Project's sites seemed not to follow the initial vision of the City Planning, but to intend to develop their lands for ideal residential areas. As the result, Gifu City experienced the major change of its planning vision from the modern industrial city to the modern city of residence and tourism at this moment. It corresponds to the fact that mayor, Kunimatsu Matsuo, with rising bureaucrats set the policy of creating such type of city as a reasonable means for arbitrating conflict with emerging middle class and traditional landowners.
著者
浜川 弘茂 柴田 早苗 井上 育生 深田 恒夫
出版者
動物臨床医学会
雑誌
動物臨床医学 (ISSN:13446991)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.12-16, 2013-03-20 (Released:2014-05-14)
参考文献数
7

多くのアスリートがアクアチタン含有首輪(アクア首輪)を付けて競技を行っている。その効果は多く謳われているが,その効果のメカニズムに関して,近年,実験動物を用いて行われたものが報告されてきた。しかしながら,このアクア首輪を装着した犬に関する報告はない。今回,アクア首輪を2頭の犬に装着し,その行動の変化を調べた。それらの犬においては,装着後行動が活発になった。アクア首輪の効果を解明するために,5頭のビーグルにアクア首輪を装着し,対照群として装着していない犬5頭共に自動車による3時間の移動ストレスを与えた。そして,ストレスマーカーである白血球数,リンパ球数,血清コルチゾールおよび唾液中クロモグラニンAを調べた。その結果,すべての項目において,ストレスパターンを示したが,両群間に差がみられなかった。しかしながら,血清コルチゾール値の相対値が,ストレス負荷時においてアクア首輪群が対照群と比べて有意に低かった。したがって,犬においてアクア首輪はコルチゾール抑制効果を示す可能性を示された。

2 0 0 0 OA 哲学と宗教

著者
宇都宮 芳明
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.1995, no.45, pp.33-46,2, 1995-04-01 (Released:2009-07-23)

Kant versuchte das durch die Vernunft auszuführende Philosophieren mit dem religiösen Glauben in seinem Leben zu vereinigen, indem er den "Vernunftglauben" annahm and alle seine praktische Philosophie aus diesem Glauben entwickelte.Kants Vernunftglaube, der aus der Quelle der moralischen Gesinnung entspringt, bedeutet einerseits den Glauben an die reine praktische Vernunft, die uns die moralischen Gesetze vorschreibt, and andererseits den Glauben an den Gott, der uns die Gluckseligkeit der Moralität genau angemessen austeilt. Nach Kants Auffassung ist die Religion"die Erkenntnis unserer Pflichten als göttlicher Gebote" (nicht "die Erkenntnis göttlicher Gebote als unserer Pflichten"), so ist die Autonomie der praktischen Vernunft mit dem Glauben an Gott ohne Widerspruch vereinbar.
著者
外山 美樹
出版者
一般社団法人 日本教育心理学会
雑誌
教育心理学研究 (ISSN:00215015)
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.560-574, 2008-12-30 (Released:2013-02-19)
参考文献数
69
被引用文献数
2

近年の自己概念に関する研究では, 人が自己評価する際に用いる準拠枠の重要性が指摘されている。能力的には同様の生徒であっても, 個人が自分自身を評価する際に使う準拠枠によって, 異なった学業的自己概念が形成される。本稿では, 社会的比較という準拠枠を用いた学業的自己概念の形成, つまり Marsh (1987) が提唱した“井の中の蛙効果”に関する研究を概観する。Marsh (1987) は, 個人の学業水準をコントロールした場合, 学業的自己概念は学校やクラスの学業水準とは負の関係にあることを見いだし,“井の中の蛙効果”と呼ばれる概念を提唱した。これは, 同じ成績の生徒であっても, 良くできる生徒ばかりの学校あるいはクラスの中では, 優秀な生徒たちとの比較のために否定的な学業的自己概念を形成し, あまりできない生徒ばかりの学校やクラスの中では, レベルの低い生徒たちとの比較のために好ましい学業的自己概念を形成しやすいという現象のことである。本稿では, Marshが提唱した“井の中の蛙効果”について広く概観した後に,“井の中の蛙効果”研究についての問題点と今後の展望について述べていくことで,“井の中の蛙効果”に関する諸研究を統合的に検討することを目的とした。
著者
Ko Tomikawa Teruo Ishida Shunsuke F. Mawatari
出版者
The Japanese Society of Systematic Zoology
雑誌
Species Diversity (ISSN:13421670)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.19-26, 2005-02-28 (Released:2018-03-30)
参考文献数
13
被引用文献数
3

A new species of cyclopoid copepod, Allocyclops (Allocyclops) austronipponicus, is described from a freshwater habitat in Okinawa Island, Japan. This is the first record of the genus Allocyclops from Asia. The new species is distinguished from its congeners by having the following combination of character states: (1) antennal seta representing exopod present; (2) maxillule with two-segmented palp; (3) legs 1-4 each with inner coxal seta; (4) distal endopodal segment of leg 4 with three inner and one outer setae and two apical spines; and (5) seta present on remnant of proximal segment of leg 5, this seta short in comparison to length of somite.
著者
津田 智
出版者
環境技術学会
雑誌
環境技術 (ISSN:03889459)
巻号頁・発行日
vol.30, no.6, pp.450-453, 2001-06-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
7
被引用文献数
1
著者
野口 俊介 鈴木 憲吏 百目鬼 英雄
出版者
The Japan Society of Applied Electromagnetics and Mechanics
雑誌
日本AEM学会誌 (ISSN:09194452)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.210-215, 2016 (Released:2016-12-21)
参考文献数
11

A square wave excitation is the simplest method of brushless DC motor drive, but it has part inferior in terms of efficiency and vibration noise. However, the efficiency can be clearly improved by extending excitation angle and advancing current phase angle, especially the 150 degree excitation leads maximum efficiency. And the 150 degree excitation has possibility of making vibration noise characteristic improve because it leads losses decrease. In this paper, we measure the motor vibration noise characteristics in 150 degree excitation, and inspect degree of improvement of the characteristics experimentally.
著者
涌井 恵
出版者
一般社団法人 日本特殊教育学会
雑誌
特殊教育学研究 (ISSN:03873374)
巻号頁・発行日
vol.51, no.4, pp.381-390, 2013 (Released:2015-03-19)
参考文献数
38
被引用文献数
1

本稿では、おもにLD児を対象に含む通常の学級における協同学習の研究動向について概観し、今後の研究の課題について探った。協同学習は単なるグループ学習ではない。協同学習の5つの基本要素を満たすことで、学力のみならず、社会性、仲間の受容、多様性の理解、高次の思考スキルの促進など、さまざまな効果を及ぼすことができる。学習障害(LD)等の障害のある子どもにも活用される協同学習の代表的な教授モデルについて整理した。また先行研究において協同学習にはどのような効果が示され、今後LD児等を対象にした研究が進展していくためには、どのような課題があるのかを論考した。
著者
八重樫 弘信
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.7, no.1, pp.59-62, 2010 (Released:2010-04-02)
参考文献数
6
被引用文献数
7 6

発熱後 48 時間以内に A 型インフルエンザと診断した 18 歳以上の患者 14 名を,麻黄湯・小柴胡湯(6 名:麻黄湯エキス顆粒 7.5 g・小柴胡湯エキス顆粒 7.5 g/日,3 日間内服)と,オセルタミビル(8 名:150 mg/日,5 日間内服)にて治療した.各群の治療開始から解熱までの期間に有意差を認めなかった.