著者
三浦 篤
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は19世紀後半の日本とフランスにまたがる美術交流の実態を、双方向的な視野の下に三つの側面から総合的に解明しようと企てた。すなわち、第1段階として、日本美術からフランス美術への影響現象であるジャポニスム(日本趣味)を研究が進んでいないアカデミックなサロン絵画を中心に調査した。フィルマン=ジラールのような重要な画家の例を発掘したほか、オリエンタリズムの延長としての異国趣味的なジャポニスムが広く存在したことが明らかになった。他にアジアの寓意像、絵の中の文字、陶磁器についてもジャポニスムとの重要な関連性が見出された。第2段階として、アカデミックな画家の中でも好んで日本の美術工芸品を蒐集し、かつ日本近代洋画家たちの指導者でもあったラファエル・コランについて分析した。その結果、コランのジャポニスムは異国趣味とは異なり、印象派のような造形的なジャポニスムとも異質であることが分かった。春信、光琳、茶陶への趣味が物語るように、それは日本美術と本質的に共鳴する美意識に基づく特異なジャポニスムである。その意味で、コランが日本人の弟子を多く育てたことは決して偶然ではない。そして第3段階として、逆にフランス美術の日本美術への影響現象である、フランス留学した日本の洋画家たちにおけるアカデミスム絵画の摂取について研究した。山本芳翠や黒田清輝を始めとする渡航画家たちは、ジェローム、ボナ、コラン、ピュヴィ・ド・シャヴァンヌ、バスティアン=ルパージュらから、アカデミスム、古典主義、自然主義など多様な絵画様式を摂取して帰国した。日本近代洋画の礎となった画家たちの個性的な受容の有り様が見えてきた。以上のように、従来は別個に研究されていた三つのテーマを相互に連関させながら調査することで、日仏美術交流史の重要な断面をダイナミックに浮かび上がらせることができた。研究に新たな1頁を付け加えることができたと確信する。
著者
高嶋 吉浩 三浦 正博 舛田 誠二
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.28, no.5, pp.1071-1075, 1995-05-01
参考文献数
13
被引用文献数
1

箸刺入による外傷性頸部食道損傷の1例を経験した.19歳の女性.1993年7月食器運搬中に転倒し箸が右頸部から刺入し,抜去することなく来院.内視鏡にて食道損傷と確診した.箸摘出,食道縫合閉鎖術にて治療した.本邦の外傷性食道損傷35例および箸刺入傷23例を検討した.外傷性食道損傷の死亡例は保存的治療3例中2例(66.7%),手術的治療31例中1例(3.2%)だった.24時間以内に1期的閉鎖術となった11例では縫合不全は1例(9.1%)のみだったが,24時間以降の場合,1期的閉鎖術5例中4例(80%)が縫合不全を来し,ドレナージ術12例中3例(25%)が再手術を要した.よって,本外傷には早期手術的治療を行うべきである.箸刺傷23例中17例が単純抜去されたが,うち10例は遺残先端の摘出術を要し,完全抜去された7例中2例は消化管損傷のため手術的治療を要した.完全抜去されないもの,消化管損傷を伴うものでは保存的治療は妥当ではないと推察された.
著者
神山 遊馬 貴傳名 甲 三浦 雅博
出版者
一般社団法人日本エネルギー学会
雑誌
石炭科学会議発表論文集
巻号頁・発行日
no.42, pp.105-106, 2005-11-17

The direct synthesis of carbon nanotube (CNT) from coal was examined by chemical vapor deposition (CVD) method. Under selected conditions including the reaction temperature and the amount of catalyst, CNT production from coal was successfully achieved. Based on the results of the experiments with several coal samples, the effect of the production conditions on the yield and property of CNT was discussed.
著者
辻 宏之 大堂 雅之 三浦 龍 丸山 正晃 鈴木 幹雄 笹本 尚史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. A・P, アンテナ・伝播 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.671, pp.139-143, 2003-02-26
参考文献数
4

2002年6月から7月にかけて,米国ハワイ州カウアイ島で実施された高度20kmの成層圏に滞空する無人ソーラープレーンを用いた世界初のIMT-2000通信実験が行われた.この実験で約200km離れたオアフ島からの干渉波による通信品質の劣化が観測され通信障害が発生した.本報告では,この干渉波の解析とアレーアンテナを用いた干渉波軽減について報告する.
著者
辻 宏之 大堂 雅之 三浦 龍 丸山 正晃 鈴木 幹雄 笹本 尚史
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MoMuC, モバイルマルチメディア通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.102, no.677, pp.139-143, 2003-02-26
参考文献数
4

2002年6月から7月にかけて,米国ハワイ州カウアイ島で実施された高度20kmの成層圏に滞空する無人ソーラープレーンを用いた世界初のIMT-2000通信実験が行われた.この実験で約200km離れたオアフ島からの干渉波による通信品質の劣化が観測され通信障害が発生した.本報告では,この干渉波の解析とアレーアンテナを用いた干渉波軽減について報告する.
著者
高木 省治郎 須田 啓一 小松 則夫 大田 雅嗣 加納 康彦 北川 誠一 坪山 明寛 雨宮 洋一 元吉 和夫 武藤 良知 坂本 忍 高久 史麿 三浦 恭定
出版者
The Japanese Society of Hematology
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.27, no.12, pp.2274-2280, 1986

Five patients with malignant lymphoma in whom primary chemotherapy had failed were treated with high-dose chemotherapy using AAABC regimen, total body irradiation, and transplantation of cryopreserved autologous marrow. Complete remission was achieved in all five patients. In these patients, the recurrence of malignant lymphoma did not occur during the follow up time of 2 to 59 months after autologous bone marrow transplantation. Three of them are alive in continuous remission for 33, 49, and 59 months, respectively. In one of these three patients, acute lymphoblastic leukemia developed 44 months after bone marrow transplantation. However, successful chemotherapy resulted in a complete remission of leukemia, he is alive in remission. The remaining two patients died of pneumonia and respiratory failure 72 days and 82 days after bone marrow transplantation, respectively. Our results show that intensive chemoradiotherapy and autologous-marrow transplantation can produce a prolonged remission in patients with malignant lymphoma in whom conventional chemotherapy has failed.
著者
伊藤 靖 三浦 浩 中村 憲司 吉田 司
出版者
日本水産學會
雑誌
日本水産學會誌 = Bulletin of the Japanese Society of Scientific Fisheries (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.75, no.6, pp.1019-1026, 2009-11-15
参考文献数
28
被引用文献数
5 5

マアジの行動様式を把握するため日本海佐渡島羽茂地先の水深 45 m に設置された人工魚礁において,超音波バイオテレメトリー(V9P-1H, VEMCO 社製)を全長 30 cm のマアジへ外部装着し,追跡を行った。追跡は 2008 年 6~7 月の間に 1 尾ずつ 7 回行った。マアジは日中には人工魚礁や天然礁の天端から高さ 10 m 程度に留まり,夜間は水深 5~10 m の表層を遊泳しながら礁から離脱し,早朝,礁に移動し,日中,礁に蝟集するといった明確な日周行動を示した。<br>
著者
平山 謙二 奈良 武司 グェン フイティエン 菊池 三穂子 柳 哲雄 三浦 左千夫 前村 浩二
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

ボリビア国保健省のシャーガス病制圧プログラムと協力し、15 歳以下の小児の慢性感染患者に対するベンズニダゾールによる治療成績に影響を与える原虫および宿主側の因子を明らかにすることを目的として研究を行った。現地での拠点となった保健省熱帯病研究センター、シラニ病院、日本病院の研究協力者として本研究を企画し、サンタクルースの病院を基盤とした治療プログラムと本プロジェクト研究を開始することができた。治療効果とそれに伴うサイトカイン産生、さらに血中薬剤濃度などを測定を完了し薬剤反応性の多様性、原虫血症の推移、薬剤代謝の影響、免疫応答性の特徴などが明らかになり、遺伝的な背景との関連も示唆することができた。
著者
三浦 秀一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.65, no.528, pp.75-82, 2000
参考文献数
16
被引用文献数
17 4

In this study the energy consumption and the CO_2 emissions of housing in prefectural capitals all over Japan have been estimated and characteristics of the transition of them in recent 30 years have been made clear. The energy consumption was increasing remarkably in every cities, and this increase was influenced by climate, expenditure, and residential area. To reduce the v emissions 6% below 1990 levels, 20% of 1995 levels must be reduced in average. In many cities, the major factor of the increase of CO_2 emissions was the increase of using lighting and electrical outlet.
著者
三浦 軍三 岡本 敏雄 堀口 秀嗣 篠原 文陽児 児島 邦宏 井上 光洋
出版者
東京学芸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1985

授業録画ビデオテープは、全国の教育系大学・学部で制作・管理され、現在精力的に収集され、いくつかの大学・学部ではライブラリーとして体系的に保存・管理されつつある。これらのビデオテープは、教育に関する臨床的・実践的・実証的研究に不可欠な資料である。とりわけ授業分析・設計に関する研究、教科教育および教育実習の改善研究にとって貴重な素材として位置づけられ、その価値がますます高まりつつある。本研究はつぎの課題で研究を遂行した。1)分類カテゴリーの設定:授業録画ビデオテープには原則として"授業の指導案"を添付することとし、(a)そこに、授業に関する基本事項、(b)授業を特徴づける枠組、(c)さらにビデオテープの種別を設定する。したがって、データファイル構成としては、3次元構造をもつ分類力テゴリーを開発し、その試案の段階で、テープライブラリーをもつ3つの大学・学部の研究者と情報交換を行うとともに、専門家に対し意見をもとめ、分類カテゴリーの再構成をはかった。2)検索システムは、(ア)分類カテゴリー・システムにもとづく基本データ管理(イ)検索の2つのモジュールから構成され、マイクロコンピュータによるシステム開発を行った。3)検索システムの開発試行をふまえて、検索の適切性の視点から分類カテゴリー、とくに授業を特徴づける枠組について再検討する。あわせて、他の教育系大学・学部の研究者の協力を得て実験試行した。4)上記、1)、2)の分担課題にふまえ、検索システムのアセスメントと改善点(システムの柔軟性,拡張性,利用,流通等の視点)を明らかにし、総合的評価とシステムの再構築をはかった。
著者
園田 俊郎 VERONESI Ric GOMEZ Luis H HARRINGTON W ZANINOVIC Vl HANCHARD Bar 屋敷 伸治 藤吉 利信 嶽崎 俊郎 三浦 智行 速水 正憲
出版者
鹿児島大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

ジャマイカ、コロンビアおよび近隣諸国にはHTLV-IとHTLV-IIのフォーカスが局在し、ATLとHAM/TSPを多発させている。平成6年度調査研究では、キングストン(ジャマイカ)、カリ、ブエナベンツラ(コロンビア)、ラパス(ボリビア)をたずね、HTLV-I/II関連疾患の患者およびウイルスキャリアの有無の調査した。総計8名の患者があらたに発掘され、ATL患者2名、HAM/TSP患者5名、感染性皮膚炎(In fective dermatitis,ID)患者1名が今回の分析対象となった。これらの検体からリンパ球と血清を分離し、リンパ球は生細胞のまま凍結保存され用時解凍してHLA検査に供せられた。血清はHTLV-I/II抗体の保有状況検査に供せられた。HLAの民族特性を比較する対照として、既知HLAの日本人ATL患者、HAM/TSP患者ならびにアンデス高地先住民のHTLV-IキャリアのHLAハプロタイプが用いられた。ジャマイカでは黒人の感染性皮膚炎(ID)患者の検体が収集された。コロンビアでは黒人のATL、HAM/TSP患者の検体が収集された。ボリビアではアンデス先住民と白人の混血メスチソのHAM/TSP患者の検体が収集された。平成2年度に収集保存中のアンデス高地先住民インガ族のHTLV-Iキャリアの検体も対象とした。HLAハプロタイプは患者とその家族のHLAタイプから割り出された。ここでは、常法による血清型と近年開発のDNA型で分析した。このHLAハプロタイプによって、黒人、アンデスインデイオ、メスチソの患者と日本人患者の民族背景の異同を比較した。ここでは、HLAクラスIIのDNA型が有用であった。ジャマイカとコロンビアの黒人患者(ID、ATL、HAM/TSP)のHLAハプロタイプには、日本人のATL、HAM/TSPと共通なDRB1*DQB1*1302-0604,1101-0301,1502-0601,0403-0302,0802-0402と黒人患者に特異なDRB1*DQB1*07-0201,0407-0302が検出された。ボリビアの混血患者のHLAハプロタイプには日本人ATL/HTLV-IキャリアにみられるDRB1*DQB1*0901-0303と白人由来とおもわれるDRB1*DQB1*0301-0201が検出された。以上の結果からHTLV-I関連疾患の遺伝背景にpan-ethnicなものと黒人/モンゴロイドに特異な遺伝背景があり、それぞれの疾患単位をつくっていると思われる。一方、HTLV-IIキャリアの検体はコロンビア・オリノコ川流域の先住民グアヒボ族から採取された。そのHLAハプロタイプはDRB1*DQB1*1402-0302,1602-0301,0404-0302であり、上記のHTLV-Iキャリアと患者のHLAとは全くことなる遺伝背景をしめした。すなわち、HTLV-IとHTLV-IIお感染には民族の相互排他性がみとめられ、ウスルスと宿主の自然選択がおこっているが明らかになった。他方、ATLとHAM/TSPは同一種のHTLV-Iでおこるとされてきたが、両者の遺伝背景は異なりる。今回の研究でも、黒人ATLとHAM/TSPとモンゴロイドのそれらとはHLAハブロタイプに差異が認められた。すなわち、黒人の遺伝系統とモンゴロイド(日本人をふくむ)の遺伝系統があり、それぞれの疾病要因となっていることが明らかにされた。したがって、民族に特異的なHLAと共通なHLAの遺伝的多型を追求すれば、ATLとHAM/TSPの発症にかかわる宿主遺伝子の実体が明らかなるとおもわれる。
著者
三浦 敬子 松井 幸子
出版者
日本図書館情報学会
雑誌
日本図書館情報学会誌 (ISSN:13448668)
巻号頁・発行日
vol.47, no.1, pp.29-41, 2001-08-31
被引用文献数
1

典拠コントロールは, 目録データベースの構築と検索において, 著者名や件名の典拠形の維持管理と, 重複レコードや検索もれの防止などに必須の機能である。典拠コントロールを行うには, 典拠レコードを収録した典拠ファイルが必要であり, 著者名典拠ファイルについては, 国際的な共同作成が行われている。本稿では, 欧米における著者名典拠ファイルの共同作成の動向を調査し, NACO(Name Authority Cooperative)Program, the AAAF(Anglo-American Authority File)Project, およびProject AUTHORを紹介した。さらに, 典拠ファイルの国際的共有に向けた典拠フォーマットの標準化の動向について, 北米のMARC典拠フォーマットの開発と発展, およびIFLAの典拠関連の活動を紹介した。
著者
伏見 正則 田口 東 大山 達雄 腰塚 武志 三浦 英俊 栗田 治
出版者
南山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1999

1.都市の平面交通に関する数理的研究:東京都のような放射・環状道路網を有する都市,あるいは札幌や京都のような直交格子状道路網を有する都市において、通勤や物資の輸送等のために生ずる交通量について、種々の特性を数理的に求め、それに基づいて、渋滞を避けるために必要な道路面積、就業地域と住宅地域の最適な配分等についての知見を得た。また、東京都を例にとって、実際のデータと理論の整合性についても検討した。2.都市の高層ビルにおける移動時間の分析と、ビルの効率的面積配分に関する研究:高層ビル内の移動に関して重要な役割を果たすエレベータとエスカレータに関して,適切な役割分担、ゾーニング方式の最適設計、移動に必要な部分の面積とオフイスに使える面積を考慮したビルの最適形状等について数理的な検討を行った。また、ビル間の移動に要する時間を考慮した場合に、交通路と居住地をどのように配分するのが適切かについても数理的に論じた。さらに、新宿の高層ビル群で移動に要する時間の実地調査を行い、数理的なモデルの妥当性を検証するためのデータを得た。3.都市間交通網の評価:道路網あるいは鉄道網による都市の結びつきの強さをグラフ理論を使って評価する方法を検討し、それを使って、北海道の道路網およびユーラシア鉄道網の評価を行った。このような研究は、新線建設の重要度評価などのために有用であると考えられる。4.公共施設の最適配置:高額な高度医療機器や老人福祉医療施設などの公共施設の配置に関する地域間格差を調査し、それに基づいて、施設を適正に配置するための数理的手法について検討を行った。
著者
八木 英樹 佐野 琢哉 プルームウォンロート タノーム 三浦 幸治 大平 和哉 丸山 武男 ハク アニスル 荒井 滋久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. LQE, レーザ・量子エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.162, pp.1-6, 2004-06-25
参考文献数
20

電子ビーム露光法とCH_4/H_2反応性イオンエッチング、及び有機金属気相成長法による埋め込み再成長を用いることにより、狭細線構造(細線幅:14nm、周期:80nm)を有するGaInAsP/InP歪補償5層量子細線レーザを実現した。自然放出光スペクトルの測定と理論解析との比較により、そのスペクトルが高エネルギー側において量子薄膜レーザよりも急峻に変化するのは、キャリヤの横方向量子閉じ込め効果に起因していることを明らかにした。さらに、量子細線レーザの低しきい値電流動作のために、反射鏡損失の低減に着目して、SiO_2/伴導体反射鏡を有する量子細線レーザを作製した。その結果、同一基板上に作製した量子薄膜レーザよりも低いしきい値電流密度、及び室温基底準位発振を達成した。
著者
八木 英樹 佐野 琢哉 プルームウォンロート タノーム 三浦 幸治 大平 和哉 丸山 武男 ハク アニスル 荒井 滋久
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. OPE, 光エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.161, pp.1-6, 2004-06-25
参考文献数
20

電子ビーム露光法とCH_4/H_2反応性イオンエッチング、及び有機金属気相成長法による埋め込み再成長を用いることにより、狭細線構造(細線幅:14nm、周期:80nm)を有するGaInAsP/InP歪補償5層量子細線レーザを実現した。自然放出光スペクトルの測定と理論解析との比較により、そのスペクトルが高エネルギー側において量子薄膜レーザよりも急峻に変化するのは、キャリヤの横方向量子閉じ込め効果に起因していることを明らかにした。さらに、量子細線レーザの低しきい値電流動作のために、反射鏡損失の低減に着目して、SiO_2/伴導体反射鏡を有する量子細線レーザを作製した。その結果、同一基板上に作製した量子薄膜レーザよりも低いしきい値電流密度、及び室温基底準位発振を達成した。
著者
三浦 泰之
出版者
北海道開拓記念館
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究課題では、近世中後期から近世近代移行期における北海道・東北・北陸(以下、北日本と呼ぶ)の各地域で行われた芸能興行について基礎的なデータを集積し、芸能者・芸能集団の移動とそれぞれの地域における興行主の動向や存在形態及び興行主間のネットワークに着目することで、当該期の北日本に展開した芸能興行をめぐる政治的・社会的・文化的な状況を明らかにすることを目的としている。本年度は、前年度までの調査で重要性を把握した青森県内に重点を置いて調査を進めた。具体的な内容は以下の通りである。1、前年度に引き続いて、弘前藩庁の日記である『弘前藩御国日記』(弘前市立弘前図書館所蔵)の記載から、弘前藩領内における芸能興行に関わる内容を抽出し、データベース化を実施した。具体的には、城下町弘前や青森・鰺ケ沢などの地方都市における芸能興行の実態や興行主の動向、弘前藩領を往来した、松前・秋田・仙台・江戸・大坂などに出自をもつ旅芸人の存在形態を具体的に示す史料を収集した。同日記は、寛文元年(1661)から元治元年(1864)の間、全3300冊余が残されているが、芸能興行に関わる主な記事は抽出することが出来たと考えている。2、青森県立図書館所蔵の菊池家文書(南部藩の給人で代々、下北半島の田名部代官所下役)と西谷家文書(弘前藩の支藩、黒石藩領内の商人)の調査も行い、芸能興行に関わる記述を抽出した。今後は、本研究課題で集積した史料をもとに、松前・蝦夷地に視座を置きつつ、当該期の北日本社会における芸能興行の様相、北日本社会を往来した芸能者・芸能集団の動向、興行主間のネットワークなどについて考察を深め、北日本社会の構造や文化的特質の解明を進めていきたいと考えている。