著者
小出 圭 加藤 良隆 清光 六郎 三浦 義夫 岡本 太郎 則行 敏生 岩本 俊之
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.23, no.12, pp.2828-2832, 1990-12-01
被引用文献数
2

原発性小腸癌は, 比較的まれな疾患であるが, われわれは最近2手術症例を経験したので報告する. 症例1は59歳男性, イレウス症状で発症, CA19-9 の高値および, 小腸造影で Tretz 靱帯より 10cm 肛側で全周性の狭窄を認めた. 腫瘍は同部の空腸にあり, 空腸および回腸の腸間膜付着部側に動脈血行性転移と思われる小病巣を多発性に認めた. 原発巣を含む空腸部分切除を行いえた. 術後1年5ヶ月で死亡した. 症例2は53歳女性, 約6ヶ月間心窩部痛, 悪心, 嘔気が続き, イレウス症状が出現, 小腸造影で空腸末端付近で閉塞を認めた. 腫瘍は Tretz 靱帯より 30cm 肛側の空腸にあり, napkin ring constriction を認め, 腹膜播種もあった. 空腸部分切除を行った. 術後1年11ヶ月で死亡した.
著者
松村 友視 五味渕 典嗣 杉野 元子 紅野 謙介 浅岡 邦雄 杉野 元子 紅野 謙介 浅岡 邦雄 高 榮蘭 小向 和誠 黒田 俊太郎 和泉 司 三浦 卓 大澤 聡 尾崎 名津子 柴野 京子 高島 健一郎 戸家 誠
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

慶應義塾大学三田メディアセンターに寄贈された改造社関係資料の整理・調査を行い、同資料のデジタル・アーカイヴ化に貢献した。また、近現代の日本文学・中国文学・メディア史・思想史を専攻する研究者による共同研究プロジェクトを立ち上げ、改造社にかかわる実証的な研究を行う他、20世紀の前半期に日本語の雑誌や書籍が、列島の「外」において、どのように受容され、どんな作用を及ぼしていたかを明らかにした。
著者
小谷 賢太郎 堀井 健 三浦 敏弘
出版者
関西大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2005

本研究は,ヒトの触覚の感覚特性を明らかにするために,空気圧制御による圧力刺激呈示システムを製作し,ヒトの手が知覚可能な最小の力の変化量を調べることを目的とするものであった.初年度は実験装置の作成から開始した.作成した実験装置は,エアコンプレッサからノズルまでの空気圧の流路と,空気圧の出力を制御するコントローラやスイッチ等の電気回路から構成される空気圧提示装置である.校正実験の結果,本装置により0.5gfまで小さな噴流出力を制御することが可能となった.そこで,示指先端に加わる力に対して,標準刺激を変化させたときの弁別閾の特性を調べるため,心理物理学的実験を行った.実験の結果,標準刺激が4.0〜7.0gfの範囲では,標準刺激が変化しても,Weber比は約0.1程度で一定であり,4.0〜2.0gfの範囲では標準刺激が減少するに伴って,Weber比が増加していることがわかった.2年目は構築した空気圧提示装置を用いて,刺激の立ち上がり時間を変化させた場合における力の弁別閾変化の傾向を調べることを目的として実験を行った.実験は標準刺激2秒提示,無刺激インターバル3秒,比較刺激2秒提示,無刺激回答時間7秒を1試行として,無刺激時間7秒の間に,被験者には「大きい」,「小さい」,「同じ」のいずれかを感じたかを回答してもらった.その結果,刺激の立ち上がり時間を長くするとWeber比と弁別閾は増加する傾向が見られた.また,Weber比は本実験での各刺激の立ち上がり時間において0.1程度に収束することが分かった.これは,昨年度の標準刺激4.0〜7.0gfの傾向と同様であった.また,初年度の結果では刺激の立ち上がり時間を0.3secと設定していたことから,この実験における刺激の立ち上がり時間0.3secの実験結果と比較すると約0.2の違いがあるが,これは提示時間の影響によることがわかった.

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著者
服部 淳 石原 昭 山口 繁 藤村 光夫 市川 博 堺 裕 藤倉 一郎 飯田 良直 乃木 道夫 三浦 勇 佐野 鎌田郎 臼田 多佳夫 外山 香澄
出版者
東京女子医科大学学会
雑誌
東京女子医科大学雑誌 (ISSN:00409022)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.151-151, 1963-04-25

第118回東京女子医科大学学会例会 昭和38年2月22日(金) 東京女子医大病院第一臨床講堂
著者
外岡 豊 三浦 秀一
出版者
一般社団法人日本建築学会
雑誌
学術講演梗概集. D-1, 環境工学I, 室内音響・音環境, 騒音・固体音, 環境振動, 光・色, 給排水・水環境, 都市設備・環境管理, 環境心理生理, 環境設計, 電磁環境 (ISSN:13414496)
巻号頁・発行日
vol.2002, pp.1021-1022, 2002-06-30

COP 3から5年、今秋ヨハネスブルグで開催されるリオ+10での京都議定書発効をめざして日本政府も6月初旬の批准が予定されている。その削減目標90年比6%削減を達成するための国内対策実行計画として2002年2月19日日本政府は4年ぶりに改訂された地球温暖化対策推進大綱 (新大綱) を発表した1)。2010年の温室効果ガス排出量は従来対策だけでは90年比7%増大と予測、追加対策による13%削減が必要とした。国内CO2排出量は90年比±ゼロ%とし、産業-7%、民生-2%、交通+17%、代替フロン+2%とした。民生部門の90年比-2%は1999年比-13%に相当する。筆者等はかねてから日本の民生部門温室効果ガス排出実態解析と対策検討2)〜6) を行って来たが本報告では住宅でのCO2排出削減対策に対象を絞って削減可能性を評価する。
著者
荒川 泰彦 三浦 登 濱口 智尋 三浦 登 冷水 佐尋 難波 進 池上 徹彦 荒川 泰彦 森 伸也
出版者
東京大学
雑誌
特定領域研究
巻号頁・発行日
1999

本特定領域研究プロジェクトは、日英の優れた材料開発、特徴ある測定手段、理論グループの支援を総合的に融合して、ナノ構造デバイスに関する物理的基礎研究の飛躍的進展を図り、これを背景に次世代の光・電子デバイスの可能性を提示することを目的として、1999年から5年計画で日英の相互交流、共同研究を主眼として遂行された。わが国と英国のこの分野における第一線の研究者が重要な知見を挙げ、プロジェクトとしての成果を十分達成した。本年度は、5年間の研究の総括を行うために、ナノ物理およびナノエレクトロニクスに関する日英国際シンポジウムをわが国で開催することを活動の主眼とした。総括班メンバーは、領域代表者および計画研究代表者からなる。なお、三浦、濱口は、プロジェクト実施期間中にそれぞれ東京大学と大阪大学を定年になったため、荒川および冷水に交代している。具体的には、これまでの研究活動の総括として、ナノ物理・ナノエレクトロニクスに関する日英国際シンポジウムを、【日英ナノテクノロジーシンポジウム-物理から情報素子およびバイオまで-】として、平成17年3月16日(水)に東京虎ノ門パストラルで開催した。この会議では、英国のこの分野における主要メンバーを招聘するとともに、わが国の第一線の研究者である特定領域メンバーが中心となりプログラムを構成した。講演者は、L.Eaves教授(University of Nottingham)、安藤恒也教授(東京工業大学)、D.A.Williams博士(Hitachi Cambridge Laboratory)、M.Skolnick教授(University of Sheffield)、荒川泰彦教授(東京大学)、J.M.Chamberlain教授(University of Durham)、原田慶恵室長(東京都臨床医学総合研究所)であった。また若手研究者によるポスター発表も行われた。有意義な情報交換を行うとともに、日英研究協力の将来の発展に向けて討論が行われた。
著者
三浦 哉
出版者
徳島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2008

本研究では若年者の動脈機能と身体活動量との関係を明らかにするために,10歳代の男子高校生おおび大学生を対象に血管拡張反応検査,血圧,身体活動量計によるエネルギー消費量などを測定した.多変量解析の結果,血管内皮機能には身体活動量が有意な正の影響を,収縮期血圧,年齢がそれぞれ有意な負の影響を与えることが明らかになった.したがって,若年者における身体活動量の増加は優れた血管内皮機能の維持に貢献することが示された.
著者
三浦 豐子
出版者
日本幼稚園協會
雑誌
幼兒の教育
巻号頁・発行日
vol.38, no.2, pp.56-57, 1938-02
著者
速水 正憲 井戸 栄治 三浦 智行 ZEKENG Leopo MUBARAK Osei ALLAN Dixon ROBERT Chegg
出版者
京都大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1993

1.エイズ関連ウイルスについては、これまでにHIV-1及びHIV-2がヒトから、SIVがアフリカの数種のサルから分離され、また、遺伝子解析からそれらの相互関係が明らかにされてきた。現在では、エイズウイルスがアフリカに由来することは、ほぼ定説となっている。従って、エイズウイルスの起源と進化を理解する上で、アフリカにおける調査は不可欠である。特に、この3年間は、中央アフリカのカメルーンにおける調査を開始、展開することができた。特にこの地域では、非常に変異したHIV-1のO型を初めとして、種々のHIVが混在していることから、重感染とリコンビネーションの存在を確認することをも目的とした。2.カメルーンの首都にある、ヤウンデ大学附属病院を中心に、西部のドゥアラなど都市部にある血液センターでスクリーニングによりHIV陽性となった検体や、東南部や北東部の地方都市において症状からHIV感染が疑われる患者から、また、南東部のピグミー人から、約300検体の血液を採取した。約300検体の血清についてPA法によるスクリーニングの後、WB法、IFA法による確認試験およびHIV1型・2型の鑑別を行った。血清学的にHIV感染が疑われた血液中のリンパ球を用いて、ウイルスのpol遺伝子インテグラーゼ領域とenv遺伝子V3領域をnested PCRで増幅し、それらの塩基配列の分子系統解析を行った。3.pol遺伝子とenv遺伝子による分子系統解析の結果、カメルーンには、HIV-1groupMのcladeA(70%)を初めとして、B、C、D、E、Fの各cladeとO型も少なからず存在(7%)した。またHIV-2も1例であるが検出した。特に、同一患者から2種類のsubtypeのウイルスゲノムが見つかる重感染は、47例中4例(それぞれHIV-2aとHIV-1cladeA、HIV-1groupOとcladeA、HIV-1clodeAとcladeC、HIV-1cladeCとHIV-1cladeF)でみられた。また、pol遺伝子とenv遺伝子の解析結果から、属するsubtypeが互いに異なる、リコンビネーションと考えられる症例が2例みられた。4.カルメーンのように種々のHIV分子種の存在する地域において、HIVにおける重感染が、HIV-2とHIV-1間、HIV-1groupOとHIV-1groupM間、HIV-1groupMの各subtype間を問わず起こりうることが示された。おそらく、同一のclade内での重感染も容易に起こりうるものと考えられる。このことは、ほぼ単一のcladeBを中心とする、我が国における重感染を考えて行く上での新しい知見となりうる。また、重感染あるいはその結果としてのリコンビネーションは、調査した全検体中10%前後(6/47例)という少なからぬ頻度で起こっていることが示された。HIVの分子進化については、従来容易に起こりうる変異の積み重ねによるものと考えられていたが、加えて、リコンビネーションがウイルスの生き残り戦略の一つとして果たしてきた役割も考える必要がある。以上の結果は、HIVの起源と進化を解析するうえでの、新しいアプローチになりうる。また、このことは、HIV感染と免疫に関して、従来の理解を改める必要性を提起するものであり、今後、ワクチン開発を始めとしてHIV対策を考えて行く上で、重要な基礎情報となるものである。
著者
三浦 宏文 小松 督 飯倉 省一 下山 勲 TADASHI Komatsu
出版者
東京大学
雑誌
試験研究(B)
巻号頁・発行日
1992

本研究は,宇宙機(宇宙ロボット,人工衛星など)の姿勢制御に関するものである.平成4年度は微小重力を模擬するために,剛体を6自由度で支える実験機構を設計し,作成した.平成5年度は主に垂直成分の微小重力模擬装置の制御について詳細な研究を行った.これまでは,微小重力を3次元的に模擬するのは難しいので,空気軸受けなどで2次元的な支持装置を作って実験するのが普通であった.そこで,本研究では,特別の創意工夫によって,3次元的に空中に浮遊する物体の模擬装置を開発した.姿勢についてはジンバルによって3方向に自由に,重心周りに回転できるような構造にし,重心の移動に関しては,水平方向には空気軸受けによって2次元の自由度を与え,垂直方向にはカウンタバランスを備えること(平成4年度)、およびロードセルを備えて加速度を検出してフィードバックをかけること(平成5年度)で重さをキャンセルした.空気軸受けのための空気は,ボンベを装置に搭載することによってチュウブによる外乱を防いだ.宇宙機の姿勢制御には,本研究ではまったく新しい方法を提案しようとしている.それは,宇宙機を複数個に分割し,それらをユニバーサルジョイントで結合し,このジョイントには内力が発生できるようなアクチュエータが備えられていて,相対運動を引き起こすことによって全体の姿勢を制御しようというものである.平成4年度は、おもにこの研究を行い、最終年の平成5年度はロードセルによる微小重力制御系についてのより実用を目指した研究を行い理論と実験の良い一致を見た.
著者
近藤 良久 鈴木 龍太郎 吉村 直子 寺田 岳大 山口 真司 四方 博之 三浦 龍 小花 貞夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SAT, 衛星通信 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.174, pp.69-74, 2010-08-19

地震等の大規模災害発生時,超高速インターネット衛星「きずな」(WINDS)の車載局やVSATを被災地域に設置し,無線メッシュネットワークによって地上に面的な通信エリアを確保することで,迅速に仮設のネットワークを展開することができ,被災地での活動を支援することができる.本稿では,被災地での利用に対する要望の多い,IP電話通話といったリアルタイム性の要求の高いアプリケーションの被災地での利用について,実際にWINDSと無線メッシュネットワークを接続した導通試験を行ない,検証を行なったので報告する.また,無線メッシュネットワークを長期間運用するための電源の問題についても,実験を通した検証を行った.
著者
三浦 憲二郎
出版者
公益社団法人精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.58, no.12, pp.2001-2006, 1992-12-05

This paper introduces a new type of free-form patches named rational boundary C^2 Gregory patch. It can be said an extension of C^2 Gregory patch developed by Miura and Wang, which gives users the capability of designing curvature-continuous surfaces (G^2 continous surfaces) with reasonable flexibilities, and also that of rational boundary Gregory patch proposed by Chiyokura et al., which is surrounded by rational Bezier curves and can be interpolated with the continuity of tangent planes (G^1 continuity). As the name of the patch implies, its boundary consists of rational Bezier curves. Its derivation is explained and methods for G^2 continuity are proposed to connect it with a rational Bezier patch and with another RBC^2G patch. Finally, a G^2 continuous interpolation method based upon such patches is discussed.
著者
三浦憲二郎 王國金
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.34, no.3, pp.436-446, 1993-03-15
被引用文献数
1

C2Gregoryパッチは,曲率が連続となる曲面を生成する目的でMiuraらによって開発された自由曲面表現式である。Gregoryパッチの部分領域がGregoryパッチで表せないのと同様、C2Gregoryパッチの部分領域もC2Gregoryパッチにならず、分割法によってパッチと直線やパッチと平面、パッチ同士の交点、交線等を算出することができない。そこで本研究では、それらのパッチの部分領域に対する境界額を提案し、それを用いてパッチと直線との交点を算出する薪しいアルゴリズムGregoryクリッピングを開発した。その応用例としてC2Gregoryパッチに対してレイトレーシングを行い本研究で提案した境界箱の有効性を示した。
著者
大月 康弘 加藤 博 坂内 徳明 中島 由美 齊藤 寛海 立石 博高 長澤 栄治 大稔 哲也 三沢 伸生 亀長 洋子 堀井 優 竹中 克行 松木 栄三 三浦 徹 栗原 尚子 臼杵 陽 勝田 由美 黒木 英充 堀内 正樹 岩崎 えり奈 青山 弘之 飯田 巳貴
出版者
一橋大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2008

地中海世界の歴史において人びとの活動の重要拠点となった「島嶼」に注目し、自然・生態環境に規定された人々の生活・経済空間としてのマイクロエコロジー圏、および当該マイクロエコロジー圏が対外世界と切り結んだ経済社会ネットワークの構造分析を行った。政治的、人為的に設定され認知されてきた「地域」「海域」概念、および歴史的統一体としての地中海世界の存在論にも批判的検討を加えた。
著者
石川 玲 香川 幸次郎 伊藤 和夫 小野 洋一 伊藤 日出男 対馬 均 進藤 伸一 菅原 正信 三浦 孝雄
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.15, no.5, pp.433-438, 1988-09-10

寒冷や積雪が在宅脳卒中後遺症者の生活に及ぼす影響について検討するために, 青森県内2ヶ町村の在宅脳卒中後遺症者115名を対象に実態調査を行った。更に3年後39名について追跡調査を実施し, 以下の結果を得た。(1)非積雪期の生活で何等かの訴えを有する者は18%であったが, 積雪期では60%以上の者が訴えを有していた。(2)非積雪期の訴えは夏ばてや付添い者の多忙により通院できない等訴えの内容が多岐にわたっていたが, 積雪期では外出の制限や身体症状の増悪に関することに集中していた。(3)非積雪期での主な外出先は医療機関, 福祉・保健センター, 友人宅, 散歩であり, 積雪期では友人宅や散歩に出かける者が減少する反面, 医療機関や福祉・保健センターに出かける者の数は減少していなかった。寒冷や積雪は対象者の生活に多大な影響を及ぼしているが, 冬の外出は自己の行為に対する意味づけの軽重に規定されると考えられた。
著者
山田 利明 三浦 国雄 堀池 信夫 福井 文雅 舘野 正美 坂出 祥伸 前田 繁樹
出版者
東洋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1991

平成3・4年度にわたる研究活動は、主に分担課題に対しての研究発表と、提出された資料の分折・カード化などを行い、分担者全員にそれらのコピーを送付して、更なる研究の深化を図った。それぞれの分担者による成果について記すと、山田は、フランスにおける道教研究の手法について、宗教研究と哲学研究の2方法とに分けて論じ、坂出は、フランスの外交官モーリス・クランの漠籍目録によって、フランスの中国宗教研究の歴史を論じ、舘野は、道家思想にあらわれた時空論のヨーロッパ的解釈を論じ、田中は、中国仏教思想のフランスにおける研究法を分折し、福井は、フランス所在の漠籍文献の蔵所とその内容を明らかにし、さらに、堀池は近安フランスの哲学者の中にある中国思想・宗教の解釈がいかなるものかを分折し、前田は、フランスの宗教学者による宗教研究の方法論を論じ、三浦は、フランスのインド学者フェリオザのヨーガ理解を分折し、宮沢は、フランス発行の『宗教大事典』によって、フランスにおける中国宗教研究の理解を論じた。以上の所論は『成果報告書』に詳しいが、総体的にいえば、フランスの東洋学が宗教に着目したのは、それを社会現象として捉えようとする学問方法から発している。二十世紀初頭からの科学的・論理的学設の展開の中で、多くの研究分野を総合化した形態で中国研究が発達したことが、こうした方法論の基盤となるが、それはまた中国研究の視野の拡大でもあった。本研究は、フランスの中国宗教研究を、以上のように位置づけてみた。つまり、フランスにおける中国宗教の研究についての観点が多岐にわたるのは、その研究法の多様性にあるが、しかしその基盤的な立脚点はいずれも、社会との接点を求めようとするところにある。
著者
神林 恒道 渡辺 裕 上倉 庸敬 大橋 良介 三浦 信一郎 森谷 宇一 木村 和実 高梨 友宏
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1995

この「三つの世紀末」という基盤研究のタイトルから連想されるのは、十九世紀末の、いわゆる「世紀末」と呼ばれた時代の暗く停滞したム-ドかもしれない。われわれはいままさに「二十世紀末」を生きている。そこからややもすれば「世紀末」という言葉に引きずられて、われわれの時代をこれと同調させてしまうところがあるのではなかろうか。しかしまた実際に、六十年代頃から現在に及ぶ芸術の動きを見やるとき、そこには芸術それ自体としてもはや新たなものは生み出しえない一種の先詰まりの状況が指摘されもする。といってかつての「世紀末」のような暗さはあまり感じられない。ダント-の「プル-ラリズム」、つまり「何でもあり」という言葉が端的に示すように、その気分は案外あっけらかんとしたものだと言えなくもない。今日の「何でもあり」の情況の反対の極に位置づけられるものが、かつて「ポスト・モダン」という視点から反省的に眺められた「芸術のモダニズム」の展開であろう。ところで「ポスト・モダン」という言い方は、いってみれば形容矛盾である。なぜならばmodernの本来の語義であるmodoとは、「現在、ただ今」を意味するものだからである。形容矛盾でないとすれば、この言葉のよって立つ視点は、「モダン(近代)」を過ぎ去ったひとつの歴史的時代として捉えているということになる。それでは過去にさかのぼって、いったいどこに「芸術における近代」の始まりなり起点を求めたらよいのだろうか。そこから浮かび上がってくるのが、「十八世紀末」のロマン主義と呼ばれた芸術の動向である。ロマン主義者たちが掲げた理念として、「新しい神話」の創造というものがある。そこにはエポックメイキングな時代として自覚された「近代」に相応しい芸術の創造へ向けての期待が込められている。この時代の気分は、「世紀末」の暗さとは対照的であるとも言える。つまりこの「三つの世紀末」という比較研究を貫く全体的テーマは、「芸術における近代」」の意味の問い直しにあったのである。
著者
三浦 佳子
雑誌
高分子 (ISSN:04541138)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.410-411, 2010-06-01
著者
笹木 義友 佐々木 利和 山田 哲好 三浦 泰之 東 俊佑 松本 あづさ 山本 命
出版者
北海道開拓記念館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、近世後期から近代初期にかけて、尊王攘夷派の志士、蝦夷地の〈探検家〉、書籍や地図の出版者、情報屋、書画骨董類の収集家などとして、さまざまな活動を行った松浦武四郎に焦点を当て、当該期における知識人ネットワークの具体的な様相について明らかにした。また、今後の松浦武四郎研究の新たな展開に向けての基礎資料として、松浦武四郎関係資料(特に松浦武四郎関係書簡)のデータベースを作成した。
著者
中村 生雄 岡部 隆志 佐藤 宏之 原田 信男 三浦 佑之 六車 由実 田口 洋美 松井 章 永松 敦
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

本研究では、日本および隣接東アジア地域の狩猟民俗と動物供犠の幅広い事例収集を通じて、西洋近代率会において形成された「供犠」概念の相対化と批判的克服を行ない、東アジアにおける人と自然の対抗・親和の諸関係を明らかにすることを目的とした。言うまでもなく、狩猟と供犠は人が自然にたいして行なう暴力的な介入とその儀礼的な代償行為として人類史に普遍的であるが、その発現形態は環境・生業・宗教の相違にしたがって各様であり、今回はその課題を、北海道の擦文・オホーツク・アイヌ各文化における自然利用の考察、飛騨地方の熊猟の事例研究、沖縄におけるシマクサラシやハマエーグトゥといった動物供犠儀礼の実地調査などのほか、東アジアでの関連諸事例として、台湾・プユマ(卑南)族のハラアバカイ行事(邪気を払う行事)と猿刺し祭、中国雲南省弥勒県イ族の火祭の調査をとおして追求した。その結果明らかになったことは、日本本土においては古代の「供犠の文化」が急速に抑圧されて「供養の文化」に置き換わっていったのにたいして、沖縄および東アジアの諸地域においては一連の祭祀や儀礼のなかに「供犠の文化」の要素と「供養の文化」の要素とが並存したり融合して存在する事例が一般的であることであった。そして後者の理由としては、東アジアにおけるdomesticationのプロセスが西南アジアのそれに比して不徹底であったという事実に加え、成立宗教である仏教・儒教の死者祭祀儀礼や祖先観念が東アジアでは地域ごとに一様でない影響を及ぼし、そのため自己完結的な霊魂観や死後イメージが形成されにくかった点が明らかになった。またく狩猟民俗と動物供犠とに共通する「殺し」と「血」の倫理学的・象徴論的な解明、さらには、人間と自然とが出会うとき不可避的に出現する「暴力」の多面的な検証が不可欠であることが改めて確認された。