著者
三浦 利章
出版者
大阪大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1989

〔目的および経緯〕当研究は、我国の生産現場性の急速な省力化、自動化のなかでの技能の変化を鑑み、自動化の困難な人間固有の高度な作業技能の特質を明らかにすることを目的とした。初年度には、文献的調査と生産現場視察を行ない、ビ-ル生産工場での最終検ビン作業に焦点を絞り込み、予備実験を行なった。次年度には、初年度の成果に基づいて、検ビン作業時の眼球運動を記録・解析した。具体的には、NACIV型で測定し、ビデオレコ-ダ-で記録、解析した。〔主な結果〕調査と視察の結果、最終工程に行われる検ビン作業は、幾種もの微妙な傷や不純物をほとんど見逃すともなく高速に行なうというきめて高度な技能が要求されるものであり、それゆえに、当面自動化が困難で、同時に作業者の精神的疲労はきわめて大きいVIGILANCE TASKであることが明らかになった。このような高度な技能を支えている作業者の資格情報獲得・処理機構は、以下の特質を持っていることが眼球運動実験から明らかになった。1.検ビン作業時の平均注視時間は約175msecというきめて短いものであり、読書時や通常の視覚探索課題での注視時間の約半分という、一般の作業時からは想像されないような高速の視覚走査が行われていることが明らかになった。人間の眼球運動能力の限界での作業が行われているのである。2.このような超高速視覚検査(探索)を可能としている重要な処理機構として、下記の二点を考えなければならない。その一つは、高度な検査技能を獲得した作業者は技能未獲得者よりもずっと広い有効視野を形成、保持していることである。すなわち、きわめて微妙な不良の微候を処理しうる広い有効視野の働きである。いま一点は、運動する微妙なキズを周辺視野で高感度に捉えていることである。故に、3.ポイントは有効視野での微妙な検出機構(PATTERN MATCHING)と、それをさらに支えるの運動成分対象(A FACILITATORY MOTION FACTOR)と言える。ここに得られた結果は、基礎研究上では、人間の高度な視覚技能の解明の糸口を与えたものであると同時に、応用的側面としては、検査作業時の疲労の解明に示唆を与え、また、このような検査作業の自動化にも示唆を与えた貴重なものである。
著者
三浦 裕正 中西 義孝
出版者
愛媛大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

関節鏡手技の詳細な技能分析に基づいて、基本タスクを網羅した Box Training を開発した。さらに、磁気式三次元位置計測装置や力覚センサーなどの定量的評価法を開発・導入し、訓練者へフィードバック可能なシステムを構築した。同時に Virtual Realityによるシミュレーションや実体モデルの開発にも取り組み、効率的な手術トレーニング環境の効率化を図ると共に、学内でのトレーニングセミナーを実施し、低侵襲手術のための教育研究拠点を形成した。
著者
三浦 太郎 根本 彰
出版者
東京大学大学院教育学研究科
雑誌
東京大学大学院教育学研究科紀要 (ISSN:13421050)
巻号頁・発行日
vol.41, pp.475-489, 2001

Before the WWII, there were few educational institutions of library science in Japan. During the Allied occupation period, some library training courses were held, ex. at Doshisha and Kyoto Universities, but they were on the lines of the pre-war framework, stressing on how to administrate a library. In 1948,Robert B. Downs suggested to establish a library institution at the University of Tokyo, in vain. Then in 1950,GHQ/SCAP began a program of establishing Japan Library School (JLS) with support of ALA, in order to train professional Japanese librarians. This represents a shift of occupational library policy from reformation as a whole to specification to library training. Robert L. Gitler, the director of JLS, chose Keio University, favoring its westernized philosophy. With financial support of Rockefeller Foundation, JLS went into orbit. There held Americanized library curriculum, laying stress on understanding of library's role in society as well as technical methods. It joined Japanese and American librarianship.
著者
三浦 祥治
巻号頁・発行日
2011-03

Supervisor: Ho Bao TU
著者
石川 達也 三浦 清一 横濱 勝司 亀山 修一 川端 伸一郎 小野 丘 安倍 隆二 関根 悦夫 八谷 好高
出版者
北海道大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では、凍結融解作用を受ける粒状路盤の力学特性の試験方法を提案するとともに、凍結時及び凍結融解後の粒状路盤の力学挙動を把握し、舗装構造の理論的設計方法を用いて、凍結融解に伴う粒状路盤の性能変化が道路舗装の疲労寿命に及ぼす影響を検討した。この結果、粒状路盤が凍結融解作用を受けた場合、支持力特性のような力学的な性能が変化し、疲労寿命のような走行路構造の長期性能に強く影響を及ぼすことを明らかにした。
著者
三浦 高志 板垣 史彦 村上 聡 川島 深雪
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D-II, 情報・システム, II-パターン処理 (ISSN:09151923)
巻号頁・発行日
vol.82, no.11, pp.2169-2174, 1999-11-25
被引用文献数
7

本論文は適応的直交変換を併用したLIFS符号化の問題点を指摘し,その改良法を提案する.これによって,同方式の符号化効率を劣化させることなく,エンコーダ及びデコーダの算術演算回数を減ずることができる.同時に,同方式において縮小変換の役割は極めて小さいことを指摘する.
著者
大野 剛 村松 康行 三浦 吉則 織田 和優 稲川 直也 小川 宏 山崎 敦子 小林 智之 二階堂 英行 佐藤 睦人 加藤 義明
出版者
一般社団法人日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集 2011年度日本地球化学会第58回年会講演要旨集
巻号頁・発行日
pp.68, 2011 (Released:2011-09-01)

福島第一原子力発電所から放出された放射性セシウム及びヨウ素の土壌深部への移行実態を明らかにすることは、放射性物質の農作物への移行を調べる上で重要である。本研究では、土壌特性の異なる水田、畑地、果樹園、森林において放射性セシウム及びヨウ素の深度分布を調べた。すべての試料において表層から6cmまでに90%以上の放射性セシウムが存在していることが分かった。畑、果樹園、森林の表層試料(0-2cm)には試料間に大きなばらつきは見られなかったが、水田試料には10倍以上の違いが見られた。また深部への移行は畑試料で大きく、水田試料で小さい傾向が見られた。これは畑土壌に比べ水田土壌の透水性が低いため土壌表面で水平方向の移動が大きくなったことを反映したものと考えられる。
著者
高見 徹 丸山 俊朗 鈴木 祥広 三浦 昭雄
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.22, no.1, pp.29-34, 1999-01-10 (Released:2008-01-22)
参考文献数
22
被引用文献数
1

In the short-term bioassay using Porphyra yezoensis conchospores, it is basically important to clarify the most appropriate exposure period and end point to evaluate the effects of toxicants on the growth of Porphyra yezoensis conchospores. In this study, short-term bioassays (120 hours) were conducted on copper (Cu) and monochloramine (NH2Cl), which have different chemical characteristics. Three kinds of end points (survival ratio, germination ratio and growth ratio) at exposure periods every 24 hours were compared to define the most appropriate exposure period and end point.The minimum LOECs (lowest-observed-effect concentration) for Cu occurred at exposure period of 96 hours in the three kinds of end points. The 96-h LOECs from the survival ratio, the germination ratio and the growth ratio were 0.046 ± 0.026mg Cu·l-1 (n=5), 0.033 ± 0.027mg Cu·l-1 (n=5), 0.021 ± 0.019mg Cu·l-1 (n=5), respectively. The minimum LOECs for NH2Cl occurred at exposure period of 96 hours in the survival ratio and the growth ratio of 0.093 ± 0.026mg Cl2·l-1 (n=5) and 0.038 ± 0.016mg Cl2·l-1 (n=5), respectively. The minimum LOEC (0.036 ± 0.000mg Cl2·l-1, n=5) for NH2Cl from the germination ratio occurred at the exposure period of 48 hours.Therefore, taking into account of the simplicity of bioassay and its sensitivity to toxicants, it is concluded that the most appropriate exposure period and end point is 96 hours for Cu and 48 hours for NH2Cl judging from the end point of the germination ratio.
著者
江村 伯夫 澤山 康二 三浦 雅展 柳田 益造
出版者
一般社団法人日本音響学会
雑誌
日本音響学会誌 (ISSN:03694232)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2, pp.73-83, 2008-02-01
被引用文献数
1

ギター演奏においてコード列演奏は最も基本的な演奏形態の一つである。本論文では,ギター初心者を対象とし,入力されたコード列に対して,押弦時の指配置やコードチェンジ時の指の動きに対する負荷が最も軽くなるコードフォーム列を,実演奏時のミスの量から最小2乗法によって求めた負荷値に基づいて奏者に応じて決定するシステムについて述べている。本システム及びコードブックによるコードフォーム列に対する実演奏の押弦失敗率を比較する実験を行った結果,初心者にとって本システムが十分に有用であることが示されている。
著者
小島 正秋 外山 信男 藤井 昇 橋爪 昭人 三浦 道雄 日高 敏郎 玉井 理 駒形 和男
出版者
Japan Society for Bioscience, Biotechnology, and Agrochemistry
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.61, no.10, pp.1341-1345, 1987

8回にわたる高農めぐりも今回で終りを迎えます.前回の千葉高等園芸の場合と同じく,座談会に出席の先生は,高農から新制大学の創立時に入学され,母校に教鞭をとっておられる方々がほとんどでありました.<br> 和気あいあいに想い出がそのまま高農から宮崎大学農学部への歴史を追うことになりました.司会の駒形先生もにれが最後の御気持からか,大変リラックスされて,従来とはやや異なる内容となりました.<br> 座談会のために奔走してくださった宮崎大学の三浦道雄先生をはじめ御協力いただいた先生方に心から御礼申し上げます.(編集部)
著者
岩田 美保 大芦 治 鎌原 雅彦 大芦 治 オオアシ オサム Oashi Osamu 鎌原 雅彦 カンバラ マサヒコ Kambara Masahiko 中澤 潤 ナカザワ ジュン Nakazawa Jun 蘭 千壽 アララギ チトシ Araragi Chitoshi 三浦 香苗 ミウラ カナエ Miura Kanae
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.103-107, 2009-03

本研究は現職教員を対象として,勤務校で直面している教育心理学等の専門的な支援が必要と思われる問題及びスクール・カウンセラーの配置状況や意見・要望について調査を行った。児童・生徒の適応上の問題としては,「不登校等問題行動への対応」「特別支援の必要な児童・生徒への対応」「親・家庭環境への対応」,教員自身の問題ではストレスやメンタルヘルスに関わることが最も多かった。こうした問題点は教育心理学等の一般的知識に関わることよりも,個別のケースに関して直面している問題であることが圧倒的に多いと考えられ,今後学校心理学はこうした問題に具体的に対応できるようなケース分析を中心とした独自の体系を構築していく必要があることが示唆された。また,スクール・カウンセラー等によるニーズに即した支援体制には未だ多くの課題が残されていることが示唆され,今後もさまざまな角度から議論・検討される必要があると考えられた。
著者
宮堀 真澄 澤井 セイ子 佐藤 怜 鈴木 圭子 三浦 正樹 Masumi MIYAHORI Seiko SAWAI Satoru SATO Keiko SUZUKI Masaki MIURA 介護福祉学科 秋田大学教育文化学部 秋田大学 介護福祉学科 介護福祉学科
出版者
日本赤十字秋田短期大学紀要編集委員会
雑誌
日本赤十字秋田短期大学紀要 (ISSN:13430033)
巻号頁・発行日
no.8, pp.31-39, 2003

本研究は、特別養護老人ホームに働く介護職員を対象に行った社会的スキルの結果から、今後の介護福祉士現任教育のあり方を考察したものである。調査の結果、(1)介護職員は総体的に利用者の表出行動などから、感情や態度を判断するスキルを高く評価していた。しかし、自分から表現をすることは総体的にできていないといえる。(2)若い世代の介護職員は比較的、社会的スキルの評価は低い結果であった。(3)資格では、訪問介護員が「感情コントロール」において介護福祉士より高く評価していた。(4)介護職員の社会的スキルの構造を明らかにするため因子分析をした結果、『伝達因子』・『解読因子』・『表出因子』・『感情統制因子』の4因子が抽出された。これらのことから、人間関係の学習は、継続して教育され、実践の場において活用されてこそ意義があると考える。したがって、介護福祉士の専門性を高める意味でも社会的スキル・アップの研修の場が必要であると考える。
著者
三浦 裕行
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
鉱物学雜誌 (ISSN:04541146)
巻号頁・発行日
vol.25, no.1, pp.9-10, 1996-01-25 (Released:2009-08-11)
参考文献数
8
著者
堀 泰智 村上 春翔 佐藤 千早 中川 明奈 三浦 弘 菊池 元宏 大浪 洋二
出版者
日本獣医循環器学会
雑誌
動物の循環器 (ISSN:09106537)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.37-42, 2010 (Released:2010-11-06)
参考文献数
24

13歳のビーグル犬が腹囲膨満と呼吸器症状を主訴に来院した。胸部X線検査から心拡大が確認され,心エコー図検査から三尖弁閉鎖不全症が診断された。右心房圧は正常であったが,右心室圧は上昇していた(収縮期/拡張末期;69/5.0 mmHg)。血中ANP濃度は正常範囲であったが,血中NT-proBNP濃度は1,583 pmol/Lと高値であった。内科治療としてエナラプリル,トラセミド,メチルジゴキシンを処方したところ,治療後30日目には臨床兆候は改善し,右心室圧も低下していた(収縮期/拡張末期;20/-2.3 mmHg)。また,血中NT-proBNP濃度は1,245 pmol/Lに低下していた。本症例では,右心不全に伴う右心室圧の上昇によって血中NT-proBNP濃度が上昇していたと推察される。