著者
奥中 康人 オクナカ ヤスト
雑誌
静岡文化芸術大学研究紀要
巻号頁・発行日
vol.17, pp.65-86, 2017-03-31

ラッパは、幕末に日本に入ってきた最初の西洋楽器のひとつであるにもかかわらず、これまでほとんど研究されていない。本稿は、長野県内の消防組(消防団)に関する文献からラッパについての諸記録を整理、提示することによって、その普及と変容を明らかにすることを目的としている。軍隊の道具として幕末期に導入されたラッパは、明治後期になって各地の消防組でも用いられるようになった。長野県でも、おおよそ一九〇〇年以降に広く普及し、演習や儀式等で用いられた。第二次世界大戦後には音楽を演奏するラッパ隊として再編成され、教本の刊行やラッパ吹奏大会の開催によって演奏技術が向上し、標準化が促されたことを、文献調査から明らかにした。
著者
田中 康博
出版者
京都学園大学
雑誌
京都学園法学 (ISSN:09164715)
巻号頁・発行日
vol.29, pp.59-109, 1999-07-25
著者
越中 康治 目久田 純一
出版者
宮城教育大学
雑誌
宮城教育大学紀要 (ISSN:13461621)
巻号頁・発行日
vol.51, pp.167-176, 2016

本研究の目的は、現場の教師や将来教員を目指している学生たちが道徳の教科化を好ましいと感じているか否かについて、理由づけを検討することであった。前報では、教育学部生、保育者、小学校教員、中学校教員及び高等学校教員を対象として質問紙調査を実施し、①道徳の教科化、②道徳に検定教科書を導入すること、③道徳で評価を行うことのそれぞれについて、好ましいと思うか否かを尋ねた。本報では、前報で取り扱うことのできなかったこれらの理由づけの自由記述をテキストマイニングにより分析した。その結果、まず、道徳の教科化に関してネガティブな認識が示される要因のひとつが評価の導入であることが確認された。また、検定教科書や評価の導入を肯定する理由づけにおいて特徴的であったのは「教科になれば必要だから」という消極的な理由であった。特に評価に関しては、導入すること自体に積極的な意義を見出した回答はほとんど見られなかった。教科化のための検定教科書導入、教科化のための評価といった認識が、道徳の教科化に対する抵抗感をさらに強めるひとつの要因となっている可能性が示唆された。
著者
濱中 康治 志村 圭太 梅村 悟 永井 洋 伊藤 博子 中島 啓介 長崎 稔 木村 鷹介 中村 拓成 田中 尚喜 柏口 新二 岡田 知佐子 紙谷 武 石崎 一穂 片野 裕司
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48101523-48101523, 2013

【はじめに、目的】成長期における野球肘においては、発育途上にある骨端骨軟骨の障害が多いことに特徴がある。なかでも離断性骨軟骨炎とも呼ばれる、上腕骨小頭骨軟骨障害(以下OCD)は進行すると治療に難渋するため早期発見が望まれる。OCDの早期発見を目的として、1981年から徳島県で実施されている野球肘検診をはじめ、全国各地で野球肘検診活動の取り組みが行われ、その活動は広まり始めている。その多くは、各地の野球教室や野球大会と合同で開催され、野球教室や大会の現場での検診が実施されているが、大規模な検診になると、より多くの機材やマンパワーが必要となるため、都市部での野球肘検診の実施には高いハードルがある。当院では、都市部における野球肘検診活動として、2010年より医療機関内における野球肘検診を実施している。OCD発症予防のための啓発活動と野球肘検診活動の更なる拡大を目的として、その取り組みの紹介とこれまでの検診結果を報告する。【検診方法】当院では1ヵ月に1度、平日の午後6時から、スポーツ健康医学実践センター内で野球肘検診を実施している。野球肘検診については、その目的と機能から保険外診療とし、1件の受診料は2500円に設定している。対象はOCDの好発年齢・保存的加療の適応年齢を考慮し、原則として10~12歳の小学生としている。理学療法士(以下PT)による理学所見評価、臨床検査技師による超音波画像検査(以下エコー検査)、医師による総合評価を実施する。 理学所見評価については、肘関節屈曲・伸展の他動運動時の疼痛と可動域制限の有無、内側上顆・腕橈関節・肘頭の圧痛、外反ストレステストでの疼痛、手関節屈筋群(上腕骨内側上顆に起始するもの)の筋委縮、橈骨頭の肥大、尺骨神経溝部での尺骨神経亜脱臼の有無を評価し、その他、肘関節以外にも利用者が疼痛を訴えた箇所に必要な所見を評価している。エコー検査では前方・後方から上腕骨小頭の不整像の有無とその程度を評価し、それらの結果から、医師による総合評価で二次検診の必要性を判断し、二次検診の必要ありと判断された利用者には、医師が紹介状を作成し、医療機関での精査を勧めている。【倫理的配慮、説明と同意】今回の報告におけるすべての調査は電子カルテを用いて後方視的に行っており、対象者に有害事象は生じなかった。また匿名性の保持と個人情報流出には十分留意した。【検診結果】2010年6月から2012年11月までに、延べ119名の利用があった。年齢は10.5±1.1才だった。理学所見評価での異常所見は肘関節の他動運動時痛3名(2.3%)、可動域制限39名(32.8%)、内側上顆の圧痛10名(8.4%)、肘頭の圧痛1名(0.8%)、腕橈関節部の圧痛0名(0%)、外反ストレステストでの内側部痛20名(16.8%)、手関節屈筋群の筋委縮2名(1.7%)、橈骨頭の肥大4名(3.4%)、尺骨神経溝部での尺骨神経亜脱臼3名(2.5%)に認められた。エコー検査での異常所見を認めたものが6名(5.0%)であった。医師の総合評価によって二次検診の必要ありと判断されたのは27名(22.7%)で、肘内側部障害の疑い18名、OCD疑い6名、上腕骨近位骨端線障害1名、体幹・下肢の骨軟骨障害疑い4名だった。二次検診の必要ありと判断された利用者27名のうち、当院でのフォローアップを実施したものは18名(66.7%)であった。【考察】OCD疑いと判断された6名のうち、3名が肘内側部に圧痛・外反ストレス痛を認めた。1名は肘関節の伸展制限のみを認めたが、2名についてはエコー所見以外、全ての所見で異常は認められなかった。一般的にOCDは投球時の肘外反ストレスによる肘外側部への圧迫・剪断力によって生じ、外側部に疼痛が出現するとされているが、当院の野球肘検診でOCDが発見された6名はいずれも肘外側部の理学所見は認めなかった。このことは早期のOCDは理学所見に乏しく、OCDの早期発見にはエコー検査が有用であることを示すものである。また、当院でフォローアップを実施したOCD疑い5名の中で、定期的な野球肘検診の必要性を示唆する1例を紹介する。初回の検診時(10歳10ヶ月時)にはエコー検査を含めた全ての所見で異常を認めなかったが、その7ヶ月後(11歳5ヶ月時)の検診で外反ストレステストでの内側部痛があり、エコー検査で初期のOCDが発見された。その後、投球動作を禁止することで約7ヶ月後に良好な骨化が確認され、競技復帰が可能となった。この経験から、当院では10歳前後のOCD好発年代には定期的な検診の必要性を啓発し、6ヶ月に1度の検診を勧めている。【理学療法学研究としての意義】医療機関における野球肘検診を紹介することで、野球肘検診を実施できていない地域にも野球肘検診を広め、PTがその活動に参加することにより、より多くの野球プレーヤーを障害から守ることが可能になる。
著者
田中 康仁
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.53, pp.57-58, 1996-09-04
被引用文献数
2

機械翻訳の基礎的知識(Basic Knowledge)としては単語、複合語、専門用語、概念、概念と概念の関係、慣用表現等が考えられる。個々に研究を進めなければならないが、私の考えでは複合語と慣用表現の対訳付データの大量の収集と研究、体系化がなかなか進んでいないと考える。これは機械翻訳の応用分野がある特殊な分野に限られているためで、広くて一般的な分野に移れば、この分野は重要な問題になると考えている。数量としても数万から数十万の慣用表現データが必要である。また高級な知識とは:「水は摂氏℃0度で凍る」とか「アメリカは原爆を日本の広島と長崎に落とした。」「その結果、数十万の人々を殺した。」というようなものである。高級な知識、又は基礎的な知識の中間に位置するようなものも考えてゆかねばならない。例えば諺等がそれである。
著者
西 智弘 割田 悦子 上元 洵子 小野寺 馨 山中 康弘
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.556-561, 2012 (Released:2012-09-14)
参考文献数
11

【緒言】黄疸に合併する掻痒は, 抗ヒスタミン剤無効例が多く, 緩和に難渋する例がある. 近年, 掻痒に対するパロキセチンの効果が報告されているが, パロキセチン無効例への報告はまれである. 今回, パロキセチン無効の掻痒に対してミルタザピンが著効した1例を経験したので報告する. 【症例】56歳, 女性, 膵頭部がん・腹膜播種. 閉塞性黄疸に対してドレナージ術など行うも黄疸が遷延し, NRS (numerical rating scale) 9~10程度の, 抗ヒスタミン剤無効の全身掻痒が続いていた. 当院受診後, パロキセチンへ変更したが, 2週後にも掻痒は改善せず, 黄疸も遷延していた. しかし, ミルタザピンへ変更したところ, 翌日に掻痒はNRS 1となり, その後も掻痒の再燃は認められなかった. 【結語】パロキセチン無効の掻痒に対し, ミルタザピンは選択肢の1つとして重要である.
著者
濱野 保樹 小泉 真理子 田中 康之
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

コンテンツ産業はコスト病の発症を先延ばしさせるため、複製技術で市場を拡大し、ウインドウと呼ばれる流通に関する技術革新で、新たな市場を作り出してきた。それらの市場が飽和すると、労働集約的であるため、再びコスト病に陥ってしまうが、アメリカは海外市場拡大で、また日本は制作費抑制で、コスト病発生を先伸ばしできた。しかし、日本のコンテンツ産業において生産性の向上ができないとすれば、制作費を抑制できなくなり、コスト病に陥る可能性が高い。

1 0 0 0 OA Sandspiel 50年

著者
山中 康裕
出版者
日本箱庭療法学会
雑誌
箱庭療法学研究 (ISSN:09163662)
巻号頁・発行日
vol.29, no.3, pp.1-2, 2017 (Released:2017-04-19)
著者
畑中 康郎 野上 達也 木下 栄一郎
出版者
一般社団法人 日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.58, no.3, pp.213-218, 2008-11-30 (Released:2016-09-17)
参考文献数
19

白山の標高2,450mのMizuyajiri調査地に永久方形区が設置され、クロユリの調査が1992年より実施された。その結果、次の事が明らかになった。1、クロユリは多くの種子をつける。2、実生はまれに出現するが、通常、実生の数は非常に少ない。3、多くの鱗茎葉により栄養繁殖が行われる。よって、白山のクロユリ集団では、集団の維持は主に栄養繁殖によって行われている。しかし、この結果は集団維持に対する実生の貢献の可能性を完全に否定するものではない。調査期間中、比較的まとまった数の実生の出現が1回起きたということは、条件が整えばクロユリ種子が発芽して集団の維持に貢献すること、の可能性を示唆する。いずれにしても、10年、20年という時間間隔のなかで一度起こる事象を検証するためには、10年程度の調査期間はあまりに短すぎる。また、12年間にわたる調査期間中に有茎個体の個体数、集団構造は大きく変動したことは、白山のクロユリ集団が現在も刻々変化していることを示している。温暖化などによる地球環境の変化が高山帯の植物や植生にどのような影響を与えるかは今のところ定かではないし、その変化を予想することは難しい。したがって、白山のクロユリ集団の変化と気温等の変化の関係を明らかにすることは極めて重要であり、定点での継続観察が必要である。
著者
大泉 正一 田中 康裕 飯田 隆幸
出版者
一般社団法人 水素エネルギー協会
雑誌
水素エネルギーシステム (ISSN:13416995)
巻号頁・発行日
vol.45, no.3, pp.159-164, 2020 (Released:2023-11-18)

The new fuel cell train “Series FV-E991” is under development by JR East, and equipped with a hybrid system using the hydrogen fuel cell and storage battery as power sources. It is going to be the world’s first fuel cell train using 70MPa high-pressure hydrogen enabling longer distance running which is not possible with 35MPa hydrogen.We plan to start demonstration tests of Series FV-E991 on commercial lines from 2021FY. In these tests, we will collect data toward practical use, such as the optimization of the fuel cell technology and the investigation of the technical development items related to ground facilities.We aim at the early commercialization of high-performance and safe fuel cell train that meets the stringent standards of Japan’s railways which are principally operated in densely populated areas.
著者
鶴田 和寛 野中 康太郎 吉武 拓太
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.135, no.11, pp.748-751, 2015-11-01 (Released:2015-11-01)
参考文献数
2

1.はじめに 福岡県の西端に位置する糸島半島には風光明媚(めいび)な名勝が数多くある。「姉御の浜」「芥屋の大門」「幣(にぎ)の浜」「桜井二見ヶ浦」「芥屋海岸」など,遠浅の海水浴場やサーフィンに適した海岸
著者
飯塚 一幸 村田 路人 宇野田 尚哉 奥村 弘 高槻 泰郎 田中 康二
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2014-04-01

伊丹市の小西家は日本を代表する酒造家である。本研究は、小西酒造の蔵から発見された新資料を対象に、①その目録化を図る、②新資料を基に学際的研究を行う、③学際的研究の成果を書籍として刊行する、ことを目的とした。本研究の成果は以下の通りである。(1)文書については2万8133点、典籍については1279点を目録化した。(2)「小西家資料研究会」を立ち上げ、小西家を取り巻く人的ネットワークと、それを基に小西家が伊丹地域の近代化を支えた実態を明らかにした。(3)研究代表者・研究分担者、研究会に参加した若手研究者により、論文集を刊行することで出版社と合意した。