著者
川上 大喜 大久保 寛 内田 直希 竹内 伸直 松澤 暢
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIP, 信号処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.114, no.474, pp.169-174, 2015-02-23

相似地震(微小繰り返し地震)とは,同一のアスペリティ(固着域)が原因となって発生する地震のことを指す.相似地震は発生時刻が異なってもほぼ同一な波形,つまり相似な波形を伴う性質を持つことがわかっている.この相似地震を解析する事によって,個々の地震の原因となるアスペリティの特性を抽出することや,プレート境界で生じるすべりの時空間発展をモニタリングする事が可能となる.本研究では相似地震の検出法としてフーリエ位相相関法とその手法に対して地震の主要周波数を考慮して帯域制限を施したフーリエ帯域制限型位相相関法,直交3成分地震波データに用いたコヒーレンス関数を適用し,その有効性について検討した.また近年,演算能力の高さから関心を集めているGPU(Graphics Processing Unit)を利用した汎用計算アーキテクチャであるGPGPU(General Purpo Secomputation on GPU)を応用した並列計算処理による高速化についても検討し,処理に要する計算時間を比較した.加えて,これらの一次元信号の対する相関処理演算に対してマルチGPUによるGPGPUを適用し,その有効性についても併せて検討した.
著者
遅沢 省子 久保田 徹 宮崎 毅 中野 政詩
出版者
社団法人 農業農村工学会
雑誌
農業土木学会誌 (ISSN:03695123)
巻号頁・発行日
vol.57, no.2, pp.135-142,a2, 1989-02-01 (Released:2011-08-11)
参考文献数
14
被引用文献数
1

土壌のガス組成は, 植物根や微生物の呼吸や物理・化学反応により, 分子状酸素が消費される一方で二酸化炭素, および条件により硫化水素, メタンなどのガス状物質が生成するため大気とは異なり, また場所により不均一である。そして, ガス成分の濃度勾配を小さくする向きに生じるガス拡散, および風や雨水の浸透, 気圧の変動などによって生じるガスの対流型移動 (マス・フロー) のために, 土壌ガスはたえず動き, その組成は変動している。この2つの型の移動が土壌間隙の幾何に依存する機作は異なり, マス・フローは間隙径分布に, 拡散は拡散に有効な連続間隙の総体積と屈曲度に強く依存する。土壌-大気間のガス交換への寄与は後者が大きいと考えられる。また, 液相中のガス移動や土壌におけるガスの測定法についても述べた。
著者
掛 悟史 倉本 洋 CASTRO Juan Jose 加々良 昌史 樋渡 健 阿部 隆英 久保田 雅春
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会構造系論文集 (ISSN:13404202)
巻号頁・発行日
vol.79, no.695, pp.113-120, 2014-01-30 (Released:2014-07-10)
参考文献数
18
被引用文献数
5

In this study, shear transferring mechanisms of an outside attached shear strengthening method for existing RC beams were examined by three-dimensional FEM analysis. The analytical parameters were cross-section shape, number of connecting anchors, embedded length of anchors and strengthening element width. The analytical results for the shear force versus drift angle relationships showed good agreements with experimental values. The analysis indicated that the arch mechanism is also formed in the strengthening element of the RC beams. Through the analysis it was verified that the effective width of the strengthening element is approximately 75mm when the maximum shear force is reached.
著者
小久保 潤 伊藤 聡志 山田 芳文
出版者
日本医用画像工学会
雑誌
Medical Imaging Technology (ISSN:0288450X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.115-122, 2012 (Released:2012-04-13)
参考文献数
14
被引用文献数
1

圧縮センシングは,信号のスパース性を利用して,少数の信号データから画像を再生する手法である.MR画像は一般にスパース性を持たないため,スパース性を与える関数を導入する.スパース性導入関数には,ウェーブレット変換や空間差分などが多く利用されているが,我々はFREBAS変換を利用した方法について検討を行っている.圧縮センシングによる画像再生では多数回の反復処理を必要とするため,一般に膨大な計算コストを要し,実用上の障害となっている.そこで本研究では,PCに搭載されているGPUを汎用的な処理に使用する方法により,圧縮センシングによる画像再生の高速化を試みた.実験の結果,単一画像の再構成を1.3秒で行うことができ,CPU計算に比べて約9倍の高速化を達成することができた.
著者
松八重 一代 久保 裕也 大竹 久夫 長坂 徹也
出版者
Sociotechnology Research Network
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.5, pp.106-113, 2008
被引用文献数
6 4

現在工業的に利用されている高品質のリン鉱石は、現在のペースで消費が進むと100 年以内に枯渇することが懸念されており、新たなリン資源の開発が強く望まれている。本研究では、詳細なリンの国内マテリアルフロー分析を行い、製鋼スラグと下水汚泥に濃縮されるリンは、質および量において輸入リン鉱石とほぼ同等であり、人工リン資源として極めて高いポテンシャルを有することを示した。また、これら廃棄物からのリン回収技術開発を行った。廃棄物産業連関モデルを用いて、これらの新技術が与える環境負荷および経済影響を定量的に示した。
著者
児玉 ひとみ 屠 聿揚 石渡 淳一 篠原 義政 片柳 直子 久保田 憲 村上 徹 黒井 克昌 林 和雄 戸井 雅和
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.90, no.4, pp.683-686, 2001-04-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7

症例は49歳,女性.胆石症の精査のため入院した際, CEAの異常高値と甲状腺の硬い腫瘤に気付き,姉が甲状腺癌で死亡していることから,髄様癌,さらに多発性内分泌腫瘍症2型を疑い精査をすすめた.血中カルシトニンが高値で,穿刺吸引細胞診で甲状腺髄様癌と診断.腹部CTでは左右副腎の腫大を認め,尿中カテコラミンも高値で褐色細胞腫と診断.遺伝子検査でret癌選伝子に点突然変異を認め, MEN2Aと最終的に診断した.遺伝性腫瘍を念頭にいれた家族歴聴取の重要性を示唆する症例であった.
著者
久保 琢磨 宇野 毅明
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告数理モデル化と問題解決(MPS) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2008, no.17, pp.57-60, 2008-03-05
被引用文献数
3

近年,組合せ最適化の実社会への適用を目的とする動きが活発となっているが,一般ユーザが容易に最適化を利用できるまでには至っていない.本研究方針は,中小規模の問題に対し,ユーザ自身が容易に最適化を利用できるしくみづくりとしている.今回はスタッフスケジューリングに焦点をあて,勤務スケジュール作成者のスケジュール作成作業の負担を軽減させる為に,あるビジネスホテルが抱える問題を対象に,スケジュール作成者にとって,容易に調整可能なスケジュールを作成することを目的とする.Recently, the movement to apply combinatorial optimization to practical problem has been active. However, general users can't easily use optimization. The direction of our research is that general users can lightly use optimization. In this paper, we focus the problem called staff scheduling and we want to reduce workload of a staff which make a schedule for every staff. Then, we aim to make an easily adjustable schedule to practical problem which the staff in certain business hotel has.
著者
藤田 之彦 日吉 一夫 若杉 直俊 作田 亮一 柳田 恭子 淵上 達夫 後藤 一彦 大久保 修 内海 康文
出版者
一般社団法人 日本小児神経学会
雑誌
脳と発達 (ISSN:00290831)
巻号頁・発行日
vol.20, no.1, pp.59-63, 1988-01-01 (Released:2011-08-10)
参考文献数
13

ロタウイルス腸炎罹患を契機にそれまで頻発していた痙攣発作が一時的に全く消失した点頭てんかんの2例を報告した. 2例ともに症候性点頭てんかんであり, 一日に10回程度のシリーズ形成の痙攣発作が下痢出現後3日目には1日に1回となり5日目からは全く消失した. また脳波上も2例ともに改善し, 発作波は限局化を示した. しかしそれぞれ痙攣発作消失後16日目と30日目に下痢出現前と同様の発作型で再発した. これらの作用機序は不明であるが, 突発性発疹症や麻疹などの感染症でも同様の報告があり免疫学的作用機序などが推察された.
著者
大久保 明美
出版者
熊本大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1994

多分化能を持つ胚性腫瘍P19細胞を、1nMレチノイン酸存在下で浮遊培養すると、約10%の細胞塊に搏動を伴った心筋が出現する。これを長期培養後、細胞をクローン化し、通常培地では増殖し、1%ジメチルスルホン酸(DMSO)存在下で高頻度で搏動細胞に分化する細胞を選択し諸性質を検討した。CL6細胞と名付けたサブクローンは、親株のP19細胞と異なり坑SSEA-1抗体とほとんど反応しない。さらに分化は接着状態のままで誘導され、シートを形成し分化誘導後10日目に搏動が始まり、14日頃にはシート全体が搏動した。またDMSO添加後2日毎に全RNAを抽出しノーザンブロット分析を行なったところ、CL6細胞では胚性の心筋型ミオシン-α及び-βの発現が10日目から見られ、一方骨格筋特異的な分化制御因子であるMyoDやマイオジェニンの発現は検出されなかった。ウエスタンブロット分析でもミオシンの発現が10日目に始まり、これは搏動が観察される時期と一致した。この条件下ではほとんど搏動の見られないP19細胞では14日目にかすかなミオシンバンドが検出された。また搏動細胞を固定し、蛍光標識したMF20抗体、ファロイジン、坑デスミン抗体そして坑心筋型c-蛋白抗体で細胞が染色され、横紋構造が確認できた。リズミカルに搏動している細胞へのアセチルコリン及びアトロピンの添加実験では、分化細胞の搏動がムスカリン性アセチルコリン受容体によって影響を受けることを示した。また親株p19細胞の神経分化条件では、低頻度の神経分化能がみられたので、CL6細胞は心筋細胞分化にコミットメントはしていないが、p19細胞より心筋分化しやすいところに位置する細胞と考えられる。従ってCL6細胞は、心筋細胞へのコミットメントや分化のin vitroでの研究に有効と考えられ実験を進めている。
著者
石黒 一美 沼部 幸博 村樫 悦子 大久保 美佐
出版者
日本歯科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2012-04-01

日常生活でも使用されているLED光を用いた安全で効果的な歯周疾患の予防方法を確立するために基礎的な研究を行った。歯周病原細菌に対しては青色LED単独照射や、白色LED光と光増感剤を組合わせた照射方法で殺菌効果が得られた。一方、ヒト歯肉線維芽細胞に対して波長の異なるLED光を単独照射したところ、赤色LEDは細胞増殖率に影響がなかったが、強い照射出力の青色LEDを照射すると細胞増殖率が減少した。これらのことから、LED光は歯周病原菌の殺菌作用を有するが、照射される周囲組織に対する安全性を配慮した照射条件を検討する必要があることが示唆された。
著者
橘 弘智 久保田 真一郎 山場 久昭 高塚 佳代子 岡崎 直宣
出版者
電気・情報関係学会九州支部連合大会委員会
雑誌
電気関係学会九州支部連合大会講演論文集 平成26年度電気・情報関係学会九州支部連合大会(第67回連合大会)講演論文集
巻号頁・発行日
pp.566, 2014-09-11 (Released:2016-02-10)

多くの大学で,ICカード化された学生証(以下,IC学生証)を利用した出席管理システムが採用されている.本学でもIC学生証の導入を機にこの種のシステムが開発されたが,高価な専用ICリーダーが必要であり,それ程使われていないのが現状である.そこで,入手が容易なAndroid端末をICリーダーとして使用できる出席管理アプリを開発した.本アプリはNFC機能を搭載したAndroid端末で動作するため,リーダー用デバイスが別途必要なく,携帯性にも優れる.実際の講義で本アプリが使用され,教員により運用面に関するレビューが行われたので,今回はそれをもとに改善した点を中心に報告する.
著者
久保田 競
出版者
日本失語症学会 (現 一般社団法人 日本高次脳機能障害学会)
雑誌
失語症研究 (ISSN:02859513)
巻号頁・発行日
vol.2, no.2, pp.284-290, 1982 (Released:2006-08-11)
参考文献数
15

Previous studies on the so-called language learning skill of chimpangees were briefly reviwed and discussed. Backgrounds why we trained three young chimpangees to use lexigrams through a matching-to-sample method were explained. A skill to name 25 different colored objects developed without previous experience at requesting particular objects using the lexigrams. Future plans to study the brain mechanisms related to language acquisition are briefly mentioned.
著者
久保 長徳 小高 知宏 小倉 久和
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.第50回, no.人工知能及び認知科学, pp.269-270, 1995-03-15

最近、遺伝的アルゴリズムによって知識獲得をする試みが様々な分野でなされている。人は、ゲームの戦略をはじめのうちは知らなくても、繰り返しゲーム行うことで、ルールにのっとったなんらかの戦略を獲得することができる。このプロセスを遺伝的アルゴリズムを用いてコンピュータ上で実現することが本研究の目的である。これまで我々は三目並べゲームの戦略知識をニューラルネットワークを用いて表現し、この表現を用いた遺伝的アルゴリズムによる知識獲得の研究を行なってきた。今回は解読や加工が簡単な戦略知識の記号表現とそれ用いた遺伝的アルゴリズムによる知識獲得について検討した。
著者
大久保 敬 カーナス エリザベス セスラー ジョナサン・エル ケイディッシュ カール・エム 福住 俊一
出版者
基礎有機化学会(基礎有機化学連合討論会)
雑誌
基礎有機化学討論会要旨集(基礎有機化学連合討論会予稿集)
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.3P75-3P75, 2011

シクロ[8]ピロールとピレンカルボキシレートはアセトニトリル中で超分子錯体を形成することを見いだした。UV-vis滴定より求めた錯形成定数は2.6 x 105 M-1と決定され、非常に強く錯形成することが分かった。この超分子錯体の溶液にナノ秒レーザーフラッシュフォトリシスを行うと、電荷分離状態に由来する過渡吸収帯が観測された。電荷分離寿命は300マイクロ秒であった。
著者
大西 正樹 肖 水芳 大久保 公裕 池田 雅一 横島 一彦 奥田 稔
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.42, no.3, pp.228-235, 1993
被引用文献数
5

スギ花粉飛散開始の2週間前よりfluticasone propionate (FP) の局所投与を行いスギ花粉症患者の鼻粘膜粘液上皮層に浸潤した好塩基性細胞, 好酸球の動態を観察し, FPの鼻アレルギー症状抑制機序を検討した。スギ花粉症患者を2群に分け実薬投与群は季節前, 初期にFP局所投与, プラセボー群はプラセボーの局所投与を行った。また季節中期, 後期は両群ともFP局所投与を行った。実験は二重盲検法で行った。投与前, 初期終了時, 後期終了時に鼻粘膜擦過を行い擦過片中の好塩基性細胞, 好酸球数のカウントを行った。同時に擦過片を蒸留水中で凍結融解した後, 両細胞数を定量的に評価するため擦過片中の総ヒスタミン, eosinophil cationic protein (ECP) の含有量を測定した。季節前からFP局所投与を行った実薬投与群は, プラセボー群に比べスギ花粉症状をよく抑制し鼻粘膜粘液上皮層中の好塩基性細胞, 好酸球の増加を抑制した。粘膜擦過片中のヒスタミン量, ECP量はFP局所投与で減少傾向を示した。