著者
柏倉 俊介 熊谷 祐一 久保 博 松八重 一代 長坂 徹也
出版者
一般社団法人 廃棄物資源循環学会
雑誌
廃棄物学会研究発表会講演論文集 第19回廃棄物学会研究発表会
巻号頁・発行日
pp.241, 2008 (Released:2008-11-25)

日本国内において年間に1千万t程度排出されている産業廃棄物である石炭灰は、石炭の燃焼及び灰の生成過程において、環境規制物質、とりわけ注目されるホウ素・ヒ素・セレンをその表面に濃化させやすいことが知られている。著者らは石炭灰に対して酸洗浄を施すことによりこれらの環境規制物質の除去を目指しているが、ヒ素及びセレンに対しては洗浄後の石炭灰が原灰よりも溶出濃度が上昇してしまうといったケースが見られた。そこで本研究では希硫酸を用いて石炭灰の洗浄過程におけるヒ素及びセレンの液中濃度を測定した。その結果、石炭灰中のアルカリ成分の溶出に伴うpHの上昇に伴って、一度溶出していたヒ素及びセレンが石炭灰表面に静電的な再吸着を起こしている可能性が強く示唆された。
著者
井上 芳光 米浪 直子 小倉 幸雄 久保田 豊司 芳田 哲也 中井 誠一
出版者
日本体力医学会
雑誌
体力科學 (ISSN:0039906X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.235-243, 2002-04-16

本研究では, 夏季スポーツ活動時における子ども (少年野球・ミニバスケットボール) , 若年成人 (女子ソフトボール・男子野球) , 高齢者 (ゲートボール) の発汗率 (TSR: g/m2/h) ・体重あたりの発汗量 (%TSL) ・水分補給率 (総発汗量あたりの水分補給量: %FIV) を調査し, それらの年齢差, 子どもにおける性差および種目間差 (屋内種目VS.屋外種目) , 飲料差 (スポーツ飲料VS.お茶) をそれぞれ検討した.なお, いずれの場合も水分補給は自由摂取とした.子どものバスケットボールにおいて, TSR, %TSL, %FIVには有意な性差はみられなかった.少年野球時のTSRおよび%TSLは, 高いWBGTに起因してバスケットボール時より有意に高かったが, %FIVには有意な種目間差は認められなかった.なお, 少年野球時のTSRはほぼ400g/m2/hに達し, 先行研究で報告されているその最大値に相当した.スポーツ飲料を補給した場合, 子どもの%FIVは両種目ともほぼ100%であり, %TSLが同等であった若年成人より有意に高かった.子どもの%FIVはスポーツ飲料摂取時がお茶摂取時より有意に高かったが, 若年成人の%FIVには飲水物の影響はみられなかった.高齢者のTSR, %TSL, %FIVは, 若年成人や子どもより有意に低かった.これらの結果は, 夏季スポーツ活動時において, 子どもにスポーツ飲料を自由摂取させれば, 性・環境温度に関わらず, 自発的脱水を予防できることが示唆された.しかし, 子どもの炎天下スポーツ活動時の発汗率が先行研究で報告されている最大発汗率に相当したことから, 深部体温がかなり上昇していることが推測され, 夏季スポーツ活動時には熱中症予防に向けた積極的休息, 練習時間の短縮, 運動強度の軽減の必要性がうかがえた.高齢者はスポーツ活動時の水分補給率が低いことから, 積極的な水分補給を奨励することが熱中症予防に重要であることが示唆された.
著者
大久保 篤
出版者
社団法人日本気象学会
雑誌
天気 (ISSN:05460921)
巻号頁・発行日
vol.42, no.10, pp.705-714, 1995-10-31
参考文献数
15
被引用文献数
6

1990年1月23日夜から24日朝にかけて北陸地方に接近,上陸した二つの渦状擾乱は,水平スケールと移動方向が違っていた.この2種類の渦状擾乱の解析を行った.2種類の渦状擾乱は,共に700hPaより下層の擾乱で,温帯低気圧に似た構造をしていた.2種類の渦状擾乱は,1つの上層の擾乱(500hPaの気圧の谷)の下方に位置しており,日本海寒帯気団収束帯(JPCZ)でつながっていた.事例数を増やして,帯状雲の初期状態からの変化を調べた.渦状擾乱は渦状となる前から,帯状雲の屈曲部として追跡可能であった.2種類の渦状擾乱は,日本海西部のJPCZ上で発生した小擾乱が,傾圧不安定により発達したものと考えた・傾圧性を増す要因として,上層の擾乱による下層での暖気移流と寒気移流の強まりを考えた.
著者
岡本 好雄 中橋 喜悦 千野 峰子 松田 和樹 久保田 友晶 岡田 真一 守屋 友美 及川 美幸 李 舞香 木下 明美 青木 正弘 高源 ゆみ 中林 恭子 今野 マユミ 槍澤 大樹 入部 雄司 小倉 浩美 菅野 仁 藤井 寿一
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌 (ISSN:18813011)
巻号頁・発行日
vol.59, no.3, pp.470-475, 2013 (Released:2013-07-19)
参考文献数
6
被引用文献数
1 3

腹水濾過濃縮再静注法(CART:Cell-free and Concentrated Ascites Reinfusion Therapy)とは,腹水症(又は胸水症)患者の腹水(又は胸水)を採取し,濾過濃縮後に再静注する治療法で,我が国で開発されて以来,保険診療の中で30年以上広く実施されている. 当院におけるCARTは各診療科が必要時に臨床工学技士に処理を委託していたが,院内統一の依頼・供給手順や製剤が存在せず,医療安全の面で問題があった.複数患者のCART実施時における患者取り違いのリスクを回避するために,輸血・細胞プロセシング部で申し込みから腹水・胸水処理,供給に至るまでを一括管理することとなった.具体的には,既存の輸血システムを流用し,電子カルテからの申込みと製剤固有バーコードの発行,バーコードによる製剤と患者の照合作業までの安全な供給体制システムを構築した. 次に輸血用血液製剤同様の製剤の安全性に関する基準を作成するために,濃縮前後,および一定条件下での保存後の腹水の性状やエンドトキシン検査に関して検討を行った.濃縮後のアルブミン量は26.5±2.7gであり,回収率は66.8%であった.処理前のアルブミン量に関わらず一定の回収率が得られた.また処理前腹水の4℃一晩保存,あるいは-30℃14日保存においてもエンドトキシンは検出されなかった.今後,冷蔵保存後の処理あるいは冷凍保存分割投与によってCARTを必要とする多くの患者へ適応可能になると考えられる.
著者
大久保 嘉三
出版者
日本法政学会
雑誌
日本法政学会法政論叢 (ISSN:03865266)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.1-11, 1989-05-20

1. After "Utage" and Before "Utage" 2. Before the first legal proceeding of privacy judgement, "Utage no ato" affair 3. After the first legal proceeding of "Utage no ato" affair 4. Conclusion-feeling to privacy
著者
野村 美明 福澤 一吉 奥村 哲史 久保山 力也 D・H Foote 蓮 行 太田 勝造 大澤 恒夫 江口 勇治 金 美善 竹内 俊隆 新田 克己 平井 啓 仁木 恒夫 森下 哲朗 加賀 有津子 小野木 尚
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2013-04-01

国内でも国際的にも交渉の必要性は増大しているが、一般市民にはその教育と学習の機会は少ない。本研究の課題は、交渉の非専門家や一般市民に交渉教育・学習へのアクセスを広げることである。本研究は、交渉の要素を説明する理論とこれらを解説する実例を組み合わせた要素理論表と「要素・理論・ケースサイクル」法によって、以上の課題の解決を図った。本研究によるよりよい交渉実践の普及が、秩序形成と価値創造を促進することが期待される。
著者
傳田 定平 梅香 満 大久保 涼子 西塔 志乃 小村 玲子 西巻 浩伸
出版者
一般社団法人 日本ペインクリニック学会
雑誌
日本ペインクリニック学会誌 (ISSN:13404903)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.115-118, 2015 (Released:2015-06-26)
参考文献数
10

下肢の幻肢痛患者に対して健常者の下肢の運動の動画をタブレット型端末装置(iPad®)に取り込み,患者の患側肢の上に保持して動画を再生し,その動きをイメージすることで除痛を得ている症例を報告する.症例は33歳の女性.X-14年1月交通事故が原因で左大腿部切断.幻肢痛に対してX-3年10月実際の鏡を用いての鏡療法を開始,X-2年7月iPad®を用いた鏡療法を開始した.従来の鏡療法導入後痛みは軽減したが,施行にあたっては大きな鏡を必要とする.一方,iPad®を用いた鏡療法は時と場所を選ばず簡便に実施可能である.また,非断端肢に運動障害があっても施行可能であり有用であった.
著者
森岡 清志 中尾 啓子 玉野 和志 和田 清美 金子 勇 安河内 恵子 高木 恒一 浅川 達人 久保田 滋 伊藤 泰郎 林 拓也 江上 渉
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究の課題は、パーソナルネットワークとソーシャル・キャピタルの相互関連、および都市特性・地域特性との関連を明らかにすることにある。統計的調査ではソーシャル・キャピタルを「住民力」と表現し、平成20年11月と平成21年9月に世田谷区住民を対象者として「住民力」に関する標本調査を実施した。20年調査では、45歳以上75歳未満の住民から8,000名を無作為抽出し(回収率65.3%)、21年調査では20歳以上75歳未満の住民を10,000名抽出した(回収率54.5%)。分析結果から、住民力とコミュニティ・モラール、投票行動の間に高い相関が見られること、また、居住年数、戸建率などの地域特性と関連することが明らかになった。
著者
久保 隆志

本研究の目的は,相談援助実習終了後の実習生が作成する実習報告書のテキストマイニングを通して,実習終了後に形成されると考えられる利用者の権利等に関連する記述を探索し出現状況を把握することにある.同時にそれらの探索を行うことにより,利用者の権利等に関する意識の形成方法について若干の整理を行うことで以降の研究方法を検討していくことを目的とした. テキストマイニングの対象となった実習報告書は,A 大学三年次生18 名とB 大学三年次生32 名が相談援助実習終了後に作成したものである.結果として相談援助実習を終えた実習生が,利用者の権利等について認識し,それらを言語化することに一定の限界があることを見出した.また一般社団法人日本社会福祉士養成校協会が受託した,(公財)社会福祉振興・試験センター 平成26 年度社会福祉振興関係調査研究助成金事業「社会福祉士養成新カリキュラムの教育実態の把握と,社会福祉士に必要な教育内容のあり方に関する調査事業」の調査研究からも同様のことを確認することができた. 以上のことを踏まえて実習生が利用者の権利等について認識する方法を模索した.
著者
久保 加織 玉記 加奈子 堀越 昌子
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
pp.21, 2006 (Released:2008-02-28)

【目的】ふなずしは塩漬けの後、飯とともに長期間熟成させ、製造されるが、食されるのは魚体であり、漬け床である飯はほとんど利用されない。しかし、この飯には魚から溶け出した成分の存在が考えられる。本研究では、飯の食品材料としての価値を検証し、洋菓子への添加について検討した。【方法】ふなずし飯は大津市内のふなずし専門店から漬け込み期間の異なる2種類を供与されて用いた。ふなずし飯およびそれから調製した菓子の成分として、水分、灰分、およびカルシウム、鉄を常法通りに、塩分をモール法により測定した。脂質をBright and Dyer法により抽出し、メチル化後にガスクロマトグラフィーに導入することにより脂肪酸組成を調べた。菓子の嗜好性については官能検査により判定した。官能検査は、外観、香り、食感、味、総合評価の5項目について5段階評価法で行った。【結果】 ふなずし飯には、魚由来と考えられるカルシウム、鉄、ドコサヘキサエン酸(DHA)、イコサペンタエン酸(IPA)が豊富に含まれていた。飯を水中で撹拌、ろ過することによって塩分は4.5%から0.7%にまで減少し、これを脱塩飯として用いた。なお、pHは脱塩前後でほとんど変化せず3.8であった。飯を添加した菓子として、クッキー、チーズクッキー、バターケーキ、チーズケーキを調製して官能検査を行った結果、最も評価が高かったのはクッキーであリ、飯の含有率では20%が最も好まれた。飯の漬け期間の長さは官能評価にほとんど影響しなかった。脱塩飯を添加したクッキーは、カルシウム含量を98mg%と通常のクッキーの約5倍量含み、DHAやIPAも微量ではあるが含んでいた。
著者
高橋 里沙 大淵 豊明 寳地 信介 竹内 頌子 大久保 淳一 池嵜 祥司 鈴木 秀明
出版者
一般社団法人 日本耳鼻咽喉科学会
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.116, no.7, pp.789-792, 2013-07-20 (Released:2013-09-14)
参考文献数
7
被引用文献数
1 5

閉塞性睡眠時無呼吸症候群 (OSAS) において, 鼻腔抵抗はその病態と密接に関与している. 今回われわれはOSASに対する鼻中隔矯正術および粘膜下下鼻甲介骨切除術の効果について検討した.対象は, 鼻中隔彎曲症と肥厚性鼻炎による鼻閉を伴い, 内視鏡下鼻中隔矯正術と両側粘膜下下鼻甲介骨切除術を施行したOSAS患者9例 (男性8例, 女性1例; 平均年齢53.2歳) である. 術前後に終夜睡眠ポリグラフ検査と鼻腔通気度検査を行い, (1)無呼吸・低呼吸指数 (AHI), (2)最長無呼吸時間, (3)平均無呼吸時間, (4)最低血中酸素飽和度, (5)平均血中酸素飽和度, (6)血中酸素飽和度低下指数, (7)覚醒反応指数, (8)睡眠時間に対するいびき時間の割合の8つの無呼吸指標, および(9)鼻腔通気度について比較検討した. その結果, 術前に比して術後に, AHIの有意な低下 (27.6±5.3/時 vs. 20.7±5.5/時; p=0.033), 平均血中酸素飽和度の有意な上昇 (95.1±0.7% vs. 96.0±0.7%; p=0.023), および覚醒反応指数の有意な低下 (30.5±3.3/時 vs. 21.2±5.3/時; p=0.028) が認められた. また, 鼻腔通気度V (P100) は吸気呼気ともに有意に改善した (吸気: 474.4±49.0cm3/s vs. 842.7±50.2cm3/s; p=0.002, 呼気: 467.3±57.3cm3/s vs. 866.0±80.6cm3/s; p=0.004). 他の項目については変化がなく, また術前後のbody mass indexにも変化はみられなかった. 以上より, 鼻中隔矯正術と両側粘膜下下鼻甲介骨切除術は, 鼻閉を伴うOSAS患者の睡眠時呼吸動態を改善させることが示された. このような鼻内手術の効果はOSASの治療に積極的に応用されるべきであると考えられた.
著者
小林 裕史 前川 聡 浦久保 孝光 玉置 久
出版者
一般社団法人 システム制御情報学会
雑誌
システム制御情報学会 研究発表講演会講演論文集 第50回システム制御情報学会研究発表講演会
巻号頁・発行日
pp.16, 2006 (Released:2006-12-01)

本講演では,球体内部に搭載したジャイロの角運動量を制御することによって駆動トルクを発生・制御する構造の球体ロボットについて,球体ロボット本体および操縦インタフェースの設計・製作,シミュレーションおよび実機実験による性能評価結果を報告する.また,実機におけるニューテーションや外乱の影響についても考察・検討する.

1 0 0 0 OA 気管支喘息 II

著者
坂崎 貴彦 久保田 正和 押田 芳治
出版者
日本医学教育学会
雑誌
医学教育 (ISSN:03869644)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.321-324, 2007-10-25 (Released:2011-02-07)
参考文献数
6

1) 保健師・看護師と, 助産師・看護師のそれぞれの統合カリキュラムは, 1997年4月に同時に制定された. 2006年4月現在, 前者は10校開設されているが, 後者は1校も開設されていない.2) 助産師・看護師統合カリキュラムについては, 地域看護の単位数が少なく, 病気や高齢を伴うことが少ない助産師教育を統合させること自体に無理があったのではないだろうか.3) 助産師・看護師統合カリキュラムは, 実用性の検証が不十分なままに制定されたと考えることも可能であるが, 助産師不足が叫ばれている昨今, 制度を活用する学校が現れることを望みたい.
著者
山本 慶和 坂場 幸治 渡邉 眞一郎 通山 薫 大畑 雅彦 三島 清司 久保田 浩 西浦 明彦
出版者
Japanese Association of Medical Technologists
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.64, no.6, pp.655-665, 2015

目的:血球形態標準化ワーキンググループ(WG)は日本臨床衛生検査技師会と日本検査血液学会において血液形態検査の標準化を協同で行う方針で結成された。血球形態標準化WGでは日本検査血液学会血球形態標準化小委員会より提唱された好中球系細胞の新分類基準に基づき,健常者を対象にノンパラメトリック法より得られた白血球目視分類の共用基準範囲を設定し,これを全国的に普及させる。方法:基準個体の除外基準は,「日本における主要な臨床検査項目の共用基準範囲案」(日本臨床検査標準化協議会;JCCLS)を用いた。健常対象者を医療施設における健康診断受診者または臨床検査部に勤務している職員とした。性および年齢が均等に分布するように考慮し936基準個体とし,対象年齢の範囲は18~67才とした。目視分類は認定血液検査技師またはその指導のもと血液検査を担当する技師が好中球系細胞の新分類基準に従い400倍の視野にて200個分類した。目視分類の対象項目は好中球桿状核球,好中球分葉核球,リンパ球,単球,好酸球,好塩基球とした。結果:基準個体値のCBC項目の分布はJCCLSの基準範囲と一致し,基準個体の妥当性を確認した。目視分類項目は性,年齢間差を認めなかった。パラメトリック法およびノンパラメトリック法による基準範囲は一致し,ノンパラメトリック法にて設定した。結論:日本全国で共用するための末梢血液の白血球目視分類の基準範囲を設定した。この基準範囲の普及のため日本臨床衛生検査技師会のネットワークを活用して全国的な普及を行う。
著者
赤林 朗 甲斐 一郎 久保木 富房 吾郷 晋浩 末松 弘行
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.41, no.7, pp.517-527, 2001-10-01
被引用文献数
1

心身医療・心理療法領域におけるカルテ開示の意識に関連する要因を明らかにし, 今後の方向性を考察するため, 日本心身医学会の会員を対象に, 郵送による無記名・自記式質問紙調査を行った(回収率62%).回答者の多数は, カルテ開示の問題に関心・知識をもっており, カルテの一部あるいは全面開示に基本的に賛成を示した.一方, 心理療法におけるカルテ開示についての意識は二分した.重回帰分析の結果, 病名・病状の説明等に困った経験, 精神分析療法をしばしば用いることが, カルテ開示に消極的な意識に有意に関連していた.心理療法におけるカルテ開示の問題は, 各心理療法や個別疾患の特徴に沿った議論を行う必要性があると考えられた.