著者
久保倉 洋子
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.24, no.1, pp.7-13_1, 1983-02-05 (Released:2009-12-11)
参考文献数
18

低温流通生肉のより適切な生菌数測定法を確立し, 合わせて生菌数に及ぼす各種要因の影響を解析する目的で, 冷蔵, 冷凍生肉 (牛, 豚, 鶏カット肉各40例) の生菌数を, 3種の試料接種法, すなわち, 塗抹法 (培地温度5°) 及び混釈法 (培地温度50°及び60°) と, 6種の培養温度 (7°,25°,30°,32°,35°,37°) とを組合わせた培養法で求め統計処理を行った. 1) 接種法別にみた生菌数は, いずれの培養温度とも塗抹法で最も高く, また, 培養温度別にみた生菌数は, いずれの接種法とも25°培養で最も高かった. 従って, 塗抹, 25°培養法で最も多い生菌数が得られた. 2) この方法で得られた生菌数は, 食品衛生検査指針による35°培養法で得られた生菌数よりも有意 (p≦0.01) に多かった. 3) 25°とその他の培養温度で得た生菌数の間に有意 (p≦0.05またはp≦0.01) の相関関係がみられた. 4) 生菌数に影響する要因としては, 生肉の流通様式 (冷蔵, 冷凍) が最も重要で, 次いで肉種, 培養温度, 接種法の順であった.
著者
可児 徳子 可児 瑞夫 富松 早苗 新海 研志 河野 節 久保 憲昭
出版者
一般社団法人 日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.38-45, 1977 (Released:2010-03-02)
参考文献数
17
被引用文献数
4

フッ化物洗口液のエナメル質におよぼす影響について検索する目的で, エナメル質粉末を材料とし, in vitroでフッ化物洗口液作用実験とフッ化物歯面塗布液作用実験を行い, これら2種のフッ素濃度の異なるフッ化物についてX線回折法により比較検討を行った。フッ化物洗口液としてリン酸酸性フッ化ソーダ溶液 (フッ素濃度: 500ppm, pH5.0), 歯面塗布液として酸性フッ素リン酸溶液 (フッ素濃度: 0.9%, pH3.6) を用いた。X線回折には島津製自動記録式X線回折装置VD-1A型を用い, 結晶性の変化と反応生成物の同定を行った。結晶性については半価幅の測定からScherrerの式によ9求められる値をパラメターとし, 反応生成物についてはASTM cardによる同定, peak shiftおよび1ine profileの変化の観察ならびにHallの解析法に準ずるsinθとβcosθの関係図から検討を加えた。その結果, 洗口液作用群では経時的に結晶性が向上し, かなり結晶性の高いFluorapatiteが多量に生成することが認められた。しかし, CaF2の回折線は検出されなかった。一方, 塗布液作用群では初期の結晶性向上と結晶性の低い多量のCaF2の生成がみられ, 水洗をくり返すことによりこのCaF2は流出することが認められた。以上のことからエナメル質とフッ化物の反応では, フッ素濃度のみでなく作用方法も反応生成物に影響を与えることが明らかとなった。すなわち, フッ化物洗口法のように低濃度のフッ化物を長期間繰返し適用する方法はエナメル質を脱灰することなく, より結晶性の高いFluorapatiteを生成し, エナメル質apatiteに好結果をもたらすことが示唆された。
著者
可児 徳子 可児 瑞夫 富松 早苗 新海 研志 河野 節 久保 憲昭
出版者
一般社団法人 日本口腔衛生学会
雑誌
口腔衛生学会雑誌 (ISSN:00232831)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.93-99, 1977 (Released:2010-03-02)
参考文献数
13
被引用文献数
1

フッ化物洗口液のエナメル質におよぼす影響について検索する目的で, エナメル質粉末を材料とし, in vitroでフッ化物洗口液作用実験とフッ化物歯面塗布液作用実験を行った。フッ化物洗口液としてはリン酸酸性フッ化ソーダ溶液 (フッ素濃度: 500ppm, pH5.0), 歯面塗布液として酸性フッ素リン酸溶液 (フツ素濃度: 0.9%, pH3.6) を用いた。エナメル質粉末に取込まれたフッ素量と, 浸漬蒸留水中に流出するフッ素, カルシウム, リン量の分析を行い, フッ素濃度の異なるこれら2種のフッ化物について比較検討を行った。フッ化物洗口液作用群では第1回の洗口液作用によってエナメル質粉末のフッ素量は約2000ppmを示し, 以後経時的に増加し, 8週では1.1%に達した。フッ化物塗布液作用群では作用直後のエナメル質粉末は12.76%のフッ素量を示し, 以後蒸留水交換を行うことにより流出し, 8週後には6000ppmとなった。蒸留水中に流出するフッ素, カルシウム, リン量から算出したCa/Fモル比, Ca/Pモル比によると, 洗口群ではCaF2生成はごくわずかであり, 比較的安定した形でフッ化物が取込まれ, 経時的にエナメル質の溶解性の減少することが認められた。一方, 塗布群では多量のCaF2の生成と流出がみられたが, 取込まれたフッ素の一部は安定した形で残留することが示唆された。
著者
久保 桂子 クボ ケイコ Kubo Keiko
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.62, pp.271-276, 2014-03-01

本研究は,共働き世帯における夫を対象に,仕事が家庭生活への関与を妨げると感じる意識に,仕事の時間や自由裁量度,さらに上司や同僚の理解などが,どのように影響しているのかを明らかにする。加えて,仕事が家庭生活への関与を妨げると感じる意識と,夫の性役割意識,育児参加との関係を明らかにする。分析には,2009年に東京都と千葉県で行った,子どもを保育所に預けている共働き夫婦への調査票のうち,531組のカップルのデータを用いた。主な結果は以下のとおりである。定時で仕事が終わる場合や仕事の自由裁量度が高い場合に,仕事が家庭生活の妨げと感じる意識が低い。そして,子育てへの理解がない職場の場合や,週の労働時間が長い場合に,仕事が妨げと感じる意識が強いことが明らかになった。さらに,性役割に否定的であるにもかかわらず,育児参加ができない夫は,仕事が家庭生活の妨げになっているとより強く感じていることが認められた。This study examines how the workplace environment influences consciousness of the feeling that work hindersparticipation in family life for husbands in dual-career couples. In addition, I examined the relationships among consciousness of the feeling that work hinders participation in family life, the role of gender awareness of the husband, and the husbands'degree of participation in child care. I studied 531 couples with children in day care from my questionnaire survey in 2009 in the Tokyo and Chiba prefectures. The main results are as follows: when work is over at the appointed hour and the husband has flexible working conditions, husbands have a low consciousness of work interfering with family life. In the case of a work place where there is no understanding of child care and where there are long working hours, husbands feel that work interferes with family life. In addition, in the case of the husbands who cannot participate in child care, but who have a negative attitude to their gender role, they tend to feel more strongly that work hinders their family life.
著者
大久保 隆夫
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.628-629, 2016-06-15

近年,自動車や航空機,ドローンなど,乗り物に対するハッキングの事例が相次いて公開され,話題となっている.従来から安全性等を考慮して設計されていたはずの乗り物で,このようなハッキングが容易にできてしまうのはなぜなのか,また乗り物と情報セキュリティを守るということはどのような意味を持つのかについて解説する.
著者
大久保 隆夫
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.57, no.7, pp.627-627, 2016-06-15
著者
久保 智英 佐々木 司 松元 俊
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.47-54, 2010 (Released:2010-04-27)
参考文献数
17

本研究では,長時間過密労働をシミュレートした環境下での,1)情動的負担の変容過程,2)情動的負担と行動的疲労の関係を明らかにするために事例的検討を行った.その際,情動的負担が顕著だった事例と,同じ状況にあっても情動的負担が抑制されていた事例に着目した.結果より,「怒り-敵意」因子に属する訴えは,行動的疲労が亢進する上での重要なサインであること,情動的負担と行動的疲労との関係は情動的負担が高い時に行動的疲労が軽・中程度で,情動的負担が低くなると行動的疲労は高くなる関係にあることが示唆された.
著者
豊田 秀樹 拜殿 怜奈 久保 沙織 池原 一哉 磯部 友莉恵
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.86.14055, (Released:2016-01-15)
参考文献数
30
被引用文献数
1

The purpose of this study is to propose a method of factor analysis for analyzing contingency tables developed from the data of unlimited multiple-choice questions. This method assumes that the element of each cell of the contingency table has a binominal distribution and a factor analysis model is applied to the logit of the selection probability. Scree plot and WAIC are used to decide the number of factors, and the standardized residual, the standardized difference between the sample, and the proportion ratio, is used to select items. The proposed method was applied to real product impression research data on advertised chips and energy drinks. Since the results of the analysis showed that this method could be used in conjunction with conventional factor analysis model, and extracted factors were fully interpretable, and suggests the usefulness of the proposed method in the study of psychology using unlimited multiple-choice questions.
著者
久保 純子
出版者
日本治山治水協会
雑誌
水利科学 (ISSN:00394858)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.143-146, 2016
著者
鈴木 勝己 辻内 琢也 辻内 優子 熊野 宏昭 久保木 富房
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.47, no.3, pp.185-191, 2007-03-01

近年,心身医療における物語りに基づく医療(narrative-based medicine; NBM)に関する研究では,病者の語りを質的に分析していく意義が理解されつつある.医療人類学によるNBM研究への貢献の一つは,病いの語りの質的調査において,病者・医療者・調査者間の交感的な関わりを含めた相互作用を理解しようとする点にあるだろう.病いの語りの医療人類学研究では,質的調査の中で生じた相互作用を考慮しつつ,病者の生活世界を精緻に理解しようとするからである.今回の報告では,精錬された病いの語りは病者の証言(witness)であり,その証言が証人である医療者と外部の第三者から確認されていくことが,NBMの実践においてきわめて重要であることを提示したい.本報告における証言は,全人的医療の理解に貢献し,NBM研究における重要な概念と考えられるからである.病者・医療者・第三者の相互作用は,病いの語りを精錬させ,病者が病いの専門家としての自負をもち,医療への過度な依存から脱していく臨床プロセスが確認される可能性がある.ここで問うべきは,病者の個人的経験に関する証言は,心身医療における治療の根拠となるのか,という点であろう.医療人類学は,病者の証言の理解を通して,NBMのあり方について根源的な問いを投げかけている.
著者
モハメド アリ 松添 直隆 大久保 敬 藤枝 國光
出版者
園藝學會
雑誌
園芸学会雑誌 (ISSN:00137626)
巻号頁・発行日
vol.60, no.4, pp.921-926, 1992
被引用文献数
1 24

ナスとその近縁野生種,種間雑種および複二倍体のネコブセンチュウ(Meloidogyne incognita)に対する抵抗性を,実生苗および非抵抗性ナスを穂木とした接ぎ木植物に接種して評価した.Solanum khasianum, S.torvumおよびS. toxicariumでは強度の抵抗性が観察された.S. sisymbriifoliumではセンチュウの侵入で根に小さな膨らみを生じたが,センチュウは成熟せず,卵形成には至らなかった.これらを台木とした接ぎ木植物は穂木(非抵抗性ナス)の影響を受けず,同様な抵抗性を示した.一方,ナス,S. integrifolium,両者の種間雑種とその複二倍体,およびS. indicumには抵抗性が認められず,またS. mammosumとS. surattenseはネコブセンチュウに特に弱いことが確かめられた.*現在:鹿児島大学農学部890鹿児島市郡元
著者
久保 徳彌
出版者
京都府立医科大学
雑誌
京都府立医科大学雑誌 (ISSN:00236012)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.B219-"B224-1", 1929

凡ソアル化學的物質ガ生體ニ働ク際.其ノ生力學的作用ト化學的構造トノ間ニ一定ノ相互關係ノ存スルモノニシテ同一構造ヲ有スル物質ニ於テモ其ノ微細ナル分子的變化ガ.ソノ生力學.藥力學的作用ニ種々ナル相違ヲ來ス事ハ既ニ認メラルヽ處ナリ。余ハ此ノ事實ニ立脚シテあみん類ニ於ケル第一級,第二級並ニ第三級ト稱セラルヽ分子群ノ變化ガ如何ニ生力學.藥力學的ニ變化ヲ來スモノナルヤヲ檢センガ爲メ。めちーるあみんニ於テ,其ノ瓦斯新陳代謝ニ於ケル相互關係ヲ研究セリ。即チめちーるあみん,ぢいめちーるあみん.とりめちーるあみんニ就テ瓦斯新陳代謝試驗ヲ行ナヒ,其ノえねるぎー新陳代謝ヲ観察スルニ,饑餓第一日ニ於テハ,各々其ノめちーる數ノ増加ニ從テえねるぎー新陳代謝増進シ,第二日目ニ於テハ殆ド變化ナキモ.只第一級めちーるあみんニ於テハ後半ニ於テノミえねるぎー新陳代謝ノ上昇ヲ來セリ。呼吸系數ハめちーる數ノ増加ニ從テ減少スルヲ認メタリ。
著者
新家大亮 久保田光一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2013, no.1, pp.383-385, 2013-03-06

経路探索において最短経路は一意に定まるが、2番目以降の最短経路は定義に依存して異なる。例えば、同じ点を通らない、同じ辺を通らない、同じ辺を通ってよい、などの異なる定義ができる。本研究ではこの定義をより一般的に枝や点毎に通る回数の上限を定めることとし、それに応じてHershbergerら、丸山ら、加藤ら、Eppsteinらによる4種の異なるk番目の最短経路アルゴリズムの中で適切なものを選び、k番目の最短経路を探索するライブラリを作成する。このライブラリを利用した計算実験により各アルゴリズムによる2番目以降の最短経路の比較を行う。
著者
大久保 満
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.55, no.6, pp.566-569, 1997-06-01 (Released:2009-11-16)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

A new indolocarbazole anticancer agent, NB-506 (6-N-formylamino-12, 13-dihydro-1, 11-dihydroxy-13-β-D-glucopyranosyl) -5H-indolo [2, 3-a] pyrrolo [3, 4-c] carbazole-5, 7 (6H) -dione) was developed. The total synthesis of NB-506 was successfully achieved with a new glycosylation reaction which was carried out in good yield with high β-selectivity. Moreover the Mitsunobu reaction was newly found to be a convenient method for synthesizing dissymmetric indolocarbazole glycosides at the glycosylation step.
著者
小船 雅義 渡辺 一郎 芦野 園子 奥村 恭男 高木 康博 山田 健史 小船 達也 大久保 公恵 進藤 敦史 中井 俊子 國本 聡 平山 篤志
出版者
公益財団法人 日本心臓財団
雑誌
心臓 (ISSN:05864488)
巻号頁・発行日
vol.41, no.SUPPL.3, pp.S3_114-S3_117, 2009 (Released:2015-01-23)
参考文献数
4

植込み型除細動器 (ICD) は心室頻拍/細動 (VT/VF) に基づく突然死の1次/2次予防に有効な治療法であることが示されている. しかしながら, ICDの植え込みを施行したにもかかわらず救命困難な症例も存在する. 今回, VFに対しICDが作動したにもかかわらず死亡した2症例を経験したので報告する.  症例1 : 56歳, 男性. 陳旧性心筋梗塞後の低心機能症例で, VTに対しICD植え込みを施行したが, 約1年後, 心肺停止 (CPA) にて搬送され死亡した. ICDの記録にてVFによる作動が確認された.  症例2 : 69歳, 男性. 2004年4月にCPAで当院搬送され救命され, 冠攣縮性狭心症に伴うVFに対しICD植え込みを施行した. 心機能は良好であり狭心症治療薬の服用も励行していたが, 再びCPAとなり死亡した. ICDの記録にてVFによる作動が確認された.  結語 : 冠動脈攣縮に伴うVF症例および虚血性心疾患に基づく重度の低心機能例ではICDが作動してもVT/VFが停止しない場合もあり, 冠攣縮の薬物コントロール, あるいはアブレーションなどの心室性不整脈に対する対策が望まれる.