著者
大久保 敬
出版者
九州大学
雑誌
九州大学大学院農学研究院学芸雑誌 (ISSN:03686264)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.145-163, 2006-10

ハカタユリの原産地は中国で、中国で「百合」はハカタユリのことである。ハカタユリは韓国で古くから「唐ユリ」という名前で知られていたこと、現在韓国では経済栽培は行われていないが、農家の庭先で広く栽培されていること、さらには、韓国、壱岐、岐阜に生きるハカタユリの遺伝子分析の結果などから、伝達経路は中国→朝鮮半島→博多と考えるのが最も合理的であると思われる(トウガラシのように日本→朝鮮半島の例もあるので、中国→日本→朝鮮半島のルートも考えられる)。日本に最初にもたらされた球根が全国に広がったと考えなくてもクローンであることから、朝鮮半島にあるハカタユリが様々な経路で、複数回にわたって、異なる時代に入ってきたと考えることも可能である。桃山時代(1568-1600)に作られた能衣装「茶地百合御所車模様縫箔」に刺繍されているユリが最も古いハカタユリの形としての記録であり、文字としては犬子供集(1633)に収録されている俳句である。鎌倉時代という証拠はなにもない。岐阜には江戸からもたらされ、たまたま生育に適したところであったため、ながく生きながらえたと考える。
著者
山室 公司 久保田 賢一
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.1-4, 2010
参考文献数
11
被引用文献数
2

本研究の目的は,教育工学の研究方法と研究対象について分析し,今後の研究の方向性を展望することである.2003年度から2008年度まで6カ年分の「日本教育工学会論文誌」に記載された論文を対象に研究方法と研究対象について分析を加えた.研究方法に関しては,量的研究法が約4分の3を占めていた.質的研究法のデータ収集法としてはインタビューが多用され,量的・質的両方を併用している研究もある.研究対象の校種別では高等教育が6割以上を占めている.量的研究の場合は被験者が学習者である研究が多く,校種は万遍なく分散しているが,質的研究の場合は研究対象が教授者もしくは高等教育の学習者に偏在していることなどが明らかになった.
著者
久保田 雅久
出版者
東海大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

海上での海洋気象パラメータの日内変動について研究した。研究には海上ブイによる観測データと衛星観測データを使用した。ブイデータに対してDaily mean march dataの作成、調和解析、あるいはスペクトル解析を行い、各観測点におけるいろいろな海上気象パラメータに対して、その振幅の大きさや位相変化を明らかにした。さらには、複数の衛星データを利用して、高時間解像度の海上気象パラメータプロダクトの構築に関する研究を行った。
著者
大久保 達也 下嶋 敦 鳴瀧 彩絵
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2011-04-01

我々は以前、50nm以下のサイズ領域で粒子径の制御が可能な単分散球状シリカナノ粒子をグラムオーダーで合成する手法を確立した。この粒子はコロイド分散液として得られ、ボトムアッププロセスによる材料開発における優れたナノビルディングユニット(NBU)となり得る。本研究では、単分散球状シリカナノ粒子のさらに簡便な合成法を開発するとともに、粒子の組成、形状、内部構造などを多様化し、種々のNBUを得ることに成功した。さらに、液相中でNBU間に働く相互作用を制御し、NBUを一次元から三次元の各種次元へと自己集合させる方法を確立した。
著者
島袋 公史 平山 史朗 渡邉 英夫 久保田 健治
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.39 Suppl. No.2 (第47回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.Cb0757, 2012 (Released:2012-08-10)

【はじめに、目的】 近年、大腿骨近位部骨折患者の高齢化は進んでおり、当院でも85歳以上の超高齢者が7割を占めている現状である。大腿骨近位部骨折患者の中でも、超高齢者(85歳以上)と年齢で回復状況を比較しているのは渉猟した限りでは多くない。そこで今回、大腿骨近位部骨折を受傷した高齢者を85歳前後で年齢別に分け、回復状況を比較、検討したので報告する。【方法】 対象は、2009年6月から2011年5月末日までに受傷後当院で手術を受けた大腿骨近位部骨折患者161例の内、受傷前は自宅生活し杖歩行自立以上の条件を満たす32例とした。その中から、85歳以上の群(以下,超高齢者群)20例(大腿骨頸部骨折10例、大腿骨頸基部骨折1例、大腿骨転子部骨折9例)と85歳未満の群(以下,高齢者群)12例(大腿骨頸部骨折8例、大腿骨転子部骨折4例)の二つに区分した。尚、年齢は超高齢者群89±4.7歳,高齢者群80±3.6歳で差があり、リハに影響する中枢神経疾患、運動器疾患、重度認知症、転科転棟例は除いた。調査項目は手術日を基準として、リハ開始までの日数(以下,リハ開始日数)、訓練室移行に要した日数(以下,訓練室移行日数)、起き上がり・移乗・排泄・移動各項目獲得までそれぞれに要した日数(以下,起き上がり獲得日数・移乗獲得日数・排泄獲得日数・移動獲得日数)とした。その他の項目として、FIM改善率、在院日数、自宅復帰率とした。尚、統計学的処理は対応のないt検定にて実施し、有意水準は5%未満とした。【倫理的配慮、説明と同意】 ヘルシンキ宣言にもとづくとともに当院の倫理委員会の承認を得て比較、検討した。【結果】 リハ開始日数は超高齢者群1.4±1日,高齢者群2±1.2日であった。以下同様に、訓練室移行日数は4.9±3日, 3.9±1.8日、起き上がり獲得日数16.7±13日,8.6±5日、移乗獲得日数24.5±21日,23±25日、排泄獲得日数41.2±33日,27.8±26日、移動獲得日数52.7±42日,28±20日という結果となった。訓練室移行日数、移乗獲得日数、起き上がり獲得日数、排泄獲得日数、移動獲得日数は超高齢者群の日数が遅延する結果となったが、起き上がり獲得日数のみ有意に差を認めた。FIM改善率は81%,89%で高齢者群の改善率が高い結果となり、在院日数は75.5±36日,71.2±36日で超高齢者群の在院日数が長い結果とはなったが有意に差はなかった。自宅復帰率は65%,75%で高齢者群の自宅復帰率が高い結果となった。【考察】 超高齢者群と高齢者群とでは、起き上がり動作獲得日数に有意な差が生じた。この理由として、起き上がり動作は基本動作の中でも様々な動作が合わさった複合的な動作で習得が困難であるとともに、術後の疼痛やそれによる可動域制限、筋出力低下などが動作に影響すると思われる。しかし、術部の影響は超高齢者群だけには当てはまらない。今回、超高齢者群は、高齢者群に比べリハ開始日数が早い結果となっているが訓練室移行日数は遅い結果となっている。このことから考えられるのが、超高齢者群は術後の全身状態変化の影響を受けやすく発熱などにより安静臥床を強いられることで廃用が起こると思われる。そのため、術部の影響だけではなく、術後初期に取り組む起き上がり動作は高齢者群と比較すると差が出る結果となったのではないかと考えられる。排泄動作獲得日数、移動獲得日数は今回超高齢者群が遅くなる結果となったが有意差はみられなかった。これは、低侵襲的な手術の施行、術後早期からの積極的なリハビリや福祉用具などの環境面の整備実施が奏効したものと思われた。【理学療法学研究としての意義】 高齢化社会を迎えているわが国の現状として、今後さらに高齢の骨折患者が増えることが予測され、その中でも大腿骨近位部骨折患者の年齢による比較は有用だと考える。また、年齢を重ねるごとにADL動作の獲得が遅延する傾向にあることから、基本動作を中心としたADL訓練も進めていく事が今後重要であると思われた。
著者
奥田 裕規 井上 真 斎藤 暖生 土屋 俊幸 藤掛 一郎 三俣 学 八巻 一成 奥 敬一 垂水 亜紀 深町 加津枝 田中 求 大地 俊介 大久保 実香 横田 康裕
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

脆弱化した社会組織を活性化させるためには、地域社会に新しいアイ デンティティを形成する社会変化を促す必要がある。このような社会変化を促すためには、「内 発的発展」が重要な役割を果たす。「内発的発展」は、地域住民を結ぶネットワーク上に存在し、 ネットワークは、地域住民共通の「大切なもの」を守ろうとする「思い(紐帯)」で結ばれてい る。そして、地域の「大切なもの」を守ろうとする「思い」が強ければ強いほど、そのための 取組が活発化し、「地域資源(コモンズ)」に対する要求が高まる。
著者
高橋 佳文 久保 武
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

音源定位認識機構の解明は、当初高橋によりメンフクロウの蝸牛神経核で単一神経細胞活動記録を行うことから始めた.この研究の結果、音源の認識は両耳に入った音の時間差が最適な場合蝸牛神経核ニューロンの興奮、不適当な時間差によって興奮性の低下が起こることがわかった(Saberi and Takahashi、2002).すでに従来の研究で知られているごとく、この情報は上位の中枢である下丘に到達して音源の定位認識がなされている.ヒトにおける音源定位認識機構および両耳聴効果については多くの研究がなされている.しかし、補聴器具を装用した難聴者における機構については殆ど知られていない.そこで我々は、補聴器および人工内耳を装用した高度難聴者における両耳装用効果および音源定位認識の研究を進めた.予備試験において、人工内耳単独より補聴器併用時に雑音下の聴取能の改善が認められた(井脇、久保、1999).騒音負荷の下に語音聴取能を自動的、定量的に検査するために、米国House Instituteにて開発され、欧米においては標準的検査法となっている(Hearing in Noise Test ; HINT : Nilsson and Soli,1994).我々は、難聴者のおいて両耳聴の効果を調べるためHINTの日本語版を作成した(HINT-Japanese : Shiroma et al.,2002).この検査を用いて、正面、左右のそれぞれのスピーカより、音圧の校正された言葉およびマルチトーカノイズを聞かせ、単耳聴および両耳聴時における明瞭度の差を調べた.すなわち、人工内耳単独使用(CI)の場合と、人工内耳と補聴器(CI+HA)の両耳併用の場合において、静寂時と雑音負荷時の条件で語音聴取検査を実施した.結果は、補聴器単独では、語音聴取能が0%とほとんど補聴効果が得られない症例においても両耳併用することにより人工内耳単独で得られる補聴効果よりも大きな効果が得られ、統計学的にも有意な改善が認められた(松代ら、2003).人工内耳と補聴器の両耳併用により、認知レベルでの拮抗はなく、しかも語音聴取能は改善されおり、人工内耳と補聴器の併用によっても両耳聴効果が得られることが明らかにされた.
著者
大久保 寛
出版者
首都大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2008

本研究では,鉱山地帯における磁界計測システム構築している。本システムの特徴は(1)センサにはフラックゲート磁力計を用いて,(2)地上・地中で同時観測し,(3)記録装置の時刻はGPSによって同期されている。本研究期間中の2008年6月に本観測地点からわずか26kmの地点での岩手・宮城内陸地震が発生した。本地震の発生時において,地震断層運動に伴うピエゾ磁気効果による磁界変化の観測に成功した。
著者
久保寺三郎 著
出版者
一元社
巻号頁・発行日
1930
著者
大久保 隆志
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

これまでの捜査の行き詰まりを打破し,新たな展望を見出すためには,従来の捜査手法を超えた新たな捜査を検討すべきであると言われている。しかし,これを我が国の刑訴法と整合的に接合するためには,新たな捜査と従来の捜査の適法性の共通基盤を見出す必要があるところ,その基盤は,結局のところ,従来から議論のあった「自己決定」と「利益衡量」の在り方に収斂されるように思われる。そうすると,新たな捜査は,自由な「自己決定」を害することなく,適正な「利益衡量」に支えられた捜査であることが前提となる。その意味において,「自己決定」と「利益衡量」とが,捜査を支える「指導理念」の中核的概念であると考えられる。
著者
磯田 則生 久保 博子 都築 和代 東 実千代 光田 恵 佐々 尚美 萬羽 郁子
出版者
奈良女子大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2009

省エネルギーと個人の適応能力に着目し、住居の最適空調環境を明らかにするため、一連の温熱環境実測調査と空気環境調査、人工気候室での環境適応実験と空気質実験を行った。その結果、冬期のトイレや浴室環境の劣悪さ、環境共生住宅や半地室の快適性や断熱改修の高齢者の健康生活への効果を示した。又、空気環境の悪化の懸念と臭気環境の制御の重要性が明らかになった。さらに、省エネルギーを意識すると、夏期の快適温度が1℃上昇することや、寒さに弱い被験者や高齢者の温熱的特性について示した。
著者
久保 卓哉
出版者
福山大学
雑誌
福山大学人間文化学部紀要
巻号頁・発行日
vol.5, pp.A37-A50, 2005-03-01

六朝の宮廷では七夕の宴が催され歌舞音曲とともに盛んに詩歌が作られた。宮廷での七夕詩を陳後主の場合を中心にして、西晋の皇太子と潘尼、陸機及び梁の武帝と任〓の七夕詩の特徴を明らかにする。
著者
武藤 伸明 斉藤 和巳 池田 哲夫 大久保 誠也 藤澤 由和 小藪 明生
出版者
静岡県立大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、 ソーシャルネットワークから収集可能なエゴセントリック情報より、全体ネットワーク構造を推定する手法の開発を目的とする。このネットワークの構造推定は NP-困難クラスに属する組合せ最適化問題を扱うことになり、その効率的な解法として遅延評価付き貪欲法の応用法を考案した。また、ネットワーク構造推定法の妥当性を評価するために、ネットワークの本質的構造を表す評価尺度の考案や、ネットワークデータを含む各種データの可視化法の考案を行った。
著者
脇阪 史帆 久保田 直行
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
ロボティクス・メカトロニクス講演会講演概要集
巻号頁・発行日
vol.2008, pp."1P1-G04(1)"-"1P1-G04(4)", 2008-06-06

Recently, the existence of the robot approaches human's daily life. In such an environment, the robot not only follows the action designed in advance but also should perceive what the situation is, and do an appropriate action. Then, in this paper, it aims to achieve the perceptual system like humans for the partner robot that coexists in the same environment with people, and to acquire an adaptive action in an interaction. So approaching the interaction ability of the robot from the side of feelings and installing the perceptual system that models human's feelings in the robot., it aims at the achievement of the natural, effective interaction that humans is doing.
著者
青木 英明 久保田 尚 中村 文彦 大森 宣暁 高見 淳史 望月 真一 諏訪 嵩人 森井 広樹 森 和也
出版者
共立女子大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

3年の研究活動では、海外事業者から情報が得られ、英国ロンドンBarclays Cycle Hire計画担当者の講演会、フランス、ラロッシェル市副市長の講演会も主宰した。そして海外のバイシクルシェアリングの大規模なものが本格的な第三世代へ至ったことを理解した。国内ではシクロシティ富山の事業で得られたデータを解析することにより、東京大学、横浜国立大学研究室のスタッフがサービスの供給需要に関する定量的な検討を行い、利用実態の把握ができた。
著者
小久保 博崇 金岡 晃 満保 雅浩 岡本 栄司
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.53, no.9, pp.2086-2093, 2012-09-15

マルウェアの脅威は日々拡大しており,いまや社会に実害を及ぼす脅威となっている.また未知のマルウェアの侵入や活動を検出し,被害を防ぐことの重要性が高まっている.本論文ではCCC DATAset2011の攻撃通信データを利用し,通信プロトコルヘッダの特性を,性質の異なる複数の機械学習手法を組み合わせて学習することで未知攻撃を含む攻撃通信の持続的な検知を試みた.決定木の定期的な再学習に加え二次元自己組織化マップ(SOM)による逐次学習を取り入れることで安定して高い精度を保てるように工夫することにより,99%前後の確率で攻撃通信の検知を行うことが可能となった.