著者
大月 友 木下 奈緒子 久保 絢子 嶋田 洋徳
出版者
一般社団法人日本認知・行動療法学会
雑誌
行動療法研究 (ISSN:09106529)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.99-110, 2013-05-31
参考文献数
21

本研究は、Implicit Relational Assessment Procedure(IRAP)の信頼性と妥当性を、二つの観点から検討した。一つ目の観点は、言語関係の指標としてD_<IRAP>得点を用い、二つ目の観点は、心理的柔軟性の指標として反応潜時を用いた。32名の大学生を対象に、不安という言語刺激を対象とした不安IRAPを実施し、社会不安の顕在指標および潜在指標、心理的柔軟性の顕在指標、不安喚起場面での回避傾向との関連を検討した。また、信頼性の検討を目的として、24名を対象に1週間後に再度不安IRAPを実施した。その結果、不安IRAPに高い信頼性が確認された。また、言語関係の指標としてのD_<IRAP>得点は仮説どおりの結果が、心理的柔軟性の指標としての反応潜時は部分的に仮説を支持する結果が示された。これらの結果から、不安IRAPは二つの側面の指標として信頼性と妥当性を有していることが示唆された。
著者
久保 拓弥 粕谷 英一
出版者
日本生態学会
雑誌
日本生態学会誌 (ISSN:00215007)
巻号頁・発行日
vol.56, no.2, pp.181-190, 2006-08-31

生態学のデータ解析で一般化線形モデル(generalized linear model; GLM)が普及していくにつれ「GLMだけでは説明がむずかしい現象」にも注目が集まりつつある。たとえば「過分散」(overdispersion)はわれわれがあつかう観測データによくあらわれるパターンであり、これは「あり・なし」データやカウントデータのばらつきがGLMで解析できなくなるほど大きくなることだ。この過分散の原因のひとつは個体差・ブロック差といった「直接は観測されてないがばらつきを増大させる効果」(random effects)である。この解説記事ではこのrandom effectsも組みこんだ一般化線形混合モデル(generalized linear mixed model; GLMM)で架空データを解析しながら個体差・ブロック差を考慮したモデリングについて説明する。
著者
浦久保 孝光
出版者
神戸大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2011

ロボットアームの特異姿勢は,従来のロボット運動制御においては避けられる傾向が強い.本研究では,ロボットアームによるある種の作業に対しては,特異姿勢を用いて作業を遂行することにより,必要な関節トルクを低減することが可能であることを明らかにした.作業遂行のための最適運動を数値最適化によって求め,この運動に見られる特異姿勢の動力学的性質を解析により明らかにした.さらに,得られた最適軌道により実際のロボットにおいても特異姿勢を用いた省トルク化が達成されることを実機実験により明らかにした.
著者
久保田 裕之
出版者
社会学研究会
雑誌
ソシオロジ (ISSN:05841380)
巻号頁・発行日
vol.55, no.1, pp.3-19,136, 2010

Within recent family sociology in Japan, it has been taken for granted that the family cannot and should not be defined by researchers, partly because of the negative effect of including various lifestyles. However, avoiding family definition can be harmful or even destructive, unless there is a clear-cut explanation of what exactly is meant by saying "family cannot and should not be defined". This paper, then, will argue that it is inevitable and even essential for every single piece of scientific research on families to define a concept of the family in some way, and, conversely, to define a concept of "non-family", according to the best interest of each research project. In this paper, we examine three famous studies in the history of family sociology in Japan which focused on the concept of "non-family": one by Teizō TODA ([1973] 1970), another by Kiyomi MORIOKA ([1981] 1987), and a third by Yoshitaka IKEOKA et al. (1999). By examining this tradition of "non-family" studies, the inevitability and necessity of definition can best be illustrated, as the borderline which is drawn between the concepts of family and of non-family. Firstly, we scrutinize Masahiro YAMADA (1986; 1992) and IKEOKA et al. (1999), dealing with the subjective family definitions of the parties involved, because these approaches sometimes seem to put overmuch emphasis not on the researchers' definition but on the parties' subjective image and discourse on family. Secondly, contentions over the constructionist approach follow, which have arisen within the Sociology of Social Problems under the name of Ontological Gerrymandering. Finally, we examine TODA ([1973] 1970) and MORIOKA ([1981] 1987), which explicitly define the concepts of family and non-family. In conclusion, it can be argued that it is inevitable and even essential to define concepts of the family and "non-family", according to the best interests of each research project. "Family" should be re-defined and up-dated in order to embrace the diverse lifestyles within and without those of traditional families.
著者
松本 淳 久保田 尚之 藤部 文昭 林 泰一 山本 晴彦 財城 真寿美 寺尾 徹 村田 文絵 高橋 幸弘 山下 幸三 赤坂 郁美 遠藤 伸彦 森 修一 釜堀 弘隆 高橋 洋 山根 悠介 大塚 道子 遠藤 洋和
出版者
首都大学東京
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-11-18

日本を含むアジア諸国における紙媒体や画像での日降水量データや台風経路等をデジタル化したデータセットを作成し、モンスーンアジア域における降雨強度の長期変化を解析した。その結果、日本では1930年以降、東北日本を中心に降雨強度が大きくなっていた。フィリピンでは1950年以降の夏季には強雨の増加傾向が、冬季には西海岸で乾燥の強化傾向がみられた。1940年代以前の傾向はこれらとは異なり、近年の変化傾向は数十年スケールでの変動の一部とみられる事、エルニーニョと地球温暖化の影響の両方の影響を受けている可能性が高い事がわかった。中部ベトナムでも近年の傾向と1940年以前の傾向に違いがみられた。
著者
久保 慶三郎 岡田 恒男 関 松太郎 高梨 晃一 宇田川 邦明 龍岡 文夫 田村 重四郎 柴田 碧 藤田 隆史 半谷 裕彦 後藤 博司 松井 長行 片山 恒雄
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.30, no.11, pp.p411-427,図巻頭8p, 1978-11

1. まえがき : 2. 地震の概要, 久保, 慶三郎 : 3. 建築物の被害, 岡田, 恒男関, 松太郎高梨, 晃一宇田川, 邦明 : 4. 土木構造物の被害, 龍岡, 文夫田村, 重四郎 : 5. 産業施設・危険物施設の被害, 柴田, 碧藤田, 隆史 : 6. 福島県における被害の概要, 半谷, 裕彦後藤, 博司松井, 長行 : 7. 都市供給施設の被害と復旧, 片山, 恒雄1978年6月12日午後5時14分頃,牡鹿半島沖約100kmを震央として発生したマグニチュード7.4の宮城県沖地震は,仙台市を中心とする宮城県のほか福島県・岩手県などで土木・建築その他各種の構造物や施設に大きな被害を与えた.この報告は,地震工学に関係する本所の各専問分野の研究者が行った宮城県沖地震の被害調査の結果を速報的にまとめたものである
著者
福田 勉 久保 義直
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

海洋天然物ラメラリンα 20-サルフェートは、HIV-1インテグラーゼをIC50値 22 μMで選択的に阻害するとともに、実際の標的細胞に対するHIV-1ウィルス感染をIC50値 8 μMで抑制することが知られている。一方でHeLa細胞に対するMTTアッセイから、ラメラリンα 20-サルフェートのLD50値は274 μMと低毒性であることも報告されている。このようなラメラリンα 20-サルフェートの特徴から新たな抗HIV剤のリードとして期待されるにも関わらず、これまでに構造活性相関研究はほとんどなされてこなかった。そこで本研究では、研究代表者らが開発した合成戦略を用いてラメラリンサルフェート類縁体の効率的な合成を行った。また構造活性相関研究から、ラメラリン五環性骨格並びにスルホ基が抗HIV-1活性に必要であることを見出した。さらに共焦点レーザー走査型顕微鏡による分析と細胞膜-細胞膜融合実験から、ラメラリンサルフェート類の抗HIV-1活性は、以前に提唱されていたインテグレーションの段階というよりウィルスの侵入段階の阻害によるものであることが示唆された。
著者
田村 重四郎 岡本 瞬三 久保 慶三郎 片山 恒男 韓 国城 小川 好 野中 昌明
出版者
東京大学生産技術研究所
雑誌
生産研究 (ISSN:0037105X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.p10-24,図巻頭8p, 1982-01
被引用文献数
1

小特集:海域・唐山地震の被害と中国の耐震研究1975年海域地震、1976年唐山地震によって中国では甚大な人的および物的被害が生じた。本報告は、東京大学生産技術研究所の耐震工学の研究者を中心とした調査団が1981年夏に中国を訪問して海域県・唐山市・天津市をはじめとする各地で調査した結果をとりまとめたものである。この調査によって、両地震による建築物・土木構造物等の被害の実体がかなり明らかになった。特にレンガ造りの構造物の脆弱さが再認識された一方、よく設計・施工されている構造物の被害は少なかったことがわかった。
著者
大久保徳二 編
出版者
陸軍大学校将校集会所
巻号頁・発行日
vol.明治39年度, 1907
著者
小久保 欣哉
出版者
一般社団法人日本PDA製薬学会
雑誌
日本PDA学術誌 GMPとバリデーション (ISSN:13444891)
巻号頁・発行日
vol.15, no.1, pp.1-9, 2013 (Released:2013-08-31)
参考文献数
21

本稿は,定量的な分析を通じて国内大手製薬企業の企業間合併と技術提携がイノベーションの本源的要因に与える影響について明らかにすることを目的としている。分析には,国内大手製薬企業を対象に質問票調査回答を得た 43 社の結果データを用いた。分析の結果,(1) 国内大手製薬企業の戦略として,R&D 投資と M&A の実施には代替的な関係がみられる一方,技術提携と M&A は補完的な関係が見られた。また,技術提携は技術機会を多様化させる効果を持つことが明らかになった。(2) 国内大手製薬企業間の M&A においては,専有可能性を重要視しており,規模を追求するために水平統合的な M&A を実施している。専有可能性を追求するうえでは,「特許での模倣防止」「特許でのロイヤリティ確保」「販売・サービスで有利構築」を重要視している。(3) 国内大手製薬企業間の合併・統合は,専有可能性を高める一方,技術機会の多様化は図れないというトレードオフな関係が見られている。(4) 国内大手製薬企業は,水平的 M&A に加えて,バイオ医薬品の獲得を目的とした垂直統合的な M&A を実施している,などの示唆が得られた。   本研究には,検討すべき多くの課題が依然として残されている。第 1 に,定量分析としては,サンプル数が 43 社に留まっていること。第 2 に,本研究でのイノベーションへの直接的影響や因果関係については推定の域を出ないということ。第 3 に,本研究対象企業の分析は一時点に留まり,M&A や技術提携後の当該企業のパフォーマンスに関する追求がなされていないことが挙げられる。
著者
久保田 浩司
出版者
一般社団法人日本時計学会
雑誌
マイクロメカトロニクス (ISSN:13438565)
巻号頁・発行日
vol.49, no.192, pp.53-57, 2005-06-10

2004年は「日本・スイス修好通商条約」140年に当たり, 二つの催しが日本で行われた.その一つはドイツ東洋文化研究教会・在日スイス大使館による10月5日-15日ドイツ文化会館における「エメー・アンベールースイス特派使節の見た幕末日本」展示会開催であり, 二番目は10月9日10時-17時日本女子大学国際交流センターで行われた「幕末・明治期の日瑞交流をめぐって」と題する記念シンポジウムであった.
著者
大久保利武 編
出版者
東京保護会
巻号頁・発行日
1929
著者
大久保岩三郎 著
出版者
富貴堂
巻号頁・発行日
1910
著者
杉岡 秀紀 久保 友美
出版者
同志社大学
雑誌
社会科学 (ISSN:04196759)
巻号頁・発行日
vol.79, pp.129-158, 2007

大学(学生)ボランティアセンター(以下、大学VC)が大学に出来たのは、1987年の大阪キリスト教短期大学がその起源とされているが、(1)「大学生への教育効果」、(2)「社会・地域とのインターミディアリ機能」、(3)「大学の社会貢献」の3つをその存在意義として、1995年の阪神・淡路大震災以降一気に増えた感がある。しかし、同時にここ数年で見ると,量質ともに少し伸び悩んでいる印象がぬぐいされない。そこで,本研究では,大学VCの意義・役割,類型,事業内容などの概要を整理する中で、昨今注目されつつあるサービス・ラーニング(「学生達が人々とコミュニティのニーズに対応した活動に従事する中で学ぶ、経験的学習のひとつの形のこと。以下、「SL」)という概念に注目し、その大学VCへの導入の可能性を、関西を中心とする大学VCからのヒアリングの中から探ってみた。結論から言えば、大学ごとに多少の差異はあるものの、今後の大学VCには、「SL」の視点を導入することが、センターの存続のためにも必要不可欠な視点であるという事である。なお、この視点というのは地域と大学との連携協働のまちづくりを進める上でも重要なファクターになると筆者らは考える。
著者
久保山 力也 井門 正美 藤本 亮
出版者
早稲田大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究は、ゲーミング手法を用いて、裁判員制度と民事紛争解決教材の開発を行うものであったがそれに付け加え、各種調査や教材の開発、実践等を行った。5年間の研究期間において、裁判員裁判ゲーム、ADRゲーム、取調べ体験ゲーム、被害者学教育ゲーム、法専門家活用ゲーム等を作成した。法教育フェスタや東京ゲームショウ等でプレゼンを行ったほか、国際会議、国際学会、国内学会等で広く成果を公開するにいたった。ゲーミング法教育、という1ジャンルを形成することができたことが、本研究最大の成果であると考える。