著者
高橋 玄 佐藤 雅彦 大久保 剛
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.91-94, 2009-01-31 (Released:2009-03-03)
参考文献数
7
被引用文献数
1

症例は79歳男性。近医に脳梗塞・認知症で入院中であった。既往に内痔核があり痔疾用軟膏を1日1本投与されていた。2008年3月上旬に腹痛・嘔吐が出現。腹部所見は板状硬であり,腹部CT検査でfree airが認められ当院転院となった。消化管穿孔・汎発性腹膜炎の診断で同日緊急手術施行。腹腔内は糞便で汚染されており,洗浄後観察すると直腸Raに深達度SSの直腸癌と思われる腫瘍が認められた。その1cm口側に10mm大の穿孔部位があり,痔疾用軟膏のケースの1部が露出していた。術式は腹腔ドレナージ+ハルトマン手術とした。病理組織結果はSS,N0の高分化腺癌であった。その後,不幸にして患者は呼吸不全となり永眠された。痔疾用軟膏のケースにより消化管穿孔をおこした直腸癌は極めてまれであり,今後このように不幸な転機をとる患者を減らすためには本人以外が薬剤を投与するなどの予防策を考慮すべきであると思われた。若干の文献的検討を加え報告する。
著者
久保 静真 岩澤 有祐 松尾 豊
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第32回全国大会(2018)
巻号頁・発行日
pp.4M103, 2018 (Released:2018-07-30)

本稿では、Generative adversarial networks(GANs)に基づく写真上の自動着せ替えの新しい手法であるSwapGANを提案する。Conditional Analogy GAN(CAGAN)は、GANに基づく自動着せ替えの手法として既に提案されているが、複雑なパターンの服の生成は難しい。衣類の領域を考慮することで、SwapGANはCAGANよりも服のパターンをよりよく反映させることが出来る。このSwapGANは、大規模なデータセットで訓練されたセグメンテーションのモデルを使用してして、写真上の人物の衣服の領域を最初に取得する。次に、取得した領域を用いて衣服部分を人間の画像から除去する。そして、空白領域に所望の衣服を描写する。このようにネットワークは新しい服を人の服の領域に適用出来るようになる。さらに、テスト時にCAGANで必要であった人物が元々着用している服の画像はSwapGANでは不要になる。
著者
川口 輝太 久保 遼馬 藤田 拓也 前田 竜冶 宇津呂 武仁 小林 彰夫 西崎 博光 河田 容英
雑誌
研究報告自然言語処理(NL) (ISSN:21888779)
巻号頁・発行日
vol.2019-NL-241, no.22, pp.1-9, 2019-08-22

本論文では,テレビドラマ視聴者がドラマ視聴後にウェブ上で行うドラマ関連関心動向 ・感想 ・レビュー類の情報探索過程を支援することを目的として,ブログ ・ドラマ関連サイト等のウェブページからの情報収集 ・集約を行うウェブマイニング技術を提案する.具体的には,本論文では,BERT および Wikipedia を用いて,文単位での当該ドラマ関連判定および主観情報判定を行うとともに,文単位での判定結果に基づいて,ウェブページ単位での当該ドラマ関連判定および主観情報判定を行う手法,および,その評価結果について述べる.
著者
大久保 毅 川村 光
出版者
一般社団法人 日本物理学会
雑誌
日本物理学会誌 (ISSN:00290181)
巻号頁・発行日
vol.67, no.7, pp.500-504, 2012-07-05 (Released:2018-03-02)
参考文献数
27

相互作用に競合が存在するフラストレート磁性体では,しばしば,新奇な磁気構造が実現する.我々は,フラストレート系の典型例である三角格子上の古典ハイゼンベルグ反強磁性体の磁場中秩序化を理論的に解析し,次近接以降の相互作用が強い状況では,複数の波数秩序が共存する多重Q秩序状態が有限温度・有限磁場で安定化されることを明らかにした.特に,中程度の磁場で出現するtriple-q状態では,立体的な構造を持ったハイゼンベルグ・スピン系がスピン空間で織りなすトポロジカル励起である"スカーミオン"が三角格子を形成した"スカーミオン格子"が実現している.
著者
舟久保 ゆう
出版者
日本臨床免疫学会
雑誌
日本臨床免疫学会会誌 (ISSN:09114300)
巻号頁・発行日
vol.35, no.6, pp.470-480, 2012 (Released:2012-12-31)
参考文献数
67
被引用文献数
2 8

全身性エリテマトーデス(Systemic lupus erythematosus : SLE)は若年女性に好発する慢性炎症性の自己免疫疾患である.SLE患者は動脈硬化性心血管病による死亡率および罹病率が高く,画像診断では若年齢から潜在性動脈硬化が進んでいることも明らかになった.動脈硬化は血管内皮傷害を発端に炎症性細胞やメディエーターが関与した血管の慢性炎症と認識されており,SLEにおける動脈硬化発症・進展過程にも慢性炎症や免疫異常の関与が示唆されている.SLEの動脈硬化危険因子として脂質異常症,高血圧,耐糖能異常といった古典的心血管危険因子だけでなく,高CRP血症,高ホモシスチン血症,高疾患活動性,炎症性サイトカイン,血管内皮傷害,自己抗体や治療薬などが候補にあがっている.今後はSLE患者でも動脈硬化リスクを評価する必要があり,さらに動脈硬化の予防戦略と最適な治療法の確立が期待される.
著者
久保田 さゆり
出版者
日本倫理学会 ; 1952-
雑誌
倫理学年報 (ISSN:04830830)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.231-244, 2014
著者
光島 徹 永谷 京平 有馬 信之 横田 敏弘 南原 好和 井熊 仁 津田 純郎 大橋 茂樹 横内 敬二 阿部 陽介 野村 朋子 抱井 昌夫 吉田 美代子 浅野 幸宏 小久保 武
出版者
JAPAN SOCIETY OF NINGEN DOCK
雑誌
健康医学 (ISSN:09140328)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.23-27, 1989

4種類の免疫学的便潜血テストを,全大腸内視鏡所見を至適基準として評価した。一泊人間ドック受診者1,800名を対象として検討した結果,発見大腸癌6例に対する感度及び特異度はそれぞれ,イムディアヘムSPO.33,0.98,0Cヘモディア0.17,O.98,モノヘムO.33,0.99,チェックメイトヘモO.50,0.97であった。
著者
久保 桂子
出版者
千葉大学教育学部
雑誌
千葉大学教育学部研究紀要 (ISSN:13482084)
巻号頁・発行日
vol.57, pp.275-282, 2009-03

本研究は,フルタイム共働き夫婦の家事分担に影響を与える物理的・意識的要因を明らかにするとともに,共働きをしながらも家事分担には抵抗を感じる夫の意識とさまざまな性役割意識との関連を明らかにする。分析には,2005年に行った共働きの夫婦調査を用い,そのうち,18歳未満の子どもを持つフルタイムの共働き夫婦を対象とした。主な結果は以下のとおりである。妻の年収が高いほど,夫の通勤・勤務の合計時間が短いほど,夫の家事分担度が高いことが明らかとなった。さらに,夫が家事を行うことに対する抵抗感について,夫が抵抗感を持っている場合も,妻が持っている場合もともに,夫の家事分担度が低い傾向にある。また,夫が家事をすることに抵抗を感じるという性役割意識は,女性への母親役割,妻役割を期待する意識と強く関連していることが明らかとなった。This study examines the factors concerning the division of housework between couples and the husband's gender role attitudes. I studied 895 full-time dual-earner couples with children under eighteen years old from a 2005 survey of dual-earner couples. This study shows that wives' high income is positively related to the husband's role in doing housework. Husbands' long working hours are negatively related to the husband's role in doing housework. In cases involving couples who think husbands must not cook or do the laundry, these cases are also negatively related to the husband's role in doing housework. The husband's gender role attitude that men must not cook or do the laundry is positively related to the husband's positive attitudes toward the mother's role and wife's role.
著者
堀川 朝広 久保田 健治 小田 勇一郎 原 慎太郎
出版者
西日本整形・災害外科学会
雑誌
整形外科と災害外科 (ISSN:00371033)
巻号頁・発行日
vol.65, no.4, pp.680-685, 2016-09-25 (Released:2016-12-06)
参考文献数
14
被引用文献数
3

【はじめに】内側開大式高位脛骨骨切り術(以下OWHTO)は術後に膝蓋骨低位が発生する問題点がある.我々は膝蓋骨低位にならない手術手技として近位骨片に脛骨粗面を連続させ骨切りを行う方法(distal-tuberosity osteotomy, 以下DTO)を施行してきた.本研究では従来の遠位骨片に脛骨粗面を連続させる方法(proximal-tuberosity osteotomy, 以下PTO)とDTOを比較検討した.【対象と方法】OWHTOを施行した59膝をPTO群(P群)30膝とDTO群(D群)29膝とに分けた.それぞれの骨切り開大角度,脛骨後傾角,術前術後の膝蓋骨の高さ,また鏡視下に膝蓋大腿関節面を評価した.【結果】平均開大角度はP群9.4°,D群12.0°であった.脛骨後傾角はP群で10.8°から11.8°,D群で10.1°から10.9°に増大したが有意差はなかった.Blackburne-Peel比でP群が術後に平均0.11(有意差あり),D群が平均0.05(有意差なし),Caton Deschamps indexではP群が術後に平均0.12(有意差あり),D群が平均0.05(有意差なし)低下した.また,P群では開大角度が増大するにつれて膝蓋骨がより低下したが,D群ではほぼ変化しなかった.膝蓋大腿関節の変性はP群で33.3%が進行したが,D群では9.1%のみが進行し86.4%は不変であった.【考察】DTOは術後の膝蓋骨低位や膝蓋大腿関節変性を抑えうることが示唆された.
著者
久保 尊洋 沢宮 容子
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
pp.89.17205, (Released:2018-09-20)
参考文献数
33
被引用文献数
3

Passion is defined as a strong inclination toward an activity that one likes, that one finds important, and in which one invests time and energy. These activities are eventually internalized as part of one’s identity. The Dualistic Model of Passion posits the existence of two types of passion - harmonious and obsessive passion (Vallerand et al., 2003; Vallerand, 2015). These two types of passion have been assessed through the Passion Scale (Marsh et al., 2013). The purpose of the present study was to develop a Japanese version of the Passion Scale and to evaluate its reliability and validity. In Study 1, Japanese university students completed a questionnaire that examined the relationship between the Passion Scale and measures of flow, concentration, anxiety, shame, depression, wellbeing and positive and negative affect. In Study 2, we examined the test-retest reliability. The results provided support for the two-factor structure of the Japanese Passion Scale and showed high reliability and validity. Overall, this evidence supports the practical applicability of the Japanese Passion Scale.
著者
井谷 美友 久保(川合) 南海子 川合 伸幸
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR ANIMAL PSYCHOLOGY
雑誌
動物心理学研究 (ISSN:09168419)
巻号頁・発行日
vol.65, no.2, pp.63-69, 2015 (Released:2015-12-18)
参考文献数
16

Studies on instrumental learning have rarely been conducted with tailed amphibians. This may be due primarily to difficulties in training newts with food rewards. Most previous studies on instrumental learning by newts have employed runways without a distinct discriminative stimulus associated with food. In this study, we trained newts (Cynops pyrrhogaster) with black rings as the discriminative stimuli at close distance (5 cm ahead). Two newts were trained to pass through one ring with a diameter of 8 cm. One newt failed to show evidence of learning (i.e., decreased response time) with 14 sessions of massed trials (4 trials/session). The second newt, however, learned to pass through rings with diameters of 8, 6, 5, and 4 cm. A 20-trial follow-up probe test was conducted with the second newt, in which the 4-cm black ring and a novel red square were presented side by side. The newt did not choose the black ring over the red square in any of the trials, suggesting that neither the black color nor the circle shape drove the newt’s behavior. In a retention test conducted 185 days later, the newt did not pass through the ring of 4 cm at all, suggesting that this behavior was learned but not retained after 6 months. Presentations of distinctive stimuli in close proximity might enhance appetitive instrumental learning by newts, which is otherwise difficult to accomplish using runway apparatuses with no distinctive cues to elicit instrumental behaviors.
著者
堀 秀昭 藤本 昭 木下 寛隆 久保 憂弥 林 正岳
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2008, pp.E3P2215, 2009

【目的】高齢者の転倒による骨折は、筋骨格系の廃用症候群を生じさせ、全身の心身機能、生活機能が低下するといわれている.特に要支援、要介護1等の軽度者に、転倒骨折を予防する目的で運動器の機能向上が実施されている.前回学会で、生涯スポーツ別の身体能力を調査し、生涯スポーツ実施の有無で身体機能に有意な違いが見られ、生涯スポーツの実施による介護予防を提唱した.今回、転倒経験と生涯スポーツ、身体機能との関係について調査した.<BR>【方法】対象は、765名(平均年齢73.3±7.3、男性248名、女性517名)で、スポーツ実施高齢者366名(平均年齢69.8歳)とスポーツ非実施高齢者399名(平均年齢76.5歳)とした.スポーツの種類は、エスキーテニス、バウンドテニス、ラージボール卓球、シルバーバレーボール、グランドゴルフ、マレットゴルフ、ゲートボール、太極拳とした.身体機能評価は、片脚立位時間、握力、5m速度とし、同時に転倒経験について調査した.分析は、SPSSVer11にて、ロジスティック回帰分析、変数増加法ステップワイズ(尤度比)により分析した.またROC曲線を用いてカットオフ値を求めた.尚対象者には研究に関する説明を行い同意を得た.<BR>【結果】1、転倒経験とスポーツ実施の関係:転倒経験を従属変数としスポーツ実施、年齢、性別を共変量としてロジスティック解析を行った結果、スポーツ実施が有意な関係を示し(p<0.05)、オッズ比0.654であった.スポーツ実施者は366名中44名(12%)、非実施者は399名中69名(17.3%)に転倒経験があり、χ<SUP>2</SUP>検定で両群に有意に違いが見られた.2、転倒経験とスポーツ種目別の関係:転倒経験を従属変数としスポーツ8種目を共変量としてロジスティック解析を行った結果、太極拳が有意な関係を示し(p<0.05)、オッズ比0.217であった.3.転倒経験と身体機能の関係:5M歩行速度に有意な関係(p<0.05)を示し、オッズ比1.179であり、カットオフ値3.0秒であった.4.スポーツ実施と身体機能の関係:5M歩行速度と握力に有意な関係(p<0.01)を示し、オッズ比0.237、1.163であり、カットオフ値は、3.0秒と25.6Kgであった.<BR>【考察】今回転倒経験と生涯スポーツとの関係について調査し、生涯スポーツを実施している高齢者は、転倒経験が少なく、特に太極拳を行うと転倒の0.217倍となることが分かった.敦らによる太極拳は足関節の柔軟性の改善に有効としており、太極拳の運動要素を実施することでバランス機能が維持されるのではないかと考える.また転倒経験と身体機能の5M歩行と握力に関係が認められ、目標数値として5Mを3秒、握力25.6Kgが示されたことで、今後の介護予防事業につなげていきたい.また今回、転倒経験と年齢の関係が認められず、これはスポーツを実施することで高齢者においても転倒の危険性が軽減することが示された.

2 0 0 0 OA 峡中勝覧

著者
久保豊太郎 編
出版者
笑堂
巻号頁・発行日
vol.巻1, 1884
著者
古久保 さくら 丸山 里美 高松 里江 須藤 八千代 山口 薫 茶園 敏美 小川 裕子
出版者
大阪市立大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2015-04-01

本研究は、1947~1997年に大阪府内に存在した婦人保護施設「生野学園」の50年間の記録・資料を主資料として研究を進めることにより、戦後日本の女性の貧困・困窮の実態について明らかにした。婦人保護施設は売春防止法により規定された施設であるが、その施設開設初期段階から家族のなかに居場所を失った多様な困難を抱える女性たちを受け入れ支援する場として存在したことが明らかになった。また、同時に「売春」と言われてきた行為について、性暴力・恋愛との連続性、言い換えれば客体化された被害者としての側面と主体化された行為者としての側面から概念を再検討する必要性も見えてきた。