著者
川久保 惇 小口 孝司
出版者
日本国際観光学会
雑誌
日本国際観光学会論文集 (ISSN:24332976)
巻号頁・発行日
vol.22, pp.179-185, 2015 (Released:2019-06-12)
参考文献数
24

Long-term stress may lead to many types of mental health problems. Short-stay vacations at mental health rejuvenation facilities and stress relief training could improve stress management. Recently, tourism enterprises focus on health care and some of them are specific for stress relief and revitalization. Therefore, this study investigates the effects of these facilities on mental health. We conducted a longitudinal study and collected Japanese employees as participants (N=50) to examine the psychological effects of a 1-night stay at a mental health rejuvenation facility and stress management training on their mental health. The results suggested that a mental health rejuvenation facility as short-stay vacation destinations was effective for maintaining the mental health of employees.
著者
小久保 博雅 細谷 俊二 市川 雅幸
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.141, no.4, pp.213-219, 2013 (Released:2013-04-10)
参考文献数
18

プルモザイム®吸入液2.5 mg(有効成分:ドルナーゼ アルファ)は,ヒトデオキシリボヌクレアーゼI(DNase I)遺伝子を用いて作製した遺伝子組換えヒトDNA分解酵素製剤で,「嚢胞性線維症における肺機能の改善」の効能・効果として2012年3月に承認された.嚢胞性線維症患者の痰を用いた試験において痰の流動性増加,コーンプレート粘度の低下がみられ,嚢胞性線維症患者に投与後気道分泌物中でDNase濃度と酵素活性が6時間にわたって維持された.気道内分泌物中に含まれている死滅好中球由来のDNA加水分解により,分泌物の粘稠性を低下させ気道からの除去を容易にすることが,肺機能の改善の主たる作用機序と考えられている.努力肺活量(FVC)が予測値の40%以上である嚢胞性線維症患者を対象に実施された臨床試験において,ネブライザーによる本薬吸入(2.5~10 mg 1日2回)は呼吸1秒量(FEV1)の増加効果を示しFVC,呼吸困難,嚢胞性線維症関連症状等,QOLの改善が認められた.また,第III相試験として気道感染の発症率低下とFEV1の持続的改善効果が示され,抗生物質非経口投与の累積日数および累積入院日数が短縮した.安全性については第III相試験において,すべての被験者で,本剤投与の忍容性に問題はなかった.主な副作用は軽度の発声障害と咽頭炎であった.以上のことから,ドルナーゼ アルファはこれまで十分な治療が施せなかった本邦の嚢胞性線維症患者の肺機能改善に寄与することが期待される.
著者
伊藤 忠 太田 和義 馬渕 晃好 國島 宏樹 山崎 一徳 森田 良文 谷川 智康 吉久 みな子 久保 晃 酒井 義人
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.28, no.6, pp.751-756, 2013 (Released:2014-01-21)
参考文献数
19

〔目的〕本研究は,ケイデンスを変化させた後進歩行練習直後の運動機能の影響を検証することである.〔対象〕対象者は,高齢者6名(以下高齢者群),若年者7名(以下青年群),中学生7名(以下少年群)とした.〔方法〕3分間の後進歩行練習を,メトロノームを使用して,ケイデンスを自由速度から50%の速度へと30秒ごとに増減させて実施した.運動機能評価は,自由歩行速度,timed“up & go”test (以下TUG),5 m最大歩行速度,片脚立位時間,座位開閉ステッピングテスト,chair stand test(以下CS-30)とした.〔結果〕共通して,5 m最大歩行速度,CS-30で有意な向上を認めた.〔結語〕後進歩行練習は,年齢によって若干の違いは出るが,運動機能向上に有用であることが示唆された.
著者
大久保 喜美 東條 秀徳
雑誌
鶏病研究会報 (ISSN:0285709X)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.84-90, 2009-08-25
参考文献数
4
被引用文献数
1

消石灰による「待ち受け消毒」効果を検証することを目的に、消石灰粉末および1%消石灰液による踏み込み消毒について、鳥インフルエンザウイルス(AIV)ならびに病原性細菌であるSalmonella Typhimurium(ST)およびStaphylococcus aureus(SA)を用いた感作試験により、その効果を調査した。1%消石灰液をAIVに感作させると、感染性を消失させることはできたが、赤血球凝集能(HA)への影響はなかった。STに対し消石灰は粉末、1%消石灰液および0.1%消石灰液で消毒効果はみられたが、SAは容易に消毒できなかった。消石灰の消毒効果は、乾燥粉末状態であれば強アルカリ性(pH12以上)を示し長期間保たれるが、一度濡れた後乾燥すると炭酸カルシウム(炭酸Ca)へと変化し失われた。即ち、降雨にさらされる屋外での粉末散布では、降雨後晴れて地面が乾燥すれば、再度散布が必要であると示唆された。また、有効散布量は1m2当たり300g以上で、かつ均等に散布することが重要である。踏み込み消毒に用いた1%消石灰液は強アルカリ性を保持し、一般細菌や大腸菌群に対し長期間有効であった。さらに1%消石灰液に1%(v/v)の逆性石鹸を追加することで、芽胞桿菌および真菌も発育を抑制し消毒効果が増強された。以上のことから、養鶏農場外縁部および鶏舎周囲への消石灰の粉末散布は、AIV等病原性微生物を含んだ野鳥糞便の鶏舎周囲への落下および体表に病原性微生物が付着した野生生物が鶏舎に侵入する際の「待ち受け消毒」として、また1%消石灰液は鶏舎内に立ち入る人に対する「待ち受け消毒」である踏み込み消毒槽に用いる消毒剤としての有効性が確認された。
著者
谷口 綾 大久保 功子 齋藤 真希 廣山 奈津子 小田柿 ふみ 三隅 順子
出版者
Japan Academy of Nursing Science
雑誌
日本看護科学会誌 (ISSN:02875330)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.94-102, 2014-03-20 (Released:2014-05-30)
参考文献数
16
被引用文献数
2 1

目的:帝王切開で出産した女性の,妊娠中から産後1か月までの帝王切開に対する心理的プロセスとその影響要因を明らかにし,看護支援への示唆を得ることを目的とした.方法:グラウンデッド・セオリー・アプローチを用い,帝王切開後の女性18名に半構造化面接を行って分析し理論化を試みた.結果:女性は帝王切開に対する〈心づもり〉と〈意味づけ〉のプロセスをたどることで,帝王切開に対する〔覚悟〕と〔納得〕に至る.それらは〈帝王切開の可能性の認識〉をした時点から始まり,〈手術への恐怖〉や〈自然分娩への未練〉は阻害要因,医療者や経験者とのやりとりは促進要因となる.〈意味づけ〉は分娩後にも続く.緊急帝王切開では〈心づもり〉や〈意味づけ〉ができないまま手術に臨む場合があるが,〔納得〕するためには,分娩後に〈意味づけ〉が行われる.考察:帝王切開に対する〔覚悟〕と〔納得〕の理論を軸に,〈心づもり〉と〈意味づけ〉を促すような具体的な看護支援が示唆された.
著者
永井 亜矢子 久保田 優 東山 幸恵
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.66, no.5, pp.249-254, 2013 (Released:2013-10-21)
参考文献数
34
被引用文献数
1

正常な味覚閾値は健康な食生活に大切である。味覚閾値に影響を及ぼす因子の一つとして疲労やストレスが挙げられるが, それらが味覚閾値にどのような影響を与えるかを検討した研究は特に小児において殆どみられない。そこで, 健常な小学生男女58名を対象に, 疲労やストレスが味覚閾値とどのように関連するのかを検討した。味覚閾値は濾紙ディスク法を用いて4基本味を測定した。ストレスは唾液α-アミラーゼ活性を, 疲労はチャルダー疲労スケールを指標として評価した。唾液α-アミラーゼ活性によるストレス度別に4群で比較したところ, 味覚低下者数に違いはなかった。チャルダー疲労スケールでは, 非疲労群に比べ疲労群で有意に味覚低下者数が多かった (身体的疲労:酸味p=0.02, 精神的疲労:塩味p=0.03, 総合的疲労:酸味p<0.01, 苦味p=0.02) 。以上より, 小児において疲労は特定の味覚閾値を上昇させる可能性が示唆された。
著者
松田 智 久保田 宏
出版者
日本LCA学会
雑誌
日本LCA学会誌 (ISSN:18802761)
巻号頁・発行日
vol.4, no.1, pp.67-77, 2008 (Released:2012-06-06)
参考文献数
20
被引用文献数
3 4

Objective. The "bottle to bottle recycling" of PET bottle by chemical process, hydrolysis and re-synthesis of PET resin, was put into practical use in April of 2004 in Japan, and this method was regarded as one of the most promising routes of PET bottle recycle. There are, however, several options of PET bottle recycling that should be examined whether they are really useful or not. In this study, LCA analysis was tried to estimate the effectiveness of several alternatives of PET bottle recycling. A new concept of "Social Energy Consumption", defined as sum of energy inputs for production plus feed stock energy minus total energy loss in our society during the use and recycling of PET bottle, was proposed and used as criteria for estimating the effectiveness of the PET bottle recycling: in other words, energy equivalent of resource conservative quantity was used for estimation of recycling, that is a main characteristic of this study. Results and Discussion. Several case studies were carried out to examine the adequacy of assumed values as well as the estimation procedure adopted in this study. As a result, the reliability of the values and method was confirmed. Results of the case studies indicated that the advantage of the chemical recycle for bottle to bottle is not so larger as was expected than that of material recycle for other products, because energy input for chemical recycle is rather large, however the difference in the quality of products is not taken into account. And it was also found that bottle reproduction from flakes obtained directly by crushing used PET bottle has a better potential advantage, meaning that this recycle route will be worthy of serious consideration although this is not practical in present-day Japan by the ministerial regulation from a hygiene point of view.Conclusions. Thus, there should be more emphasis on the necessity of wide-ranging discussions on the recycle of PET bottle based on objective and quantitative LCA investigation from the stand point of, not only CO2 emission, but the social utility of repeated use of petroleum resource.
著者
久保 肇 森 武俊 佐藤 知正
出版者
公益社団法人 日本生体医工学会
雑誌
生体医工学 (ISSN:1347443X)
巻号頁・発行日
vol.48, no.6, pp.595-603, 2010-12-10 (Released:2011-06-07)
参考文献数
15

A microwave Doppler sensor can sense wide range of human motion, from minute displacement of body surface caused by respiration to large movement like walking, without contact. To apply the sensor to monitoring human daily activity for safety and health, it is necessary to estimate the current state from the raw signal of the sensor output. In this paper, we propose a method to detect the following three state, “move”:the target is changing his/her position or pose, “resp.”:the target sits still and is breathing, and“hold”:the target sits still and holds his/her breath. The observed sensor signal is classified by three binary classifiers prepared for each state. For input of the classifiers, three kinds of features, energy, frequency-domain entropy, and histogram are extracted from the raw signal. The result of the experiment showed that the proposed detector surpassed that of previous related works especially in respiration detection. We tested three classification methods, least squares, SVM and AdaBoost. There was no significant difference between the performances of classification methods. Cross validation was done by two different ways of data division. In one way of the data division, both training and test data contain data of all the subjects who participated in the experiment. In the other way, training data do not contain the data which belong to the subject of the test data. As the result of this test, the classifiers trained by other persons'data were not inferior to those trained by data which contain the target's own data. This means that the state detection does not depend on the individual target. The parameters can be configured at the factory.
著者
大川 清孝 上田 渉 佐野 弘治 有本 雄貴 久保 勇記 井上 健 田中 敏宏 松井 佐織 小谷 晃平 青木 哲哉
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.53, no.3, pp.1103-1108, 2011 (Released:2011-06-14)
参考文献数
10

5日間の便秘後と下剤服用後に発症した一過性型虚血性直腸炎の2例を経験した.腹部大動脈手術,骨盤内手術,膠原病・血管炎,動静脈廔などはなく腸管側因子が主因で発症したと考えられた.いずれも肛門直上にも病変がみられた.著明なCRP上昇がみられたが保存的治療にて速やかに改善した.虚血性直腸炎は血管側因子が主因でおこると考えられていたが,腸管側因子が主因で発症することもあることを示した点で貴重な症例と考えられた.
著者
芝 清之 笠田 竜太 野上 修平 中田 隼矢 大久保 成彰
出版者
プラズマ・核融合学会
雑誌
プラズマ・核融合学会誌 = Journal of plasma and fusion research (ISSN:09187928)
巻号頁・発行日
vol.87, no.3, pp.187-194, 2011-03-25
参考文献数
35

低放射化フェライト鋼の特性および照射データに関しては,国内においてはF82H鋼を中心にデータが取得されデータベース化されており,基本的な機械的特性,物理特性,熱時効特性など,機器設計に必要なデータは概ね整備されている.また,照射特性についても,HFIR照射やFFTF照射などにより,広い照射温度,照射量にわたる照射データが蓄積されている.また,F82H鋼はIEA低放射化フェライト鋼の共通鋼として,各国の照射プログラム中でも比較材料として照射されており,多くの照射データが得られている.本章ではF82H鋼の各特性データについて紹介するとともに,照射データ取得,特にIFMIF照射の基本要件となっている微小試験片技術開発の成果,機器の長寿命化に必要な耐照射性向上に向けた研究の成果についてまとめた.
著者
藤野 善久 久保 達彦 村松 圭司 渡瀬 真梨子 松田 晋哉
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
Journal of UOEH (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.35, no.4, pp.291-297, 2013-12-01 (Released:2013-12-14)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

英国では,健康問題を抱える労働者の就業を支援する制度として,2010年からThe Statement of Fitness for Work(通称,Fit Note)と呼ばれる文書を医師が発行する仕組みが導入された.Fit Noteは,病気や外傷などの健康問題を抱える労働者が,就業に適しているか,もしくは就業配慮が必要かに関する意見を医師が記載したものである.通常,Fit Noteは,労働者が雇用主に提出し,就業配慮を求めるために利用されたり,もしくは就業できない場合には,休業補償(Statutory Sick Pay)の申請書類として用いられる.今回,英国におけるFit Note導入の背景と運用状況に関する調査を,General Practitioner,産業医,理学療法士のインタビューを通じて行ったので報告する.
著者
小田原 真希 山科 卓也 入江 健司 山下 克也 鶴田 南奈子 塚田 寛子 鶴山 萌子 金内 弘志 原 利宝 児玉 真由子 久保 徳彦 平木 洋一
出版者
公益社団法人 日本薬学会
雑誌
YAKUGAKU ZASSHI (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.140, no.2, pp.319-328, 2020-02-01 (Released:2020-02-01)
参考文献数
31
被引用文献数
1

In this study, antimicrobial stewardship team (AST) intervention was evaluated by comparing patient outcomes and consumption of broad-spectrum antibiotics [carbapenem antibiotics and tazobactam/piperacillin (TAZ/PIPC)] before and after the intervention. There was no fluctuation in the consumption rate of carbapenem, TAZ/PIPC and other antibiotics, but there was a decreased annual consumption of antibiotics after AST intervention compared to before intervention. For the carbapenems, antimicrobial use density (AUD) of meropenem (MEPM) was highest in both periods, at 20.1 and 20.4 before and after AST intervention, respectively, with no significant change after AST intervention. However, the days of therapy (DOT) for MEPM were 27.4 and 24.8 d, respectively, with a decreasing trend after AST intervention. AUD and DOT for TAZ/PIPC after AST intervention were 6.5 and 8.1 d, respectively, which were lower than the pre-intervention values. Rapid identification of the causative strain enables early de-escalation and may improve the economics of antibiotic use, but there was no difference from before to after AST intervention. Compared with before and after strain identification, the carbapenem administration rate after AST intervention was significantly lower than the pre-intervention rate (p<0.01). There was no difference in 28-day mortality and treatment period before and after AST intervention, and there were no differences in outcomes such as resolution of bacteremia, mortality, exacerbation and no change from before to after AST intervention. Based on these results, we suggest that AST intervention can reduce consumption of antibiotics without altering patient outcomes.
著者
久保 倫子
出版者
地理空間学会
雑誌
地理空間 (ISSN:18829872)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.43-56, 2010 (Released:2018-04-12)

本研究は,日本においてマンションを扱った地理学的研究を供給,需要の両面から分析・検討し,1990 年代後半以降に日本の居住地構造が変容してきたことに関して,マンション研究をもとに議論することを目的とした。地理学においてマンションを扱った研究は,高層集合住宅の立地にともなう都心周辺部の土地利用変化,住民構成や人口動態の変容,マンション供給者の戦略などの視点で行われた。また,マンション居住者の特性や人口移動に関する研究,居住地選択や世帯特性による居住選好の違いや,マンション居住者の居住地選択に関する意思決定過程を扱った研究も行われた。一方,1990 年代以降のマンション供給増加によって,都市中心部が居住空間として再評価を受けるようになり,都市の居住地構造が変容してきた。マンション需要者の住宅ニーズの変化に対するマンション供給の変化,全国や都市圏レベルでのマンション供給動向,世帯構成による居住選好の差異や郊外第二世代の住宅取得行動に対する研究が今後必要であろう。マンション居住者の現住地選択過程についても,都市の規模や供給時期に応じた多様な研究が待たれる。
著者
久保 圭 クボ ケイ
出版者
大阪大学日本語日本文化教育センター
雑誌
大阪大学日本語日本文化教育センター授業研究
巻号頁・発行日
vol.12, pp.23-31, 2014-03-31

日本語には、似た意味をもつさまざまな言葉がある。たとえば、「誤りを直すJという意味をもつ日本語のサ変名詞には、修正、是正、訂正、改鼠などがある。しかし、その意味的なニュアンスや用法(どのような対象における誤りを直すのか、など)は一律ではなく、すべて異なっていると考えられる。これは、上記に挙げた類義語がすべて同じ意味をもつのであれば、これほど多様な表現は必要ないと考えられるためである。上記のような類義語の使い分けの習得に関心を寄せる留学生は少なくないように感じられる。しかし、日本語の言語直感をもたない彼らにとって、その学習は困難をともなうものであるため、類似した意味の言葉を教授する際には、効果的な説明を準備しなくてはならないだろう。本論文では、日本語学習者に向けた教育の現場において、類似した意味をもついくつかの語の意味と使い分けを説明する際に、大規模コーパスから得られる、各類義語の共起関係に関する調査データの活用が有効であることを示唆する。
著者
久保 静真 岩澤 有祐 松尾 豊
出版者
人工知能学会
雑誌
2018年度人工知能学会全国大会(第32回)
巻号頁・発行日
2018-04-12

本稿では、Generative adversarial networks(GANs)に基づく写真上の自動着せ替えの新しい手法であるSwapGANを提案する。Conditional Analogy GAN(CAGAN)は、GANに基づく自動着せ替えの手法として既に提案されているが、複雑なパターンの服の生成は難しい。衣類の領域を考慮することで、SwapGANはCAGANよりも服のパターンをよりよく反映させることが出来る。このSwapGANは、大規模なデータセットで訓練されたセグメンテーションのモデルを使用してして、写真上の人物の衣服の領域を最初に取得する。次に、取得した領域を用いて衣服部分を人間の画像から除去する。そして、空白領域に所望の衣服を描写する。このようにネットワークは新しい服を人の服の領域に適用出来るようになる。さらに、テスト時にCAGANで必要であった人物が元々着用している服の画像はSwapGANでは不要になる。
著者
西川 満則 横江 由理子 久保川 直美 福田 耕嗣 服部 英幸 洪 英在 三浦 久幸 芝崎 正崇 遠藤 英俊 武田 淳 大舘 満 千田 一嘉 中島 一光
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.491-493, 2013 (Released:2013-09-19)
参考文献数
7
被引用文献数
2 2

緩和ケアとは,生命を脅かす疾患による問題に直面した患者・家族の苦痛を和らげquality of life(QOL)を改善するプログラムである.日本の緩和ケアは,がんを中心に発展し非がんへ広がりつつある.当院では,非がんも対象に加え緩和ケアを推進すべくEnd-Of-Life Care Team(EOLCT)を立ち上げた.当初6カ月間の延べ依頼数は109件で,約4割を占める非がんの内訳は,認知症,虚弱,慢性呼吸器疾患,慢性心不全,神経難病等であった.活動内容は,オピオイド使用も含めた苦痛緩和,人工呼吸器・胃瘻・輸液の差し控え・撤退の意思決定支援(Advance Care Planning:ACP),家族ケアで,法的・倫理的問題に配慮し活動している.このEOLCTの活動は,老年医学会の立場表明,厚生労働省の終末期医療の決定プロセスに関するガイドラインに親和的であり,非がん疾患も含めた緩和ケアを推進する有用なシステムになりうる.特に胃瘻や人工呼吸器の選択に象徴される難しい意思決定を支援する働きが期待される.