著者
今西 亜友美 須多 望
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.35(2021年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.107-112, 2021-11-30 (Released:2021-11-29)
参考文献数
10

本研究は,野生獣3 種と外来種6 種の被害の認知度および駆除意識と,駆除意識に関係する要因を明らかにするため質問紙調査を行った。野生獣3 種による被害の認知度はいずれも高い一方で,外来種の種および被害の認知度は種によって差があった。駆除意識には主に,性別,年齢層,当該種の被害の認知度が関係していた。野生獣や外来種の駆除プロジェクトを実施する際には,当該種による被害を具体的に説明することが重要であると考えられた。
著者
小林 正佳 今西 義宜 石川 雅子 西田 幸平 足立 光朗 大石 真綾 中村 哲 坂井 田寛 間島 雄一
出版者
Japanese Society of Otorhinolaryngology-Head and neck surgery
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.108, no.10, pp.986-995, 2005-10-20 (Released:2010-12-22)
参考文献数
35
被引用文献数
9 9

嗅覚障害の治療としてステロイド薬の点鼻療法が一般的に行われているが, 治療が長期にわたる症例も多くその副作用が懸念される. ステロイド薬点鼻療法長期連用に関してその安全性を有用性と比較して検討した報告はない. そこで今回は当科嗅覚味覚外来で同療法を施行した患者を対象にこの比較検討を施行した.0.1%リン酸ベタメタゾンナトリウム液 (リンデロン液®) の点鼻療法を施行した62例中42例 (68%) に点鼻開始後1~2カ月で血清ACTHまたはコルチゾール値の低下が出現したが, 異常な理学的所見や自覚的症状は認められなかった. 点鼻療法を中止した8例は全例1カ月後にそれらの値が正常範囲内に回復した. 一方, 同療法を継続した34例中4例で開始後2~5カ月で自覚的な顔面腫脹感, 顔面の濃毛化というステロイド薬のminor side effectが出現したが, 中止後1カ月ですべての症状が消失した. 同療法のみを3カ月以上継続した23例の治療効果は, 自覚的嗅覚障害度, 基準嗅力検査上ともに統計学的に有意な改善がみられ, 日本鼻科学会嗅覚検査検討委員会制定の嗅覚改善評価法でも78%例で何らかの改善判定が得られた.ステロイド薬点鼻療法の長期連用は軽度で可逆的な副作用を生じ得る. 一方, 嗅覚障害の治療効果は高い. よって同療法は有用な嗅覚障害の治療法であり, 臨床的必要性に応じて十分な注意の下に長期連用することは可能と考えられる.
著者
神林 崇 大森 佑貴 今西 彩 高木 学 佐川 洋平 筒井 幸 竹島 正浩 小野 太輔 塩見 利明 清水 徹男
出版者
日本神経治療学会
雑誌
神経治療学 (ISSN:09168443)
巻号頁・発行日
vol.34, no.4, pp.406-410, 2018 (Released:2018-02-20)
参考文献数
6

Delayed sleep phase disorder (DSPD) comprises a persistent or recurrent pattern of sleep disturbances, sleep disruption that leads to insomnia and/or excessive daytime sleepiness, and impaired functioning in social, occupational, or other spheres. Three techniques are typically used to treat DSPD : chronotherapy, phototherapy, and exogenous melatonin administration. Antipsychotics have not been reported in the treatment of DSPD, aripiprazole (APZ), which is a second generation antipsychotic, manifests a novel mechanism of action by serving as a partial agonist of D2 receptors. Depression is reported to be the most common psychopathology associated with DSPD, and APZ is reported to be effective in major depressive disorder as adjunctive therapy. Therefore, we speculated that APZ might be effective to treat DSPD, and we observed how APZ works for the treatment of DSPD.Methods : 18 subjects (including 7 women) who are 14–48–year–old (the average is 31.6) were included. The patients were prescribed 0.75–4.5mg APZ at once a day.Results : We prescribed 1.5–3.0mg/day of APZ, all subject reduced total sleep time (9.6 +/− 2.3h → 7.8 +/− 2.0h, p=0.03), many cases got up earlier (9.1 +/− 1.9h → 6.7 +/− 1.4h, p=0.005) in the morning and advanced their sleep phase within one week. The sleep onset was not significantly changed (23.5 +/− 2.0h → 22.9 +/− 1.9h, n.s.).Conclusion : Low dose of APZ would reduce nocturnal sleep time in the subjects who had prolonged sleep time and DSPD symptoms. The mechanism of action would be dopaminergic up regulation due to dopamine D3 agonistic activity. Since it is difficult for physicians to treat prolonged sleep time and DSPD symptoms, this medication would become a new therapeutic tool for these patients.
著者
今西 孝至 岡村 美代子 川端 崇義 髙山 明 楠本 正明
出版者
一般社団法人 日本プライマリ・ケア連合学会
雑誌
日本プライマリ・ケア連合学会誌 (ISSN:21852928)
巻号頁・発行日
vol.41, no.3, pp.92-99, 2018-09-20 (Released:2018-09-26)
参考文献数
9
被引用文献数
2

目的:在宅医療における薬剤師の役割について全国のケアマネジャー(CM)にアンケート調査を行った.方法:日本介護支援専門員協会47都道府県支部に依頼状を郵送し,本調査に同意が得られた会員のみを対象とした.解析はテキストマイニングを用いた.結果:回答が得られたCMは206人で,医療職出身者が25%,介護福祉職出身者が75%であった.「薬剤師は在宅医療に必要か」の質問に90%のCMが「必要」と回答した.また,「必要」と回答した理由についてテキストマイニングによる解析の結果,医療職出身CMでは“指導”や“内服”,介護福祉職出身CMでは“相談”というキーワードが有意に出現した.結論:在宅医療における薬剤師の役割として,医療職出身CMは「患者・家族や他職種への指導について専門性を発揮すること」,介護福祉職出身CMは「服用薬や副作用に関する情報について相談に乗ること」に期待していることが明らかになった.
著者
今西 規
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.1, no.2, pp.130-134, 1994 (Released:2017-03-31)
参考文献数
10

HLAは多重遺伝子族を構成し, しかも各遺伝子座が多数の対立遺伝子を持つ. この遺伝的多型は世界のどの集団にもみられるが, その対立遺伝子の構成は集団ごとに異なる. ここでは, HLAの対立遺伝子が世界の民族の中でどのように分布しているかを示し, 対立遺伝子頻度の統計学的解析を通して, ヒトの進化の歴史について論じる. 1. HLAの遺伝的多型 ヒトの主要組織適合性複合体(MHC)であるHLAは, 免疫機構の中で非自己抗原の認識を担当する分子である. HLAの遺伝子には多数の対立遺伝子があり, 個体ごとに異なるタイプの遺伝子を持つ場合が多い(1). このような遺伝的多型は, HLAに限らず他の多くのタンパク質をコードする遺伝子でも観察される現象である. しかし, HLAの遺伝的多型は他の遺伝子とは異なり, 対立遺伝子の種類が極端に多い. 実際に, HLAは, ヒトの遺伝子の中でもっとも変異に富む遺伝子であるかもしれない. そして, この遺伝子の変異を比較研究することによって, さまざまなヒトの集団の間の進化的系統関係を探ることができるのである.
著者
今西 由華 林 陽子 金森 康和 犬飼 隆
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.106, no.261, pp.31-36, 2006-09-19
参考文献数
6

愛知県と岐阜県南部の方言には、「大根→ダェーコ」、「古い→フルィー」、「鯉→コェ」、などの母音「アイ、ウイ、オイ」が連続する位置で融合して変母音となる特徴があり、よく知られていたが、現在は急速に消滅しつつある。それらを良好な録音条件で収録し保存し、またその特徴を分析することは、方言という文化遺産を継承するのに重要である。しかし、具体的に音声から特徴を抽出し、詳細に分析した先行研究は見当たらない。そこで本研究では、世代による使用の変化も含め、名古屋弁の変母音の音声特徴を抽出した。よって得られた結果は名古屋弁を具体的に分析したという研究の先駆けとして、利用できるものである。
著者
今西 一 河野 民雄 大石 進
出版者
小樽商科大学
雑誌
商学討究 (ISSN:04748638)
巻号頁・発行日
vol.64, no.2/3, pp.3-95, 2013-12-25

論説
著者
今西 伸行 西村 浩一 森谷 武男 山田 知充
出版者
The Japanese Society of Snow and Ice
雑誌
雪氷 (ISSN:03731006)
巻号頁・発行日
vol.66, no.1, pp.3-10, 2004-01-15 (Released:2009-08-07)
参考文献数
16
被引用文献数
1 1

雪崩発生に伴う地震動の特徴を把握するとともに,雪崩の発生地点と規模を推定する手法を確立するため,4台の地震計を用いて,2001年1月から4月までの80日間,北海道大学天塩研究林内で観測を行った.期間中に,対象域で確認された雪崩の86%にあたる50例の震動波形を得ることができ,地震計によって高い確率で雪崩発生のモニタリングが可能であることが判った.ほぼ同地点で発生した雪崩による震動は類似した波形を示すこと,震動の卓越周波数と地震計から雪崩発生点までの距離との間には負の相関があり,これから発生点の推定が可能であること,また雪崩の運動エネルギーと位置エネルギーとの関係を用いて,雪崩質量の推定が可能であることが示された.
著者
寺島 美穂 久野 格 深町 輝康 今西 市朗 江角 真梨子 伊從 慶太
出版者
日本獣医皮膚科学会
雑誌
獣医臨床皮膚科 (ISSN:13476416)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.3-10, 2020 (Released:2021-03-30)
参考文献数
23

本研究は犬アトピー性皮膚炎に各種セラミド製剤を適応し,オクラシチニブの減薬効果を検討した。合計16例のアトピー性皮膚炎の犬が本試験に供され,すべての症例はオクラシチニブ(0.4–0.6 mg/kg,1日1回,経口投与)の全身投与を3ヶ月以上受けていた。症例は無作為に2群に振り分け,それぞれ毎日の経口および外用スプレーのセラミド製剤,1週毎のスポットオンセラミド製剤を84日間適用した。すべての症例においてオクラシチニブが継続投与され,試験開始から42日目までは常用量(0.4–0.6 mg/kg,1日1回),42–63日において常用量の半量(0.2–0.3 mg/kg,1日1回),63–84日において常用量の半量を隔日投与とした。試験開始より3週毎,84日間にわたって,獣医師により犬アトピー性皮膚炎重症度指数(CADESI-04)を,飼い主により痒みスコア(PVAS)が評価された。両群ともにオクラシチニブ減薬後のCADESI-04およびPVASの平均スコアは,オクラシチニブ減薬前と比較して有意な差は認めなかった(P>0.05)。また,各評価日における各スコアの群間差も認められなかった(P>0.05)。以上の結果より,今回試験に供した外用スプレーおよび経口セラミド製剤,スポットオンセラミド製剤は,いずれもCADにおけるオクラシチニブの全身療法の減薬に貢献した可能性が示唆された。
著者
山本 奈美 今西 康晴 三谷 隆彦 味村 妃紗 有田 幹雄
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集 69回大会(2017)
巻号頁・発行日
pp.128, 2017 (Released:2017-07-08)

【目的】高血圧症の予防・治療では減塩が重要となるが、食事のおいしさへの影響が大きいことからその達成は容易ではない。一方で、おいしさを損なうことなく食事の塩分量を減らす調理上の工夫として、香辛料を活用することが経験的に知られている。本研究では日本の代表的な香辛料である山椒(Zanthoxylum piperitum)粉末を含む錠剤を口腔内で溶解させることにより、通常より塩分を控えた食品に対する評価が変化するかを調べた。【方法】大学生(18~24歳,男女)42名を対象として、官能評価を行った。試料は、減塩みそ汁(塩分濃度0.6%で調製)及び1食分の食事を想定した市販の減塩食(ニチレイフーズ,1食あたりの食塩相当量1.6g)とした。それぞれを試食し、「全体的な味付け」「塩加減」「味付けの満足度」について5段階で評価させた。山椒粉末1mgを含む錠剤を口腔内で溶解させた後にも同様の評価を行い、その変化について検討した。【結果】山椒錠剤の溶解後は試料の味を濃く感じており、試料に対する味付けの満足度が高まる傾向にあった。特にみそ汁においてその効果が顕著であった。普段の食事に対する好みなどパネルによってその効果は異なるものの、山椒粉末により減塩食の塩味が増強し味付けに満足することが示唆され、減塩食普及の一助となる可能性が考えられる。
著者
今西 祐一郎 伊藤 鉄也 鈴木 淳 青田 寿美 呉 格 太田 尚宏 寺島 恒世 谷川 惠一
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.31, pp.1-16, 2013-05-10

●メッセージ国文学研究資料館41年●研究ノート『和泉式部日記jの本文異同への新視点一傍記混入から見えてくるもの-合羽摺り絵本『彩色画選』とカラリスト松寿堂「蔵書印データベース」にできること-つながるデータ、可視化する書脈『中国古籍総目』の編纂について●トピックス平成24年度日本古典籍講習会人間文化研究機織連携展示「記憶をつなぐ一津波災害と文化遺産一」国文学研究資料館常設展示「和書のさまざま」百人一首たまてばこ平成25年度アーカイブズカレッジ(史料管理学研修会通算第59回)の開催新収資料紹介総合研究大学院大学日本文学研究専攻の近況.
著者
渡邉 映理 木村 真理 クフタ ケニー 亀井 勉 今西 二郎
出版者
日本補完代替医療学会
雑誌
日本補完代替医療学会誌 (ISSN:13487922)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.107-115, 2013 (Released:2013-10-30)
参考文献数
15
被引用文献数
1

【目的】本研究では,パーソナルコンピュータ (PC) 作業者に,精油を用いた芳香浴を行った.PC 作業を行いながら様々な種類の精油を吸入し,生理,心理,免疫学的パラメータの変化と,心身の疲労軽減の有無について包括的に検討した. 【デザイン】ランダム化クロスオーバー比較試験 【方法】対象者は,平均年齢 22.38 ± 1.30(範囲 21–24)歳の健常男子 8 名であり,試験は京都府立医科大学倫理審査委員会の承認下で行われた.対象者は条件により異なる香りを吸入しながら 120 分間の PC 作業を行った.前後で 10 分間の安静状態を保ち,生理,心理,免疫学的機能を評価した.試験は異なった日に 6 条件(香りなし,グレープフルーツ,真正ラベンダー,ペパーミント,ブレンド A,ブレンド B)で行った. 【結果・結論】精油が PC 作業者の自律神経系,免疫系,心理に影響を及ぼしており,精油の種類によっても生体反応が異なることが示唆された.なかでも特に,ペパーミント精油に疲労軽減効果があることが示された.
著者
村上 征勝 今西 祐一郎
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.774-782, 1999-03-15
参考文献数
5
被引用文献数
9 16

『源氏物語』は 我が国古典の最高峰であるばかりでなく その芸術性の高さゆえに諸外国にも広く翻訳され 古くから数多くの研究がなされてきた. しかしながら現時点においても なお研究課題は数多く存在し たとえば 複数作者説や成立過程等 依然として未解決のまま持ち越されているものも多い。本論文では 微妙な表現価値にかかわる助動詞を取り上げ その『源氏物語』における出現頻度を分析し その結果 巻の成立順序や 後半の10巻 いわゆる「宇治十帖」他作者説が生ずる理由等との関連の可能性について次の結果を得た。源氏物語は話の内容から3部に分けるのが通説となっているが (1) 源氏物語の第1部を構成する紫の上系17巻と玉鬘系16巻は別々に成立した可能性がある. その場合 玉鬘系の16巻は第2部の後に成立した可能性が高い. (2)「宇治十帖」とその前の11巻 (第2部および「匂宮三帖」)との間には助動詞の用い方に差が見られ この差が文体の違いの反映であるならば これが1宇治十帖」他作者説が生ずる原因の1つと考えられる。(3) 各巻の文章を会話文と地の文に分けた場合に 助動詞の用い方に差が出るのは地の文である.Genji Monogatari, the greatest accomplishment in Japanese classical literature, has been the subject of intensive studies for many centuries. In spite of these studies, there are a great number of unsolved problems concerning the time sequence of the writing of the 54 chapters and their author ship. The 54 chapters of the Genji Monogatari are divided into three distinctive parts. We analyzed auxiliary verbs used in these three parts and got the following results. (1) The two stories which constitute the first part may have been written at different times. Tamakazura story of the first part may have been written after the second part. (2) The apparent difference in the use of auxiliary verbs between Uji Jujo (Ten chapters of Uji) and the 11 chapters that precede them throw doubt upon the singular authorship of Genji Monogatari. (3) The differences in use of auxiliary verbs between chapters are irrelevant to the amount of conversation.
著者
山崎 翼 佐藤 万代 矢野 忠 櫻田 久美 丹羽 文俊 今西 二郎
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.63, no.4, pp.229-237, 2012 (Released:2013-02-13)
参考文献数
29
被引用文献数
1 1

高齢社会に伴い,認知症予防が重要になってきている。本研究では,鍼治療および生活習慣改善指導による介入が認知機能を向上させるかどうか検討した。物忘れが気になる者を対象に,生活習慣の改善指導を行う生活習慣改善群(20名)と,それに鍼治療・経皮的経穴通電刺激(TEAS)を併用する鍼治療併用群(20名)に分け,12週間の介入を行った。その結果,生活習慣改善群と鍼治療併用群を合わせた全体の介入前後の結果では,Mini Mental State Examination (MMSE),ウェクスラー記憶力テスト(WMS-R)のいくつかの項目,睡眠時間,アクティグラフィによる測定での睡眠効率で有意な上昇がみられた。2群を分けて解析すると,MMSE および睡眠効率では,鍼治療併用群でのみ有意差がみられた。また,T 細胞系とくにヘルパーT 細胞の減少,B 細胞の増加,NK 細胞の増加,NK 活性の増強が認められた。以上の結果から,生活習慣の改善に鍼治療を併用することで,認知機能の向上を促し,認知症の予防に資する可能性が示唆された。
著者
今西 純一 今西 亜友美 杉田 そらん
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.74, no.5, pp.419-424, 2011 (Released:2012-09-05)
参考文献数
21
被引用文献数
2

Aerial photographs, especially those taken before World War II, are valuable documents to know the historical changes in gardens and open spaces. In the academia of photogrammetry and geography, it is an accepted view that the existing aerial photographs of Kyoto City taken before the World War II were taken in 1928; this view is based on the work of Hattori. However, Kyoto Shimbun News (dated December 22, 1993) reported that Shimizu conducted an investigation and found that the photographs were taken in 1927. As the details of Shimizu’s investigation are unknown, both assertions need to be reexamined. First, we confirmed that the aerial photographs that were archived in three different locations were identical, and as such, the assertions of Hattori and Shimizu are conflicting. Then, we analyzed buildings, railways and roads as appearing in the photographs, and determined that the photographs were taken in 1927. Furthermore, we examined the condition of tree canopies and the shades of two buildings, and estimated the period when these aerial photographs were taken. As a result, we concluded that the aerial photographs were taken in 1927 and most likely between late August and early September.
著者
高村 優作 大松 聡子 今西 麻帆 田中 幸平 万治 淳史 生野 公貴 加辺 憲人 富永 孝紀 阿部 浩明 森岡 周 河島 則天
出版者
日本理学療法士協会(現 一般社団法人日本理学療法学会連合)
雑誌
理学療法学Supplement Vol.43 Suppl. No.2 (第51回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.0985, 2016 (Released:2016-04-28)

【はじめに,目的】近年の研究成果の蓄積により,脳卒中後に生じる半側空間無視(Unilateral spatial neglect,以下,USN)の病態が,視覚情報処理プロセスにおける受動的注意の停滞を基盤として生じていることが明らかにされてきた。BIT行動性無視検査(Behavioral inattention test,以下,BIT)は,包括的かつ詳細な無視症状の把握が可能である一方で,能動的注意による課題実施の配分が多く,上記の受動的注意の要素を把握・評価することに困難がある。本研究では,PCディスプレイ上に配置されたオブジェクトを,①能動的(任意順序の選択),②受動的(点滅による反応選択)に選択する課題を作成し,双方の成績の対比的評価から無視症状の特徴を捉えるとともに,受動課題における選択反応時間の空間分布特性から無視症状と注意障害の関連性を捉える新たな評価方法の考案を試みた。【方法】発症後180日以内の右半球損傷患者66名を対象とし,BIT通常検査のカットオフ値(131点)を基準にUSN群(n=32),USNのない右半球損傷RHD群(n=34)の2群に分類した。対象者はPCディスプレイ上に配置した縦7×横5行,計35個のオブジェクトに右示指にてタッチし選択する課題を実施した。能動的選択課題として,任意順序によるオブジェクト選択を実施し,非選択数(count of miss-selection:cMS)を能動的注意機能の評価変数として用いた。受動的選択課題として,ランダムな順序で点滅するオブジェクトに対する選択反応時間(RT)を計測し,平均反応時間(RTmean)と左右比(L/Rratio)を,それぞれ全般的注意機能および受動的注意機能の評価変数として用いた。【結果】cMSおよびL/RratioはRHD群と比較してUSN群で有意に高値を示した。一方で,両変数間には相関関係は認められず,USN群における両変数の分布特性をみると,①cMSが少ないにも関わらずL/Rratioが大きい症例,②cMSが多いにも関わらずL/Rratioが小さい症例などが特徴的に分布していることが明らかとなった。①に該当する症例は,代償戦略により能動探索が可能であるが,受動課題では無視の残存が明確となるケースと考えられる。また,RHD群にはBIT通常検査のカットオフ値を上回るものの,無視症状が残存している症例が複数含まれているが,これら症例群は,上記①と同様にcMSは他のRHD群と同様に少ない一方で,L/Rratioが大きい傾向を認めた。②に該当する症例ではcMSの増加に加えてRTmeanの遅延を認め,無視症状に加えて全般性注意障害の影響が随伴しているものと考えられた。【結論】今回考案した評価方法では,能動的/受動的選択課題の対比的評価から,無視症状の特性把握が可能であり,加えて受動課題で得られる反応時間の空間分布の結果から,全般性注意機能と無視症状の関係性を捉えることが可能性であった。