著者
伊藤 良子 丸住 直子
出版者
京都市立看護短期大学
雑誌
京都市立看護短期大学紀要 (ISSN:02861097)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.129-136, 2010-05-31

本研究では両下肢・末梢方向のリズミカルアインライブング1 )(以下,下肢アインライブング)を施行した時の人間の主観的リラックス度との関連について明らかにすることを目的に実験研究を行った.対象は研究協力承諾の得られた健康な成人19 名で,下肢アインライブングを仰臥位で施行する群(実験群)と安静臥床群(対照群)の2 実験を,ランダム化クロスオーバー対照実験として行った.実験群には10 分間のストレス負荷後,下肢アインライブングを10 分間行い,その後16 分間の安静臥床を行った.主観的リラックス度の指標にはSD 法(Semantic Differential method:以下SD 法)を利用した.実験の結果,対照群では実験前と実験後のSD 法の全ての項目において有意差は認められなかった.実験群の実験前と実験後では「眠い」以外の全ての14 項目で,有意差(p < 0.05)が認められ,実験後の値の方が上昇していた.対照群の実験後と実験群の実験後のt 検定では「穏やかな」「呼吸が楽な」「体が軽い」「気持ちがゆったりした」「リラックスしている」「リフレッシュした」の6 項目で,有意差(p < 0.05)が認められ,実験群の実験後の値の方が上昇していた.以上の結果から,下肢アインライブングの施行によって,大きな主観的リラックス効果が得られることが明らかになった.

1 0 0 0 OA 斜架拱

著者
伊藤鏗太郎 編訳
出版者
伊藤鏗太郎
巻号頁・発行日
1899
著者
浅野 照雄 皆田 理 伊藤 秀敏 岩井 哲
出版者
Japanese Society for Engineering Education
雑誌
工学教育 (ISSN:13412167)
巻号頁・発行日
vol.49, no.6, pp.31-37, 2001-11-20
被引用文献数
7 5

構造力学は建設技術者が安全な構造物を設計したり施工したりするのに必要な重要な科目の1つである.そのため,広島工業大学工学部建設工学科では,クラス分割をするなどの教育に効果があると思われるような対策を講じてきたが,構造力学は相変わらず学生にとって理解しにくい科目になっている.この原因には,目に見えない構造部材の変形や内力といった力学現象を想像する能力が乏しいことが考えられる.そこで,理論を中心にした「座学」の中に,「模型実験」と「コンピュータシミュレーション」を導入して,力と変形を目に見える形にビジュアル化することによって,学生の力学の理解と学習意欲の促進を図ろうとするシステムを開発した.このシステムは学生にも力学の理解に役立つものとして受け入れられており,今後の力学教育に本システムが有効なものとなることが期待される.
著者
伊藤 優子 三浦 覚 加藤 正樹 吉永 秀一郎
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.86, no.3, pp.275-278, 2004-08-16
被引用文献数
12

関東(一部東北を含む)・中部地方の1都12県において80地域,270地点の森林流域における渓流水のNO_3^-濃度を測定した。これらの調査地点におけるNO_3^-濃度は0.00〜8.45mg L^<-1>の範囲で,中央値は1.06mg L^<-1>であった。渓流水中のNO_3^-濃度は,関東平野周辺部において濃度の高い地点が分布する地理的な偏りが認められた。このような分布傾向は,従来から関東地方のいくつかの小流域でNO_3^-濃度が高いことが指摘されていることと調和的である。また,関東平野周辺部以外の愛知県でも局所的にNO_3^-濃度の高い地点が認められた。これらの地点は幹線道路や都市域周辺近傍に位置する。これらの結果から気候要因,地形的要因などの非人為的要因に加えて,大都市圏から排出される汚染大気の移流による森林流域への窒素の高負荷という人為的要因により,森林からのNO_3^-流出が増大していると考えられる。
著者
伊藤 実竜
出版者
日経BP社
雑誌
日経ビジネス (ISSN:00290491)
巻号頁・発行日
no.1532, pp.118-121, 2010-03-15

ここが私の会社「小樽シーフーズ海商」の出発点です。海の幸は、お子さんから高齢者まで人気の食べ物です。新鮮なカニやウニは北海道が本場。当社は「新鮮な海の幸を安く売る」と評判で、道内のみならず本州からも大勢のお客様がいらっしゃいました。 私は冷蔵ケースの前に立ち、お客様と会話しながら、カニやウニなどを売りまくってきました。
著者
今西 祐一郎 ハルオ シラネ 久保 木秀夫 赤澤 真理 ファビアン ・アリバート・ナルス 伊藤 鉄也 坂口 貴弘 中村 康夫
出版者
人間文化研究機構国文学研究資料館
雑誌
国文研ニューズ = NIJL News (ISSN:18831931)
巻号頁・発行日
no.19, pp.1-16, 2010-04-26

●メッセージ法人化後第1期から第2期へ国文学研究資料館とコロンビア大学の協力協定の意味●研究ノート国文学研究資料館蔵古筆手鑑2点の紹介 その1中近世における古代寝殿造理解一理想の住宅像と考証研究―●トピックス日本文化とロランバルトのフォトバイオグラフィー公開開始 与謝野晶子の源氏訳自筆原稿画像データベース研究集会「アーカイブズ編成の理論と実践」の開催当館所蔵「春日懐紙」の重文指定について平成22年度展示会・講演会等平成22年度アーカイブズカレッジ(史料管理学研修会通算第56回)の開催総研大日本文学研究専攻の近況表紙絵紹介『伊勢物語』
著者
伊藤 恵子 田中 真理
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.73-83, 2006-04-20
被引用文献数
2 3

指示詞コ・ソ・アの理解という点から,自閉症児の語用論的機能の特徴を検討した。具体的には,指示詞「こっち・そっち・あっち」に対して言語教示のみによる理解実験を行い,(1)一般的な指示詞使い分けとの一致率,(2)反応パターンの分析,(3)行動観察の三つの視点から分析を行った。その結果,以下の点が見出された。(1)定型発達児では,実験者(話者)と対象児(聞き手)が同じ側に並ぶ同側条件と,両者が向かい合う逆側条件で,指示詞コ・ソ・アの理解の標準反応一致数に差がなかった。しかし,自閉症児では逆側条件で,この標準反応一致数が同側条件に比べても,定型発達児の逆側条件に比べても有意に少なかった。(2)逆側条件の「そっち」に関しては,従来から他者視点の取得を特に要すると言われているが,逆側条件の「そっち」に関する自閉症児の成績は「こっち」と「あっち」の指示詞理解の成績と差がなかった。(3)逆側条件における自閉症児の反応は,視点固定型が定型発達児に比べ有意に多かった。この視点固定型とは,話者の視点変換を行わず,先に実施した条件での話者視点からの反応を繰り返す反応型である。(4)言語のみで指示対象を特定するといった状況で,曖昧情報を補うために実験者(話者)の顔の向きや視線を手がかりにすることも,指示対象特定に迷うことも,自閉症児は定型発達児に比べ少なかった。
著者
伊藤 清光
出版者
日本応用動物昆虫学会
雑誌
日本応用動物昆虫学会誌 (ISSN:00214914)
巻号頁・発行日
vol.48, no.1, pp.23-32, 2004-02-25
被引用文献数
8 19

北海道で最近作付けされている「ほしのゆめ」の割れ籾発生率は、これまでに割れ籾発生率が高いとされている「イシカリ」に次いで、場所・年次にかかわらず安定して高く、相対的に「きらら397」「ゆきのひかり」は低かった。また、「ほしのゆめ」と「きらら397」では、両品種とも穂首抽出3-4週間後(糊熟期以降)から割れ籾が発生し始め、発生率は5-7週間後に安定した。次いで、アカヒゲホソミドリカスミカメの袋かけ放飼試験の結果から、開穎のない正常籾では、斑点米の発生が開花-乳熟期あるいは乳熟期をピークとしてその後は減少すること、玄米上の斑紋の位置は大部分が頂部にあることが示された。一方、割れ籾では、登熟が進んでも斑点米発生の大きな低下は認められず、正常籾と比較して加害を受けやすいものと考えられた。また玄米上の斑紋の位置は大部分が側部であり、さらに開穎部から吸汁加害されることが示された。これらのことから本種は、籾の鉤合部(特に頂部の鉤合部)あるいは開穎部から吸汁加害し、籾の登熟に伴いしだいに加害が困難になってくること、割れ籾の場合には玄米が硬くなる黄熟期以降であっても加害できるものと考えられた。
著者
伊藤 毅志 古郡 廷治
雑誌
全国大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.49, pp.37-38, 1994-09-20

我々が解いている問題は、大別すると2種類に次の2つに分類される。一つは、誰が解いても(正解であれば)同じ答えに至る収束的問題であり、もう一つは、解く人によって解答が異なったり、そもそも正解などない発散的問題である。従来の認知科学的問題解決研究では、ハノイの塔などのパズルの問題をはじめとして、クイズや数学や物理の問題などの収束的問題が殆どであった。この理由は、これらの問題は良定義問題(問題の目標状態、操作子が明確な問題)であり、被験者の行動がある程度実験者にも予想されるために、研究の対象としては扱いやすかったからと考えられる。それに対して、発散的問題の方は、近年ようやく少しずつ研究として扱われつつあるにすぎない。しかし、実際の我々の日常生活を考えてみると、殆どが悪定義問題であるばかりか発散的問題でもあるような問題に囲まれていると言える。例えば、「お昼に比較的安くてでおいしいものを食べる」とか「普段着になるようなズボンを選ぶ」などの日常的問題は操作子も不明確であるし、人によって結論の異なる発散的問題である。このように、発散的問題の研究が意義深いものであることは明確だろう。本研究では、このような発散的問題を解決する際に視覚的イメージ(特に作図)が、どのように問題解決過程に影響を与えているのかについて考察していく。
著者
池田 周平 財津 政延 祐森 誠司 栗原 良雄 伊藤 澄麿
出版者
日本ペット栄養学会
雑誌
ペット栄養学会誌 (ISSN:13443763)
巻号頁・発行日
vol.4, no.Supplement, pp.33-34, 2001-05-24 (Released:2012-09-24)
参考文献数
2

成兎を用いて,食糞行動の阻止が体重維持ならびに飼料の消化率に及ぼす影響を検討した。試験区は自由行動・自由摂取の対照区と飼料給与量を80%,60%に制限した区および食糞行動阻止区を設け比較検討した。給与飼料はNRC飼養標準に併せて配合したものを用いた。40日間の飼育試験の結果,食糞行動の阻止により体重は減少したが,死亡することはなかった。また,食糞行動阻止区における飼料摂取量は80%制限区とほぼ同程度であったが,体重の減少は60%の制限給餌と同程度であり,粗タン白質およびエネルギーの消化率がかなり低くなる傾向を示した。消化率の低下は食糞行動阻止に関係すると考えられる。
著者
牧迫 飛雄馬 島田 裕之 吉田 大輔 阿南 祐也 伊藤 忠 土井 剛彦 堤本 広大 上村 一貴 BRACH Jennifer S. 鈴木 隆雄
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.40, no.2, pp.87-95, 2013-04-20

【目的】日本語版-改訂Gait Efficacy Scale(mGES)の信頼性と妥当性を検証することを目的とした。【方法】地域在住高齢者240名を対象とした。そのうちの31名については,自記式による日本語版mGESの評価を2回実施した(評価間隔14〜20日間)。日本語版mGESの妥当性を検証するために,運動機能(chair-stand test,片脚立位時間,通常歩行速度,6分間歩行距離),生活空間,転倒恐怖感との関連を調べた。【結果】日本語版mGESは高い再検査信頼性を示し(級内相関係数[2,1]=0.945,95%信頼区間0.891〜0.973),すべての運動機能および生活空間と有意な相関関係を認めた。従属変数を転倒恐怖感の有無,独立変数を性別,各運動機能,生活空間,日本語版mGES得点としたロジスティック回帰分析の結果,転倒恐怖感と有意な関連を認めた項目は,性別(女性),通常歩行速度,日本語版mGES得点であった。【結論】高齢者における歩行状態の自信の程度を把握する指標として,日本語版mGESは良好な信頼性および妥当性を有する評価であることが確認された。
著者
藤井 勉 上淵 寿 山田 琴乃 斎藤 将大 伊藤 恵里子 利根川 明子 上淵 真理江
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.132-141, 2015
被引用文献数
1

The purposes of the present study were (a) to use both a relational-anxiety Go/No-Go Association Task (GNAT) and an avoidance-of-intimacy GNAT in order to assess an implicit Internal Working Model (IWM) of attachment; (b) to verify the effects of both measured implicit relational anxiety and implicit avoidance of intimacy on information processing. The implicit IWM measured by GNAT differed from the explicit IWM measured by questionnaires in terms of the effects on information processing. In particular, in subliminal priming tasks involving with others, implicit avoidance of intimacy predicted accelerated response times with negative stimulus words about attachment. Moreover, after subliminally priming stimulus words about self, implicit relational anxiety predicted delayed response times with negative stimulus words about attachment.
著者
辻 達彦 加瀬 芳夫 逸見 てる子 伊藤 洋子
出版者
The Kitakanto Medical Society
雑誌
北関東医学 (ISSN:00231908)
巻号頁・発行日
vol.24, no.3, pp.153-160, 1974

This paper is concerned with the statistical studies on the 99 cases of the maternal death in Gunma prefecture during the period of 5 years (from 1965 to 1969).<BR>Results were as follows : <BR>1. The mean value of maternal mortality per year was 19.8 ± 5.54. More than 60% of total cases was observed in the group aged over 30, and the number of the cases in the group of ages over 35 years was unexpectedly high.<BR>2. Concerning with the causes of death, when compared with those of previous study (from 1957 to 1960), toxaemia and bleeding were decreased, while those of postabortal death and others were increased. The number of death from infection and ectopia is not significantly changed. Over all the cases of maternal death were decreased in the prefecture.<BR>3. As for the place of death, the number of the cases other than medical clinic was decreased. However, the cases of death in the group of home confinement were still observed in aged pregnancy, indicating the direction to be stressed in maternal and child health.<BR>4. Little changes were observed in the rank order of the number of the cases in the district of each territorial health center when compared with that of previous study (from 1957 to 1960). No community in the prefecture had maternal death every year, and maximum number of occurrence of the case in one community was three throughout 5 years. There was no consistency in the occurrence of the case in any special district. The result might suggest that the maternal deaths in the prefecture were caused by some arbitrary factors.<BR>5. In spite of above results, the data suggested the need of precaution for toxaemia in mountain area and some part of town area, and that for bleeding in the districts near border of the prefectures.<BR>The results of the study indicate that the intensive precautions for the maternal death are still needed, especially for toxaemia and bleeding. The paper also emphasizes the need of emergency care system to reduce the maternal deaths in the prefecture.
著者
小山 尚美 流石 ゆり子 河野 由乃 村松 照美 郷 洋子 林正 健二 小野 興子 横山 貴美子 伊藤 健次 城戸 裕子 波木井 昇
出版者
山梨県立大学
雑誌
山梨県立大学看護学部紀要 (ISSN:18806783)
巻号頁・発行日
vol.11, pp.27-37, 2009-02-27
被引用文献数
1

過疎農山村地域の独居後期高齢者の現在・今後の生活への思いを明らかにすることを目的にA町の6名に半構成的面接を行った。【猿や猪が農作物を喰い荒らして困る】【欲を言えばもう少し交通の便を良くして欲しい】と山間部特有の問題【年々歳をとってこのまま元気でいられるかどうか先のことはわからず不安だ】【みんな歳をとり昔のようにいかなくなり悔しい】【災害や跡継ぎがないことが心配だ】等の加齢変化の実感と不安を抱えていた。これらに【みんなとの交流は楽しみだ】【みんなが支えてくれてるので安心して生活できる】と田舎ならではの良さが勝り【ここでの今の生活は幸せだ】【子供の所へ行くより住み慣れたここに最期までいたい】と自ら今の生活を選択し【今の生活を維持する為にいろんなことを心掛けている】と日々努力をしていた。鳥獣被害対策、交通サービスの充実、現存の住民支援ネットワークの活用、役割保持の支援の必要性が示唆された。
著者
ロー トッド 伊藤 英則 世木 博久
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本ファジィ学会誌 (ISSN:0915647X)
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.849-861, 1995-08-15
被引用文献数
4

本論文は、ファジィ推論を用いた濃淡値イメージからのエッジ抽出について述べる。ここではエッジ抽出はイメージフィルター段階、抽出段階およびトレーシング段階の3段階に分ける。イメージフィルターの段階では局所的な画像特徴によってガウス関数の広さと方向を制御する。つぎに、フィルター処理されたイメージから、局所的な画像特徴によって様々なピクセルのファジィメンバーシップ値を評価することにより、エッジ抽出を行なう。最後に、ファジィ推論を行ない、高いファジィメンバーシップ値を持つピクセルをトレースして、エッジを構造的に組立てる。なお、フィルター、抽出およびトレーシングのアルゴリズムを複数のイメージに応用し、既存のエッジ抽出方法との比較についても述べる。
著者
広田 照幸 伊藤 茂樹
出版者
日本犯罪社会学会
雑誌
犯罪社会学研究 (ISSN:0386460X)
巻号頁・発行日
no.36, pp.28-41, 2011-10-31

この論文では,包摂的な社会を作っていくために,日本の少年院をどういうふうに見ていけばよいのかについて検討している.まず,現代社会における排除を「保守的な他者化」と「リベラルな他者化」として描いたジョック・ヤングの議論を参照しつつ,非行少年を悪魔化した存在ととらえる保守的な視点とは異なり,「リベラルな他者化」の視点をあえて採用することで,非行少年を教育・訓練によって「われわれの一員」になるべき存在と考える.その視点から,現実に少年院がどのようにして,非行少年の教育・訓練を成功させているのかを説明するとともに,保守的な議論に対して今後どのように反論していくべきかが本論文で考察される.ここでは,まずわれわれの研究グループが過去数年間やってきた少年院のフィールド調査とそれに基づく研究成果を紹介する.1970年代後半以降,教育・訓練を充実させてきた日本の少年院は,多くの点で独自の教育の仕組みを作り,成功させてきた.われわれは,インタビューと参与観察で,そのいくつかを明らかにした.次に,これまでの少年院教育がもってきていた問題点を克服する動きについて考察した.少年院を出た少年たちを対象にした新しいボランタリーな試み,少年院内での教育実践の改善,法律や制度のレベルでの改革の動きを簡単に整理した.最後に,今後必要なことについて次の3点を示した.第一に,少年院の外にある社会的状況-雇用や福祉の平等主義的な改革-,第二に,少年院の中での教育・訓練の改善,第三に,少年院の実態についてのもっと厳密な研究による客観的な情報の発信,の3つである.