著者
森谷 雅人 高木 融 鈴木 敬二 佐々木 啓成 伊藤 一成 片柳 創 土田 明彦 青木 達哉 小柳 〓久
出版者
日本臨床外科学会
雑誌
日本臨床外科学会雑誌 (ISSN:13452843)
巻号頁・発行日
vol.63, no.9, pp.2114-2117, 2002-09-25 (Released:2009-01-22)
参考文献数
13

症例は61歳,女性.胃癌にて1997年12月9日,胃全摘術,膵脾合併切除施行. 1998年1月9日より化学療法施行. 18日より経口摂取不良となり,高カロリー輸液(以下, TPN)を開始したが, 2月10日より記銘力低下, 14日より意識レベル低下し, 15日に急性循環不全を呈した.血液ガス分析では, pH 7.136, PaO2 157.0mmHg, PaCO2 9.8mmHg, HCO3-3.3mEq/l, Base Excess -23.4mEq/lと代謝性アシドーシスを呈していた.炭酸水素ナトリウム500ml投与するも効なく,乳酸値を測定したところ144.0mg/dlと高値を示したためビタミンB1欠乏による乳酸アシドーシスを疑い塩酸チアミンを投与したところ,投与後6時間でpH 7.598, Base Excess 8.9mEq/lとなり,意識レベル,循環動態も改善した. 自験例を含めたTPN施行時のビタミン欠乏による乳酸アシドーシスの報告例について文献的考察を加えて報告する.
著者
伊藤 和男 高階 和郎 杉山 輝芳
出版者
The Society of Resource Geology
雑誌
鉱山地質 (ISSN:00265209)
巻号頁・発行日
vol.35, no.190, pp.119-132, 1985-04-30 (Released:2009-06-12)
参考文献数
17

Recent exploration efforts in the Akenobe Mine has lead the discovery of Chiemon Vein Swarm in the South-western deeper levels of the mine. This vein swarm, consisting of more than forty blind veins, develops mainly below -10 level except No. 5 vein and is formed in the tension fractures of basic lava, basic tuff and slate of the upper Permian Maizuru Group.No. 4 vein, the champion of the swarm, trends NW-SE and dips steeply to the north having strike and dip extension of over 470 m and 200 m, respectively. Most of the other veins, with lesser extension, follow almost similar NW-SE direction, and distribute around this champion vein as branch or parallel veins. Vein fractures are much more developed in basic lava of brittle nature, whereas they are less developed in basic tuff or slate of relatively ductile nature.The occurrences of principal veins show multiple mineralization which are summarized into Cu-Zn, Sn-W and barren quartz from early to later stages.Among these three stages, the distribution of Sn-W stage is limited in No. 4 Vein and Veins of its closest proximity.Current ore reserve calculation from this vein swarm totalled about 1.6 million tons of minable ore, averaging 1.42% of copper, 5.75% of zinc and 0.34% of tin, and still this figure has a very good possibility of remarkable increase as the exploration goes on.In addition, the discovery of this vein swarm proposed us a several new concepts on our exploraiton philosophy which would be extensively applied in the other area of the mine to disclose another blind vein swarms.
著者
伊藤 隆寿 平井 俊榮
出版者
駒澤大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
1996

中国隋代に三論教学を大成した嘉祥大師吉蔵(549-623)には、『法華玄論』『法華義疏』『法華統略』『法華遊意』『法華論疏』の5部の法華関係注釈書がある。これら法華関係注釈書の著述量は、彼の著作全体から見ても大きな割合いを占める。しかし、それらに対する文献学的研究は立ち遅れているのが現状であった。そこで吉蔵の法華経注釈書の定本作成を目的に研究申請した私どもは、今年度次のような研究を行なった。定本作成にあたり、私どもは時代の趨勢を鑑み、これまで活字化されていた吉蔵の法華経注釈書すべて(主として大正蔵経所収の文献)をOCRによってコンピュタ-入力することを企図した。その結果、学内の研究者や多数の大学院生の協力を得て、大部分その作業を終えることができた。これによって、「研究目的」に記した校訂本(定本)のCD-ROM化のための基盤は整えられたといえる。ただ、入力した原文に厳密な校訂を施した定本作成の作業までは終了するに至らなかった。東大寺図書館をはじめ各仏教系大学図書館より校訂に必要な写本や刊本はすでに入手してあるので、今後は精力的に校訂作業を継続する予定である。今年度のわれわれの研究により、博引旁証をもって知られる吉蔵の著作研究において、研究者はその引用経論の検索等に計り知れない便宜が与えられることは疑いなく、その点はあえてここで強調しておきたい。作成する定本は、活字化して公開するのが建前であるが、そのためにはさらに莫大な経費が必要であり、条件が整えば、国内外に向けてインターネット上でテキスト公開することも現在検討中である。
著者
坂本 竜基 中田 豊久 伊藤 禎宣 松岡 有希 小暮 潔 武田 英明
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第20回全国大会(2006)
巻号頁・発行日
pp.226, 2006 (Released:2006-12-07)
被引用文献数
2

本稿では、色付き傍線を用いたWeb文章を対象リソースとするイロノミーと名付けたフォークソノミーシステムを提案する。イロノミーは、3種類の色線を用いて文章の一部分をマーキングする一種のアノテーション入力機能とそのマーキングを色別に検索可能な検索機能、及び、社会的フィルタリングによる推薦機能を有する。また、JSAI2005のイベント空間支援の一環として運用した、発表概要を分類対象としたプロトタイプの説明と運用結果を述べる。
著者
大西 正男 伊藤 精亮
出版者
Japan Oil Chemists' Society
雑誌
日本油化学会誌 (ISSN:13418327)
巻号頁・発行日
vol.46, no.10, pp.1213-1225, 1997-10-20 (Released:2009-10-16)
参考文献数
53
被引用文献数
5 10 5

代表的な植物スフィンゴ脂質であるグルコシルセラミド (セレブロシド) は細胞膜と液胞膜の主要な脂質成分のひとつである。一般にスフィンゴ脂質は構造的な要因として膜を強固にする機能を有することが知られているが, 植物細胞では高含量のセレブロシドの存在は低温条件下での膜の流動性制御に対してマイナスに作用するとともに局部的な膜の相転移状態を引き起こす可能性がある。現在, 植物の低温傷害あるいは凍結傷害と関連したスフィンゴ脂質の役割について多くの研究がなされている。本総説では, 動物スフィンゴ脂質とは顕著に異なる植物スフィンゴ脂質の構造知見を概説し, その中で低温感受性と低温耐性植物から分離したセレブロシドの分子種多様性について述べるとともに, DSC分析から明らかになったセレブロシド分子種の熱特性ならびに低温ストレスに対する応答としてのセレブロシド組成の変化について説明する。また, 著者らの植物スフィンゴ脂質の代謝に関する最近の研究成果についても紹介する。
著者
竹内 義喜 中村 和彦 岩橋 和彦 三木 崇範 伊藤 正裕
出版者
香川医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1998

発達障害誘導因子として放射線とアルコールを取り上げ、脳組織のうちとくに海馬領域のニューロンネットワーク形成を対象として研究を行った。妊娠動物(ラット)に放射線を照射し、生後6週で脳組織を検索したところ、海馬に対する影響は0.6Gy以上から現われ、錐体細胞の脱落および層構造の乱れがCA1領域よりCA3領域でより顕著であった。また、CA3領域では異所性mossy fiberの終末がstratum orienceに存在するのが特徴的であった。一方、生後ラットへのアルコール投与実験では、まず小脳のプルキンエ細胞を研究対象とした。プルキンエ細胞は生後4-9日でアルコール高感受性であり、樹状突起の発育不全を示した。しかしながら、生後10日以降の脳組織においてはプルキンエ細胞をはじめとする他の神経細胞には何ら変化が認められないという実験結果を得た。次に、このような生後早期における神経細胞のアルコール感受性に関し海馬で行なわれた研究では、歯状回門領域の顆粒細胞や錐体細胞にも小脳組織と同様神経細胞の発育不全が認められ、海馬領域においても高感受性であることが明らかになった。さらに、マウスに対する短期アルコール投与実験をおこなったところ、海馬領域においてcalbindin D28k免疫反応陽性細胞の数が減少した。しかしながら逆にGFAP反応陽性細胞の数の増加が認められ、神経細胞とグリア細胞の変化が形態学的に非常に対照的なものとなった。このようなニューロンとアストログリア細胞の脳組織における変化は、海馬に起因する神経症状発現メカニズムにこれら細胞相互の働きが深く関与することを示唆するものであると考察される。
著者
伊藤 賀永
出版者
関東学院大学人間環境学部人間環境学会
雑誌
関東学院大学人間環境学会紀要 (ISSN:13489070)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.31-47, 2014-02

In this paper I take a closer look at problems, preventions and the psychological care of bullying in Swiss schools. I thereby refer to the anti-bullying <Be-Prox program< developed by Swiss psychologists and consider their possible application in Japan. Distinctive features of anti-bullying preventions in Switzerland are: Teachers take a leading role. National and local governments are unified in the support of their efforts. The importance of anti-bullying preventions and of enhancing body consciousness and physical abilities already in kindergarten is recognized.
著者
伊藤 眞義
出版者
(一社)日本ゴム協会
雑誌
日本ゴム協会誌 (ISSN:0029022X)
巻号頁・発行日
vol.87, no.2, pp.48-56, 2014 (Released:2014-04-19)
参考文献数
27
被引用文献数
1

This paper is concerned with the discussion on the characterization of carbon-gel developed in the carbon black filled rubber systems. A limit of NMR method for the characterization was also discussed. There exists less mobile rubber molecules and highly mobile ones in the carbon-gel. The less mobile rubber molecules cannot be removed by the good solvent for rubber and they contribute to the reinforcement. The highly mobile ones can be extracted by the good solvent depending on molecular weight of rubber and conditions for the extraction. Therefore, the reinforcement of filled rubber systems cannot be simply related with the content of carbon-gel.
著者
大島 千佳 中山 功一 伊藤 直樹 西本 一志 安田 清 細井 尚人 奥村 浩 堀川 悦夫
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.2013-MUS-100, no.1, pp.1-6, 2013-08-24

シンセサイザのボコーダの機能を利用し,発声をリアルタイムに長調や短調の音楽に変換することによる,気分の変化について調べた.音楽はさらに MusiCuddleというシステムを利用し,ユーザの発声と同じ音高から開始された.実験の結果,気分の変化に関して,短調と長調の和声フレーズの条件の間で,「陽気な」 「悲観した」 に差異が認められた.ここから,憂鬱な気分であっても,自分の発声が強制的に楽しい気分を誘う音楽に変換されると,気分が楽しくなることが示唆された.
著者
伊藤 茂樹
出版者
日本教育社会学会
雑誌
教育社会学研究 (ISSN:03873145)
巻号頁・発行日
vol.59, pp.21-37, 1996-10-15
被引用文献数
19

In post-war Japan, juvenile delinquency has been "moving" from the society outside school, to the border between society and school, to inside school, and finally, to inside people's "mind". In recent years, people "find" juvenile delinquency in their "mind". "IJIME" (bullying) as a social problem has been constructed since around 1980. In the discourses about this problem, "mind" is often referred to. References to "mind" are of four types : moral "mind" (to be educated), weak "mind" (to be disciplined), sick "mind" (to be cured), and "mind" to be accepted. Recently, the last one is found most often in the discourses, and it is thought that the problem can be solved by accepting various children's minds. The reasons why accepting children's minds is thought to be the best way to solve the "IJIME" problem are as follows : 1. "IJIME" is now regarded as the problem of normal children, not the problem with special personality, so they can be, and should be accepted as they are. 2. People find a great deal of difficulty in understanding today's "IJIME" and the children, and accepting children's minds is their only hope. 3. Counsellors actively claim their effectiveness and people expect counselling and counsellors to solve not only emotional but also social problems by accepting mind. But to normalize and institutionalize accepting children's minds as the only way to solve the "IJIME" problem and to revive schools heavily burdens the teachers, and their identity as a profession is brought to a crisis. Moreover, it personalizes the "IJIME" problem, and the structural factors of the crisis of the legitimacy of schooling are concealed.
著者
草地 良規 伊藤 直己 鈴木 章 荒川 賢一
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.104, no.369, pp.37-42, 2004-10-14
被引用文献数
7

我々は,画像検索のための景観画像へのインデクス付与を目的として,視点/背景テクスチャ/コントラストの制約を設けずに撮影された景観画像中の文字認識法を提案している.提案法では,文字領域を切り出す必要がなく,シェーディングを伴う文字,立体文字,複雑背景上の文字,切り出しに失敗した傾斜文字,を識別する能力があるが,識別に多大な時間がかかるという課題があった.本稿では,カテゴリを特徴の類似性に基づいて階層的に分類し,各分類パターン(クラス)に対して階層的な辞書を構成することで,提案法の処理量削減を実現する.識別率の測定実験を行い,84%の識別率で処理量を1/20程度に削減できることを確認した.また,日本語キーワード(ひらがな,カタカナを含む)による画像検索精度の測定実験を行い,平均適合率76.8‰平均再現率70.4%を確認した.
著者
松田 裕子 大塚 理恵子 伊藤 剛 小川 郁夫 佐藤 豊 瀧原 道東 加治 弘 迫田 寛人 竹本 寛 松永 義則 森 昭夫 山岡 義生 井上 潔
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.27, no.11, pp.2287-2292, 1985-11-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
6
被引用文献数
2

胃内視鏡検査施行時に1,129例の胃液を採取してpH値を測定し,内視鏡所見との関係を検討した. 内視鏡的に無所見であった353例におけるpH値の分布は,年齢が高くなるにつれて高pH領域へと偏り,加齢による影響を示したが,性別による差異は認められなかった. 胃潰瘍225例のpH値分布は無所見群のpH値分布と類似していたが,十二指腸潰瘍160例は無所見群や胃潰瘍群よりも低pH値領域に偏った分布を示し,この傾向は高齢者においてなお著明であった. 胃潰瘍および十二指腸潰瘍において,病変が活動期である時は胃液はより低pH値を,病変が瘢痕期である時はより高pH値を示したが,十二指腸潰瘍では瘢痕期においてもなお無所見群よりも明らかに低pH値にとどまった. 本法は被検者に苦痛を与えることなく,多数例に反復施行が可能であり,胃の形態と機能の両面から同時に観察することができ,臨床上有用であると考えられた.