著者
曽我 太佐男 小林 二三幸 佐々木 秀昭 白井 貢 保川 彰夫
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
サーキットテクノロジ (ISSN:09148299)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.97-109, 1992-03-20 (Released:2010-03-18)
参考文献数
10
被引用文献数
2 3

プリント板上に搭載したFP (Flat Package) のはんだ付け継手部において, 温度サイクル試験によるクラック進展長さを定量評価し, 熱疲労による劣化メカニズムおよび熱疲労劣化要因について検討した。FP構造では, 熱応力が弾性体のリードを介して継手に作用するため, 破壊メカニズムがフリップチップ等の剛体構造に比べ複雑である。セラミックFP継手のクラック進展は, 高温から低温に変化したとき, 継手のかかと部に開口状に作用するリードの曲げに起因する。FP継手のクラック進展長さは, 温度サイクル数に対して, ほぼ直線的に増加する。クラック進展に及ぼすリードの曲げ剛性, プリント板の熱膨張係数, 継手欠陥の形状, はんだ厚さ, 加速条件, 浮きリードによるクリープを伴う複合疲労等について明らかにした。また, 各種FP継手に対して, 継手形状, 寸法等で継手の信頼性を容易に判定できるマクロな簡易解析法の有効性を確認した。本手法による平均相当応力が3kgf/mm2以下であれば, -55~150℃, 1サイクル/hの条件で, 1500サイクルに耐えられる高信頼継手が期待できる。
著者
佐々木 陽 鈴木 隆一郎 堀内 成人 松宮 和人 荒尾 雅代
出版者
一般社団法人 日本糖尿病学会
雑誌
糖尿病 (ISSN:0021437X)
巻号頁・発行日
vol.20, no.5, pp.610-616, 1977-09-30 (Released:2011-08-10)
参考文献数
17

Prediabetesへのアプローチの一方法として, 3歳3ヵ月で発病した小児糖尿病の血縁者で, 祖父母の同胞およびその子孫までに至る61名中55名の検査を行い, その糖代謝およびIRI反応について検討した.1) 糖代謝異常は55名中14名 (25.5%) にみられ著しく高率であった.これを患児の4親等以内の血縁者 (Group I) と5親等以上のもの (Group II) の別にみると, Group Iにやや頻度が高く, とくに0~19歳の若年層で7名中2名に糖代謝異常がみられた.平均血糖値は0~19歳の年齢層を除いて, 両Group間にとくに差はみられなかった.2) 糖代謝の正常な35名についてIRI反応を両Groupで比較すると, 患児と血縁関係の近いGroup Iでは血縁関係の遠いGroup IIに比しIRI反応が低く, またすでに報告したインスリン分泌の指標, IRI面積/血糖面積比も低下する傾向のあることが認められた.以上の結果, 糖尿病患児の糖代謝正常な近親者でもIRI反応が低下しており, prediabetesにおけるインスリン分泌の減退が示唆された.
著者
小谷 凱宣 FITZHUGH W.W 新美 倫子 出利葉 浩司 切替 英雄 西本 豊弘 佐々木 利和 FTIZHUGH William W KENDALL L. POSTER A. G KATZ A. H FITZHUGH W. KREINER Jos POSTER A.G. KATZ A.H. OELSCHELEGER エッチ.デー KREINER J.
出版者
名古屋大学
雑誌
国際学術研究
巻号頁・発行日
1994

本研究計画に関連するアイヌ・コレクションは、北米と西ヨーロッパに所蔵されている。このほかに、アイヌ資料はロシア各地の博物館に所蔵されていることは広く知られている。平成7年度より、ロシア国内のアイヌ資料調査が千葉大学・荻原眞子教授らのグループにより開始され、その研究成果がまとめられつつある。ロシア資料の調査結果と北米・西欧における研究成果と合わせることにより、海外のアイヌ・コレクションの全体像とアイヌ物質文化に関する新知見が得られよう。この一連の研究はさらに、北方地域の一民俗に関わる博物館資料の悉皆調査という初めての試みであり、現代文明の影響を受けて変容した北方狩猟民文化に関する研究資料の再検討という意味で、優れて現代的意義を有する。本研究計画による研究成果に、とくに北太平洋地域の研究者が一致して注目しているゆえんである。そして、本研究計画は、欧米の北方文化研究者が立案している「ジェサップ2計画」の先駆的役割を果たしつつある。西欧と北米のアイヌ資料との比較の試みを通して、欧米の研究者がアイヌ研究と資料収集に特に関心を抱いた知的背景が明確になってきた。西欧のアイヌ文化の研究者は、広義の自然史学(基礎科学)の枠組みの中で知的訓練を受けていることが指摘できる。このことが、アイヌ文化の伝統が維持されていた時期に調査収集が行われた事実と相まって、学術的に質の高いコレクション収集を可能にした背景である。さらにフランツ・フォン・シ-ボルト以降、「高貴な野蛮人」、「失われたヨーロッパ人」、「消滅しつつある狩猟民」としてのアイヌ民族文化への関心が、アイヌ研究を推進した。19世紀半ば頃から提唱された「アイヌ=コーカソイド仮説」は、欧米諸国民と研究者のアイヌ文化へ関心をいっそう高め、ドイツとアメリカにおけるコレクション収集を加速した。アイヌ文化を含む北方狩猟民文化研究の動きは、第一次大戦勃発とそれにともなう社会変化のために停止した。日本人研究者による本格的なアイヌ文化研究とコレクション収集の努力は、第一次大戦以降にはじまったことが浮き彫りにされてきた。前年までの在米アイヌ資料の調査の遺漏を補うために、シカゴ(シカゴ大学とフィールド自然史博物館)とニューヨーク(アメリカ自然史博物館)で補充調査を実施した。なかでも、シカゴ大学図書館特別資料部所蔵のフレデリック・スターのコレクションにふくまれる映像資料(スライド類)お精査し、さらに、写真類も入手したことにより、スターが収集したアイヌ関係資料の全容がほぼ判明してきた。すなわち、スターは明治末の10年足らずの間に、アイヌ資料を約1,200点、アイヌ関係映像資料を約100点、そのほかに膨大な量の未公表フィールドノートと往復書簡類を残していることが解明できた。スターが収集したアイヌ資料の数は北米の総資料の約40%を占め、世界的にもきわめて大きなアイヌ・コレクションの一つといえる。また、彼の残した未公表資料は貴重な背景資料であり、アイヌ文化研究史においても重要である。スターのアイヌ関係資料の集大成が緊急の課題である。最後に、スミソニアンの極北研究センターにおいて、アイヌ文化に関する特別展覧会の準備が開始されたことは注目に値する。これは本研究計画の成果が展覧会企画の契機になったもので、研究成果の相手国への還元につらなる。また、ジェサップ北太平洋調査開始から百周年を記念する国際学会が1997年秋にアメリカ自然史博物館で開催される予定であり、また、「ジェサップ2計画」(1897-1903に行われたF・ボアズによるジェサップ北太平洋調査時に収集された未公表の諸資料の整理公表の事業)が始まる予定である。新たなる眼で北方諸文化の資料を再整理し、変容しつつある先住民文化の理解の促進とアイデンティティ確立に資するものである。これは、本研究計画、アイヌ資料悉皆調査の目的と一致するものである。
著者
石塚 達雄 佐々木 旭
出版者
防衛衛生協会
雑誌
防衛衛生 (ISSN:00065528)
巻号頁・発行日
vol.23, no.5, pp.p155-160, 1976-05
著者
佐々木 あや乃
出版者
東京外国語大学
雑誌
東京外国語大学論集 (ISSN:04934342)
巻号頁・発行日
no.68, pp.99-128, 2004
著者
佐々木 信博
出版者
The Japan Institute of Electronics Packaging
雑誌
HYBRIDS (ISSN:09142568)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.21-27, 1992-03-01 (Released:2010-03-18)
参考文献数
4
被引用文献数
3
著者
佐々木 秀綱
出版者
特定非営利活動法人 組織学会
雑誌
組織科学 (ISSN:02869713)
巻号頁・発行日
vol.52, no.1, pp.45-57, 2018-09-20 (Released:2019-01-17)
参考文献数
36

本研究の目的は,リスクを伴う意思決定に際して,社会的勢力感がいかなる影響を及ぼすのかを検討することである.質問紙を用いた場面想定法実験の結果から,次の2つの知見が明らかになった.第1に,勢力感の高い個人はリスク愛好的な選択を行いやすくなった.第2に,勢力感の低い個人は,リスクに対して単純に回避的な反応を示すというよりはむしろ中程度のリスクを好む傾向を強めた.
著者
佐々木 リディア
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.151, 2009

本研究では、ルーマニア、ドナウデルタにおける観光の持続性と、環境保全との共存・両立の可能性を考察し、そのために必要とされる対策を明示することを目的とする。 近年、自然環境保全への意識が高まる中、より持続性が高く新しい型の観光が求められている。中でもエコツーリズムはその筆頭である。「環境保全の側に立ち、地元の生活向上に貢献する、責任ある旅行の仕方である」と定義されている(TIES, 1990)。つまり、エコツーリズムは環境保全に貢献し、地元文化の伝承、地元への財政に利益をもたらし、来訪者と地元の双方の環境意識を高めることに寄与する。 1989年の政治・経済改革以降、中東欧諸国では観光業の振興が優先課題となった。ルーマニアも豊富な自然・文化資源により観光業の育成が期待されたが、消極的な政策を採り他の中東欧諸国の後塵を拝することとなった。その結果、2006年の外国人観光客数は604万人、国全体の観光業のGDPへの貢献度は1.92%と期待を下回る。このような、ルーマニアの観光業の発展の阻害要因として、以下の4つの点が挙げられる。_丸1_ 国の観光振興政策・戦略の欠如; _丸2_ 政府と民間との連携の欠如; _丸3_ 地方のインフラ整備不足(交通、宿泊のみならず、上下水道・下水処理場、ごみの収集などといった基礎インフラでさえ不足している); _丸4_ 観光業の人材が質量共に不足。そのため2007年にEU 加盟したルーマニアは、新しい観光振興戦略に基づき、EUからの支援金を受け持続的な観光業の振興に力を入れた。 本研究では、持続可能な観光に豊富な自然資源を有するドナウデルタに焦点をあてる。ドナウデルタ生態系保全地域(DDBR)は、ルーマニア最大の生物圏保存地域であり、多様な生物種(植生、野鳥327種、魚類65種など) により世界遺産に指定されている。1989年以前のドナウデルタは、自然保全エリアを除き、漁業、葦の採取販売、自給自足的農牧業、零細な観光業などが複合的に機能していたが、1990年以降厳密な自然保護地域に指定されたため、これまでの生業の継続が難しくなり新たな収入源が必要になった。当初、観光業は有望な選択肢と見られ、観光客は徐々に増加した。しかし一方で、観光は地域の資源である環境を汚染し、野生動物の生活環境を侵害し、地域文化を喪失するなどマイナスの影響をもたらす。その解決としてエコツーリズムの導入することにより、自然環境と地域文化の保護に対する、観光や地域発展という相反する目的を共に満たし、地域社会の持続的発展を可能にできると考える。 最後に、発表者は持続的地域発展を目的とする真のエコツーリズムを浸透させるためには、以下の4点が重要な対策であることを提言する。_丸1_環境保全、地域発展と観光を調和させるための新しい地域の観光振興戦略を策定する_丸2_国、地方公共団体、DDBR当局と地域コミュニティの間の連携を高める_丸3_行政が、基礎インフラ、そして観光のための投資を優先的に行う_丸4_環境保全活動に対する地域住民の意識を高め、積極的に関与させる
著者
髙橋 康二 中島 香織 佐々木 智章 山品 将祥 高林 江里子 大崎 能伸 北田 正博
出版者
特定非営利活動法人 日本肺癌学会
雑誌
肺癌 (ISSN:03869628)
巻号頁・発行日
vol.57, no.4, pp.278-285, 2017-08-20 (Released:2017-09-08)
参考文献数
23

目的.根治切除術を施行した非小細胞性肺癌N2群の予後をより正確に予想するため,各肺葉のリンパ経路図を作成し,N2群の層別化を行った.方法.肺のリンパ経路をlevel 1:肺実質からN1まで,level 2:N1からN2まで,level 3:N2間,の3 levelに分類した.585例の肺ヒストプラズマ症初感染群のCT所見を観察し,各肺葉のリンパ経路図を作成した.結果.Skip転移は肺葉により特異的で好発部位が決まり,右上葉は右下傍気管リンパ節(#4R),左上葉は大動脈下リンパ節(#5),両側下葉では肺靱帯リンパ節(#9),傍食道リンパ節(#8)であった.右中葉ではskip N2転移はまれであった.縦隔リンパ節転移の好発部位は,右上葉は右下傍気管リンパ節(#4R),右中葉と下葉が気管分岐リンパ節(#7),左上葉が大動脈下リンパ節(#5),左下葉が肺靱帯リンパ節(#9L)であった.結論.リンパ節転移に関与したリンパ経路のレベルにより,非小細胞性肺癌N2群を,minimal,early,advanced N2の3群に層別化した.
著者
佐々木 健 木谷 俊秀 江本 美昭 浜岡 尊
出版者
農業施設学会
雑誌
農業施設 (ISSN:03888517)
巻号頁・発行日
vol.18, no.1, pp.38-46, 1987

畜産廃棄物の再資源化と地域利用を目的として, 豚ふん尿のメタン発酵特性調査とバイオガスエンジン駆動試験を行った。35℃の単槽回分式メタン発酵で最大ガス発生速度, 950m<i>l</i>/<i>l</i>/日 (370mg/g-vs) を得, CH<sub>4</sub>濃度は58~76% (他はCO<sub>2</sub>) であった。連続発酵 (35℃) で有機物負荷が2.8~7.1g-vs/<i>l</i>/日の時, ガス発生 (840~1,150m<i>l</i>/<i>l</i>/日), CH<sub>4</sub>濃度 (64~72%) およびCOD<sub>cr</sub>除去率 (61~63%) がそれぞれ最大であった。CH<sub>4</sub>60%とCH<sub>4</sub>80%の等価混合ガスを燃料とし, 空燃比を調整して4サイクル点火式エンジン (550cc) を駆動し最高出力15PSを得た。500頭規模の豚舎を想定すると約13時間のバイオガス駆動が可能と推算された。
著者
佐々木 雄一 山下 達郎 柿澤 雅史 石合 純夫 本望 修 佐々木 祐典 岡 真一 中崎 公仁 佐々木 優子 浪岡 隆洋 浪岡 愛 小野寺 理恵 奥山 航平
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2015, 2016

【はじめに,目的】近年,脳梗塞に対する急性期治療の進歩に伴い,死亡率は低下している。しかし,後遺症は日常生活を困難にし,我が国における要介護者の原因疾患第一位となっており,新しい治療の開発が望まれている。脳梗塞に対する骨髄間葉系幹細胞(MSC)の経静脈的移植は,後遺症を改善する新しい治療法として注目されており,前臨床試験と自主臨床研究(12例の脳梗塞亜急性期患者を対象)での良好な結果に基づき,2013年から,札幌医科大学ではMSCを使用した再生医療の医師主導治験を行っている(第三相)。本治験は二つの治験から構成されており,まず,治験①として,"亜急性期の脳梗塞患者を対象とした二重盲検無作為化比較試験"(発症60日±14日に治験薬を投与)を行っている。そして,治験①終了後,プラセボ群だった患者には,治験②として,"慢性期の脳梗塞患者を対象とした単群非盲検試験"(発症150日±14日に細胞が入った実薬を投与)を行い,安全性と有効性の評価をしている。今回,治験②(慢性期の脳梗塞患者を対象とした単群非盲検試験)においてMSC移植を受けた脳梗塞患者1名の身体機能の経時的変化を,Fugl-Meyer assessment(FMA)に注目して報告する。【方法】対象は30代,男性で,治験②において発症166日目に治験薬の投与を受けた脳梗塞患者である。身体機能は,FMAを使用し,転院時,治験①での投与直前,投与1週後,1ヶ月後,3ヶ月後,治験②での投与1週後,1ヶ月後,3ヶ月後の計8時点に経時的評価を行った。【結果】上肢機能に注目したFMAでは,治験②での治験薬の投与を境にして,大きく改善した。さらに,上肢機能におけるサブ解析では,手関節機能,手指機能,協調性・速度の項目で著しい改善を示していた。【結論】本症例では,発症後5ヶ月以上経過した慢性期においても,MSC移植を契機にして身体機能の更なる改善を示した。特に,MSC移植によって運動・感覚などの神経機能が回復するメカニズムには,移植直後からの神経栄養・保護作用,血液脳関門の安定化,血管新生作用,再有髄化などに加えて,リハビリテーションとの組み合わせによって惹起される脳の可塑性の変化が大きく関わっていることが示唆されており,今後は,症例数を増加するとともに,本治療に適した評価方法の確立やリハビリテーションプログラムの再構築,さらには診療報酬体系を含めたリハビリテーション全体の変革が必要と考えられる。
著者
宮﨑 照雄 佐々木 誠一 豊田 淳 白井 睦 池上 正 本多 彰
出版者
国際タウリン研究会
雑誌
タウリンリサーチ (ISSN:21896232)
巻号頁・発行日
vol.5, no.1, pp.19-22, 2019 (Released:2020-09-20)

タウリン生合成能がないネコでは、タウリン枯渇食の供与により生体中のタウリンが欠乏状態に陥る。タウリンの欠乏により、タウリンの胆汁酸抱合率が顕著に減少する。さらに、胆汁中の胆汁酸濃度の有意な減少と胆汁酸組成の変化が生じる。そこで、タウリンの欠乏が、肝臓における胆汁酸合成過程に及ぼす影響について、胆汁酸合成経路の中間代謝物である酸化ステロールの変化について検討した。その結果、タウリン欠乏ネコの肝臓において、胆汁酸合成経路のClassic pathway の酸化ステロールの有意な増加とAlternative pathway の酸化ステロールの有意な減少が確認された。タウリン欠乏による胆汁酸組成の変化は、胆汁酸合成経路で異なる中間代謝物の変化に伴っており、タウリンが胆汁酸合成系の代謝に関与する可能性が示唆された。