著者
佐々木 卓也
出版者
立教大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2009

ジョージ・ケナンとポール・ニッツェは封じ込め政策に重要な影響を与えた戦略家である。封じ込めを提唱したケナンは日欧の経済再建を重視し、相互譲歩による対ソ交渉を唱えた。彼はさらに欧州的な外交に共感し、1970年代のデタント外交を支持した。これとは対照的にニッツェは軍事的な封じ込めを主張し、対ソ交渉には消極的であった。結局ニッツェ的路線が対ソ政策の基本を形成した。ただし興味深いことに、レーガン大統領はニッツェ的な路線とケナン的な路線を適切に実践し、冷戦の終結に至る過程で決定的な成果をあげたのである。
著者
佐々木 久雄 西村 修 須藤 隆一
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 = Journal of Japan Society on Water Environment (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.22, no.7, pp.581-586, 1999-07
被引用文献数
2

People usually evaluate the amenity of water environment by transparence to look at water. Water transparence is measured by transparency or transparency by cylinder test. However, these methods have some defects such as difficulties in measuring at shallow and clean waters, because transparency is limited by water depth and transparency by cylinder test is limited by length of a cylinder. Moreover, the lack of objectivity is pointed out, since transparency measuring is due to personal sensitivity. To conquer these problems, we designed a measuring method of horizontal transparency, and developed a measuring equipment by using an eye-test chart and a waterproof camera. We applied this method to water quality investigation of Matsushima Bay, Miyagi prefecture, and studied the characteristics of horizontal transparency comparing with transparency, transparency by cylinder test and so on. The results obtained were as follows; (1)Horizontal transparevcy has superior objectivity, because evaluation by plural number of people diminish personal errors. (2)Horizontal transparency is possible to express water transparence quantitatively without any limits, though conventional methods cannot apply to relatively clear and shallow waters. (3)Horizontal transparency has a very good correlation between not only transparency but also turbidity and suspended solids that are mainly affect to transparency. (4)The sense of visitors and fishermen about the water quality of Matsuhima Bay can be represented by horizontal transparency.
著者
小林 芳規 佐藤 利行 佐々木 勇 沼本 克明 月本 雅幸 鈴木 恵 原 卓志 山本 真吾 山本 秀人 青木 毅 本田 義央
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

醍醐寺蔵宋版一切経6,102帖に書き入れられた角筆情報を加えた目録出版を期し,その精査を基に,日本に伝来した宋版一切経の角筆点の発掘と東アジア言語文化の交流と影響関係を考察することを目的とする本研究は,2010~2012年に7回の現地調査を行い,書誌事項と共に角筆点の有無を再調査し,新たに521帖を加え約8割に角筆書き入れ帖を認めた。又,神奈川県称名寺蔵宋版一切経からも角筆点を認め,新羅写経の角筆仮名の解読を進めた。
著者
樋口 保成 中屋敷 厚 中西 康剛 佐々木 武 高山 信毅 高野 恭一
出版者
神戸大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1992

本研究の主要な成果は大別して3つの部分に分かれる。その第一は相転移モデルの代数解析的、確率論的研究の部分であり、第二は超幾何微分方程式系の幾何学的、解析的な研究、そして第三は結び目の理論の研究の部分である。これらの三つの部分はゆるやかだが互いに影響を及ぼしあっており、特に本研究では代数的手法がその相互をつなぐ主要要素となった様に思われる。まとめて見ると予定以上に豊かな成果を得ることができた。以下、主要な成果のみを列挙する。第一の部分ではXXZ模型及び8頂点模型の一点相関関数の形を求めることに成功した(中屋敷)。また、二次元イジング模型におけるパーコレーションの相ダイアグラムを定性的な意味では完全に決定することができた(樋口)。一方、超幾何微分方程式系の研究では、E(3,6)の局所解を構成し、そのモノドロ〓郡の形算に成功した(佐々木、高山)。また、ガウスの超幾何関数のゲルファントによる多変数への拡張を合流型について行ない、最も基本的な性質を調べている。(高野)この多変数型の超幾何関数については、記億をもつランダム・ウォークの再帰性を調べるときにも現われることが最近わかった。これは新しいタイプの超幾何関数に対するアプローチになるようであり、今後ますます研究を深める必要が有ると思われる。最後の結び目の理論の研究においては、どんな結び目でも絡み数が偶数である平凡な結び目で偶数回ひねることを有限回行なえば平凡にできるという結果を含む一般的な結果を得ている(中西)。以上の数学的成果の他にも、重要な成果の一つとして、これらの計算の一部を支える計算環論の種々のアルゴリズムを組み込んだプログラム言語Kanを開発した(高山)ことを挙げたい。このソフトはインターネット上で公開している。
著者
佐々木 亨
出版者
日本博物館協会
雑誌
博物館研究 (ISSN:09119892)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.12-15, 2007-05
著者
天野 由記 南條 功 村上 裕晃 藪内 聡 横田 秀晴 佐々木 祥人 岩月 輝希
出版者
公益社団法人 日本地下水学会
雑誌
地下水学会誌 (ISSN:09134182)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.207-228, 2012 (Released:2012-12-14)
参考文献数
43
被引用文献数
1 3

北海道幌延町において,堆積岩を対象とした深地層の研究施設を利用して,地上からの地球化学調査技術の妥当性を検証した。また,地下施設建設が周辺の地球化学状態に及ぼす影響について考察した。地上からのボーリング調査について,調査数量と水質深度分布の予測向上の関係を整理した結果,3本程度の基本ボーリング調査と断層・割れ目帯など高透水性の水理地質構造を対象とした追加ボーリング調査により,数キロメータースケールの調査解析断面の水質分布について不確実性も含めて評価できることが明らかになった。地下施設建設に伴う地下水の塩分濃度,pH,酸化還元状態の擾乱を観察した結果,一部の高透水性地質構造の周辺において,地下坑道への湧水による水圧や塩分濃度の変化が確認された。この変化量は事前の予測解析結果と整合的であった。これらの成果は,他の堆積岩地域における地上からのボーリング調査や地下施設建設時の地球化学調査の計画監理にも参照可能と考えられる。
著者
佐々木 常雄 大野 晶子 田中 良明 大島 統男 松原 一仁 牧野 宣一 三島 厚 山口 宏
出版者
公益社団法人 日本アイソトープ協会
雑誌
RADIOISOTOPES (ISSN:00338303)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.94-97, 1976-02-15 (Released:2010-09-07)
参考文献数
4

131I-adosterol 1mCiを静注し, 投与後7日目, 8日目, 9日目の3日間, 両副腎部を背部からNC (Pho/Gamma III) あるいはON 100シンチカメラによりシンチフォトを撮影する。対象とした副腎疾患はPA 10例, その疑い10例, CS 4例, その疑い3例, Pheo.2例, その疑い11例の40例である。手術によりPA 10例, CS 5例, Pheo. 2例が確認され, いずれもシンチフォト像では高い摂取が病巣に一致して認められた。シンチフォト像で描出された病巣の大きさはPAでは13~27mm, CSでは20~38mm, Pheo.では40mmであった。本検査すなわち副腎シンチグラフィは副腎疾患の診断において血管撮影とともに有効な診断法である。
著者
高桑 徹也 広井 悟 井上 義博 佐々木 盛光 中永 士師明 遠藤 重厚 星 秀逸
出版者
日本救急医学会
雑誌
日本救急医学会雑誌 (ISSN:0915924X)
巻号頁・発行日
vol.4, no.4, pp.350-353, 1993-08-15 (Released:2009-03-27)
参考文献数
9
被引用文献数
1 1

We report a case of myasthenia caused by a Mamushi (snake)[Agkistrodon halys Blomhoffi] bite. Electromyography revealed a marked increase in the amplitude of action potentials (waxing phenomenon) with fast rates of motor nerve stimulation and the response to tensilon was negative. This case indicates that Mamushi venoms contain a neurotoxin preventing the release of acetylcholine quanta from nerve terminals.
著者
佐々木 剛 猿渡 敏郎 渡邊 精一
出版者
公益社団法人 日本水産学会
雑誌
日本水産学会誌 (ISSN:00215392)
巻号頁・発行日
vol.72, no.5, pp.924-926, 2006 (Released:2006-09-22)
参考文献数
15
被引用文献数
1 1

遡河回遊型ワカサギの回遊履歴を解明するため,耳石核から縁辺部まで Sr, Ca の X 線強度の線分析を行い,Sr:Ca 比を求めた。耳石の形成時期と Sr:Ca 比の変化から,淡水域と海水域を交互に回遊することが示唆された。すなわち,ふ化直後から 5~7 月まで淡水域から海水域へ移動する「海水移動期」,5~8 月まで淡水域に移動する「淡水移動期」,7~9 月から産卵遡上時まで「海水移動期」となる。2 年魚は,海水域から淡水域へ移動する「淡水移動期」,その後海水域へ移動する「海水移動期」となる。
著者
佐々木 宏 深津 敦 鈴木 裕介
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SANE, 宇宙・航行エレクトロニクス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.92, pp.7-12, 2010-06-17
参考文献数
2

2009年9月11日に種子島宇宙センターからH2Bロケットで打上げられた宇宙ステーション補給機(HTV)技術実証機は、足掛け53日のミッションの中で、国際宇宙ステーションへのランデブ、食料や実験装置などの補給、廃棄品の搭載などを行い、11月2日に大気圏再突入を実施し、成功裏にミッションを完了した.HTVは約13年間の期間を通して開発され、技術実証機ミッションの中で実証された自動ランデブー技術や有人安全技術などの技術は、将来の宇宙開発に重要なものである.本講演では、HTV技術実証機の技術的な成果について報告する.
著者
井上 寛 佐々木 明夫
出版者
日本鱗翅学会
雑誌
蝶と蛾 (ISSN:00240974)
巻号頁・発行日
vol.45, no.4, pp.245-250, 1995-01-20
参考文献数
13

日本で"ネグロフトメイガ"と呼ばれている個体群の中に2種が混じっていることは,数年前に小木広行氏によって発見され,これらについての調査を筆者らに委ねられていた.日本のネグロフトメイガには,長い間Lepidogma atribasalis (Hampson)の名があてられていた.この種はアムール地方及びアスコルド島産の複数の標本に基づき, Stericta属の1種として記載されたもので,六浦(1957)によってLepidogma属に移されていた.ベルリンにあるタイプ標本のうちの雌と,ロンドンにある同じラベルの付いた雄を検討した結果,これらのタイプ標本は六浦(1957)や井上(1959,1982,1992)がL. atribasalisとしたものと同じ種で,もう一方は新種であることが判明した.しかし, Stericta atribasalis Hampson, 1900は,オーストラリアのS. atribasalis Warren, 1895に先取りされたホモニムなので,本文で新名を与えるとともに, 1新種の記載を行った.またこれらの2種は,南ヨーロッパや中東のLepidogmaと同属でなく,広義のStericta属に入れるべきことも判明した.記載にあたり,その端緒となる知見を得られた小木広行氏のご慧眼に対して深く敬意を表する.また小木氏をはじめ,土井信夫,猪子龍夫,岩崎史郎,亀田 満,小松利民,間野隆裕,大倉 慎,清野昭夫,田中政行,梅津一史,山中 浩,山本光人の各氏からも,多くの標本や情報を提供していただいた.著者の一人佐々木は,望月 淳,根本圭介,吉松慎一の各氏から文献参照の上でご協力をいただいた.上記の方々に対して心から感謝の意を表する. Stericta kogii Inoue & Sasakiネグロフトメイガ 六浦(1957),井上(1959,1982)がLepidogma atribasalisとして図説したのはこの種である.外横線は前縁部で黒色点で表わされ,脈M_1かRsからCuAまでは外方に大きくふくらみ,以後外縁に平行するが,後半は黒色帯と重なって不明瞭.前翅長:♂7.5-8.5mm,♀7.7-9.0mm.♂交尾器. Valvaは幅広くcostaはそれほど湾曲しない;harpeは棒状で, valvaの基部から1/3付近のところから突出する;juxtaの上部は2叉し,骨化して顕著な棒状となり多数の鋭く短い突起を伴う;aedeagusは細長く,長さは中央部の幅の約10倍;cornutusは1本の細長い針状物.♀交尾器. Colliculumは骨化し大きな筒状, ductus bursaeとの接続部は強く括れる;ductus bursaeはごく細く,始めは膜状であるが長さの半分ぐらいから骨化し,強く曲がってcorpus bursaeに達する;signaは多数の骨片が集まった2個の円形紋.本種の雌雄交尾器は,井上(1992)によってすでに示されている.また,本種の食草として,中村(1970,蛾類通信63:45)は,東京都初沢山でオニグルミにっいていた幼虫から成虫を得たことを報告しているが,これが2種のうちどちらの方かは今後確かめる必要がある. Stericta flavopuncta Inoue & Sasakiミドリネグロフトメイガ(新称)前翅長:♂7.5-8.6mm,♀7.5-9.6 mm.外見上は前種とよく似ていて,時には区別が困難であるが,雌雄交尾器の違いは顕著である.前翅外側1/3を占める黒色帯はより狭く,淡いことが多い.したがって外横線はより明瞭,外方へのふくらみは少ない.外横線外側の淡色帯は前種に比べて明瞭,この淡色帯はしばしば後角付近で黄白紋を表わす.♂交尾器.Harpeは前種より長くvalvaの中央付近から突出する;juxtaの上半は2叉し剣状の突起を形成し,前種のような短い鋸歯状の突起物を欠く;aedeagusはより太く,長さはvalvaの長さとほぼ同じ;cornutiは10本ほどの短い刺状物の集まり.♀交尾器.Colliculumは骨化し大きなカップ状,いったん狭まったのち再び嚢状に膨らむ;ductus bursaeは膜状,前種に比べてより太く短い,微細な骨片を散布し次第に太くなりcorpus bursaeに至る.両種ともにロシア沿海州と日本(北海道,本州)に分布していることは,筆者らによって確かめられたが,四国,九州,奄美大島の記録にっいては,実物を再検討しなければ何れの種なのか決められない.おそらく本邦南部にはネグロフトメイガだけが生息しているものと推定される.
著者
原口 和也 佐々木 慶文
出版者
小樽商科大学
雑誌
若手研究(B)
巻号頁・発行日
2013-04-01

ラテン方陣完成型パズルの基本問題である「部分ラテン方陣拡大問題」に対し、効率の良い局所探索法を開発した。マクマホン立方体パズルに関連して、未解決問題1つを含む3つの問題を解いた。本研究で取扱ってきたパズルを遊ぶことのできるサイト「LatinPuzzler」およびiOSアプリ「ふとうしきパズル」を開発し、公開した。
著者
佐々木 英
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.81, no.5, pp.1191-1200, 1984 (Released:2007-12-26)
参考文献数
29
被引用文献数
1

経口的胆汁酸負荷試験を腸疾患 (特に回盲部疾患, 回盲部切除例) に応用し, 胆汁酸の吸収障害を検討した. まず健常者10例において負荷胆汁酸を検討すると酵素法にて血清総胆汁酸濃度を測定する場合遊離型 ursodeoxycholic acid 600mg負荷が有用であり, 次にこれを回盲部疾患7例, 回盲部切除5例に負荷すると, 負荷後の血清総胆汁酸濃度は, 平担な pattern を示し, 特に負荷後120分値がそれぞれ9.5±2.0μM/l, 7.6±0.6μM/lと健常者の20.9±3.4μM/lに比して有意に低値であつた.また各疾患の個々の症例での負荷後のピーク値を比較すると, 回盲部疾患, 回盲部切除例は, 健常者に比して有意に低値であつた. これらのことより, 遊離型 ursodeoxycholic acid 600mgを使用した経口的胆汁酸負荷試験は, 回盲部疾患における胆汁酸吸収障害をよく反映した
著者
佐々木 充
出版者
帯広大谷短期大学
雑誌
帯広大谷短期大学紀要 (ISSN:02867354)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.67-90, 1970-12-25