著者
加藤 伸彦 佐藤 直樹 和田 龍彦 黒田 聡 米岡 宗臣 佐々木 努
出版者
日本医療機器学会
雑誌
医科器械学 (ISSN:0385440X)
巻号頁・発行日
vol.73, no.4, 2003-04-01

医療者の職業感染の防御に重要な役割を担っている手術用手袋の術中破損について検討を行い,その主要結果について本学会誌等をとおして報告してきた.とくに,演者らの研究グループで開発された三端子法を用いた高精度電気インピーダンス測定法の実用性の確立化,またこれを用いた手術用手袋の経時的変化,すなわちピンホール開穴の有無とその程度などの検討結果から、手術時間が2時間を超えると手袋にピンホールが発生しはじめ,6時間を超えると30%以上の手袋がバリア性に破綻をきたすことを証明した.感染防止を考えるとき,手術使用による手袋の材質変化,とくに手袋の化学的かつ経時的変化に関する検討は,無視することのできない重要課題である.本報告では,残された問題の一つである手術用手袋の経時的な厚みの変化,すなわち手術中の血液,脂肪成分等を含む体液の浸食により,手袋の厚みがどのように変化するかを検討した.その結果,いくつかの新知見を得たので報告する.なお,測定対象の手袋は,当院手術部にて手術に使用した使用済み手袋で,手術時間別の数十検体について,マイクロメータを使用してその厚さを測定した.比較対象の未使用手袋については,厚さ測定の結果から,無負荷時(テンションを加えていない状態)で220〜270μ(使用上を考慮して指部・手掌部・裾部では異なる),使用時の最も伸展した状態を想定(約5kg負荷)した場合では120〜170μであった.厚みの経時的変化に関するデータ蓄積は,手術時の手袋のピンホール開穴時期を考慮するときの主要情報の1つであることが明確となった.
著者
佐々木 彬 水野 淳太 岡崎 直観 乾 健太郎
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.27, 2013

近年、Twitterなどのマイクロブログが爆発的に普及し、それを対象とした自然言語処理関連の研究が増加している。しかしながら、マイクロブログ上のテキストには口語表現やインターネットスラングの類が入り混じり、自然言語処理を行うに当たって不便な点が多い。本研究では機械学習により、マイクロブログ上のテキストから自然言語処理に適したテキストへの正規化を図る。
著者
中島 健介 末松 憲治 竹田 英次 辛坊 俊行 佐々木 善伸 高木 直
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.87, no.1, pp.81-90, 2004-01-01
参考文献数
7

デイスクリートのチップ部品とGaAs-MMICのSW-BANKチップを実装したL帯5ビット移相器マルテチップモジュールを開発した. 移相器回路をチップ部品により構成する場合, 高い移相量精度及び振幅精度が要求されるため, チップ部品の特性ばらつきを考慮した設計が必要となる. 本論文では, チップコンデンサ, チップインダクタの特性ばらつきを考慮したモデリングを行い, 更に, GaAs-MMICをモジュール基板上にベアチップ実装する際のワイヤ長ばらつきも考慮し移相器モジュールの特性ばらつきを考慮した設計を行った. 市販のチップ部品を用いて試作した結果, モジュール全体として移相量誤差3.8°r.m.s.以下, 振幅誤差O.15dBr.m.s.以下の性能が得られた. 以上より, 5ビット移相器として十分な振幅・移相精度を実現していることが分かり, チップ部品の特性ばらつき及びMMICのワイヤ実装ばらつきを考慮した本ばらつき設計の有待性を確認した.
著者
伊ヶ崎 健大 田中(髙橋) 美穂 佐々木 夕子 小﨑 隆
出版者
首都大学東京 大学院都市環境科学研究科 観光科学域
雑誌
観光科学研究 (ISSN:18824498)
巻号頁・発行日
no.6, pp.127-134, 2013-03

日本人は砂漠化問題に関する関心が低いとされる。しかし、世界規模で取り組むべき砂漠化問題に個人が関心を持ち、それを理解することは、砂漠化に関連する食料安全保障や気候変動の問題に対する理解と環境保全活動に参加する人材の育成にも繋がることから極めて重要である。そこで本研究では、文献調査および2度の現地調査を通して砂漠化問題や現地の人々の生活、文化、価値観に対する日本人の理解を促進するための環境教育教材としてニジェール共和国を舞台にしたエコツアーおよびそれを補佐するプロモーションビデオとガイドブックを作成した。エコツアーについては、「最新の砂漠化対処技術の開発を目的した研究への参加」、「対象国自身が実施している砂漠化対策の視察」、「砂漠化に脅かされる野生動物の生態調査」、「現地の生活体験」、「現地ステークホルダとの討論」をコンテンツとして組み込んだ。また、プロモーションビデオおよびガイドブックについては、基本的にエコツアーの流れを重視して作成した。プロモーションビデオおよびガイドブックの教育教材としての有効性を検証した結果、ガイドブックを用いた講義およびプロモーションビデオの上映により、環境意識の高い日本の大学生および大学院生に対しては、砂漠化という現象およびその原因についてある程度正しく伝達することができ、また彼らの砂漠化問題、ひいては環境活動に対する興味を高めることができることがわかった。今後の課題としては、エコツアー自体の有効性の検証が挙げられる。この際、単に本研究で作成したエコツアーをモニターにより評価するだけでなく、既存の植林ツアーやエコツアーが有する教育効果との比較も不可欠である。
著者
村上 英樹 木股 三善 下田 右 伊藤 英司 佐々木 聡
出版者
日本岩石鉱物鉱床学会
雑誌
岩鉱 (ISSN:09149783)
巻号頁・発行日
vol.87, no.12, pp.491-509, 1992-12-05 (Released:2008-03-18)
参考文献数
37
被引用文献数
2 8

合成された純粋な灰長石,それぞれMgO, SiO2に富んだ灰長石を, EPMAと四軸自動X線回折装置を用いて化学組成と格子定数の測定を行い,三宅島産灰長石との比較を行った。複合イオン置換に基づく検討から,天然及び合成の灰長石は, MgをCaMgSi3O8, 過剰のSiは ?? Si4O8端成分として,固溶する可能性が指摘された。さらにMgに対するこの端成分を確認するため, EPMAによるMgの化学シフトを解析した。その結果,合成灰長石に固溶されるMgは,オケルマナイト(Ca2MgSi2O7) 中のMgと同じ四配位席を占有することが示唆された。また, X線単結晶回折法からは, Mgの固溶量が増加するに従って,単位格子の体積が増加する傾向が明らかになった。以上のことから灰長石におけるMgの固溶は,雲母,角閃石,輝石に認められる通常のTschermak置換, Mg+Si ?? ;2Al, とは異なり,四配位席だけでのTschermak置換が,メリライトと同様に灰長石においても成立することを明示している。
著者
佐々木 均 西島 浩 小野 泱
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.39, no.2, pp.87-90, 1988
被引用文献数
3

吸血源動物を知る目的で, 北海道に分布するSimulium属の主要種である, アシマダラブユとアカクラアシマダラブユの2種のblood-mealをELISAを用いて, 免疫学的に同定した。アシマダラブユでは抗ヒト, 抗ウシ, 抗ウマ, 抗ヒツジ, 抗エゾシカ血清に, アカクラアシマダラブユでは抗ヒト, 抗ウシ, 抗ウマ血清にそれぞれ陽性反応を示したが, 抗鳥類血清に陽性反応を示した個体はなかった。この2種のブユは趺節の爪が歯をもたないS型であることからほ乳類吸血性とみられていたが, 本報に示された結果からこのことが免疫学的にも確認された。
著者
杉本 貴人 福谷 祐賢 佐々木 一夫
出版者
福井医科大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2001

本研究は、家族性アルツハイマー病(AD)のアミロイド前駆体蛋白717遺伝子変異(APP717)6例とプレセニリン1遺伝子変異(PS-1)7例、非家族性ADでアポリボ蛋白E(Apo-E)E4対立遺伝子の保有個数が異なる例(計33例)、正常対照6例で、海馬皮質亜野での神経細胞脱落と神経原線維変化(NFT)形成を定量的に解析し、これらの遺伝子変異と神経細胞死との関連について検討した。方法は海馬前額断でKluver-Barrera染色とGallyas-HE染色を行い、海馬体をCA4,CA3,CA2,CA1,subiculumの5亜野に分けて観察し、NFTを有しない核小体の明瞭な神経細胞、核小体が明瞭な神経細胞内の原線維変化(i-NFT)神経外原線維変化(e-NFT)の密度を測定し、罹病期間、神経細胞脱落の程度、神経原線維変化の程度との関連を調査した。その結果、APP717例ではCA2とCA1において非家族例よりもNFT形成が高度で罹病期間での有意差がなく、この部位ではAPP717遺伝子変異がNFT形成に強く影響していることが示唆された。PS-1例では、CA3とCA2、CA1で対照例や非家族性例よりも神経細胞脱落が強くNFT形成も高度で、PS-1がi-NFT(NFTを持ちながら生存している神経細胞)からe-NFT(神経細胞死)への過程に関与している可能性が示唆された。またApoE E4対立遺伝子ではCA2以外においてNFT形成に関与があり、特にCA1で強いことが示された。CA2は正常加齢ではNFTがもっとも出現しにくく、ADのNFTにもっとも脆弱性のある部位と指摘されている。本研究でもCA2はApo-E E4の影響をうけにくい部位であることが示され、CA2におけるNFT形成は特別な状況でAPPやPS-1遺伝子変異と関連をもっている可能性が示唆された。
著者
佐々木 明
出版者
信州大学
雑誌
人文科学論集. 人間情報学科編 (ISSN:13422782)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.115-140, 2000-03

The purpose of this paper is to establish the global outline of the Boreal and the Early Atlantic culture-temprature correlation. 5. The early and middle Boreal (7.9-7.1kaBC) was under fluctuant amelioration toward the B. hypsithermal (7.1-6.6kaBC). Polarward shifted midlatitude high pressure began to dessicate northern Sahara, but newly rained warm grassland in the southern part attracted immigrants. Preceramic meditteranean farmers climbed the gorge of the overwarming Lift Valley to diffuse over the cool Fertile Crescent and a part of their descendants further emmigrated in B.H. to cooler upland steppes, especially to central Anatolia whose copper resource accelerated the Crescent's chalcolithization. Monsoon development moistened continental South Asia to accomodate microlithic Iranians, eastern Central Asia to allow the East Asian ceramic-neolithic penetration, and central and northern China to initiate oryza agriculture. 6. The Early Antlantic opened with short but rapid deterioration which was followed by persistent fluctuation (E.A. interhypsithermal : 6.6-6.2kaBC), and by the E.A. hypsithermal (6.2-5.6kaBC). Midlatitude desiccation transferred the Saharan economy from fishery to nomadic stock rising, forced the Mesopotamian craftsmen to produce the painted wares of higher exchange value to meet their own subsistence demand, and began to force the Mesopotamian population to concentrate into the lower and irrigated areas. Ameriolation gave impetus to ceramic-neolithization both in the Black Sea-Donau areas (their copper resource drawing mediterranean migrants) and in lran-southwestern Central Asia, and to incipient setaria agriculture in northern China. Discussion is summarized as ; (i) 'migration' in this paper is the time-area bound sum total of individuals' movement, is motivating factor for acculturation and is critical countermeasure against fatal crises, (ii) the earliest microlithic industries were technological response to the glacial reduction of pebbled riverbeds, the main suppliers of stone tool materials, and (iii) in the early Holocene the natural size reduction and species diversification of ameliorating faunas paralleled the 'archaic' hunting strategy, nonexistent was the coastal. fishery dependency for which archaeological evidences were eustatic incidents (older and lower sites having been demolished), the polarward migration of the species of intensive gathering, when human-assisted, evolved itself to the incipient agricuture, an achievement having experienced an intermediate millenium, and several mammal species of fitted ethology were polygenetically domesticated as husbandry livestocks.
著者
佐々木 史郎 小谷 凱宣 荻原 眞子 佐々木 利和 財部 香枝 谷本 晃久 加藤 克 立澤 史郎 佐々木 史郎 出利葉 浩司 池田 透 沖野 慎二
出版者
国立民族学博物館
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2005

本研究は、北海道内の博物館に収蔵きれている、アイヌ民族資料の所在を確認し、その記録を取るとともに、その資料が収蔵された歴史的な背景を解明することを目的としていた。本研究で調査対象としたのは、北海道大学北方生物圏フィールド科学センター植物園(北大植物園)、函館市北方民族資料館、松前城資料館である。この3つの博物館が調査の対象とされたのは、資料の収集経緯に関する記録が比較的よく残されていたからである。3年にわたる調査の結果、北大植物園が所蔵する2600点に及ぶアイヌ文化関連の標本資料全点と松前城資料館が所蔵する320点余りの資料の全点について調書が作成され、写真が撮影された。また、函館市北方民族資料館では約700点(総数約2500点の内)の資料について、調書作成、写真撮影を行った。その結果、総計約3500点を超えるアイヌ文化の標本資料の詳しい調書と写真が作成された。本科研での調査研究活動では、標本資料の熟覧、調書作成、写真撮影にとどまらず、当該資料が各博物館に所蔵された経緯や背景も調べられた。植物園の資料の収集には、明治に北海道開拓指導のためにやってきた御雇外国人が関わっていたことから、彼らに関する史料をアメリカの図書館に求めた。調査の過程で、これらの博物館、資料館の資料が、明治から大正にかけての時代に収集されていたことが判明した。それは時代背景が明らかな欧米の博物館に所蔵されているアイヌ資料の収集時期と一致する。本科研の調査により、以上の3つの博物館のアイヌ資料は、すでに数度にわたる科研で調査された欧米の博物館の資料に匹敵するほどの記録と情報を備えることになった。それは、記録がない他の国内の博物館のアイヌ資料の同定、年代決定の参照に使えるとともに、アイヌ文化の振興と研究の将来の発展に大きく寄与することになるだろう。
著者
田口 洋美 佐藤 宏之 辻 誠一郎 佐々木 史郎 三浦 慎悟 高橋 満彦 原田 信男 白水 智 佐藤 宏之 辻 誠一郎 佐々木 史郎 原田 信男 白水 智 三浦 慎悟 神崎 伸夫 前中 ひろみ 高橋 満彦 岸本 誠司 中川 重年 梶 光一
出版者
東北芸術工科大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2006

本研究が開始された翌年平成18年度においてクマ類の多発出没が発生し、捕殺数は約5000頭、人身事故も多発した。本研究はこのような大型野生動物の大量出没に対する対策を地域住民の歴史社会的コンテクスト上に構築することを主眼とし、東日本豪雪山岳地域のツキノワグマ生息地域における狩猟システムと動物資源利用を「食べて保全」という市民運動へと展開しているドイツ連邦の実情を調査し、持続的資源利用を含む地域個体群保全管理狩猟システムの社会的位置づけとその可能性を追求した。
著者
前田 顕之 大関 悟 有地 榮一郎 出雲 俊之 大鶴 洋 岡部 貞夫 小村 健 川辺 良一 桐田 忠昭 草間 幹夫 迫田 隅男 佐々木 朗 篠原 正徳 田中 陽一 中村 太保 野口 誠 又賀 泉 山城 正司
出版者
Japanese Society of Oral Oncology
雑誌
日本口腔腫瘍学会誌 = Journal of Japan Society for Oral Tumors (ISSN:09155988)
巻号頁・発行日
vol.19, no.3, pp.163-175, 2007-09-15
被引用文献数
1 1

舌癌治療ガイドラインの作成にあたり, 日本での舌扁平上皮癌治療の現状を把握するためアンケート調査を行い, 75回答の集計結果から本邦における舌扁平上皮癌治療の現状を報告した。<BR>有効回答の得られた75施設の過去10年間 (1995-2004) における総症例数は5, 906例であった。T, N分類ではT2が2, 700例 (45.7%) , N0が4, 367例 (73.9%) と最も多かった。<BR>手術療法では原発巣の切除範囲の適応基準, 頸部リンパ節転移に対する頸部郭清術および舌癌切除後の再建術における適応と術式については, 各施設とも適応基準がほぼ共通しており標準的な治療ガイドラインの作成は可能であるように思われた。<BR>一方, 原発巣や頸部の放射線や化学療法による, 術前・術後の補助療法の目的と適応が各施設それぞれに基準があり, その標準化はガイドライン作成の大きな問題点になると思われた。いずれにしても質の高いエビデンスを持つ治療法をガイドラインに盛り込む必要がある。
著者
佐々木 義登
出版者
二松學舎大学
雑誌
二松 : 大学院紀要 (ISSN:09143602)
巻号頁・発行日
vol.21, pp.89-103, 2007
著者
佐々木 和子 水本 有香 小川 千代子
出版者
記録管理学会
雑誌
レコード・マネジメント (ISSN:09154787)
巻号頁・発行日
vol.63, pp.101-109, 2012

東日本大震災被災地では、現在もNPO法人宮城歴史資料保全ネットワーク(以下宮城資料ネット)などボランティアグループ等が中心となり、被災史(資)料の救出をおこなわれている。災害時の史(資)料救出活動は、1995年(平成7)におこった阪神・淡路大震災時の歴史資料ネットワーク(史料ネット)に始まる。その後大きな災害後には、被災地に史料を救出保全するネットワークが作られ、全国に広がっていった。2004年からは水害後の史料救出活動が始まり、そのノウハウが蓄積され、現在東日本大震災被災地で生かされている。本稿では、これらの活動の概観とともにその課題についても考察する。

1 0 0 0 OA 日本憲法要論

著者
佐々木惣一 著
出版者
金剌芳流堂
巻号頁・発行日
1930