著者
大塚 淳史 関 洋平 神門 典子 佐藤 哲司
出版者
情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.4, no.3, pp.1-11, 2011-10-03

コミュニティ QA サイトでは,ユーザの疑問や知りたいことが自然言語で記述された質問記事として投稿されている.本論文では,Web 検索で必須な言語化された検索クエリの想起を,質問記事を提示することで支援する,クエリ拡張型 Web 検索システムを提案する.提案システムでは,検索者から入力されたキーワードと関連する質問記事を複数のカテゴリから抽出し,拡張するキーワードとともに提示するクエリ拡張を実現する.検索者は,提示された質問記事を閲覧することで,自身の情報要求を拡張の根拠として言語化された検索クエリとして確認することができる.潜在的意味インデキシングを用いてシステムを実装し,実運用されたコミュニティ QA サイトの質問記事を用いて評価を行い,提案システムによって多様なクエリ拡張と,根拠となる質問記事を提示できることを確認した.In community QA websites,huge number of questions written in natural language are posted by users. We propose a new query expansion system to support Web search users by using community QA resources. In our system, users can get diversified query candidates from questions in multiple Yahoo! chiebukuro (Yahoo! Answers) categories relevant to the search query, and will find queries relevant to their information needs by browsing question articles. We also report experimental results to extract diversified question articles with latent semantic indexing.
著者
佐藤 真由美 佐藤 禮子
出版者
亀田医療大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011-04-28

【目的】婦人科がん患者が,治療後リンパ浮腫予防のためのセルフ・マネジメント(S・M)を促す教育的介入プログラムを開発,評価.【方法】封筒法で無作為比較試験を実施.6ヵ月後1.浮腫状況,2.健康問題対処,3.自己効力感,4.S・M行動を検討.【結果】5施設109名に実施.介入群38名(回収率68%),対症群33名(回収率62%).1.浮腫状況:リンパ浮腫診断者は,対象群が介入群より有意に多かった.2.健康問題対処:対象群が介入群より有意に低かった.3.自己効力感:有意差は無かった.3.S・M行動:対象群が介入群より有意に低かった.【考察】リンパ浮腫予防のS・M効果を顕著に示していた.
著者
石川 透 屋名池 誠 佐々木 孝浩 堀川 貴司 小川 剛生 津田 眞弓 佐藤 道生 小秋元 段 神作 研一 柳沢 昌紀
出版者
慶應義塾大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2012-10-31

室町時代から江戸時代に作成された、写本と版本については、これまでばくぜんと、室町時代までの写本の文化が、江戸時代の版本の文化へと置き換わっていったと、考えられていた。しかし、江戸時代前期に作成された奈良絵本・絵巻を見るだけでも、明らかに版本から写本へ作られたものが、相当数存在している。そして、写本と版本の両方を作る人物として、仮名草子作家として著名な浅井了意や、日本史上初の女性絵本作家というべき居初つな等が存在することが明らかになってきたのである。本研究では、これまで、中世文学と近世文学の研究として別々に扱われていた写本と版本の関係を、新しい資料を利用しての解明を試みた。
著者
井ノ上 寛人 小野田 望 佐藤 美恵
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. D, 情報・システム (ISSN:18804535)
巻号頁・発行日
vol.96, no.3, pp.753-761, 2013-03-01

文字のデザインは,ICT技術の発達に伴い,自動化及び多様化しつつある.視覚的効果を考慮して文字をデザインすることをレタリングなどというが,そのデザインには,線の太さなど,フォントを種別する基本要素の他に,遠近法や絵画的奥行手掛りに基づいた高次の要素がある.しかし,奥行表現を伴うレタリング文字のデザイン要素は多い上,専門のデザイナがどのような観点や原則に基づいて文字に装飾を施しているかは十分に検討されていない.そのため,奥行表現を活用するなど,構造が複雑なレタリング文字を工学的にデザインする上で必要とされる知見は非常に乏しいのが現状である.これらの背景から,本研究は,奥行表現を伴うレタリング文字のデザイン原則について整理することを目的に,印刷メディアから収集した文字試料を特徴分類した.調査の結果,収集した試料は12パターンに分類されるとともに.「陰」と「影」を組み合わせた表現は禁則的であることなどが示された.また,これらの原則は,映像やWebコンテンツなど,他の情報通信メディアにおいても成り立つと考えられた.
著者
佐藤 克文 島谷 健一郎 依田 憲 渡辺 伸一 高橋 晃周 坂本 健太郎 赤松 友成 高橋 晃周 坂本 健太郎 赤松 友成
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2007

加速度時系列データから簡便にスペクトログラムを作成し、k-means法による自動判別を行い,いくつかの行動にカテゴライズするソフトウェアーEthographerを作成した。本ソフトを用いることで、複数種類の対象動物から得られた加速度時系列データを簡単に解析する事が可能となり、対象動物毎の生理・生態学上の発見に加えて,種間比較による研究成果が得られた。
著者
佐藤 朋子
出版者
東京大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011

本研究は、精神分析の創始者フロイトによる生物学の知見の援用や生物学からの語の借用に注目し、彼独自の心理学的言説、なかでも情動の問題の錬成におけるそれらの意義を検討し、その一部を明らかにした。とくに痛み、喪、不安などの不快な情動について後期の彼が行った身体的次元の問いの提起がトラウマをめぐる思索の深化を伴っていることを明確にした。また二〇世紀ヨーロッパ思想史の観点から彼の情動概念の重要性を指摘した。
著者
広瀬 望 武邊 勝道 大屋 誠 佐藤 誠
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
構造工学論文集 A (ISSN:1881820X)
巻号頁・発行日
vol.60A, pp.605-612, 2014 (Released:2014-08-01)

Atmospheric corrosion of the steel surface of a bridge is largely due to salt spays generated over the ocean. The observed data indicate that the salt sprays first adhere to the steel, after which the extent of Cl− on the steel surface increases; however, the mechanism by which these processes occur has not yet been investigated. Our research objectives are to examine the relationship of atmospheric Cl− concentration with the extent of Cl− adhering to the steel surface and to clarify the effect of surface winds on the extent of Cl− adhesion. The results show that the extent of Cl− adhesion is positively correlated with atmospheric Cl− concentration and that the extent of Cl− adhesion depends on surface winds.Therefore, when estimating Cl− on a steel surface, we must consider the atmospheric Cl− concentration and the surface winds.
著者
荒川 正晴 町田 隆吉 松井 太 舩田 善之 荒川 慎太郎 佐藤 貴保 坂尻 彰宏 赤木 崇敏 高橋 照彦 武内 紹人
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2010-04-01

各班における資料調査の成果にもとづき、シルクロード東部地域の民族や文化の交流および政治・社会・経済などの具体的な姿を、各分担者の研究領域から明確にするとともに、「出土史料学」の基盤作りを行った。すなわち当該地域より出土した各文字資料の分類とそれぞれの性格と機能を検討し、このうち公文書については、各文書群の間で相互比較することを通じて、唐~宋~元にいたる公文書の長期間にわたる通時的な展開と、周辺国家・地域への公文書の空間的な波及と受容のあり様を明らかにした。研究成果は、既に国際ワークショップを開催して公表し、今はその成果をまとめた本を準備中である。
著者
佐藤 正樹
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2002

アンナ・ルイーザ・カルシュ(1722-1792)はシュレージエンの極貧の家庭に生れ、子守と牛追いと女中奉公に明け暮れた少女時代と二度の悲惨な結婚生活を経て(カルシュはシュレージエンで庶民としてはじめて離婚を経験した)詩人となった。この研究は、啓蒙のプログラム--カントによれば、万人に宿る悟性を鍛練して自立した人間になること--のもっとも重要な手段の一つである学校教育を受けず、詩人としての訓練はおろか綴字法や句読法さえ習得しなかった女性が、なにゆえ一冊の書物としては18世紀全体をつうじて最高の売上高を記録した『精選詩集』(1763)を出版し、ドイツ最初の自立した女流作家となりえたか、この疑問に、近代教育制度の初期の女子教育やプロイセン建国途上の社会文化、啓蒙主義とそれにたいするアンチテーゼとして提案された天才讚美、感情・陶酔を重視した時代風潮、それにカルシュ自身の生活史とから答えようとするものである。カルシュが不可欠であるはずの作家修業を経ず、まっとうな教育さえ受けなかったという境涯の不利益を、克服ないし回避するためにとった「戦略」は、彼女が人為的な教育にその天才を損なわれていない「自然児」だという主張であった。天才は神ないし自然の賜物であり、教育はむしろ有害だという。カルシュとその周辺の知識人たちはこの時代の流れに棹さして詩人カルシュを宣伝したのである。他方、フリードリヒ二世はカルシュにとって二重の意味で--一つは結婚生活の軛からの、第二には貧乏生活からの--解放者となった。天才カルシュは自然児であることを利用しただけでなく、プロイセンの愛国詩人となる道を選ぶことによって、みごとに生き抜いたのである。カルシュはドイツ文学・精神史の潮流を利用しつくし、前例のない「出世」をなしとげた庶民の娘だった。そもそも啓蒙のプログラムの対象とはなりえなかったはずの女は早々にこのプログラムに見切りをつけ、天才と感傷と愛国精神とに乗り換えたのである。
著者
佐藤 俊朗
出版者
慶應義塾大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2011-08-24

炎症性腸疾患は原因不明の慢性炎症性腸疾患であり,免疫統御療法により治療される.しかし,難治性炎症性腸疾患では,その効果が乏しい.我々は,そのような難治症例では粘膜の再生障害が原因であると考え,粘膜再生治療の開発を目指している.粘膜再生治療実現のための,非臨床試験として,マウス大腸より培養大腸上皮オルガノイドを作成し,マウス腸炎モデルに対して経肛門的投与を行い,投与したオルガノイドの生着が確認できた.また,オルガノイド移植群は非移植群に比して腸炎に対する治療効果を認めた.長期間培養した組織幹細胞を移植し,生着させる技術は他の臓器を見ても例がなく,今回の成果は粘膜再生治療を実現させるため,重要な進展となった.次のステップとして,ヒト腸管上皮幹細胞培養技術の開発が求められる.我々は,既にマウス腸管上皮幹細胞培養を確立しているが,本培養方法ではヒト腸管上皮幹細胞の培養は困難であった.そこで,マウス大腸上皮細胞培養の条件に加え,Nicotinamide,A83-01(Alk inhibitor),SB203580(p38 inhibitor)を追加したところ,世界で初めてヒト腸管上皮幹細胞の長期培養に成功した.長期培養されたヒト腸管上皮細胞は染色体異常など,形質転換をすることはなく,正常な分化を保持していた.本成果は粘膜再生治療のみならず,ヒト上皮細胞疾患の研究に非常に有用な技術である.
著者
佐藤 彰彦
出版者
福島大学
雑誌
研究活動スタート支援
巻号頁・発行日
2012-08-31

本研究では、原発被災地域における行政と住民、さらには、世論や国の政治ほかの外部作用等に焦点を当てつつ、原発被災地域ならびに被災者を取り巻く構造的な問題の解明を試みたものである。被災者の<生活/暮らし>、これらと政策との<媒介>や<接合>に注目した分析を行った。主に避難者の発話データ分析から、1)「あらゆる社会関係の喪失」という問題、2)その根底にある放射能に対する不安と疑念の存在、3)当事者ニーズと乖離した政策アジェンダ、4)その帰結としての政治・行政不信の継続などの問題が構造的に明らかとなった。
著者
佐藤 寿倫
出版者
福岡大学
雑誌
挑戦的萌芽研究
巻号頁・発行日
2011

依然として上昇している要求性能に答えることが可能な,プロセッサ性能の向上が達成されている.しかしシステム全体を眺めると,十分な性能を提供できているとは言い難い.メモリが足枷となっている.加えて,メモリはエネルギー消費量が大きい点でも問題である.このような問題意識から,本課題を実施した.近い将来に磁気抵抗メモリ等の次世代メモリが利用可能になるという仮定の下で,アーキテクチャ上の工夫により高性能・低電力・高信頼なメモリシステムを実現するために,従来の記憶階層を解体して新たに構築することを目標とした.提案する記憶階層を用いると最良の場合で,エネルギー遅延積を49%改善できることが確認できた.
著者
王 駿キ 佐藤 栄一 延原 肇
出版者
人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 (ISSN:13479881)
巻号頁・発行日
vol.28, 2014

本稿では、データ圧縮技術をテキスト分類に使用することによりテキストの言語に依存しない話題分類を実現し、短文投稿サイトTwitterに投稿されている複数の言語のTweetの分類を行う。また、圧縮の代わりにTweet文字列のエントロピーを用いた場合についても評価し、それぞれの手法の分類精度の比較を行った。
著者
佐藤 修司
出版者
東京大学教育学部
雑誌
東京大学教育学部紀要 (ISSN:04957849)
巻号頁・発行日
vol.34, pp.363-379, 1995-02-28

Kandel's division theory was introduced to Japan in the educational reform after World War II. Kandel was an important member of the Education Mission, so the description of the Mission Report resembled Kandel's in the institutional plan, the used term and wording, including the view of education and democracy, but the contradictory principles of teaching freedom and popular control were put side by side without proper arrangement. Japanese people in charge of the educational reform had the similar plan and view to Kandel and the Mission members. Especially the bill of teacher's ststus had the provisions of teaching freedom for relieving a teacher as a profession from imperative relationship and the professional personnel administration. Regretably the bill was soon repealed. After 1950's the government became opposite to the after-war reform ideals. The division theory of the advocates of 'people's right to education' has been constructed to protect the freedom of teaching under the hostile relationship with the government. For this reason the division theory in Japan has made radical and progressive in contrast to Kandel's.