著者
佐藤 健 鈴木 明夫
出版者
東京農工大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

本研究は、マルチメディアを用いた外国語としての英語教育の効果を最大化することを目的とし、文字、音声両方における英語テキストの意味理解を促進するために開発したアプリケーション(2次元/3次元アニメーションを用いた語彙学習アプリケーションと、解答時間制限機能が付いた語彙学習アプリケーション)が、実際に利用者のリーディングやリスニング活動を通した英語テキスト理解を促進するかについて、研究期間中様々な設定の元で実証的に検証を行ってきた。結果としては、1)イメージを用いた語彙学習アプリケーションは、語彙学習そのものを促進するだけでなく、学習した語彙を含むリーディング、リスニング両方のテキスト理解を促進するが、イメージのマルチメディア化による差異(2次元アニメーションと3次元アニメーション)は見られなかった。また、2)英単語の意味想起の自動化を補助する時間制限機能付き語彙学習アプリケーションは、単語の意味想起の自動化を促進するだけでなく、学習した単語を含むリーディングのテキスト理解も促進することが分かった。これらの研究成果は国内外の学会で発表し、また研究論文として公表することができた。実際の教育利用を想定した上での教材開発と効果検証を行った結果、マルチメディアの言語教育が持つ意義を再度認識させることが出来たという意味で、本研究は成功であったと判断することが出来る。
著者
三輪 譲二 佐藤 滋 川村 よし子 齋藤 伸子 稲葉 生一郎 山田ボヒネック 頼子
出版者
岩手大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

本研究では、ディジタル世代の学習者に対して、クラウドコンピュータ環境で、多段自律学習できるWebネットワーク型の日本語学習支援システム(e-Manabix)を構築し、地球規模での学習効果の評価を行った。特に、漢字手書き認識を用いた学習支援システムの公開運用評価を実施した結果、スマートフォンからのアクセスの割合が、当初より3倍の増加があり、 ディジタル世代に対応した自律学習支援システムの重要性を示す結果が得られた。
著者
山中 淳彦 佐藤 雅彦
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.14, no.4, pp.388-401, 1997-07-15

本論文では、代入を持つ関数型言語Λを提案する.この言語の定義を示し、操作的意味論がChurch-Rosser性や参照透明性のような良い性質を持つことを示す.次に、Λと[5]で提案された同様の関数型言語Λ94とを比較し、両者の間に成り立つ関係を調べる.Λの操作的意味論はΛ94のそれよりも簡潔に与えられており、そのためΛに対しては決定的な操作的意味論を自然に定義することができる.
著者
佐藤 和代
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.60, no.1, pp.11-16, 2010-01-01

企業におけるライブラリーサービスは,電子ジャーナルに代表されるインターネットを通じた情報流通の拡大に伴い変化し,従来の資料の保管・管理から情報の流通をマネジメントする機能へと変化している。このライブラリー部門にもとめられる機能の変化について,アサヒビール(株)研究開発センターにおける運営の事例とともに,2008年に実施したライブラリー設計のコンセプトを紹介する。新ライブラリーは建物の吹き抜け部分への移動であったため,書架の配置などデザイン的に制約が多かったが,「オープンな図書室」をコンセプトに,調査研究とコミュニケーションを両立できるスペースを提案した。また,これからのライブラリー機能に必要とされる機能について,現在進行形の取り組みについても述べる。
著者
関 節朗 佐藤 収
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 = Japanese journal of tropical agriculture (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.46, no.4, pp.290-294, 2002-12-01

パラグアイ・イグアス地域の不耕起畑では,深さ 5〜15cm のところにダイズ根の伸長を妨げる圧密層が存在し,多くのダイズに根系分布の浅層化が観察されている.この根系分布の浅層化を改善するため,2000/01年のダイズ栽培期間にパラグアイ農業総合試験場 (CETAPAR) において,スリット播種の効果について試験を行った.スリット播種とは,不耕起用播種機に装着されているコールタによって,土壌に切れ目を入れて,切れ目線上に播種する方法である.処理はスリットの深さ 5cm(S-5区),10cm(S-10区),15cm(S-15区)の3段階を設けた.初生葉展開期における地表面から主根先端までの長さは,S-5, S-10, S-15区でそれぞれ 8.9,11.6,14.9cm と,スリットが深いほど主根は深くまで伸長した.播種後10日目に測定した深さ 10〜15cm の土壌硬度は,S-5, S-10, S-15 区でそれぞれ10.5〜11.2, 8.7〜9.7, 1.1〜2.3kg/cm^2と,スリットが深いほど低くなった.開花期における異常根系発生率は,S-5, S-10, S-15区でそれぞれ82, 58, 22%と,スリットが深いほど根系異常は少なくなり正常根系の割合が多くなった.このことからスリット播種は主根の伸長速度の大きい出芽前後の土壌硬度を減少させて,主根の鉛直方向への伸長を促進し,その後の根系分布の発達に大きく寄与していることが明らかになった.また,子実収量はS-5, S-10, S-15区で,それぞれ3.2, 3.5, 3.8t/haと,スリットが深いほど増収した.
著者
佐藤 篤司
出版者
独立行政法人防災科学技術研究所
雑誌
防災科学技術研究所年報 (ISSN:09186441)
巻号頁・発行日
vol.12, 2001-10-30

2月上旬頃におけるオウトウ(=サクランボ)'佐藤錦'の凍害は、-15℃以下で8時間以上遭遇すると花芽の枯死が発生することが明らかになった。また、-20℃の低温遭遇では、花芽の枯死に加え、樹体生育に悪影響を及ぼすほどの凍害発生が確認された。
著者
佐藤 卓 Moreshet Samuel 高垣 美智子 篠原 温 伊東 正
出版者
日本熱帯農業学会
雑誌
熱帯農業 = Japanese journal of tropical agriculture (ISSN:00215260)
巻号頁・発行日
vol.47, no.2, pp.61-69, 2003-06-01

地下水の過剰利用や地球環境の変化により、旱害は農業生産において深刻な問題となりつつあることから,乾燥条件下における植物生理の理解を深め、乾燥ストレス耐性を付与した品種育成を目的とした研究が急務となっている.Capsicum annuum L.の中で,タイチリとニューエースは環境ストレスに対して対照的な反応を示す品種として知られていることから,この2品種を用いて乾燥ストレスに対する生理的反応を調査した.乾燥ストレス処理に際し,ヒートパルス法によるサップフロー,気孔コンダクタンス,葉の水ポテンシャルの測定を行った.タイチリは乾燥に対してより高い感受性を示し,水分供給量が限られている場合に蒸散による余分な水分損失を押さえていると思われた.また,潅水を再開した後の,サップフロー,気孔コンダクタンス、葉の水ポテンシャルの回復はタイチリの方がニューエースよりも早かった.さらに,一度乾燥ストレス処理を受けた植物は二度目のストレス処理の際に,以前に乾燥ストレスを受けていない植物よりも強い乾燥ストレス耐性を示した.品種間における形態,生理的な違い,つまり,葉や根の構造、及び、乾燥に対する水ポテンシャル調整機能の違いが、乾燥ストレスに対する反応の違いをもたらしたと考えられた.
著者
佐藤 明子 高橋 治 菊地 洋一 村上 祐
出版者
日本理科教育学会
雑誌
理科教育学研究 (ISSN:13452614)
巻号頁・発行日
vol.46, no.2, pp.21-27, 2006-01-31
被引用文献数
8

原子の構造やイオンを初めて学習するのは何歳で,どのようなレベルの内容を学習しているか,海外の教科書の比較研究を行った。調査した教科書は英国,フランス,ドイツ,イタリア,スロバキア,インド,中国,台湾,インドネシア,アメリカの計10か国の中学のものである。その結果,内容のレベルは国によって様々であるが,原子の構造やイオンは13〜14歳で初めて学習する国が多いことがわかった。そして,多くの場合,イオンは基本粒子として,原子の構造の直後に学習されている。また,周期表もほとんどの国で13〜14歳で扱われ,原子の構造,イオンの学習に活かされていることもわかった。原子の構造,イオンは,中学段階の学習で大きな役割を果たし,この段階でそれらを学習することが適切であることがわかる。
著者
秋元 俊祐 桃井 昭好 佐藤 茂雄 中島 康治
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. NC, ニューロコンピューティング (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.103, no.466, pp.67-70, 2003-11-15

我々はストカステイックロジックという論理を用いたニューロチップを試作した.64個のニューロン回路が内蔵されたこのチップでは,一般的な連続時間ニューロダイナミクスを実現でき,速度を大幅に落とすことなく非同期更新を行うことができる.また,活性化関数の形を非単調にすることでネットワークの性能を向上させることが可能である.今回,我々はこのチップを複数個接続した大規模ニューロシステムの構築に関する報告を行う.
著者
佐藤 大七郎 「人工林の一次生産」研究班 NEGISI K. SIBA Y. YAGI K. CHIBA M. NAGANO S. ORIME T. ASADA S. OSHIMA Y. TERADA M. HATIYA K. TADAKI Y. KARIZUMI N. KATO R. MORI M. ANDO T. SHIMODA H. HOZUMI K.
出版者
一般社団法人日本森林学会
雑誌
日本林學會誌 (ISSN:0021485X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.5, pp.154-158, 1970-05-25
被引用文献数
1

IBPの「人工林の一次生産」研究班によって, 1966年に, 小岩井農場でおこなわれた, 収穫法による林分生産関係の調査方法を検討するための合宿-JPTF-66-KOIWAI-の, 調査結果のあらましである。この合宿で得られたデータは, 関係研究機関にくばられており, 調査結果のたちいった検討は研究班員によって, おいおい報告されることになっている。39年生の, ながいあいだ間伐をおこなっていないカラマツ林(表-1)について, 根および下層植生をふくむ, 現存量と物質生産量をしらべた結果は, 表-2〜4にしめした。上木のカラマツは, 植物現存量の97%をしめたが, その葉量(3.95 t/ha, LA I : 4.24)の全体に対するわりあいは, 乾物重で82%, 葉面積で64%にすぎなかった。この林の乾物生産量は18.46t/ha/年で, その約80%はカラマツ上木によってしめられていた。