著者
斎藤 文彦 岡部 義信 菅 偉哉 渡邉 徹 有永 照子 内藤 嘉記 内田 信治 久下 亨 豊永 純 神代 正道 木下 壽文 鶴田 修 佐田 通夫
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.105, no.10, pp.1509-1514, 2008 (Released:2008-10-08)
参考文献数
17
被引用文献数
3

68歳男性.猪飼育,生食歴あり.糖尿病加療中に好酸球増多と膵体部腫瘍を認め当院紹介.膵腫瘍は画像所見とERP下膵管擦過細胞診で膵癌と診断.肝に多発小結節を認め生検で好酸球性肉芽腫だった.免疫血清学的検査で線虫類抗体が強陽性で内臓幼虫移行症の肝好酸球性肉芽腫を強く疑い,膵癌と幼虫移行症が偶発的に発症したと考え膵体尾部切除を行った.好酸球増多をともなう多発性肝腫瘍の診断には本疾患も念頭におき病歴聴取する必要がある.
著者
内田 勝幸 野口 裕司 荒川 礼二郎 橋本 佳子 五十嵐 康子 本多 秀雄
出版者
公益社団法人 日本薬理学会
雑誌
日本薬理学雑誌 (ISSN:00155691)
巻号頁・発行日
vol.100, no.4, pp.293-300, 1992 (Released:2007-02-13)
参考文献数
28
被引用文献数
1 1

塩酸アンブロキソール(アンブロキソール)の気道粘液分泌および肺表面活性リン脂質分泌に対する効果をそれぞれラットおよびモルモットを用いて検討した.気道粘液分泌に対しては組織学的および生化学的に検討した.アンブロキソールは用量依存的に気道のムコ多糖を増加させ,肥厚した杯細胞数も用量依存的に増加した.また,中性ムコ多糖も有意に増加し,組織学的には気管腺の肥厚およびPAS陽性物質の増加が認められた.このことは,アンブロキソールが気管腺においては漿液性の粘液分泌を亢進させることを示唆する成績と考えられた.一方,肺洗浄液中のホスファチジルコリンはアンブロキソール投与により有意な増加を示さなかったが,飽和のホスファチジルコリンが占める割合は有意に増加し,アンブロキソールの肺表面活性リン脂質の分泌亢進作用を示唆する成績であった.以上の結果からアンブロキソールの去痰作用の機序として気道粘液分泌および肺表面活性リン脂質分泌の亢進作用が考えられた.
著者
廣瀬 哲夫 内田 一徳 田中 勉 ファン ティハンチャン 石渡 洋子
出版者
The Japanese Society of Irrigation, Drainage and Rural Engineering
雑誌
農業農村工学会論文集 (ISSN:18822789)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.251, pp.515-527,a1, 2007

浸透破壊は, 地下水位の高い地点における土木構造物の性能設計において重要な課題の一つである. ここでは, 二次元複列矢板内地盤の浸透破壊実験について, PIV (Particle Image Velocimetry) 解析を行い, 水頭差の増加に伴う地盤構成砂粒子の移動現象に関する考察から次の結論を得た:(1) PIV解析を用いることによって, 砂粒子の移動の領域や様子を把握することができる.(2) 水頭差が変形開始時水頭差<I>H<SUB>y</SUB></I>を超えると, 複列矢板内の矢板壁近傍の砂粒子の上方向への移動, 及び, 矢板壁から少し離れた部分の複列矢板中央へ向かう斜め上方への移動が認められる.(3) 水頭差が変形開始時水頭差<I>H<SUB>y</SUB></I>を超えた直後の, 砂粒子の移動の範囲は, おおよそ, 深さ<I>D</I> (矢板の根入れ深さ) 及び幅<I>D</I>/2の範囲である.(4) PIV解析による地盤構成砂粒子の塊としての移動開始時水頭差<I>H<SUB>PIV</SUB></I>, 流量急増時水頭差<I>H<SUB>d</SUB></I>, 及び, 変形開始時水頭差Hyはほぼ等しい.
著者
内田 明彦 内田 紀久枝 川上 泰 村田 義彦
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.52, no.11, pp.715-721, 1999-11-20 (Released:2011-06-17)
参考文献数
49
被引用文献数
3 6

1990~1998年に神奈川県中央部と東京都西多摩郡日の出町に生息するタヌキNyctereutes Procyonoides umerrinusの内部寄生虫を調査した. 45頭中44頭 (97.8%) に蠕虫類の寄生が認められ, 線虫類11種 (タヌキ回虫Toxocara tanuki, クシマタヌキ鉤虫Ancylostoma kuskimaense, ミヤザキタヌキ鉤虫Artkrostoma miyazakiense, 猫糞線虫Strongyloides Planiceps, 犬鞭虫Trichuris vulpis, 犬糸状虫Dirofilaria immitis, Capillaria felis-cati, C. putorii, Tetragompmms melis, Molineus lagerae, Trichuris sp.), 吸虫類4種 (横川吸虫Metagonimus yokogauai, 浅田棘口吸虫Eckinostoma hortense, Concinnum ten, Stepkanoprora sp.), 条虫類2種 (マンソン裂頭条虫Spirometra erinaceieuropaei, 瓜実条虫Dipylidium caninum) の計17種で, 1頭あたりの寄生種は2~9種であった. ヒトに感染する可能性のある種は9種であった.
著者
山本 高至 白戸 裕史 内田 大誠 北 直樹
出版者
The Institute of Electronics, Information and Communication Engineers
雑誌
電子情報通信学会論文誌 B (ISSN:13444697)
巻号頁・発行日
vol.J104-B, no.12, pp.963-973, 2021-12-01

無線通信の大容量化に伴い,周波数資源の潤沢なミリ波帯以上の周波数活用の検討が進められている.このような高周波数帯では送受信点間が人体によって遮蔽された程度であっても,従来の移動通信等で用いられてきたUHF帯や低SHF帯に比べて大きなレベル低下を生じるために,基地局-端末間の見通しの確保が重要になる.複数の人が動き回るような環境では,複数の基地局やアンテナによって,いずれかの基地局(アンテナ)と端末間に見通しを確保するためのサイトダイバーシチやスペースダイバーシチ等を目的とした分散アンテナシステムが有効である.アンテナ間の離隔は遮蔽状態の相関に依存するが,これまで遮蔽状態の相関については経験的な検討に留まっていた.本論文では,高周波数帯を用いる通信の人体遮蔽に関して,人体を一様なポアソン点過程と仮定した確率幾何解析により,遮蔽率,ハンドオーバによる回避率,遮蔽の発生有無に関する自己相関関数を導出する.加えて,多数の分散アンテナに対する等価見通し率を示すとともに,解析結果に基づくアンテナの設置法について幾つかの例を示す.
著者
延原 玄弥 内田 英明 阿部 和規 藤井 秀樹 吉村 忍
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第34回 (2020)
巻号頁・発行日
pp.1I4GS205, 2020 (Released:2020-06-19)

地図情報を用いた交通流シミュレーションを実施しようとする際、実在する道路ネットワークに近い特徴を持つ仮想の道路ネットワークを用いると都合がよいことがある。本研究の目的は、実在する道路ネットワークをモデルとし、そのモデルの特徴量を再現する仮想道路ネットワークを生成することである。実在する道路ネットワークのデータはフリーの地図情報データベースであるOpenStreetMapから取得した。取得したデータから道路ネットワークの特徴量を求め、その特徴量を持つ仮想道路ネットワークはL-systemにより生成した。L-systemの入力パラメータは機械学習による回帰によって求めた。複数の都市の道路ネットワークをモデルとして実験を行った結果、L-systemのパラメータを適切に定めることで、定義した道路ネットワークの特徴量のうち、複数の特徴量を再現するような仮想道路ネットワークを生成できることを確認できた。
著者
下河内 洋平 井川 貴裕 渡邊 有実 油谷 浩之 井口 理 内田 靖之 楠本 繁生
出版者
日本トレーニング指導学会
雑誌
トレーニング指導 (ISSN:24336742)
巻号頁・発行日
vol.1, no.1, pp.4-9, 2014 (Released:2020-03-30)
参考文献数
17

本研究はハンドボールにおいてシュートを打つ時の踏切脚と非踏切脚による片脚リバウンドジャンプの遂行能力と、両脚を用いたスクワット1RM(SQ1RM)及びスクワットジャンプ最大パワー値(SQJP)との関係性を検証した。19人の大学女子ハンドボール選手が本研究に参加した。彼女らは異なった負荷を用いてバックスクワットとスクワットジャンプを行い、SQ1RMとSQJPを決定した。また、測定参加者は片脚リバウンドジャンプ(RJ)をマットスイッチの上で10回行い、その時の接地時間、跳躍高、RJ指数(跳躍高/接地時間)をRJ遂行能力の指標として測定/算出した。各RJ遂行能力の指標をSQ1RMまたはSQJPで予測する直線回帰分析を、踏切脚と非踏切脚別々に行った。その結果、踏切脚においてはSQ1RM (R2 = 0.235~0.454, p < 0.05)とSQJP (R2 =0.238~0.426, p < 0.05)がより高いほど、跳躍高とRJ指数がより高く、接地時間がより短い関係性が示された。一方、非踏切脚においては、有意な関係性はSQ1RMとRJ指数の間にのみ見られた(R2= 0.158, p < 0.05)。これらの結果は、女子ハンドボール選手においては、SQ1RMとSQJPは踏切脚のRJ遂行能力のみ反映していることを示している。よって、これらの選手の下肢の筋力及び筋パワーを評価するためには、片脚スクワット1RMや片脚スクワットジャンプパワーを高精度で測定する方法を確立する必要がある。また、本研究結果は、下肢神経筋機能の左右不均衡を有する選手が両脚を効率的に鍛えるためには、より片脚での閉鎖性運動連鎖による運動をトレーニングプログラムにおいて強調する必要性があることを示している可能性がある。
著者
井出 英人 内田 雅文 横山 修一
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.12, no.5, pp.28-32, 1994-07-15
被引用文献数
6 1

In this investigation, we studied the utilty of electric or mechanical stimuli as visual substitutes. We used mechanical and electric stimuli to present characters and colors respectively. For the reduction of learning time and the increase of recognition rate, we devised an apparatus which is connected to a microcomputer and can present Japanese sentences, including Chinese characters, with a 10 × 10 array of 100 vibrators.Color recognition is achieved by using electrical stimuli. Electric stimuli were given with two Ag-AgCl electrodes attached to the root of middle finger. Long pulse (feels warm) stands for red, short pulse (feels cold) stands for blue and a sequence of 10 pulses per second (feels like twitter) stands for green. The current value was 200 μA.<BR>In this investigation, we examined 25 subjects. The recognition rate was 100% for most three color (red, blue and green) .
著者
内田 浩史 郭 チャリ
出版者
一般社団法人 情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.428-433, 2021-10-01 (Released:2021-10-01)

本稿の目的は,日本における創業と創業金融の実態を明らかにすることである。4つの異なるアンケート調査から得られた5つの創業企業サンプルを用いて比較分析を行った結果,創業企業には様々なタイプが存在すること,タイプによって創業金融の実態も異なることが明らかになった。特に,創業企業の多くは創業資金を経営者の自己資金に依存しているが,その程度はサンプルにより異なり,他の資金調達手段の利用にも違いが見られること,資金制約に直面している企業は少数派であるものの,サンプルによりその程度に差があることが示された。本稿ではこうした結果を詳述し,日本における創業の課題に対処するための政策的含意を導く。
著者
佐藤 誠亮 久保 高行 四海 公貴 船引 達朗 大内田 友規 小田川 絢子 梶村 政司
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.35, no.2, 2008-04-20
被引用文献数
2

【はじめに】平和カップイン広島・国際交流車いすテニス大会(以下ピースカップ)は「広島から世界にpeace」をスローガンに、広島県車いすテニス協会(以下HWTA)の主催で開催されている。当初この大会のフィジオサービス(以下PS)は理学療法士(以下PT)の有志のみ(組織対個人)で運営されていたが広島県理学療法士会(以下当会)が会員活動を支援するためにHWTAと協議し当会の事業として位置づけた(組織対組織)ことでピースカップPSでの会員活動の負担が軽減した。現在では連携がさらに強まりHWTAが当会会員に対しての車いすテニス講習会を開催し当会会員PTの質の向上に役立っている。<BR>【変遷】1996年第51回ひろしま国体が開催され、続けて第32回全国身体障害者スポーツ大会・おりづる大会でスポーツ理学療法室が設置され当時のメンバー4名がピースカップでのPSを運営した。1997年HWTAより当会に正式要請があった。<BR>【現在の活動状況】当会からピースカップへ:大会期間中のPS運営を行う。2007度実績は1日利用者平均33名5日間延べ件数207件1日平均スタッフ数11名治療対象部位別件数は頭頚部87腰背部110肩上腕152肘前腕146手手指41治療方法は徒手療法63マッサージ149ストレッチ131テーピング42アイシング39物理療法39PS運営総経費は\77,328であった。ピースカップから当会へ:車いすテニス体験会の講師派遣してもらい障害者スポーツ研修の一助となっている。組織対組織として当会がピースカップPS運営に関わるようになり当会で運営のための予算を設け1.スタッフの交通費支給2.スタッフ確保が容易に3.物理療法機器レンタルが可能に4.事故発生時の責任問題の明確化5.PSでの使用物品の購入が可能になる事で参加会員の負担の軽減になった。<BR>【大会当日までの流れ】1.車いすテニス体験会の開催2.車いすテニス選手ケアのための研修会開催3.PSスタッフ参加募集4.PS運営のための大会直前研修会開催<BR>【考察および今後の展望】この取り組みのように他団体と本会が組織対組織で活動することで1.会員誰もが活動する機会が平等に与えられる。2.PTは障害を有するものを主な対象者として接するが実際には障害を有し社会復帰した後のものを対象として接する機会は少ない。障害を克服した方と接することで我々が臨床の場でよく接する障害を克服する前の対象者に還元できる事は十分にある。3.優秀な人材を発掘しその人材が本大会での活動のリーダーシップをとり質の高い選手ケアが提供できるようになる。これらは公益職能団体として不特定多数へ貢献できる活動といえる。全国的にみてもPT会が他団体の活動をサポートしている報告は散見される程度であるため、当会としてはこのような活動を組織として行うことのメリットを全国に発信していきたい。<BR>
著者
内田 青蔵 安野 彰 須崎 文代 渕上 貴由樹 清 直樹
出版者
神奈川大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2014-04-01

本研究は、今後の住まいの在り方を考える一助として、持家志向の定着の様相を、戦前期に持家志向を中流層全般にまで拡大化させたことで知られる日本電話建物株式会社の事業や広報媒体である雑誌『朗』を通して明らかにすることを目的とした。その結果、日本電話建物株式会社の採用した住宅無尽の方法は、借家の家賃並みの金額で持家を得る方法として定着し、一気に中流層以下の人々の持家の可能性を高めたこと、また、持家を得た人々の多くは借家への不満はあったものの持家に対する明快な理念はほとんど持ち合わせておらず、持家を所有することそのものに意味を見出していたこと、が明らかとなった。