著者
桑田 修平 前田 康成 松嶋 敏泰 平澤 茂一
雑誌
研究報告数理モデル化と問題解決(MPS)
巻号頁・発行日
vol.2012, no.8, pp.1-6, 2012-05-10

推薦問題を扱うためのより一般化されたマルコフ決定過程モデルに対して,ベイズ基準のもとで最適な推薦ルールを履歴データから求める方法を提案する.提案法の特徴は,ある商品を推薦した後に何が買われたのかを考慮していること,さらに,一回の推薦結果だけでなく一定期間内に行った複数の推薦結果を評価している点にある.ここで,従来の推薦手法と大きく異なる点は,推薦ルールを求めるためのプロセスを統計的決定問題として厳密に定式化したことにある.その結果,推薦する目的に対して最適な推薦が行えるようになった.人工データを用いた評価実験により,提案する推薦手法の有効性を示す.In this paper, we proposed a general markov decision process model for the recommendation system. Furthermore, based on the bayesian decision theory, we derived the optimal recommendation lists from the proposed model using historical data. Our method takes into account not only the purchased items but also the past recommended items within a given period. Here, the unique thing about this paper is that we formulate the process to get the recommendation lists as the statistical decision problem. As a result, we can obtain the most suitable recommendation lists with respect to the purpose of the recommendation. We show the experimental results by using artificial data that our method can obtain more rewards than the conventional method gets.
著者
前田 宜浩 笠原 稔
出版者
北海道大学大学院理学研究院自然史科学部門(地球物理学) = Department of Natural History Sciences (Geophysics), Graduate School of Science, Hokkaido University
雑誌
北海道大学地球物理学研究報告 (ISSN:04393503)
巻号頁・発行日
vol.72, pp.219-230, 2009-03-15

On August 2, 2007, a shallow crustal earthquake occurred at west off Sakhalin Island, far eastern Russia. Moment magnitude (MW) of this earthquake determined by Global CMT is 6.2. This earthquake generated severe damage to habitants and buildings at Nevelsk city near the epicenter. Visible large uplift was reported along the coast, and tsunami was observed even though its small magnitude. Teleseismic broadband waveforms from IRIS show long-duration P-wave pulse; the duration is comparable to that of MW 6.8 event. Teleseismic data also show later phases at some stations. Seismic source model is estimated using teleseismic data by applying the waveform inversion method. The estimated source model is compared with those from two earthquakes occurring in Sakhalin. The 2007 event is characterized by the slow slip event. Spectral ratio based on broadband strong-motion data between the 2007 event and MW 5.6 event shows that smaller excitation of short-period seismic waves by the 2007 event than the MW 5.6 event. This feature is also confirmed by the analysis of teleseismic waveforms. Theoretical source spectral ratio based on the ω^[-2] source model using source parameters estimated from the waveform inversion well explains the observed spectral ratio. Seismic moment derived from waveform inversion is smaller than those derived from the crustal deformation and tsunami data. An aseismic slip is considered as a possible cause of this discrepancy.
著者
前田 英三 三宅 博 石原 愛也 武岡 洋治 河野 恭廣 谷口 武 和田 富吉
出版者
名古屋大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1989

イネについて、in vivoにおける受精胚の発達様式と、in vitroであるカルスの再分化過程を詳細に比較したが、in vitroでの不定胚形成は認められなかった。アブサイシン酸(ABA)や高濃度の糖はカルスの再分化を促進した。数種イネ科作物を異なった土壌水分条件下で生育させ、根の形態を比較した結果、乾燥条件下で皮層内厚壁組織の発達が顕著であった。+ABAやブラシノライドがイネ科作物やマメ科牧草の老化種子の発芽促進効果を持つことを明らかにした。熱量計を用いて種子の活性を迅速かつ非破壊的に判別する方法を開発した。高温・乾燥などの異常環境下で生育させたイネの生殖器官に現れる形態異常を明らかにし、ジベレリン(GA)とABAの関与を推察した。イネの花粉と葯内緒組織の発達過程を調べ、タペ-ト肥大が発生する際には、当初は小胞子の細胞も活性化することを明らかにした。リンゴの胚珠内胚培養、葯培養からの不定胚発生、葉カルスからの再分化について最適条件を明らかにした。またリンゴ台木マルバカイドウの胚珠内胚培養を行い、高蔗糖濃度の培地で胚の生長が起こり、GAを含む培地に移すことにより実生を得ることができた。イネカルスやダイズ懸濁培養からプロトプラストを分離し、電気的に融合させ、融合過程の微細構造を明らかにした。レ-ザ光による植物細胞への色素導入を行い、生細胞に色素が導入されていることを確認した。マツバボタンの緑色カルスにおける葉緑体のグラナ構造を観察し、カルス内に維管策鞘が分化するとそこではグラナ形成が抑制されることを明らかにした。シコクビエのジャイアントド-ムからの花芽形成に成功した。またジャイアントド-ムとバミュ-ダグラスの体細胞胚の微細構造を明らかにした。Nicotiana glutinosaのカルスより分化能を持つ細胞のみを分離して継代培養することに成功した。このカルス系統の組織構造と遊離アミノ酸含量の特徴を明らかにした。
著者
安藤 英由樹 飯塚 博幸 米村 朋子 前田 太郎
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.34, pp.137-142, 2010-05-06

本稿では,パラサイト・ヒューマン・ネットワークを用いた五感情報通信によって安全安心応用を実現するために,光学共役な視覚共有システムを実現し,このシステムによって実時間支援,追体験学習の実現可能性を示す実験とその結果からパラメータの設計指針について報告する.
著者
前田 幹夫 松下 吉宏 野田 勉 原田 守夫 瀬藤 幸児 尾花 毅 改正 高章 清水 信作 井口 政昭
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
テレビジョン学会技術報告 (ISSN:03864227)
巻号頁・発行日
vol.20, no.35, pp.31-36, 1996-06-20
被引用文献数
6

Through utilization tests or the 64QAM signal under tentative specifications, intensive works have been made to standardize digital broadcasting signal format over cable television systems. At first, we describe an indoor experiment on the adjacent interference between the 64QAM signal and 3 types of analog modulation signals so far being supposed to transmit through cable television facilities. Next, we describe field tests conducted at 2 operative facilities under allowable ranges of DU ratio.
著者
樋口 京一 森 政之 澤下 仁子 亀谷 富由樹 内木 宏延 前田 秀一郎
出版者
信州大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2008

アミロイドーシスとは蛋白質がアミロイド線維に異常凝集し、生体に傷害を与える疾患群である。アミロイド線維による伝播現象に注目して、合成ペプチドを用いた新たな線維形成解析システムと新規のアミロイドーシスモデルマウスの開発を行い、アミロイドーシスの発症機構や治療方法に関して体系的な解析を行った。その結果、1)糞や骨格筋を介した新たな伝播経路の発見、2)線維形成阻害ペプチド、熱ショック転写因子(HSF1)、アポリポプロテインA-I(apoA-I)等の治療ターゲットの発見、3)今後アミロイドーシス研究者が利用可能なモデルマウスの開発、などの成果を得た。
著者
安藤 政志 堀田 政二 渋谷 久恵 前田 俊二
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. PRMU, パターン認識・メディア理解 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.110, no.467, pp.127-130, 2011-03-03
被引用文献数
1

本稿では,尤度ヒストゲラムと呼ばれる複数のセンサごとに求めた尤度を累積したヒストゲラムを特徴量とする記述子を提案し,これを用いてその日が正常に稼働した日(正常日)であるか,あるいは異常を起こした日(異常日)であるのかをSupport Vector Machine (SVM)でクラス分類する方法を提案する.このヒストグラムを求めるために,まずガウス関数を用いてセンサごと・時刻ごとのモデルを構築する.次に,各時刻でモデルごと(センサごと)に尤度を計算し,それらの累積値を投票数にもつヒストグラムを作成する.さらに,ヒストグラムを時間階層化(ピラミッド化)することで,異常検知の精度改善を試みる.これらの記述子を用いることで,one classの分類器以外の分類器による正常日,異常日の分類が可能となる.実際に稼働している精密機器のセンサデータを用いた実験により,提案手法の有効性を管理図と比較しながら検証する.
著者
前田 一也 唐山 英明
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.155, pp.5-10, 2011-07-16
被引用文献数
1

本研究は,従来のBCIの欠点であったユーザの身体拘束の緩和のため,携行性を持たせたウェアラブルブレインコンピュータインタフェースシステムを開発するのが目的である.そのために本研究では脳情報のみを用いて撮影することができるBCIカメラシステムを試作し,その性能を検証した.実験はラーニングフェイズとテストフェイズから成り,ラーニングフェイズでは,被験者は直立状態で2種類の聴覚刺激を用いたオドボール課題を行い,被験者のP300を計測した。ラーニングフェイズで計測した脳波を教師データとして,テストフェイズで被験者は屋外においてBCIカメラシステムを使って対象物を撮影する課題を行った,実験の結果,すべての被験者が課題を達成した.
著者
高野 忠 牧謙 一郎 相馬 央令子 千葉 茂生 前田 崇 藤原 顕 吉田 真吾
出版者
社団法人 物理探査学会
雑誌
物理探査 (ISSN:09127984)
巻号頁・発行日
vol.59, no.6, pp.561-573, 2006 (Released:2010-06-18)
参考文献数
40

超高速な衝突や静的な圧力で物質を破壊する時,マイクロ波が発生することが見出された。本論文では,この現象を観測するための実験系,得られた内容・事実,そして物理探査に応用する可能性について述べる。この分野は多くの読者にこれまで余りなじみがないと思われ,かつ瞬発マイクロ波の受信・計測という特殊な技術を用いるので,全体的な記述に重きを置き詳細は省く。受信系では、まずマイクロ波信号を低雑音増幅器で増幅した後,観測する周波数にたいし十分高い標本化周波数でディジタル化して,データを取り込む。観測周波数としては,22GHz,2GHz,300MHz,1MHzを選んだ。データが多すぎて蓄積容量が足りない時は(22GHzと2GHz),ヘテロダイン受信で周波数を落としてからデータとする。 衝突実験における速度は最高約7km/secである。衝突標的の材料はアルミニウム,鉄などの金属,セラミック,煉瓦,ゴムなどを用いた。静的な圧力での破壊実験には,4種の岩石をコンプレッサで加圧した。得られたマイクロ波は,いずれの破壊モード・材料においても,断続的な極めて狭いパルス状である。岩石の静的圧力での破壊では,22GHzは硅石でのみ観測された。このようにして得られた波形は,パルス内でほぼ正弦波状なので,受信系を通して電力校正が可能である。その結果平均発生電力は2GHzにおいて,超高速衝突の実験で 2.7×10-5mW,静的圧力の実験で2.7×10-8mWであった。マイクロ波発生原因として原子あるいは分子間の結合が切れることが推定されるが,未だ確定するには至っていない。本現象は,次のような分野の物理探査に応用することを考えている。 (1)物質の性質探求:天体衝突現象,材料科学,宇宙デブリ問題 (2)地下構造の変動:岩石の破壊 (3)地震の探査
著者
前田 吉昭 森吉 仁志 伊藤 雄二 藤原 耕二
出版者
慶応義塾大学
雑誌
萌芽的研究
巻号頁・発行日
1997

1997年から1998年にかけては,次の研究テーマを主題に行なった.(1) 4次元空間のYang-Mills gradient flowと3次元空間のYang-Mills-Higgs gradient flowの研究.(2) 変形量子化問題と非可環幾何学(3) 無限次元空間における無限次元リー群の作用によるオービットの幾何学的性質(1)については,4次元コンパクト多様体のYang-Mills qradient flowについて,チャーン数に近い初期データを与えることでその滑らかな解が大域的に存在することを示した.また,3次元空間のYang-Mills-Higgs qradient flowについては,その弱大域解の存在を与えられることがわかった.(2)については,特に接触多様体の変形量子化問題とそのレダクションの方法について研究を行なった.(3)についてはコンパクト多様体のリーマン計量の空間に作用する微分同型群(無限次元リー群)のオービットに対する平均曲率の定式化とその応用について研究を行なった.これらの研究は萌芽研究として申請した,非可換微分幾何学の構築において基礎となる成果をあげることができた.そして,その成果はこの2年間の間に行なわれた,国内の研究集会,国際研究集会で発表や討議を行ない,これから先に非可換微分幾何学の展開に向けて,大きな成果をあげた.さらなる成果は,近い将来に出版される予定である.
著者
川村 よし子 前田 ジョイス 北村 達也 三輪 譲二 宇津呂 武仁
出版者
東京国際大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

本研究の目的は、世界各国の日本語学習者に、よりよい読解支援環境をWeb上で提供することである。代表者らはすでに読解学習支援システム『リーディング・チュウ太』を開発しWeb上で公開している。今回新たに文章の難易度の主要な決定要因である単語の難易度と構文の複雑さに着目し、「学習者の視点にたった文章の難易度判定システム」を開発することを目指した。そのため、本研究では世界各国の母語の異なる学習者を対象にした難易度判定実験を行い、その結果を基に、単語と構文の双方に着目した文章の難易度判定システムを開発した。さらに、チュウ太の辞書ツールにはデータ・マイニングシステムを組み入れ、日本語学習者の辞書利用の実態調査を行った。利用者の推移や言語別の利用者数の変化および辞書のカバー率の調査を通して、辞書開発に関する今後の課題も明らかになった。研究成果は、Web上の読解学習支援ツールとして世界の日本語学習者・教育関係者に無償公開している。
著者
速水 修 前田 和司
出版者
北海道教育大学
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2004

1.これまで施行してきたスキー遊びについて、本学及び附属中学校の歩くスキーの授業において、方法を改善し、歩くスキーのスキルアップの効果を確認した。2.初心者指導に効果的な人工の雪山については、これまでの実践研究から、歩くスキーで直登行できる傾斜(約5度)とした。この斜度は、中級者にとっても、スピードを出して通過したり、降り斜面での片足スキーなどのスキースキルの学習に効果的であった。3.初心者指導に有効なスキースキルについては、フィンランドスキー連盟で実施しているスキースキルを参考にして初心者、中級者の指導に効果的と思われるものを幼児、中学生、大学生に実践し、その有効性を検討した。4.スキー遊びに使用するジャンプ台は、積雪量や雪質によっては造りづらいことがあるので、木製で移動可能なジャンプ台(幅60cm×長さ130cm×前の高さ30cm・後の高さ15cm)を製作し中級者を対象にテストをし、その安全性と有効性を検討した。5.旭川市民体育の日(平成19年2月17日)に、旭川市教育委員会スポーツ課の許可を得て、神楽岡歩くスキーコースにおいて、トラックセッターによりクラシカル用の溝を切り、参加者(約50名)の感想を聞いた。その結果、全員からその有効性が確認された。6.当初、小学生を対象にスキー遊びの実践指導を計画していたが、日程、天候の都合で実施できなかった。しかし、保育園児(4歳児22名、5歳児27名)を対象に、スキー遊びを実践することができ、幼児段階での有効性が確認できた。7.3年間の研究の成果の概要を指導者および歩くスキーの環境を提供・整備する行政関係者向けに小冊子「スキー遊びとスキースキル」としてまとめ、180部印刷した。歩くスキー実践校及び教育委員会等に配布の予定である。