著者
前田 安美 馬場 望 西村 泰志
出版者
日本コンクリート工学協会
雑誌
コンクリート工学年次論文報告集 (ISSN:13404741)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.1147-1152, 2000-06-01
参考文献数
2

本研究は,はり貫通形式RCS接合部に関して,鉄骨フランジ上下面に形成される水平圧縮束によってなされる内部パネルから外部パネルへの応力伝達の効果を実験的に検討した。その結果,E-FBPは水平圧縮束を形成させる働きを有し,水平圧縮束に作用する力は鉄骨フランジ上下面に集中的に配置されたせん断補強筋の引張力によって外部パネルに伝達され,その引張力は外部パネルにアーチ機構を形成するのに大きく寄与することが示された。
著者
前野 昌弘
出版者
日本物理教育学会
雑誌
物理教育 (ISSN:03856992)
巻号頁・発行日
vol.69, no.1, pp.25-28, 2021

<p>Android タブレットを受講者に貸し出し<b>,</b>自由に物理シミュレーションで遊ばせる授業の効用について述べる。動くアニメーションにより理解が広がることも大事であるが<b>,</b>学生・生徒が自分で動かして何かを発見するという時間が作ると<b>,</b>学生に主体的に問題を発見させることができて大きな効果を生む。</p>
著者
武田 有希 前島 伸一郎 大沢 愛子 西尾 大祐 木川 浩志
出版者
一般社団法人 日本摂食嚥下リハビリテーション学会
雑誌
日本摂食嚥下リハビリテーション学会雑誌 (ISSN:13438441)
巻号頁・発行日
vol.14, no.3, pp.251-257, 2010-12-31 (Released:2020-06-27)
参考文献数
21

【目的】回復期リハビリテーション(リハ)病棟において,入院時のベッドサイドの嚥下機能評価と退院時の摂食状況や転帰との関連について検討した.【対象と方法】対象は,回復期リハ病棟に入院し,摂食嚥下リハを行った93 名(脳出血33 名,脳梗塞41名,クモ膜下出血10 名,頭部外傷9 名)で,年齢は18~93 歳,男性54 名,女性39 名であった.これらの患者に対し,背景因子,認知機能,嚥下機能,日常生活活動(ADL),転帰などについて調査し,退院時に経口摂取可能であった群(経口群),経管栄養であった群(経管群)の2 群を比較した.【結果】経口群は64 名で,経管群は29 名であった.経口群は経管群に比べ,年齢が若く,Mini-Mental State Examination, Raven's Coloured Progressive Matrices の得点が有意に高かった.また,経口群では,咽頭反射が正常なものが13 名(20.3%)で,反復唾液嚥下テストが3 回以上のものが32 名(50.0%)と経管群に比べ有意に多かった.発症から入院までの期間,在院日数,改訂水飲みテストで差はなかった.また,経口群は,遅くとも入院後5 週までに直接訓練が可能となり,入院後10 週までに3 食経口摂取が可能であった.経管群は経口群に比べ,入院時,退院時のADL が良好であった.経口群は経管群に比べ,自宅退院が多かったが,経口摂取が可能であってもADL の低い患者は自宅退院が困難であった.【結論】嚥下障害を有する患者に対し,適切な評価を実施し,入院後5 週間の摂食の経過について観察することで,退院時の経口摂取の可否について推察することが可能であると思われた.
著者
前田 啓朗
出版者
全国英語教育学会
雑誌
全国英語教育学会紀要 (ISSN:13448560)
巻号頁・発行日
vol.19, pp.253-262, 2008 (Released:2017-04-27)

This paper reports the practice of English language teaching for the first year university students in a listening class, intending to cooperate classroom teaching and individualized learning. A Web-Based Training (WBT) system is involved in order to overcome some problems which will be easily observed in the classroom teaching. Since each learner has different aptitudes, a certain instruction may be effective for some but ineffective for the others. It is true that instructions should be flexible so as to balance out the students' aptitudes. However, as far as a teacher controls the lessons, there still would be some difficulties for students to commit themselves to learning. Therefore, the present courses are planned to utilize the WBT system, named Gyuto-e, for the purpose of involving students into self-learning. Three kinds of questionnaires, which investigate learner beliefs, learning motivations, and vocabulary learning strategies, are conducted in the beginning and the end of the course. A hierarchical cluster analysis reveals the fact that the TOEIC test scores show there seem to be the positive tendencies compared with the students in other classes as well as that there are successful and unsuccessful learners who seem to show some particular tendencies of learner factors.
著者
中井 美智子 菊地 和弘 柏崎 直巳 ソムファイ タマス 小沢 学 前泊 直樹 野口 純子 金子 浩之
出版者
公益社団法人 日本繁殖生物学会
雑誌
日本繁殖生物学会 講演要旨集 第99回日本繁殖生物学会大会
巻号頁・発行日
pp.58, 2006 (Released:2006-10-24)

近年、雄性配偶子の新たな保存・増殖法として、ヌードマウス等の免疫不全実験動物への精巣組織の異種移植が注目されている。しかし、移植精巣片から得られた精子を用いた卵細胞質内精子注入 (ICSI)法による胚盤胞作出の成功はアカゲザルで報告されているだけである (Honaramooz et al., Biol Reprod 2004)。そこで本研究では、ヌードマウスへの精巣組織異種間移植により作製したブタ精子の胚発生能の検討を目的として、ブタ精巣組織片移植によるブタ精子作製および移植片由来精子を用いて作出したICSI卵の発生能を調べた。【材料と方法】ブタの精巣は、精細管内に前精祖細胞を多く含んだ状態である6-10日齢の新生子雄ブタから採取し、1.5×1.5×1.5 mmに細切した。この精巣片をおよそ20個ずつ5-8週齢の去勢ヌードマウスの背中の皮下に移植した。移植した精巣片は、移植後125-260日に回収した。そして、回収した移植片をPBS中で細切し数回の遠心分離後、形態的に、より成熟していると判断された精子をICSIに供した。ICSI 1時間後に電気刺激処理を施し、6日間の体外培養後の胚盤胞への発生率および胚盤胞細胞数を調べた。【結果】精巣組織片を65匹のヌードマウスに移植したところ、精子は40匹(61.5%)から得られた。精子には細胞質滴は残存するものの、その頭部は成熟した精子と形態的には同様であった。中には良好な運動性を有するものも確認された。これらの精子を用いて作製したICSI卵の胚盤胞への発生率は24.9±7.1% (63/253)であり、平均胚盤胞細胞数は41.9±3.9個であった。【結論】ブタ精巣組織片由来精子のICSIにより、胚盤胞への発生能を有している胚の作出が可能であることが示唆された。すなわち、ブタ精巣組織片をヌードマウスに移植することにより雄性配偶子の保存・増殖が可能であることが示唆された。
著者
久郷 真人 谷口 匡史 渋川 武志 岩井 宏治 平岩 康之 前川 昭次 阪上 芳男 今井 晋二
出版者
社団法人 日本理学療法士協会近畿ブロック
雑誌
近畿理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.4, 2011

【はじめに】<BR> 皮膚筋炎(delmatomyositis:DM)は対称性の四肢近位筋・頸部屈筋の筋力低下、筋痛を主症状とし、Gottron兆候やヘリオトープ疹などの特徴的な皮膚症状を伴う慢性炎症性筋疾患のひとつである。臨床検査では血清筋逸脱酵素(creatine kinase;CK)やLDH、aldorase、尿中クレアチン排泄量が異常高値を示す。治療としては副腎皮質ステロイドが第一選択薬とされるが、長期投与により満月様顔貌、行動変化、糖耐能異常、骨密度低下、ステロイドミオパチー等の多彩な副作用を生じることも多い。また、近年運動療法の適応についても多数報告されており、その効果が期待されている。<BR>今回、皮膚筋炎治療中にステロイドミオパチーを呈した症例を経験したので報告する。<BR>【症例紹介および理学療法評価】<BR> 症例は43歳男性。2010年12月頃より右上腕部に筋肉痛・潰瘍出現、顔・頸部・対側上腕に皮疹が広がり、皮膚筋炎を疑われ精査目的にて当院入院となる。入院後皮膚生検・筋生検にて皮膚筋炎と診断され、ステロイド療法(prednisolone;PSL,60mg/day)が開始される。最大PSL120mg/dayまで漸増するもCK値低下遅延し免疫グロブリン療法(IVIG)施行。またPSL120mg/dayに増量後、副作用と思われる両下腿浮腫、満月様顔貌、および下肢優位のステロイドミオパチーと考えられる筋力低下の進行を認めたためCK値の低下に伴いPSLを漸減。<BR> 入院後15病日目より理学療法開始。開始当初よりCK高値(約6000IU/L)であり、易疲労性、筋痛、脱力感著明。筋力はMMTにて股関節周囲筋2~3レベル。HHD(OG技研GT300)を用いた測定では膝関節伸展筋力右0.96Nm/kg、左0.83Nm/kg、股関節屈曲筋力右0.3Nm/kg、左0.28Nm/kgであった。立ち上がり動作は登攀性起立様、歩行は大殿筋歩行を呈していた。6分間歩行は141mであった。また体組成分析(Paroma-tech社X-scan)を用いた骨格筋量/体重比では34.4%であった。理学療法では下肢・体幹筋の筋力増強を目的に、自動介助運動から開始。CK値の低下とともに修正Borg scaleを利用し自覚的疲労度3~5の範囲の耐えうる範囲で自動運動、抵抗運動と負荷量を設定し、翌日の疲労に応じて調節しながら行った。<BR>【説明と同意】<BR> ヘルシンキ宣言に基づき、症例には今回の発表の趣旨を十分説明した上で同意を得た。<BR>【結果】<BR> 理学療法介入後4ヶ月時点では、CK値は116UI/Lまで低下。PSLは25mg/dayまで漸減し、筋痛は消失するも易疲労性残存。筋力はHHDにて膝関節伸展筋力が右0.92Nm/kg、左0.78Nm/kg、股関節屈曲右0.69Nm/kg、左0.71Nm/kgであった。立ち上がりは上肢を用いずに可能、歩行はロフストランド杖にてすり足、大殿筋歩行。6分間歩行は180mに増加した。体組成分析を用いた骨格筋量/体重比では29.4%であった。<BR>【考察】<BR> 今回、皮膚筋炎治療中にステロイドミオパチーを合併した症例を経験した。ステロイドミオパチーは蛋白の分解促進と合成抑制が起こり、特にtype_II_b線維の選択的萎縮を招くとされ、近位筋を中心とした筋力低下により難治例も多い。<BR> ステロイドミオパチーに対する治療は主にステロイドの減量である。一方で、近年ステロイドミオパチーに伴う筋力低下、筋萎縮の進行に対して運動療法は予防および治療手段として有効であるとされている。また、皮膚筋炎の場合、急激なステロイドの減量は筋炎症状の再燃を招き易く、これらの相反する治療方法から厳重な投与量管理および負荷量の設定が重要であるとされる。本症例において、CK値の正常化後も有意な上昇もなくステロイド減量が可能となり、筋力、骨格筋量の著明な低下を最小限に抑えられたことから、今回使用した修正Borg Scaleを用いた運動負荷量の設定方法および継続的な運動療法が有用であると考えられた。また、市川はステロイド減量による効果として10~30mg/dayに減量してから1~4ヶ月で筋力回復が認められると報告しており、本症例においては長期間の経過により廃用性の筋力低下も合併していることが考えられるため、今後も長期的な理学療法の介入が必要であると考える。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 皮膚筋炎およびステロイドミオパチーに対する理学療法において筋力低下の病態を考慮した上で、早期からの介入により運動機能の維持、向上に努め、長期的な理学療法の介入が必要であると考える。また運動療法効果についての報告は少なく、今後さらなる症例・研究報告が望まれる。<BR>
著者
畦 浩二 前川 太佑
出版者
大阪教育大学
雑誌
大阪教育大学紀要. 総合教育科学 = Memoirs of Osaka Kyoiku University (ISSN:24329630)
巻号頁・発行日
vol.68, pp.75-85, 2020-02

本研究は,日本中に広く分布し苔類の代表例として教科書によく取り上げられるゼニゴケの繁殖季節を明らかにすると同時に,中学校理科で活用できる発展的学習教材を開発することを目的とした。大阪府八尾市内の農業用水路で13ヵ月間定期採集を行い,配偶子のうの成長から胞子散布に至るまでの過程および胞子と無性芽から若い葉状体に成長するまでの過程を調査した。その成果は,以下のようにまとめられる。1)受精は3月と9月頃に開始される可能性が高い。2)胞子は年2回,4~5月頃と10~11月頃に散布されるが,同じ葉状体が2回連続して胞子体を形成しない。3)胞子と無性芽の発芽率はともに高いが,葉状体までの成長に要する期間は無性芽の方が比較的短い。4)ゼニゴケの一生を理解するための発展的学習教材として,図版「ゼニゴケの生活環」を開発した。
著者
高杉 美佳子 加藤 雅子 前田 典子 島田 和子
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.57, no.3, pp.121-127, 2010-03-15 (Released:2010-05-01)
参考文献数
32

14種の乾燥ハーブ熱水抽出物のヒスタミンおよびロイコトリエン(LT) B4放出抑制作用,DPPHラジカル消去活性,デオキシグアノシン酸化阻害活性を検討し,ポリフェノール量およびフラボノール類量を定量した.ペパーミント,ローレル,バジル(F),ローズマリーは,ラット腹腔細胞からのヒスタミンの放出を50%以上抑制し,ポリフェノール量の多い乾燥ハーブ熱水抽出物ほどヒスタミン放出量が低下する傾向が認められた.また,タイム,スペアミント,マジョラム,セージ,オレガノ,ペパーミント,タイム(F),ローズマリー(F),ローズマリーは,LTB4の放出を約50%以上抑制した.ヒスタミンおよびLTB4放出を抑制した乾燥ハーブ熱水抽出物には,ポリフェノールが多く含まれ,DPPHラジカル消去活性およびデオキシグアノシン酸化阻害活性が高い傾向が認められた.この結果は,ハーブ熱水抽出物によるヒスタミンおよびLTB4放出抑制作用では抗酸化作用を有するポリフェノール類が関与している可能性を示唆しており,その作用機序の一つとして,ラジカルの消去が考えられる.
著者
南 宏典 佐藤 健二 乾 重樹 前田 知子 田口 博康
出版者
Meeting of Osaka Dermatological Association
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.440-447, 1996 (Released:2010-08-25)
参考文献数
15
被引用文献数
1

12歳以上のアトピー性皮膚炎患者でステロイド外用剤を中止したいと希望した28例と, すでにステロイド外用剤を中止してそれ以外の外用剤を用いているが皮疹が軽快しない4例を対象とし, ステロイド外用剤離脱後も紅斑が持続する場合は全外用剤を中止し, 内服, 入浴指導, ガーゼ保護など種々の治療を加えた。ステロイド外用剤を中止すると皮疹は増悪し, 平均7日後に最悪となるが, その後軽快した。さらに全外用剤を中止すると再び増悪して平均5日後に最悪となるが, 以後軽快に向かい平均6週間後に皮疹の面積は中止前の2割程度となった。またこのときの皮膚症状は古典的成人アトピー性皮膚炎に特徴的な乾燥性のものである。外用剤中止と外用以外の種々の治療を行った結果ほぼ全例が外用剤なしですごせるようになったことから, 現在問題とされているいわゆる成人型アトピー性皮膚炎の病変にはステロイドおよびその他の外用剤の影響が含まれていると推測された。
著者
田附 裕子 前田 貢作 和佐 勝史 飯干 泰彦 藤元 治朗
出版者
日本静脈経腸栄養学会
雑誌
静脈経腸栄養 (ISSN:13444980)
巻号頁・発行日
vol.25, no.4, pp.929-934, 2010 (Released:2010-08-25)
参考文献数
29
被引用文献数
2

小児外科外来では、ヒルシュスプルング病・類縁疾患などとの鑑別を含め慢性便秘症の症例に多く遭遇する。基礎疾患が除外された慢性便秘症の多くは生活習慣による機能性便秘であり、排便習慣が確立するまでの根気強いフォローが必要となる。近年、予防医学の観点からプロバイオティクスの効果が報告されている。小児の慢性便秘に対してもプロバイオティクスの臨床的な投与効果が期待される。
著者
前仲 勝実 福原 秀雄 橋口 隆生 CAAVEIRO Jose M. M. 長門石 曉 黒田 大祐 津本 浩平
出版者
一般社団法人 日本生物物理学会
雑誌
生物物理 (ISSN:05824052)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.082-089, 2021 (Released:2021-03-25)
参考文献数
29

Recent virological researches using biophysical methods, termed as virus biophysics or virophysics, largely contribute to the development of anti-viral drugs and vaccines. In this review, examples of structural and physicochemical analyses for representative viruses to develop drug modalities such as small compounds, antibodies, and vaccines are explained, and future direction of biophysical research for virus research is also discussed.
著者
湧上 聖 末永 英文 江頭 有朋 平 敏裕 渡嘉敷 崇 山崎 富浩 前原 愛和 上地 和美
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.304-308, 2000
被引用文献数
5

長期経腸栄養患者に銅欠乏が出現することが時々報告され, 貧血及び好中球減少症を伴うことがある. ある種の経腸栄養剤の銅含量が少ないことが原因で, 治療は硫酸銅や銅含量が多い経腸栄養剤で行われている. 今回, 食品である銅含量の多いココアを用いて銅欠乏の治療を行い, 銅の必要量を検討してみた. 当院に平成10年に入院していた経腸栄養患者86人を対象とした. 男性40人, 女性46人, 平均年齢69歳であった. 基礎疾患は脳卒中71人, 神経疾患5人, その他10人であった. CBC, 電解質, 腎・肝機能, 総蛋白, コレステロール, 血清銅 (正常値78~136μg/d<i>l</i>) を全症例に検査した. まず, 血清銅が20μg/d<i>l</i>以下の8症例に対して, ココアを一日30~45g (銅1.14~1.71mg), 血清銅が77μg/d<i>l</i>以下の31症例に対してはココアを一日10g (銅0.38mg) 経腸栄養剤に混注して1~2カ月間投与した. ココアの量が30~459の8症例の内, 2例が嘔吐と下痢で中断した. 残り6症例は血清銅が平均8.7±6.2から99.0±25.4μg/d<i>l</i>と有意に改善した. ココアの量が10gの31症例は血清銅が平均50.5±19.3から89.0±12.9μg/d<i>l</i>と有意に改善した. 銅欠乏に伴う貧血及び好中球減少も改善傾向がみられた. その後ココア10gで改善した23例についてココアを5g (銅0.19mg) に減量したところ, 平均98±36日で血清銅は90.7±10.4から100.6±17.1μg/d<i>l</i>へ有意に上昇した. これまで成人の一日銅必要量は1.28~2.5mgとされていたが, 今回の結果から銅欠乏の治療に関してはココア一日10g, 銅として0.6mg (ココアの銅含量0.38mgと栄養剤の平均銅含量0.22mg), 維持についてはココア5g, 銅として0.37mg (ココアの銅含量0.19mgと栄養剤の平均銅含量0.18mg) で十分だと示唆され, 経腸栄養剤開発における銅含量の参考になると思われる.
著者
前原 文雄 井上 由紀子 池田 淳 伊藤 学 長谷川 文雄
出版者
一般社団法人映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 : 映像情報メディア = The journal of the Institute of Image Information and Television Engineers (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.54, no.4, pp.601-608, 2000-04-20
参考文献数
9
被引用文献数
11

膨大な映像データベースの中から自分の意図する素材の高速検索や加工編集を可能とし, 同時に映像素材が多目的に利用できるペタ (百万G) バイト級の大容量映像アーカイブシステムと, その視覚的検索方式を開発した.大容量アーカイブでは, アクセス速度の向上から容量, 処理速度の異なる複数種類のサーバ, もしくはアーカイブを組合せて, これらを統合管理する必要がある.また, 大容量画像データを利用者が内容を確認しつつ効率的に検索する必要がある.このため, マルチ画面同時表示によるブラウジング方式, ならびに画像データのシーン変化点を自動検出し, ダイジェスト映像を作成し検索に供する方式を開発した.ここでは, 大規模磁気テープ自動装填ロボット (7200巻) を中心とした大容量アーカイブシステムと, マルチ画面表示, シーン検出方式によるダイジェスト映像を併用した視覚的情報検索方式について報告する.