著者
清井 起鵬 前川 嘉洋 國武 裕子 田中 敬子
出版者
日本皮膚科学会西部支部
雑誌
西日本皮膚科 = The Nishinihon journal of dermatology (ISSN:03869784)
巻号頁・発行日
vol.62, no.2, pp.214-217, 2000-04-01
参考文献数
7

28歳の中国人の女性。生食を好み,中国&middot;日本において蛇&middot;蛙&middot;スッポン&middot;蟹&middot;魚等をよく生で食していた。1998年1月頃より右下腹部に痛みを伴う皮下腫瘤が出現,同年4月7日当院外科にて黒色虫体を摘出した。その後クエン酸ジエチルカルバマジン(商品名スパトニン<sup>&reg;</sup>)を投与するも軽快せず,4月10日当科紹介となった。臨床症状&middot;臨床経過&middot;血清反応より顎口虫症と診断され,肺吸虫症も合併していることが判明し,6月17日よりプラジカンテル(商品名ビルトリシド<sup>&reg;</sup>)の投与により症状は軽快した。
著者
大橋 和也 前田 忠計 小寺 義男 丸橋 正弘 大谷 真理 大石 正道 伊藤 一郎 佐藤 絵里奈 大草 洋 松本 和将 馬場 志郎
出版者
日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
雑誌
日本プロテオーム学会大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.18, 2009

シスプラチンやタキソールは優れた抗腫瘍効果から、悪性腫瘍の治療において頻用されている抗癌剤であり、膀胱癌においても一般的な化学療法に組み込まれている。これら抗癌剤の有効性は証明されているものの、徐々に抵抗性を示す症例を経験する。これは膀胱癌がシスプラチンやタキソールに対して耐性を獲得したことが原因の一つとして考えられる。そのため、これら抗癌剤に対する耐性獲得機序の解明が求められている。しかし、膀胱癌において薬剤耐性を獲得する機序は未だ不明な点が多い。そこで、我々は予後因子としてのマーカーの発見ならびに薬剤耐性獲得機序解明を目的として研究を進めている。本研究では、膀胱癌細胞株 T24 、膀胱癌細胞株 T24 より樹立されたシスプラチン 26.6μM の培地で成育された T24 シスプラチン耐性株を用いた。これらを二次元電気泳動法により定量分析し、シスプラチン耐性関連タンパク質を探索した。二次元電気泳動法は一般的な方法よりも高分子量タンパク質を分析可能なアガロース二次元電気泳動法を用いた。二次元目の SDS-PAGE 用ゲルのアクリルアミド濃度は 12% 均一ゲルと、高分子領域の分離能が高い 6-10% 濃度勾配ゲルを用いた。また、二次元電気泳動ではゲル毎の泳動パターンの差が問題となるので、再現性確認のため、T24 、T24 シスプラチン耐性株を各 3 回独立に電気泳動し、解析した。T24 と T24 シスプラチン耐性株を比較分析した結果、12% 均一ゲルにおいて約 300 スポット中 22 スポット、6-10% 濃度勾配ゲルにおいて約 150 スポット中 9 スポットのシスプラチン耐性獲得関連タンパク質を検出した。これらを LC-MS/MS により分析した結果、最終的に 25 種類のタンパク質の同定に成功した。同定されたタンパク質はシスプラチン耐性関連として報告されているものが 3 種類、報告されていないものが 22 種類であった。現在、22 種類のタンパク質から T24 シスプラチン耐性株において増加した 5 種類、消失した 1 種類、大きく減少した 2 種類の合計 8 種類のタンパク質に注目し、発現量解析を Western Blotting 法により行っている。発表ではこれらの結果をタキソール耐性株の分析結果と共に報告する。
著者
桐 広樹 端山 昌樹 前田 陽平 識名 崇 増村 千佐子 岡崎 鈴代 奥野 美香 武田 和也 津田 武 猪原 秀典
出版者
特定非営利活動法人 日本頭頸部外科学会
雑誌
頭頸部外科 (ISSN:1349581X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.39-44, 2018 (Released:2018-07-31)
参考文献数
12

歯性上顎洞炎は耳鼻咽喉科と歯科の両方で治療が行われており,治療方針も各施設によって異なっている。今回,われわれは歯性上顎洞炎の診断および治療を検証するために,歯性上顎洞炎30例32側を対象に,診断モダリティおよび治療方針について後向きに検討を行った。初期治療として抜歯とESSが行われた9例では再発を認めなかったものの,抜歯だけが行われた12例のうち8例で後にESSが行われた。また歯科用単純X線写真にて原因歯の診断が可能であったのは55%であり,歯性上顎洞炎の診断にはCTでの読影が必要であると考えられた。いずれも後向きの検討であり,今後治療方針を一定にした前向き研究が必要であると考えられた。
著者
佐々木 義之 祝前 博明
出版者
公益社団法人 日本畜産学会
雑誌
日本畜産学会報 (ISSN:1346907X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.2, pp.93-99, 1980
被引用文献数
4

和牛産肉能力検定直接法の成績を用いて増体率(ADG)および飼料の利用能力に関する種雄牛の育種価を推定した.鳥取県種畜場および宮崎県総合農試肉畜支場で昭和46年から51年までの6年間に検定された雄子牛そらそれ135頭および174頭の成績を用いた.育種価を推定した種雄牛はそれぞれ14頭および23頭であった.検定成績は補正係数を用いて,あらかじめ検定期間,季節および開始時日齢につき補正を行った.育種価の推定法としてはRENDERSON (1973)のMixed Model Solution(MMS)による方法(BLUP法)を用いた.その際,相加的血縁行列を用いることにより種雄牛間の血縁を考慮したが,それをしなかった場合,さらに,単に通常の最小自乗分散分析法による最小自乗恒数を育種価推定値と見做す場合についても検討してみた。種雄牛分散に対する誤差分散の比(&sigma;&epsilon;2/&sigma;&mu;2)は全国の検定牛から推定された分散成分を用いて算出した.種雄牛相互間の平均血縁係数は鳥取および宮崎でそれぞれ14.0%および3.0%であった.ADGに関する育種価にもとづき種雄牛に序列をつけると鳥取および宮崎の上位3頭は,それぞれ昭栄1,吉光,吉徳および第18明石,前谷,初栄であった.しかしながら,相加的血縁行列を用いないBLUP法あるいは通常の最小自乗分散分析法による最小自乗恒数では,それらの序列が異なり種雄牛間に濃い血縁関係のある鳥取の場合は,とくにその違いが顕著であった.形質ごとに求めた種雄牛の序列を比較するとADGと終了時体重との間,TDN要求率とDCP要求率との間,さらにADGと飼料要求率との間には高い正の順位相関が認められたが,ADGと粗飼料摂取率との間の相関はむしろ負の傾向を示した.
著者
栗山 敏秀 青井 利一 前田 裕司 伊東 隆喜 上野 吉史 中家 利幸 松井 信近 奥村 浩行
出版者
近畿大学生物理工学部
雑誌
Memoirs of the Faculty of Biology-Oriented Science and Technology of Kinki University = 近畿大学 生物理工学部 紀要 (ISSN:13427202)
巻号頁・発行日
no.27, pp.39-46, 2011-03-01

[要旨] 冬季に、自動車のドアや玄関の金属製ノブに手が触れた瞬間、「パチッ」と火花が飛んで痛みを感じた、という事はよく経験する。これは、身体にたまった静電気が金属との間で放電したためで、この時、身体の電圧は10,000ボルト以上になっている。カミナリも、よく知られているように、雲が帯電(静電気を帯びること)し、雲と雲、雲と地面などの間で放電する現象である。 我々は、医療、福祉、そして生活の向上に貢献したいと願い、人体の帯電を含め、さまざまな静電気を測定する技術を開発している。とくに、最近のLSI(集積回路)や液晶パネルにおいて、静電気により壊れるという現象が頻繁に起こっており、人体だけではなくモノ同士の接触、剥離による静電気の発生にも取り組んでいる。静電気は目に見えないので対策が困難であるが、これを見ることができる装置ができれば、それを防ぐ設計や対策に役立つと考えられる。今回、シリコン・マイクロマシーニング技術(半導体製造技術などによりシリコンを微細加工する技術)を用いシリコン製マイクロミラーを製作し、これを光学的な手段と組み合わせて静電気を測定する装置を開発し、摩擦帯電装置を用いた人体の帯電モデルについて適用した。 [Abstract] A silicon micro-mirror array fabricated by MEMS (Micro Electro-Mechanical Systems) process has been made for an electrostatic field distribution measurement system. Each silicon micro-mirror is suspended by two thin torsion bars, which is made by semiconductor process. Deflection of each micro-mirror is measured optically by using an optical scanner and PSD(Position Sensitive Detector). The electrostatic field distribution measurement system is applied to a human body model.
著者
鈴木 智晴 藤井 雅文 村上 光平 中本 浩揮 前田 明
出版者
一般社団法人 日本体育学会
雑誌
体育学研究 (ISSN:04846710)
巻号頁・発行日
2019

One of the important roles of a baseball catcher is to check whether an opponent is trying to steal a base. This checking action must occur as part of other events: a quick throwing action (short operation time), a high ball speed (short duration of ball flight), and accurate tagging (the time from the fielder catching the ball to touching the opponent runner is short). In other words, in order for the catcher to check whether an opponent is trying to steal a base, it is necessary to shorten the time between catching the ball and when the fielder touches the opponent runner. However, the relationship between the time and the possibility of checking for an attempt to steal a base and the influence of each phase on the steal check rate have not been examined. The present study investigated the relationship between the time required to prevent a steal and the steal check rate of a baseball catcher using video recordings. The video recordings used for our analysis were videos of steal check successes and failures in exhibition and official university and amateur baseball games, with a focus on runners attempting to steal second base. We classified Motion Time as the period from catching the initial pitch to ball release, Ball Time as the period from ball release to ball arrival at second base, and Touch Time as the period from ball arrival at second base to the fielder touching the runner; the sum of these 3 phases was defined as All Time, and the sum of Motion Time and Ball Time was defined as Pop Time. We constructed 3 models in which the success or failure of the steal check was set as a target variable and each phase time as an explanatory variable, and performed logistic regression analysis on each model. As a result, we clarified that the baseball catcher could check for a steal if the All Time was less than 2.429 s, and there was a significant negative correlation between the steal check rate and All Time. In addition, among the three phases, Touch Time had the greatest effect on the steal check rate. Therefore, it was suggested that accurate throwing is the most important factor in preventing a steal to second base.
著者
小林 正人 岩佐 豪 高 敏 高木 牧人 前田 理 武次 徹也
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第39回ケモインフォマティクス討論会 浜松
巻号頁・発行日
pp.O18, 2016 (Released:2016-09-22)
参考文献数
5

金属ナノクラスター触媒の反応性は、構成元素だけでなく、サイズや環境、構造など様々なファクターに依存するため、触媒活性の決定的因子の解明は困難であった。本研究では、銅クラスター触媒によるNO解離反応を例に、反応経路自動探索法を用いた系統的量子化学計算とスパースモデリングの手法を併用した触媒活性因子の抽出を試みた。具体的には、LASSO推定、SCAD推定、MC+推定の3つの手法を使い、軌道エネルギーや局所的な指標などの説明変数を用いて、Cu13クラスター上でのNO解離の遷移状態エネルギーを回帰した。その結果、遷移状態のエネルギーはLUMOの軌道エネルギーと負の相関があること、SCAD推定やMC+推定ではLASSO推定よりもコンパクトで相関係数の高いモデルが得られることがわかった。
著者
對馬 宣道 栗田 明日香 大森 聖 菊地 萌 鈴木 波 前田 亮輔 太田 能之 吉田 達行 中尾 暢宏 田中 実
出版者
養賢堂
雑誌
畜産の研究 (ISSN:00093874)
巻号頁・発行日
vol.68, no.3, pp.343-348,図巻頭1p, 2014-03

日本ウズラの卵の斑紋は,極めて特徴的であり人々の目を惹くため,1960年代の研究者たちの興味は,もっぱら卵管の卵殻腺部からの色素分泌と,卵殻表面への色素沈着に向けられていた。また,これらの研究者が,対象とした日本ウズラの卵殻色素と言えば,独特の斑紋の形成に深く関与しているプロトポルフィリンであった。そのため,1970年以降も日本ウズラの卵殻色素に関する研究は,プロトポルフィリンに着目したものばかりであった。そのなかで,Pooleは日本ウズラ卵の卵殻色素としてプロトポルフィリンの他に,ビリベルジンが存在することを指摘している。彼はその論文のなかで,日本ウズラの卵を割って内側(卵殻膜側)を観察したとき,卵殻内側の色が薄茶色をしているものと,緑色をしているものの2つに大別できることを示している。さらに,彼は内側の色が緑色をしている日本ウズラ卵殻から抽出した溶液を用いて,その吸収スペクトルをとったところ,プロトポルフィリンのピーク(波長415nm)以外に,波長680nm付近に異なるピークが存在することを見出した。Pooleは,この波長680nmにピークを示す物質をビリベルジンであろうと推測している。最近,日本ウズラの卵殻腺部からの抽出液を用いて,質量分析を行った研究によると,卵殻腺部にはプロトポルフィリンの他に,ビリベルジンが存在することが明らかにされている。
著者
陳 充 奥谷 喬司 梁 前勇 邱 建文
出版者
The Malacological Society of Japan
雑誌
Venus (Journal of the Malacological Society of Japan) (ISSN:13482955)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1-4, pp.29-37, 2018-06-08 (Released:2018-06-29)
参考文献数
34

南シナ海北部,中国海南島南西沖で新しく見つかったメタン湧水域“海馬湧水”(水深1,372 m~1,398 m)からシロウリガイ類の未記載種が発見されたので新種として記載した。“Calyptogena” marissinica n. sp. ハイナンシロウリガイ(新種・新称)ホロタイプの殻長は103.7 mmであるが,パラタイプの一つ(死殻)は殻長188.0 mmに達する。この類としてはやや太短く,殻高は殻頂の後方で最大となり殻長の20%前後。殻皮は光沢のある藁色で,成長脈が著しい。月面も楯面も無い。靭帯は後背縁の1/2に達する。右殻の中央主歯(Fig. 3: 1; 以下同様)は三角錐状で殻頂下主歯前肢(3a)は弱いが後肢(3b)は強く,前肢と150°をなす。左殻の中央主歯は二叉し(2a, 2b),殻頂下前主歯は不明瞭であるが,後主歯(4b)は放射状に配置する。歯丘(nr)はよく発達する。殻頂下洞は無い。備考:本種のミトコンドリアCOI領域のデータから,本種は南海トラフの水深2,084 mから記載されたニヨリシロウリガイCalyptogena similaris Okutani, Kojima & Ashi, 1997と同じクレードに入ることが明らかである。ニヨリシロウリガイとは一層細長く湾入した腹縁を持つことなどから一見して区別ができるが,現在いわゆる広義のCalyptogenaは形態よりも分子系統解析によって属が細分化されつつあるのにも拘らず,ニヨリシロウリガイは何れの既存の“属”にも配置されていない現状から,本新種の属位は敢えてCalyptogenaのままとして扱った。
著者
前田 稔
出版者
東京学芸大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2010

病院患者図書館および公立図書館の質的調査、全国の病院患者図書館の訪問調査、海外の病院患者図書館の訪問調査、児童養護施設の読書環境調査を通じて、健康に関する情報提供と市 民生活との関連について、各方面から積極的な活動が展開されている現状が明らかになるとと もに、専門的な情報の提供の際には、病院側と市民側との相互協力が課題となることが明らか になった。