著者
石田 暉 加藤 俊一 林 克郎 神内 擴行 及川 由香
出版者
The Japanese Association of Rehabilitation Medicine
雑誌
リハビリテーション医学 (ISSN:0034351X)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.11-19, 1991-01-18 (Released:2009-10-28)
参考文献数
14
被引用文献数
2 1

骨髄移植は,従来の薬物療法で効果がないとされる重症の白血病等に対して選択される治療法である.しかしながら,その治療結果として,心臓,肺,筋骨格,神経系等の多臓器にわたる身体的問題点や,ICU症候群等の心理的問題点を生ずることとなる.これらの諸問題に対し著者らは1983年より41例の骨髄移植後の患者に対し,impairment,disabilityに留まらず,handicapも考慮した幅広いリハビリテーションアプローチを導入し,良好な結果を得た.今後は他の臓器移植後の患者に対しても総合的なリハビリテーションアプローチは広く応用されるものと考える.
著者
宮下 賢 田中 諒 長谷川 丈二 中西 和樹 森岡 和大 曾 湖烈 加藤 俊吾 内山 一美 齊藤 和憲 渋川 雅美 中嶋 秀
出版者
公益社団法人 日本分析化学会
雑誌
分析化学 (ISSN:05251931)
巻号頁・発行日
vol.67, no.8, pp.469-478, 2018-08-05 (Released:2018-09-08)
参考文献数
29

相分離を伴うゾルゲル法を用いてマクロ多孔性のレゾルシノール─ホルムアルデヒドゲルを合成し,これを不活性雰囲気下で焼成してグラファイト化することによりカーボンモノリスを作製した.作製したカーボンモノリスを用いて高速液体クロマトグラフィー(HPLC)カラムを試作し,金属-EDTA錯体の保持特性を検討したところ,カーボンモノリスカラムは多孔質グラファイトカーボン(PGC)カラムと同様に酸化還元能を有しており,Co(II)-EDTA錯体をCo(III)-EDTA錯体に酸化することが明らかになった.また,カーボンモノリスカラムを還元剤で処理すると,その酸化還元能が変化することも明らかになった.そこで,HPLCの分離選択性の向上を目的として,カーボンモノリスカラムを酸化還元ユニットとして2本のODSカラムの間に設置したオンライン酸化還元化学種変換HPLCシステムを構築し,これを用いてCo錯体を他の金属錯体から選択的に分離できることを示した.さらに,本システムを用いて銅合金中に含まれる微量コバルトを分離定量できることを実証した.
著者
菅披 和彦 藤井 綾子 加藤 俊作 水口 純
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
工業化学雑誌 (ISSN:00232734)
巻号頁・発行日
vol.72, no.6, pp.1238-1242, 1969-06-05 (Released:2011-09-02)
参考文献数
8
被引用文献数
1

この研究では黄色亜酸化銅と赤色亜酸化銅の相互転換の可否を確かめ, その結果に基づいて, 黄色亜酸化銅から赤色亜酸化銅の製造条件を明らかにすることを目的とした。赤色亜酸化銅を摩砕すると, 粒子が細かくなるにつれて, その色は黄色に変化した。黄色亜酸化銅を窒素ふん囲気中で900℃に,または蒸留水中で290℃に加熱すると,その色は赤色に変化した。この赤色亜酸化銅は成長した大きな粒子であることが電子顕微鏡観察によって確かめられた。X 線回折の結果, 両者に差異が認められず, 粒子の大きさにのみ差異が認められることから, つぎのように結論された。亜酸化銅の色の相違は粒子の大きさの差異によるものであり,微細粒子は黄色を,粗大粒子は赤色を呈し,相互に転換できることがわかった。各種の水溶液中での加熱の場合,黄色亜酸化銅は蒸留水を用いた場合にのみ赤色亜酸化銅へ転換した。塩化ナトリウムの中性またはアルカリ性水溶液を用いた場合には,亜酸化銅の溶解度が大きいにもかかわらず,赤色亜酸化銅への転換は困難であった。このことは亜酸化銅を溶解した水溶液の紫外吸収スペクトルの測定結果から推察される可溶性錯体の生成と関係があるように思われる。上述の結果に基づいて, 黄色亜酸化銅の水熱処理による赤色亜酸化銅の製造条件について検討し, 加熱温度が高いほど短時間に粒子成長が起こり,赤色亜酸化銅が得られることを明らかにした。
著者
矢野 佳子 近藤 三隆 甲村 稔 武鹿 良規 加藤 俊男
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.38, no.5, pp.990-997, 2013 (Released:2014-10-31)
参考文献数
38
被引用文献数
1

症例は57歳女性.腹痛,背部痛を主訴に近医受診し,超音波検査で巨大腹部腫瘤を指摘され,当院に紹介された.腹部CTでは肝,膵,胃を圧排する23cm大の巨大な囊胞性腫瘤で,3D-CT angiographyでは左胃動脈,右胃大網動脈が腫瘍の栄養血管で,胃GISTを疑い開腹した.腫瘍は局所切除困難にて,胃全摘術を選択した.腫瘍径は23×20×12cm,重量は2,800g,内部は壊死物質と血液で満たされていた.免疫染色でc-kitとCD34が陽性で,胃GISTと診断した.術後補助化学療法を施行せず3年2カ月無再発生存中である.遺伝子解析にてエクソン11の遠位領域の挿入型変異で,比較的予後良好な稀な変異の型と考えられた.遺伝子解析は,囊胞化し巨大化した胃GISTの予後を決定する独立した危険因子になりえ,治療方針や予後の予測に重要と考えられた.本邦報告17例を集計し,文献的考察を加えて報告する.
著者
月本 一郎 塙 嘉之 高久 史麿 浅野 茂隆 上田 一博 土田 昌宏 佐藤 武幸 大平 睦郎 星 順隆 西平 浩一 中畑 龍俊 今宿 晋作 秋山 祐一 櫻井 實 宮崎 澄雄 堺 薫 内海 治郎 黒梅 恭芳 古川 利温 山本 圭子 関根 勇夫 麦島 秀雄 矢田 純一 中沢 真平 小出 亮 加藤 俊一 金子 隆 松山 秀介 堀部 敬三 小西 省三郎 多和 昭雄 筒井 孟 高上 洋一 田坂 英子 植田 浩司
出版者
一般社団法人 日本血液学会
雑誌
臨床血液 (ISSN:04851439)
巻号頁・発行日
vol.31, no.10, pp.1647-1655, 1990 (Released:2009-03-12)
参考文献数
14
被引用文献数
3

Recombinant human granulocyte colony-stimulating factor (rG-CSF), produced by Chinese hamster ovary cells, was administered in 69 chemotherapy-induced neutropenic pediatric patients (pts) with malignant tumors. Each pt received two cycles of the same chemotherapy and had neutropenia with absolute neutrophil counts (ANC) <500/μl in the first cycle. Initiating 72 hours after termination of chemotherapy in the second cycle, rG-CSF (2 μg/kg/day) was given subcutaneously or intravenously to each pt for 10 days. rG-CSF significantly increased ANC at nadir; 72±14 vs. 206±40/μl (data in the first cycle vs. data in the second cycle, respectively), and reduced the period of neutropenia with ANC<500/μl; 9.7±0.6 vs. 5.1±0.6 days, and the period for restoration to ANC≥1,000/μl after initiation of chemotherapy; 25.5±0.6 vs. 17.5±0.9 days. rG-CSF did not affect other components of peripheral blood. The number of days with fever ≥38°C was significantly reduced by rG-CSF treatment. Neck pain and lumbago were observed in one pt, polakysuria in one pt, and elevation of the serum levels of LDH and uric acid in one pt, however these were mild to moderate, transient, and resolved without any specific treatment. We concluded that rG-CSF was effective in neutropenia induced by intensive chemotherapy for malignant tumors without any serious side effects.
著者
間形 文彦 藤村 明子 亀石 久美子 加藤 俊介 板倉 陽一郎
雑誌
研究報告マルチメディア通信と分散処理(DPS) (ISSN:21888906)
巻号頁・発行日
vol.2019-DPS-180, no.3, pp.1-8, 2019-09-12

「パーソナルデータは新しい石油」 といわれ,その利活用がユーザや社会に利便性と新たな価値を提供している.その一方で,本人の意思に反する利活用をした事業者が法的制裁を受け,社会的な批判を浴びる事例も後を絶たない.事業者は個人情報の利用目的を特定し,通知又は公表若しくは同意を得てその目的の範囲内で取扱うことはもちろん,その目的と取扱いをユーザにより分かりやすく説明する責任がますます求められる傾向にある.同じユーザに対して複数のサービスを展開する事業者の場合,サービスごとに個人情報の利用目的を次々と定めることが多い.その場合,業務と利用目的の対応関係は複雑となりがちで,複数サービスの提供を受けるユーザは自分の個人情報が何の目的で利用されるのか把握するのは容易でない.他方,事業者にとっても複数の業務において利用目的を逸脱せずに個人情報を扱えるか正しく判断することは困難となる.そこで,数多くの外延を列挙して定義する従来の利用目的の特定方法に代わり,ユーザの意思決定に重要な契約履行上の必要性と利用行為の方向性の 2 つの軸による内包的枠組みを用いて利用目的を分類する方法を提案し,その枠組みを適用した事例を紹介する.
著者
石橋 隼 村上 昌志 加藤 俊一
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会技術報告 (ISSN:13426893)
巻号頁・発行日
vol.35, pp.47-49, 2011
参考文献数
9

本論文では音同士を重ねることで聴者に心理的に影響を与えられるのか、その効果を探った。環境音など元々存在している音は、音自体を調整する事は難しい場合が多い。そして音が、聴者に対して心理的な負荷となっている場合がある。本研究では、マスキング効果にみられる騒音の低減のように、環境音にBGM等の別の音を重ねて流し心理的負荷を低減させられるのではないか仮定し、その原因となる特徴量の分析を実施した。
著者
川島 眞 加藤 俊之 藤井 千恵 加藤 るみこ
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.35, no.3, pp.488-496, 2018
被引用文献数
1

再発型単純疱疹(口唇ヘルペス,性器ヘルペス)患者に対するファムシクロビル(FCV)の1日治療の有効性および安全性について,ランダム化プラセボ対照二重盲検並行群間比較試験で検討した.<br> 本試験では,FCV 1000 mg(FCV錠 250 mgを4錠)又はプラセボを単純疱疹の前駆症状発現から6時間以内に1回目を服薬し,2回目を1回目から12時間後に服薬した.<br> 1134例の患者がFCV群又はプラセボ群にランダム化された後,531例が治験薬を服薬した(Intent-to-treat).主要評価項目はIntent-to-treatからAborted lesion症例を除いた集団373例を対象に解析した.主要評価項目であるすべての病変部位が治癒するまでの時間の中央値は,FCV群で4.7日,プラセボ群で5.7日であり,FCVの1日治療は,治癒までの時間を有意に短縮した(P=0.008).副次評価項目である病変部位のウイルスが消失するまでの時間およびすべての病変部位が完全痂皮化するまでの時間についても,有意に短縮した(それぞれP=0.042,P=0.004).有害事象の発現率はFCV群で19.0%(50/263例),プラセボ群で11.6%(31/268例)であり,重篤な有害事象は発現しなかった.以上より,FCVの1日治療の有効性が検証され,高用量投与による安全性上の問題は認められなかったことから,本治療法は再発型単純疱疹の有用な治療選択肢の一つとなることが示唆された.試験登録番号JapicCTI-163223
著者
平山 順一 東 寛 藤原 満博 秋野 光明 本間 稚広 加藤 俊明 池田 久實
出版者
一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会
雑誌
日本輸血細胞治療学会誌
巻号頁・発行日
vol.57, no.5, pp.398-402, 2011
被引用文献数
1

濃厚血小板(PC)により引き起こされる輸血副作用の防止には洗浄血小板が有効である.血漿には菌の増殖を抑制する補体成分が含まれているため,洗浄により血漿濃度が減少した洗浄血小板中では,菌の増殖が促進される可能性がある.本研究では,M-solで調製した洗浄血小板中での菌の増殖動態を多血小板血漿(PRP)中でのそれと比較検討した.<br> PRPに菌を播種し(Day0),20~24℃で24時間振とう保存した後,PRPを2等分(コントロール群とテスト群)した.テスト群の遠心上清を出来るだけ除去し,M-solを添加した(Day1).両群はポリオレフィンバッグ中でDay7まで保存した.菌数測定は寒天培地を用いたプレート法により行った.<br> PRP中での場合と比較すると,洗浄血小板中では<i>Streptococcus dysgalactiae</i>や<i>Escherichia coli</i>の増殖は促進され,<i>Staphylococcus epidermidis</i>と<i>Staphylococcus aureus</i>の増殖は抑制された.洗浄血小板中での<i>Bacillus cereus</i>の増殖はPRP中の場合とほとんど差がなかった.<i>Propionibacterium acnes</i>や<i>Serratia marcescens</i>の場合,PRPおよび洗浄血小板のいずれにおいても増殖しなかった.<br> M-solで調製した洗浄血小板中で増殖が促進される菌株が存在するという点に注意が必要である.<br>
著者
堀田 真紀子 二村 幹雄 加藤 俊博
出版者
愛知県農業総合試験場
雑誌
愛知県農業総合試験場研究報告 (ISSN:03887995)
巻号頁・発行日
no.38, pp.95-101, 2006-12

スプレーカーネーションの新品種「カーネ愛知2号」は、愛知県農業総合試験場で育成したアースカラーの花色を有する「エアーズロック」を母本、鮮薄ピンク色の花色を有する「99sp367-11」を父本として2001年に交配し、2005年に育成を完了した。本品種の花形は中輪の八重で、花色は普及性の高い鮮紫ピンク(JHSカラーチャートNo.9703)の地色にピンク白(JHSカラーチャートNo.9701)の覆輪が入り、また茎の伸長性に優れ、スプレーフォーメーションもよく整う。開花の早晩は中晩生で、年間の収量はやや少ない。本県の暖地で栽培した場合、切り花は10月以前では花色が薄いために出荷に適さないので、11月以降に収穫する作型とする必要がある。本品種は、6月上旬に定植を行い、仕立て本数を3本に調整し、その2ないし3本を再度摘心することで増収につながる。また、90cm幅のベッドでは、6条植えより8条植えで収量が多く、切り花品質も確保される。
著者
本橋 英明 小畑 満 森本 慎吾 加藤 俊介 桑山 隆志 岡本 直子 石田 孝雄 杉原 健一
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.37, no.12, pp.1939-1943, 2004 (Released:2011-06-08)
参考文献数
8
被引用文献数
1 2

症例は86歳の女性で, 腹痛を主訴に外来受診し, 腹部単純X線検査にて腸閉塞と診断され入院となった. ガストログラフィン注腸検査ではS状結腸に高度の狭窄が見られ, 腹部造影CTで同部位に浮腫性変化による壁肥厚と憩室を認めたため, 憩室炎による腸閉塞と診断した. 大腸内視鏡は, 腸の屈曲が強く病変部まで挿入できなかった. 開腹するとS状結腸周囲は炎症が激しく, 強固に癒着していたが剥離可能であった. 口側の大腸は著しく拡張していたため大腸亜全摘を施行した. 切除標本の肉眼所見ではS状結腸は約6cmの壁肥厚を伴う狭窄が見られた. 病理組織学的所見では異型性のない大腸粘膜と, 筋層の肥厚, 著しい炎症細胞浸潤が認められ, 憩室による筋層の肥厚に, 浮腫性の変化が加わって狭窄がおきたと考えた. 悪性所見は認めなかった. 大腸憩室症の合併症は多彩であるが, 腸閉塞となり, 手術を要した症例の報告は少ないことから, 文献的考察を加えて報告する.
著者
斉藤 洋一 大和田 守 加藤 俊一 井上 繁一
出版者
国立科学博物館
雑誌
国立科学博物館専報 (ISSN:00824755)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.383-406, 2006

Monitoring investigations on the fauna of Odonata were made at the gardens of the Imperial Palace, Tokyo, ca. 115 ha, central Tokyo, from 2001 to 2005. A total of 33 species belonging to 8 families were recorded. Similar research were carried out at the same place from 1996 to 2000, and 27 species in 8 families were recorded (Tomokuni & Saito, 2000). The following six species are recorded from the Imperial Place for the first time. Aeschnidae: Aeschnophlebia anisoptera Selys, Polycanthagyna melanictera (Selys), Anaciaeschna martini (Selys) (Fig. 30) and Anax nigrofasdatus nigrofasciatus Oguma (Fig. 31). Libellulidae: Libellula quadrimaculata asahinai Schmidt (Fig. 35) and Sympetrum kunckeli (Selys). Three endangered species in Tokyo urban areas, Ceriagrion nipponicum Asahina (Figs. 9-10), Trigomphus melampus (Selys) (Figs. 19-21) and Aeschnophlebia longistigma Selys (Figs. 27-29) were discovered by the former study (Tomokuni & Saito, 2000), and they are still abundant in the Palace. Rhyothemis fuliginosa Selys (Fig. 41), which had also been very scarce in the urban Tokyo, was gradually increase its number from 2002-2004, and we were able to observe its outbreak in the summer of 2005.
著者
加藤 俊顕 金子 俊郎
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会誌 (ISSN:13405551)
巻号頁・発行日
vol.135, no.3, pp.151-153, 2015 (Released:2015-03-01)
参考文献数
13

1.はじめに 炭素原子1層の厚みを持つ2次元シート材料であるグラフェンは高いキャリア移動度,機械的柔軟性,および光透過率を合わせ持つ究極のナノ材料として,透明電極,太陽電池,各種センサなどさまざまな分野への応用が期待されている。これらの応用開発を進める上で最も重要な課題の
著者
加藤 俊一
出版者
社団法人情報科学技術協会
雑誌
情報の科学と技術 (ISSN:09133801)
巻号頁・発行日
vol.43, no.7, pp.611-621, 1993-07-01
被引用文献数
1

本稿では,画像の内容検索を実現する視覚的対話機能の一般的な枠組みを紹介する。具体例として絵画を対象に,画像・画像型の客観的規準による例示画検索,文字・画像型の主観的規準による感性検索のアルゴリズム等を紹介する。例示画検索では,絵画の構図に相当する概略画を,人間の視覚特性を考慮した画像処理により作成し,概略画索引とした。利用者が提示するラフスケッチとの柔らかなマッチングにより,オリジナルの絵画や類似の構図の絵画を検索する。感性検索では,利用者の感性モデルを,印象語間の相対的関係,印象語と絵画の色彩特徴の相関等を多変量解析を用いた統計学習で構築する。利用者が,主観的な印象語を提示すると,それに相応しい色彩の絵画を推定して検索する。
著者
加藤 俊一
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.86, no.10, pp.1978-1982, 1997-10-10 (Released:2008-06-12)
参考文献数
7

臍帯血中には骨髄中の造血幹継胞に匹敵する造血幹細胞が多数含まれ,その増殖能力は骨髄造血幹細胞を凌ぐものであることが示されている.一方,臍帯血中のリンパ球は成人梢血リンパ球に較べ,非自己認識と異物処理能力が未熟であるため,造血幹細胞移植に際してはgraft-versus-host (GVH)反応が軽度となる特徴がある.このような臍帯血細胞の特徴に着目し,臍帯血幹細胞を用いた造血幹継胞移植が行われており,骨髄移植や末梢血幹細胞移植などと同等の成果がえられ始めている.同胞間臍帯血移植は200例程度,非面縁者間臍帯血移植は500例程度行われており, 1~2×107/kg.以上の有核細胞が移植されれば生着が可能であり, HLAが異なるドナーからでもGVH病の合併は軽度であることなどが報告されている.非血縁者間での臍帯血移植を実施するための臍帯血バンクが各国で設立されており,今後は骨髄バンクとならんで非血縁者間での造血幹細胞移植を推進するシステムとなることが期待されている.
著者
荻野 晃大 加藤俊一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.47, no.4, pp.28-39, 2006-03-15
被引用文献数
6

本論文では,感性検索システムを効率的に設計,開発するための手法として,「感性システムモデリング」を提案する.感性検索システムとは,マルチメディアコンテンツの間の類似性や印象に関する各個人の主観的な評価に基づいて,その人に最適なコンテンツをデータベースやインターネットから検索するシステムである.我々の提案する感性システムモデリングでは,システム開発者の感性検索システムの設計を支援するために,(1) コンテンツの間の類似性や印象を各個人が知覚,解釈する過程を抽象化し,その過程を模倣した感性検索システムを設計するための図式的なモデル「感性フレームワークダイアグラム」と,(2) 感性検索システムの設計工程とその工程でのシステム開発者の作業を示したモデル「感性システムプロセスモデル」を定義した.本論文では,この感性システムモデリングを用いた感性検索システムの設計法と設計事例を示す.In this paper, we proposed a design method, KANSEI System Modelling, for KANSEI retrieval systems, which retrieve multimedia contents suitable for individual's subjective criteria about similarity or impression to multimedia contents. In the KANSEI System Modelling, we defined two methods to help a design and development of KANSEI retrieval systems for system engineers. One method is KANSEI Framework Diagram, which is a diagram to simulate and design an individual's evaluation process of similarity or impression to multimedia contents as a system process. The KANSEI Framework Diagram expresses an individual's evaluation process by abstracting it to 4 levels, which are a physical, physiological, psychological and cognitive. Second method is KANSEI System Process, which shows a design process of KANSEI retrieval systems for a prompt and smooth design. We showed a usage and sample of the KANSEI System Modelling in this paper.