著者
羽田 正沖 西原 直枝 中村 駿介 内田 智志 田辺 新一
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会環境系論文集 (ISSN:13480685)
巻号頁・発行日
vol.74, no.637, pp.389-396, 2009-03-30 (Released:2009-11-24)
参考文献数
39
被引用文献数
8 16

A field measurement was conducted to investigate the thermal environment of an office with preset temperature of 28°C in summer. A questionnaire survey on the workers was also conducted during the measurement to evaluate the effect of the thermal environment on productivity. The air temperature tended to be higher in the area with high density of heat sources. The air temperature could reach over 30°C at the time when the air-conditioning system started its operation in the mornings. Fluctuation of the supply air temperature was observed after the room temperature reached to the setting. To elevate the preset temperature in the existing buildings, systematic and operational adjustments of HVAC systems may be necessary for proper thermal environmental control. From the questionnaire, over 70% of the workers were thermally dissatisfied in July and August. The correlations were obtained that when the workers are thermally satisfied, the self-estimated performance is higher and the level of fatigue is lower.
著者
栗田 隆志 野田 崇 岡村 英夫 里見 和浩 清水 渉 須山 和弘 相原 直彦 鎌倉 史郎 安田 聡
出版者
The Japanese Society of Electrocardiology
雑誌
心電図 = Electrocardiology (ISSN:02851660)
巻号頁・発行日
vol.29, no.1, pp.10-17, 2009-02-05
参考文献数
23
被引用文献数
1

ニフェカラント静注薬は我が国で開発された唯一の純粋なI<SUB>Kr</SUB>チャネル遮断薬であり,重症心室不整脈に対する高い抑制効果が示されている.特に急性冠症候群など冠動脈疾患に合併した難治性の心室頻拍・心室細動(VT/VF)に対しては,8割を超える患者において有効性が示された.また,拡張型心筋症など慢性的な病変によるVT/VFに対する効果は若干劣るものの,6割を超える効果が確認された.ニフェカラントに残された最大の問題は,過剰なQT延長によるtorsade de pointesの誘発であろう.この合併症を避けるためには推奨されているよりも少ない量(loadingは0.15~0.2mg/kg,維持量は0.2mg/kg/時)から投与を開始し,モニター心電図による継続した監視と12誘導心電図でのQT時間の観察が必須である.同薬剤の中止または減量の目安はQTc時間が550msecを超えた場合と考えられる.また,アミオダロン静注薬との使い分けや,経口薬への移行などについては今後に残された課題である.
著者
小西 文雄 古田 一裕 斉藤 幸夫 片岡 孝 柏木 宏 岡田 真樹 金澤 暁太郎 菅原 正 篠原 直宏
出版者
一般社団法人 日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.789-796, 1994 (Released:2011-06-08)
参考文献数
30
被引用文献数
1

直腸癌に対する術前放射線化学治療において, 温熱療法を加えることによる腫瘍壊死効果の増強について検討した.A群 (18例) では放射線温熱化学併用治療を, B群 (18例) では放射線化学治療を施行した.放射線照射は総量40.5Gy, Whole Pelvisの照射野で施行した.温熱療法は, 8MHzRadiofrequencyを用いて1回50分計5回施行した.また, 5-nuorouracil坐薬1日200mg計3,400mgを投与した.治療前後で施行した下部消化管注腸造影における腫瘍の縮小率の平均値は, A群では31.8%, B群では18.2%であり, A群において有意に縮小率が高かった.切除標本の病理組織学的所見における治療効果を, 胃癌取扱い規約の規準に従って評価した結果, A群ではB群と比較して有意により高度な腫瘍の変性や壊死が認められた.以上より, 温熱療法を併用することによって治療効果が増強されることが示され, 放射線温熱化学併用治療は直腸癌の術前治療法として有用であろうと考えられた.
著者
笠原 直人 林 眞琴
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集A編 (ISSN:18848338)
巻号頁・発行日
vol.78, no.789, pp.583-598, 2012 (Released:2012-05-25)
参考文献数
39
被引用文献数
1

Various kinds of thermal fatigue failure modes exist in nuclear power plant components. Main causes of thermal loads are structural responses to fluid temperature changes. These phenomena have complex mechanisms and so many patterns, that their problems still occur even though well-known issues. Among them, this paper treats high cycle thermal fatigue of branch pipes as the typical mode. Firstly, experimental and analytical researches are explained for thermal load evaluation. Through them, both numerical and kinematic methods were developed. Next chapter describes thermal fatigue strength studies on both crack initiations and propagations. They revealed the similarities of thermal crack initiations with mechanical ones and frequency characteristics of crack propagation. Finally, current status and future challenges are discussed for evaluation of actual plants.
著者
上原 依子 青柳 肇 釘原 直樹
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. HIP, ヒューマン情報処理 (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.60, pp.195-200, 2011-05-16
参考文献数
12

他者の援助が必要な困窮状態にあるとき,適切に援助を要請出来ないことは,不都合な結果を招きかねない.本研究では,援助要請を抑制する心理的要因の一つとして,対人感受性の高さ,および一般的信頼の低さに起因する,他者の行動に対しての評価判断の慎重化を扱った.とりわけ,低信頼者かつ対人感受性高群において,「他者の心的状態を察知する判断能力はあるものの,信頼出来るという決定的な判断や信頼行動に踏み切れない」という,従来の信頼研究では見過ごされてきたパターンの実証を試みた.本研究では大学生470名に対して質問紙調査を実施し,評価者の一般的信頼と対人感受性に関する尺度得点が,いじめの相談場面における教師への評価におよぼす影響を検討した.その結果,低信頼者は感受性が高く,高信頼者は感受性が低いときに,苦境場面におけるサポート者をより好意的に判断するという相補的な結果が得られた.よって,援助要請が必要となる苦境場面において,対人感受性の強さがサポート者に対しての印象評価にネガティブな影響をおよぼすという予測は高信頼者においてのみ実証され,低信頼者においては予測とは真逆の結果となった.
著者
柴原 直樹
出版者
近畿医療福祉大学
雑誌
近畿福祉大学紀要 (ISSN:13461672)
巻号頁・発行日
vol.8, no.1, pp.43-51, 2007-06-01

Since the clinical report of erythrophobia by Morita, a great number of psychiatrists aswell as psychologists have focused their attention on anthropophobia named taijin-kyoufushoin Japan. This syndrome is a culturally distinct phobia in japan and included in the officialJapanese diagnostic system for mental disorders. Its symptom is characterized as an individual'sintense fear or shame that his or her appearance, facial expression, eyeshot, or odor shoulddisplease, embarrass, or be offensive to other people. In this paper, I first presented thedefinition of taijin-kyoufusho and then its classification proposed by several researchers. Next,I overviewed various interpretations of the mechanisms of this phobia from psychodynamicviewpoints. Finally, I referred to the current problems of the phobia.
著者
井上 博喜 岡 洋志 八木 清貴 野上 達也 小尾 龍右 引網 宏彰 後藤 博三 柴原 直利 嶋田 豊
出版者
一般社団法人 日本東洋医学会
雑誌
日本東洋医学雑誌 (ISSN:02874857)
巻号頁・発行日
vol.58, no.5, pp.861-865, 2007-09-20 (Released:2008-09-12)
参考文献数
28

呉茱萸湯が奏効した難治性のあい気の一例を報告した。症例は74歳の女性。あい気, 腹部膨満感, 食欲不振のため7回の入院歴があり, 様々な方剤で加療されたが, 症状は消長を繰り返していた。呉茱萸湯を投与したところあい気はほぼ消失し, 食欲も改善した。あい気に使用される方剤は少陽病の方剤が多いが, 陰証で心下痞こうと胸脇苦満を伴うあい気には呉茱萸湯が有効である可能性が示唆された。
著者
織井 弘道 森谷 良智 難波 幸一 海老原 直樹 川本 和弘 伊藤 公一 村井 正大
出版者
特定非営利活動法人日本歯周病学会
雑誌
日本歯周病学会会誌 (ISSN:03850110)
巻号頁・発行日
vol.39, no.4, pp.495-502, 1997-12-28
参考文献数
23
被引用文献数
1

本研究は,チタン製インプラントにプラークや歯石が付着した場合を想定し,日常臨床で用いられている種々の清掃法によってチタン表面を処理し,それが培養細胞の初期付着に対してどのような影響を及ぼすのかについて検討したものである。実験材料として,チタンを99.5%以上含むチタン板を実験に供試した。チタン表面にプラークや歯石が付着したことを想定し油性マジックを塗り,それを手用キュレット型スケーラー(HSc),超音波スケーラー(USc),歯面研磨装置(QJ),ラバーカップ(RC:歯面研磨剤を併用),プラスチックスケーラー(PSc)で除去した後の表面粗さ(中心線平均粗さ)を計測した。なお,未処理のチタン板をコントロール(C)とした。次に,そのチタン板を滅菌後,チタン表面にヒト歯槽骨由来骨芽細胞およびヒト歯肉線維芽細胞を播種し,通法に従い3, 6, 12および24時間培養を行い,走査電子顕微鏡により付着細胞数のカウント,細胞形態の観察を行った。その結果,チタン板の表面粗さには,HSc-QJ, HSc-RC, HSc-PSc, HSc-C, USc-QJ, USc-RC, USc-PSc,およびUSc-C間において統計学的有意差が認められた(p<0.05)。走査電子顕微鏡観察によると,HSc, UScによって処理したチタン板上の細胞はCと比較して発育が悪く,付着細胞数も減少傾向にあった。QJでは付着細胞数において減少傾向が見られたが,細胞形態自体にはさほど影響は見られなかった。RC, PScでは細胞形態,付着細胞数ともに良好な結果が得られた。よって,in vitroにおいて,培養細胞の付着様相は粗いチタン表面よりも,平滑なチタン表面のほうが良好であることから,チタン表面がプラークで汚染された場合の清掃法として,プロフィーペーストとラバーカップの併用あるいはプラスチックスケーラーによる方法は,有効であることが示唆された。
著者
内田 遼介 釘原 直樹 東 亜弓 土屋 裕睦
出版者
公益社団法人 日本心理学会
雑誌
心理学研究 (ISSN:00215236)
巻号頁・発行日
vol.88, no.3, pp.219-229, 2017-08-25 (Released:2017-08-25)
参考文献数
34
被引用文献数
2

Previous studies have revealed that past experience shared by the members of a group can uniformly increase or decrease the collective efficacy. However, it remains unknown how appraisal formation processes occur within an athletic team in which each member of varying ability appraises collective efficacy from the perspective of shared past experience. The purpose of this study was to examine the processes related to appraisal of collective efficacy in terms of the task-related abilities of individual members. The participants, 75 healthy males, were assigned to triads. The triads were instructed to cover a combined distance of 2,000 m as quickly as possible on a bicycle. The comparative task-related abilities of the participants were manipulated through false feedback before the task. The results revealed that participants with superior condition only appraised collective efficacy based on their own potential contribution, and that collective efficacy was associated with individual effort during the task. These results could be interpreted in the light of instrumentality, which is an element of the Collective Effort Model (Karau & Williams, 1993, 2001).
著者
中野 知佳 柴 喜崇 坂本 美喜 佐藤 春彦 三原 直樹
出版者
公益社団法人日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学 (ISSN:02893770)
巻号頁・発行日
vol.34, no.1, pp.21-28, 2007-02-20
被引用文献数
1

本研究の目的は,背臥位からの立ち上がり動作パターンの推移を縦断調査により明らかにすることである。健常な幼稚園児17名を対象とし,年少クラス時(平均年齢3歳9ヶ月±4ヶ月)から2年間継続し,計3回,背臥位からの立ち上がり動作をビデオに記録した。そして,立ち上がり動作中の上肢,頭部・体幹,下肢の3つの部位に着目し動作パターンを分類した。その結果,上肢,頭部・体幹の動作パターンの推移では一定の傾向を示し,下肢の動作パターンの推移では,上肢,頭部・体幹の動作パターンの推移に比べ一定の傾向を示さず多様な動作パターンの推移が観察された。そして,動作パターンの変化は年少クラス時から年中クラス時(平均年齢4歳9ヶ月±4ヶ月)の間に生じていた。上肢では年少クラス時から年中クラス時にかけて,17名中9名が左右どちらか一側の床を両手で押して立ち上がるパターンから,片手,あるいは両手を左右非対称的に使い立ち上がる動作に変化し,頭部・体幹では,17名中6名が同様の時期に回旋の少ない立ち上がり動作を獲得した。これらのことから,発達段階における立ち上がり動作の評価には,上肢,および頭部・体幹の運動に着目し観察することが重要になると思われた。
著者
川島 章子 漆原 直人 福本 弘二 谷 守通 鈴木 孝明 松岡 尚則 福澤 宏明 長谷川 史郎
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.760-763, 2007-10-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
8

症例は10歳男児.自転車で走行中転倒した際ハンドルで右下腹部を強打し,同部に膨隆が認められたため当院を受診.右下腹部に手拳大の膨隆と圧痛を認め皮下に腸管を触知した.腹部CTにて遊離ガス像や臓器損傷はなく,右傍腹直筋部の皮下に小腸の脱出を認めた.臥位安静にて右下腹部の膨隆は消失するが腹圧にて再発するため,外傷性腹壁ヘルニアの診断にて全身麻酔下に手術を行った.右傍腹直筋切開で皮切を行うと,右腹直筋鞘外縁で腹壁が断裂しておりSpigel herniaと診断した.ヘルニア門は弓状線の高さから尾側へ約7cmの長さで存在し,腹腔内臓器の損傷はなく,腹壁の修復は各層で直接縫合し得た.術後2年経過し,再発は認めていない.小児の外傷性腹壁ヘルニアは稀で,検索し得た範囲内で自験例は外傷によるSpigel herniaの本邦報告例中最年少であった.