著者
露口 小百合 明神 千穂 村上 恵 和田 珠子 伊藤 知子 今義 潤 江口 智美 久保 加織 高村 仁知 中平 真由巳 原 知子 水野 千恵
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.24, 2012

<b>【目的】</b>揚げる・炒める分科会ではこれまで揚げ種重量の10倍程度の油を用いた一般的な揚げ方法での様々な研究を行なってきた。しかし、最近では環境問題や健康への配慮から少量の油で揚げる「シャロウフライ」と呼ばれる方法が注目されている。そこで今回は揚げ種が浸る程度の少ない油量で揚げた場合の揚がり具合について検討した。<br>&nbsp;<b>【方法】</b>試料として豚カツ(業務用冷凍豚一口カツ)およびサツマイモ、揚げ油はキャノーラ油を用いた。油の量は「ディープ」(油の深さが揚げ種の厚さの2倍)、「シャロウ1」(同1倍)、「シャロウ1/2」(同1/2倍)とした。温度調節付きガスコンロと26cm径のフライパンを用い、豚カツは180℃、5分間、サツマイモは160℃、6分間揚げた。揚げ操作中に揚げ種の中心温度と油温の変化を測定し、揚げ操作後の重量変化より吸油率と脱水率を算出した。官能評価はパネル6~8名で、評点法(外観、油臭さ、におい、味、揚がり具合、テクスチャー、総合)と順位法で行った。<br>&nbsp;<b>【結果】</b>脱水率は、豚カツ、サツマイモともに「シャロウ1/2」で低かった。吸油率は、豚カツでは油量による差はみられなかった。中心温度は「シャロウ1/2」では温度上昇が遅かった。官能評価の評点法は、豚カツ、サツマイモともに外観、におい、揚がり具合、テクスチャーおよび総合において「シャロウ1/2」が有意に低い評価であった。順位法では、豚カツは、「ディープ」、「シャロウ1」、「シャロウ1/2」の順に好まれた。サツマイモの「シャロウ1/2」では仕上がりが不均一で水っぽく感じられ、脱水率の結果と一致していた。以上の結果から、油量の違いは揚がり具合に影響を及ぼすことが明らかになった。
著者
中平 真由巳 水野 千恵 明神 千穂 村上 恵 和田 珠子 安藤 真美 伊藤 知子 今義 潤 江口 智美 久保 加織 高村 仁知 露口 小百合 原 知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.26, 2014

<b>【目的】</b>近年、簡便な揚げ調理として、少量の油で揚げる「シャロウフライ」が注目されている。前回、「シャロウフライ」は通常の揚げ調理に比べて、官能評価が低いことを報告した。しかし、これは官能評価に影響を及ぼす要因である脱水率が統一されていない条件下であった。そこで今回は、脱水率を統一して「シャロウフライ」の再評価を実施した。<br><b>【方法】</b>試料は豚カツ(業務用冷凍豚一口カツ)、揚げ油はキャノーラ油を用いた。油量は、通常の揚げ調理である揚げ種の厚さの2倍の深さ(D)、厚さの1倍(S1)、および厚さの1/2倍(S1/2)とした。温度調節付ガスコンロを用いて180℃で揚げ調理を行い、揚げ種の中心温度と油温の変化を測定した。揚げ油の物理化学的性状値として、酸価、カルボニル価、粘度、極性化合物量、および色を測定した。揚げ種について脱水率を算出し、分科会のメンバーをパネル(n=18)として官能評価を評点法(外観、油臭さ、におい、味、揚がり具合、テクスチャー、および総合)により実施した。<br><b>【結果】</b>通常調理(D、揚げ時間5分)と同じ脱水率を得るために、S1は6分、S1/2は8分を要した。官能評価の評点(外観、におい、揚がり具合、テクスチャーおよび総合)において、S1とS1/2は揚げ時間の延長により、有意に高い評価が得られた。揚げ油の化学的性状値は、カルボニル価、極性化合物量、および色においてS1/2では揚げ時間の延長とともに上昇した。以上の結果から、シャロウフライは的確な揚げ時間の延長と揚げ作業の継続により、Dと同等の風味評価を確保できることが明らかとなった。一方、シャロウフライでは、使用油の劣化は大で、油の劣化に繋がることが明確になった。
著者
明神 千穂 安藤 真美 伊藤 知子 大塚 憲一 久保 加織 露口 小百合 中平 真由巳 原 知子 水野 千恵 村上 恵 和田 珠子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成23年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.80, 2011 (Released:2011-08-30)

【目的】中学校、高等学校の家庭科担当教員に調理実習の現状について実態調査を著者らが行ったところ、揚げ調理を実施している中学校、高等学校はともに20%で、授業時間数の減少や補助者の問題などが関係し減少傾向にあることが分かった1)。そこで、油の処理も含めた揚げ調理の一連の操作を学ぶことができる教材の開発が必要であると考えた。本研究では、まず天ぷらを取り上げ、生活体験レベルが異なる生徒にも対応可能な教育媒体としてリーフレットを作成した。多くの教育現場で活用してもらうため、このリーフレットを高校家庭科担当教員へ送付し、揚げ調理の実施状況およびリーフレットの評価についてアンケート調査を行った。 【方法】<リーフレット> 天ぷらの作り方について、油の種類・必要な調理器具・食材の準備・衣の作り方・油の温度管理・揚げ操作・油の処理方法までをカラーのイラストと写真を用いて説明した。<アンケート調査> 2010年8月に近畿二府四県の高等学校家庭科教員を対象とした郵送法による質問紙調査を行った。有効回答数は110部、回収率42.3%であった。 【結果】揚げ調理の実施状況では「天ぷらを作ったことがある」は15%であった。リーフレットに関しては「内容、説明、写真、デザイン」は高い評価を得られた。また、「補助教材として使いやすい」、「高校生の天ぷらについての理解が深まる」、「授業の資料として活用したい」と答えたのがそれぞれ76%、88%、78%となり高い評価が得られた。リーフレットへの評価は高いが、学生への配布希望は34%だった。今後は実際に授業で用いた際の生徒からの評価も検討を予定している。 1)日調科誌, 41, 196 (2008)
著者
原 知子 安藤 真美 伊藤 知子 井上 吉世 大塚 憲一 大野 佳美 岡村 由美 白砂 尋士 高村 仁知 武智 多与理 露口 小百合 中原 満子 中平 真由巳 西池 珠子 林 淑美 深見 良子 藤村 浩嗣 松井 正枝 的場 輝佳 水野 千恵 村上 恵 山下 貴稔 湯川 夏子 渡辺 健市
出版者
公益社団法人 日本食品科学工学会
雑誌
日本食品科学工学会誌 (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.51, no.1, pp.23-27, 2004-01-15 (Released:2009-02-19)
参考文献数
20
被引用文献数
3 1

酸価1∼4.5の段階的に劣化度が異なる劣化油1,2,3を用いて,揚げ玉,まいたけの天ぷら,コロッケを調製し,揚げ物および揚げ油の官能評価による風味とPCテスターによる極性化合物量の関係について検討した.1.新鮮油,劣化油1,2,3の4種の劣化程度の異なる油及びそれらで調製された製品の風味に有意差が認められた.これら4種の油は酸価,粘度,極性化合物量が段階的に異なるもので,揚げ玉,まいたけの天ぷら,油自体の風味の評価結果は,これらの要素と対応した.新鮮油,劣化油1,2,3の順に風味評価は低下したが,劣化油1から極性化合物量15%の劣化油2の間で低下が顕著であった.また,劣化が進行した油において官能評価ではその違いが認め難くなる傾向にあった.コロッケでは油の劣化による風味評価の低下は小さかった.2.揚げ玉やまいたけの天ぷらでは極性化合物15%程度まで,コロッケでは,25%程度まで風味評価のよい揚げ物を調製できた.3.極性化合物量15%以上で風味評価が低下するとともに風味の劣化度合いを弁別し難くなる傾向があったことから,栄養的にも嗜好的にも,揚げ油の極性化合物量を15%以下で管理するのが適当であると考えられた.
著者
小寺 真実 針谷 萌那 森 太郎 原 知子 久保 加織
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的</b> 「近江の伝統野菜」14品目に含まれる杉谷なすび、下田なすの物理的特性を賀茂なす、千両二号と比較し、伝統野菜の普及の一助となる情報を収集した。<br><b>方法</b> 滋賀大学内農場で栽培した杉谷なすび、下田なす、賀茂なす、および千両二号の果実を供試した。赤道を中心とした幅2cmの輪切りなすを200℃で30分間加熱したものを焼きなすとした。クリープメーター(山電)により直径1.5mmの円柱状プランジャーを速度0.5mm/sで圧縮・貫入させて物性を測定した。色調は測色色差計(日本電色工業株式会社)を用いて測定した。官能評価は、滋賀大学の学生および教職員44名を対象に5点評点法により行った。<br><b>結果</b> 破断荷重値より、生なすの果皮は、賀茂なす、杉谷なすび、千両二号、下田なすの順に、果肉は、杉谷なすび、賀茂なす、下田なす、千両二号の順に硬いことが明らかになった。官能評価でも、生の下田なすが他品種に比べ柔らかいと判断された。焼きなすにすると、果皮は柔らかくなったが、杉谷なすびは他品種に比べ、あまり柔らかくなることはなく生の硬さに近かったが、もろさ荷重値は大きかったことから、噛み切りやすさがあると考えられた。杉谷なすびの果皮はL*値a*値b*値ともに他品種より低く、緑がかった深い紫色であった。果肉の色調では品種間に大きな差はなかった。焼きなすにすると、果皮のL*値a*値b*値は高くなった。果肉はa*値が高くなったが、品種間で色調が異なった。
著者
奥佐 千恵 平 昇市 笠原 知子 川口 久美子
出版者
東海北陸理学療法学術大会
雑誌
東海北陸理学療法学術大会誌
巻号頁・発行日
vol.24, pp.O023, 2008

【はじめに】我々は平成18年19年に女子ウエイトリフティング競技ナショナルチームの強化合宿中の選手に関わる機会を得た.その後,平成19年9月にタイ国で開催された第19回女子ウエイトリフティング世界選手権大会に出場する日本代表選手団に帯同し,大会中の選手に携わる機会を得たので,それらの活動内容に若干の知見を加えて報告する.<BR>【選手・スタッフ構成】合宿には13~15名,国際大会には9名の選手がいた.そこに監督とコーチからなるテクニカルスタッフが2~4名,日本オリンピック委員会強化スタッフのチームトレーナー1名が加わる.<BR>【活動内容】ナショナルチームとして招集された選手達のコンディションは様々である.そのため,合宿中には各選手のコンディションや置かれている立場・状況に応じて,病院内あるいは練習場で治療・ケア・応急処置・指導などを行った.国際大会には,事前合宿が行われていた国立スポーツ科学センターを訪問し各選手のケア及びスタッフとの事前打ち合わせを行った上で,チームに帯同した.現地入りしてからは,練習前後に宿舎で,そして試合当日には競技直前と競技中においてはアップルームでコンディショニング・ケアなどに携わった.<BR>【現場からの要望】合宿中において,監督からは方向性の統一化の元,選手の体をよくすることを第一の目的としたリハビリ以外に,「選手と指導者側とのズレを埋める」「メンタル面のフォロー」などが求められた.国際大会においては,特に「選手がその場で変わる調整」が求められた.選手からは痛みの軽減や身体機能の回復などが求められる一方で,合宿中の記録会や大会では「痛みが出現しようが体が壊れようが記録を出したい」という要望が少なくなかった.また「指導者側が求める事が実際に再現できない」「自分のイメージ通りに体が動かない」などといった意見も多く,選手・指導者側が求める最高のパフォーマンスの獲得あるいは再現を叶えるための関わりが求められていると感じた.しかし,現場での監督・選手からの要望は必ずしも一致するわけではなく,また現場では,理学療法に関する知識や技術以外のものも多く要求された.<BR>【おわりに】スポーツ現場では,医師以外の何らかの有資格者はトレーナーとして一括されることが往々にしてある.そこでは必ずしも理学療法士という「資格」ではなく,選手の競技力を向上させ,試合で最高のパフォーマンスを発揮できるための手伝いができる「人」が求められる.関わる以上,そこにかかる労力とコストは惜しめない.今回の経験より,我々理学療法士はスポーツ医療に関わる多くの職種の共通部分と専門性をより明らかにし尊重し合い,他職種との連携や役割分担を図り,選手・チームに関わっていかなければならないと強く感じた.
著者
清水 市郎 志村 重顕 松原 知子 松川 忠文 相馬 正美
出版者
日本建築仕上学会
雑誌
日本建築仕上学会 大会学術講演会研究発表論文集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.63, 2007

都市再生機構(旧住宅都市整備公団)では、昭和52年度から屋根外断熱工法として、スラブ上に防水層を施工、その上に断熱材を施工し、保護コンクリ-トで押える「アップサイドダウン工法(USD工法 )」を採用してきた。本論文では、経年25年までに於ける、アスファルト防水層について、(財)国土開発技術センタ-「建築防水の耐久性向上技術」の診断方法に従って、防水層物性、基材物性、及びアスファルト物性についての調査分析を行い、USD工法の特徴について検討を行った
著者
山本 悦子 阪上 愛子 澤田 参子 原 知子 東根 裕子 八木 千鶴
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2018

【目的】平成24年から日本調理科学会「次世代に伝え継ぐ 日本の家庭料理」の研究から山海に恵まれ商都として栄えた大阪府内に1960年から70年頃までに定着した家庭料理・郷土料理の「主菜の特徴」を抽出することを目的とした。<br>【方法】大阪府の行政区分、日本の食生活全集「聞き書大阪の食事」の分類を参考に8地域(泉南・泉北・南河内・中河内・北河内・大阪市・三島・豊能)に分け、その土地に30年以上暮らしている27名を対象に聞き書きを行った。<br>調査時期は2013年11月から2015年9月、方法等は学会ガイドラインに則った。<br>【結果】物流や商業の中心地大阪は「天下の台所」とよばれた。昆布は北海道から北前船で大阪・堺の港に入り、かつおぶしは、薩摩・土佐・紀州から入り、「だし文化」が生まれた。だし巻き卵・小田巻蒸し・関東煮(かんとだき)・どて焼き・ハリハリ鍋などは、だしを利用した主菜である。朝食やお弁当のおかずに作るだし巻き卵は、甘い関東の卵焼きに比して、だしの旨みと塩味(淡口醤油)で味つけされる。小田巻蒸しは、うどんの入っただしたっぷりの茶碗蒸しである。大阪の商家では祝膳に出された。鶏肉、えび、なると、干しいたけ、みつば、ゆずなどをを入れる。関東煮は江戸風味の濃口醤油のだしではなく、淡口醤油が主体のすっきりした味である。大阪では具材に鯨の皮の「ころ」や牛すじ肉、タコ、煮込みちくわ、丸天、ごぼう天などが好まれる。どて焼きは牛すじ肉を茹で、昆布だし、白味噌やみりんでじっくり煮込んだ料理。ハリハリ鍋はくじら肉(尾の身・赤身)と水菜だけのシンプルな鍋で、かつお昆布だしに淡口醤油と酒だけで味つけし、さっと煮て食する。大阪のコナ文化の代表である、きつねうどん・お好み焼き・たこ焼きにもだしは欠かせない。
著者
中川 貴裕 笠原 知子 齋藤 潮
出版者
公益社団法人 日本都市計画学会
雑誌
都市計画論文集 (ISSN:09160647)
巻号頁・発行日
vol.43.3, pp.535-540, 2008-10-25 (Released:2017-01-01)
参考文献数
13

横浜旧居留地である中区山下町に位置する、横浜中華街は、その隣接地区と対照的な都市景観を形成している。建物用途と敷地規模は都市景観を特徴づける基礎的な要因であり、この2地区の差異を形成していると考えられる。そこで、本研究では、両地区の空間的差異の形成過程を明らかにする。1916年から1960年における山下町の土地台帳を用いて、土地所有や敷地分割・統合の変化を追跡した。その結果、2つの事柄が2地区の空間的差異を形成したことが明らかになった。第一に、関東大震災後の土地区画整備事業である。これによって土地の分割が進んだが、現在の中華街の外側である、山下町北部の海側で見られ、ほとんどが法人所有地や官有地となった。第二に、第二次大戦後の接収を中華街が免れたことである。これによって、中華街の辺りで土地の分割と個人所有化が進んだ一方、接収を受けた隣接地区は敷地が凍結された。これによって、空間的差異の原型が形成された。
著者
伊藤 知子 石津 日出子 井上 吉世 佐久聞 桂子 高村 仁知 中原 満子 西池 珠子 林 淑美 原 知子 深見 良子 藤井 美紗子 的場 輝佳 水野 千恵 村上 恵 椴山 薫 夜久 富美子 湯川 夏子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.33, no.2, pp.236-243, 2000-05-20 (Released:2013-04-26)
参考文献数
19
被引用文献数
2

A questionnaire survey on the edible oils used for deep frying in the home was conducted in 1998in the Kinki District of Japan.The respondent used an average of three types of edible oil, the most popular combination being salad oil, sesame oil and olive oil. The oil most commonly used for deep frying was salad oil, with safflower and rapeseed oil also being used for this.The criteria applied for buying oil for deep frying were the price, variety and expiration date. The parameters used for determining the life of the frying oilswere, in the order of number of answers, color (light brown), number of times used, smell and foaming property. It was apparent that the criteria for purchase and the frequency of deep frying for home cooking affected the utilization of edible oils for deep frying.These results indicate a perception of health and convenience in the utilization of edible oils for deep frying in home cooking.
著者
作田 はるみ 片寄 眞木子 坂本 薫 田中 紀子 富永 しのぶ 中谷 梢 原 知子 本多 佐知子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.27, 2015

<br><br><br><br>【目的】兵庫県は南北を海に接して大小の島を擁し,中央部には東西に山地が横たわっている。河川の下流には肥沃な平野が開け,多彩な産物に恵まれるとともに,都市としても発展してきた。日本の縮図ともいわれる気候風土の違いが,地域ごとに伝統的な食文化を形成してきた。本研究では,各地域で昭和30・40年代に食べられていた家庭料理の中で主食となる「ごはんもの」と「もち・もち米」について,各地域の内容や背景を比較し,その特徴を明らかにすることを目的とした。<br><br>【方法】神戸,東播磨(瀬戸内海沿岸),東播磨(平野),北播磨,中播磨(平野),西播磨(山地),但馬(日本海沿岸),丹波,淡路の9地域を選定して平成25,26年に調査し,平成24~25年度『次世代に伝え継ぐ日本の家庭料理』聞き書き調査報告書(日本調理科学会)を資料とした。本研究では,家庭料理のうち,「ごはんもの」と「もち・もち米」について各地域の日常食と行事食について検討した。<br><br>【結果】日常の主食は,西播,丹波,但馬では麦飯,他地域では白米飯,神戸の朝食はパンであった。山地では山菜や野菜,沿岸部では魚介や海草といった季節の食材を使用した炊き込み飯や混ぜご飯,寿司も食べられていた。特に行事食では,秋祭りに鯖寿司が作られている地域が多かった。巻き寿司やいなり寿司は,運動会などの行事でよく作られ,具材の取り合わせに地域の特徴がみられた。もちについては,正月の雑煮として各地域で食べられていた。雑煮は,丸もちとみそ仕立ての地域が多かった。西播磨では,すまし仕立てで蛤が入り,淡路では,三が日はもちを食べず4日目に食べられていた。また,もちはあられやかきもちに加工され,ひなまつりやふだんのおやつとして食べられていた。
著者
露口 小百合 伊藤 知子 今義 潤 江口 智美 久保 加織 高村 仁知 中平 真由巳 原 知子 水野 千恵 明神 千穂 村上 恵 和田 珠子
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集 平成24年度日本調理科学会大会
巻号頁・発行日
pp.59, 2012 (Released:2012-09-24)

【目的】揚げる・炒める分科会ではこれまで揚げ種重量の10倍程度の油を用いた一般的な揚げ方法での様々な研究を行なってきた。しかし、最近では環境問題や健康への配慮から少量の油で揚げる「シャロウフライ」と呼ばれる方法が注目されている。そこで今回は揚げ種が浸る程度の少ない油量で揚げた場合の揚がり具合について検討した。 【方法】試料として豚カツ(業務用冷凍豚一口カツ)およびサツマイモ、揚げ油はキャノーラ油を用いた。油の量は「ディープ」(油の深さが揚げ種の厚さの2倍)、「シャロウ1」(同1倍)、「シャロウ1/2」(同1/2倍)とした。温度調節付きガスコンロと26cm径のフライパンを用い、豚カツは180℃、5分間、サツマイモは160℃、6分間揚げた。揚げ操作中に揚げ種の中心温度と油温の変化を測定し、揚げ操作後の重量変化より吸油率と脱水率を算出した。官能評価はパネル6~8名で、評点法(外観、油臭さ、におい、味、揚がり具合、テクスチャー、総合)と順位法で行った。 【結果】脱水率は、豚カツ、サツマイモともに「シャロウ1/2」で低かった。吸油率は、豚カツでは油量による差はみられなかった。中心温度は「シャロウ1/2」では温度上昇が遅かった。官能評価の評点法は、豚カツ、サツマイモともに外観、におい、揚がり具合、テクスチャーおよび総合において「シャロウ1/2」が有意に低い評価であった。順位法では、豚カツは、「ディープ」、「シャロウ1」、「シャロウ1/2」の順に好まれた。サツマイモの「シャロウ1/2」では仕上がりが不均一で水っぽく感じられ、脱水率の結果と一致していた。以上の結果から、油量の違いは揚がり具合に影響を及ぼすことが明らかになった。
著者
松原 知子
出版者
北陸大学
雑誌
北陸大学外国語学部紀要 (ISSN:09196978)
巻号頁・発行日
vol.2, pp.65-77, 1993

この数年,英語教材としての文学作品の価値が見直されている。筆者は以前は文学教材を避けていたが,文学作品利用についてのさまざまな文献を目にして,3年前から小説を利用した教材を試みに使用してきた。そして教材としての小説のおもしろさを味わうと同時に,困難点をも実感した。Hirvela (1989)は文学教材を避けようとする教師を批判したが,筆者には,批判の対象となった教師の立場も十分理解できる。教材の使いやすさ,適切さは,様々な側面から考えられる。まず,教師として扱い易い教材,扱いにくい教材がある。また,教師が個人として使いやすいと思っても,いざ授業で使うとなると扱いにくい教材というのもある。さらに,授業を受ける学生にとっての扱いやすさは,教師の考える適切さとは異なる場合があるようだ。本稿では,中級(大学1〜2年)を対象とした授業で,小説が教材として扱いにくいと感じる要因を,上記の3つの視点から具体的に列挙し,実践例や内外の研究者の考え方を参考にしながら,それぞれの問題点への対処方法を考えていく。
著者
井上 吉世 林 淑美 原 知子 和田 珠子 水野 千恵 中原 満子 伊藤 知子 村上 恵 的場 輝佳
出版者
日本食生活学会
雑誌
日本食生活学会誌 (ISSN:13469770)
巻号頁・発行日
vol.20, no.4, pp.313-319, 2010-03-30 (Released:2010-04-30)
参考文献数
17

This study clarifies the applicability of a sensory evaluation to easily determine the life span of frying oil on the fried food cooking in the kitchen. Two types of foods, i. e. , a chicken fillet and potato, were deep-fried coated with two types of flour, i. e. , potato starch and wheat flour. Frying was continued until the flavor score of the oil had dropped to 3. A sensory evaluation of the frying oil and each fried food was then carried out. The life span of the frying oil to reach the flavor score of 3 was slightly longer for the potato compared to the chicken fillet. It was suggested that the scores for the viscosity and rancid flavor of the frying oil corresponded to the flavor score result of the frying oil. The flavor and taste of the potato fried in the oil with a flavor score of 3 were not good. However, it was difficult to judge the degradation by the appearance of the fried chicken fillet coated with potato starch. The flavor score of the frying oil corresponded to the rancid flavor of the frying food in any case. The color of the frying oil and the taste of the fried materials varied case by case. These results suggest that the flavor score of the frying oil is a useful and easy method to determine the life span of frying oil in the domestic kitchen when a potato starch or wheat flour coating is used.
著者
水上 聡子 粟原 知子 桜井 康宏
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.18, no.38, pp.381-386, 2012-02-20 (Released:2012-02-20)
参考文献数
15

For the increase of the civil consciousness and the ability to act as a citizen, it is important to develop the people’s independence by an intrinsic motivation, where it is essential that each person satisfies three psychological desires of ability, autonomy, and relation. The workshop adopting the trial program developed those desires and resulted in the increase of motivation and the change of willingness and action. Verifying the methodology of the workshop has shown an effective way to enhance citizens’ intrinsicness.