1 0 0 0 古川市史

著者
古川市史編纂委員会 編
出版者
古川市
巻号頁・発行日
vol.下巻, 1972
著者
荒木 優希 古川 善博
出版者
立命館大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2019-04-01

RNAは、遺伝情報の蓄積と生体反応の触媒の両方を担う分子として、生命の起源に最も重要な生体高分子と考えられている。初期地球におけるRNA(前生物的RNA)の形成は、粘土鉱物や金属イオンを触媒として起こったと考えられているが、その形成過程や環境について統一的な見解が得られていない。本研究では、高分解能の原子間力顕微鏡(FM-AFM)を用いてRNA形成(ヌクレオチドの重合)過程における水の挙動を分子スケールで観察する。ヌクレオチド表面が金属イオンによって局所的に脱水すること、水の存在によって粘土表面にヌクレオチドが秩序的に吸着することを明らかにし、生命起源における水の重要なはたらきを明らかにする。
著者
細見 彰洋 三輪 由佳 古川 真 瓦谷 光男
出版者
THE JAPANESE SOCIETY FOR HORTICULTURAL SCIENCE
雑誌
Journal of the Japanese Society for Horticultural Science (ISSN:18823351)
巻号頁・発行日
vol.81, no.2, pp.159-165, 2012 (Released:2012-04-17)
参考文献数
19
被引用文献数
11 12

日本の主要イチジク品種‘桝井ドーフィン’については,病原菌(Ceratocystis fimbriata)によるイチジク株枯病(以下,株枯病)が深刻である.そこで本病抵抗性が期待される‘Celeste’,‘Boldido Negra’,‘Ischia Black’,‘Negronne’の 4 品種の耐病性を検証し,‘桝井ドーフィン’用の抵抗性台木としての能力を検討した.砂礫 350 mL を培地とする根箱の‘Celeste’苗は,培地への病原菌の接種直後から根の伸長が抑制され,根の呼吸速度は接種 2 ヶ月後には低下し,細根は伸長が停止して病斑を生じた.用土 3.5 L で鉢栽培した 4 品種は,病原菌の土壌かん注 5 ヶ月後の調査で地下部には病斑が確認された.しかし,全個体は生存し,大量の菌を接種しなければ根の呼吸速度は低下せず,‘Celeste’以外では葉重,新梢重および根重の有意な減少はなかった.4 品種を台木とする‘桝井ドーフィン’樹を用土 22 L のコンテナで栽培し,病原菌を接種すると,2 年目には一部の個体が枯死し,全般に接ぎ穂や根の生育が減退する傾向にあったが,‘Negronne’台木には,枯死や有意な生育の低下は認められなかった.4 品種を台木とする‘桝井ドーフィン’樹は株枯病汚染ほ場でも枯死が少なく,定植後 5 年間はその大半が枯死を免れた.この間,穂木‘桝井ドーフィン’の生育に,経年的な明らかな樹勢衰弱はなかった.以上から,4 品種については,株枯病の被害を受けながらも生存を維持する「ほ場抵抗性」が実証され,台木の耐病性は‘Negronne’が最も期待できた.
著者
平沢 光明 元吉 八重子 小野 静香 北川 達士 横田 俊介 亀井 宏一 横井 匡 古川 晋 山口 明日香 宮田 理英 清原 鋼二
出版者
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
雑誌
日本小児腎臓病学会雑誌 (ISSN:09152245)
巻号頁・発行日
vol.36, pp.9-15, 2023 (Released:2023-02-02)
参考文献数
15

小児ネフローゼ症候群の治療に用いられるステロイド薬には,複数の副作用があり,緑内障はその一つである.しかし,ステロイド緑内障は点眼薬による治療で改善することも多く,手術まで要する症例は少ない.我々は,初発のネフローゼ症候群に対してステロイド治療開始後早期に眼圧上昇を認め,両眼に線維柱帯切開術を施行するも,ネフローゼ症候群再発の際にもステロイド治療に伴い,眼圧上昇を認めた症例を経験した.本症例は,一般的なステロイドレスポンダーの要素に加え,隅角形成不全も伴っていた.そのことによりステロイド治療開始早期に急激な眼圧上昇を来し,緊急の緑内障手術が必要になったと思われる.ステロイド治療による緑内障の発症は,本症例のように急速かつ重度な経過をたどる可能性もあるため,ステロイド使用時には可及的速やかな眼圧の確認・管理が重要である.
著者
古川 貴大 松井 尚子 田中 恵子 和泉 唯信 梶 龍兒
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
pp.cn-000924, (Released:2017-01-28)
参考文献数
14
被引用文献数
4 3

症例は33歳女性.耳下腺炎後に情動失禁や運動性失語,両側の側方注視麻痺,痙縮がみられ,MRIで中脳大脳脚から内包後脚,中小脳脚,前頭葉皮質下の白質に異常信号を認めた.以前から眼や口腔の乾燥感があり,入院後にシェーグレン症候群(Sjögren’s syndrome; SjS)の合併が判明し,抗アクアポリン4抗体が陽性であった.ステロイドパルス後の単純血漿交換療法が著効した.ステロイド減量中に大脳に再発を来したが,免疫抑制剤導入後は再発なく経過した.本症例は耳下腺炎を契機に発症しており,唾液腺炎が視神経脊髄炎関連疾患の病態に関与している可能性が示された.
著者
上野 伸哉 古川 智範 二階堂 義和 下山 修司 柴 祐子 山田 順子
出版者
弘前大学大学院医学研究科・弘前医学会
雑誌
弘前医学 (ISSN:04391721)
巻号頁・発行日
vol.66, no.2-4, pp.105-109, 2016 (Released:2021-06-01)
参考文献数
3

γ-aminobutyric acid (GABA)は成熟脳における主要な抑制性神経伝達物質であり,対応する受容体としてGABAA およびGABAB 受容体が存在する.GABAA受容体はGABA が結合することによりCl⁻イオンに選択性をもつイオンチャネルで,神経細胞膜電位の過分極をきたし,最終的に活動電位発生抑制をもたらす.このGABA 作動性の抑制機構はダイナミックに制御されていることが近年明らかとなってきた.この制御メカニズムを,①細胞内Cl⁻濃度制御,②GABAA 受容体サブユニット発現による制御,③受容体分布にかかわる受容体輸送(トラフィッキング)機構に焦点をあてて紹介する.
著者
阪本 泰士 梅田 博志 関 雅樹 古川 浩平
出版者
Japan Society of Civil Engineers
雑誌
土木情報利用技術論文集 (ISSN:13491040)
巻号頁・発行日
vol.13, pp.65-74, 2004-10-26 (Released:2011-12-20)
参考文献数
7

鉄道斜面では自然斜面が含まれ、降雨による災害発生形態は複雑である。さらに、対象範囲が広く、通信手段等が未整備であったため、コスト高となり、ITによるシステム化はこれまで困難であった。本稿では、最近のITを活用した鉄道斜面防災モニタリングシステムの提案と実用化結果を報告する。提案システム導入の目的は、目視全般検査の補完、防災対策工事実施までの変状監視・検知並びに要注意箇所の災害検知を可能とすることである。システム構成は、安価で多様性のある簡易型検知センサおよび警報受信・通報機さらに動画像と監視データの伝送用のSS無線機からなる。本システムは、新幹線および山間在来線の一部の区間にて実際に設置した。今後の少子化時代における技術者不足の補完として期待される。
著者
青木 伊知郎 貴島 勝郎 古川 芳孝 名切 恭昭
出版者
公益社団法人 日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
vol.3, pp.157-165, 2006 (Released:2006-12-26)
参考文献数
9
被引用文献数
5 4

Since International Maritime Organization (IMO) has adopted "The Standards of Ship Maneuverability" as IMO Resolution MSC.137(76), the ship maneuverability is evaluated under this standard. Therefore, we have to know the accurate ship maneuvering characteristics at the design stage, especially the initial design stage. On the prediction method of ship maneuverability, there are many papers for estimating method of the maneuverability of a ship based on the model test, but there are few papers for predicting the maneuverability of a full-scale ship practically. The authors have already proposed the simple, accurate and practical prediction method for the ship maneuverability of model ship. So, we need to develop the practical prediction method for ship maneuverability of a full-scale ship in the deep water. In this paper, we propose the approximate formula of the interaction coefficient, γ and ωR0, obtained by comparing the predicted maneuvering motion with the measured results of the sea trial for twelve full-scale ships. We confirm the effectiveness of the practical prediction method using the approximate formula of the interaction coefficient for ship maneuverability of a full-scale ship. Though this approach must be validated in many kinds of ship as the next step, it will be expected that this method is very useful for predicting ship maneuvering characteristics at design stage on conventional ship.
著者
澤田 枝里香 淡路 達人 森下 圭介 古川 正紘 有賀 友恒 木村 秀俊 藤井 智子 武市 隆太 清水 紀芳 井田 信也 常磐 拓司 杉本 麻樹 稲見 昌彦
出版者
特定非営利活動法人 日本バーチャルリアリティ学会
雑誌
日本バーチャルリアリティ学会論文誌 (ISSN:1344011X)
巻号頁・発行日
vol.13, no.3, pp.375-383, 2008-09-30 (Released:2017-02-01)
参考文献数
21
被引用文献数
2

This system is an interface realized with the symbiosis of the input/output of wind and graphics. This system brings the new communication medium of "wind" into the bidirectional interaction between the virtual environment and the real environment by integrating the graphic presentation with the input and output of wind on a special screen. The user can interact with the virtual environment in the screen through his/her breath and wind emission. Conversely, actions from the virtual environment to the user are performed by wind changing dynamically. As a result, the user can share not only sights and sounds but also the cutaneous sensation by wind with the system, and interact with the virtual environment feeling a non-conventional deep relationship.
著者
土屋 尚之 川﨑 綾 岡 笑美 古川 宏
出版者
日本組織適合性学会
雑誌
日本組織適合性学会誌 (ISSN:21869995)
巻号頁・発行日
vol.22, no.2, pp.74-83, 2015 (Released:2015-08-11)
参考文献数
51
被引用文献数
4

1973年の強直性脊椎炎とHLA-B27の関連の発見以来,40年以上にわたり,HLA遺伝子群は,リウマチ・膠原病において最も確立した病因的因子であり続けている。これまで,多くの関連研究や分子機構を探る研究が積み重ねられ,その時代の先端的解析法を駆使して,多くの知見が明らかになるとともに,それ以上の新たな疑問が産み出されてきた。本稿では,代表的なリウマチ性疾患・膠原病および類縁疾患について,日本人集団を中心に関連研究の成果をまとめるとともに,リウマチ性疾患に関するHLA研究の最近の進歩について概説する。
著者
古川ロッパ著
出版者
晶文社
巻号頁・発行日
2007
著者
田中 昭吉 古川 哲也 石本 三洋
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.1045-1048, 1989-10-20 (Released:2011-10-19)
参考文献数
5

糖尿病は一般に膵内分泌機能の異常をきたす疾患である. インスリンやグルカゴンなどのホルモン分泌を調節し, 血糖を一定に保つ機構における中枢モノアミンの役割について薬理学的に検討し以下の結果を得た. ラツトの血糖は約65mg/dlで, インスリン値は45μU/mlであつた. ストレプトゾトシン処置により血糖値は1.6倍に上昇し, インスリン値は約30%低下した. カテコールアミンの投与は血糖値を上昇させた. セロトニンの投与は血糖値を低下させた. 脳内ノルアドレナリン含量を低下させる処置により血糖値は有意に低下した. また脳内セロトニン含量を増加させる処置により血糖値は低下し, 低下させる処置により上昇した. 以上, 血糖調節作用においてノルアドレナリン作動神経は血糖を上げる方向に働き, セロトニン作動神経は血糖を下げる方向に働く可能性を示唆した.
著者
高木 泰士 Md Rezuanul ISLAM Le Tuan ANH 高橋 篤平 杉生 高行 古川 郁貴
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B3(海洋開発) (ISSN:21854688)
巻号頁・発行日
vol.76, no.1, pp.12-21, 2020 (Released:2020-02-20)
参考文献数
20
被引用文献数
3 5

2019年9月9日に東京湾を直撃した台風15号の調査結果を速報する.神奈川では相模湾側で大きな高波被害は生じていなかったが,東京湾では直立護岸を乗り越える越波で被害が生じていた.千葉では九十九里浜ビーチ内の施設が被害を受けていた以外,目立った高波被害はなかった.一方,強風被害は激甚で,屋根の飛散や電柱の折損など各地で被害が生じていた.茨城でも高波被害は見かけなかったが,防波堤が堅固であることや,震災後の堤防改修が強靭化に寄与している.波浪追算の結果,ピーク波高は横浜で3.4m,東京や千葉で2.6mと推算された.湾内で急速に発達した高波が1m以下の高潮と相まって局地的な被害をもたらした.関東に上陸した過去の台風との比較では,今次台風はゆっくりと進んだ小型で強い台風と特徴づけられた.
著者
宮本 明子 佐古 かおり 古川 瑠美 村山 蘭
出版者
公益社団法人 空気調和・衛生工学会
雑誌
空気調和・衛生工学会大会 学術講演論文集 令和元年度大会(札幌)学術講演論文集 第10巻 都市・環境 編 (ISSN:18803806)
巻号頁・発行日
pp.125-128, 2019 (Released:2020-10-31)

Micro plastics pollution is becoming a global issue and many data of that have been measured in foreign countries. In Japan some data on the micro plastics pollution of rivers or sea water have been reported, however, there are few data on the PET bottle or tap water. In order to clarify the present situation of the pollution on the tap water in Japan, we measured the number of micro plastics containing in the tap water collected at multiple places in the metropolitan area.
著者
水本 孝 北村 清明 高橋 裕子 為我 井道子 重森 恒雄 高田 久之 西島 克己 古川 裕夫 雑賀 興慶
出版者
Japan Gastroenterological Endoscopy Society
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.283-289_1, 1983-02-20 (Released:2011-05-09)
参考文献数
22

症例は20歳の女学生で,大量の粘血便と腹部激痛を主訴として緊急入院した. 入院する半年前より峻下剤(sennosideA・B,12mg/錠)を服用しはじめた.発症の2日前に上記の下剤を一度に3錠も服用したが,軽度の腹痛を生じただけで排便しえず,発症の約6時間前に更に2錠用いた. 入院2日目に,緊急大腸内視鏡検査を行ったが,直腸から横行結腸の左半分の部位には全く異常がなく,右半分より盲腸に至る部分には広範囲に浮腫及び出血を伴う潰瘍または,びらん形成が見られた.あたかも潰瘍性大腸炎の激症型に酷似していた. 1943年,Heilbrunは下剤を長期間乱用している患者で,上行結腸を中心とした右側半分の大腸に好発する特殊な大腸炎を始めて報告し,cathartic colon(以下c.c.)と命名した. その後,多数の症例報告があるが,腸管の神経叢や筋組織までが変性崩壊し広範囲の不可逆的な病変を生じているのが通常であった. このような症例には最終的に,やむを得ず右側大腸半切除術等の外科的処置も行われるが,それでも充分の効果はなく,なお長期間にわたって腹痛や腹部不快感を訴える上に,低蛋白血症や血清電解質異常を来すものが多い. 著者らの症例は一過性で,便秘薬の服用を禁止し,食餌療法と抗生物質の投与で症状は速やかに軽快しはじめ,三週後の大腸内視鏡検査ではほとんど正常に戻っていた. 一方,cathartic colonはmelanosis coliとの関連性が問題になっているが,われわれの症例でもこれを認めた.われわれのような例もある故,慢性便秘症の患者が安易に下剤を乱用しないように戒しめたい.
著者
古川 泰司 宮澤 幸久
出版者
一般社団法人 日本内科学会
雑誌
日本内科学会雑誌 (ISSN:00215384)
巻号頁・発行日
vol.100, no.11, pp.3193-3200, 2011 (Released:2013-04-11)
参考文献数
3

国民皆保険制度を維持している我が国において,臨床検査もまた医療保険の枠組みの中で運用されている.総医療費が年々増加する中,検体検査費用は微減しており,医療の根幹をなす臨床検査の質の維持が危ぶまれている.このような経済的圧力の中,臨床的有用性と検査効率を改善する努力が続けられているが,精度管理,検査データの標準化など,効率的運用を行うための問題点は多い.
著者
古川 恭治
出版者
一般社団法人 日本統計学会
雑誌
日本統計学会誌 (ISSN:03895602)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.131-152, 2023-03-01 (Released:2023-03-01)
参考文献数
23

イベント発生ハザードを区分定数関数とすることで,ポアソン回帰によって生存時間分析を行うことができる.このアプローチは,Cox比例ハザード回帰などと比べて一般的ではないものの,ベースラインハザードの柔軟なパラメトリックモデリング,複数の時間依存共変量やランダム効果を含むモデルへの拡張を一般化線形/非線形モデルの枠組みで行うことができるという利点があり,大規模コホートの長期追跡データ解析ではポアソン回帰に頼らざるを得ない場合も少なくない.本稿はポアソン回帰による生存時間解析手法を定式化し,その特徴と性質について調べることを目的とする.特に,主要時間スケール因子の層別化の影響や時間依存共変量やランダム効果を含む場合の推定性能に焦点を当て,シミュレーションによってCox回帰など他手法との比較を行う.さらに,実データへの適用例を紹介し,ポアソン生存時間回帰が最も効果的とされる状況や今後の拡張について議論する.
著者
林 伸和 佐々木 優 黒川 一郎 谷岡 未樹 古川 福実 宮地 良樹 山本 有紀 川島 眞
出版者
日本臨床皮膚科医会
雑誌
日本臨床皮膚科医会雑誌 (ISSN:13497758)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.629-634, 2021 (Released:2021-10-06)
参考文献数
3

経口イソトレチノインは,皮脂の分泌と毛包漏斗部の角化異常を抑制することで痤瘡を改善することから,海外では集簇性痤瘡あるいは重症・最重症の尋常性痤瘡に対して推奨されているが,本邦では未承認である.そこで,本邦における集簇性痤瘡や重症・最重症の尋常性痤瘡の患者数や現状での治療状況,イソトレチノインに対する考え,使用実態などについて日本臨床皮膚医会(日臨皮)と日本美容皮膚科学会(美容皮膚)の会員を対象に調査を行った. 日臨皮会員4,539名中565名(12.4%),美容皮膚会員2,711名中の158名(5.8%)から回答を得た.その結果,「男性に好発し、顔面のみならず胸背部に、多数の面皰と嚢腫・結節の多発をみる難治性の痤瘡ないし膿皮症の一型」と定義した集簇性痤瘡を両学会会員の85.6%が経験し,うち48.6%が年間1~2例を経験していた.また,経験者の81.7%は「標準治療だけでは治療不可能」と回答し,81.5%は経口イソトレチノインが「必要」,あるいは「必要性がとても高い」と考えていた.従来の治療で十分な効果が得られない重症・最重症の尋常性痤瘡については,90.8%が何らかの形で経験しており,そのうちの75.0%が経口イソトレチノインが「必要」あるいは「必要性が高い」と回答していた.また,何らかの手段でイソトレチノインを現在処方している医師の割合は全体の5.1%(美容皮膚会員15.8%,日臨皮会員2.1%)であった. 本調査では,集簇性痤瘡および従来の治療で十分な効果が得られない重症・最重症の尋常性痤瘡は,稀ではあるが皮膚科医が経験する症状であり,それに対して海外のガイドラインで推奨されている経口イソトレチノインへの期待が高いことが示唆された.経口イソトレチノインの必要性は高く,一部の皮膚科医がすでに処方している実態がある.しかし,催奇形性等の重大な副作用を伴うことから,十分な管理の下で経口イソトレチノインは使用されるべきである.現状の使用状況をより好ましい形にするために,安全性と有効性を確認する臨床試験を経たうえで,早期に薬事承認を目指す必要があると考えた.