著者
平田 鷹志 山﨑 亘 カヤオ クリスチャンデウス 吉川 雅博 高松 淳 小笠原 司
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
一般社団法人日本家政学会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.67, 2015

<b>目的 </b>近年,家事や日常生活動作など,家政に関わる物事を代理・補助する支援ロボットの研究開発が盛んに行われている.本研究では,市販のロボット掃除機にRGB-Depth センサおよびロボットアームを搭載し,室内の掃除機掛けを行いながらゴミの認識を行い,発見したゴミの回収も行えるシステムの開発を行う.<br><b>方法 </b>ロボットにゴミ拾い機能を実装するには,1. ペットボトルや缶などがRGB-D センサ範囲内に存在するとき,コンピュータがそれらをゴミであると認識し,2. 拾い上げるためにロボットがゴミに接近し,3. 適切につかみ拾い上げる必要がある.1. ゴミの認識は,機械学習および物体認識手法を用いて,コンピュータがゴミをゴミであると認識できるよう事前に学習させ,センサ情報からゴミを検出することにより行う.2. ゴミへの接近は,センサからロボットやゴミ周辺の情報を取得し,環境に応じてロボットがどのように接近するか経路計画を行うことで実現する.3. ゴミの取集は,ゴミの形状に応じてゴミをつかむ位置などを適切に計画することで実現する.<br><b>結果 </b>ロボット掃除機とRGB-D センサおよびロボットアームのインテグレーションによって,室内の掃除機掛けを行いながらペットボトルや缶などのゴミを認識し,経路計画および把持計画を行うことによって自律的にゴミを回収するシステムの開発を行った.
著者
金銅 誠之 江口 徹 伊藤 由佳理 伊山 修 馬 昭平 菅野 浩明 長尾 健太郎 向井 茂 島田 伊知朗 小木曽 啓示 吉川 謙一 宮本 雅彦
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2010-04-01

いくつかの方程式の共通零点の集まりとして定まる図形(代数多様体)の構造や対称性および図形のある種の分類(モジュライ空間)を行うことが代数幾何の大きな問題である。楕円曲線の2次元版としてK3曲面と呼ばれる代数多様体が19世紀に発見され、現在、数学および数理物理でも興味を持たれている。本研究において、K3曲面のモジュライ空間の構造の解明や、K3曲面の対称性を表す自己同型群の記述などの成果を得た。またK3曲面の対称性とマシュー群と呼ばれる有限単純群との間の不思議な関係を示唆するマシュームーンシャイン現象と呼ばれるものが関心を集めているが、この方面での研究においても成果をあげた。
著者
岩崎 正幸 阿部 民也 吉田 欣哉 吉川 恵郷
出版者
日本獸医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.36, no.5, pp.267-270, 1983

約600羽のカナリヤを飼育する繁殖場で, 群飼されていた約400羽のうち約30%に, さえずり障害, その他慢性の呼吸器障害を示す疾病が発生した. 病理学的検査をした9羽のうち6羽の肺の血液加寒天ローソク培養では細菌の発育はなく, 血清ニューカッスル抗体価は10倍以下, マイ灘プラズマ (MgおよびMs) 抗体は陰性であった.<BR>共通した組織病変は上部気道, 気管, 肺気管支粘膜に上皮の腫大増生, 分泌活性, 粘膜の皺襲形成, 固有層の線維性増生, 円形細胞浸潤および気管支腔内への肉芽組織の侵入突出など, 慢性炎症が認められた. 粘膜病変は気道内に寄生するダニの認められる部位でより強調された.<BR>病巣から採取したダニは中気門類, ハナダニ科, <I>Sternostoma tracheacolum</I>と同定され, わが国での分布が初めて確認され, 和名をコトリハナダニと新称された.
著者
吉川 雅之 P0NGPIRIYADACHA Yutana 來住 明宣 蔭浦 禎士 王 涛 森川 敏生 松田 久司
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.123, no.10, pp.871-880, 2003-10-01
参考文献数
27
被引用文献数
15 63

デチンムル科(Hippocerateaceae)Salacia属植物は,インド,スリランカを始め,タイやインドネシアなどの東南アジア,ブラジルなどの熱帯地域に広く分布し,約120種が知られている.スリランカ,インド,タイなどに多く自生するSalacia(S.)reticulata,S.oblonga及びS.chinensis(syn.S.prinoides)は,つる性の多年性木本で,その根部や幹は,インドやスリランカの伝統医学であるアーユルヴェーダを始め,中国やタイの伝承医学などにおいて天然薬物として利用されてきた.スリランカでは,S.reticulataの根皮は,リウマチ,淋病及び皮膚病の治療に用いられるほか,特に糖尿病の初期の治療に有効であると伝承されている.インドでは,S.reticulataやS.oblongaの根部が,リウマチ,淋病,皮膚病及び糖尿病の治療に用いられている.S.chinensisは,S.prinoidesと同一植物であると言われており,インドや中国及びタイ,インドネシアなどの東南アジアに広く分布している.インドにおいては,S.prinoidesは糖尿病の治療のほかに,堕胎,通経,性病の治療に用いられている.一方,中国伝統医学では,S.prinoidesはサラツボクと称され,リウマチ性関節炎,腰筋の疲労,体力の虚脱や無力感の改善に用いられている.タイにおいてはS.chinensisの幹の煎じ液が緩下や筋肉痛の緩和によいとされているが,糖尿病や肥満の治療に用いられることはない.我々は,代表的な生活習慣病の1つで,現在日本人の約1割が発病又はその予備軍と言われている糖尿病あるいはその主たる因子の1つとされている肥満の予防に役立つ機能性素材を世界各地の薬用食物に求めて解明研究を進めている.その探索研究の一環として,スリランカ産S.reticulata及びインド産S.oblongaの幹及び根部エキスにショ糖負荷ラットにおける強い血糖値上昇抑制活性を見出し,その作用メカニズムが糖質加水分解酵素阻害作用であることを明らかにした.また,活性成分として,新奇なチオ糖スルホニウム硫酸分子内塩構造を有するsalacinol(1)及びkotalanol(2)を単離するとともに,1や2が,市販のα-glucosidase阻害薬と同等の強いα-glucosidase阻害や糖の吸収抑制作用を示すことを見出した.また,糖尿病性合併症である白内障や神経障害に関与するポリオール代謝系の律速酵素であるaldose還元酵素に対する阻害作用成分を探索したところ,Salacia属植物から活性成分としてmangiferin(3)及び数種のトリテルペン類を見出した.さらに,肥満及び肝障害など種々の生活習慣病に関連した活性評価を行い,3やポリフェノール成分などに活性を見出している.これまでに,タイ産S.chinensisの成分として,茎からdulcitol,proanhocyanidin及びleucopelargoninの2量体が単離され,葉からはproanthocyanidinが単離されている.また,インド産S.prinoidesから多数のトリテルペン成分が報告されている.最近,Salacia属植物の幹部や根部がダイエット素材としていわゆる健康食品に利用されるようになっている.しかし,これらのSalacia属植物は,現在のところいずれも栽培化に成功しておらず,もっぱら野生品が供給されているのが現状で,基源植物の同定を始め採取地や採取時期などが明確でないことも多い.また,抗糖尿病関連の活性が伝承されていないタイ産S.chinensisが,ダイエット素材として利用されている.今回,タイ産S.chinensisの80%含水メタノール抽出エキスについて,スリランカ産S.reticulataとインド産S.oblongaとの比較のもとに,抗糖尿病作用や炎症に関連した活性評価試験として,i)糖負荷ラットにおける血糖値上昇抑制作用(in vivo,ii)ラット小腸刷子縁膜由来及びパン酵母由来α-glucosidase阻害活性,iii)ラットレンズ由来aldose還元酵素阻害活性(in vivo),iv)アマドリ化合物及び終末糖化産物[advanced glycation end-products(AGEs)]生成抑制活性,v)DPPH及びO^-_2ラジカル消去活性,vi)マウス腹腔マクロファージからのリポ多糖(LPS)誘発一酸化窒素(NO)産生抑制活性について検討した.また,S.chinensisの80%含水メタノール抽出エキスからsalacinol(1)を単離,同定するとともに,タイ各地で入手したS.chinensisについてラット小腸由来α-glucosidase阻害活性を比較した結果について報告する.
著者
薄井 耕一 今福 繁久 小野 金一 吉川 貞雄
出版者
公益社団法人 日本化学会
雑誌
日本化学会誌(化学と工業化学) (ISSN:03694577)
巻号頁・発行日
vol.1983, no.1, pp.34-41, 1983-01-10 (Released:2011-05-30)
参考文献数
9
被引用文献数
2

感圧複写紙用発色剤として広く用いられているクリスタルバィオレットラクトン(CVL)の溶液中における酸または水による発色および減色ないし消色の挙動をUV,VIS,IR吸収スペクトルおよび1HNMR,13C-NMRの測定により検討した。併わせて類似の構造をもつクリスタルパイオレット(CV),マラカイトグリーン(MG),マラカイトグリーンラクトン(MGL)についても比較検討した。その結果,CVLの発色はラクトンの開環に基づくこと,ラクトンの開いたカルボキシル形ともとのラクトン形との問には酸濃度(強度)によって支配される一種の平衡関係が成立し,ある酸強度のところで,カルボキシル形対ラクトン形の比率が最大値を示し,ここで発色濃度は最大になる。さらに酸濃度が大きくなるとラクトン環が開いたまま減色することが認められた。一方,水によるCVL発色体(カルボキシル形)の減色ないし消色は環が閉じラクトン形にもどるためであることが明らかになった。
著者
吉川 武憲 森井 隆三
出版者
香川生物学会
雑誌
香川生物 (ISSN:02876531)
巻号頁・発行日
no.26, pp.43-46, 1999-06
著者
竹内 孝治 加藤 伸一 芝田 信人 高田 寛治 田中 晶子 吉川 由佳子
出版者
京都薬科大学
雑誌
地域連携推進研究費
巻号頁・発行日
1999

ポリフェノールの一つとして、ウイスキー中に多量に含有されているエラグ酸(EA)が前年度までの検討により胃粘膜保護作用および抗酸化作用を有することが示してきたが、さらに今年度は、新たに開発された大腸デリバリー化のための圧感応性カプセルに封入したEAを用い、デキストラン硫酸(DSS)によって誘発される潰瘍性大腸炎の発症に対するEAの効果を検討した。1.圧感応性大腸デリバリーカプセルPressure-controlled colon delivery capsule(PCDC)の使用により、投与されたEAは盲腸部に到達した後に徐々にカプセルから遊離溶出することが判明した。2.ラットにDSSを7日間連続投与することにより、体重減少、大腸の短縮化ならびに下血および下痢を伴う重篤な大腸炎が発生した。DSSによる大腸炎の発生は、PCDCに封入したEA(mcEA : 1-10mg/kg)を1日2回、7日間連続経口投与することによって、用量依存的かつ有意に(>3mg/kg)抑制された。また、mcEAの投与はDSS処置下に認められる大腸の短縮化、脂質過酸化を正常レベルにまで低下させると共に、好中球の浸潤に対しても抑制傾向を示した。なお、DSS誘起大腸炎に対するmcEA(3mg/kg)の保護作用はスーパーオキサイドジスムターゼ(SOD : 30000units/kg×2)の直腸内投与で得られた効果と同程度であり、また同用量のEA原末と比べて有意に強いものであった。3.これらの結果は、EAがポリフェノールとして抗酸化作用により、臨床における潰瘍性大腸炎の治療に有効性を発揮する可能性が示唆された。
著者
坊農 真弓 吉川 雄一郎 石黒 浩 平田 オリザ
出版者
一般社団法人 電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会 基礎・境界ソサイエティ Fundamentals Review
巻号頁・発行日
vol.7, no.4, pp.326-335, 2014

人間の「社会性」とは何か.この問いに対し,ロボット・アンドロイド演劇プロジェクトは一つの答えを示してくれる可能性がある.本解説記事では,まず本プロジェクトの経緯と背景を説明する(2.).次に,ロボット・アンドロイド演劇をエスノグラフィ及び会話分析することの意味を,演出場面に実際の起こったやりとりの事例分析に基づいて明らかにする(3.).続いて,ロボット・アンドロイド演劇のロボット工学・認知科学における意味を,制作の実態と世界公演に対する評価などから議論する(4.).最後に,ロボット・アンドロイド演劇の演劇としての意味を,社会におけるこの試みの位置付けを明らかにすることから考察する(5.).
著者
中島 崇行 大塚 健治 富澤 早苗 増渕 珠子 八巻 ゆみこ 上條 恭子 吉川 聡一 髙田 朋美 小鍛治 好恵 渡邊 趣衣 大澤 佳浩 橋本 常生
出版者
公益社団法人 日本食品衛生学会
雑誌
食品衛生学雑誌 (ISSN:00156426)
巻号頁・発行日
vol.61, no.4, pp.154-160, 2020-08-25 (Released:2020-10-02)
参考文献数
23
被引用文献数
2

食品中の残留農薬分析において,ある農薬の定量値が正しいかどうかを確認するため,異なる機器を使用して定量値の確認を行うことがしばしばあるが,それぞれの機器の値が完全に一致することは珍しい.本研究では,食品毎にどの程度違いがあるかを比較するため,当研究室の日常検査法を用い,121成分,6種類(グレープフルーツ,ばれいしょ,パプリカ,キャベツ,ほうれんそう,玄米)の食品について,GC-MS/MSおよびLC-MS/MSそれぞれの機器で妥当性評価を実施し,その結果を主に真度に着目して比較した.その結果,GC-MS/MSでは,上述の食品において97,111,110,118,111,63成分が基準に適合した.一方LC-MS/MSでは,50,114,103,112,100,103成分が基準に適合した.これら両機器の結果の差は,主にマトリクス効果によるものだと考えられ,マトリクス効果の補正によりそれぞれの真度は近似した.しかし真度の一致度については食品試料による差が大きく,特に玄米ではマトリクス効果を補正しても両機器の真度の差は20%以上であった.
著者
吉川 友也 岩田 具治 澤田 宏
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会論文誌 (ISSN:13460714)
巻号頁・発行日
vol.30, no.2, pp.485-490, 2015-03-01 (Released:2015-03-05)
参考文献数
13

Group recommendation is a task to recommend items to groups such as households and communities. In this paper, we propose a non-linear matrix factorization method for group recommendation. The proposed method assumes that each member in groups has its own latent vector, and behavior of each group is determined by the probability distribution of the members' latent vectors. Recommending items is performed by using non-linear functions that map the distributions of the groups into scores for items. The non-linear functions are generated from Gaussian processes, which are defined by the similarities between distributions of the groups. We can efficiently calculate the similarities by embedding each distribution as an element in a reproducing kernel Hilbert space. We demonstrate the effectiveness of the method using two synthetic datasets and two real datasets in two prediction tasks.
著者
吉川 和男
出版者
日本生物学的精神医学会
雑誌
日本生物学的精神医学会誌 (ISSN:21866619)
巻号頁・発行日
vol.21, no.2, pp.137-142, 2010 (Released:2017-02-16)
参考文献数
15

今から 1 世紀前に規定されたわが国の刑法 39 条には,「心神喪失者の行為は罰しない,心神耗弱者の行為はその刑を減刑する」との規定があり,精神障害者による犯罪行為については,刑罰を負わせず,刑を免除して,医療につなげる人道的配慮がなされている。また,1931 年に,大審院で下された判決が,わが国の責任能力判定の根拠として今日でも用いられている。一方,最近の脳機能画像検査や神経心理学的検査の進歩により,人の前頭葉の機能に関して比較的容易に豊富な情報が得られるようになった。これらの検査手法は未だ発展途上にあるとは言え,責任能力判定に求められる,被疑者や被告人の精神状態,弁識能力,制御能力に関しても,無視することのできない有力な情報を提供してくれる。このような発展をみる現代の精神医学にあって,責任能力判定だけが旧態然としたやり方に留まっていなければならない理由はないと思われる。本稿では 2 つの事例を用いて考察する。
著者
岩宮 眞一郎 関 学 吉川 景子 高田 正幸
出版者
Japan Ergonomics Society
雑誌
人間工学 (ISSN:05494974)
巻号頁・発行日
vol.39, no.6, pp.292-299, 2003-12-15 (Released:2010-03-12)
参考文献数
12
被引用文献数
2 2

テレビ番組や映画などで, ある映像シーンから別の映像シーンへ場面を転換するとき, 様々な切り替えパターンが用いられる. 本研究では, 効果音が各種の切り替えパターンの印象に与える影響を, 印象評定実験によって明らかにした. 一般に,「明るい」印象の連続的なスケール状の効果音が, 各種の切り替えパターンと調和する. とりわけ, 上昇系列の音列と拡大系の切り替えパターン, 下降系列の音列と縮小系の切り替えパターンの調和度が高い. 本研究で認められた音と映像の調和感は, 音と映像の変化パターンの一致に基づく構造的調和によるものと考えられる. さらに, 音と映像の調和度が高い視聴覚刺激は映像作品としての評価も高い. これは, 音と映像が一体となって互いの効果を高め合う協合現象によるものと考えられる. 音と映像の構造的な変化パターンの一致が調和感をもたらし, 視聴覚情報が一体のものとして理解されることで, 評価が高まるのであろう.
著者
吉川 雅則
出版者
一般社団法人 日本呼吸ケア・リハビリテーション学会
雑誌
日本呼吸ケア・リハビリテーション学会誌 (ISSN:18817319)
巻号頁・発行日
vol.22, no.3, pp.258-263, 2012-12-28 (Released:2016-04-25)
参考文献数
24

慢性閉塞性肺疾患(chronic obstructive pulmonary disease: COPD)において,栄養障害は高率に合併する併存症であり,COPDの病態や予後と密接に関連している.体重減少を除脂肪量,脂肪量,骨塩量などの体成分の変化として捉えることによって栄養障害と病態との関連がより明確となる.栄養障害の原因として代謝亢進や全身性炎症,内分泌ホルモンの分泌動態の変化などが複合的に関与しており,これらのメカニズムを踏まえた栄養管理が必要となる.栄養療法と運動療法の併用とともに基盤病態である全身性炎症のコントロールが重要である.栄養管理の有効性に関するエビデンスは確立されつつあるが,その手法に関しては新規治療の開発も含めてさらなる検討を要する.蛋白同化作用,抗炎症作用,摂食促進作用を有するグレリンの反復投与と運動療法の併用は新たな治療法として期待できる.
著者
明石 博臣 吉川 泰弘 本藤 良 森川 茂 遠矢 幸伸 久和 茂
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2004

研究実績計画に基づき以下の研究を実施した。1)エボラウイルスおよびBウイルス研究エボラウイルスについては、核蛋白を安定的に発現するHeLa細胞を用いた蛍光抗体法とバキュロウイルス発現抗原を用いたELISAによる抗体検出法を確立した。この結果、霊長目の抗体調査が可能であった。Bウイルスについては、組換え抗原を用いてヒトヘルペスウイルスとの鑑別法が確立され、霊長目におけるBウイルス特異的抗体検出を行うことが可能となった。2)翼手目の免疫系解析抗コウモリIgG血清を用いたELISAの手法を開発した。この抗コウモリIgG血清は大翼手亜目、小翼手亜目ともに95%以上の高い交差性を示した。また、オオコウモリのCD4、IgFcRnについて蛋白コード領域を決定した。さらに、IFN-αの1subtypeとIFN-βのprotein cording regionの塩基配列を同定した。3)翼手目のウイルス病抗体検索法2)で確立したELISAを用いて、わが国でコウモリから分離されたヨコセウイルスの抗体調査を行ったところ、東南アジアのコウモリ血清151例中フィリッピンの1例(2.7%)、マレーシアの5例(19%)が陽性であった。陽性率が低かったため、ヨコセウイルスのコウモリに対する病原性を検討する目的で、ルーセットオオコウモリに実験感染を行った。ウイルス感染は成立したが、コウモリ体内での増殖性は悪く、ヨコセウイルスの自然宿主としてコウモリ以外の生物の存在が示唆された。