著者
筆谷 拓 伊藤 良剛 吉川 秋利 大竹 正一郎
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会雑誌 (ISSN:04682513)
巻号頁・発行日
vol.58, no.2, pp.68-72, 2009-07-30 (Released:2009-09-18)
参考文献数
7

〔目的〕2005年にメタボリックシンドロームの診断基準が公表され,その一つに内臓脂肪蓄積がある。その評価の手段としてウエスト周囲径の測定が用いられているが,CTでは腹腔内脂肪の面積が測定できる。被曝低減のためのCTでの撮影条件を検討した。〔方法〕臍レベルの腹部模擬ファントムを作成した。管電流を10から250mAまで,10mA間隔で設定し,ファントムを撮影した。各撮影の模擬脂肪の面積を測定した。各撮影の模擬脂肪のCT値の平均値と標準偏差値を測定した。〔結果〕脂肪面積は100mA以上で一定であった。CT値の平均値は100mA以上で一定であった。〔結論〕腹部内臓脂肪面積測定は,100mAの管電流で可能である。通常の臨床診断時の250mAと比較すると,60%の被曝低減が可能である。
著者
今井 直 堤 康央 長野 一也 杉田 敏樹 吉田 康伸 向 洋平 吉川 友章 鎌田 春彦 角田 慎一 中川 晋作
出版者
日本プロテオーム学会(日本ヒトプロテオーム機構)
雑誌
日本プロテオーム学会大会要旨集
巻号頁・発行日
vol.2007, pp.151, 2007

現状のプロテオーム解析では、疾患組織あるいは対照となる健常組織由来の蛋白質サンプルを二次元ディファレンシャル電気泳動(2D-DIGE)法で分離した後に、質量分析計を用いて個々の発現変動蛋白質を同定することにとどまっている。そのため、同定された膨大な数の変動蛋白質の中から、発現や変動を詳細に機能解析することで、病態の発症や悪化に中心的な役割を果たしている創薬ターゲット・蛋白質を効率よく絞り込むこが次のステップとして期待されている。その点において、ELISAなどの抗原-抗体反応を利用した解析手法は、特定蛋白質を特異的かつ高感度に検出できることから、プロテオミクス研究においても蛋白質の機能解析を進める上で極めて有用である。しかし、従来のように数十g以上の蛋白質を動物個体に免疫する必要があるハイブリドーマ法では、上述の2D-DIGEによって得られる極微量(数十ng程度)かつ多種類の蛋白質サンプルに対する抗体作製に対応することは不可能である上、この方法ではプロテオミクスの最大の利点である網羅性を著しく損なってしまう。そこで我々は、これらの課題を克服するために、ファージ抗体ライブラリと2D-DIGE法を組み合わせた新しいモノクローナル抗体(Mab)作製技術の確立を試みた。一般に、ファージ抗体ライブラリからのMabのセレクションは、プラスチックプレートなどに固定化した数g~数百g程度の標的抗原に対してファージ抗体ライブラリを反応させ、抗原に結合するファージのみを選択・増幅する、という方法(パンニング法)を用いる。既に我々は、ニトロセルロースメンブランを固相化担体として利用することで蛋白量がわずか0.5 ng程度であっても効率よくMabを選別できるパンニング法の開発に成功している。今回は、ヒト乳癌・乳腺細胞株の2D-DIGE解析により得られた発現変動スポットから蛋白質を抽出し、この蛋白質をダイレクトに抗原として用い、メンブランパンニングを行った。その結果、メンブランパンニング法を適用することで、今回得られた全てのスポットに対してMAbを単離することが出来た。以上、2D-DIGEによる変動蛋白質の同定と抗体作製を一挙に達成できる本手法は、プロテオミクスによる創薬ターゲットや疾患の早期診断・治療マーカーの同定に大きく貢献するものと期待される。
著者
吉川 恒夫
出版者
The Robotics Society of Japan
雑誌
日本ロボット学会誌 (ISSN:02891824)
巻号頁・発行日
vol.2, no.6, pp.587-592, 1984-12-30 (Released:2010-08-25)
参考文献数
23
被引用文献数
2 4
著者
吉川 誠次 山下 市二
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.35, no.5, pp.382-387, 1977-05-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
15

スパイスは矯臭, 調味, 薬効などによって, 食欲を増進し調理には欠くことができない重要性を持っている。硫黄化合物がスパイスの特異な作用の中心になっていることがわかったのは, それ程古いことではない。しかしその反応性が著しいことが機作の研究進歩を防げている。
著者
吉川 孝
出版者
日本哲学会
雑誌
哲学 (ISSN:03873358)
巻号頁・発行日
vol.2004, no.55, pp.268-279,34, 2004-04-01 (Released:2009-07-23)

In die Sphäre der Phänomenologie gehört nur Sinn and Wesen.Husserl hat zwar ein solches Selbstverständnis, aber seine “Phänomenologie der Wahrnehmung” uberschreitet in der Tat den Bereich der “Wahrnehmungs-Noema”. In einem Text von 1907, der sinnliche Qualitaten wie Farbe and Ton behandelt, entwirft er die Phanomenologie der empirischen Vermittlung, die sich nicht als die reine Phänomenologie, die Wissenschaft von Sinn and Wesen versteht.Die Phänomenologie der empirischen Vermittlung wird in “Ding und Raum. Vorlesungen 1907” und “Ideen II” entwickelt.Husserl klassifiziert die sinnlichen Qualitaten in materia prima und materia secunda. In die erstere Kategorie fallen visuelle oder taktile Eigenschaften, durch die die Gestalt von Dingen unmittelbar bestimmt wird. Die Farbe ist also nach Husserl die materia prima. Die materia secunda (Ton, Geruch, Gewicht and Widerstand) bedeckt dagegen nicht die dingliche Gestalt, aber sie ist keineswegs eine subjektive Empfindung, sondern erfullt den leeren Raum, der nicht als ein Korper bezeichnet werden kann. Dieselbe Qualitaten, die diesen Raum selbst qualifizieren, kann man “Welt-Materie” nennen. Auf Grund dieser Analysen, betrachtet Husserl in seinem spateren Manuskript die Welt-Materie (das Gestaltiose, das nicht als ein Ding erfahrbar ist) als das apeiron.
著者
中村 高康 吉川 徹 三輪 哲 渡邊 勉 数土 直紀 小林 大祐 白波瀬 佐和子 有田 伸 平沢 和司 荒牧 草平 中澤 渉 吉田 崇 古田 和久 藤原 翔 多喜 弘文 日下田 岳史 須藤 康介 小川 和孝 野田 鈴子 元濱 奈穂子 胡中 孟徳
出版者
東京大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本研究では、社会階層の調査研究の視点と学校調査の研究の視点を融合し、従来の社会階層調査では検討できなかった教育・学校変数をふんだんに取り込んだ「教育・社会階層・社会移動全国調査(ESSM2013)を実施した。60.3%という高い回収率が得られたことにより良質の教育・社会階層データを得ることができた。これにより、これまで学校調査で部分的にしか確認されなかった教育体験の社会階層に対する効果や、社会階層が教育体験に及ぼす影響について、全国レベルのデータで検証を行なうことができた。
著者
吉川 広之 村西 昌三
出版者
日本DDS学会
雑誌
Drug Delivery System (ISSN:09135006)
巻号頁・発行日
vol.6, no.3, pp.159-164, 1991-05-10 (Released:2009-02-23)
参考文献数
26

Blood is known to be the main transport route of most drugs because of the much greater flow rate of the blood stream than that of the lymphatics. The lymphatic transport of drugs, however, is noteworthy, because the lymphatic route is important for many chemicals ; namely as an essential route for nutrient lipids and a route to avoid the first pass effect of the liver for drugs which are absorbed from the gastrointestinal tract and the necessity to deliver anticancer agents into the lymphatic system of patients suffering from the cancer. It follows that in tumor metastasis, the lymphatic pathway is a major route and a lymphotropic transport of antitumor drugs is to be of great significance for cancer chemotherapy. In this paper, fundamentals of lymphatic transport of chemicals, development of lymphotropic drug delivery systems and their application to therapy are described.
著者
吉山 怜花 吉川 はる奈
出版者
一般社団法人 日本家政学会
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.71, no.3, pp.155-162, 2020 (Released:2020-03-25)
参考文献数
16

日本には60年以上前に開発され, 妊娠に際してすべての妊産婦に発行されている母子健康手帳がある. すべての妊産婦が持っている子育て情報が掲載された優れたツールであるが, 教育の場ではあまり注目されていない. 本研究では母子健康手帳の子育て情報源としての機能や扱われ方を調査, 整理することで, 教育的に活用する可能性を検討した. 手帳の内容は「記録」と「ガイドブック」の2つの機能に分類できた. 定期健診や予防接種などを記す「記録」としての機能は, よく知られ, 活用されている機能であったが, 子育て情報が載っているという「ガイドブック」として機能は, ほとんど活用されておらず, 紹介も十分されていなかった. 「記録」としての機能は, 生活する子どもの姿を想像できることに価値があり, 授業時に生徒が将来の自分を想像するきっかけにもなり得る資料の一つではないかと考えられた. ただし「記録」部分には個人情報が記載されているので, 扱う際は十分な配慮が必要であった. 一方で, 「ガイドブック」としての機能は, 新しい保育分野の情報や保育学習における具体的資料教材としての価値があるのではないかと考えられた. 母子健康手帳の存在を伝えるだけでなく, 「ガイドブック」としての知識の豊富さを活かして, 活用していくことも可能だと考えられた.
著者
吉川 貴士 松田 光平 野島 伸司
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
年次大会
巻号頁・発行日
vol.2016, 2016

<p>Some of handmade Japanese paper in a unique process to a state the wet paper before the drying process , high value-added Danshi is manufactured. Currently, Danshi in Ehime Prefecture, has accounted for more than half of the Danshi production volume of the whole country. However, on the verge of successor shortage also coupled survive. Therefore, we focused on the brush of judgment in Danshi production that is currently handed down in Shuso district of Ehime Prefecture, the operation of skilled person is going to unconsciously ie tacit knowledge, the difference of the physical behavior of the non-expert and, do the interviews about them, this time, focusing on the movement of the wrist of a brush of judgment to make a "clean grain" of the skilled person, an attempt was made to clarify the knack. As a result, the angle of the wrist that eventually converge to 155 [deg], the wrist is the load that the wet paper in which the amplitude at 10 [Hz] and disconnect the power to the vibration of the 20 [deg] since revealed, such as it is doing a brush of judgment is not applied, to report.</p>
著者
池永 満生 吉川 勲 古城 台 加藤 由美子 綾木 歳一 梁 治子 石崎 寛治 加藤 友久 山本 華子 原 隆二郎 Ikenaga Mitsuo Yoshikawa Isao Kojo Moto Kato Yumiko Ayaki Toshikazu Ryo Haruko Ishizaki Kanji Kato Tomohisa Yamamoto Hanako Hara Ryujiro
出版者
宇宙開発事業団
雑誌
宇宙開発事業団技術報告 = NASDA Technical Memorandum (ISSN:13457888)
巻号頁・発行日
pp.306-338, 1994-10-20

HZE(高エネルギー重荷電粒子)および宇宙放射線の遺伝的影響を調べるため、ショウジョウバエ(Drosophila melanogaster)の成虫雄と幼虫をスペースシャトル/エンデバー号(STS-47)に搭載し、雄の生殖細胞(精子やその元となる精原細胞など)に起こる伴性劣性致死突然変異と、幼虫の翅原基体細胞に起こる染色体のつなぎかえによる突然変異を調べた。用いた系統は、標準的な野生株(Canton-S)と放射線高感受性株(mei-41)である。各系統で、成虫雄は200匹ずつ、幼虫は約6000匹ずつを搭載し宇宙環境に曝すとともに、ほぼ同数を地上対照群として、宇宙飛行群と同じ環境条件(温度と湿度)で飼育した。宇宙飛行は約8日間であった。帰還した雄のハエは、伴性劣性致死突然変異を調べるため、検出用系統の処女雌に交配し、次々世代で致死遺伝子を保有しているX染色体を検出した。宇宙飛行群の致死遺伝子をもった染色体頻度は、地上対照群の頻度に比べて、野生株では2倍、放射線高感受性株では3倍高かった。幼虫は、帰還時にほとんどが蛹になっており、翌日より徐々に羽化が始まった。羽化した成虫は、順次70%アルコールで貯蔵し、後に翅標本を作成して、染色体突然変異由来の翅毛変異スポットを調べた。野生株では、宇宙飛行群と地上対照群の頻度は、ほぼ同じであった。放射線高感受性株から分離してくるMuller-5個体における頻度は、地上対照群に比べて宇宙飛行群では、1.5倍高かった。しかし、放射線高感受性個体における宇宙飛行群の頻度は、地上対照群に比べて有意に低い頻度を示した。地上対照群に比べて、宇宙飛行群の劣性致死突然変異の高頻度は、生殖細胞において、放射線と微小重力の突然変異誘発作用への相乗効果を示唆している。しかし、この相乗効果は、体細胞の染色体突然変異誘発作用に対しては観察されなかった。
著者
宮本 教雄 武藤 紀久 吉川 博
出版者
The Japanese Society for Hygiene
雑誌
日本衛生学雑誌 (ISSN:00215082)
巻号頁・発行日
vol.42, no.6, pp.1045-1055, 1988-02-29 (Released:2009-02-17)
参考文献数
11

冬期における日常生活の中で,手足が冷えて苦痛に感じている人が,意外に数多く存在して,中には手足の指先の触感の欠如など,かなり深刻な問題として悩んでいる人もいるようである。そこでこの手足の冷えを合理的に防止あるいは回復するため,厳寒期において,実際の手足の皮膚温がどの程度で推移して,その低下している皮膚温が暖房によってどのように回復していくか,またソックスの着用が皮膚温の回復にどのように寄与しているかを,女子学生20名について調べ,次のような結果を得た。1.25°Cの温暖環境に入室後,素足の状態で90分間に渡って測定したところ,手母指掌側先端部皮膚温の経時的変化によって,被験者は次の3群に分類される。1) 低温群:測定開始時にかなり低い22°C程度の温度を示し,90分経過後も室温程度にしか上昇しない。2) 中温群:測定開始時に比較的低い20∼26°C程度の温度であるが,30分以内には30°C以上に急上昇して,暖環境に反応する。3) 高温群:測定開始時にすでに30°C以上の高温状態にあって,90分間その状態を維持する。2.低温群は手指先のみならず,足指先においても皮膚温が低く,90分経過しても室温にも達しない。ソックスを着用すると,手指先は回復する傾向をみせるが,足指先は依然と上昇しない傾向が強い。被験者本人も,非常に冷えやすいことを,日頃から感じており,かなり堅固な冷えの状態である。3.中温群の手指先皮膚温は,急上昇して環境の変化に反応し,ソックスを着用すると,その反応は一層強いものとなる。4.中温群の足指先皮膚温は,暖環境にあまり反応を示さない。ソックス着用時には,約半数が反応して皮膚温が上昇するが,あとの半数は反応を起こさず,素足時と同じ反応である。5.高温群は他の群とは異なり,最初から手指先は30°C以上であり,足指先も比較的初期に上昇する。平常時にすでにかなり高い皮膚温を保っていると推測され,ソックス着用時でも,素足時とほとんど傾向は変わらない。6.同じ暖環境温度に対して,群によって反応が異なり,同一被験者においても部位によって反応形態が異なる。7.ソックス着用が皮膚温の経時的変化に与える影響は,直接被覆されている足部よりも,直接被覆されていない手部に強くあらわれる。
著者
八重樫 文絵 荒木 雅弘 岡 夏樹 新谷 元司 吉川 昌孝
出版者
一般社団法人 人工知能学会
雑誌
人工知能学会全国大会論文集 第33回全国大会(2019)
巻号頁・発行日
pp.1H3J1305, 2019 (Released:2019-06-01)

本稿では,レセプトデータを用いた生活習慣病の発症予測システムを提案する.近年運送業界では,インターネットの普及に伴うドライバーの過重労働に対する対策として,健康管理対策の見直しを急務としている.発症予測を目的とした関連研究には,医療情報に対して表現学習を用いているものがある.これらの関連研究と同様に,我々は本研究の課題を自然言語処理の分野の文書分類問題として捉え,生活習慣病の発症予測を行うモデルの開発を試みた.我々は文字列として保存されているレセプトデータを固定長ベクトル化し,アンダーサンプリングとバギングの組み合わせによって生活習慣病の発症を予測した.その結果,我々のモデルは正例の再現率が0.75にまで昇り,レセプトデータに対して自然言語処理を施すことの有効性が示された.
著者
山地 早紀 吉川 ひろみ
出版者
日本作業科学研究会
雑誌
作業科学研究 (ISSN:18824234)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.41-49, 2020-12-25 (Released:2020-12-31)
参考文献数
16

本研究の目的は,高齢者の「人生を代表する作業」との出会いとプロセスについて明らかにすることである.本研究では,人生の中で長年行っていること,夢中で行っていること,自分を表すのにピッタリなものを「人生を代表する作業」とした.対象者は,地域在住の75歳から90歳の 8 名(男性 5 名,女性 3 名) の「人生を代表する作業」のある高齢者で,半構造的インタビューを用いて,逐語録を作成し,グラウンデッ ド・セオリー・アプローチを参考に分析を行った.分析により,【環境の影響による開始と継続】,【時間とともに強まる結び付き】,【作業が生み出す魅力】,【自分と環境に合わせた調整】,【能力や経験の活用】,【継続 の意思】の 6 つのカテゴリーが出現した.「人生を代表する作業」は,環境の影響により始まり,継続され, 時間と共に結び付きを強め,継続の意思を示すものであった.そしてその出会いとプロセスには,作業が生み出す魅力や自分と環境に合わせた調整,自分の能力や経験の活用が影響していた.