著者
前田 清 吉川 和彦 寺尾 征史 山本 祐夫 梅山 馨
出版者
一般財団法人 日本消化器病学会
雑誌
日本消化器病学会雑誌 (ISSN:04466586)
巻号頁・発行日
vol.87, no.7, pp.1525-1531, 1990
被引用文献数
12

大阪社会医療センターにて過去5年間に経験した10例の赤痢アメーバ症の臨床的検討を行つた. 性別は全例男性で, 平均年齢は41歳であつた. 既往歴では海外渡航歴は全例認められず, 7例 (70%)に男性同性愛好者を認めた. 各種血清学的検査ではアメーバ抗体 (ゲル内沈降反応) 100% (6/6), 梅毒反応 (TPHA法) 60% (6/10) の陽性率を呈したが, AIDS抗体は0% (0/3) であつた. 赤痢アメーバの検出率は便中で70% (7/10), 肝膿瘍膿汁中で50% (2/4), 直腸生検粘膜で25% (1/4) であつた.<br>以上, 本症の診断には血清アメーバ抗体の測定が有用で, また, 感染経路としてホモ行為による感染が疑われた.
著者
髙田 琢弘 吉川 徹 佐々木 毅 山内 貴史 高橋 正也 梅崎 重夫
出版者
独立行政法人 労働安全衛生総合研究所
雑誌
労働安全衛生研究 (ISSN:18826822)
巻号頁・発行日
vol.14, no.1, pp.29-37, 2021

<p>本研究は,過労死等の多発が指摘されている業種・職種のうち,教育・学習支援業(教職員)に着目し,それらの過労死等の実態と背景要因を検討することを目的とした.具体的には,労働安全衛生総合研究所過労死等防止調査研究センターが構築した電子データベース(脳・心臓疾患事案1,564件,精神障害・自殺事案2,000件,平成22年1月~平成27年3月の5年間)を用い,教育・学習支援業の事案(脳・心臓疾患事案25件,精神障害・自殺事案57件)を抽出し,性別,発症時年齢,生死,職種,疾患名,労災認定理由および労働時間以外の負荷要因,認定事由としての出来事,時間外労働時間数等の情報に関する集計を行った.結果から,教育・学習支援業の事案の特徴として,脳・心臓疾患事案では全業種と比較して長時間労働の割合が大きい一方,精神障害・自殺事案では上司とのトラブルなどの対人関係の出来事の割合が大きかったことが示された.また,教員の中で多かった職種は,脳・心臓疾患事案,精神障害・自殺事案ともに大学教員と高等学校教員であった.さらに,職種特有の負荷業務として大学教員では委員会・会議や出張が多く,高等学校教員では部活動顧問や担任が多いなど,学校種ごとに異なった負荷業務があることが示された.ここから,教育・学習支援業の過労死等を予防するためには,長時間労働対策のみだけでなく,それぞれの職種特有の負担を軽減するような支援が必要であると考えられる.</p>
著者
吉川 英一郎 Eiichiro Yoshikawa
出版者
同志社大学商学会
雑誌
同志社商学 = The Doshisha business review (ISSN:03872858)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.507-565, 2021-01

「国際的な消費者契約」を扱う日本の判決例について、「国際」&「消費者契約」を検索語として判例データベースを用い、33件のケースを呼び出して、国際契約トラブルとしての日本における消費者契約訴訟の傾向を(国際裁判管轄条項や準拠法条項を中心に)紹介したいと考える。その33件については別表としてその要旨をそれぞれ掲載する。研究(Article)
著者
吉川 琢磨 生井 明浩 池田 稔 木田 亮紀
出版者
The Oto-Rhino-Laryngological Society of Japan, Inc.
雑誌
日本耳鼻咽喉科学会会報 (ISSN:00306622)
巻号頁・発行日
vol.100, no.8, pp.864-869, 1997-08-20 (Released:2010-10-22)
参考文献数
21
被引用文献数
4 1

小児の異物誤飲事故は, 日常診療において遭遇する機会が多いが, 小型電池によるものは早期より重篤な合併症を引き起こしうるため, 近年多数の報告がなされている. しかしそのほとんどが胃あるいは腸に異物が落下していた例であり, 食道内に停滞していた症例についての報告は多くはない. 今回我々は, 従来の小型電池よりも電圧の強いリチウム電池を誤飲し食道潰瘍をきたした1症例を経験したので報告する. さらに, 犬を用いて実験的にリチウム電池による食道潰瘍を作製し, 食道粘膜の傷害程度と電池の停滞時間の関係について組織学的に検討を行った. 対照としての100円硬貨の挿入後4時間の組織と電池挿入後1時間の組織では, 異常所見は認められなかった. 電池挿入後2時間では, 肉眼上異常所見は見られなかったが, 組織学的には粘膜上皮中間層の解離が認められた. 電池挿入後4時間では, 肉眼上も明らかな潰瘍性変化が認められ, かつ組織学的にも粘膜上皮の剥離, 脱落などの変性が認められた. 今回の実験結果から小児の異物誤飲時の治療指針としては, 早期に異物の種類を診断し, 特に組織傷害力が強い電池異物と診断された場合には, 異物誤飲後4時間以内の早期の摘出を心掛け, 重篤な合併症を回避することが重要と思われる.
著者
北濱 圭一郎 吉川 貴久 田島 佑樹 竹ノ谷 隆 尾戸 一平 矢部 信成 村井 信二
出版者
日本外科系連合学会
雑誌
日本外科系連合学会誌 (ISSN:03857883)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.1065-1070, 2018 (Released:2019-12-27)
参考文献数
34

症例は82歳女性,下腹部痛を主訴に受診した.下腹部に著明な圧痛と反跳痛があり,CT所見と併せて小腸絞扼性イレウスを疑い緊急手術の方針とした.腹腔鏡で骨盤内の血性腹水と子宮を穿通した子宮内避妊具(IUD:intrauterine device,以下IUD)に嵌頓した回腸を確認した.直視下で絞扼の原因となったIUDの環状部分を切離し回腸の絞扼を解除した.絞扼された回腸は完全に壊死しており,回腸部分切除を行った.術後経過良好で術後第8病日に退院した.本症例のIUD子宮穿孔の原因は,子宮萎縮とその後の子宮収縮が最も考えられた.小腸がIUDに嵌頓して生じた絞扼性イレウスは非常に稀である.高齢女性が避妊していた時代は輪状閉鎖型IUDを用いる例が多かったが,現在では使用頻度が減ったため医療者側も想起しにくくなっている.IUD挿入や抜去歴の聴取が重要になる.
著者
神谷 厚範 吉川 宗一郎 檜山 武史
出版者
岡山大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
2020-04-01

自律神経系は、健康時には、生体情報の変化に応じて全身の臓器を個別に調節する役割を担い、生体恒常性や生命の維持機構の要のひとつである。ところが、自律神経系は、病態ではむしろ不合理に働き、病勢を加速するなど、難病の病態に深く関わる。本研究では、乳がんと高血圧を対象とし、制御工学や遺伝子工学等で自律神経系に介入して神経機能を制御して疾患を治療する、システム自律神経制御医療を試作することを、目的とする。
著者
山脇 加奈子 吉川 峰加 津賀 一弘 久保 隆靖 田地 豪 赤川 安正
出版者
公益社団法人 日本補綴歯科学会
雑誌
日本補綴歯科学会誌 (ISSN:18834426)
巻号頁・発行日
vol.7, no.2, pp.179-184, 2015 (Released:2015-04-18)
参考文献数
19

症例の概要:患者は73歳男性で脳血管性認知症を有しており,認知症病棟に入院中である.唾液や食物を飲み込みにくいという主訴の下,摂食観察を行ったところ多量の口腔内食物残留および喫食率の低下を認めた.また,嚥下造影検査(Videofluoroscopic examination of swallowing: VF)では,舌搾送運動の不良,嚥下反射の惹起遅延,ならびに口蓋から咽頭部にかけての食物残留を認めた.そこで,従来からの口腔機能リハビリテーションに加え,飴を舐める機能を応用したリハビリテーションを6カ月間行い,訓練介入前後および介入期間中の嚥下機能,口腔機能,口腔内環境,体重および摂食状況を観察したところ,舌搾送運動の改善,最大舌圧値,体重,喫食率の増加,口腔内の食物残留量や細菌数の減少を認めた.考察:中等度認知症患者に対し,従来のリハビリテーションに加えて,複雑な指示理解を必要としない飴を舐めるリハビリテーションを継続することにより,口腔内および口腔周囲筋の廃用防止と口腔内環境の改善につながったものと考えられた. 結論:6カ月間の本口腔機能リハビリテーションにより,口腔の機能と環境に改善を認めたことより,中等度認知症患者において,飴を用いたリハビリテーションが有効である可能性が示唆された.
著者
吉川 諒 柿沼 太郎 小山 彩 入部 綱清 米盛 庄一郎
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集B2(海岸工学) (ISSN:18842399)
巻号頁・発行日
vol.71, no.2, pp.I_175-I_180, 2015 (Released:2015-11-10)
参考文献数
13

MPS法に基づく断面2次元数値モデルを適用し,地すべりや山体崩壊に伴う津波の数値シミュレーションを行なった.崩落する流体の初期位置が等しい場合,崩落体の密度が大きいほど津波高さが大きくなるが,変形して扁平となった流体が水中に突入する場合には,津波高さがあまり大きくならない.また,崩落体が剛体である場合,崩落体の初期位置エネルギーが大きいほど津波高さが大きくなるが,前方に巻き込む波が形成された後,波の前面に大規模渦を伴う津波が伝播する場合,津波高さがあまり大きくならない.更に,岸付近の津波高さは,崩落体が,比重が1の流体である場合には,沖側静水深が浅い場合に大きくなるが,崩落体が,比重が1より大きな剛体である場合には,沖側静水深が深い場合に大きくなる.
著者
吉川 泰弘 長谷川 寿一 赤見 理恵 落合 知美 倉島 治 斎藤 成也 数藤 由美子 高見 一利
出版者
日本霊長類学会
雑誌
霊長類研究 Supplement
巻号頁・発行日
vol.20, pp.vi, 2004

「大型類人猿情報ネットワーク(GAIN)」は、その前身である「チンパンジー研究利用に関するフィージビリティースタディ(ナショナルバイオリソースプロジェクトの一環)」が培ってきた大型類人猿由来の研究リソース配分ネットワークとその理念を引き継ぎ、動物園などの飼育施設や研究者とのネットワークの拡大、大型類人猿死亡時のリソース分配をおこなってきた。本集会では、GAINがおこなってきた調査(研究リソースのニーズ調査、国内飼育下大型類人猿の飼育状況調査など)の結果や、リソース配分の具体例などについて報告したい。またGAINをとりまく様々な立場(資源の利用者側、飼育施設側など)からの話題提供も予定している。そのうえで、大型類人猿研究の現状と将来展望、資源配布を中心とする研究支援システムの問題点やこれからの展開について検討したい。
著者
吉川 邦彦 山田 徹太郎 藤本 圭一 川内 勉 奥村 睦子 橋本 公二 岩佐 真人 羽白 誠 貝原 弘章 川津 智是 太田 純子 畑清 一郎 井上 千津子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会
雑誌
皮膚 (ISSN:00181390)
巻号頁・発行日
vol.35, no.1, pp.195-202, 1993

自律神経調整剤グランダキシン<SUP>&reg;</SUP> (Tofisopam) の皮膚疾患に対する有効性, 安全性および有用性について検討した。対象症例数は53例であった。有用以上と判定された症例は皮膚騒痒症14例中5例36%, 限局性皮膚騒痒症7例中5例71%, 慢性蕁麻疹16例中5例31%, 多汗症11例中5例45%, 異汗性湿疹5例中2例40%であった。以上より, ゲランダキシンはこれらの皮膚疾患に対して有用性があり, 試みる価値のある薬剤と考えた。