著者
吉田 昌平 野口 竜也 香川 敬生
出版者
公益社団法人 土木学会
雑誌
土木学会論文集A1(構造・地震工学)
巻号頁・発行日
vol.72, no.4, pp.I_404-I_412, 2016

1943年9月10日,鳥取県東部を震源として鳥取地震(M7.2)が発生した.現存する地震関連資料から,鳥取市街地またはその周辺に存在した学校建物は場所により被害程度に差が出たことがわかっている.本研究では,学校建物被害が異なる原因を究明することを目的として,地盤構造モデルの構築及び地震動評価を実施した.学校被害サイトを対象に常時微動観測を実施し,3成分単点観測に基づくH/Vスペクトルとアレイ観測に基づく位相速度分散曲線を用いて地盤構造モデルを構築した.推定した構造モデルを用いて統計的グリーン関数法による地震動評価を実施することで,各サイトの地震動特性の違いを評価した.その結果,甚大な被害が生じたサイトでは建物固有周期帯域(0.2-0.4sec)及び中間周期帯域(1.0-2.0sec)の両方で応答値が大きくなる傾向がみられた.
著者
吉田 司 芝 修一 小山 義明 新井 義昭 鈴木 輝明
出版者
日本水産工学会
雑誌
水産工学 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.205-210, 2004-02-27
参考文献数
9
被引用文献数
2

Seasonal changes of Zostera marina L and physical environment factors (underwater irradiance, Sandybottom quality etc.) were examined off Miya in the Mikawa Bay, Aichi Prefecture, from 2000 to 2001 Japan.Z. marina forming seagrass beds grew densely from February to June, and declined from July to October.While a large number of juveniles geiminated from their seed started to appear toward the middle ofOctober, and Z. marina grew densely again in the following spring. Most of the Z. marina off Miya was annual.Vertical distribution range of Z. marina beds were from D.L. +0.5m to -1.6m depth. From the site irradianceconditions in the seagrass bed, the deepest bottom of Z. marina possible growth was estimated to beD.L.-1.8m. The high temperature in the summer was the important cause that the Z. marina beds weredecreased. Surface layer of the bottom was reductive conditions enough to germinate. These observationssuggest that Z. marina of annual plant requires calm environmental conditions as one of the required suitableconditions for successful seagrass bed formation.
著者
吉田 光毅 今泉 信之 小前 幸三
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.724, 2005

合成オーキシン、2,4-Dはイネ幼根切片で内鞘細胞からの不定根原基の形成を促進する。私達はこの過程でエンド-1,4-β-グルカナーゼの活性が上昇する事を見い出した(Plant Cell Physiol.34:507-514)。このオーキシンで活性上昇する酵素活性を等電点の異なる3画分に精製し、それぞれSDS-PAGEと等電点電気泳動によりクマシーブルー染色で単一のバンドである事を確認した。最も活性の高い画分(MALDI-TOF-MSによる分子量:51216Da、等電点:5.5)を用いて基質特異性を解析した。本画分はCM-セルロース、リン酸膨潤セルロース、(1→3),(1→4)-β-グルカン、セロオリゴ糖(DP4以上)だけでなく、アラビノキシランやキシランのようなタイプII細胞壁の主要マトリクス多糖や、グルコマンナン、1,4-β-キシロヘキサオースも分解した。つぎに精製タンパクのN末端・内部アミノ酸配列をcDNAやゲノム配列と対応させて、全アミノ酸配列を決定した。本遺伝子の翻訳産物(GHファミリ-9)は全長が約68kDaの長さで、精製タンパクよりもC末が約130残基ほど長い事が示された。ノーザン解析により、この遺伝子は幼根切片で2,4-Dにより発現量が増大し、根由来のカルスでも発現している事が示された。単子葉植物イネで、オーキシンの不定根誘導と関わるエンド-1,4-β-グルカナーゼの部分的性質を明らかにする。
著者
吉田 郁美 竹森 利和 山崎 政人 道広 和美 都築 和代 裏出 良博 吉田 政樹
出版者
人間-生活環境系学会
雑誌
人間と生活環境 (ISSN:13407694)
巻号頁・発行日
vol.19, no.2, pp.101-106, 2012 (Released:2018-03-22)
参考文献数
22

ミストサウナ入浴が睡眠に与える影響を把握することを目的に、冬季の実生活において被験者実験を実施した。実験は、被験者の自宅において就寝約1.5時間前に40℃10分間の通常入浴とミストサウナ入浴をそれぞれ10日間ずつ連続して実施した。浴室の設定温度、寝室の温湿度ならびに入浴前後の舌下温を10日間測定・記録した。また、1日の活動量(活動量計)、夜間就寝時の脳波(携帯型1チャンネル脳波計)を計測し、睡眠後の眠気(KSS調査票)や温冷感、目覚めの感覚等を記録した。睡眠効率、入眠潜時、および覚醒指数については条件間に有意な差はなかったが、第一周期デルタパワーについてはミストサウナ入浴の方が通常入浴よりも有意に高かった。入浴による舌下温の上昇度についても通常入浴よりミストサウナ入浴の方が有意に高かった。寝室温・湿度に両条件間の差は無かったが、被験者の申告結果からは、ミストサウナ入浴の場合、就床前はより暖かく感じ、起床時には目覚めの爽央感が得られるとの評価が有意に高かった。
著者
吉田 寧子 村上 雅志 藤本 英治 竹田 菊男
出版者
公益社団法人 日本水環境学会
雑誌
水環境学会誌 = Journal of Japan Society on Water Environment (ISSN:09168958)
巻号頁・発行日
vol.27, no.1, pp.41-46, 2004-01-10
参考文献数
19
被引用文献数
2

Alkylphenolpolyethoxylates (APEOs) have been widely used as nonionic surfactants in various industrial and commercial products. There are two different degradation pathways of APEO. One is the gradual degradation of AP(n)EO to AP(n-1)EO, to subsequent degradation products, and finally to alkylphenol (AP). The other is through the formation of alkylphenol ethoxy acetic acid (APEC). We examined the quantitation method for these substances related to APEO [NP(1-15)EO, OP(1-10)EO, NP(1-10)EC] by high-performance liquid chromatography/mass spectrometry. Method detection limits (MDL), calculated from the replicate analyses of spiked deionized water, were 0.0018 [NP(4)EO]-0.0095[NP(8)EO] (<i>&mu;</i>g&middot;<i>l</i><sup>-1</sup>), 0.0048[OP(5)EO]-0.0090[OP(7)EO] (<i>&mu;</i>g&middot;<i>l</i><sup>-1</sup>), 0.0038[NP(8)EC]-0.0072[NP(5)EC] (<i>&mu;</i>g&middot;<i>l</i><sup>-1</sup>). The quantitation method that we developed has sufficiently low detection limits and can be applied to the influent and final effluent of a sewage treatment plant.
著者
吉田 浩二
出版者
日本放射線看護学会
雑誌
日本放射線看護学会誌 (ISSN:21876460)
巻号頁・発行日
vol.8, no.2, pp.122-127, 2020-12-31 (Released:2020-12-31)
参考文献数
13

医療や産業分野における放射線・放射性物質の需要が拡大する一方で、それらからの被ばくのリスクは益々増大する。看護職は医療や地域において、放射線被ばくを受けた患者や住民のケアを行うが、放射線教育が充実していないため、必ずしも放射線の知識を有しているわけではない。本稿では、過去に大規模な原子力災害を経験したベラルーシ共和国の医療系大学を訪問し、放射線教育構築に向けた示唆を得たので報告する。
著者
吉田 一平 平尾 一樹 野中 哲士 小林 隆司
出版者
一般社団法人 日本作業療法士協会
雑誌
作業療法 (ISSN:02894920)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.13-20, 2022-02-15 (Released:2022-02-15)
参考文献数
40

作業療法にて満足や楽しみといった肯定的な心理状態を考慮した支援を行うことが必要と考えられ,そのような心理状態を捉えた概念として「フロー理論」が挙げられる.今回,フロー理論を応用した作業療法に関する実践報告に関して文献レビューを実施した.結果として6論文が抽出され,それぞれの研究において,介入目的とした認知機能,高次脳機能のほか,フロー体験,健康関連QOLや主観的QOLの改善を認めた.今後は,作業療法/リハビリテーションにおける有効なアプローチの1つとして示されるよう,さらなる実践・研究が課題として挙げられた.
著者
佐藤 千晶 吉田 仁美 Chiaki SATO Hitomi YOSHIDA
出版者
昭和女子大学近代文化研究所
雑誌
学苑 = Gakuen (ISSN:13480103)
巻号頁・発行日
no.964, pp.104-111, 2021-02-01

A Study of Childcare Problems for a Hearing Impaired Couple: Research Analysis Using the Trajectory Equifinality Model (TEM)Chiaki SATO and Hitomi YOSHIDAAs part of the effort toward child-rearing support in Japan, the reform of men’s work styles has gained attention, in addition to support for women’s work-family balance. However, child-rearing support for parents with disabilities is far from sufficient.Through a qualitative survey administered to a child-rearing husband and a wife with hearing impairment, this article aims to reveal issues in their lives and to explore how child-rearing support should be provided for parents with disabilities. The results were analyzed using the Trajectory Equifinality Model (TEM). The analysis revealed that close support from the wife’s side of the family was critical for the hearing impaired couple in raising children. Further, issues regarding future child-rearing support included the following: first, accessibility to essential child-rearing support service for people with hearing impairment; second, support measures that do not depend on the families of child-rearing parents must be sought; third, companies must undergo fundamental reform regarding working conditions and attitudes toward work; finally, family-friendly local communities must be fostered.
著者
吉田 清
出版者
公益財団法人 日本醸造協会
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.90, no.10, pp.751-758, 1995-10-15 (Released:2011-09-20)
参考文献数
30
被引用文献数
11 12

最近では, 各地の醸造指導機関や大手酒造メーカーによる吟醸酒醸造用香気高生成酵母等の優良清酒酵母の育種, 実用化例が多数報告されている。そこで, 今回は溝酒の品質にたいへん重要な影響を及ぼす成分である有機酸に着目した少酸性及びリンゴ酸高生産性多酸性清酒酵母の育種について解説していただいた。
著者
小塚 みすず 吉田 正樹
出版者
一般社団法人 環境情報科学センター
雑誌
環境情報科学論文集 Vol.35(2021年度 環境情報科学研究発表大会)
巻号頁・発行日
pp.25-30, 2021-11-30 (Released:2021-11-29)
参考文献数
4

エスカレーターは利用者を効率よく大量に輸送できる装置として広く普及している。多くの人が利用する乗り物だからこそ,安全で安心して利用できることが求められる。しかし,エスカレーターにおける事故は後を絶たない。そこで本研究では,神戸市営地下鉄を対象に,エスカレーター事故のデータを整理し,事故の要因および状況からその特徴を解析的に明らかにする。分析の結果,飲酒での利用や高齢者は事故発生のリスクが高く,とくに高齢者は救急搬送されるケースが多いことが示された。また,時間帯によって事故要因に特徴がみられることも明らかとなった。