著者
新堀 有佳 安川 生太 荒木 聡子 鈴木 梢 水野 智仁 高橋 紘子 古殿 孝高 稲川 利光 渋谷 祐子
出版者
一般社団法人 日本透析医学会
雑誌
日本透析医学会雑誌 (ISSN:13403451)
巻号頁・発行日
vol.47, no.10, pp.599-606, 2014 (Released:2014-10-28)
参考文献数
17
被引用文献数
4

透析患者が高齢化し透析期間が長期化する中で, 透析患者の日常生活動作の維持は重要な課題である. 今回われわれは, 維持透析患者に対しセルフエクササイズ形式のresistance exerciseによる透析中の運動療法を考案し, その効果を検討した. 透析中の血行動態が安定している当院外来透析患者を対象に運動療法を施行し, そのうち運動療法開始後6か月経過した9例を対象に解析を行った. 右大胸筋筋力・右大腿四頭筋筋力ともに有意差をもって増強を認め, また運動機能評価では速歩でのTimed “Up and Go” test (TUG), 普通歩行速度・最大歩行速度・30秒立ち座り・5回立ち座りで有意差をもって改善を認めた. 筋力増強や運動機能評価の改善を認め, 当院で施行した運動プログラムは有用であると考えられた.
著者
大坪 紘子 秋本 周 堀 繁
出版者
公益社団法人 日本造園学会
雑誌
ランドスケープ研究 (ISSN:13408984)
巻号頁・発行日
vol.65, no.5, pp.769-772, 2002-03-30 (Released:2011-07-19)
参考文献数
1
被引用文献数
1 1

安藤広重作「東海道五十三次」8種計418枚の絵画を分析し, 安藤広重の描く道路植栽の特徴を明らかにした。その結果, 街路樹型の植栽は無く, それに近い等間隔の列植植栽形式も少ないことがわかった。列植よりも, 単木植栽が多く, しかもそれらは渡し場, 橋塚, 高札, 茶屋など重要な道路施設とセットになっていて, それらの存在を植栽が強調していること。また, それらの単木, 従って大事な場所や施設の周辺には, ほかの植栽が多いか少なく, その結果, それら重要な地物がより強調されていること。さらに, それらの単木は樹姿良くその結果単木は単に要所を強調しているだけでなく, 印象深い風景に仕立て上げられていることがわかった。
著者
萬谷 隆一 堀田 誠 鈴木 渉 内野 駿介
出版者
小学校英語教育学会
雑誌
小学校英語教育学会誌 (ISSN:13489275)
巻号頁・発行日
vol.22, no.01, pp.200-215, 2022-03-20 (Released:2023-04-01)
参考文献数
110
被引用文献数
1

本研究の目的は,小学校英語教育学会での研究のあゆみを整理して俯瞰することで,これまでの研 究の成果と課題を明らかにし,今後の方向性を示唆することである。本研究においては小学校英語教 育学会の紀要・学会誌の論文を整理分類し,客観的にその傾向を見出すことに努めながらも,学問的 意義・実践的な意義の視点からの解釈を含めたナラティブレビューの手法を取った。『小学校英語教育 学会紀要』(第 1 号~第 11 号)及び JES Journal(Vol. 12~Vol. 21)に収録されている全論文(N = 242) を分析対象とし,タグ付けにより 19 の研究分野に分類した。また発行時期を,2008 年以前,2009~ 2017 年,2018 年以降の 3 期に分け検討した。分類の結果,最も多かったのは「教材」であり,次いで 「第二言語習得」が多かった。一方で,論文数が少なかったのは「特別支援教育」と「教師の発話」 であった。論文数の増減傾向から,4 つのタイプの研究分野が見受けられた。1)どの期間においても 一定の論文が投稿されていたカテゴリ(例:「指導法」「指導者」),2)どの期間においても論文数が少 なかったカテゴリ(例:「聞くこと」,「教師の発話」,「特別支援教育」),3)時代を経るにしたがって 論文数が増えているカテゴリ(例:「第二言語習得」,「教材」,「情意」),4)時代を経るにしたがって 論文数が減っているカテゴリ(例:「教員養成・研修」,「小中連携」)が見受けられた。
著者
杉本 厚子 堀越 政孝 高橋 真紀子 齋藤 やよい
出版者
北関東医学会
雑誌
北関東医学 (ISSN:13432826)
巻号頁・発行日
vol.55, no.2, pp.123-131, 2005 (Released:2006-07-07)
参考文献数
22
被引用文献数
7 6

【目的】 患者の異常を察知した時に, 看護師が捉えた事象と臨床判断の特徴を明らかにすることである. 【方法】 外科系病棟に勤務する看護師15名の患者の異常を察知したエピソードを, グループディスカッションを通して抽出し, 内容分析した. 【結果】 看護師が捉えた事象は, 異常な眠気, 表情の変化, 反応の鈍さ, 活動の低下, 予測外の症状, つじつまの合わない会話, 違和感のある臭気であり, 多くの看護観察にもとづく非言語的サインであった. 異常を察知した臨床判断には, 【今までとは違う感覚】, 【通常とは違うという感覚】, 【情報に矛盾があるという感覚】であり, 「その患者」のデータや経験の分析的判断と, 「そのような患者」の看護経験にもとづく非分析的判断の両者を活用していた. 【結語】 看護師は患者の微妙な非言語的サインにより異常を察知し, 論理的分析と経験によって培われた直観的分析を駆使して臨床判断を行っていた.
著者
関口 珠希 松下 和裕 柏原 みゆき 笠原 和恵 堀川 雅昭
出版者
北海道歯学会
雑誌
北海道歯学雑誌 (ISSN:09147063)
巻号頁・発行日
vol.43, pp.76-82, 2022-09-15

埋伏智歯が本来の位置から遠く離れ,それが下顎枝最上方の筋突起に位置することは非常にまれである.今回われわれは筋突起に埋伏した含歯性嚢胞を伴う智歯の1 例を経験したので報告する. 患者は72歳,男性.2021年5 月に左側耳下腺咬筋部の腫脹と疼痛を自覚し,近在歯科を受診した.症状が悪化傾向であったため,当院を紹介受診した.初診時の口腔外所見では左側耳下腺咬筋部の腫脹,疼痛と重度の開口障害を認めた.口腔内所見では開口障害により視認は困難であったが,左側頬粘膜に浮腫性の腫脹を認めた.画像検査では筋突起内に逆性埋伏智歯とその周囲に嚢胞様透過像を認め,それら周囲の軟組織の肥厚を認めた.血液検査所見では炎症反応を認めた.埋伏智歯ならびに嚢胞様病変への感染と診断し,抗菌薬による消炎を行った.消炎後,全身麻酔下で埋伏智歯抜歯ならびに嚢胞摘出を施行した.病理組織学的診断は含歯性嚢胞が考えられた.現在,術後6 か月を経過しているが,問題なく経過している.
著者
中野 淳一 青木 勝 岩科 智彩 古木 大裕 大堀 杏 井上 亮太郎 前野 隆司
出版者
日本感性工学会
雑誌
日本感性工学会論文誌 (ISSN:18845258)
巻号頁・発行日
pp.TJSKE-D-22-00041, (Released:2023-09-26)
参考文献数
15

In this study, we developed a chatbot that gives advice for improving well-being and obtained basic knowledge about its well-being improving effect. In the design of the chatbot, we derived advice candidates from behaviors that are highly correlated with well-being based on a questionnaire survey. In the quantitative survey, the chatbot gave advice 172 verification subjects 13 times from the derived advice candidates. As a result, we confirmed that the group that executed a lot of contents of the advice improved the well-being level compared to the group that executed few ones.
著者
名和 弘幸 山内 香代子 栁瀬 博 岡本 卓真 松野 智子 荒木 麻美 堀部 森崇 藤井 美樹 外山 敬久 藤原 琢也 後藤 滋巳 福田 理
出版者
一般社団法人 日本障害者歯科学会
雑誌
日本障害者歯科学会雑誌 (ISSN:09131663)
巻号頁・発行日
vol.37, no.4, pp.426-431, 2016 (Released:2017-06-30)
参考文献数
14

上顎第二乳臼歯の晩期残存と上顎第二小臼歯の異所萌出,上顎前突を呈する11歳9カ月の自閉スペクトラム症男児の治療について報告する.患者の発達指数は,遠城寺式・乳幼児分析発達検査においてDQ:59で,歯科治療に対する協力性は比較的良好であった.患児は5歳11カ月から医療福祉センターの歯科にて,歯科治療への適応向上のために定期的な口腔衛生管理を受けていた.最初の治療計画として,口腔衛生管理のため上顎第二小臼歯を正しい位置へ移動することとした.初期治療が問題なく完了し,患者が矯正歯科治療を希望した場合,上顎前突の治療のために矯正歯科を紹介する予定とした.スプリントを作製し,患者が口腔内に装置を装着できるかどうか確認するため,自宅で装着するように指示した.3カ月後,スプリントの着用時間が長くなったので,固定式矯正装置を作製し口腔内に装着した.7カ月後,上顎第二小臼歯は歯列に移動して,口腔衛生管理が行いやすくなったので,装置を取り外した.咬合誘導は良好な結果であり,患者と両親は上顎前突の改善も希望したので,矯正歯科へ依頼をした.矯正歯科受診時の患者の暦年齢および精神年齢は13歳0カ月と7歳8カ月であった.この症例報告より歯科治療への適応向上ができた自閉スペクトラム症児は,矯正歯科治療を始められる可能性が示唆された.
著者
堀田 進
出版者
日本衛生動物学会
雑誌
衛生動物 (ISSN:04247086)
巻号頁・発行日
vol.49, no.4, pp.267-274, 1998-12-15 (Released:2016-08-18)
参考文献数
49
被引用文献数
42 42

In August 1942 dengue fever broke out in Nagasaki, a port city located in the Kyushu District, Japan. It soon spread over other cities, recurring every summer until 1944. This was not only the first dengue epidemic in Japan proper but also was one of the most widespread dengue epidemics recorded in a temperate region, involving at least 200,000 typical cases. It was obvious that the principal vector was Aedes albopictus which distributes in the Main Islands of Japan, particularly south of 38-39°N. At that time an important factor promoted transmission of the infection. A number of water tanks had been set up for the purpose of extinguishing fires caused by bombardment during the war, and the tanks were occupied by innumerable mosquitoes. Large-scale application of insecticides was not then possible. Since the early work by Yamada (1917a, b), it had been believed that Ae. aegypti mosquitoes do not habit in Japan proper, excepting the Ryukyu and Ogasawara Islands. Contrarily, Oguri (1945) and Oguri and Kobayashi (1947,1948) reported that they found Ae. aegypti in the Ushibuka area of Kyushu (32°N) during September 1944 to May 1947. Several other investigators obtained similar survey data as those of Oguri and Kobayashi (1947,1948). The species, either adults or larvae, completely disappeared, however, from there after 1955. In another survey it was observed that, inside a cargo boat which plied between Japan and dengue-prevalent Southeast Asian countries, many Ae. aegypti were seen flying and also larvae were caught from small water deposits on the decks. It was thought that Ae. aegypti were transferred into Japan probably by boat, and that the mosquito settled in a particular area of Japan for several years. There was no definite evidence as to whether or not the imported Ae. aegypti had some role in the 1942-1944 Japanese dengue epidemics. However, serious precautions must be taken against the possible danger that vectors of infectious diseases may be introduced into an originally non-endemic area. Biological and epidemiological aspects relative to these problems are discussed.
著者
中村 大輝 堀田 晃毅 西内 舞 雲財 寛
出版者
一般社団法人 日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
pp.45098, (Released:2022-01-21)
参考文献数
47

本研究は,社会認知的キャリア理論(Social Cognitive Career Theory, SCCT)に基づき,我が国におけるSTEMキャリア選択に影響する要因とその性差を検討した.OECDが実施したPISA2015調査の日本データを用いて,SCCTのキャリア選択モデルを追試した結果,当該モデルは日本の高校生のデータにも十分に適合することが明らかになった.多母集団同時分析の結果より,STEM職業志望への有意な影響が認められた要因としては「自己効力感」「結果期待」「興味」「社会経済文化的背景」があった.このうち,「結果期待」「興味」「社会経済文化的背景」の影響には有意な性差が見られたが,「自己効力感」の影響には性差が見られなかった.本研究の結果に基づけば,STEMキャリア選択者を増加させるためには,性別ごとに異なる介入方法が有効である可能性がある.
著者
杉下 由行 林 邦彦 森 亨 堀口 逸子 丸井 英二
出版者
一般社団法人 日本感染症学会
雑誌
感染症学雑誌 (ISSN:03875911)
巻号頁・発行日
vol.86, no.2, pp.127-133, 2012-03-20 (Released:2013-04-12)
参考文献数
16

【目的】我が国では,結核予防対策の一環として BCG 接種が実施されている.これは他の予防接種と同様に市町村単位で実施され,その接種体制は各自治体で異なっている.本研究の目的は,BCG 接種体制の違いによるBCG 接種率への影響を明らかにすることである.【対象と方法】対象地域は東京都多摩地区の30 市町村とした.市町村の BCG 接種体制を5 つのグループに分類し,生後6 カ月に達するまでの BCG 累積接種率をグループ間で比較した.解析は,従属変数を生後6 カ月に達するまでの BCG 接種の有無,独立変数をBCG 接種体制とし,BCG 接種体制以外の BCG 接種に関係すると考えられる市町村特性を共変量として独立変数に加え,多変量ロジスティック回帰分析を行った.因子評価はオッズ比を用い 95% 信頼区間で検定した.【結果】調整オッズ比から,5 つのグループにおいて,乳児健診併用で毎月実施の集団接種を基準とした場合,BCG 未接種者の人数は,単独(乳児健診非併用)で毎月実施の集団接種 (adj. OR : 4.01 CI : 2.24~7.11),単独で隔月実施の集団接種 (adj. OR : 15.59 CI : 10.10~24.49),個別接種 (adj. OR : 15.61 CI : 9.05~27.26),単独で隔月未満実施の集団接種 (adj. OR : 48.17 CI : 29.62~79.75) の順に多くなる傾向にあった.【結論】BCG 接種体制が BCG 累積接種率に影響していた.集団接種での乳児健診併用や高い実施頻度の確保が BCG 接種率向上に役立つと考えられた.
著者
下村 英雄 堀 洋元
出版者
社会技術研究会
雑誌
社会技術研究論文集 (ISSN:13490184)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.258-267, 2003 (Released:2009-08-19)
参考文献数
40
被引用文献数
4

本研究では,職業威信に関する先行研究を検討することによって,安全性拡充のための社会心理学的な装置の可能性を探索することを目的とした.まず,従来の職業威信に関する社会学的な研究を検討した.その結果,職業威信は各国間,世代間で不変であるという特徴がみられた.次に,職業威信に関する社会心理学的な研究を概観した.社会心理学では,職業威信はおもにジェンダーやキャリアガイダンスとの関連で論じられていた.最後に,認知された職業威信として,自分の職業に対する誇りの変数に焦点を当てた.いくつかの調査研究をもとに誇りの変数が,年齢や性別によって異なること,違反や事故と関連がみられる可能性があることなどを論じた.
著者
梅宮 弘光 矢代 眞己 大川 三雄 土崎 紀子 野沢 正光 堀越 哲美 米山 真理子
出版者
一般財団法人 住総研
雑誌
住宅総合研究財団研究論文集 (ISSN:18802702)
巻号頁・発行日
vol.33, pp.265-276, 2007 (Released:2018-01-31)

山越邦彦は,1930年代に設計した2つの実験住宅において,次のような当時における新しい技術を導入した。1)将来の生活変化に対応可能な住宅建築のための乾式構造(トロッケンバウ),2)生理学に基づいた快適環境を実現する輻射熱暖房(床暖房),3)住人を生態系に位置づける循環型住宅諸設備(浄化槽,メタンガス発生装置等)。これらは,生活の快適性を介して人間の生命現象に密接に関係するものであり,その試みは,人間疎外につながる近代化に対してオルタナティブな近代建築像を提示しようとするものだったと考えられる。ここに,山越のアヴァンギャルドとしての姿勢をみることができよう。それはまた,今日さまざまな環境問題に直面している私たちにとって示唆に富む。
著者
三宅 芙沙 堀内 一穂 宮原 ひろ子 早川 尚志 笹 公和 箱崎 真隆 前原 裕之 栗田 直幸 木村 勝彦 門叶 冬樹
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(S)
巻号頁・発行日
2020-08-31

樹木年輪の14Cや氷床コアの10Be、36Clといった宇宙線生成核種は、観測史上最大とされる1956年のSEP(Solar Energetic Particle)イベントの数十倍という過去の超巨大SEPイベントの優れた代替データである。本研究は、年輪の14Cと氷床コアの10Be、36Cl分析から、完新世(過去1万2千年間)における最大のSEPイベントの同定と、超巨大SEPイベントの発生頻度及びその発生特性の解明を目的とする。我々の太陽における発生特性を、太陽型恒星の恒星フレアと比較することで、太陽型恒星における太陽の普遍性と特殊性を評価する。
著者
光武 翼 植田 耕造 吉塚 久記 江越 正次朗 大古場 良太 堀川 悦夫
出版者
公益社団法人 佐賀県理学療法士会
雑誌
理学療法さが (ISSN:21889325)
巻号頁・発行日
vol.3, no.1, pp.7-16, 2017-02-28 (Released:2017-04-12)
参考文献数
29

[目的]本研究の目的は重度脳卒中片麻痺患者を対象に,理学療法士(PT)と理学療法学科学生(PTS)が介助した時の患者と介助者の身体動揺を比較することとした。[方法]脳卒中片麻痺患者 8 名に対し,PT もしくは PTS が後方から歩行を介助した。加速度センサを患者と介助者の両方に設置し,root meansquare(RMS)によって歩行介助時の身体動揺を測定した。PT と PTS との介助者の違いと垂直,側方,前後方向の身体動揺について二元配置分散分析を用いて比較した。[結果]PTS の歩行介助では PT より患者,介助者ともに RMS が高値を示し,側方成分 RMS が垂直,前後成分 RMS より有意に高かった(p<0.001)。[結論]PTS の歩行介助では PT より身体動揺が大きく,特に側方への動揺が大きくなることが考えられる。