著者
田川 晴菜 窪田 和巳 山口 さおり 深堀 浩樹
出版者
一般社団法人 日本看護管理学会
雑誌
日本看護管理学会誌 (ISSN:13470140)
巻号頁・発行日
vol.17, no.1, pp.48-56, 2013 (Released:2018-12-28)
参考文献数
9

本研究は,看護政策に携わる看護職の現在の職業・立場につくまでの経験を明らかにし,彼らの意見から看護職の看護政策に関する興味・関心を高める方略についての示唆を得ることを目的とした.看護政策へ携わる看護職6名を対象に半構造的インタビューを実施し,質的に分析した.分析の結果,看護政策に携わる看護職の現在の職業・立場につくまでの経験として「看護政策に関心を持ったきっかけとなった経験」,「看護政策への理解を深めた体験」,「周囲の人々から対象者への反応」の3カテゴリーが,看護政策に関する興味・関心を高める方略についての意見や考えとして「看護政策への関心を高める上での障害」,「看護政策への関心を高めるために考えられる取り組み」の2カテゴリーが得られた.将来看護政策に携わりたいと考える看護職にとって,看護政策に直接携わる人との関わりが重要であるとともに,基礎教育の段階で医療・看護政策に関する内容を学び,看護以外の分野の知識や海外の医療制度・看護実践について知ることが有益であることが示唆された.また,今後より多くの看護職が看護政策に関心を持つようになるための体制を考える上で,多忙な臨床現場でも効率的に看護政策に関する情報が得られる環境整備や看護職の情報リテラシーを高める取り組み,若年層に対するアプローチが重要であることが示唆された.
著者
長谷川 道子 齋藤 龍一 堀内 あゆみ 田村 敦志
出版者
公益社団法人 日本皮膚科学会
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.132, no.3, pp.479-486, 2022-03-20 (Released:2022-03-22)
参考文献数
19

動物用ワクチンのヒトへの誤刺は畜産業従事者の間で起こるが,誤注入された薬剤のヒトへの影響を述べた文献は極めて少ない.我々はオイルアジュバント加鶏用ワクチンを手掌に誤注射後,高度の局所反応を呈した44歳男性例を経験した.高熱を伴う蜂窩織炎様の初期反応が沈静化したのち,進行性に拡大する局所壊死を生じ,組織学的には変性・壊死した組織内の稠密な好中球浸潤と多核巨細胞を混じた肉芽腫形成を認めた.ステロイド全身投与が奏効したが,誤注射された薬剤の除去が不十分または困難な例では試みる価値があると考え報告した.
著者
堀川 哲 ホリカワ テツ Tetsu Horikawa
雑誌
経済と経営
巻号頁・発行日
vol.21, no.3, pp.407-444, 1991-01-30
著者
広嶋 卓也 中島 徹 鹿又 秀聡 堀田 紀文
出版者
日本森林学会
雑誌
日本森林学会誌 (ISSN:13498509)
巻号頁・発行日
vol.103, no.6, pp.409-415, 2021-12-01 (Released:2022-04-08)
参考文献数
19

再生可能エネルギー固定価格買取(FIT)制度において,間伐材や林地残材からなる未利用木材による木質バイオマス発電に対して,調達価格が高値に設定されたことを受け,未利用木材の利用量は年々増加している。そして未利用木材の中で,間伐由来の原材料割合は約4割を占めることから,間伐材生産量の増減が未利用木材に与える影響は無視できない。以上を踏まえ,本研究では,既往モデルを利用して,FIT制度の電源調達期間である20年間にわたる,都道府県別・間伐材生産量のシミュレーションを行った。シミュレーションでは,47都道府県を,間伐量に応じて3グループに分類しグループごとに,モデルの主要パラメータである,間伐面積,間伐材搬出率について,2012年(実績値)から2032年にかけての変化の傾向を3通り作成した。一つは,2012年以降の時系列変化の傾向を延長した「すう勢シナリオ」で他は,パラメータの変化の増減傾向に仮定をおいた「間伐減退シナリオ」および「間伐増進シナリオ」である。これら三つのシナリオに従い,都道府県別の間伐材生産量がどのように変化するか調べた。各都道府県に共通して見られた傾向として,間伐材生産量は,間伐増進シナリオ>すう勢>間伐減退の順に大きく,2012年から2032年にかけて間伐増進シナリオは増加,すう勢は減少,間伐減退は大きく減少する結果となった。都道府県別に見ると,北海道,静岡,大分,鹿児島の4道県は,間伐材生産量が大きく,かつ今後さらに生産量を増やす余地があるという点で,今後の未利用木材の需要増に応える上で,重要度が高いと考えられた。
著者
小林 花神 堀口 高彦 近藤 りえ子 志賀 守 廣瀬 正裕 伊藤 友博 鳥越 寛史 林 信行 大平 大介
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー (ISSN:00214884)
巻号頁・発行日
vol.55, no.12, pp.1551-1555, 2006-12-30 (Released:2017-02-10)
参考文献数
15

80歳,男性.平成16年10月より慢性心房細動に対して抗不整脈薬アミオグロンを内服していた.内服7カ月後の平成17年6月,呼吸困難,発熱を来たし入院となった.胸部レントゲン写真,CT写真にて全肺野にスリガラス影を認め,動脈血液ガス分析にて低酸素血症がみられ,acute respiratory distress syndrome (ARDS)と診断した.アミオグロン内服の中止,ステロイドパルス療法を施行するも病態の急速の進行により入院第4日目に死亡した.剖検にてdiffuse alveolar damage (DAD),肺胞腔内に水腫液の貯留,foamy macrophageを認め,アミオグロンによる薬剤性肺障害と診断した.
著者
増田 博幸 角田 利晴 林 義次 西尾 四良 水井 悠 堀内 俊助 中山 恭彦
出版者
日本水産工学会
雑誌
日本水産工学会誌 (ISSN:09167617)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, pp.135-142, 2000 (Released:2018-06-01)
参考文献数
13
被引用文献数
26

Decline of afforested Ecklonia cava community by grazing of herbivorous fish Siganus fuscescens was studied on the coast of Hamaoka, Shizuoka Prefecture, Japan, during a period from May 1998 to November 1999. About 400 individuals of 3-years old E.cava were grazed their laminae during September to October 1999, and about 2,800 young individuals were grazed their laminae, only left their stipe from October to December. Because the fish bites basal parts of Ecklonia laminae, damage to the thallus is serious though the fish grazes small amount of plant body. Grazing by S. fuscescens was observed on and after June in 1998, while in 1999 grazing was seen on and after August. Rise of seawater temperature was earlier in 1998 than in 1999. This observation shows that grazing activity was affected by change of water temperature. Effect of grazing pressure by herbivorous fish on the growth of afforested E.cava community is clearly demonstrated from our observation.
著者
堀切 悟史 佐々木 誠
出版者
理学療法科学学会
雑誌
理学療法科学 (ISSN:13411667)
巻号頁・発行日
vol.23, no.4, pp.477-480, 2008 (Released:2008-10-09)
参考文献数
16
被引用文献数
3 2

[目的]本研究の目的は,多裂筋のトレーニングによって腰部の脊柱安定化が得られ坐位姿勢のバランスが改善されるかを検討することである。[対象]対象は健常者21名であった。[方法]週3回,4週間の多裂筋の筋機能トレーニングを行わせ,トレーニング前後でトレーニング時の腰部の前弯,後弯コントロールを示す圧変動幅,安静坐位・最大側方リーチ時の圧中心軌跡,坐位保持課題遂行時の3つの体幹筋の最大等尺性収縮時の筋放電に対するパーセンテージ(以下%MVC)を測定した。[結果]圧変動幅は,トレーニング前と比較してトレーニング後に有意に減少した。安静坐位・最大側方リーチ時の圧中心軌跡,%MVCはトレーニング前後で有意差はみられなかった。[結論]脊柱安定性に寄与する多裂筋の機能が向上し椎体間の固定性が高まることが,必ずしも坐位バランスに影響を与えるものではないことが明らかとなった。
著者
久保 加織 川勝 聡美 堀越 昌子 石永 正隆
出版者
The Japan Society of Home Economics
雑誌
日本家政学会誌 (ISSN:09135227)
巻号頁・発行日
vol.52, no.4, pp.351-358, 2001-04-15 (Released:2010-03-10)
参考文献数
19

(1) あまに油は, 4℃保存では, 酸化速度は遅く, 8週間の保存が可能であることがわかった.20℃保存では, 経日的に酸化が進行するが, ごま油の添加によりかなりの酸化抑制効果が期待できた.しかし, 50℃保存ではごま油や合成酸化防止剤によっても酸化を抑えることは難しかった.(2) あまに油の脂肪酸組成は, 今回のいずれの保存条件においても, ほとんど変化せず, α-リノレン酸を50%以上含有していた.(3) あまに油マヨネーズの冷蔵保存における酸化安定性は高く, 冷蔵庫内で8週間保存してもほとんど変化しないことがわかった.(4) あまに油マヨネーズにごま油を添加することによって, マヨネーズの酸化安定性を高めるだけでなく嗜好面でも効果のあることがわかったが, 味, におい, 色などの点からさらに改良の余地があるとみなされた.
著者
内堀 俊和
出版者
プロジェクトマネジメント学会
雑誌
プロジェクトマネジメント学会研究発表大会予稿集 2008年度春季
巻号頁・発行日
pp.421-426, 2008-03-14 (Released:2017-06-08)

我々の研究会は歴史上の人物や出来事からPMへの貴重な教訓を得ることを目的としている.今回,日本の戦国時代(正式には安土桃山時代)において有名な出来事の一つである羽柴秀吉の「中国大返し」プロジェクトを報告する.1582年,京都近辺において本能寺の変が起きた時,秀吉は中国地方(日本の西部)にある高松城で孤立していた.しかし結局のところ,秀吉は,暗殺された親分信長の仇を素早く討って,天下統一の扉を開いていったのである.いかにして秀吉は窮地を脱し,形勢を逆転させたのであろうか?私はこれらの点についてPMの観点から考察を行った.今報告において数冊の文献を参考にしたが,あくまでも歴史上の人物や解釈に関する力点はPMの視点に置いたものである.

1 0 0 0 OA 花あしび

著者
堀辰雄 著
出版者
青磁社
巻号頁・発行日
1946
著者
山本 篤志 後藤 典子 神吉 晴久 堀川 達弥 錦織 千佳子
出版者
日本皮膚科学会大阪地方会・日本皮膚科学会京滋地方会
雑誌
皮膚の科学 (ISSN:13471813)
巻号頁・発行日
vol.8, no.5, pp.546-550, 2009

71歳,女性。左顔面の有棘細胞癌に対して全摘術を施行した。術後,抗生剤としてセフタジジム(モダシン®)およびクリンダマイシン(ダラシン®)を投与したところ,投与後4日目に背部に無症候性の紅斑が出現した。8日目には全身に拡大し,間擦部には小膿疱が集簇してみられた。同時に38℃台の熱発と著明な乏尿を認め,血液検査では白血球とCRP,BUN,クレアチニン値の上昇を認めた。抗生剤をメロペネム(メロペン®)に変更後3日で熱発と乏尿は改善し,約10日で皮疹は検査所見とともに改善した。DLSTはモダシン®とダラシン®とも陽性であり,パッチテストはダラシン®で陽性であったことから,モダシン®およびダラシン®による急性汎発性発疹性膿疱症(acute generalized exanthenmatous pusutulosis:AGEP)および急性腎障害と診断した。
著者
堀 裕
出版者
史学研究会 (京都大学文学部内)
雑誌
史林 (ISSN:03869369)
巻号頁・発行日
vol.87, no.6, pp.719-748, 2004-11

天皇等の国家的周忌仏事である「国忌」を素材に、平安初期における天皇権威の再編過程を検討した。八世紀後半に天皇権威が動揺する中、代々の天皇すべてを重視する必然性はなくなり、その再編の前提となっていた。桓武朝には、天智天皇を八世紀初頭同様「王朝の始祖」として継承する一方で、光仁天皇を「新王朝の始祖」と位置付けた。とくに「新王朝」は、長岡京や平安京など都城に体現されたと考えられる。又、長岡京において実行された延暦十年の国忌省除は、これまで「天武系」皇統排斥論や、「天武系」皇統から「天智系」皇統への交替などの論拠とされてきた。しかし、これらの説は成り立たない。むしろ、天智天皇を始祖としつつ、代々の天皇を重視しない点で他の施策と共通する。その後建設された平安京の特色は、長岡京での政策を継承しつつ個々の天皇権威を超え、天皇位そのものを重視した東寺・西寺が建立された点にある。東寺・西寺での国忌実施は、桓武朝より本格的に開始された天皇権威再編の一つの帰結とみなすことができる。
著者
堀越 英美
出版者
講談社
雑誌
群像
巻号頁・発行日
vol.76, no.8, pp.200-207, 2021-08
著者
勝又 悠太朗 堀本 一樹
出版者
公益社団法人 日本地理学会
雑誌
日本地理学会発表要旨集 2022年度日本地理学会春季学術大会
巻号頁・発行日
pp.206, 2022 (Released:2022-03-28)

1.はじめに 発表者は,インドにおける新型コロナウイルス(COVID-19)感染の地域的特徴をGISによる地図化を通じて検討し,その結果を発表してきた(勝又・月森,2020;勝又ほか,2021;Katsumata et al.,2021など)。そこでは,主に州別・月別にみた感染者数のデータを使用し,感染動向の地域的特徴を明らかにしてきた。本発表も,その続報に位置づけられるが,今回は具体的なデータ分析の結果を提示するのではなく,研究の過程で浮き彫りとなったデータ分析に関わる課題を報告する。ここでは,①感染者データの入手に関する課題,②県別のデータ分析に関する課題,③他のデータとの併用に関する課題の3点を主に取り上げることにする。 2.感染者データの入手に関する課題 これまで分析には,covid19india.orgが収集し,ウェブサイトで公開しているデータを使用してきた。同組織は有志による活動のため,公的な組織ではないが,国や州などが発表する情報を中心に収集を行ってきた。公開されるデータには,インド全体の感染者のデータに加え,州(State)別,県(District)別に集計された地理情報を含んだデータもあり,時系列にデータを入手することができる。そして,これらのデータの学術研究への利用も進んでいる。しかし,同組織によるデータの収集と公開の活動が,2021年10月31日をもって終了したため,11月1日以降のデータを入手することが出来なくなり,以降のデータ分析を行うための大きな課題となっている。3.県別のデータ分析に関する課題 これまで発表者は,主として州別の感染者データを使用した分析を行ってきた。一方,州よりも小さな行政単位である県別の感染者データも公開されている。県別のデータ分析をすることで,感染の地域的特徴をより詳細に明らかにすることができると考える。しかし,県別のデータを使用した分析を実施するにあたっては,いくつかの課題も存在する。まず,covid19india.orgが収集したデータの中には,県別のデータが存在しない州もあることである。また,県の境界が変更されることがあるため,感染者のデータと結合する際にGISで使用する県の境界データの入手も課題となる。 4.他のデータとの併用に関する課題 最後の点は,上記の県別のデータ分析に関する課題とも関わるが,感染者のデータと他の統計データをGISで併用する際に生じる課題があげられる。例えば,人口あたりの感染者数を地図化する際には,州別や県別の人口数のデータを入手する必要がある。こうした人口データは,インドのセンサス(国勢調査)に含まれるが,2022年1月の時点で使用できる最新のものは2011年のセンサスに基づくデータとなる。2011年以降,州と県の中には境界の再編が生じたものもあり,現在の州・県の境界に合わせデータを再集計する必要がある。ただし,県の中には,境界が複雑に再編されたものもあり,データの再集計が困難な場合もある。センサスには社会・経済的な様々なデータが含まれるが,感染者のデータと併用する際には課題も多い。