著者
吉積 一真 熊倉 啓人 藤浪 未沙 細谷 孝博 熊澤 茂則 堀 由美子
出版者
Japan Society of Nutrition and Food Science
雑誌
日本栄養・食糧学会誌 (ISSN:02873516)
巻号頁・発行日
vol.73, no.6, pp.237-245, 2020 (Released:2020-12-26)
参考文献数
34

パルミラヤシ由来の含蜜糖であるパームシュガーは, ポリフェノールやミネラルを多く含むことから, 上白糖の代替品としてだけでなく, 生活習慣病に対する有用性が期待されている。そこで, パームシュガーの総ポリフェノール含量と抗酸化活性を評価し, 実験動物を用いたパームシュガーの単回・長期摂取が血糖応答に及ぼす影響について検証した。その結果, パームシュガーの総ポリフェノール含量は黒砂糖と同程度に高含量であり, 抗酸化活性 (ORAC値) は黒砂糖より低いものの, ココナツシュガーやメープルシロップより高い値を示した。パームシュガーのマウスへの単回投与は, 上白糖と比較して投与後30, 120, 180分のΔ血糖値が有意に低かった (30分: p < 0.01, 120, 180分: p < 0.05) 。また, 曲線下面積 (ΔAUC) も, 上白糖と比べて有意に低値であった (p < 0.01) 。約3カ月間のパームシュガーの継続的な投与による空腹時血糖値の上昇は認められなかった。以上の結果から, パームシュガーは血糖上昇が緩やかな甘味料であることが示唆された。
著者
堀内 一史 Kazunobu Horiuchi
出版者
麗澤大学経済学会
雑誌
麗澤学際ジャーナル = Reitaku Journal of Interdisciplinary Studies (ISSN:09196714)
巻号頁・発行日
vol.21, no.1, pp.1-17, 2013-03-10

President Barak Obama was reelected in the 2012 U.S. Presidential Election to serve a second four-year term. The major elements that allowed the incumbent to win reelection include the support he received from members of minority groups such as Hispanics and the so-called Millennial generation ─ young adults aged between 18 and 29 ─ that was especially important in such swing States as Ohio, Florida, Pennsylvania, and Virginia. Having provided a systematic analysis of the voting behavior of religious and ethnic groups, age cohorts, and supporters of political parties, this paper will focus on the newly apparent trends revealed by the data examined, such as the decline in numbers of the majority group: the increasing size of ethnic minority groups including African Americans, HispanicAmericans, and Asian Americans; the succession of the generations; and theincreasing number of the so-called unchurched Americans.
著者
内藤 健晴 堀部 智子 堀部 晴司
出版者
耳鼻咽喉科臨床学会
雑誌
耳鼻咽喉科臨床 (ISSN:00326313)
巻号頁・発行日
vol.100, no.4, pp.241-250, 2007-04-01 (Released:2011-10-07)
参考文献数
34
被引用文献数
4

Pharyngeal flap construction surgery is a treatment for velopharyngeal incompetence in cleft palate children. Velopharyngeal incompetence is a major cause of dysphemia. In our department, we assessed velopharyngeal competence in 382 cases from 1992 to 2006 by inspection of the soft palate length or movement, lateral view of X-ray, aerodynamic study, nasometry and naso-pharyngeal fiberscopic examination, and evaluated incompetence in 88 cases. In 22 of the 88, we perfomed pharyngeal flap construction because of failed speech therapy. Usually, palatal re-push back was combined with pharyngeal flap construction and we had a satisfactory postoperative course. We should pay attention to the conceivable complications of the operation, such as mouth breathing, snoring, obstructive sleep apnea, bradycardia, cardiac arrest, underdevelopment and otitis media with effusion. Speech therapy has to be still required although these patients have received surgery for velopharyngeal incompetence.
著者
越智 秀樹 片山 憲史 池内 隆治 行待 寿紀 河窪 紳介 堀口 正剛 三船 哲郎 伴 眞二郎
出版者
社団法人 全日本鍼灸学会
雑誌
全日本鍼灸学会雑誌 (ISSN:02859955)
巻号頁・発行日
vol.40, no.3, pp.247-253, 1990-09-01 (Released:2011-05-30)
参考文献数
23

変形性膝関節症の初期の患者 (20名, 平均年令61歳) に対して鍼治療, Silver Spike Point (以下SSPと略す) 療法および運動療法を併用した治療を行った。効果判定はわれわれが考案した変形性膝関節症評価表のスコアと, 変形性膝関節症の主徴の1つである大腿四頭筋の萎縮に対する客観的効果の指標として膝伸展筋力の測定を用いた。その結果初診時の平均スコアは23.4点であったが最終治療 (平均治療回数6回, 平均治療期間42日) の後では8.2点とスコアが減少し症状が改善した。また初診時の膝伸展筋力に比較し, 最終治療時では平均38.5%の筋力の増強がみられた。
著者
髙栁 明子 三品 美夏 堀江 和香 渡邊 俊文
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.73, no.11, pp.657-664, 2020-11-20 (Released:2020-12-20)
参考文献数
26

麻布大学附属動物病院腎泌尿器科において,尿管結石による尿管閉塞と診断された猫117例(143尿管)に対して行われた外科手術における合併症について検討を行った.術後再手術を要する合併症が最も少なかったのは尿管切開術の4.0%であり,その他尿管膀胱吻術27.1%,尿管ステント設置術34.6%,SUB設置術37.5%であった.いずれの手技においても術後クレアチニン値は有意に低下した.周術期死亡率は1.8%であり,過去の報告と比較して低かった.術前に実施した腎瘻設置術は,高窒素血症が重度で長時間の麻酔リスクの高い症例の安定化や閉塞解除後の腎機能を推測するうえで有用であった.猫の尿管結石は個々の病態がさまざまであり,外科療法における明確な治療方針は確立していないことから,治療にはすべての手技を選択できる熟練した外科医による対応が望ましいと考えられた.
著者
奥田 徹 矢嶋 瑞夫 高柳 勉 堀 郁郎 横塚 弘毅
出版者
Brewing Society of Japan
雑誌
日本醸造協会誌 (ISSN:09147314)
巻号頁・発行日
vol.91, no.6, pp.446-451, 1996

キウイフルーツワイン発酵中における有機酸及びフェノール酸の濃度変化を調べた。果汁マストからワイン製造終了までの間, 主な有機酸類としてクエン酸, キナ酸, リンゴ酸及びアスコルビン酸が検出された。これらの有機酸のうち, キナ酸以外の有機酸は発酵中の濃度変化は認められなかった。キナ酸は発酵開始後1口目よりその濃度が苦干増加したが, 4日目から発酵終了まての間, 緩やかな濃度低下が見られた。フニノール酸の場合, クロロゲン酸が果汁の主要成分として検出されたが, 発酵開始とともにその濃度は急激に低下し, 5日臼には全く見られなくなった。これに対して, 果汁中には検出されなかったコーヒー酸が, 発酵開始後急速に生成し, 5日目には果汁中に存在したクロロゲン酸と同じ濃度にまでな-った。酵母を添加しない場合, 果汁中のクロロゲン酸の消失及びコーヒー酸の生成が認められなかったことから, 発酵中におけるクロロゲン酸の減少は, 酵母のエステラーゼによリクロロゲン酸が加水分解され, コーヒー酸とキナ酸が生成した結果であると考えられた。クロロ・ゲン酸は果汁中に8.2mg/l, 雛一ピー酸はワイン中に5.Omg/l, キナ酸は果汁中に7.4g/l含まれ, これらの量はそれらの苦味の閾値よりやや少なかったが, 他のワイン成分との相乗作用により, 果汁やワインの苦味に寄与しているものと考えられた。
著者
臼井 昭子 佐藤 克美 堀田 龍也
出版者
日本教育工学会
雑誌
日本教育工学会論文誌 (ISSN:13498290)
巻号頁・発行日
vol.42, no.Suppl., pp.105-108, 2018-12-20 (Released:2018-12-21)
参考文献数
9
被引用文献数
2

美術科の鑑賞の授業に用いる教材を充実させる手立ての一つにVR(Virtual Reality)の活用がある.本研究では,生徒が作品を鑑賞して感じたことや考えたことをワークシートに記述するという鑑賞の授業を実施し,従来の教材を用いた場合とVR 教材を用いた場合とで,(1)生徒がワークシートに記述する語に違いが見られるのか,(2)生徒の「意欲」や感じた「没入感」「ストレス」に差が見られるのかについて検討した.その結果,VR 教材を使用した授業では,使用しなかった授業に比べて,その場で作品を鑑賞しているような語が多く用いられるなどの特徴が見られたほか,生徒の意欲が高く没入感も得られていたことなどが示唆された.
著者
山下 舞琴 堀田 佐知子 長島 俊輔 東條 千章 若村 智子
出版者
一般社団法人 日本看護研究学会
雑誌
日本看護研究学会雑誌 (ISSN:21883599)
巻号頁・発行日
vol.41, no.1, pp.1_19-1_28, 2018

本研究の目的は,冬の日照時間が短い地域に住む高齢者の冬と夏の睡眠に関連する要因を明らかにすることとした。京丹後市高齢者大学の受講生149人に,質問紙調査(睡眠:ピッツバーグ睡眠質問票,気分:感情プロフィール検査,他)を冬と夏に行い,分析した。夏の睡眠時間は,冬に比べ有意に短く,睡眠困難の得点が高い傾向があり,さらに夏の活気と疲労の得点は有意に高かった。冬に会話を毎日する人の割合は,夏に比べ有意に少なかった。重回帰分析の結果,外出頻度,疲労,精神疾患などが冬の睡眠に,会話頻度,緊張-不安,消化器疾患などが夏の睡眠に,影響を与えていた。降雪地帯であったが,冬の日常的な外出が,よい睡眠を導くための具体的な指針の一つとして示唆された。また,冬に疲労が,夏に緊張が強い人には,睡眠障害も念頭においてかかわる必要があるかもしれない。このように,冬と夏によって適切な睡眠の指導が異なる可能性が示された。
著者
堀 正士 新井 哲明 嶋崎 素吉 鈴木 利人 白石 博康
出版者
医学書院
巻号頁・発行日
pp.97-99, 1997-01-15

trazodone(レスリン®,デジレル®)は,心血管系の副作用が軽微で,抗コリン系副作用が少ないことなどから,高齢者や身体疾患を合併したうつ病患者に対して比較的投与しやすい薬剤とされている2)。しかしその反面,副作用として稀ではあるが,持続陰茎勃起症が知られており,治療的緊急性を要する場合もあることから,男性患者では注意を要する7,9,10)。一方で,単に身体的な異常にとどまらず,性欲そのものを亢進させるという報告も近年みられるようになってきた4,6,8)が,その発現頻度は極めて低く,本邦での報告は見当たらない。今回我々はtrazodone投与中に耐え難い性欲の亢進を呈した,妄想性うつ病の1女性例を経験したので,若干の考察を加えて報告する。
著者
堀池 洋祐 山口 弘誠 古田 康平 中北 英一
出版者
水文・水資源学会
雑誌
水文・水資源学会研究発表会要旨集
巻号頁・発行日
vol.30, 2017

近年,線状メソ対流系による豪雨災害が日本各地で増加する傾向にある.このような豪雨災害の被害を減少させるためには,数値予報モデルを用いた高精度な予測情報が求められている.モデルを用いた短時間降水予測では,最適な初期値を与えることが予測精度向上に大きく影響する.そのため,データ同化は最適な初期値を与えるための有効な手法の一つである.線状メソ対流系の初期の同化による発達の予測はある程度成果が出始めているが,気象レーダーを用いたデータ同化によるメソ対流系の発生段階の予測に取り組んだ既往研究はほとんどない.本研究では,中国地方4基・近畿地方4基のXRAINから得られるレーダー反射強度Z<sub>HH</sub>から推定した雨水混合比<em>q<sub>r</sub></em>,偏波レーダーから推定した固相降水粒子混合比を同化することでメソ対流系の発生段階における予測精度向上を狙う.<br />本研究では,2012年7月15日に京都,亀岡で起きた豪雨事例を対象とした.メソ対流系が発生した原因の一つとして,中下層の低温化の気塊が六甲山上空を通過した際に大気不安定をもたらしたと考え,メソ客観解析の気温データをメソ対流系発生前にあたる23:00-23:45に同化した.その結果,中層が低温化し,対流セルが発生した.この結果を踏まえ,雨滴の蒸発による低温化を期待してXRAINの同化を行った.結果として,六甲山系中層の温位低下と水蒸気混合比の増加が確認できた.しかし,対流不安定になるほどの気温低下は起こらず,強いメソ対流系を発生させるには至らなかった.<br />そこで,六甲山でメソ対流系が発生する約5時間前に山口県で降り続いた降水が蒸発しながら東進し,中下層の低温化をもたらしていると考え,同化する時間帯をメソ対流系が発生する時間帯から大幅に早め,同化領域を山口県が含まれるように西側に広く取った.山口県沖から東進する雲をターゲットにして同化を行うことにより,中下層の低温化を引き起こし,メソ対流系初期の降水予測精度を向上させることを目指した.その結果,XRAINの同化によって中下層で低温化が起こり,低温域が六甲山域に到達するタイミングで40メンバー中の7メンバーにおいて対流セルを発生させることに成功した.今後は,雲微物理モデルスキームの改善による予測精度の向上や,アンサンブル予測情報の有効な利用手法の検討について考察していく.
著者
堀江 正司
出版者
Okayama Medical Association
雑誌
岡山医学会雑誌 (ISSN:00301558)
巻号頁・発行日
vol.104, no.1-2, pp.57-62, 1992 (Released:2009-03-30)
参考文献数
11
被引用文献数
1 1

A well-developed nervous branch supplying the upper lateral cutanea of the arm, which arose from the suprascapular nerve, ran beneath the acromio-clavicular joint and penetrated the deltoid muscle, is described. In usual cases, this branch is thin and sometimes referred to as the accessory upper lateral cutaneous branch of the arm (Murakami) (or subacromial cutaneous nerve, Yamada). Some unusual supraclavicular nerves, which penetrated the clavicular bone or ran under this bone, are also described.
著者
堀木 裕司
出版者
一般社団法人 日本農村医学会
雑誌
日本農村医学会学術総会抄録集 第54回日本農村医学会学術総会 (ISSN:18801749)
巻号頁・発行日
pp.132, 2005 (Released:2005-11-22)

JA三重厚生連では、従来紙によりヒヤリ・ハット情報を収集してきた。その後、表計算ソフトを利用して集計を行ってきたが、病院全体で情報を収集し、データを利用するにはかなりな手間を要し、分析も出来ていなかった。厚生労働省より特定医療機関に対し、リスク情報の提出が義務付けられ、提出様式やコードについての定義付けがなされた。当会においても、将来この報告書様式に対応するためと、病院内で収集されたデータを分析するため、Webシステムを用いてリスク管理システムを作成することになった。 Webシステムを用いることにより、入力が容易になり、データを収集しやすくなった。またこれらのデータがデータベース化されるため、後利用が可能になったので、その事例を紹介する。平成16夏、病院見学にてリスクレポートシステムが有効に運用されているのを知り、当会にても構築をしていく必要にせまられた。メーカからもリスク管理システムは販売されているが、当会7病院に導入するにはかなり高額になること、当会の求めるものとは方向を異にすることより、自前での開発を行なうことになった。構築には、当会にて構想を練り、プロトタイプを作成し、各病院に試験的に配布し、その後3か月程度の試用期間を経て、平成17年4月より本格運用を開始している。導入当初は、サーバの設定より入力途中のデータが消えてしまう等のトラブルもあったが、一つ一つ問題を解決し、看護師からのクレームも殆ど出なくなった。運用としては、看護師長が入力するようになっているが、いずれ発見者が自由に入力する形となっている。緊急性を要する情報に関しては、メールシステムを利用して、安全管理室や院長等に情報が飛ぶようになっている。内容の評価については、入力された情報を、上長や部長が閲覧し、評価や対策のコメントを記入出来るようになっている。分析に関しては、各項目にて分析したり、Excelに出力することが可能となっている。その他、セキュリティに関しては、IDとパスワードにて他部門の閲覧を出来ないようにしている。またIPアドレスにてアクセス制限を行っている。このように、安全管理システムにSEが積極的に関わることにより、使いやすいシステムを構築できるとともに、比較的安価にシステムを導入できた。今後は、このシステムの不備な点を随時改良し、リスクの要因を排除していくことに努めていきたい。
著者
赤堀 正成
出版者
社会政策学会
雑誌
社会政策 (ISSN:18831850)
巻号頁・発行日
vol.10, no.1, pp.95-107, 2018

<p> フランスでは1968年5月のいわゆる「五月革命」を経て,ようやく企業内における労働組合活動が法認された。とくにフランス労働総同盟(以下,CGT)は第二次世界大戦後間もなくから企業内における労働組合活動の自由を強く要求してきた経緯があり,企業別・事業所組織を単位組合(サンディカ:syndicat)として位置付け,サンディカの主体性のために「分権化」を基調としている。 このような点に注目すれば,CGTの組織は,企業別労働組合を基本単位とする日本の労働組合組織とよく似ているように見えるが,その行動様式や在り様はかなり異なり,CGTは職場と地域において戦闘的な運動を展開することでよく知られている。本稿では企業別労働組合を基本単位としながらも日仏に見られるような対照的な労働組合運動が現れる理由をCGTの組合費の分配を含む組織構造の面から考える。</p>
著者
堀 新
出版者
大阪市立大学日本史学会
雑誌
市大日本史 (ISSN:13484508)
巻号頁・発行日
no.22, pp.134-140, 2019-05

はじめに : 本書は、近年精力的に楽市楽座令研究を展開している長澤伸樹氏の研究をまとめた待望の一書である。まず始めに、本書の構成を記しておこう(カッコ内は初出年)。本書においては表も重要な意義をもつのであわせて記すこととしたい。……