著者
名倉 秀子 山﨑 芳江 栗﨑 純一 志村 二三夫 橋本 真 八巻 公紀 尾崎 健市 白砂 正明 大村 相哲 松村 千香 堀江 寿美 中林 富嗣 河西 康太 岩下 隆
出版者
一般社団法人 日本食育学会
雑誌
日本食育学会誌 (ISSN:18824773)
巻号頁・発行日
vol.11, no.1, pp.25-34, 2017-01-25 (Released:2017-10-17)
参考文献数
16

We conducted an examination of quality control for five school lunch meals offered in June and November. The differences in weight and nutrient content between the time of menu planning and the time the meals were served were measured as yield and nutrient retention factors, respectively. The yield factor was derived from the ratio of the weight of the total ingredients at the time of menu planning to the weight of the school lunch meal served. The yield factors for the five school lunch meals ranged between 87% and 94%, revealing a loss during the preparation process. Furthermore, seasonal ingredients were found to affect the yield factor of dishes using such ingredients. The nutrient retention factor was obtained by measuring the ratio of the nutrient content value of total ingredients at the time of menu planning to the value of the content analysis of school lunch at the time of serving. In all five school lunch meals, a significant decline in the nutrient retention factors was observed for energy content, calcium, magnesium and zinc. Furthermore, significant increases in vitamin A and dietary fiber were observed. However, no differences were observed for protein, fat, carbohydrates, sodium, iron, vitamin B1, vitamin B2, and vitamin C. as the intake amounted to 95% of the weight of the food served and the nutrient intake exceeded 95% for most nutrients except vitamins A and C, the school meals were found to be of high quality,. The quality evaluation of school lunch based upon the yield and nutrient retention factors revealed the need for identifying and investigating the causes of loss or gain during the preparation process to achieve quality improvements.
著者
大鶴 任彦 森田 康介 堀内 悠平 島本 周治 森田 裕司 加藤 義治
出版者
金原出版
雑誌
整形・災害外科 (ISSN:03874095)
巻号頁・発行日
vol.59, no.1, pp.111-115, 2016-01-01

発育性股関節形成不全の診断では臼蓋側被覆だけでなく前方被覆の評価も重要である。そこで今回、著者らはトモシンセンス(TS)立位矢状断像を用いて臼蓋前方被覆を計測して、その有用性をfalse profile(FP)像と比較検討した。対象は前、初期変形股関節症で隣接関節に障害がない34例(男性7例、女性27例、平均年齢55.8歳)および健康成人ボランティア30例(男性25例、女性5例、平均年齢36.5歳)であった。これらを対象にTS像とFP像を撮影してvertical center anterior margin(VCA)角を測定し、臼蓋前方被覆を評価した。その結果、1)TS-VCA角はFP-VCA角より有意に大きく、TSの方の再現性が高かった。また、TS-VCA角とFP-VCA角は高い正の相関を示し、臼蓋前方被覆の計測ツールとしてTSは極めて有用であると考えられた。その理由として撮影時の体位設定が容易であること、臼蓋縁の変形があっても臼蓋前縁を明瞭に撮影できることが考えられた。以上より、トモシンセシスは立位で撮影が可能なため骨盤傾斜も考慮でき、放射線の実効線量も低く、汎用性の高いことが長所と考えられた。
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[43],
著者
中西 良孝 原口 裕幸 岩崎 絵理佳 萬田 正治 枚田 邦宏 飛岡 久弥 杉本 安寛 若本 裕貴 堀 博
出版者
日本暖地畜産学会
雑誌
西日本畜産学会報 (ISSN:09143459)
巻号頁・発行日
vol.44, pp.43-49, 2001

宮崎県諸塚村のクヌギ (<I>Quercus acutissima Carruth</I>) 林内放牧地 (標高約1, 000m) において, 1997年と1998年の放牧期間中 (5~11月) のマダニ類あるいは外部から飛来する昆虫を採集し, それらの種類構成と季節的消長を調べるとともに, 黒毛和種繁殖牛の血液所見から牛の健康状態との関連を明らかにした.1997年に草地 (フランネル法) で得られたダニはすべてフタトゲチマダニ (<I>Haemaphysalis longicornis</I>) 幼虫であり, 10月に放牧地外で多かった.牛体においてはフタトゲチマダニとヤマトマダニ (<I>lxodes ovatus</I>) の成虫がわずかに見られた.1998年の林床植生内ダニはフタトゲチマダニ幼虫がほとんどであり, 7~10月にクヌギ林地で多く見られた.牛体には主としてヤマトマダニ成虫が寄生しており, 5月で有意に多かった (P<0.05) .また, マダニ類は1997年よりも1998年で多くなる傾向を示した.ハエ類はノサシバエ (<I>Haematobia irritans</I>) とサシバエ (<I>Stomaoxys calcitrans</I>) が得られ, 前者が優占種であり, 8月に発生のピークを示した.アブ類はアカウシアブ (<I>Tabanus chrysurus</I>) とアオコアブ (<I>T. humilis</I>) が優占種であり, 放牧期間を通して比較的少なかったものの, 7月にピークを示し, 気温 (20℃以上) との関連が示唆された.ブユ類はすべてウマブユ (<I>Simulium takahasii</I>) であり, 5月で有意に多かった (P<0.05) .ハエ・アブ・ブユ類はいずれも刺咬性であり, ハエ・ブユ類の発生はアブ類と比べて長期にわたっていた.林内放牧牛の血中総蛋白質濃度, 白血球数, 赤血球数およびヘマトクリット値はいずれもほぼ正常範囲内であり, 小型ピロプラズマ原虫の寄生も認められなかった.<BR>以上から, 放牧年数の経過に伴ってマダニ類は増加し, 外部から飛来する刺咬性昆虫も認められたものの, 血液所見および外見上は異常が見られず, 本研究の林内放牧地は家畜生産環境として問題のないことが示された.
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[316],
著者
堀田正敦 編
出版者
巻号頁・発行日
vol.[217],
著者
中西 華代 堀 菜七子 山篠 貴史 水野 猛
出版者
日本植物生理学会
雑誌
日本植物生理学会年会およびシンポジウム 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.425, 2011

避陰反応は植物の光応答系において最も特徴的な現象の一つであり、近接する植物の陰に入った植物は著しく背丈が徒長する。こうした避陰反応は遠赤色光が重要な光シグナルとなりフィトクロム(主にphyB)を介した光情報伝達系により制御されていることが明らかになっている。我々はミヤコグサの光シグナル伝達系の解析をする過程でミヤコグサに特に顕著な避陰反応を見いだしたので報告する。避陰反応には背丈の徒長に加え、早咲き、腋芽からの分岐の抑制などがある。シロイヌナズナでは腋芽からの分岐抑制現象はあまり顕著ではなくほとんど解析されていない。我々はミヤコグサを遠赤色光に富んだ光条件下で生育させ避陰反応を誘導すると腋芽からの分岐が極端に阻害され、白色光条件下で生育させた植物体と全く異なる形態を示すことを見いだした。このことはミヤコグサが「光シグナルによる避陰反応の誘導」と「ストリゴラクトンによる分岐制御」とのリンクを解析する上で格好の材料であることを示している。以上のような背景をもとに、今回は次の点を中心に報告する。(i)ミヤコグサにおける避陰反応としての腋芽分岐制御の詳細な現象の記述。(ii)トウモロコシの分岐制御因子<I>teosinte branched 1</I> (<I>tb1</I>)のミヤコグサオルソログの機能解析。(iii)シロイヌナズナで研究の進んでいる分岐制御MAX経路に相当するミヤコグサ遺伝子群の同定と解析。
著者
堀井 聡江
出版者
一般社団法人 日本オリエント学会
雑誌
オリエント (ISSN:00305219)
巻号頁・発行日
vol.45, no.1, pp.56-74, 2002

In Islamic jurisprudence, <i>hiyal</i> (sg. <i>hila</i>) signify &ldquo;legal devices, &rdquo; or skills used to achieve a certain objective through legal methods. They were not <i>ipso facto</i> &ldquo;evasions of law&rdquo; as have been understood. It was common to consult with jurists about certain devices to solve legal problems in daily life. Not to neglect is that <i>hiyal</i> were produced as a result of jurists' ever-lasting endeavor to solve all possible problems using all possibilities allowed by the doctrine, and that they therefore made up an authentic part of jurisprudence except some controversial cases. Among the Sunni schools of law, the Hanafis sanctioned <i>h</i> (<i>iyal</i> most extensively, but the Shafi<sup>(</sup>is and the Hanbalis, even though criticizing some evasions of law, pursued <i>hiyal</i> within the framework of their jurisprudence. It is only the Malikis of whom no single work on <i>hiyal</i> is known. They adopted the principle of &ldquo;blocking ways (<i>sadd al-dhara<sup>)</sup>i</i><sup>(</sup>)&rdquo; which run against <i>hiyal</i>. Moreover, they never used the term &ldquo;<i>hiyal</i>&rdquo; in their legal discussion. However, we cannot conclude that the Malikis had nothing to do with <i>hiyal</i> which played an important role in the development of Islamic jurisprudence, if we examine the <i>Mudawwana</i>.<br>The <i>Mudawwana</i>, ascribed to Sahnun (d. 240/855), a Maliki jurist and <i>qadi</i> under the Aghlabids, is one of the oldest Islamic legal texts. This text shows that jurisprudence in Qairawan had much in common with its Hanafi counterpart in Baghdad as formulated in the <i>Asl</i>. As one of the most important works of Shaybani (d. 189/805), the <i>Asl</i> represents the authoritative transmission of Hanafi doctrine in all fields of law, including <i>hiyal</i>. For this reason, we find many discussions common to Hanafi <i>hiyal</i>-literature and the <i>Mudawwana</i>. These discussions fall into two groups.<br>In the first group, the <i>hiyal</i> suggested by the Hanafis are rejected as invalid by Malik or his disciple, Ibn al-Qasim (d. 191/806), who was the teacher of Sahnun. The basis of this rejection seems to be the Maliki principle of <i>sadd al-dhara<sup>)</sup>i</i><sup>(</sup>, i. e. &ldquo;blocking roads&rdquo; that probably lead to an evil end. In the second group, however, Malik or Ibn Qasim, without using the term <i>hiyal</i>, gives his own solutions, and they, in some cases, differ from those of the Hanafis, and, in other cases, agree with them.
著者
堀江 貴文 辰巳 裕美 永瀬 隆浩 田野 俊平 大月 さとみ 南場 芳文
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2010, pp.AbPI2098, 2011

【目的】<BR> 近年、ノルディック(ポール)ウォーキング(以下、NW)用のポールを用いた歩行に関する研究が進んでいるが、側弯や円背を呈する変形性脊椎症やパーキンソン病に対するNWの有効性に関する研究は少ない。今回、当院を退院した患者において、ポールを使った歩行様式は、T-caneを使った歩行様式と比較し、どのような効果があるのかを検証した。<BR>【方法】<BR> この研究に同意を得た80歳代の女性。診断名はパーキンソン病(H11.2、Yahr1)、変形性脊椎症(H11.6)。既往歴、H11年、左変形性膝関節症にて左TKA術施行、H12年に右踵固定術施行。H19年、直腸脱にてストーマ置換術施行。H22.5までは歩行器歩行も可能であったが、内科疾患をきっかけに臥床がちとなり、H22.6より歩行不能となり、当院へ入院してのリハビリ開始となった。身長145.0cm、体重35.8kg。脊柱はTh10レベルを頂椎とした右凸の側彎を呈し、cobb角は30°。MMT上肢4レベル、下肢4レベル、体幹3+レベル。握力右18.0kg、左16.5kg。HDS-R20点。FIM(入院時/退院時)64点/113点。 <BR> 以下のア~ウに対して、10m歩行における歩数と所要時間(ケイデンス)を計測。なお、計測はNW指導の初回日とした。ア.T-cane(片側)による歩行、イ.T-cane(両側)による歩行、ウ.NWによる交互型歩行、デフェンシブタイプ。また、ア~ウの静止立位姿勢は、canon社製IXY1000にて前額面、矢状面、後面よりデジタル撮影、歩行動作は、sony社製SH-800にてデジタル動画撮影し、評価を加えた。NW用ポールは、(株)サンクフルハート社製KD Pole Waker伸縮タイプを使用した。<BR>【説明と同意】<BR> 本研究の目的と方法を口頭及び書面にて説明し、同意を得た。対象者の人権保護や個人情報保護に配慮し、守秘義務を遵守した。<BR>【結果】<BR> 10m歩行における歩数はア.59(歩)、イ.41(歩)、ウ.30(歩)、ウはアと比較し49.2%の向上、イと比較し26.8%の向上を認めた。平均所要時間はア.39.2(秒)、イ.33.3(秒)、ウ.27.5(秒)であり、同様にウはアと比較し29.8%の向上、イと比較し17.4%の向上を認めた。ケイデンスはア.90.7(歩/分)、イ.73.8(歩/分)、ウ.65.4(歩/分)であり、ここではウはアと比較し27.9%の向上、イと比較し11.4%の向上を認めた。静止姿勢、動的姿勢ともにNW用ポール使用時に脊柱などの伸展が確認できた。また静止立位に於けるcobb角は、両T-cane使用により23°にまで減少、NW用ポール使用により20°にまで減少した。<BR>【考察】<BR> 以上の結果より、変形性脊椎症とパーキンソン病を呈し、廃用性の機能低下を起こした患者に対してのNW用ポール使用は、ケイデンスの向上、姿勢アライメントの改善の効果を示した。<BR> この事は、両腕に把持するNW用ポールの長さは、身長の約68%程度に相当し、大腿骨大転子部に握りの位置を合わせるT-caneの場合と比較すると、高位置に存在する。また、身体重心の位置が身長の約55%の位置にあるが、NWポールの握りの位置は、それを超えた高さに存在しており、基礎疾患による重心偏位などの影響があっても、歩行動作中の安定性は向上し、ケイデンスなどの改善に寄与したと考える。同時に、T-caneと比較し、NWポールの使用による静止立位姿勢は、より容易に改善できたと考える。<BR> その他の特徴として、これらの改善効果は、即時的に認められ、高齢者に対してのポールの使用の理解もされやすく、導入が容易であった印象が強い。<BR>【理学療法学研究としての意義】<BR> 近年NWは健康増進等の目的で徐々に利用される様になってきており、その健常者に対しての有用性も数々の研究により明らかとされている。今後は、医療施設等における術後患者や機能障害を示す疾患を持つ状態の方に、NW用ポールを使用した理学療法に応用していかなければならないと考える。<BR>今回は、重度脊椎症と軽度のパーキンソン病を呈す患者に対してNW用ポールを理学療法に取り入れ、評価を実施したが、今後は対象疾患数を増やし、医療現場におけるNWの更なる可能性を見出していきたい。本研究が今後の医療現場におけるNWの発展の礎となる事を期待する。
著者
武藤 徹一郎 堀江 良秋 上谷 潤二郎 丸山 寅巳 富山 次郎 草間 悟 石川 浩一
出版者
The Japan Society of Coloproctology
雑誌
日本大腸肛門病学会雑誌 (ISSN:00471801)
巻号頁・発行日
vol.30, no.3, pp.205-208,266, 1977 (Released:2009-06-05)
参考文献数
10

総計13入の正常人,直腸炎,大腸腺腫症,または大腸癌の患者から計19回にわたって大腸内ガスを採取し,質量分析によって腸内ガスの濃度分布を分析した.腸内清浄化が完全であれば,大腸内に爆発性ガスはほとんど含まれていないことが確認された.内視鏡的ポクペクトミーの実施にあたり,腸内ガス爆発予防のための処置についての老察を行った.
著者
堀尾 恵一 李 影
出版者
日本知能情報ファジィ学会
雑誌
日本知能情報ファジィ学会 ファジィ システム シンポジウム 講演論文集 第25回ファジィ システム シンポジウム
巻号頁・発行日
pp.116, 2009 (Released:2009-12-15)

本論文では,加速度指尖脈波から被験者の身体的,心理的状態を推定し,その推定結果を2次元平面上で可視化ことを目的とする.加速度脈波から抽出する特徴量として,変曲点の振幅,心拍数,カオス指標などがあるが,個人差や測定環境のばらつきに頑健な特徴量を見つけるため,Stochastic Neighbor EmbeddingやMulti Relational Embeddingの手法を利用する.
著者
金子 順一 堀尾 健一郎
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会学術講演会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2009, pp.831-832, 2009

本研究は工作機械の旋回軸加速度を陽に設定可能な知的工具姿勢計画法の実現を目的とする。本報では、M-Map上の各点における工具加工面間の相対姿勢の分布を可視化し、この情報をもとにM-Mapの透明度を設定してCAVE内部の視線透過に反映させる新しい旋回軸指令値候補の計画法について述べる。提案手法により良好な面性状をもたらす相対姿勢の維持と、干渉回避および旋回軸の急激な動作の回避が共に実現可能となった。
著者
岩川 眞由美 今村 史人 大川 治夫 金子 道夫 堀 哲夫 池袋 賢一 雨海 照祥 中村 博史 四本 克己 野田 秀平
出版者
特定非営利活動法人 日本小児外科学会
雑誌
日本小児外科学会雑誌 (ISSN:0288609X)
巻号頁・発行日
vol.34, no.7, pp.1208-1212, 1998-12-20 (Released:2017-01-01)
参考文献数
24

body stalk anomalyの1例を4歳時に在宅医療へ移行したので報告する.症例は在胎24週より胎児超音波検査で臍帯ヘルニアが指摘されていた男児.在胎35週3日に帝王切開, 出生時体重2162g, Apgar score 4/6で出生した.巨大臍帯ヘルニア, 脊椎側彎症, 動脈管開存症, 心房中隔欠損症, 気管狭窄症, 気管軟化症を合併し, 出生直後より人工呼吸管理を要した.以後, 臍帯ヘルニア人工膜縫縮術, 2回にわたる腹壁閉鎖術, 胃食道逆流防止術, 胃瘻・腸瘻造設術, 同閉鎖術, 巨大鼠径ヘルニア根治術を施行し, 2歳6カ月頃より病状が安定したので試験期間後4歳時に在宅呼吸管理となった.現在, 6歳であり在宅呼吸管理を支援するネットワークに支えられ社会生活を送っている.
著者
武市 尚也 渡辺 敏 松下 和彦 飯島 節 西山 昌秀 海鋒 有希子 堀田 千晴 石山 大介 若宮 亜希子 松永 優子 平木 幸治 井澤 和大
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement
巻号頁・発行日
vol.2012, pp.48100763, 2013

【はじめに、目的】 大腿骨頸部・転子部骨折 (大腿骨骨折) 患者における退院時の歩行自立度は退院先や生命予後に影響を与える. 先行研究では, 退院時歩行能力に関連する因子として年齢, 性, 認知機能, 受傷前歩行能力などが報告されている (市村, 2001). しかし, 術後1週目の筋力, バランス能力が退院時の歩行自立度に及ぼす影響について検討された報告は極めて少ない. そこで本研究では, 大腿骨骨折患者の術後1週目の筋力, バランス能力が退院時の歩行自立度に関連するとの仮説をたて, それを検証すべく以下の検討を行った. 本研究の目的は, 大腿骨骨折患者の術後1週目の筋力, バランス能力を独立変数とし, 退院時歩行自立度の予測因子を明らかにすることである.【方法】 対象は, 2010年4月から2012年9月の間に, 当院に大腿骨骨折のため手術目的で入院後, 理学療法の依頼を受けた連続305例のうち, 除外基準に該当する症例を除いた97例である. 除外基準は, 認知機能低下例 (改訂長谷川式簡易認知機能検査: HDS-R; 20点以下), 入院前ADL低下例, 術後合併症例である. 調査・測定項目として, 入院時に基本属性と認知機能を, 術後1週目に疼痛と下肢筋力と下肢荷重率を調査および測定した. 基本属性は, 年齢, 性別, 術式である. 認知機能評価にはHDS-Rを, 疼痛評価にはVAS (Visual Analog Scale) をそれぞれ用いた. 疼痛は, 安静および荷重時について調査した. 下肢筋力の指標には, 膝関節伸展筋を用い, 検者は筋力計 (アニマ株式会社, μ-tasF1) にて被検者の術側・非術側の等尺性筋力値 (kg) を測定し, 体重比 (%) を算出した. バランス能力の指標には下肢荷重率を用いた. 測定には, 体重計を用いた. 検者は被検者に対し, 上肢支持なしで体重計上5秒間, 最大荷重するよう求め, その際の荷重量 (kg) を左右測定し, 体重比 (%) を算出した. 歩行自立度は退院1日前に評価された. 歩行自立度はFIMの移動自立度 (L-FIM) に従い, 歩行自立群 (L-FIM; 6以上) と非自立群 (L-FIM; 6未満) に分類した. 統計解析には, 退院時歩行自立群および非自立群の2群間における基本属性および術後1週目の各因子の比較についてはt検定, χ²検定を用いた. また, 退院時の歩行自立度を従属変数, 2群間比較で差を認めた因子を独立変数として, ロジスティック回帰分析を実施した. さらに, 退院時歩行自立度の予測因子とロジスティクス回帰分析で得られた予測式から求めた数値 (Model) のカットオフ値の抽出のために, 受信者動作特性 (ROC) 曲線を用い, その感度, 特異度, 曲線下面積より判定した.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は当院生命倫理委員会の承認を得て実施された (承認番号: 第91号).【結果】 退院時における歩行自立群は48例, 非自立群は49例であった. 基本属性, 認知機能は, 年齢 (自立群73.9歳 / 非自立群81.8歳), 性別 (男性; 35% / 10%), 術式 (人工骨頭置換術; 56% / 29%), HDS-R (27.2 / 25.9) であり2群間に差を認めた (p<0.05). 術後1週目におけるVASは安静時 (1.0 / 1.8), 荷重時 (3.7 / 5.0) ともに非自立群は自立群に比し高値を示した (p<0.05). 膝伸展筋力は術側 (22.0% / 13.8%), 非術側 (41.8% / 27.6%) ともに自立群は非自立群に比し高値を示した (p<0.05). 下肢荷重率も術側(75.3% / 55.8%), 非術側 (98.2% / 92.3%) ともに自立群は非自立群に比し, 高値を示した (p<0.05). 2群間比較で差を認めた因子を独立変数としたロジスティクス回帰分析の結果, 退院時歩行自立度の予測因子として, 術側膝伸展筋力 (p<0.05, オッズ比; 1.14, 95%信頼区間; 1.04-1.28)と術側下肢荷重率 (p<0.05, オッズ比; 1.04, 95%信頼区間; 1.01-1.08) が抽出された. その予測式は, Model=術側膝伸展筋力*0.131+術側下肢荷重率*0.04-4.47であった. ROC曲線から得られたカットオフ値は, 術側膝伸展筋力は18% (感度; 0.72, 特異度; 0.77, 曲線下面積; 0.78), 術側下肢荷重率は61% (感度; 0.76, 特異度; 0.68, 曲線下面積; 0.76), そしてModelは0.77 (感度; 0.76, 特異度; 0.87, 曲線下面積; 0.82) であった.【考察】 大腿骨骨折患者の術後1週目における術側膝伸展筋力と術側下肢荷重率は, 退院時の歩行自立度を予測する因子であると考えられた. また, ロジスティクス回帰分析で得られた予測式から算出したModelはROC曲線の曲線下面積において上記2因子よりも良好な判別精度を示した. 以上のことから, 術側膝伸展筋力および術側下肢荷重率の両指標を併用したModelを使用することは, 単一指標よりも歩行自立度を予測する因子となる可能性があるものと考えられた.【理学療法学研究としての意義】 本研究の意義は, 術後早期における退院時歩行自立度の予測因子およびその水準を示した点である. 本研究の成果は, 急性期病院において転帰先を決定する際の一助になるものと考えられる.
著者
沖野 友洋 永田 恵輔 佐藤 裕之 堀川 敬太郎 小林 秀敏
出版者
一般社団法人 日本機械学会
雑誌
日本機械学会論文集 (ISSN:21879761)
巻号頁・発行日
vol.85, no.869, pp.18-00270, 2019 (Released:2019-01-25)
参考文献数
11
被引用文献数
2 4

The crash safety structure of the railway vehicles is effective as one of the safety measures against the train crews and the passengers in the event of a collision accident. However there is no standard for crash safety in Japan. In order to discuss guidelines for the crash safety design of the vehicle structure, it is important to grasp the actual situation of collision accidents in Japan. Therefore, firstly the authors performed the statistical analysis of serious level-crossing accidents for the past 30 years. Secondly, we carried out finite element analyses of a level crossing accident with a dump-truck under various conditions (collision position, collision angle, collision speed and mass of the load on the dump-truck) based on the result of the statistical analysis. We also evaluated their results in terms of the contact force, the deformation energy of the rail vehicle, the deformation amount of the cabin, the mean deceleration of passenger’s area (conformable to European standard), the maximum deceleration of the passenger’s area and the secondary impact velocity of the passenger (American standard). The degree of correlation among these results was discussed. The analyses showed that the horizontal collision position of the dump-truck and the collision speed had a comparatively large effect on the safety of passengers, and further that the mass of the load on the dump-truck also affected it when the secondary impact velocity was used as an evaluation index.
著者
青木 光 高金 弘 萬谷 嘉明 藤岡 知昭 久保 隆 大堀 勉
出版者
社団法人 日本泌尿器科学会
雑誌
日本泌尿器科學會雑誌 (ISSN:00215287)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.1503-1512, 1987-09-20 (Released:2010-07-23)
参考文献数
17

18歳~21歳 (平均19.8歳) の健康成人男子ボランティア5名により, 勃起時に露出型関電極酸素電極法による静脈洞内脱分極電流値変動と陰茎周径変化を同時記録し, 勃起各相における両者の関係を確認した後, 以下の2つのイヌ実験モデルを用いた検討をおこなった.第1番目のイヌ実験モデルでは, 静脈洞内に各種注入速度で血液を灌流し, この際に生じる脱分極電流値変動を露出型関電極 (八木式) で記録し, 脱分極電流値が, 静脈洞内へ流入する動脈血の流入速度に対応した変動を示すことを確認した. 次いで, 第2番目のイヌ実験モデルでは, 陰茎モデルを作製し, ヒト陰茎において確認された勃起各相の静脈洞内脱分極電流値変動と陰茎周径変化の関係を陰茎モデルにて再現した. これら, 再現時の陰茎モデル血液流出路および血液流入路の状態は, ヒト陰茎における勃起各相の血流動態に一致すると考えられ, 以下の結果が得られた.1) 弛緩状態にあるヒト陰茎海綿体静脈洞内には, 少量の血液が流入しているにすぎなかった.2) ヒト陰茎勃起 tumescence phase では, 陰茎海綿体静脈洞への流入血液量が急激増加した. またこの phase では, 流入血液量の増加にともない, 静脈洞からの流出血液量も増加した.3) ヒト陰茎勃起 erection phase では, 血液流出路の受動的閉塞による流入血液量への抵抗が静脈洞への流入血液量を徐々に減少させた. しかし流入血液量と流出血液量が等しくなった時点で安定し, この値は非勃起時よりも高値であった.4) ヒト陰茎勃起 detumescence phase は, 陰茎海綿体静脈洞への流入血液量の減少が生じるとともに, 血液流出路に生じた閉塞が解除され, 流出血液量が増加した.
著者
赤堀 三郎
出版者
東京女子大学現代教養学部国際社会学科社会学専攻紀要編集委員会
雑誌
東京女子大学社会学年報 (ISSN:21876401)
巻号頁・発行日
vol.6, pp.47-54, 2018-03-02

日本では近年,不寛容が広がりつつあると言われている.不寛容社会という言葉が使 われることもある.本論文は,社会が不寛容になっているか否かを検証したり,社会の不寛容さを道徳的・倫理的見地から嘆いたり非難したりするものではない.本論文で問うのは,不寛容社会が「どのように観察されているか」である.そしてこのことを通じて,近代化や文明化のもつパラドクシカルな性質を扱うための一般的な枠組を探究する.そのためにここでは,社会を一種の観察者として把握し,その観察の仕方を問う「セカンド・オーダーの観察」の視座に立つ.ここから,次のようなことが言える: