著者
藤田 遼治 太田 学
雑誌
情報処理学会論文誌データベース(TOD) (ISSN:18827799)
巻号頁・発行日
vol.3, no.3, pp.78-87, 2010-09-28

我々は,検索結果の推移を用いてユーザの検索意図を推測し,ユーザの代わりに検索質問を生成して検索する先読み検索を提案する.本研究では,検索結果の推移に加え,ユーザが入力した検索質問の変化パターンを利用してユーザの検索意図を推測する.本稿では実装したプロトタイプシステムを,擬似適合性フィードバックによる検索,および Google が示す検索キーワード候補による検索と比較することにより評価を行った.さらに,先読み検索において検索質問変化パターンを考慮することの効果を定量的に評価した.
著者
太田 孝子 福田 須美子 福田 須美子
出版者
岐阜大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

植民地下朝鮮にあった高等女学校を卒業後、内地に留学した経験を持つ7名の朝鮮人女性にインタビュー調査を実施し、留学の経緯及び内地での留学生活に関する具体的証言を得た他、11校分の高等女学校史の翻訳、主要人物の伝記等の翻訳により、高等女学校毎の内地留学の実態を把握した。また、「鴻嬉寮」(主に李王妃が創設した淑明高等女学校と進明高等女学校からの内地留学生のために、李王家が東京市渋谷区若木町に開設した寮)に関する文献や入寮者2名に対するインタビュー調査により、鴻嬉寮の概要を究明した。
著者
太田 健一郎
出版者
横浜国立大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1985

溶融炭酸塩燃料電池は第二世代燃料電池として注目され、我国においては通産省におけるムーンライト計画等で精力的な開発が進められている。ここでは高温,溶融塩という厳しい条件下での各種材料の劣化が問題であるが、特にカソードとして用いられている酸化ニッケルの溶解,アノード近傍での析出が電池の長期運転の大きな障害となっている。本研究ではまず現在用いられている酸化ニッケルの溶融炭酸塩中への溶解度を測定した。リチウム一カリウム二元系炭酸塩中への酸化ニッケルの溶解度は650℃、二酸化炭素1気圧下で40×【10^(-6)】(モル分率)であり、高温ほど溶解度は小さくなった。また、二酸化炭素分圧が大きくなると、溶解度は比例して増大した。これらは酸化ニッケルが溶融炭酸塩中へ酸性溶解しているとして説明できた。酸化ニッケルの安定性を向上させるために、他の元素を添加することを試みた。添加元素としては酸化鉄を選び、これと酸化ニッケルの固溶体であるニッケルフェライト(Ncx【Fe^(3-x)】【O^4】)に注目した。このニッケルフェライト中の鉄、ならびにニッケルの溶解度は純酸化ニッケルに比べてかなり小さく、リチウム一カリウム二元系炭酸塩中、650℃、二酸化炭素分圧一気圧下で、いずれも2〜2.5×【10^(-6)】(モル分率)と15分の1ないしは20分の1の値を得た。二酸化炭素分圧が大きくなると溶解度は増大するが、圧力に対する依存性は酸化ニッケルより小さく、溶融炭酸塩燃料電池の作動条件下ではカソード材としてのかなりの安定性の向上が期待できる。以上より、酸化ニッケルを単独で用いるよりは、これに他の元素を添加することにより、炭酸塩中での溶解度は減少し、溶融炭酸塩燃料電池のカソード材料としての安定性が向上する例のあることが判った。
著者
疋田 努 太田 英利
出版者
京都大学
雑誌
一般研究(C)
巻号頁・発行日
1995

台湾から琉球列島にかけて分布するアオスジトカゲ、イシガキトカゲ、オキナワトカゲの3種は小さい島々にまで広く分布し、種内の形態的な変異も知られている。泳動データからは,これら3種のうち八重山諸島のイシガキトカゲは台湾のアオスジトカゲよりも,沖縄諸島,奄美諸島のオキナワトカゲにより近縁であることが,示された.従来,八重山諸島の動物相は,沖縄諸島よりもむしろ台湾のものに近いと考えれており,この結果はこの地域の生物地理をどのように考えるかに大きな影響を与えるものとなった.また,トカラ列島の中之島,諏訪之瀬島,口之島からには,ニホントカゲ分布すると考えられていたが,これらがむしろオキナワトカゲに近いことが明らかとなった.それぞれの種内でも,島毎に大きな変異が認められた.まず,アオスジトカゲでは,尖閣列島の集団が台湾のものと大きく異なることがが示された.つぎにイシガキトカゲでは波照間島のものが他の八重山諸島のものと異なっていることがわかった.オキナワトカゲ集団は,従来基亜種のオキナワトカゲと奄美諸島亜種のオオシマトカゲに分けられてきたが,その地理的変異はもっと複雑で,さらに細分する必要があることが示された.形態的な形質では,とくに体色や模様の変異が認められ,体鱗列数等の計数形質にも地理的変異が認められた.しかし,これらの形態的な違いは変異の重なりがかなりあり,十分な識別形質とはならなかったが,島毎の傾向が明らかとなった.
著者
岩室 史英 長田 哲也 太田 耕司 吉田 道利 沖田 喜一 泉浦 秀行 長田 哲也 太田 耕司 吉田 道利 沖田 喜一 泉浦 秀行
出版者
京都大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2007

本研究では、京大3.8m分割鏡望遠鏡の分割主鏡の位置を光の波長の1/20の精度で合わせる技術の開発研究を行った。5色レーザーを用いたこの方法は、従来の星を用いた方法とは異なり、大気の状態や天候の影響を受けることなく高速で分割鏡の状態を確認することができる。この新手法と、独自の高精度アクチュエータを組み合わせて、実際の望遠鏡の一部の複製を用いて分割鏡の位置合わせを行うことに成功した。
著者
尾崎 雅彦 南浦 純一 太田 真 佐々木 裕一 松浦 正己
出版者
公益社団法人日本船舶海洋工学会
雑誌
日本船舶海洋工学会論文集 (ISSN:18803717)
巻号頁・発行日
no.3, pp.87-95, 2006-06

Ocean storage of the captured CO_2 from fossil-fuel burning is a possible option for mitigating the increase of CO_2 concentration in the atmosphere. Moving-ship type of CO_2 ocean storage is a concept whereby captured and liquefied CO_2 is delivered by ship to a site and injected into the deep ocean by means of a pipe suspended beneath a ship as it slowly moves through the water. In case of bad weather conditions, CO_2 marine transport and operation on the sea should be adjourned although CO_2 would be captured at the plant every day. It is, therefore, required that the system would have the buffer storage at the port and the extra shipping ability to recover the delay of schedule. Since the large scale of such spare capability might lead to the increase in cost, it is needed to investigate how to plan the system allowed for weather conditions reasonably. In this study, a time series model of sea state through one year is generated for a hypothetical ocean storage site, based on the wind data observed with satellite remote sensing, and simulations of CO_2 marine transport and operation on the sea are carried out considering the operational limit of sea state. In this approach, the continuing bad weather days or the frequent occurrences of rough sea condition during the specific season are counted automatically. In order to pursue higher efficiency of the operation, side-by-side type and tandem type of moorings are applied for the simulations and compared. Finally, cost assessments under the several assumptions are carried out to see the relative merits among that the number of ships would be increased, that the loading capacity of a ship would be increased, and that the storage capacity at the port would grow, which are generally in trade-off relationships.
著者
太田 憲治 本田 新九郎 大澤 隆治 永野 豊 岡田 謙一 松下 温
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告グループウェアとネットワークサービス(GN) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1999, no.7, pp.61-66, 1999-01-25
被引用文献数
2

本稿では、仮想空間、並びに仮想空間上のオブジェクトの実感をより高める手法を紹介する。コンピュータネットワーク上に3DCGを利用した仮想空間を構築し、仮想空間上での活動、遠隔地にいる他者とのコミュニケーションが可能な場を提供する研究が盛んに行われており、我々も在宅勤務を支援するための仮想オフィスシステム"Valentine"の研究を行ってきた。しかし現在の仮想空間においては、画面を見ることによって情報を得ることがほとんどであり、得られる情報も現実世界で得られる情報と比較するとごくわずかである。また現実世界と仮想空間における行動はほとんどの場合異なっている。この現実世界と仮想空間との差が、仮想空間に対する実感の妨げになっていると考えられる。そこでValentineでは、ユーザの身振り情報をアバタに反映させることによりノンバーバル情報の伝達を行い、握手デバイスを用いた仮想握手を実現した。また、風力測定デバイスを作成し、画面上に息を吹きかけることによって仮想空罰上のオブジェクトを操作することを可能にした。In this paper, we propose the new technique which can let us realize a virtual space and object further. Now many researchers have constructed 3D virtual space, in which people can take a walk, do shopping, communicated with distributed members and so on. We also have built a virtual office system "Valentine" which supports home office workers. However in many systems users get almost all information only by watching picture, and it is much less than in the real world. There are many obvious differences between the action in the real world and the virtual space in most case. we can consider that those differences prevent us from realizing the virtual space. So in our office system we transmit "non-verbal information" by letting the avator reflect user's state and action, and realize "virtual handshake" by using the handshake device. We also make device that measures the strength of the wind. This makes it possible that users can handle objects in the virtual space by only blowing it.
著者
服部 力 太田 祐子 根田 仁
出版者
独立行政法人森林総合研究所
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2009

マレー半島の多様な森林植生タイプにおいて、多孔菌類を中心とした木材腐朽菌などきのこ類のインベントリー調査を行うとともに、主要な木材腐朽菌についてシーケンスを行い、分子情報を明らかにした。低地熱帯老齢林、山地林、マングローブ林にはそれぞれ固有と思われる種が分布、特に低地林、山地林ではマレーシア国外から知られない種が認められた。これまで約100サンプルについてシーケンスを明らかにし、これらの種については分子情報からの同定が可能になった。
著者
池田 光穂 太田 好信 狐崎 知己 小林 致広 滝 奈々子
出版者
大阪大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010-04-01

私たちの研究は、メキシコとグアテマラ両国における先住民(先住民族)について、先住民運動の中にみられる政治的アイデンティティについて現地に赴く民族誌調査を通して明らかにしてきた。具体的には、世界の他の地域での民主化要求運動、すなわち自治権獲得運動、言語使用の権利主張や言語復興、土地問題、国政への参加、地方自治などの研究を通して、(a)外部から見える社会的な政治文化としての「抵抗」の実践と(b)内部の構成員から現れてくる文化政治を実践する際の「アイデンティティ構築」という二つのモーメントと、その組み合わせのダイナミズムからなる資料を数多く得ることができた。
著者
太田 和孝
出版者
大阪市立大学
雑誌
特別研究員奨励費
巻号頁・発行日
2006

私は、一昨年・昨年に複数の代替繁殖戦術を持つタンガニイカ産カワスズメ科魚類Telmatochromis vittatusの雄の精子形質についての研究を行った。この研究は、精子の形質はこれまで言われてきたことに加えて、「受精場所」の影響を受けることを新たに発見した(なお、この研究結果はEthology誌に投稿し、現在リバイス中である)。私は、この結果が一般的な現象であり、体外受精生物の精子形質は、配偶システムの進化と共に変異してきた受精場所の影響を大きく受けて進化してきたであろうという仮説を立てた。そこで、本年度は配偶システム・受精場所が様々な複数の種を対象に精子形質と受精場所の関係を調べた。この調査において、24種の行動観察・精子形質・DNAサンプルを採集した。現在、これらのサンプルを解析している最中である。具体的には、精子の寿命と運動性を撮影したビデオから測定し、鞭毛の長さをホルマリンサンプルから計測している。また、父性判定をおこない、どれぐらいの雄が1回の配偶に参加しているのかということを測定し、精子競争のリスクを評価している。これまでみられる全体的な傾向として、口内で受精が起こる種は精子の寿命が長いこと、基質で受精が起こる種は、受精場所と代替繁殖戦術との交互作用が精子の形質に影響を与えるように思われる。また、代替繁殖戦術を持つ種の精巣は非常に重いということが分かった。しかし、この傾向に矛盾する種も見られる。現在は父性判定が進んでいないため、行動観察によってのみ精子競争のリスクを評価している。それゆえ、この結果は精子競争のリスクは正しく評価されていない状態でものである。今後は父性判定を進めていく。
著者
梶田 将司 太田 芳博 若松 進 林 能成 間瀬 健二
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告インターネットと運用技術(IOT) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2007, no.38, pp.65-70, 2007-05-10
被引用文献数
4

現在,我々は,巨大地震などの大規模災害時において,大学構成員の安否確認を信憑性高くかつ迅速に行うためのシステム開発を行っている.特に,災害発生直後の人命救助等を目的とした安否確認ではなく,講義の再開など,大学における教育研究活動等の事業活動の再開を判断するための安否情報の取得を目指している.そのための必要な要件としては,(1)ユーザ認証を必須とすることで信憑性の高い安否情報の収集が可能であること,(2)使用する情報システムの稼働が災害時においても保証されること,(3)災害時にしか使用しないシステムではなく,継続的にいつでも利用できるシステムであること,(4)学務などの他の情報サービスとの連携も可能であること,が重要であると考えている.そこで,我々は,情報・サービスの統合的な提供を目指し構築している名古屋大学ポータルを利用した安否確認システムを構築し,2006年10月の地震防災訓練から試験運用を開始した.本報告では,構築した安否確認システムについて述べるとともに,安否確認訓練を通じて得られた知見・経験を述べる.This paper describes a Survivor Confirmation and Management Services through Nagoya University Portal (MyNU), which is intended to confirm who is alive after a major disaster crisis like a large-scale earthquake, and manages the data for recovery planning. In the area of central Japan, a periodical large-scale earthquake with a magnitude of 8 could happen anytime within 10 years, and a huge damages including from 9,200 to 4,500 deaths is estimated in the area. After initial search and rescue activities, it is crucial for Nagoya University to make a recovery plan that determines when and how our teaching, learning and research activities are going to be resumed. Getting the latest and reliable status from individuals like faculty, staff and students is the base line for the recovery planning. In our proto system development, we realized that (1) survivors can input their latest status using PC-based Web browser and Cellular phone-based Web browser with LDAP based-user authentication through HTTPS, (2) administrative staff can manage the latest status and make the list in Excel format, (3) MyNU servers are load-balanced between Nagoya and Kyoto by DNS Round Robin to attain fault tolerant in a wide area.
著者
太田 保之
出版者
長崎大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1997

1990年11月に始まった雲仙岳噴火災害は、1996年6月に噴火終息宣言が出されるまでに、44人の死者と広大な農耕地や多数の・家屋の焼失・埋没をもたらした。1991年9月から1995年9月までの期間に行われた被災住民の精神的健康に対する支援活動の中で、総計5回の健康調査が実施された。調査によって、次の諸点が明らかになった。(1)General Health Questionnaire30項目版(GHQ)の所見から、(1)GHQ得点8点以上(GHQ高得点者)のハイリスク群は、被災から8年間で66.9%から32.4%へと低下したが、被災地と同じ島原半島にあり、社会・経済状況が類似した対照地域の住民のGHQ高得点者率(12.3%)よりも明らかに高い水準にあった。しかし、(2)「不安感・緊張感」関連症状や「社会的無能力感」関連症状などは、避難生活開始から12ヶ月で改善した。(3)「抑うつ感」関連症状は、避難生活開始から3年〜4年以上も継続していた。(4)「対人関係困難感」関連症状は、被災から8年後にも継続していた。このように、被災住民の精神状態は時間経過と共に変化することが明らかになった。(2)自宅に戻った後の被災住民の生活実態と精神状態との関連でみると、(1)生活リズムの顕著な変化、(2)家族内役割の顕著な変化、(4)馴染みの人との付き合い減少、(5)健康感の喪失、などは精神的不健康と有意な関係にあった。(3)被災住民の精神的不健康のリスク要因は、(1)女性、(2)中・高齢者、(3)持病で長期間の受療者、(4)初期の頻回避難経験者、(5)自営業的就業者などであった。災害発生時には、被災住民の支援ニーズ変容プロセスを念頭に置いて、支援活動を行うことの必要性が明らかになった。
著者
太田 信宏
出版者
学術雑誌目次速報データベース由来
雑誌
東洋文化研究所紀要 (ISSN:05638089)
巻号頁・発行日
vol.142, pp.240-200,viii-ix, 2003

This paper attempts to examine the political system of the third (Tuluva) dynasty of Vijayanagara during the first half of the sixteenth century with special emphasis on its foundation, the Nāyaka system, mainly based on the contemporary inscriptions and the travel books of two Portuguese merchants who visited the royal capital, Vijayanagara.In the Nāyaka system, kings assigned nāyakas few tracts (sīmes) as their fiefs (nāyakatanas) on the condition of military service and tribute.Kings had strong political control over nāyakas who were obliged to stay in the royal capital and daily attend the royal court and whose fiefs were transferred from one place to another in a rather short period of time.Nāyakas did not have their own power bases in the specific province, as has been generally understood.The Nāyaka system functioned systematically as "the so-called actual mechanisms of state power" throughout the period of the Tuluva dynasty.Thus the Vijayanagara kingdom of the Tuluva dynasty can never be defined as a "segmentary state" which, in principle, denies kings any political control over their segments (nāyakas).On the other hand, the state-wide administrative and military organization under the direct control of kings was in an immature state.The royal demesne seemed to be small as compared with the total of all nāyakas' fiefs.The strength of the kingdom depended largely on the personal ability and resource of nāyakas, who were assigned the major role both in the provincial governance and the military mobilization.As shown by the frequent occurrence of the internal conflict involving powerful nāyakas, kings could not take for granted the loyalty and submission of nāyakas.A factor which encouraged nāyakas to behave autonomously and independently vis-à-vis kings was the possibility of political career the former could expect in other states such as Deccan Muslim kingdoms which were in intermittent conflict with the Vijayanagara kingdom and in need of men with ability and mobile resources like nāyakas.Under the Tuluva dynasty we see the sophistication and intensification of royal performances which show off the personal dignity and prowess of kings.They might serve to compensate for the weakness and vulnerability of kings inherent in the political system.