著者
佐々木 周作 奥山 尚子 大垣 昌夫 大竹 文雄
出版者
行動経済学会
雑誌
行動経済学 (ISSN:21853568)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.126-130, 2015 (Released:2016-05-07)
参考文献数
15

人は思いやりの気持ちを持つ.一方,誰にでも等しく思いやるわけではないことも知られている.本研究では,米国・ドイツ・シンガポール・韓国・日本の5ヶ国で実施した相互比較可能な全国規模調査のデータを用いて,社会的関係性の異なる複数の他人をどのくらい等しく思いやるか,という思いやりの傾向の国際差を検証した.具体的には,「あなたの家族」および「同じ地域(市町村や集落)に住む人」「同じ都道府県や州に住む人」「同じ国の人」「外国の人」の5者に対する思いやりの水準を計測し,その水準を5ヶ国で比較した.主要結果は二つある.一つは,思いやりの水準を各国内で比較すると,どの国においても,対象が家族から外国の人に向けて移行するにつれ,思いやりの水準が下落する傾向があることがわかった.次に,5ヶ国間で比較すると,思いやりの水準は国によって異なることがわかった.特に,家族以外の4者に対する日本・韓国の思いやりの水準が,他の3ヶ国よりも低かった.
著者
奥山 泰裕 山田 裕道 池田 志斈
出版者
日本アフェレシス学会
雑誌
日本アフェレシス学会雑誌 (ISSN:13405888)
巻号頁・発行日
vol.27, no.2, pp.139-144, 2008-05-31
被引用文献数
1

Toxic epidermal necrolysis (TEN) is one of the serious drug eruptions with a high mortality rate. TEN also may cause severe consequences such as visual or respiratory disorders. Therefore, immediate diagnosis and initiation of correct therapy are most important. Apheresis therapy including plasma exchange for the treatment of TEN has been approved by the National Health Insurance System in Japan from 2006, due to the accumulation of successfully treated TEN patients with apheresis. In this study, we summarized the TEN patients treated with apheresis in our country, and discussed the timing to recruit the apheresis, as well as the mechanisms of apheresis. These examinations will provide an insight into a more appropriate treatment modality for the patients with TEN.
著者
奥山 彬
出版者
The Society of Synthetic Organic Chemistry, Japan
雑誌
有機合成化学協会誌 (ISSN:00379980)
巻号頁・発行日
vol.60, no.8, pp.794-799, 2002-08-01 (Released:2009-11-13)
参考文献数
8
被引用文献数
1

The key issue of the present drug development is to find the lead compound in the minimum time and cost by using all kinds of new and traditional technology such as genomic drug discovery, random High Throughput Screening (HTS), virtual screening, combinatorial chemistry, X-ray crystal analysis, molecular modeling and so on. It is crucial to build up efficiently Chemical Compound Library with wide diversity to be applied to HTS for any kind of biological activity. University Compound Project at Foundation for Education of Science and Technology was started on February 2002, to use more efficiently not commercially-available domestic and abroad University Compounds (UC) for the drug development by building up the University Compound Data Base (UCDB). So far, 60 chemists at 35 universities and institutes, and 12 companies have joined to the project. The project has collected about 29, 000 UCDB available to the participating companies for the selection of UC and would add about 10, 000 UCDB every year.
著者
奥山 治美
出版者
社団法人日本農芸化学会
雑誌
日本農芸化学会誌 (ISSN:00021407)
巻号頁・発行日
vol.69, no.5, pp.583-585, 1995-05
参考文献数
9
被引用文献数
3
著者
奥山 眞紀子
出版者
日本小児科学会
雑誌
日本小児科学会雑誌 (ISSN:00016543)
巻号頁・発行日
vol.114, no.12, pp.1988-1995, 2010-12-01
著者
飯田 康夫 奥山 康子 豊 遙秋 青木 正博 春名 誠
出版者
日本鉱物科学会
雑誌
日本岩石鉱物鉱床学会 学術講演会 講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.2005, pp.69-69, 2005

ラマン分光法は,赤外分光法とともに,分子や結晶の振動状態に関する情報をもたらす,振動分光法であり,物質の同定などを通して,鉱物学や岩石学においても有用な研究手段になると考えられる.著者らは,鉱物と人工的な無機物質のラマンスペクトル・データベースを構築してきた.2005年7月現在,無機化合物597件,鉱物580件について,ラマン・スペクトルのデータを蓄積している.スペクトルのデータは,産総研研究情報公開データベース(RIO-DB)制度によって,ネットワーク公開している.
著者
加藤 俊博 奥山 治美 徳留 信寛 織田 久男 渡辺 和彦 木村 眞人
出版者
一般社団法人日本土壌肥料学会
雑誌
日本土壌肥料學雜誌 (ISSN:00290610)
巻号頁・発行日
vol.80, no.2, pp.192-200, 2009-04-05
被引用文献数
1

健康志向が世界的に高まりつつあり、わが国においても、国民の食育、食と健康に関する関心は益々高くなっており、食生活の重要性が強く認識されつつある。一方、国民の「栄養と健康」に関する知識の現状はなお不十分で、野菜摂取量不足等によるビタミン、ミネラル不足あるいは油脂・脂肪(リノール酸、トランス脂肪酸)の取りすぎ等による栄養摂取のアンバランスががん、心疾患等の生活習慣病を助長している。他方で、消費者の健康食品・機能性成分に対する関心は高く、栄養補助食品としてビタミンやミネラル成分が摂取されている。しかし、ミネラル等の栄養補助食品では過剰摂取による弊害も発生しており、野菜等の食物からの摂取を積極的に勧める必要がある。このため、行政サイドからも、野菜摂取量の増加が叫ばれているものの、食生活の変化から、こども、若者高齢者を中心に野菜を十分に摂取できていないのが現状であり、流通と消費の両サイドから十分量のミネラル強化野菜の周年安定供給が望まれている。
著者
奥山 正 オクヤマ タダシ Okuyama Tadashi
出版者
山形県立産業技術短期大学校
雑誌
山形県立産業技術短期大学校紀要 = Research report of Yamagata College of Industry & Technology (ISSN:2185470X)
巻号頁・発行日
no.18, pp.43-46, 2012-10-31

要旨:ビンゴロボット競技会は,毎年2月に開催されている東北ポリテクニックビジョンの中で,『学生のものづくりへの製作意欲の喚起・技術力の向上』を目的として行われている.昨年度まで10回の大会が開催されているが,その中で大きなルール変更が行われてこなかった.そのため,今年度大きくはないが新ルールを加えて開催されることとなった.この新ルールは,確保側から格納側へ直接移動(ショートカット)することを防ぐ目的で,片側に障害物を2個配置し,全体で4個の障害物を配置する.これに伴い,ロボットの大きさ・プログラムに,これまで以上に制約が生じてきた.本稿では,これまでの大会の参加の状況と新ルールになったことによる,ロボット製作の方向性について述べる. キーワード:ビンゴロボット競技会,東北ポリテクニックビジョン
著者
松井 陽佑 奥山 拓朗 市川 勝 安部 記子 渡邉 和裕 吉野 靖
出版者
JAPANESE PHYSICAL THERAPY ASSOCIATION
雑誌
日本理学療法学術大会
巻号頁・発行日
vol.2011, pp.Ea1028-Ea1028, 2012

【はじめに、目的】 転倒予防対策の方略としては,対象者個々の転倒リスクの評価に基づき転倒の内的・外的要因を解消させるための取り組みを行うべきであるが,簡便且つ客観的な評価方法は未だ統一されていないのが現状である.特に通所系サービスでは利用初日から送迎や移動を伴うため,初回利用日までに転倒リスクを判定し,結果を関連職種で共有しておくことが望ましく,またケアマネジャーをはじめ関連職種との情報共有にも配慮することが必要である.そこで本研究では,当院通所リハセンター利用者の転倒に関するデータを収集・解析し,転倒状況から転倒と関連のある項目を抽出することを目的とした.【方法】 要介護高齢者の転倒要因については,関連文献(Karenら 2001, 他)から抽出するとともに,全国回復期リハ病棟連絡協議会が作成した『転倒リスクアセスメントシート(以下,アセスメントシート)』の項目を準用した.このアセスメントシートは,【a.転倒歴,b.中枢神経麻痺,c.視覚障害,d.感覚障害,e.尿失禁,f.中枢神経作用薬,g.移動手段,h.認知障害】の全8項目からなり,各項目の有無により0~2点を与え,合計点からリスク1(0~3点,転倒の可能性がある),リスク2(4~6点,転倒を起こしやすい),リスク3(7~10点,転倒をよく起こす)の3グループに分類するものである.これらを合わせた全38項目を取り入れた追跡記録用紙を作成し,当通所リハセンターの看護師・介護福祉士・PT・OTにより,プロジェクト開始時以降3ヶ月ごと,および転倒時に記録された.対象者は,平成23年4月1日時点で当院通所リハを利用中の要介護者107名(男61名,女46名,平均73.3±9.0歳,要介護度1:18名,2:32名,3:26名,4:25名,5:6名)で,それぞれプロジェクト開始日から前向きに追跡調査された.3ヶ月間収集したデータについては統計学的検討を行い,非転倒者と転倒者との比較において転倒と有意な関連性のある項目の抽出を試みた.【倫理的配慮、説明と同意】 本研究は当院倫理委員会の承認を得て実施している.【結果】 観察期間中の転倒発生件数は24件(22%)であった.107名のうち16名(15%)が1回以上の転倒を経験し,6名(6%)が複数回転倒者であった.転倒場所は居室が最も多く(46%),転倒の96%が日中に発生していた.転倒時の外傷状況として,10件の転倒では外傷はみられず,14件(58%)にて打撲・切創・擦創がみられた.大腿骨頚部骨折や頭部外傷等の重篤な外傷はみられなかった.また,臨床データと転倒の有無をクロス集計にて整理しχ2適合度検定の結果,臨床データと転倒の有無に有意な差を認めた項目は,「中枢神経麻痺の有無」,「中枢神経作用薬の使用」,「過去1年の転倒歴」,「背中が丸くなった」,「1人で動こうとする」,「つまづくことがある」であった(p<0.05).【考察】 通所系サービスでは,利用初日から送迎や移動を伴うため,初回利用日までに転倒リスクを判定し,結果を関連職種で共有しておくことが望ましい.その意味で,本研究は簡便かつ客観的に評価できるアセスメントシートを作成するためのデータ収集の端緒となりうるものと考えられた.また,在宅ケアには様々な職種が関わるため,複雑な判定基準を要するアセスメントは使いにくい.本研究における評価には,PT・OTだけではなく看護師や介護福祉士も加わっており,今回の評価項目が多職種協働のツールとなり,ひいては情報共有の一助になる可能性が示唆された.本研究の転倒群・非転倒群の比較では6項目において有意差を認めたが,調査期間が短いことから今後は症例数を増やして調査を継続していく必要がある.なお,将来的には症例数や調査期間を再調整したうえで,転倒関連項目の統計学的抽出を行い,通所リハで活用できる簡便な転倒リスクアセスメントシートの作成につなげていく予定である.【理学療法学研究としての意義】 高齢者が要介護状態となった様々な要因を踏まえて転倒リスクを判定することは,転倒予防に有用である可能性がある.将来的に,本研究の結果に基づいた簡便に判定できるアセスメントを作成する予定であり,在宅支援に関わる専門職種間での情報共有を図る端緒として有意義である.
著者
馬場 英朗 石田 祐 奥山 尚子
出版者
日本NPO学会
雑誌
ノンプロフィット・レビュー (ISSN:13464116)
巻号頁・発行日
vol.10, no.2, pp.101-110, 2010

NPO法人の財源については,事業収入のような自律した財源を伸ばすべき,寄付や会費などの多様な財源も確保すべき,といった様々な議論が行なわれている.本稿では,NPO法人の収入構造と財務的持続性の関係について,大阪大学NPO研究情報センターが公開するNPO法人財務データベースを用いて,計量モデルによる実証分析を行なった.その結果,短期持続性については事業収入を集中的に拡大することが有効であり,中長期持続性については寄付金や会費などの多様な財源を獲得することが有効であると判明した.現在,多くのNPO法人では日々の業務に追われ,ファンドレイジング活動に労力を割けないという実態がある.しかし,寄付などの幅広い財源を確保できなければ中長期的に疲弊して,NPO法人が活動を持続できなくなる可能性がある.パネルデータや寄付及び事業収入などの内訳情報を入手して引き続き研究成果を積み上げることにより,NPO法人がとるべき収入戦略を探る必要がある.<br>
著者
奥山 倫明
出版者
東京大学文学部宗教学研究室
雑誌
東京大学宗教学年報 (ISSN:2896400)
巻号頁・発行日
vol.8, pp.55-73, 1991-03-20

Focusing upon Eliade's study of religion, we can obtain the following perspective, with which to differentiate two planes of his argument. Discussed first is his theory of religious phenomena: the paradoxically constituted theory of religious experience and behavior. His argument of religious experience, categorized as hierophany, is paradoxical in that the sacred manifests itself in the profane, which restricts the former within the temporality of history. His argument of religious behavior is viewed in terms of the succession of death and rebirth. Both in shamanism and in yoga, the shaman and the yogin transcend history by symbolic death, as does the initiate in initiation. Thus, symbolic rebirth paradoxically necessitates symbolic death. Discussed next is his background of religious theory : the reintegration into the primordial interpreted in his religious symbolism by abolishing history. This recurrence of reintegration can be related to his thought on the origin of time and history. In his thought, human beings'restricted condition within time and history arises from their fall from paradise. This paradise lost also causes his nostalgia for that reintegration. These two planes are bridged with his view on the sacred in relation.to human beings as being ambiguous. The ambiguity is understood as follows. As the sacred transcendentally involves a negative phase, human beings have an ambivalence toward the sacred. In other words, the dual-phased sacred fascinates and terrifies us. Furthermore, that ambiguity, in Eliade's view, springs from the paradox in human beings'nature. We can almost state, moreover, that his view of-the ambiguity of the sacred originates with the fall of human beings from paradise ( and the totality of the sacred ) to the temporality of history.
著者
餅田 治之 大塚 生美 藤掛 一郎 山田 茂樹 幡 建樹 大地 俊介 奥山 洋一郎
出版者
(財)林業経済研究所
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2012-04-01

本研究の目的は、日本の育林経営がビジネスとして経営されるようなるには、どのようなビジネスモデルを想定すべきか、またそのモデルを実現するためにはどうした条件が必要かを考察することである。世界の林業が人工林育成林業化している中で、わが国の育林経営だけが経営として成立しないのは、経営の仕方に問題があるからだと考えられる。現に、国内の育林経営も、速水林業のように近年急速に育林コストを低下させている事例、耳川広域森林組合のように受託経営している市町村有林を黒字化している事例、速水林業および住友林業のように育林をコンサル事業として展開している事例など、ビジネス化の条件が整いつつある事例が見られる。
著者
安田 治正 三嶋 正芳 米本 俊良 奥山 裕司
出版者
一般社団法人 日本集中治療医学会
雑誌
日本集中治療医学会雑誌 (ISSN:13407988)
巻号頁・発行日
vol.17, no.3, pp.327-332, 2010-07-01 (Released:2011-01-25)
参考文献数
14
被引用文献数
4 1

症例は61歳,男性。心筋梗塞に伴う左室自由壁破裂にて修復術を施行,術後心房細動となった。電気的除細動にて回復後,洞調律維持を期してピルジカイニド150 mg·day−1が投与されていた。術後第47病日,高K血症に対し透析を予定したが,心室頻拍を呈しICU再入室となった。高K血症の心室頻拍への関与は否定できず,直ちに持続的血液濾過透析(continuous hemodiafiltration, CHDF)を開始した。血清K値は12時間で正常域に復したが,多形性心室頻拍が持続していたため,ピルジカイニドによる催不整脈作用を疑った。不整脈出現中,血中ピルジカイニド濃度は終始高値(最低4.62 μg·ml−1,有効治療域0.2~0.9 μg·ml−1)であった。CHDF開始後36時間で洞調律に復帰した。この時,血中ピルジカイニド濃度は3.36 μg·ml−1と,なお高値であった。CHDFによるピルジカイニドの除去効果は不十分と考えられたが,血中濃度の低下に伴い洞調律復帰が得られた。ピルジカイニド中毒による不整脈の治療に際し,可及的速やかに血中濃度を下げることが有効であり,CHDFの有用性が示された。