著者
渡辺 賢一 井上 幹雄 中野 るりこ 文 娟 国崎 恵 水戸 沙耶佳 馬 梅蕾 TV プニヤコッテイ G ナラシマン PS スレシュ P パラス M ワヘッド KA ファデア AE リヤド H ベナム 平山 匡男 小林 隆司 小山 博史 神田 光雄
出版者
新潟大学
雑誌
新潟医学会雑誌 (ISSN:00290440)
巻号頁・発行日
vol.120, no.5, pp.279-289, 2006-05-10

【目的】γ-aminobutyric acid (GABA)・リンゴ酢含有飲料水「顆糖熟(かとなーる)^[○!R]」の血圧に及ぼす作用と安全性を検討した.【方法】対象は,正常血圧者(収縮期血圧130mmHg未満かつ拡張期血圧85mmHg未満.N群.8名)と未治療正常高値血圧者(収縮期血圧130-139mmHgまたは拡張期血圧85-89mmHg)・軽症高血圧患者(収縮期血圧140-159mmHgまたは拡張期血圧90-99mmHg)のH群(10名)のボランテア計18名(男/女=13/5.平均46±3歳.)である.1本90mlにGABA70mg含有する飲料水「顆糖熟^[○!R]」を1日1本12週間摂取し,2週間毎に血圧・血液生化学・尿を検査した.【結果】診察所見・自覚所見で有害事象は見られなかった.N群では摂取による血圧の有意な変化は見られなかった(収縮期血圧118±3mmHgから113±4mmHg).H群では,摂取6週目から血圧低下が見られ,開始日(収縮期血圧136±2mmHg)と比較して10・12週目に有意な低下が見られた(収縮期血圧129±3・128±4mmHg,両p<0.05).興味深いことに,摂取中止2週後は更に血圧が低下し(126±3mmHg,p<0.05),中止4過後に血圧が上昇してきて摂取前と差が見られなくなった(130±4mmHg).摂取による血液生化学・尿検査の異常変化は見られなかったが,血糖値・GOT・γ-GTP・LDHの有意な低下と総コレステロール値の低下傾向が見られた.【総括】GABA含有飲料水「顆糖熟^[○!R]」は正常高値血圧者・軽症高血圧患者で緩やかに血圧を降下させ,安全性が高いことが示唆された.
著者
兼宗 進 小林 祐紀 白井 詩沙香 清水 匠 片岡 仁
雑誌
情報教育シンポジウム論文集
巻号頁・発行日
vol.2017, no.29, pp.188-189, 2017-08-10

2020 年度から小学校でのプログラミングが必修化される.目的はプログラミングの考え方 (プログラミング的思考) を通して論理的な思考力を養うことにあり,「プログラムの体験」 が目的ではない.また,プログラミングのための教科は作られず,総合的な学習の時間や教科の中で扱うことになる.そこで筆者らは理科や算数などの教科の中で,教科の学習目標を達成するためにプログラミングの考え方を用いる試みを 3 つの小学校で実践した.その概要を報告する.
著者
飛田 宗重 高田 博仁 土肥 守 千田 圭二 小林 顕 関 晴朗 亀谷 剛 宮澤 幸仁 小野寺 淳一 鈴木 博義 今野 秀彦 吉岡 勝 會田 隆志 野村 宏
出版者
一般社団法人 国立医療学会
雑誌
医療 (ISSN:00211699)
巻号頁・発行日
vol.57, no.8, pp.503-507, 2003-08-20 (Released:2011-10-07)
参考文献数
6

進行性核上性麻痺(progressive supranuclear palsy:PSP)は, いまだ病因不明で治療法未確立の難治性疾患であるが, 疫学調査を行うにも共通の登録基準さえ整備されていない状況にあった. 近年, 「神経疾患の予防・診断・治療に関する臨床研究班」(湯浅班)において, 疫学調査のための登録基準が提唱されたことを契機に, 東北ブロック政策医療神経筋疾患ネットワーク参加施設にてPSPの療養環境整備にむけた共同研究を施行した. 最初に剖検例を対象に登録基準の有用性について検討した. 病理学的に診断確定したPSP7例全例が登録基準を充たしていたが, PSPと鑑別を要する疾患群(MSA4例, PD8例, DLB4例, CBD1例)はいずれも登録基準を充たさず, 登録基準の有用性が示された. 次いで登録基準を用いて患者登録を行い, 療養環境について調査した. 今回の調査では, 入院療養への依存度が高く, 介護保険の利用が少ない実態が認められた. 重症化してから長期入院療養目的で国立医療機関へ紹介される症例が多い傾向を反映しており, 療養上の諸問題について検討した.
著者
小林 正武 南里 和紀 田中 伸幸 長谷川 明 田口 丈士 齊藤 和裕
出版者
日本神経学会
雑誌
臨床神経学 (ISSN:0009918X)
巻号頁・発行日
vol.50, no.10, pp.704-709, 2010 (Released:2010-11-04)
参考文献数
25
被引用文献数
1

症例は76歳女性である.12年前に多系統萎縮症と診断され徐々に歩行障害が進行し独歩困難となった.頭部MRI T2強調画像で両側被殻は低信号,その外側に線状高信号をみとめ,SPECTでは両側線条体の血流低下所見をみとめた.抗GAD抗体陽性1型糖尿病,抗甲状腺抗体陽性,抗内因子抗体陽性ビタミンB12欠乏症であり多腺性自己免疫症候群3型に関連したパーキンソニズムと診断,ビタミンB12筋注治療,大量免疫グロブリン療法により安定した歩行が可能となった.診断困難な難治性神経疾患患者を診療する際には多腺性自己免疫症候群に関連したビタミンB12欠乏症,自己免疫機序の神経障害である可能性を考慮し十分な鑑別診断をおこなう必要がある.
著者
富田 益臣 大塚 泰史 飯田 里菜子 小林 政司 栗山 哲 細谷 龍男
出版者
社団法人 日本腎臓学会
雑誌
日本腎臓学会誌 (ISSN:03852385)
巻号頁・発行日
vol.47, no.5, pp.531-535, 2005-07-25 (Released:2010-05-18)
参考文献数
11

An 85-year-old woman with Parkinson's disease was admitted to our hospital to conduct a further work-up for progressive gait disturbance. She had been on medications for the disease for more than a decade prior to admission. In order to improve her condition, she was newly administered pramipexole, a dopamine agonist, from day 3 in addition to the preceding anti-Parkinson's therapy. However, on day 10, her consciousness level was rapidly deteriorated into delirium (JCS II-10), which was not accompanied by neurological signs and symptoms. Laboratory tests showed severe hyponatoremia with relatively increased urinary sodium excretion, and severe low serum osmolarity with an increased urinary osmolarity. Brain CT and brain MRI showed no specific abnormalities except for those related to aging. Blood concentration of ADH measured at the onset was substantially higher (39.5pg/ml) than normal (0.3-3.5pg/ml under normal osmolarity). Diseases causing hyponatremia, such as liver cirrhosis, congestive heart failure, hypotonic dehydration, and malignancy-associated inappropriate ADH secretion (SIADH), were all excluded. Under the suspicion of SIADH due to pramipexole, the drug was discontinued and as a result, her consciousness level improved rapidly together with a prompt reduction in ADH level (9.2pg/ml).To the best of our knowledge, the present case is the first that demonstrates pramipexole-induced SIADH. Since pramipexole is classified as a dopaminergic receptor agonist, this case may provide new insight into a link between ADH and the dopaminergic receptor in the central nervous system.
著者
浅輪 智丈 杉山 幸宏 小林 幸基
出版者
日本イオン交換学会
雑誌
日本イオン交換学会誌 (ISSN:0915860X)
巻号頁・発行日
vol.27, no.3, pp.42-46, 2016-09-25 (Released:2016-09-21)
参考文献数
6
被引用文献数
2

当社は水道水向け殺菌剤, 高純度次亜塩素酸ソーダ水溶液「ニッケイジアソー®S」の上市を皮切りに, その応用展開として化学反応向け次亜塩素酸ソーダ5水塩「ニッケイジアソー®5水塩」を開発し, 多くの研究者の方々に使用していただくための, 基礎的な酸化反応例や物性情報の収集を進めてきた。ここではニッケイジアソー®5水塩を紹介し, その特徴と幾つかの応用事例についても報告する。
著者
井関 文 畠 榮 加藤 克幸 小林 晴美 原 稔晶 下山 芳江 中村 栄男 松下 正
出版者
一般社団法人 日本臨床衛生検査技師会
雑誌
医学検査 (ISSN:09158669)
巻号頁・発行日
vol.66, no.3, pp.289-296, 2017-05-25 (Released:2017-05-31)
参考文献数
14

浸潤性小葉癌組織球様細胞亜型(histiocytoid breast carcinoma; HBC)は,多形型浸潤性小葉癌に含まれるまれな組織型で,アポクリン分化が指摘される。今回われわれは,細胞診で組織球様腫瘍細胞が多量に出現したHBCの1例を経験した。症例は80歳代,女性で,左乳房腫瘤の穿刺吸引細胞診で,広い泡沫状細胞質を有する組織球様細胞や,好酸性顆粒に富むアポクリン様細胞を,散在性または疎な結合の重積性集塊で認めた。病理組織学的には,Alcian blue染色がびまん性陽性を呈した。ジアスターゼ抵抗性PAS反応は好酸性顆粒に富む細胞では強陽性,好酸性の弱い泡沫状細胞では陰性もしくは弱陽性を示した。GCDFP-15は陽性で,好酸性の弱い細胞により強染した。Adipophilin陰性,CD68陽性,ER,PgR,HER2陰性,androgen receptor陽性,Ki-67陽性率2%,p53はweakly 5–10%であった。E-cadherinは陰性,p120は細胞質内にびまん性陽性を示し,浸潤性小葉癌の組織球様細胞亜型(HBC)と診断した。HBCは,出現様式や粘液の染色態度が多形型浸潤性小葉癌と同様であったが,核異型,HER2,p53発現,Ki-67陽性率が異なり,それらは両者の鑑別点となると考えられた。またadipophilinが陰性を示し,アポクリン所見は不完全であった。
著者
小林 一哉
出版者
The Japanese Society of Reanimatology
雑誌
蘇生 (ISSN:02884348)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.123a-123a, 2014

PDFファイルをご覧ください。
著者
緒方 雄一朗 薮田 ひかる 中嶋 悟 奥平 恭子 森脇 太郎 池本 夕佳 長谷川 直 田端 誠 横堀 伸一 今井 栄一 橋本 博文 三田 肇 小林 憲正 矢野 創 山下 雅道 山岸 明彦 たんぽぽ ワーキンググループ
出版者
日本地球化学会
雑誌
日本地球化学会年会要旨集
巻号頁・発行日
vol.58, pp.175-175, 2011

始原小天体有機物は、太陽系および生命原材料物質の起源と進化を理解するための重要な情報を記録している。「たんぽぽ計画」では、大気圏突入時の熱変成や地上での汚染を受けていない宇宙塵を、国際宇宙ステーション上に超低密度シリカエアロゲルを設置して回収を試みる予定である。しかし、この方法では、宇宙塵のエアロゲルへの衝突により変成する可能性を考慮する必要がある。そこで本研究では、宇宙科学研究所・スペースプラズマ実験施設の二段式高速ガス銃を用いて、隕石微粒子の高速衝突模擬実験を行い、マーチソン隕石微粒子をシリカエアロゲルに撃ち込んだものを取り出し、2枚のアルミ板にはさみハンドプレスして圧着された隕石微粒子を、片方のアルミ板に載せた状態で、赤外顕微分光装置と顕微ラマン分光装置で測定を行った。また、SPring-8, BL43IRの高輝度赤外顕微分光装置IFS120HRでイメージング測定を行い、衝突前後の隕石有機物の分子構造の変化を見出すことを目的とした。
著者
児玉 麻衣子 小林 美貴 片山 寛次 田辺 公一 森田 達也
出版者
日本緩和医療学会
雑誌
Palliative Care Research (ISSN:18805302)
巻号頁・発行日
vol.12, no.4, pp.311-316, 2017 (Released:2017-11-28)
参考文献数
19
被引用文献数
4

医療者による緩和ケアの質評価尺度のうち,アウトカムの評価尺度としてGood Death Scale(以下,GDS)があり,その信頼性と妥当性が確認されている.本研究の目的は,言語的に妥当な翻訳版を作成する際に標準的に用いられる手順に従い,GDS日本語版(以下,GDS-J)を作成することである.順翻訳においてGDSの問3. Has the patient arranged everything according to his/her own will? の“will”の日本語訳と,その日本語訳「意思」の逆翻訳に意見の相違が見られた.研究チームで言語として原版と同等であると言語的妥当性を検討し,最終的には原版の開発者に承認を得てGDS-Jの確定とした.医療者による緩和ケアの質評価尺度であるGDS-Jを使用することで,自身の行う緩和ケアの質が評価可能となり,より質の高い緩和ケアの提供に役立つことが期待される.
著者
島田 拓 臺丸谷 政志 小林 秀敏 藤木 裕行 シレガル ラクマド・アリフ
出版者
一般社団法人日本機械学会
雑誌
年次大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.2004, pp.193-194, 2004

This paper is concerned with the tensile strength and strain rate of concrete materials by means of the experimental method of reflected tensile stress waves. The experiment is conducted by the Hopkinson bar technique and it is based on the superposition and concentration of tensile stress waves reflected both from the free ends of a striking bar and a specimen bar. The impact tensile experiment for concrete materials was carried out and the tensile strength of concrete under impact loadings was discussed as well as the effect of strain rates. This study is focused on the measurement of strain rates using both strain gages and crack gages. It is found that the impact tensile strength of concrete is remarkably influenced by strain rates ranging from 10^0 to 10^2 sec^<-1>.
著者
横山 卓志 楠田 哲士 曽根 啓子 森部 絢嗣 高橋 秀明 橋川 央 小林 弘志 織田 銑一
出版者
The Mammal Society of Japan
雑誌
哺乳類科学 (ISSN:0385437X)
巻号頁・発行日
vol.52, no.2, pp.207-214, 2012-12-30
参考文献数
12

飼育下キンシコウ(<i>Rhinopithecus roxellana</i>)の新生仔における行動発達を明らかにすることを目的とし,名古屋市東山動物園で2009年4月に生まれた雌の新生仔において,8ヶ月齢までの成長に伴って観察された行動の経日変化を記録した.また,それらの結果を,中国の国立陝西周至自然保護区の半野生集団および他の飼育下個体における報告と比較した.東山動物園の新生仔は,出生後約1ヶ月間は母親に依存していたが,1ヶ月齢から周辺環境や姉に興味を示し,積極的に接近や探索の行動を開始した.2~3ヶ月齢では姉と2頭で過ごしたりグルーミングに似た行動をしたりするなど社会行動が観察された.生後60日目以降,積極的に姉に近づくようになり,姉の存在がその後の新生仔の行動発達に影響を与えたと考えられた.自然保護区と比べ,木の登り降りや餌に興味を示す行動の発現が著しく早く,また5ヶ月齢以降,腹部接着や支持,近接,接近,離反およびグルーミング受容の行動スコアがほぼ一定となったことから,5ヶ月齢が行動発達の1つの区切りであったと考えられた.東山動物園におけるキンシコウ新生仔の行動発達過程は,群れの数や環境が大きく異なる中国の自然保護区の結果と一致していた.しかし,一部の行動の開始時期には大きな差が認められ,木の登り降りや餌への興味といった行動の発達は,成育環境に影響を受けているとも考えられた.<br>
著者
金子 竹男 小林 憲正 矢守 章
出版者
日本惑星科学会
雑誌
日本惑星科学会秋季講演会予稿集
巻号頁・発行日
vol.2003, pp.69-69, 2003

炭素質隕石からアミノ酸、核酸塩基を含む生体有機化合物が検出されていることから原始地球への有機物質の多くが地球圏外起源であったとする可能性が示唆されている。しかし、地球外有機物の地球への持ち込み時の安定性が問題である。これまで彗星や隕石による有機物の地球への持ち込み時の反応を調べる為に衝突実験(_から_2km/s)、アミノ酸の加熱分解実験およびシリカを共存させたアミノ酸の昇華実験が行なわれてきた。しかし、より速い速度での衝突実験は余り行なわれていない。我々は世界最速である宇宙研の電磁加速装置「レールガン」を用い高速衝突実験を行なっている。今回はグリシン水溶液および彗星を模擬したメタノール、アンモニア、水の混合物に高速衝突させた生成物について検討した。<BR>10mM グリシン溶液はステンレス製ホルダーに、また彗星を模擬したアンモニア、メタノール、水の混合物は金メッキしたステンレス製ホルダーに封入し、ドライアイスで冷却後、液体窒素で冷却しながらこれにポリカーボネート製の飛翔体を衝突させた。衝突速度は2.5_-_6.4 km/sであった。生成物の一部を6 M HCl, 110℃で24時間加水分解し、陽イオン交換樹脂で脱塩後、アミノ酸をN-アセチル-L-システインとo-フタルアルデヒドでポストカラム誘導体化する島津LC-6Aアミノ酸分析計で同定・定量した。またアミノ酸の重合物は加水分解前の試料を0.45μmのメンブランフィルターでろ過後、イオンペアクロマトグフィーおよびMALDI_-_TOF MSにより分析した。<BR>グリシンを用いた実験では、加水分解前にはグリシン重合物のピークは観測されなかったが、ジケトピペラジンの生成が示唆された。衝突速度の違いによる生成物の差は見られなかった。海底熱水系を模擬したフローリアクター実験から、グリシンの重合物およびジケトピペラジンの生成が報告されている。イオンペアHPLCの結果から、衝突による高温・高圧状態では、フローリアクター実験で報告されている通常の重合物と異なる物が生成していると考えられる。MALDI-TOF MSの結果からは、2環アミジンの生成が示唆された。これは耐熱性があり、衝突でも残存し、加水分解することでアミノ酸になることが分かった。<SUP>1)</SUP><BR>メタノール、アンモニア、水の混合物を用いた衝突実験では、生成物を加水分解することにより、セリン、グリシンなど多種のアミノ酸が生成することが分かった。<BR>高速衝突でグリシンから海底熱水系模擬実験や昇華実験とは異なる2環状アミジンの生成が示唆され、アミノ酸の一部は重合物を生成することにより衝突による分解を免れることが示唆された。彗星を模擬したメタノール、アンモニア、水の混合物から種々のアミノ酸が生成したことから、彗星の高速衝突によりアミノ酸前駆体が生成する可能性も示された。今後、模擬星間物質を用いた衝突実験を行ない、原始地球への地球圏外起源有機物質の持ち込みについて考察していく予定である。<BR>1)金子竹男、小林憲正、矢守章、スペース・プラズマ研究会平成14年度、79-82 (2003).
著者
小林 康二
雑誌
奥羽大学歯学誌 (ISSN:09162313)
巻号頁・発行日
vol.37, no.2, 2010-06
著者
久保田 将史 小林 琢也
出版者
岩手医科大学歯学会
雑誌
岩手医科大学歯学雑誌
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.51-68, 2015

高齢者人口の増加に伴い,味覚障害患者が増加している.味覚障害の病態と原因は多岐にわたり,歯科領域では口蓋を被覆する床義歯を装着した患者がしばしば味覚障害を訴えることがある.しかし,その因果関係は未だ明らかでない.本研究で義歯装着による味覚障害の原因を明らかにすることを目的に,従来までの主観的評価による検討ではなく,上位中枢より客観的評価が可能な非侵襲的脳マッピング法の1つであるfunctional Magnetic Resonance Imaging (fMRI)を用いて,口蓋の被覆が味覚応答に及ぼす影響を脳機能応答の観点から検討した.実験は,口蓋単独での味覚応答を脳機能応答として捉えるため,右利き健常有歯顎者15名を対象とし,口蓋に限局した味刺激を与えた.次に,口蓋被覆が味覚応答に及ぼす影響の検討を行うため,右利き健常有歯顎者14名に口蓋を被覆しない状態(コントロール)と口蓋を被覆した状態(口蓋被覆)で味刺激を与えた.両実験は,味刺激試液として各被験者の認知閾値に設定したキニーネ塩酸塩,洗浄用試液として人工唾液(25mM KCl, 25mM NaHCO_3)を用いた.本研究より,口蓋へ限局した苦味刺激により一次味覚野の島と前頭弁蓋部に賦活が認められた.また,口蓋被覆時の刺激では,コントロールと同様に一次味覚野の島と前頭弁蓋部,そしてさらに二次味覚野の眼窩前頭皮質に賦活が認められた.しかし,両条件間の脳活動範囲と脳活動量を比較したところ,口蓋被覆により一次味覚野と二次味覚野での賦活範囲は有意な減少が認められ,脳活動量においても一次味覚野で有意な減少が認められた.以上より,口蓋での味覚刺激応答が上位中枢で行われていることを客観的に捉えることができた.また,義歯による口蓋粘膜の被覆が,脳内の味覚応答を低下させることが明らかとなり,床義歯装着が味覚障害を惹起させることが示唆された.
著者
櫻庭 浩之 小林 琢也
出版者
岩手医科大学歯学会
雑誌
岩手医科大学歯学雑誌
巻号頁・発行日
vol.39, no.1, pp.1-13, 2014

不適切な下顎位で補綴治療が行われると, 咬合の不調和を引き起こし咬合接触の異常や下顎運動の異常を生じ, ひいては全身機能に影響を及ぼすとされている. 下顎偏位がストレス反応を介して, 不快や痛みのネットワークを賦活させることはこれまで報告されているが, その偏位方向や運動の種類による賦活の差に関しては検討されていない. そこで本研究は, 下顎偏位が脳機能に及ぼす影響を明らかにするために, 下顎を水平的偏位させた状態で Tapping 運動と Clenching 運動を行い, 非侵襲的脳マッピング法の1つである functional Magnetic Resonance Imaging ( fMRI ) を用いて脳機能応答の変化を観察した.<br> 実験は右利きの健常有歯顎者10名に咬頭嵌合位 (コントロール) と前方,左方および右方の下顎偏位条件でTapping運動とClenching運動の2種類の課題を行わせた. 画像解析を行い賦活部位の同定を行った後, コントロール条件と偏位条件での脳活動量の比較を行った. その結果, Tapping 運動時に,下顎偏位条件ではコントロール条件で賦活が認められなかった扁桃体に賦活が認められた. 扁桃体における脳活動量を比較すると, コントロールと比較して各水平的偏位条件で有意に活動量が増加していた. 一方, Clenching運動時には,下顎偏位条件ではコントロール条件で賦活が認められなかった腹内側前頭前野と扁桃体に賦活が認められ, これらの部位における脳活動量もコントロールと比較して各水平的下顎偏位条件で有意に増加していた.<br> これらの結果より,下顎の水平的偏位は偏位方向や運動の種類によらず不快を引き起こし, とりわけClenching運動においてより強い不快応答を伴うと推測される.