著者
小野 健吉
出版者
社団法人日本造園学会
雑誌
造園雑誌 (ISSN:03877248)
巻号頁・発行日
vol.49, no.5, pp.49-54, 1986-03-31
被引用文献数
1

明冶中期〜昭和初期にかけて京都を中心に多岐にわたる分野で活躍した日本画家・神坂雪佳は、庭園にも関心を示し、設計にかかわった大橋氏松ヶ崎別邸(無盡庵)庭園では雪佳らしい特色も出した庭園意匠を見せている。この時期、雪佳のほかに竹内栖鳳、橋本関雪らの画家も庭園に関心を持ち、自邸の庭園を作っている。そしてこれらの画家の庭園への関心が、この時期の京都の庭園の水準を引き上げる要因の一つであった。
著者
成橋 和正 野村 政明 亀井 浩行 小野 俊介 松下 良 清水 栄 横川 弘一 山田 清文 鈴木 永雄 宮本 謙一 木村 和子
出版者
公益社団法人日本薬学会
雑誌
藥學雜誌 (ISSN:00316903)
巻号頁・発行日
vol.123, no.11, pp.973-980, 2003-11-01
被引用文献数
13 16

従来の薬学教育における臨床教育の不足から,多くの薬学系大学院博士前期課程(修士課程)に薬剤師免許取得後の大学院生を対象とした臨床系の専攻やコースが設立されてきている.金沢大学でも,薬学研究科(現:自然科学研究科)に臨床薬学教育を主眼に置いた医療薬学専攻が平成8年に設立され,国立大学としては早期であった.本学医療薬学専攻では,薬剤師免許取得者を対象とし,臨床現場で指導的役割を果たす高度な薬剤師の養成および次世代の医療薬学教育研究に携わる人材の育成を教育理念としている.このため,医療薬学専攻の学生に対して医療現場の実習を通じて医療を担うものとしての自覚を深めさせるとともに,自然科学の素養を身に付けることを求めている.具体的な教育目標は,医療人としての倫理観の醸成,医療の専門家として健康と疾病に関する知識獲得,薬物治療に起因する問題の同定・評価・解決,ならびに,コミュニケーションに関する知識・技術の習得,さらには,関連分野における高い研究・開発能力を発展させることである.このため,発足当初は,入学初期の集中講義,1か月の市内保険薬局での薬局実習,6か月の本学医学部附属病院薬剤部での実務実習を行い,1年間を課題研究期間としていた.講義は学部教育に引き続き,基礎自然科学系科目が大半であり,臨床現場での実習との非関連性が学生からも指摘されていた.また,半年間の実習後に修士の学位論文の一部として病院実務実習篇の作成や口頭発表が要求されていたために,実質的な実務実習は,時間的に極めて限られていた.実務実習を終えたあとの課題研究は,医療薬学専攻ならびに生命薬学専攻に属する各研究室で行っていたことから,必ずしも臨床に近いものではなかった.さらに,学生が就職するのは実習終了後1年を経過した後であり,就職直前の学生から実務に対する不安がでたり,就職直後に修了生や雇用者から実習経験が薬剤師として十分に活かせていないとの声が聞かれた.このような問題点を踏まえて,平成13年度に医療薬学専攻のカリキュラムの改善を図った.医療薬学に対する幅広い知識を深めさせるため,臨床系講義科目を充実させた.この変更では,薬物治療の科学的基礎とともに,看護,倫理,心理,国際など,医療に関連する人文・社会系分野も開講し,受講する学生の講義科目数が増加した.また,実習に関しては,継続性や充実性を考慮し,実務実習期間を1年に延長した.最初の2か月間は薬剤師業務全般の集中的な導入実習として,6人ずつ4グループに分かれ,調剤部門(一般調剤・注射薬調剤,2週間),製剤部門(一般製剤・無菌調剤,1週間),薬剤管理指導部門(医薬品情報・医薬品管理・TDM,1週間:病棟業務,4週間)を行う.その後は学生1人に対し指導薬剤師1人というマンツーマン形式の個別指導とし,薬剤師職能の病棟の薬剤管理指導を中心の実習としている.これに対し,医療薬学専攻の各教官も3名程度の学生を担当し,面接などにより実習の進捗状況を把握するとともに,専門分野に応じた指導も担当している.しかしながら,実習(実務)の大部分は指導薬剤師により行われており,個別指導であるため学生全体としての質の評価や,問題点の抽出は行いにくい.そこで,この新カリキュラムによる講義の理解度や実習の達成度について,visual analog scale(VAS)を用いて,学生と指導薬剤師による評価を試みた.また,この評価結果から,新カリキュラムの問題点などについて考察することとした.
著者
堀 圭児 本川 善幸 多田 和也 小野田 光宣
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会論文誌. C, エレクトロニクス (ISSN:13452827)
巻号頁・発行日
vol.85, no.12, pp.1064-1069, 2002-12-01
被引用文献数
2

大気中においてITO及び金属の電極材料上に製膜する導電性高分子の膜厚を変えることによって接合界面の電子状態の変化を大気中光電子分光法及びケルビンプローブ法を用いて調べた.いずれの電極材料を用いた場合においても,大気中光電子分光法によって評価されたイオン化ポテンシャル(IP)の変化は界面から約10nmまでの領域で起きており,それ以降の膜が厚い領域では導電性高分子本来のIPに収束した.また,界面近傍でのIPの変化の度合は,電極材料の仕事関数に依存性を示した.一方,ケルビンプローブ法を利用して評価された基準電極と導電性高分子との間に生じる接触電位差と膜厚の関係は,電極材料によって顕著な違いが見られた.
著者
泉 朋子 泉 泰介 小野 廣隆 和田 幸一
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
研究報告アルゴリズム(AL) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2009, no.18, pp.49-56, 2009-02-26

証明書分散問題(Minimum Certificate Dispersal Problem, MCD)とは,グラフGと要求集合Rが与えられたときに,Rに含まれるすべての要求を満たすよう各ノードにGの辺を割り当て,各ノードに割り当てられる辺の総数を最小化する問題である.要求とはグラフG上の異なる2つのノードの順序対で表され,要求(u, v)を満たすにはノードu, vに割り当てる辺の和集合にGにおけるuからvへの経路が含まれる必要がある.MCDは与えられるグラフが強連結の場合においてもNP-困難であることが既に示されている.本研究では,MCDの近似可能性について議論する.まず,強連結グラフにおいてMCDの近似率の下界がOmega(log n)(nはGのノード数)であることを示し,さらに任意のグラフにおけるMCDに対する多項式時間O(log n)-近似アルゴリズムが構成可能であることを示す.また,既存研究において多項式時間2-近似アルゴリズムであると評価されていたアルゴリズムが,無向グラフを入力とするMCDに対しては多項式時間3/2-近似アルゴリズムであることを示す.Assume that G is a graph and that R is a set of requests which is represented by a reachable ordered pair of nodes in G. The problem discussed in this paper requires us to assign edges to each node such that all requests in R are satisfied and the total number of edges all nodes have is minimized for a given G and R. To satisfy a request (u, v), a set of assigned edges to u and v must contain a path from u to v in G. This problem is called the Minimum Certificate Dispersal problem (MCD) and is NP-hard even if the input graph is restricted to a strongly connected one. In this paper, we consider approximability of MCD. We clarify an optimal approximability / inapproximability bound in terms of order: we prove the approximation ratio of MCD for strongly connected graphs is Omega (log n) and MCD has a polynomial time approximation algorithm whose factor is O(log n) (n is the number of nodes in G). In addition, we prove that when a given graph is restricted to an undirected graph, the MCD algorithm proposed in [11] guarantees 3/2 approximation ratio.
著者
西口 克彦 小野 行徳 藤原 聡 猪川 洋 高橋 庸夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. ED, 電子デバイス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.105, no.549, pp.23-28, 2006-01-19

MOSFET技術で作製した室温で動作する単一電子転送素子と高感度電荷検出素子の複合デバイスについて報告する.転送素子は直列に接続された2つの細線FETで構成され、各FETを交互に開閉することで単一電子が電子蓄積部へと転送される。ハーフピッチ50nmの作製技術とバイアス条件の最適化により室温での単一電子転送が可能となった.また、微小チャネルを有する電荷検出用FETを電子蓄積部に近接して配置することで単一電子検出が可能となり、室温で0.005e/〓Hz@2Hzという高感度を得ることに成功した。高速な電子転送と長い電子保持を生かした応用例も示す.
著者
新垣 紀子 野島 久雄 北端 美紀 小野澤 晃 佐藤浩司
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告ユビキタスコンピューティングシステム(UBI) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2003, no.115, pp.183-188, 2003-11-18
被引用文献数
1

日常場面において人とモノがどのようにインタラクションをしているのかを解明するために、ある韓国の家庭の中にあったすべてのモノを収集してデータベース化した国立民俗学博物館の「2002年 ソウルスタイル展」のデータベースと、その家の中での家族メンバーの日常生活を撮影したビデオを対象として分析をおこなった。ビデオでの場面(朝食の支度など)は、さらに細かなレベルとして分節化し、最後は家の中のモノと具体的な関わりを持つレベルまで細分化して記述をおこなった。このような分析をおこなうことによって、身の回りのモノにタグが付くユビキタス環境におけるサービスのあり方についての考察をおこなった。To examine how people interact with everyday objects around them, we used a database created for Seoul Style 2002 exhibition by National Museum of Ethology. The database consisted of complete set of objects in a certain house in Seoul, Korea. We analyzed video of members of the family who lived in the house. We first identified commonplace daily activities, such as mother's making breakfast, and divided them into much smaller components (Basic levels), and finally, to subordinate level, in which people actually interact with physical objects themselves. This level corresponds to keystroke model in GOMS model by Card, Moran, and Newell (1983). By analyzing human activities with relevant objects, we tried to make a model of human actions, and which kind of services are actually feasible in coming ubiquitous environments which are full of ubiquitous tags on all objects around us.
著者
小野 晴寛 足立 圭子 福家 洋子 篠原 和毅
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品科学工学会誌 : Nippon shokuhin kagaku kogaku kaishi = Journal of the Japanese Society for Food Science and Technology (ISSN:1341027X)
巻号頁・発行日
vol.43, no.10, pp.1092-1097, 1996-10-15
被引用文献数
4 19

1) 沢わさびの水抽出画分を試料として,ヒト胃がん培養細胞MKN-28の増殖抑制作用を示す成分を単離し構造を決定した.<BR>2) Sephadex G-15で分取されたP 5画分は,5FU, MMCなどの抗がん剤よりも強い細胞増殖抑制活性を示した.<BR>3) FAB-MS, EI-MSによる測定結果から活性成分の分子量は205と決定され,組成式をC<SUB>8</SUB>H<SUB>15</SUB>N<SUB>1</SUB>O<SUB>1</SUB>S<SUB>2</SUB>とした.<BR>4) IRおよび二次元NMRスペクトルの結果より活性成分の構造式を6-methylsulfinylhexyl isothiocyanateと決定した.
著者
小野 秀生 Hideo ONO 京都府立大学福祉社会学部
出版者
京都府立大学福祉社会学部福祉社会研究会
雑誌
福祉社会研究 = The review of welfare society (ISSN:13471457)
巻号頁・発行日
vol.1, pp.58-68, 2000-06-01

本論文は、70年代半ば以降の福祉国家の危機と再構成の動向にかかわって、ハイエクとフリードマンに代表される新自由主義、保守主義の理論構成の特質と諸要素の意義・限界を考察したものである。ケインズ主義的福祉国家は、市場の失敗の認識を前提していたが、かれらの理論はこれを否定し、経済変動における生産の不均衡、インフレ・強制貯蓄、恣意的な所得再分配などを、あげて「設計主義」的な政府の失敗に帰着させる点で特徴的である。貨幣的景気循環論や貨幣数量説再論がそのツールとされたが、それにもとづく「最小政府」論は、福祉国家の労資関係、社会保障などの広範な社会政策、混合経済における税・財政にわたって市場原理にゆだねるイデオロギーとして採用され、マネタリスト、公共選択学派、サプライサイダーを結びつけ、福祉国家解体の論理とされた。サッチャーリズムとレーガノミックスはその典型的な実験であったが、そこでは、政府の失敗の上に、市場の失敗が重畳し、現代国家が福祉国家としてさらに再構成されねばならない課題に直面していることを示唆した。
著者
小野裕之
雑誌
消化器内視鏡
巻号頁・発行日
vol.11, pp.675-681, 1999
被引用文献数
22
著者
森田 隆幸 橋爪 正 今 充 松浦 和博 山中 祐治 小野 慶一
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.20, no.10, pp.2431-2434, 1987-10-01
被引用文献数
13

昭和50年から60年までの大腸癌初回手術491例中, 70歳以上の高齢者は102例, 20.8% であった. 組織学的に高分化型腺癌が多く, stageI, II 症例が 49% を占め, 治癒切除例の累積5生率 72.8%, 相対5生率 75.5% と非高齢者と遜色ない手術成績が得られた. 直腸癌手術では排尿・排便に関する慎重な配慮が必要であるが, 高齢者大腸癌の手術適応とし, 生活意欲があり普通の生活をしている限り年齢自体での手術適応の制限はないと判断され, 根治性を計った標準術式の採用により良好な成績が得られると考えられた. また, risk の高い重症例でも麻酔法の工夫により原発巣切除を試みれば愁訴もとれ延命効果も期待できることが知られた.
著者
小野寺 敦子
出版者
一般社団法人日本発達心理学会
雑誌
発達心理学研究 (ISSN:09159029)
巻号頁・発行日
vol.14, no.2, pp.180-190, 2003-08-15
被引用文献数
7

妊娠7-8ヵ月から親になって3年間の間にどのように自己概念が変化するかに焦点をあてて検討した。自己概念は,「活動性」「怒り・イライラ」「情緒不安定」「養護性」「神経質」「未成熟」の6尺度,さらには可能自己,自尊感情の視点から縦断研究を行って検討した。その結果,女性は母親になると「怒り・イライラ」が徐々に強くなってきたと自己をとらえていたが,他の5尺度では有意な変化はみられなかった。これは男女ともに気質的な側面を示す自己概念は親になっても比較的安定していることを示している。また親になる前後にみられた自己概念全体のズレの要因を検討した。女性の場合は妊娠期における身体的・精神的戸惑いが,男性の場合は,育児の否定的側面のイメージが希薄であることと,学歴が低いことが自己概念全体のズレと関連していた。また女性は母親になると自尊感情が低くなる傾向がみられた。次に,親としての役割意識の変化を"3つの自分"という観点から検討した。その結果,男女で大きな相違が見られた。女性は母親になると「社会にかかわる自分」が小さくなり「母親としての自分」が大きくなっていた。しかし男性は父親になってからも「父親としての自分」の大きさは変化せず「社会にかかわる自分」の割合が大きくなっていた。
著者
小川 瑞史 小野 諭
出版者
一般社団法人日本ソフトウェア科学会
雑誌
コンピュータソフトウェア (ISSN:02896540)
巻号頁・発行日
vol.13, no.4, pp.283-302, 1996-07-15
被引用文献数
2

関数型言語の抽象実行のフレームワークとして,領域抽象化による順方向実行と逆方向実行についてストリクトネス解析を例として説明する.さらにそれらを統一的に扱う4つのパラメータについて説明し,計算経路解析をそのパラメータ表現に基づき表す(1章).次に逆方向実行であるプロジェクション解析を説明し,計算経路解析と比較する(2章).最後にper (Partial Equivalence Relation)による順方向実行の抽象実行を説明し,プロジェクション解析や計算経路解析と比較する(3章).