著者
小野田 慶一 安部 哲史 山口 修平
出版者
一般社団法人 日本臨床神経生理学会
雑誌
臨床神経生理学 (ISSN:13457101)
巻号頁・発行日
vol.40, no.1, pp.48-57, 2012-02-01 (Released:2014-08-20)
参考文献数
111
被引用文献数
2

ヒトを含む生体の環境適応にとって, 環境からのフィードバックによって適時行動を修正することは必須の実行機能である。こうしたフィードバックに対する処理の神経生理学的指標の一つとして, フィードバック関連陰性電位 (feedback-related negativity: FRN) が広く用いられている。FRNは多様なフィードバック刺激に対して潜時200~300 ms付近で惹起される, 前頭中心部優勢の陰性電位であり, 前帯状回がその発生源であると考えられている。近年では, 実験的アプローチや計算論的アプローチによりFRNが何を反映しているかが徐々に明らかとなってきており, また, FRNを指標とした多様な応用研究が展開されている。本稿では, FRNに関する最近の知見を概観し, その動向を探る。
著者
山口 修平
出版者
認知神経科学会
雑誌
認知神経科学 (ISSN:13444298)
巻号頁・発行日
vol.13, no.1, pp.15-21, 2011 (Released:2017-04-12)

アパシーは意欲や自発性の低下であり、脳卒中、パーキンソン病、アルツハイマー病等多くの中枢神経疾患において高頻度に出現する、重要な情動行動異常の一つである。アパシーの出現は報酬関連神経回路の障害と関連しており、中脳腹側被蓋部から腹側線条体 (側坐核)や辺縁系、帯状回等に投射するドパミン作動神経が中心的役割を果たしている。神経生理学的にはフィードバック関連陰性電位や新奇刺激 P3 電位がアパシーの病態把握に有用である可能性がある。またアパシーの治療に、ドパミンやアセチルコリン作動薬の有効性が期待される。
著者
山口 修 伊藤 誠治
出版者
北陸作物・育種学会
雑誌
北陸作物学会報 (ISSN:03888061)
巻号頁・発行日
vol.45, pp.72-74, 2010

オオムギの半数体倍加系統の作出において,種々の添加物が胚の形成および胚の発芽に及ぼす効果について調査した.交配後の切り穂培養液に75ppmの2,4-ジクロロフェノキシ酢酸(2,4-D)を添加した場合,無添加に比べ種子や胚の形成率が高まった.一方,胚培養培地への麦芽エキスの添加では,濃度0.25%,1%のいずれも胚から半数体植物体の形成に効果はなかった.
著者
志津里 芳一 山口 修 松永 公浩 玉木 和彦 山村 庄亮 寺田 幸正
出版者
天然有機化合物討論会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
no.29, pp.333-340, 1987-07-25

Two sex pheromones of the American cockroach, periplanone A and B, have been isolated by Persoons et al. The structure of the latter was proposed by the same authors, and then its stereostructure including the absolute configuration was unambiguously determined by its synthesis. Furthermore, the structure (1) of periplanone A has been proposed by Persoons et al., on the basis of its spectral data together with some chemical evidence, but the stereochemistry was not known. In order to elucidate the structure of periplanone A, the authors have synthesized two possible hydroazulenones (5 and 6) from germacrene-D by using biomimetic transannular reactions as a key step. However, the spectral data of synthetic compounds were entirely different from those of natural one. Therefore, the ^1H NMR and IR spectral data of periplanone A and its rearrangement product were reexamined, consequently, the structures of both compounds were found to be resembled each other. Clearly, the structure of periplanone A, which is quite labile as compared with the rearrangement product, seems to be represented by one of the possible decalones (I or II), while the latter must be depicted by III or IV. As shown in Table 1 and 2, the coupling constants based on the conformations I and III, obtained from molecular mechanics calculations, were compatible with the observed ones for periplanone A and rearrangement product, respectively. Thus, the stereostructure of periplanone A was elucidated as I.
著者
山口 修一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.4, pp.386-392, 2015-03-15

本稿では,3次元的に材料を積層し構造物を造形する装置である3Dプリンタの中でも,代表的な下記5種類の造形原理および使われる材料や用途について解説する.①材料押出法(Material Extrusion)通称:FDM,熱溶解積層法,②液槽光重合法(Vat Photo-polymerization)通称:光造形法,③結合剤噴射法(Binder Jetting)通称:インクジェット粉末積層法,④材料噴射法(Material Jetting)通称:インクジェット光硬化積層法,⑤粉末床溶解結合法(Powder Bed Fusion)通称:粉末焼結法
著者
山口 修一
雑誌
情報処理
巻号頁・発行日
vol.56, no.3, pp.268-272, 2015-02-15

本稿では,3次元的に材料を積層し構造物を造形する装置である3Dプリンタの中でも,代表的な下記5種類の造形原理および使われる材料や用途について解説する.①材料押出法(Material Extrusion)通称:FDM,熱溶解積層法,②液槽光重合法(Vat Photo-polymerization)通称:光造形法,③結合剤噴射法(Binder Jetting)通称:インクジェット粉末積層法,④材料噴射法(Material Jetting)通称:インクジェット光硬化積層法,⑤粉末床溶解結合法(Powder Bed Fusion)通称:粉末焼結法
著者
本庄 三知夫 山口 修一 甲田 直也 森 吉臣 西村 洋
出版者
Japanese Dermatological Association
雑誌
日本皮膚科学会雑誌 (ISSN:0021499X)
巻号頁・発行日
vol.95, no.4, 1985

全身の被角血管腫,ガーゴイル顔貌,精神運動発達遅延,成長障害,脊柱の変形,爪甲の白色ろう様変化,易感染傾向および発汗減少を呈し,酵素学的にα-フコシダーゼ活性低下を示した14歳男子例を経験した.血管腫の組織学的所見には真皮上層の拡張した毛細血管と拡張しない毛細血管の2種類のものが存在し,前者の内皮細胞は扁平となるが,後者のそれはエックリン汗腺腺細胞や汗管細胞と同様に胞体が腫脹し泡沫状物質を胞体内に容れる.正常部皮膚の組織学的所見は血管腫の組織像と基本的に同一であった.爪の組織学的所見は真皮結合織の増加による肥厚と末梢神経の腫大が多数みられた.血管腫の電顕所見にてエックリン汗腺腺細胞,血管内皮細胞の胞体内に一層の膜に包まれた電子密度の低い小空胞と小顆粒を認めた.またエックリン汗腺筋上皮細胞とシュワン細胞内に層板状を呈するミエリン様構造物質を認めた.
著者
豊田 充崇 中川 一史 中橋 雄 佐和 伸明 山本 朋弘 菊池 寛 加藤 悦雄 山口 修一 海道 朋美 遠藤 麻由美 有田 浩子 増井 泰弘 山中 昭岳 本岡 朋 寺田 好 望月 純子 中原 亜由美 高橋 美咲 広瀬 一弥 甲斐 崇 田中 健太郎
出版者
和歌山大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2010

通常の教科(国語や社会科、生活科等)の単元に情報モラル育成の要素を含ませた学習場面を設計し、モバイル端末を活用したり、学校間交流等で積極的に情報発信・表現する授業を実践した。加えて、学校教育利用向けSNS(Social Networking Service)を設計・開発し、その実践的評価をおこなった。当システムは教育利用を前提に機能の絞込みやユーザーインターフェイスのデザインをおこない、全校種で活用可能な「スクールコミュネット」として公開中である。※当研究関連資料:http://www.wakayama-u.ac.jp/~toyoda/
著者
岩井 儀雄 勞世竑 山口 修 平山 高嗣
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告コンピュータビジョンとイメージメディア(CVIM) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.2005, no.38, pp.343-368, 2005-05-13
参考文献数
222
被引用文献数
24

画像処理による顔情報処理に関連した研究について,1)顔検出法 2)イメージベースの顔認識法 3)モデルベースの顔認識法 という観点に基づき最近の動向を紹介する.In this paper, we survey research on facial image processing. We explain the followings: 1) face detection, 2) image-based face recognition, and 3) model-based face recognition.
著者
山口 修平 三次 仁 吉田 守 中村 修 村井 純
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. SIS, スマートインフォメディアシステム (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.111, no.342, pp.43-46, 2011-12-08

オフィスや家庭の消耗品の消費量を、汎用的に予想し、自動的に通知するために、センサを用いて在庫量を測定し、その統計処理をすることで消費動向の切り替わり点を自動的に検出する方法を周期の異なる最尤推定法を組み合わせによって実現した。提案手法は、3台の利用形態が異なるプリンタの実測使用データに基づくシミュレーションによってその妥当性を確認し、消費のステートの切り替え点が自動的に検出できることおよび、それに基づいて発注タイミングや発注量を調整することにより、今回用いたケースでは在庫量を12.5%削減できることを示した。
著者
小島 美子 山本 順人 桜井 哲男 八重樫 純樹 山口 修 藤井 知昭 樋口 昭
出版者
国立歴史民俗博物館
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1987

今、急速に衰減または変質しつつある日本の民謡をデータベース化するために、その基礎となる民謡分類法とデータベース化の方法を検討するのが本研究の目的である。I研究課題と研究経過 では、主に次のような研究経過について述べた。最初は通文化的な民謡分類の確立をめざしたが、これには問題が多いこと、また民謡のデータベース化に当たって情報検索に必要な項目を民謡分類は別の次元の問題であることがわかり、さし当たってデータベースの原データとしては文化庁の全国民謡緊急調査の調査票が適切であることがわかったため、これをもとにデータベース構築を考え、4葉の350曲についてのデータの試行作成を行った。IIには4項にわたって以上の経過を裏付ける研究報告を収めた。1日本の民謡分類法 では、日本の民謡分類を歴史的に検討し、文化庁の全国民謡緊急調査の分類法はその一応の帰結であることを明らかにした。2諸民族の民謡分類法 では、ベラウ、ハンガリー、アフリカなどの民族音楽をもとにした民謡分類について検討し、民謡の分類そのものが、それぞれの文化の性格の反映であり、通文化的分類法をたてることは難しいことを明らかにした。3民謡の検索 ではロシヤ、韓国の民謡をもとに、情報探索に必要な項目を検討した。4民謡のデータベース化 では、基本的な民謡データの分析をもとに、データ試行作成に至った諸段階について具体的に説明し、台帳案などを例示した。このようにして一応民謡データベースのデータ試行作成に至ったが、実際には5万曲以上と思われるぼう大な民謡をデータベース化するためには、すべての原データを確保できるかどうか、という問題も含めて、原データの情報をできる限り盛り込もうとするこの案が可能かどうかなど問題点も明らかになってきた。今後民謡のデータベース化についてはさらに共同研究を継続したいと考えている。
著者
勞世こう 山口 修
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理 (ISSN:04478053)
巻号頁・発行日
vol.50, no.4, pp.319-326, 2009-04-15

近年,デジタルカメラやビデオカメラなどのデジタル画像機器の普及とコンピュータの処理能力の向上に伴って,顔画像のデジタル処理を手軽に行うことができるようになってきた.顔画像処理技術は大きく2種類に分けることができる.まずは,顔を理解するための技術として,顔検出,顔トラッキング,個人識別,性別年齢推定,表情推定,顔の疲れや眠気の推定の技術が広く研究されている.また,顔を表現する技術として,美肌補正,美白補正,赤目補正,表情合成,自動似顔絵作成,デジタル化粧などの研究開発も急速に広がりを見せている.本稿では,2回にわたってこれらの最新動向を紹介する.1回目は顔を理解するための要素技術の動向,2回目はアプリケーションについて紹介する.
著者
山口 修
出版者
横浜国立大学
雑誌
横浜経営研究 (ISSN:03891712)
巻号頁・発行日
vol.25, no.2, pp.35-58, 2004-12

2000(平成12)年度から退職給付の新しい会計基準が導入され,国際的な基準に準じたルールにもとづいて,退職一時金や企業年金の債務評価が実施されることになった.本稿は退職給付の新会計基準によって導入された債務評価について,その考え方や方法などを改めて考察したものである.わが国の退職給付に係る会計基準では,各々の退職給付制度の労働債権としての法的な位置付けの問題に立ち入ることなく,「退職給付は企業の債務である」という平板な認識からスタートしている.その上で,退職一時金や企業年金などの退職給付を包括的に把握し,統一的なルールによって会計処理して,財務諸表に表示するアプローチがとられた.その結果,退職給付の新会計基準は従来の会計の枠組みの延長線で捉えられ,法的な債務認識に基づく新たなフレームワークが必要であるという視点を決定的に欠くものになった.本稿ではわが国における退職給付制度の実態を直視し,即時支給型の制度を一旦据置給付型に変換することによって欧米各国との均衡を図った上で,議論を展開するという方法論を採っている.そして,そのような変換を行うことにより,わが国の退職給付制度が長期勤続優遇の,いわゆるバックローディング型だとする通説が必ずしも正しくないことを指摘している.さらに米国と異なり,わが国では取り消し得ない強い受給権の概念が法定されていない状況にあるが,法解釈的に受給権の種類を区分して,それに基づいて債務認識の問題を掘り下げ,受給権,期限付受給権,受給期待権などの権利の濃淡を勘案して,米国流のVBO, ABO, PBOに相当する債務概念の整理を行っている.その上で,支給倍率基準の配分算式の中に給付実行までの時間的距離(=据置期間)に対応する再評価率という概念を導入する方法によって,国際的なルールに反することなく自己都合要支給額が実はVBOに該当するものだという常識的な実感に即した結論に到達している.最後に,投資家に対する適切な情報提供と並んで,わが国の退職給付の実態を踏まえた上で債権者たる従業員の受給権保護を図るという枠組みにもとづき,新たな視点から退職給付会計の再検討を求めている.
著者
天野 文雄 中川 真 山口 修 山路 興造 吉川 周平 谷村 晃 林 公子 山崎 正和
出版者
大阪大学
雑誌
総合研究(A)
巻号頁・発行日
1988

民族芸能の「翁」の意義は、それ自体の価値とともに、能の「翁」研究の資料たる点にある。その両者を兼ね備えている民族芸能の「翁」には奈良豆比古神社翁舞、兵庫県加東上鴨川住吉神社翁舞、神戸市車の大歳神社翁舞などがあるが、後の二者についてはすでに詳細な調査報告がなされているので、このたびは奈良豆比古神社の翁舞を主たる調査対象としたものである。従って、この調査の目的は次のごとくであった。(1)奈良豆比古神社翁舞の歴史と現況の把握。(2)能の「翁」および民俗芸能の「翁」の中における位置づけ。(1)については、奈良豆比古神社および同社翁講所蔵の未紹介史料の発掘があり、それらの文献をもとに聞き取り調査をも併せ行った結果、寛政以後の翁舞や翁講の動向をある程度把握することができた。また、実績報告書にも報告したように、同翁舞の現況についても、所作と音楽を中心に詳細に分析し、記録化することができた。これは平成元年時の詳細な記録として、将来その評価はきわめて高いものとなることは必至と言える。(2)については、奈良豆比古神社の翁舞は上鴨川住吉神社や神戸市大歳神社の翁舞と同系であり、江戸期に南部の薪猿楽や春日若宮おん祭において「翁」を独占的に演じていた「年預」の系譜を引く「翁」であることが判明した。年預は室町期以前の猿楽座の上座衆(翁の上演構をもつ長老座衆)の末裔であり、「翁」という芸能の伝承力の強さ、民族芸能の「翁」の位置と意義について、新たな認識が得られた。
著者
小林 祥泰 小黒 浩明 卜蔵 浩和 山口 修平
出版者
島根大学(医学部)
雑誌
萌芽研究
巻号頁・発行日
2002

高齢者の転倒に重要な因子と考えられる歩行時の危険予知能力を、事象関連電位および機能的MRIで明らかにするために、昨年に引き続き以下の研究をおこなった。被験者が実際に歩いている感覚を持つような、仮想現実空間を実現した歩行動画ビデオを昨年の段階で完成した(ソフト開発会社との共同作成)。動画ビデオの中には、歩行を妨害する刺激、すなわち突然接近する自動車やボールなどの場面を音と共に挿入した。本年度はこの刺激を用いて事象関連電位P3の測定を行った。まず若年の健常者において基礎的な検討を行った。被験者は動画中の標的刺激(アニメの犬)に対してボタン押しを行い、課題実行中の事象関連電位を測定した。そして妨害刺激に対する事象関連電位も記録し、標的刺激の反応と比較した。脳波は頭皮上16カ所から記録し、事象関連電位の頭皮上の分布も検討した。その結果、標的刺激に対する事象関連電位P3は潜時301ms、振幅13.3μVで頭頂後頭部優位に出現した。一方、妨害刺激に対する事象関連電位P3は潜時320ms、振幅11.4μVで前頭部優位であった。予期しない新奇な刺激に対する生体の反応は、定位反応(orienting response)として知られており、事象関連電位では新奇性関連P3が出現する。今回の妨害刺激に対する事象関連電位P3は、その潜時や電位の頭皮上の分布の検討結果から、新奇性関連P3と同様の反応を見ていると考えられる。その後さらに、歩行障害を呈する種々の神経疾患患者(パーキンソン病、進行性核上性麻痺、多発性脳梗塞等)での測定を行った。実際に歩行は行わないため、事象関連電位の測定は全例で可能であった。その結果、一部の患者で妨害刺激に対する事象関連電位の低下、遅延を認め、本システムによる測定が、歩行時の様々な危険物に対する認知能力の定量的評価に使用できる可能性が示唆された。今後さらに転倒の客観的指標との相関を検討することで、疾患との関連、脳内病変部位との関連、一般認知機能、特に前頭葉機能との関連、さらに歩行障害に対する治療の効果などの検討に応用が可能である。機能的MRIに上る検討も今後の課題であるが、妨害刺激に対する反応の脳内神経ネットワークの詳細が明らかになることが期待される。
著者
権 哲峰 ト蔵 浩和 飯島 献一 小黒 浩明 山口 修平
出版者
一般社団法人 日本老年医学会
雑誌
日本老年医学会雑誌 (ISSN:03009173)
巻号頁・発行日
vol.45, no.2, pp.175-181, 2008 (Released:2008-04-25)
参考文献数
20
被引用文献数
1 2

目的:脳萎縮およびその進行に関する,無症候性脳梗塞(以下SBIと略す)や高血圧の影響について検討した.方法:脳ドックを受診した神経学的に異常のない健常成人109名(平均58.6±5.8歳)を対象とし,MRI-T1強調画像水平断で頭蓋内腔に占める脳実質の割合をBrain atrophy index(以下BAIと略す),脳断面積に占める脳室の割合をVentricular area index(以下VAIと略す)とし,それぞれ基底核と側脳室体部レベルで測定した.そして平均4.9年後に同様の測定を行い,危険因子やSBIの有無により脳萎縮の進行に差があるかを検討した.結果:年齢,性,脂質異常,肥満,喫煙歴,アルコール多飲の頻度はSBI(+)群とSBI(-)群,および高血圧群と非高血圧群で差はなかった.SBI(+)群では,基底核レベル,側脳室体部レベルともにBAIが有意に低下し(基底核レベル:p=0.02,側脳室体部レベルp=0.05),また側脳室体部レベルでのVAIも,SBI群で有意に増加していた(p=0.03).高血圧群では,基底核レベルでの初回測定時BAIは有意に低下していたが(p=0.007),側脳室体部レベルのBAI,両レベルでのVAIは非高血圧群と有意差は認められなかった.SBIや高血圧の有無による,年間のBAI, VAIの変化については有意な差がなかった.結論:無症候性脳梗塞や高血圧は,脳萎縮や脳室拡大と関連することが示唆されたが,その影響は無症候性脳梗塞の方が強いことが示唆された.
著者
永田 和之 山口 修治 堤田 敏夫
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会ソサイエティ大会講演論文集
巻号頁・発行日
vol.1996, 1996-09-18
被引用文献数
5

当所では,平成6年に公開した年賀ハガキの郵便番号を収録した手書き数字データベース「IPTP CD-ROM1」を用いて手書き数字に関する認識技術調査を実施した.本稿ではその結果について報告する.