著者
佐々木 和優 長 正則 大石 健太 山岸 辰也 今村 仁
出版者
社団法人 日本理学療法士協会関東甲信越ブロック協議会
雑誌
関東甲信越ブロック理学療法士学会 (ISSN:09169946)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.F-21, 2020

<p>【はじめに】精神疾患を合併した術後症例に関与する機会が増えてきており、精神疾患のリハビリテーション(以下リハ)の知識が必要な場面を多く経験する。しかし、術後リハの報告は精神疾患の合併で除外されやすく報告数が少ない。今回、TKA術後の統合失調症患者のリハを行い、精神的安定と共に機能改善し自宅復帰した一例を経験したため報告する。</p><p>【説明と同意】ヘルシンキ宣言に沿って対象者に発表の主旨を説明し同意を得ている。</p><p>【症例紹介】60歳代女性、既往歴は脊髄性小児麻痺(小児期に右肩関節固定術)。現病歴は統合失調症(5年前)。 左変形性膝関節症(2年前)。本年、左TKA目的で入院。</p><p>【経過及び結果】入院時評価は、歩行は独歩自立。主訴は左膝荷重時痛でNRS8/10。全体像は通常の会話可能も内向的。従命反応緩慢であった。TKA翌日リハ再開。 全荷重下での立位訓練時に強い左膝折れを起こし、膝関節展開縫合部皮下断裂の診断。術後14日目に断裂部再縫合術施行。術後は筋力強化練習や慎重な荷重練習と歩行練習を実施。術後38日目から段差昇降練習を実施。術後47日目に自宅退院。退院時評価は、歩行はT字杖自立。 荷重時痛なし。全体像は笑顔が多くなり自らの発言増加。 従命反応良好。自主練習が増えた。</p><p>【考察】本症例は術後、膝折れを起こし、関節展開縫合部皮下断裂を生じた。断裂部再縫合術後は、患者にわかりやすく丁寧に注意点や練習の目的などのオリエンテーションを行い、理解の向上で安全性を高める様に努めた。 統合失調症患者の多くは病識の欠如や理解力の低下を認めるが、症例はリハへの理解が深まり、指導した自主練習が増える等、ポジティブな行動変容が得られたことが、ADLの再獲得、自宅復帰に繋がったと考える。精神疾患合併症例の術後リハは、疾患特有の精神症状の理解とそれに応じた個々の対応をリハ計画に加えプログラムを安全に進めることが重要であると考えられた。</p>
著者
松山 惇 平田 秀樹 山岸 努 林 恵一 平野 優子 桑田 紀代美 清澤 功 長澤 太郎
出版者
Japanese Society for Food Science and Technology
雑誌
日本食品工業学会誌 (ISSN:00290394)
巻号頁・発行日
vol.39, no.10, pp.887-893, 1992-10-15 (Released:2009-04-21)
参考文献数
12
被引用文献数
7 17

ビフィズス菌の単独培養,または乳酸菌との混合培養による発育性ならびに大豆オリゴ糖の資化性について観察した.(1) 豆乳中におけるビフィズス菌の発育性について,24時間培養後のpHは,いずれの菌も4.53~4.76まで低下し,酸度は, 0.67~0.90%まで上昇した.また,培養20時間後の菌数は,いずれの菌種も10 3個のオーダーで増加し,豆乳中におけるビフィズス菌の増殖性はきわめて良好であった.(2) B. breveおよびB. longum とL. acidophilusとの混合培養では,ビフィズス菌数,生酸性は単独培養時のそれらを上回ったが,L. acidophilusの菌数は単独培養時のそれよりも低い傾向を示した.(3) ビフィズス菌による豆乳中のガラクトオリゴ糖の資化性は,特にスタキオースに対して優れていた.また,生成したグルコースは発酵に利用されたが,フルクトースおよびガラクトースは蓄積される傾向がみられた.(4) スクロース,ラフィノースまたはスタキオースを添加したMGLP培地において, B. breveの発育性は,スタキオース添加培地で優れていた.さらに,これらの糖を2種類または3種類含有する培地では,後者の方が良好な発育性を示した.
著者
山岸 祐貴 遠藤 正之
出版者
一般社団法人 経営情報学会
雑誌
経営情報学会 全国研究発表大会要旨集 2018年春季全国研究発表大会
巻号頁・発行日
pp.234-237, 2018 (Released:2018-05-31)

近年、仮想通貨が日本国内でも注目されてきている。しかし、マウントゴックスの巨額のビットコインが消失したといったネガティブな事件の影響もあり、日本国内では悪い印象をもたれていることが少なくない。また、仮想通貨の流通には、決済のファイナリティや投機的な値動きが課題になる。更に日本ではキャッシュレス化が遅れているという環境面も考慮に入れる必要がある。一方、仮想通貨やその応用のブロックチェーン技術には我々の生活を豊かにする可能性を含んでいる。本報告では、日本国内における仮想通貨の流通とそれに伴うブロックチェーンの活用について考察していく。
著者
久保 有朋 山岸 由侑 岡崎 篤行
出版者
一般社団法人 日本建築学会
雑誌
日本建築学会技術報告集 (ISSN:13419463)
巻号頁・発行日
vol.26, no.62, pp.341-346, 2020-02-20 (Released:2020-02-20)
参考文献数
18
被引用文献数
2

Kagai is a Japanese term for traditional entertainment districts. Furumachi Kagai is a significant area, because the historic district is remained. To date, no study has clarified the transition of distribution regarding Kagai buildings and Kashizashiki before early Showa period. This study attempts accurately to clarify the unknown history regarding these transition of distribution from medium Meiji period to early Showa period.
著者
山岸 聡 坂本 登 佐藤 昌之
出版者
一般社団法人 日本航空宇宙学会
雑誌
日本航空宇宙学会論文集 (ISSN:13446460)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.1-8, 2013 (Released:2013-10-25)
参考文献数
18
被引用文献数
2 1

In this paper, we propose a design method of a nonlinear optimal controller for systems with rate limited actuators which are known to cause PIO of an aircraft. The PIO prevention problem is solved as a robust stabilization problem of a servo system for pilot commands. Simulation results demonstrate that the nonlinear controller achieves faster tracking performance with less oscillation and smaller input compared with an anti-windup compensator using the H∞ method. Robustness against parameter error, observation noise and time-delay is also confirmed.
著者
森 哲 三津山 恭弘 平野 實 山岸 哲
出版者
公益財団法人 山階鳥類研究所
雑誌
山階鳥類学雑誌 (ISSN:13485032)
巻号頁・発行日
vol.42, no.2, pp.161-163, 2011-03-20 (Released:2013-03-20)
参考文献数
5

Predation by a wild Common Kingfisher Alcedo atthis on a colubrid snake, Amphiesma vibakari vibakari, was observed on 31 January 2010 in Tokyo. Total length of the snake was estimated as less than 20 cm. This is the first record of predation on a snake by the Common Kingfisher in Japan.
著者
山岸 健
出版者
The Japan Sociological Society
雑誌
社会学評論 (ISSN:00215414)
巻号頁・発行日
vol.32, no.3, pp.18-35, 1981-12-31 (Released:2009-10-19)
参考文献数
47
被引用文献数
1 1

社会学の研究領域では、まだ身体論と呼ばれるようなまとまった考察はおこなわれていないが、ヒューマニスティック・パースペクティヴで日常生活の世界と生活している人間に社会学のサーチライトが向けられてもいる現況において、私たちは、座標原点でもあれば根源的な表出空間でもある身体に注目しなければならないだろう。現象学的社会学でも身体についての若干の考察は見られるが、身体については、今日のところ、実存社会学の分野で積極的な検討が加えられている。ここでは、そのような検討をふまえて、人間と世界という軸で身体を視点として私たちが生きている世界地平に目を向けたいと思う。私たちにとって、現実構成は、日常的な営為なのである。現実構成とは何か、身体とは何か、ということを考えながら、人間そのものに向かっていきたいと思う。社会学的人間学にいたる一つのステップとして、現象学と社会学というコンテクストで身体について若干の考察を試みたいと思う。身体を考えるということは、日常生活の場面での世界経験を考えるということだ。私たちは、自分の身体によって、この世界に巻き込まれているのである。私たちが経験しつつある身体を出発点として私たちの身のまわりに目を向けるならば、私たちが生きている世界がどのように照らし出されるのだろうか。
著者
板谷 慶一 山岸 正明 夜久 均
出版者
特定非営利活動法人 日本小児循環器学会
雑誌
日本小児循環器学会雑誌 (ISSN:09111794)
巻号頁・発行日
vol.33, no.5, pp.371-384, 2017-09-01 (Released:2017-11-08)
参考文献数
75

近年のコンピュータ技術の進歩に伴い循環器画像診断は変容を遂げつつある.カラー3次元動画を自在に使えるよう今日,心臓血管の形態のみならず血流をわかりやすく可視化する技法である『血流解析』が台頭しつつある.血流解析では異常血流を可視化し,乱流がもたらす心筋や血管内皮への力学的なストレスを可視化し,心臓弁膜症,心筋症,冠動脈疾患,大動脈疾患など幅広い循環器疾患において病態生理の詳細に迫ることが可能になる.また,これらの力学的なストレスが心不全や血管イベントなどを予測できるのではないかという期待がある.特に,先天性心疾患は解剖も生理学も複雑で,複雑な修復を余儀なくされ,従来血流解析と最もなじみの深い領域であった.また昨今の周術期管理の向上により遠隔期を迎える患者も増多しており予測医療としての血流解析の担う役割は大きい.本稿では血流解析手法の詳細を説明すると同時に先天性心疾患での役割を議論する.
著者
溝口 拓朗 伊藤 哲 光田 靖 山岸 極 平田 令子
出版者
森林立地学会
雑誌
森林立地 (ISSN:03888673)
巻号頁・発行日
vol.60, no.2, pp.63-70, 2018-12-25 (Released:2019-02-02)
参考文献数
21

人工林主伐後の土砂移動と植生発達の相互作用について,土砂移動を植生回復の抑制要因とみる考え方と,回復した植生を土砂移動の抑制要因とみる考え方の両面からとらえ,これら二つの仮説を検証することにより,スギ人工林皆伐後約1年間の土砂流出と植生回復の関係を明らかにした。100年生スギ人工林伐採後約1年間の土砂移動量,降雨量,植被率を調査した。各計測期間の平均植被率と降雨で基準化した土砂移動量(土砂移動レート)の間には,全測定期間を通して明瞭な関係は見られず,決定木分析でも土砂移動量の大小を明瞭に区分できるような植被率の閾値は検出できなかった。これに対して,各計測期間で標準化した植被率増加速度は,生育期間中は土砂移動量の絶対量が小さいときに大きい値を示す傾向が認められた。決定木分析でも,土砂移動量が22.25(g/m/day)を下回ると,標準化後の植被率増加速度が大きくなることが示された。以上のことから,皆伐直後の植被率が小さく土砂移動量が大きい段階では,土砂移動が植生発達との相互作用を支配する要因になっており,植生によって土砂移動が抑制される効果よりも,土砂移動が植生発達を抑制する効果の方が大きいことが明らかとなった。また,土砂移動および植生発達の空間的な不均一性は林道開設による不安定土砂の生成や林地の枝条残材の影響を受けることが明らかとなった。
著者
村上 佑希 山本 良太 西村 憲明 上薗 拓郎 山岸 義和
出版者
一般社団法人 日本応用数理学会
雑誌
日本応用数理学会論文誌 (ISSN:24240982)
巻号頁・発行日
vol.28, no.1, pp.39-53, 2018 (Released:2018-03-25)
参考文献数
12

概要. 一本のねじれのない紙の閉じた輪を折って,正四面体の形にすることができる.そのような折り紙展開図は,既約分数p/qで番号づけされる.また,そのような紙の輪を変形させて切ることにより,正四面体を凸多角形に切り開く展開図が系統的に得られる.
著者
山岸 靖明
出版者
一般社団法人 映像情報メディア学会
雑誌
映像情報メディア学会誌 (ISSN:13426907)
巻号頁・発行日
vol.61, no.2, pp.128-132, 2007-02-01 (Released:2009-07-27)
参考文献数
3
被引用文献数
1 1
著者
飯田 福司 山岸 邦彰 西村 督 後藤 正美
出版者
公益社団法人 日本地震工学会
雑誌
日本地震工学会論文集
巻号頁・発行日
vol.15, no.2, pp.2_1-2_10, 2015

木製水槽は、公共施設、病院等の重要施設で受水槽として使用されており、大地震時における機能保持は必要不可欠な性能である。しかし、木製水槽における耐震設計の研究は進んでいない。本研究では、1Gを超える水平地震動による振動実験から木製水槽の変位応答、加速度応答及び歪応答を分析した。そして、強震動時の挙動に関する実験結果から、本実験で使用した木製水槽の主要構造部材は1Gを超える水平地震動に対して、機能を損なう破壊は生じないと考えられ、地震時の安全性確認のための基礎資料を得た。
著者
山岸 好子 立屋敷 かおる 今泉 和彦
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.15, pp.115, 2003

<B>【目的】</B>小・中学生の箸の持ち方は、個人差が大きいこと、多様性があること、伝統的に正しいとされる持ち方(くの字持ち)が少ないこと、が知られている。一方、箸の持ち方と類似している字を書く際の鉛筆の持ち方にも多様性のあることが知られているが、それらの実態については十分明確にされていない。そこで、私達は現在の小・中学生における箸と鉛筆の各々の持ち方をしらべ、さらにそれらの持ち方の関連性を明らかにするため検討した。<BR><B>【方法】</B>公立の小学校2年生(小2)、5年生(小5)および中学校2年生(中2)の計160名を対象とし、給食時の箸の持ち方、平仮名をなぞる時の鉛筆の持ち方をDigital video cameraで撮影した。対象者の各動作を分析した後、各自の箸と鉛筆の各持ち方を類型化した。箸と鉛筆の各持ち方のパターンの人数とその割合を学年別、性別および対象者全体で比較・検討した。さらに、箸の持ち方と鉛筆の持ち方との関連性をしらべた。<BR><B>【結果】</B>箸がくの字持ちと判定された割合は、小2で約11%、小5で約26%、中2で約35%であり、学年が高くなると共に明らかに増加した。一方、鉛筆の正しいとされる持ち方(普通持ち)は学年に関係なく約42%であった。また、各学年共に鉛筆の普通持ちと判定された割合は箸のくの字持ちの割合より高く、全対象者における正しいとされる持ち方は箸が鉛筆の約1/2であった。また、箸と鉛筆が共に正しいとされる持ち方と判定された割合は、中2が小2および小5に比べて約3倍高かった。以上の結果から、箸の持ち方は鉛筆の持ち方より遅れて確立される可能性、および箸の持ち方がくの字持ちへと変化するのは小学校高学年から中学生であることが示唆された。
著者
立屋敷 かおる 山岸 好子 今泉 和彦
出版者
日調科誌
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.38, no.4, pp.355-361, 2005

Developmental changes in the handling motion of chopsticks and writing motion of a pencil were studied in elementary and junior high school students. The handling motion of chopsticks and the writing motion of a pencil were respectively classified into four (I to IV) and five (A to E) types. The linkage between the motion type for chopsticks and that for a pencil was also examined. The relative proportion of type I (conventional) increased with increasing age, while those for types II (less complete) and III (incomplete) decreased with increasing age. The relative proportion of type IV (others) was 14%, being independent of age. The relative proportion of type A (conventional) was 42% in three age groups. The total relative proportion of types B (less complete folding of the thumb), C (extended thumb) and D (forefinger control) were 39%. The total numbers of types I and II were 79% for all subjects, with 44% and 56% of these subjects being respectively assigned to types A and B to E (others). The number of type A was 42% of all subjects, with 83% of these subjects being assigned to types I and II. These results suggest that development of the handling motion for chopsticks was slower than that of the writing motions for a pencil, and that the age at which many students attain type I capability may be at least 15 years old.
著者
山岸 稔 朝倉 昭雄 野崎 秀世 渡辺 登 小口 弘毅 阿部 由起子
出版者
学校法人 産業医科大学
雑誌
産業医大誌 (ISSN:0387821X)
巻号頁・発行日
vol.3, no.4, pp.385-401, 1981

小児の赤血球膜の電解質・プリン代謝酵素に対する調節機構を評価する目的で, 対照的な2病態として血清電解質異常と赤血球プリン代謝酵素活性異常を比較検討した. このうち血清電解質異常例には, 高K血症を伴った遠位型の腎尿細管性アシドーシス(RTA)の4歳男児例を選んだが, RTAの遠位K排泄障害型の報告例は本邦では最初(世界3番目)である. また赤血球プリン代謝酵素活性異常例には, 赤血球adenosine deaminase(ADA)高値を示した遺伝性球状赤血球症(HS)の一家族(両親・子供3人)を選び, 子供のうち弟妹が溶血性クリーゼを起こした際に全員測定を行った. その結果まずRTA症例は, 血清K値上昇(高K血症)に伴い赤血球K値の上昇も示した. しかし総合的な膜機能によるK取込みとNa汲出しが強力に認められたのは (赤血球K>血清K, 赤血球Na<血清Na), HSのクリーゼ弟妹例であり, ほかにRTA例でも増強が一時的(KCl負荷テスト中)にみられた. 次いで膜機能に関与するプリン代謝酵素の1つと見なされたnucleoside phosphorylaseは, HSの子供3人とも高い活性値を示したほか, ATPによって阻害されることが推測された. 同時に膜機能と直接的関与がみられなかったADAは, ATPによって刺激されることが今回・以前の成績を合わせて推測された.
著者
小川隆 山岸真編
出版者
早川書房
巻号頁・発行日
1992