著者
山本 兼右 山崎 秀男
出版者
一般社団法人 日本消化器がん検診学会
雑誌
日本消化器がん検診学会雑誌 (ISSN:18807666)
巻号頁・発行日
vol.52, no.3, pp.380-386, 2014 (Released:2014-06-15)
参考文献数
14

誤嚥事故の状況分析として, 硫酸バリウムの粘度と誤嚥頻度, 性・年齢別と誤嚥頻度の関係を調査した。80歳以上男性の誤嚥頻度が高いことが判明した。第1次対策は, 問診時に過去の誤嚥の有無を確認し, 誤嚥経験者を特定した。誤嚥経験者と80歳以上男性をハイリスク群と定義し, この群にはバリウムを紙コップに移し替えて服用させることにした。また, バリウム服用上の注意書きを「あわてずに, ゆっくりお飲みください」と修正した。第2次対策は, ハイリスク群に対して, 高粘度(粘度:280mPa・s)の高濃度硫酸バリウム180W/V%ゾル製剤を用い検査を行った。第1次対策は効果がなかった。第2次対策は, ハイリスク群(誤嚥経験者と80歳以上男性)の誤嚥発生頻度が有意に低下し(P<0.05), 誤嚥事故防止に成果があった。
著者
森脇 弘子 山崎 初枝 前大道 教子
出版者
一般社団法人 日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会誌 (ISSN:13411535)
巻号頁・発行日
vol.43, no.6, pp.359-365, 2010 (Released:2014-08-22)
参考文献数
25
被引用文献数
1

本研究では,学生食堂でヘルシー定食を提供し,より健康的な学生食堂のメニューについて検討することを目的とした。ヘルシー定食を食事バランスガイドより検討した結果,副菜が多かった。ヘルシー定食を日本人の食事摂取基準2005より検討した結果,カルシウム量が少なかった。「ヘルシー料理を今後も利用したい」と回答した者は93.8%で,その理由をテキストマイニング手法により集計した結果,「おいしい」,「バランス」,「良い」という言葉が高頻度で出現した。これらのことより,ヘルシー定食は,カルシウムの摂取量を増やす献立を作成することが課題であることがわかった。喫食者からの評価が極めて高く,この試みを日常の学生食堂のメニューに生かしていきたい。
著者
山崎 律子 本多 泰揮 原田 潮 鈴木 裕二 大塚 吉則
出版者
一般社団法人 日本温泉気候物理医学会
雑誌
日本温泉気候物理医学会雑誌 (ISSN:00290343)
巻号頁・発行日
vol.70, no.3, pp.165-171, 2007 (Released:2010-04-30)
参考文献数
21

PurposeHalf body bathing is popular among young women as well as elderly people. As a matter of fact, it is reported that half body bathing has a smaller burden than whole-body bathing from the point of physical influence. To clarify the relation between bathing habitude and health maintenance, that is, as an approach to general understanding the physiological effects by repeating bathing stimuli, the physiological changes by continuing half body bathing were studied.MethodsHalf body bathing was repeated for 4 weeks in healthy female subjects (N=10, age: 30.1±4.8, height: 160.4±6.1cm, weight: 55.6±7.0kg, body mass index: 20.9±1.6kg/m2, mean±SD).Bathing was performed for 30 minutes and 3times a week, with a level of epigastrium without immersing arms. Changes of blood flow and energy expenditure were measured during bathing at 0W and 4W.Results and DiscussionBy continuing bathing, blood flow increased more rapidly and higher during bathing, in addition, resting energy expenditure increased by 200kcal/day with a significant difference.From these findings, it is assumed that repeated half-body bathing enhances the increase of blood flow through repeating thermal stimuli, which leads to elevated basal metabolism.
著者
中村 由香里 平方 良輔 外園 幸司 山崎 徹 宮城 友豪
出版者
金原出版
巻号頁・発行日
pp.337-340, 2018-03-10

hemosuccus pancreaticusは,膵管を経由したVater乳頭からの消化管出血で,胆道出血と区別するためにSandblomにより1970年に提唱された1)。原因として慢性膵炎を基礎に形成された膵仮性嚢胞や仮性動脈瘤からの出血が多い。重篤な病態ではあるが,間歇的な出血のため,しばしば上部内視鏡検査で十二指腸乳頭からの出血が認められない。そのような症例に造影CTを施行したところ,脾仮性動脈瘤からの造影剤の血管外漏出が主膵管を経由して十二指腸に注ぐのが描出された,世界初と思われるhemosuccus pancreaticusの症例を経験したので報告する。
著者
山崎 洋介 網干 博文 湯口 眞紀 鳥海 拓 高詰 佳史 磯川 桂太郎
出版者
日本デジタル教科書学会
雑誌
日本デジタル教科書学会年次大会発表原稿集 日本デジタル教科書学会2014年度年次大会 (ISSN:2188062X)
巻号頁・発行日
pp.89-90, 2014 (Released:2017-06-14)
参考文献数
4

日本大学歯学部では、2013年からiPadを導入した講義・実習を開始した。年度ごとに順次導入を進め、2014年度には全学生の約半数にあたる第1~3学年の学生がiPadを保有し、利活用している。iPadは大学から学生に配付または貸与されたものではなく、学生個人が購入したもので、いわばBYOD(Bring Your Own Device)の形式であるから、MDM(Mobile Device Management)の仕組みで機能制限を課すことも行っていない。勉強にもプライベートにも垣根なくiPadを利用することで、より活用度が高まると考えての方略である。今回、iPad利用に合わせて各種のデジタル教材を独自に開発・利用したので報告する。
著者
松原 永吏子 山崎 孝 伊藤 直之 堀 秀昭 山門 浩太郎
出版者
公益社団法人 日本理学療法士協会
雑誌
理学療法学Supplement Vol.35 Suppl. No.2 (第43回日本理学療法学術大会 抄録集)
巻号頁・発行日
pp.C0110, 2008 (Released:2008-05-13)

【目的】肩関節疾患における理学療法において結帯動作の改善に難渋することは多い.一般的に結帯動作は肩甲上腕関節での伸展-水平伸展-内旋の複合運動とされているが,結帯動作の獲得には肩甲上腕関節の可動域だけではなく肩甲胸郭関節の運動が不可欠である.そこで肩甲胸郭関節に着目し,結帯動作に必要な運動について検討した.【方法】肩関節に異常のない健常成人40名,利き肩40肩を対象とした(男性20名,女性20名,平均年齢24.4歳).端坐位での安静時・L5レベル・Th7レベルでの結帯動作における脊柱と肩甲骨棘三角間距離(以下,棘三角距離),脊柱と肩甲骨下角間距離(以下,下角距離),spino-trunk angle(以下,S-T角),肩甲骨下角の挙上距離(以下,下角挙上)を体表より測定した.検討項目は,安静時からL5と安静時からTh7での肩甲骨の移動距離を男女別と男女間で比較検討した.統計処理は対応のないt検定を用い危険率5%で検定した.【結果】1.男性の肩甲骨の位置安静時・L5・Th7のそれぞれの肩甲骨の位置は,棘三角距離8.6±1.0 → 8.9±1.0 → 8.9±1.0 cm,下角距離10.2±1.1 → 9.6±1.5 → 9.5±1.4 cm,S-T角97.7±4.2 → 93.7±3.3 → 90.7±2.4°であった.安静時からL5と安静時からTh7のそれぞれの下角挙上は2.5±1.1 → 3.8±1.5 cmであった.L5とTh7での肩甲骨の移動距離の比較では,有意なS-T角の減少(p=0.005)と下角挙上(p=0.002)が認められた.2.女性の肩甲骨の位置肩甲骨の位置は,棘三角距離7.9±0.9 → 7.9±0.9 → 7.8±0.8 cm,下角距離9.2±1.2 → 8.6±1.2 → 8.4±1.2 cm,S-T角94.3±2.9 → 93.7±3.3 → 92.4±3.5 °であった.安静時からL5と安静時からTh7のそれぞれの下角挙上は1.4±1.0 → 2.4±1.3 cmであった. L5とTh7での肩甲骨の移動距離の比較では,有意な下角挙上が認められた(p=0.007).3.男女間によるL5とTh7間の移動距離の比較移動距離の比較では男性にS-T角の有意な減少が認められた(p = 0.004).【考察】結帯動作は通常L5レベルとされるが,女性の更衣動作等においてはTh7レベルで行われることもあり様々な高さでの動きが日常生活に必要である.肩甲胸郭関節の運動を男女別に検討したところ,結帯動作における肩甲骨の運動は男女で異なっていた.男性においては肩甲骨の下方回旋と挙上が,女性は挙上が特に重要と考えられた.より高位への動作を行うためには,肩甲胸郭関節の大きな運動が必要であることが示唆されたことから,肩関節疾患における結帯動作の改善のためには,肩甲胸郭関節の可動性も含めた治療が必要と考える.
著者
原 徹 田中 啓一 前畑 京介 満田 和久 山崎 典子 大崎 光明 大田 繁正 渡邉 克晃 于 秀珍 山中 良浩 伊藤 琢司
出版者
公益社団法人 日本顕微鏡学会
雑誌
顕微鏡 (ISSN:13490958)
巻号頁・発行日
vol.44, no.4, pp.289-291, 2009-12-30 (Released:2020-01-21)
参考文献数
8
被引用文献数
1

透過型電子顕微鏡(TEM)におけるEDS分析のエネルギー分解能を大幅に向上させることを目的として,超伝導遷移端センサ型マイクロカロリメータをTEMに搭載した分析電顕を開発した.実験機として単素子検出器を無冷媒式冷凍機で駆動する検出器を製作し,現在,TEMの性能を損なわずにシリコンKα線の半値幅として7.6 eVを達成しており,多くの近接したピークを分離した測定が可能になっている.
著者
諸 久永 富樫 賢一 土田 昌一 藤田 康雄 小管 敏夫 大関 一 林 純一 斉藤 憲 山崎 芳彦 江口 昭治
出版者
一般社団法人 日本人工臓器学会
雑誌
人工臓器 (ISSN:03000818)
巻号頁・発行日
vol.18, no.2, pp.507-510, 1989-04-15 (Released:2011-10-07)
参考文献数
10

IABPの腎血行動態に及ぼす効果について、腎交感神経切除を施行して、腎血流と腎交感神経トーヌスの関係を中心に、検討した。雑種成犬10頭を用い、熱希釈法にて腎血流量、心拍出量を測定し、腎血流量分配率、腎血管抵抗および末梢血管抵抗を算出し、次の結果を得た。1. IABP作動時の腎血流量の増加は、主として腎血管抵抗の低下によりもたらされた。2. denervation後では、IABP作動の有無に拘らず、腎血管抵抗は低値を維持し、腎血流量は変化しなかった。3. 腎血管抵抗は交感神経トーヌスにより影響されているが、IABPは、かかる交感神経支配下でも、血管抵抗の低下をもたらした。
著者
山崎 文之 高安 武志 栗栖 薫
出版者
日本小児血液・がん学会
雑誌
日本小児血液・がん学会雑誌 (ISSN:2187011X)
巻号頁・発行日
vol.54, no.5, pp.373-383, 2017 (Released:2018-04-14)
参考文献数
48

小児に発生するびまん性グリオーマは脳幹部の橋や視床に好発し,橋発生はdiffuse intrinsic pontine glioma(DIPG)と呼ばれてきた.近年,遺伝子研究の進歩により橋・視床に発生した小児のびまん性グリオーマにおけるヒストンH3-K27M遺伝子変異が発見された.そして,WHOの2016年updateにおいてdiffuse midline glioma,H3 K27M-mutant(grade 4)として新しく定義された.Diffuse midline gliomaではヒストンのH3バリアントのH3.3をコードする遺伝子H3F3A K27M変異が最も多く,H3バリアントのH3.1をコードする遺伝子HIST1H3B K27Mが2番目に多い.これらの遺伝子変異を持つ腫瘍はIDHの遺伝子変異,EGFRの遺伝子増幅やPTEN変異などを基本的には認めない.その他,小児の大脳半球の高悪性度グリオーマではH3.3 G34R,G34V変異が多いと報告された.ヒストンの遺伝子変化によるtumorigenesisは,成人のびまん性グリオーマ,膠芽腫とは異なるため,同じような考えで治療することはできず,重要な課題である.しかし,現実的には現段階での治療手段は限られている.本教育講演ではWHOの2016年updateで遺伝子異常に基づいて再構成された成人のびまん性グリオーマの定義について概説した.続いて小児の高悪性度グリオーマについて,特に脳幹部グリオーマを中心としたdiffuse midline glioma,H3 K27M-mutant,epithelioid glioblastoma,diffuse leptomeningeal glioneuronal tumorの臨床所見と画像診断,化学療法,放射線治療,分子標的療法,手術の考え方,支持療法などについて概説した.
著者
村山 篤子 古田 和浩 金子 慶子 田中 照也 伊藤 直子 山崎 貴子 岩森 大 堀田 康雄
出版者
日本調理科学会
雑誌
日本調理科学会大会研究発表要旨集
巻号頁・発行日
vol.19, pp.174, 2007

<BR><B>【目的】</B><BR> 生体活動により、生物内に強い酸化作用を有する過酸化物(ラジカル)が発生する。野菜は、この過酸化物を打ち消すために、体内で還元力の強いビタミンCを生成する。一方、野菜を厳しい環境ストレス化におくことで、それに対抗するために、酵素の働きを活性化させて、抗酸化物質「ビタミンC」をより多く生成して体を守ろうとする。今回、これらのメカニズムを応用した低温スチーム調理方法を考案した。<BR> <B>【方法】</B><BR> ビタミンCを有する野菜として、春菊およびほうれん草を用いた。これらの野菜を、スチーム機能を有する家庭用オーブンレンジを用いて、庫内温度を40℃程度にコントロールし、低温スチーム調理にて加熱をおこない、ビタミンC含有量の差を測定した。<BR> <B>【結果】</B><BR> その結果、春菊では低温スチーム調理温度が約37℃~47℃で10分、ほうれん草では約38℃~48℃で27分の加熱で、野菜内のビタミンC含有量が増加する結果を得た。これは、この温度帯において、野菜が環境ストレスを受け、それに対抗してビタミンC生成酵素の働きが活性化されたためであり、37、38℃未満では十分な環境ストレスを与えられず、また47、48℃より高温になると生体活動が抑制されてしまうためであると考える。また、これらの野菜を電子レンジ加熱調理すると、生の状態から電子レンジ加熱した場合に比べて、低温スチーミングによって一旦ビタミンC含有量を増加させた後に電子レンジ加熱をした場合の方が、調理後のビタミンC残存量が多かった。<BR> このことより、40℃程度で短時間の低温スチーム調理を施すことで、春菊やほうれん草のビタミンCを増加させることができ、より多くのビタミンCを摂取することができる。
著者
崔 鍾仁 堀田 健治 山崎 憲
出版者
日本建築学会
雑誌
日本建築学会計画系論文集 (ISSN:13404210)
巻号頁・発行日
vol.68, no.563, pp.327-333, 2003-01-30 (Released:2017-02-09)
参考文献数
21
被引用文献数
2

This paper investigates the influence of the ultrasonic waves that are included in the sounds of costal waves on human brain waves, by experimenting using CD recorded wave sounds. The experiment was conducted using a full range pass sound, and low range pass sound which is not including high frequency band width to 26 subjects and was measured amounts of brain wave activity in 4 different type of brain wave frequency, delta, theta, alpha and beta waves respectively. State of activity of brain wave was also expressed on brain wave map. At the same time, using the YG test and Profile of Mood States (POMS), brain reaction by personality and psychological evaluation were also examined. As the result, author obtained that ultrasonic wave affects to human brain with statistically significant.
著者
山崎 豊子
出版者
文芸春秋
雑誌
文芸春秋
巻号頁・発行日
vol.75, no.10, pp.264-275, 1997-08
著者
佐久川 弘 竹田 一彦 山崎 秀夫 チドヤ ラッセル サンデー マイケル アデシナ アデニュイ ダーバラー アリー アブデルダム シェリフ モハメド モハメド アリ カオンガ チクムブスコ チジワ
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2016-07-19

瀬戸内海において海水、堆積物、生物試料を採取し、海域による農薬汚染の進行度の評価を行い、瀬戸内海全域にわたる汚染の歴史的変遷を明らかにした。生物試料中の農薬濃度の測定から、食用魚等の食品としての安全性を評価し、水生生物へのリスクアセスメントを行った。さらに、瀬戸内海の海水等の農薬濃度、農地等での農薬使用量、船底塗料の出荷量から、過去の農薬の物質収支の変遷に関して解析を行った。その結果、測定した8種類の農薬のうちで、陸地で使用されるダイアジノン(有機リン系殺虫剤)がすべての試料において、比較的高濃度で存在し、水産食品としての安全性への懸念や水生生物に対する負の影響が認められることを明らかにした。