著者
中野 真代 小田 真隆 永浜 政博 山本 博文 今川 洋 櫻井 純 西沢 麦夫 樽井 敬史 渋谷 昌弘 大林 寿美代 玉城 翔太
出版者
天然有機化合物討論会実行委員会
雑誌
天然有機化合物討論会講演要旨集
巻号頁・発行日
vol.54, pp.333-338, 2012

Vizantine (3) is a synthetic derivative of treharose-6,6-dicorynomycolate (TDCM) which was characterized in 1993 as the cell surface glycolipid of Corynebacterium diphtheriae and shows a variety of significant biological activities for adjuvant development. In vitro, vizantine activates not only the macrophages of mice sera, but also induces the release of MIP-1β, IL-6, IL-8 etc. from human acute monocytic leukemia cell line cells (THP-1 cells). Because almost no TNF-α is induced in vivo, the lethal toxicity to animals was found to be ncredibly low. However, oral administration of vizantine to C57BL/6 mouse (p.o. 100 μg x 7 times) inhibits lung metastasis of B16-BL6 melanoma cells (which are classified in highly metastatic tumor cell). In recent years, structural components of the outer surface membrane of bacteria have attracted considerable attention as lead compounds for adjuvant development. However, a concern of the use of these compounds is that they can over-activate innate immune responses leading to the clinical symptoms of septic shock. Therefore, an important issue is a detailed knowledge of the immunostimulatory mechanism to harness beneficial effects without causing toxicity. Here, to advance the mechanistic studies of vizantine, we have synthesized magnetic beads-attached 4 that maintain immunological activities and can therefore act as a molecular probe. Using a pull-down assay of 4 and the extract of HEK-293T cells transfected with plasmid for TLR4 and MD2, vizantine was found to act as a ligand of the Toll-like receptor 4 (TLR4) and MD2 complex. Furthermore, the macrophage from TLR4 knockout (TLR4 -/-) mice showed decreased response to vizantine, but that from TLR2 knockout (TLR2 -/-) mice did not. Taken together the results suggest that vizantine suppresses the tumor lung metastasis through the activation of macrophages via TLR4/MD2 complex.
著者
山本 博崇 高橋 善明 渡部 広明 松岡 哲也
出版者
日本腹部救急医学会
雑誌
日本腹部救急医学会雑誌 (ISSN:13402242)
巻号頁・発行日
vol.33, no.3, pp.661-665, 2013-03-31 (Released:2013-06-07)
参考文献数
11

症例は60歳代,男性。塩酸を内服し,救急搬送となった。精査にて腐食性食道・胃・十二指腸炎,重症急性膵炎,溶血性貧血と診断し,ICUにて集中治療を行った。膵炎と溶血性貧血は大量輸液,ハプトグロビン,膵酵素阻害剤,抗潰瘍薬の投与を行い改善したが,食道と幽門の瘢痕狭窄が徐々に進行した。第149病日には幽門の完全閉鎖を認めたが,経過中に重度の肺線維症を併発したため根治術を断念し,胃空腸吻合術を施行した。しかし,その後も瘢痕狭窄は進行し,第302病日には食道の完全閉鎖を認めた。塩酸内服後の消化管瘢痕狭窄に対する手術や内視鏡治療は6ヵ月後以降に行うべきとされているが,本症例のように10ヵ月まで狭窄が進行する症例も存在するため,瘢痕狭窄に対する治療も10ヵ月以降まで延期すべきである。また,手術術式は消化管障害の範囲と程度,および全身状態に左右されるため,初期の全身管理も重要である。
著者
篠﨑 聡 小林 泰俊 林 芳和 坂本 博次 レフォー アラン 瓦井 山本 博徳
出版者
一般社団法人 日本消化器内視鏡学会
雑誌
日本消化器内視鏡学会雑誌 (ISSN:03871207)
巻号頁・発行日
vol.61, no.6, pp.1272-1281, 2019 (Released:2019-06-20)
参考文献数
30

【背景と目的】大腸ポリープに対する内視鏡的切除において,熱凝固を加えないでスネアで切除するコールドスネアポリペクトミー(CSP)と熱凝固を加えながらスネアで切除するホットスネアポリペクトミー(HSP)の比較研究がなされてきた.CSPとHSPの有効性と安全性をシステマティックレビューとメタ解析を用いて評価した.【方法】大腸ポリペクトミーに関してCSPとHSPを比較したランダム化比較研究(RCT)のみを解析の対象とした.評価項目は,完全切除率,ポリープ回収率,遅発性出血率,穿孔率および所要時間である.Mantel-Haenszel random effect modelを用いてpooled risk ratio(RR)と95%信頼区間(CI)を算出した.【結果】8つのRCT(症例数1,665名,切除ポリープ3,195個)に対しメタ解析を行った.完全切除率において,CSPとHSPは同程度であった(RR 1.02,95%CI 0.98-1.07,p=0.31).ポリープ回収率もCSPとHSPは同程度であった(RR 1.00,95%CI 1.00-1.01,p=0.60).遅発性出血率は,統計学的有意差を認めなかったもののHSPのほうがCSPより多い傾向にあった(症例単位:RR 7.53,95%CI 0.94-60.24,p=0.06,ポリープ単位:RR 7.35,95%CI 0.91-59.33,p=0.06).すべてのRCTで穿孔は報告されなかった.大腸内視鏡時間はHSPでCSPより有意に長かった(平均差 7.13分,95%CI 5.32-8.94,p<0.001).ポリペクトミー時間もHSPでCSPより有意に長かった(平均差 30.92秒,95%CI 9.15-52.68,p=0.005).【結論】今回のメタ解析ではHSPと比較してCSPで所要時間が有意に短かった.また,遅発性出血率もHSPと比べてCSPで低い傾向にあった.したがって,小さな大腸ポリープに対するポリペクトミーにおいてCSPを標準的治療として推奨する.
著者
中嶋 秀治 山本 博史
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会論文誌 (ISSN:18827764)
巻号頁・発行日
vol.42, no.11, pp.2681-2688, 2001-11-15
参考文献数
15
被引用文献数
2

自然な話し言葉での対話においては,1回の発話(または発声)で複数の文が話されることがしばしば起こる.音声認識では,1回の発話を単位として処理が行われるが,複数の文を含んだ発話をそのまま1つの単位にして理解や翻訳や要約などの言語処理を行うことは困難であり,音声認識の後か言語処理の前に発話を文などへ分割することが必要となる.このため,本稿では通常の単語と同様に文境界としての句点を音声認識することによって複数の文が含まれる発話を各文に分割する手法を提案する.評価実験の結果,発話から文への分割性能の点では,最高で再現率94%適合率100%という性能が得られた.また,言語モデルに句点を含むか否かの違いによる句点以外の単語認識率の劣化はないという結果が得られ,本手法の有効性が確認された.In spontaneous dialogs, there are utterances containing several sentences.Although speech recognizers process utterances one by one,language processing such as understanding, translation or summarizationneeds to split utterances into sentences.This paper presents utterance splitting by recognizingperiods, i.e., sentence boundaries, as well as usual words.We evaluate the performance of the model in terms of splitting and word (except for periods) accuracy. Experimental results show high recall/precision rates of splitting (the highest scores are 94%/100%) and no reduction of other word accuracy, proving the applicability of the proposed method.
著者
山田 洋一 Antoine GIRARD 朝岡 秀人 山本 博之 社本 真一
出版者
公益社団法人 日本表面科学会
雑誌
表面科学 (ISSN:03885321)
巻号頁・発行日
vol.29, no.7, pp.401-406, 2008-07-10 (Released:2008-07-18)
参考文献数
29

Widely well-defined Si(110)-16×2 single-domain surface has been fabricated utilizing the electromigration of the surface atoms. Tuning the direction of the dc during resistive heating to that of the surface reconstruction row realizes an alignment of the rows in one direction producing a mm-wide single-domain of 16×2 structure. The fabricated single-domain shows number of useful characteristics such as a strong one-dimensionality and the surface homochirality, suggesting various applications.
著者
山本 博昭
出版者
佛教大学
雑誌
佛教大学大学院紀要. 文学研究科篇 (ISSN:18833985)
巻号頁・発行日
vol.40, pp.71-87, 2012-03-01

朝鮮総督府は、韓国「併合」以来、三次にわたる教育令改正により学校教育制度上の「国語」普及・常用政策を推進した。そして日中全面戦争以後、志願兵制実施及び徴兵制施行による朝鮮人青年を総動員する時期に至り、それまでの「忠良なる国民」から「天皇の神兵」「銃後の臣民」である「皇国臣民」となるための「国語」習得を推進するため、国民精神総動員朝鮮連盟・国民総力朝鮮連盟等との官民合同の「国語」普及・常用運動を展開した。1933年2月11日結成の在朝日本人民間団体緑旗連盟は、この官民合同の「国語」普及・常用政策推進をその事業方針に掲げ、運動を展開し、朝鮮植民地支配の一翼を担い支えた。その活動相を主として連盟発行の『緑旗』及び『大和塾日記』を対象に考察する。
著者
相馬 武久 吉内 龍策 北尾 晃一郎 本田 善久 山下 伸幸 石川 尚之 山本 博起 細井戸 大成
出版者
公益社団法人 日本獣医師会
雑誌
日本獣医師会雑誌 (ISSN:04466454)
巻号頁・発行日
vol.71, no.10, pp.577-580, 2018-10-20 (Released:2018-11-20)
参考文献数
20

所有者不明猫140頭の3~4週齢時(初回)とその4~31週間後(2回目)に猫免疫不全ウイルス(FIV)抗体,猫白血病ウイルス(FeLV)抗原及び猫コロナウイルス(FCoV)抗体を検査した.初回FIV陽性34頭中31頭(91.2%)が2回目に陰転,初回陰性106頭は2回目もすべて陰性で,幼齢期でFIVの感染リスクが低いことが示された.FCoVでは初回陰性129頭中18頭(14.0%)が2回目に陽転し,幼齢期でもある程度の感染機会があることが示された.初回FCoV陽性11頭中9頭(81.8%)が2回目に陰転しており,早期離乳された猫の中には初回時に保有していた移行抗体が2回目に検出レベル以下に減少する例が存在していたことが示された.FeLVについては,両回とも全例陰性であった.猫のウイルス性感染症の実態を明らかにするためには,一般状態の良い猫を対象とした今回のような調査だけでなく,今後さまざまな猫の集団を対象に同様の調査を行うことが重要と考えられる.
著者
高木 雅昭 岩船 由美子 山本 博巳 山地 憲治 岡野 邦彦 日渡 良爾 池谷 知彦
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌. B, 電力・エネルギー部門誌 = The transactions of the Institute of Electrical Engineers of Japan. B, A publication of Power and Energy Society (ISSN:03854213)
巻号頁・発行日
vol.130, no.7, pp.651-660, 2010-07-01
参考文献数
19
被引用文献数
3 1

In the power sector, the national government has set the goal that the introduction of PV reaches 53 million kW by 2030. However, large-scale introduction of PV will cause several problems in power systems such as surplus electricity. We need large capacity of pumped storages or batteries for the surplus electricity, but the construction costs of these plants are very high. On the other hand, in the transport sector, Electric Vehicle (EV) is being developed as an environmentally friendly vehicle. To promote the diffusion of EV, it is necessary to build infrastructures that can charge EV in a short time; a battery switch station is one of the solutions to this problem. At a station, the automated switch platform will replace the depleted battery with a fully-charged battery. The depleted battery is placed in a storage room and recharged to be available to other drivers. In this study, we propose the use of station's battery as a countermeasure for surplus electricity of PV and evaluate the economic value of the proposed system. We assumed that 53 million kW of PV is introduced in the nationwide power system and considered two countermeasures for surplus electricity: (1) Pumped storage; (2) Battery of station. The difference in total annual cost between Pumped case and Battery case results in 792.6 billion yen. Hence, if a utility leases the batteries from stations fewer than 792.6 billion yen, the utility will have the cost advantage in Battery case.
著者
奥泉(岩本) 香 山本 博子 岡田 美也子
出版者
敬愛大学・千葉敬愛短期大学
雑誌
千葉敬愛短期大学紀要 (ISSN:03894584)
巻号頁・発行日
vol.25, pp.83-100, 2003-02

教員養成課程の国語科においては、学生自身の言葉の力と子どもの言葉の力を育成する力を、共に育成できる教育内容が考慮されるべきである。一方、一般的な大学生における国語能力の低下の問題に関しては、形式的な国語表現技術を教えるだけでなく、言語活動の起点となる認識の能力から開発、育成していく必要があると考えている。本稿では、先の2点をふまえて行った、音声言語教育の実践として、視覚情報や触覚情報によって物やその形状を言葉で的確に伝え合うゲームを紹介する。
著者
辻 喜久 渡邉 翼 塩川 雅広 栗田 亮 澤井 勇悟 上野 憲司 塩 せいじ 宇座 徳光 児玉 裕三 小泉 幸司 磯田 裕義 渡邊 祐司 山本 博 千葉 勉
出版者
日本膵臓学会
雑誌
膵臓 (ISSN:09130071)
巻号頁・発行日
vol.26, no.1, pp.59-65, 2011 (Released:2011-03-07)
参考文献数
24
被引用文献数
1 1

[背景と目的]脳虚血性疾患では,虚血領域は2種類に分けられ,壊死に至る不可逆性の領域と,虚血であるものの治療によって壊死することなく治癒する可逆性虚血領域である.今回,重症急性膵炎にPerfusion CTを用いれば,可逆性虚血領域が診断できるか検討した. [方法]発症3日以内に,Perfusion CTを撮像した71人の重症急性膵炎患者を対象とした.全ての膵実質を,頭部,体部,尾部に分け,膵血流速度(FV),膵血流量(VD)をPerfusion CT(Single compartment kinetic model)にて測定した.3週間後に造影CTを行い,頭部,体部,尾部がそれぞれ壊死したか診断した. [結果]発症早期に,FV,VDどちらも低下している場合,高率に壊死した.発症早期に,FV,VD片方だけ低下している場合,壊死する場合もあれば,回復する場合もあった.発症早期に,FV,VDどちらも低下していなければ壊死しなかった. [考察]発症早期にFV,VDどちらも低下した実質は高率に壊死し,このような実質は不可逆性膵虚血/早期壊死であると考えられた.単一のParameterのみ低下した実質は,必ずしも壊死しない場合があり,こうした実質は可逆性膵虚血である場合があると考えられた.以上から,複数のPerfusion Parameterを用いることで,可逆性-非可逆性膵虚血を診断しうる可能性があると考えられたが,こうしたPerfusion CTの所見と病理との比較や,用語の定義など,今後の課題であると考えられた.
著者
斎藤 幸恵 山本 篤志 太田 正光 有馬 孝禮 内海 泰弘 古賀 信也 門松 昌彦 坂野上 なお 山本 博一
出版者
The Japan Wood Research Society
雑誌
木材学会誌 (ISSN:00214795)
巻号頁・発行日
vol.61, no.1, pp.25-32, 2015

伝統技術による檜皮採取が剥皮木の木部性質を変化させるか否か明らかにすることを目的として,檜皮採取前後のヒノキ木部ヤング率,セルロースミクロフィブリル傾角(MFA)について検討した。同一林分のほぼ等しい環境に生育する>69年生ヒノキペア5組を選定し一方から檜皮を一度採取し他方を対照木とした。採取年およびその前後に形成された計<18年輪について放射方向に連続的に試料採取し,同一の母細胞から形成された試験体を作製,ヤング率とMFAの変化を年輪毎に平均し時系列で比較した。剥皮・対照木の個体差を除くため,ある年に形成された年輪の測定値と前年輪の測定値の差を,その絶対値の総和で割り標準化した「変化率」で比較した。その結果,檜皮採取に起因した明瞭な変化は認められなかった。熟練原皮師による形成層を傷つけない方法による檜皮採取は少なくとも,環境や遺伝的要因による変動を上回る木部性質の変化は及さないと結論づけられた。
著者
村木 俊之 山本 博雅
出版者
公益社団法人 精密工学会
雑誌
精密工学会誌 (ISSN:09120289)
巻号頁・発行日
vol.78, no.9, pp.740-743, 2012-09-05 (Released:2013-03-05)
参考文献数
6
被引用文献数
1 1
著者
山本 博之 津川 裕司
出版者
公益社団法人 日本化学会・情報化学部会
雑誌
ケモインフォマティクス討論会予稿集 第40回ケモインフォマティクス討論会 山口
巻号頁・発行日
pp.P3, 2017 (Released:2017-10-19)
参考文献数
4

メタボロミクスでは、化学構造が不明な未知ピークが疾患バイオマーカー候補となることがあり、未知ピークの構造推定を行うためのケモインフォマティクス手法が様々提案されている。本研究では、結合が切断するか否かを目的変数、インシリコフラグメンテーションによって得られた構造ペアのフィンガープリントから計算した特徴ベクトルを説明変数とし、正則化ロジスティック回帰を用いてフラグメンテーション予測を行った。
著者
牧野 忠男 山本 博聖 関口 宏之
出版者
宇宙航空研究開発機構
雑誌
宇宙科学研究所報告. 特集 (ISSN:02859920)
巻号頁・発行日
vol.9, pp.63-71, 1984-03

1981年9月5日, 1000JSTに内ノ浦から打ち上げられたロケットS-520-4号機でIR Atmospheric Band Dayglowの測定を行った。搭載された装置は1984年に予定されている人工衛星EXOS-Cにおいて中間圏オゾン観測に使用される装置と同種であり, 今回のロケット実験はこの装置のフライトテストの目的で行われた。用いられたフィルター分光による1.27μm赤外放射計は, 3枚の平面鏡, カメラレンズ, チョッパー, PbS array検出素子から成っている。PbS arrayは4素子×5素子から成り, サーモクーラーで&acd;-4℃に冷却して使用した。ロケット実験によって以下の結果が得られた。(1) この装置はフライト中順調に動作した, (2) 海及び雲による1.27μm太陽光散乱強度が得られた, (3) 衛星からの測定において, さまたげとなる視野外からのもれこみ光量は十分低く押えられていた。またロケット下降時のデータから導出された昼間における中間圏オゾン密度は, 従来の薄明時での様相とほぼ一致するものであった。