著者
近藤 圭一郎 松岡 孝一 中沢 洋介
出版者
一般社団法人 電気学会
雑誌
電気学会論文誌D(産業応用部門誌) (ISSN:09136339)
巻号頁・発行日
vol.118, no.7-8, pp.900-907, 1998-07-01 (Released:2008-12-19)
参考文献数
10
被引用文献数
6 24

We have been studying the aplication of permanent magnet synchronous motor (PMSM) for railway vehicle traction in order to reduce the weight and size of direct drive traction motor. As a part of this study establishing a current control system of PMSM suitable for railway vehicle traction should be investigated.In this paper we discuss about designing method of current control system mentioned above and suggest a method which is available under the condition of railway vehicle traction, low switching frequency and long digital calculating period. Next we investigate how to decide current response time constant Td and reach a conclusion that it is about 10ms is appropriate under some assumed condition. Then we checked this current control system for railway vehicle traction through experiments and studies of influence of parameter changing. Consequently we can recognize the current control system has satisfactory performance for railway vehicle traction.
著者
横山 清子 松岡 孝幸 水野 康文 高田 和之
出版者
一般社団法人電子情報通信学会
雑誌
電子情報通信学会技術研究報告. MBE, MEとバイオサイバネティックス (ISSN:09135685)
巻号頁・発行日
vol.99, no.331, pp.31-34, 1999-09-24
被引用文献数
7

本稿では、車輌運転時の居眠り防止技術の開発を目的とし、運転時の眠気度推定方法を提案する。実車走行による実験を行った。眠気度は、走行後の休憩時に走行を思い出した主観評価値とした。重回帰モデルを用いて、心拍変動パラメータからの推定を行う。四輪車と二輪車各々に関して、眠気度を推定するモデルを算出し、心拍変動パラメータからの眠気度推定の可能性を得ることができた。
著者
高橋 清 宗田 良 岸本 卓巳 松岡 孝 前田 昌則 荒木 雅史 谷本 安 河田 典子 木村 郁郎 駒越 春樹 谷崎 勝朗
出版者
一般社団法人 日本アレルギー学会
雑誌
アレルギー
巻号頁・発行日
vol.41, no.6, pp.686-692, 1992
被引用文献数
1

自律神経系の機能異常に基づく各種アレルギー性肺疾患病態における肺肥満細胞の役割を解明する目的で, 酵素処理法, percoll遠心法, 付着細胞除去法によって得られた高純度ヒト肺肥満細胞のアセチルコリンに対する反応性を, ヒスタミン遊離率を指標として検討した. その結果, 肥満細胞からのヒスタミン遊離はアセチルコリンの濃度に依存し, 10^<-5>で有意に亢進していた (p<0.05). また, アセチルコリンは抗ヒトIgE家兎血清によるヒスタミン遊離を相対的に増加させた. なお, かかるヒスタミン遊離はアトロピンでは部分的にしか抑制されなかった. 一方, ヒト末梢血好塩基球はかかるアセチルコリンに対する反応性が認められなかった. 以上の結果より, ヒト肺肥満細胞はIgE受容体のみならず, アセチルコリン受容体を介する反応により自律神経系の標的細胞として各種アレルギー性肺疾患の発症機構の一端を担っていることが示唆された.
著者
岡 孝和 松岡 洋一 三島 徳雄 中川 哲也
出版者
一般社団法人日本心身医学会
雑誌
心身医学 (ISSN:03850307)
巻号頁・発行日
vol.33, no.4, pp.293-300, 1993-04-01
被引用文献数
6

The effects of conducting Autogenic Training (AT) on autonomic nervous functions were studied by using non-invasive autonomic nervous function tests. We used the coefficient values of the R-R intervals of ECG (CVR-R) as a parameter of the parasympathetic nervous function, while the coefficient values of the wave heights of digital plethysmograph (CVwH100) were used as a parameter of α-adrenergic sympathetic nervous function. In addition, β waves of thenar microvibration (MV) were used as a parameter of parasympathetic and θ waves of MV were used as a parameter of sympathetic nervous function. Forty healthy volunteers underwent AT for 5 minutes in the supine position after a sufficient observation period. Blood pressure (BP), pulse rate (PR), CVR-R. CVWH1OO and MV were all checked before, during and after undergoing AT. Results : (1) The well trained group (n=10) showed a significant increase of α2 waves of MV both during and after the AT. CVR-R and CVWH100 did not show any significant change. The beginners group (n=30) showed a significant decrease of θ waves of MV but CVR-R and CVWH1OO did not show any significant change. BP and PR did not show any alteration in either group. (2) The group whose trait anxiety (STAI) increased (n=6) did not show any significant change in CVR-R, CVWH100,MV, BP and PR. On the other hand, the group whose trait anxiety (STAI) decreased (n=34) showed a tendency of increased CVR-R as well as CVWH1OO by practicing AT, a significant increase in α2 waves and a tendency of decrease in θ waves of MV after undergoing AT although no significant change was observed in either BP or PR. (3) A dominant waxing and waning phenomenon of the digital plethysmograph was also observed during the sessions in those whose skin temperature was increased by AT. These results indicate that sympathetic nervous function as well as parasympathetic nervous function are both activated and the vasomotion of peripheral vessels is also activated when AT can be successfully administered.
著者
岡 孝 朴 仁煥 諸 哲雄 尹 泰永 申 政武 張 学軍 馬 新彦 李 国強 黄 詩淳 蘇 恵卿 TAUPITZ Jochen KUNZ Jurgen BIDERBOST Yvo
出版者
学習院大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2011

①日韓台湾ともに(中国梁慧星第二草案も)、法定後見の中の特に成年後見類型では被後見人の能力を制限しているが、2008年の国連障害者権利条約との関係では検討しなおす必要がある。改革の方向性はいくつか考えられるが(「相対的意思能力」概念に依拠して、「意思無能力者の行為は無効である」というルールを活用することなど)、なお十分には立論が詰められていない。②医療行為の同意については、韓国新民法(家庭法院の許可)が日本の立法論としても参考になろう。③任意後見については、2013年から施行されているスイス成年者保護法の「事前支援委託」が参考になる(法定後見と任意後見を併存させている)。
著者
安岡 孝一 安岡 素子
出版者
一般社団法人情報処理学会
雑誌
情報処理学会研究報告人文科学とコンピュータ(CH) (ISSN:09196072)
巻号頁・発行日
vol.1997, no.80, pp.49-54, 1997-08-29
被引用文献数
1

JIS X 0221 の漢字は、中国・台湾・日本・韓国の漢字コード規格から集められたものである。このうち、中国の GB 8565 からの採録とされている漢字は290字ある。しかし調査の結果、これら290字のうち87字は、実際には GB 8565 には含まれていないことがわかった。本稿では、これらの漢字が一体どのような経緯で JIS X 0221 に採録されることになったのかを、さまざまな漢字表を歴史順に追うことによって明らかにする。CJK characters of JIS X 0221 are gathered from domestic standards of China, Taiwan, Japan, and Korea. And JIS X 0221 insists that 290 characters are from GB 8565 of China. However, in fact, 87 characters of the 290 are not included in GB 8565. In this paper, we reveal why and how these 87 characters are stuffed into JIS X 0221.
著者
前川 功一 TEE Kian Heng PINTO Dos Santos 小滝 光博 倉田 博史 久松 博之 福地 純一郎 北岡 孝義
出版者
広島大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
1999

本研究では、非定常・非線型時系列回帰モデルの統計理論的及び応用的研究に関するものである。これまでの成果は(1)非定常性と非線形性を同時に扱う研究、(2)非定常性のみを扱う研究、(3)その他この二つの基礎となる回帰分析の基礎理論研究を並行して行ってきた。(1)に関しては前川とティー・キャン・ヘンが担当し、わが国のGDPのようなトレンドをもち単位根を持つ可能性のある経済時系列に対して単位根検定及び未知の構造変化時点の推定を研究した。その結果は2000年の日本統計学会でと題して報告された。それによると我々の提案した構造変化時点の推定方法は先行研究(畠中・山田(1999))で示された方法よりも優れていることがモンテカルロ実験で示された。(2)に関しては、前川・久松が非定常な説明変数を持つSURモデルにおける代表的な推定方法の優劣の比較を理論的及びモンテカルロ実験を通して行った。その結果、定常時系列回帰の場合と同様に単純な最小2乗法より一般化最小2乗法のほうが推定効率が良いことが示された。また前川・何は単位根がある複数の無関係な時系列の間には見せかけ上のGranger因果性が検出される確率が高いことを理論的計算およびモンテカルロ実験で示した。そしてアメリカの生産統計とマネーサプライ統計の間の因果性はこの見せかけの因果性である可能性があることを示した。小滝は共和分関係が存在する場合のGranger因果性検定の方法を提案しその理論的性質を研究した。(3)に関しては、倉田がSURモデルにおける推定法の理論的比較を、また福地は時系列回帰に対するSubsampling法の有効性を研究し、共に(1)及び(2)に対する基礎的研究を行った。なお、本研究の応用面で不可欠な株価日次データ収集のためにピント・ドス・サントスは、NHK文字放送から株価日次データを採取・分析するシステムを導入した。また、シンガポール国立大学金融工学センターで非定常時系列モデルの金融データの応用に関する研究成果発表を行うとともに、同センターの副所長Yuk Tse教授らと金融時系列の非線形・非定常モデルについて意見交換を行った。
著者
井口 利仁 吉岡 孝 五味 慎也 中井 肇 折田 洋二郎
出版者
一般社団法人日本消化器外科学会
雑誌
日本消化器外科学会雑誌 (ISSN:03869768)
巻号頁・発行日
vol.36, no.11, pp.1575-1580, 2003-11-01
被引用文献数
7

輸入脚空腸憩室穿孔に随伴した特異な腸石の1例を経験した.症例は75歳の男性.胃切除術の既往を有し,C型慢性肝炎治療のためursodeoxycholic asid(以下,UDCAと略記)を投与されていた.2002年3月12日,腹痛のため当院内科に入院,翌日腹膜炎の診断にて外科に紹介され緊急手術を施行した.前回手術ではBillroth II法で消化管再建されていた.輸入脚空腸穿孔により腸間膜膿瘍が形成され,膿瘍内に結石を認めた.空腸を部分切除し, Roux en Y吻合による消化管再建術を施行した.病理組織検査にて空腸憩室炎からの穿孔と診断された.結石は中核と外殻より構成され,中核の主成分はdeoxycholic acid.外殻はUDCAであった.胆汁酸腸石が中核となり,薬物が外殻を形成した混成腸石である可能性が示唆され,結石形成に空腸憩室とBillroth II法再建が関与したと考えられた.
著者
平岡 孝浩
巻号頁・発行日
2012

科学研究費助成事業(科学研究費補助金)研究成果報告書:基盤研究(C)2009-2011
著者
片岡 孝夫
出版者
北海道大学大学院経済学研究科
雑誌
經濟學研究 (ISSN:04516265)
巻号頁・発行日
vol.58, no.4, pp.87-100, 2009-03-12

サーチ論的な貨幣的交換のモデルを用いて貨幣供給量と定常均衡の関係,ならびに定常均衡の動学的分析を行う。 貨幣供給量が最適な定常均衡に対応する水準にあるとき,連続的な定常均衡が存在し,それらの中のどれが実現するかは初期条件に依存する。貨幣供給量が上の水準を上回るときには,比較的好ましい鞍点安定的定な常均衡が存在するが,その水準に僅かでも及ばない場合には,貨幣は機能不全を起こし,経済は常に自給自足経済と同程度の劣悪な状態に収束してしまう。このような状況下で,政府が増発した貨幣で実物財を購入するならば,その財が廃棄されたとしても,パレートの意味で改善がなされる場合があることが示される。
著者
福岡 孝行
出版者
法政大学
雑誌
法政大学体育研究センター紀要
巻号頁・発行日
vol.1, pp.57-62, 1978-06
著者
高砂 敬一郎 矢満田 健 牧内 明子 近藤 竜一 沼波 宏樹 花岡 孝臣 町田 恵美 宮澤 正久 吉田 和夫 青木 孝學 羽生田 正行 天野 純
出版者
特定非営利活動法人日本呼吸器外科学会
雑誌
日本呼吸器外科学会雑誌 (ISSN:09190945)
巻号頁・発行日
vol.13, no.5, pp.627-631, 1999-07-15
被引用文献数
4 3

症例は75歳, 女性.1992年3月21日, 左下葉の肺硬化性血管腫に対して核出術を施行した.術後, 外来で経過観察されていたが, 手術より約4年後の1996年5月, 胸部X線写真上, 左上下肺野に腫瘤陰影が多数認められ, 擦過細胞診で肺硬化性血管腫と診断された.本症例はその臨床経過より再発と考えられた.従来より肺硬化性血管腫の手術術式は核出術が一般的であったが, 核出術施行後の局所再発症例の報告や本症例を考えると, 可能であれば部分切除術以上の術式の選択が必要と思われた.また, まれではあるが再発を念頭においた術後の経過観察が必要と思われた.
著者
片岡 孝夫
出版者
東京工業大学
雑誌
基盤研究(B)
巻号頁・発行日
2003

細胞傷害性T細胞(CTL)はパーフォリン依存性経路およびFasリガンド依存性経路によってウイルス感染細胞や腫瘍細胞を殺傷する。エポキシシクロヘキセノン誘導体ECHやRKTS-33は、カスパーゼ8の活性化を阻害し、Fas依存性のアポトーシスを特異的に阻害する。ECHやRKTS-33は、CTLによるFasリガンドの発現誘導に対する抑制作用が弱かったが、パーフォリンを発現していないCD4^+CTLやコンカナマイシンAで処理したCD8^+CTLによるFasリガンド依存性の細胞傷害経路を強く抑制した。しかしながら、ECHやRKTS-33はCD8^+CTLによるパーフォリン依存性の細胞傷害経路を抑制しなかった。これらの結果から、ECHやRKTS-33は、CTLの細胞傷害機構において、Fasリガンド依存性経路の特異的な阻害剤であることが明らかとなった。タンパク質合成阻害剤アセトキシシクロヘキシミド(E-73)は、IL-1による転写因子NF-κBの活性化を抑制せず、TNF-αによるNF-κBの活性化を選択的に抑制する。ヒト肺がん腫A549細胞をE-73で処理すると、TNFレセプター1のA549細胞における発現量が減少し、低分子量化したTNFレセプター1が培地中に増加することが観察された。メタロプロテアーゼ阻害剤GM6001やTACE(TNF-α converting enzyme)阻害剤TAPI-2で前処理すると、E-73によるTNFレセプター1の培地中への蓄積が抑制された。以上の結果から、E-73はTACEによるTNFレセプター1のシエディングを誘導することによって細胞表面のTNFレセプター1の発現量を減少させ、TNF-αに対するA549細胞の反応性を低下させることが明らかとなった。
著者
藤岡 孝志
出版者
日本教育心理学会
雑誌
教育心理学年報 (ISSN:04529650)
巻号頁・発行日
vol.38, pp.142-154, 1999-03-30

本論文の目的は, まず, 授業における教育臨床的な側面と教師の職能発達, 及び今日的な課題である不登校に焦点を当てた様々な研究を概観し, その上で, 日本独自の教師(特に担任)サポートを中心としだスクールカウンセリングシステムの構築に向けての試論を展開した。その際, 合わせて, スクールカウンセリング活動についてもその研究を概観した。最後に, 今後の展望として, 以下の6つの観点を提案した。(1)個別, 集団によるカウンセリングだけでなく, コンサルテーションやコーディネーション, ピア・カウンセリングなどの重要性 (2)スクールカウンセラーによる多様な側面への介入の必要性。(3)個別教育計画の作成に果たす心理学専門家の役割の明確化と貢献。(4)授業における教育臨床的な観点に焦点を当てた実証的・実践的な研究の推進。(5)教師の職能発達における教育臨床的な側面の実証的・実践的な研究の推進。(6)教師による「教育行為」と心理学の専門家による「心理行為」の明確化と両行為相互の役割供応に関しての実証的・実践的な研究の推進。
著者
西田 佐知子 西田 隆義 内貴 章世 市岡 孝朗 西田 隆義 内貴 章世 市岡 孝朗
出版者
名古屋大学
雑誌
基盤研究(C)
巻号頁・発行日
2006

他生物との共進化を類推させながらも、その多様化の原因や経緯が明らかではない器官に「ダニ室」がある。本研究ではガマズミ属植物を用い、ダニ室の形態・生態的多様性の実態を明らかにするため、形態学、分子系統樹との比較、生態学の調査を行った。その結果、45の調査種で、ダニ室の有無は地域・系統などでは分かれなかった。ダニ室の多くは毛束型だった。同地域の形態が異なるダニ室、同じ形態でも違う地域のダニ室、同地域で同形態だが違う季節のダニ室では、それぞれダニの種類や数が、一部重複はするものの異なった。これらの結果から、ガマズミ属のダニ室は環境に応じて並行的に進化し、特定のダニとの強い共生関係より、緩やかで多様な関係を保つ共生器官として機能している可能性が示唆された。
著者
西岡 孝
出版者
高知大学
雑誌
新学術領域研究(研究領域提案型)
巻号頁・発行日
2011-04-01

本年度は,CeRu2Al10の相転移の異常性を明らかにするため,正常な反強磁性転移を引き起こすRFe2Al10(R=Ce以外の希土類元素)の磁性を調べて比較した。それを実行するために,7T横磁場無冷媒マグネットを用いた全自動角度回転磁化・ホール効果システムの開発を行い,RFe2Al10の単結晶を9種類フラックス法で作成し,それらの電気抵抗,磁化の測定を行った。RFe2Al10はCeRu2Al10と同じYbFe2Al10型結晶構造を持っている。CeRu2Al10の相転移の主要な特徴を列挙すると次のようになる。(1) 高い相転移温度 (2) 半導体的挙動 (3) 巨大な結晶場分裂 (4) 転移温度以下でギャップの解放 (5) 転移温度以下で電気抵抗のとび (6) 磁性は2次元的 (7) 磁気秩序の伝搬ベクトルはb軸 (8) 磁性は一軸異方性を示すがa,c両軸でメタ磁性。RFe2Al10の電気抵抗はすべて転移温度以下でとびを示した。また,それらの磁化測定はすべてac面内の2次元性を示した。特に,DyFe2Al10のac面内の磁化の角度依存性は,らせん磁性を反映して,結晶構造の4回対称性とは異なる2回対称性が現れていることが明らかになった。これらの測定結果はCeRu2Al10の上で述べた(4)~(8)の特徴はCe以外の希土類にも現れていることがわかった。一方でCeRu2Al10および関連物質のCeOs2Al10のNQR測定により(1)~(3) の特徴は大きな伝導電子とf電子の交換相互作用Jcfに起因するものであることがわかった。したがって,CeRu2Al10の相転移は全く新しいものではなくて,結晶構造に密接に関係した相転移が大きな伝導電子とf電子の交換相互作用Jcfによってエンハンスされたものと理解することができることが明らかになった。
著者
池田 良穂 片山 徹 正岡 孝治 馬場 信弘 岡田 博雄 大塚 耕司 奥野 武俊
出版者
大阪府立大学
雑誌
基盤研究(A)
巻号頁・発行日
1998

本報告書は,平成10年度および平成12年度文部省科学研究補助金を受けて実施された「無人高速電車を用いた滑走型高速船の操縦性能試験法の開発」に関する研究成果をまとめたものである.高速船においては,高速航走時に操縦性能が悪くなることが知られており,時としては操縦不能などに陥ることもある.しかしながら,高速滑走艇は,姿勢ならびに速度を大きく変化させながら旋回もしくは針路変更を行うために,その操縦特性は非常に複雑であり,ほとんど解明されていないのが実状である.本研究では,高速船に働く流体力(操縦性微係数)を計測するシステムを無人高速電車用に開発し,その実験結果の有用性を確かめること,さらには滑走型高速船特有の操縦性能を評価できる新たな試験法を提案することである.平成10年度は,本学既存の実験装置を用いて操縦性微係数の一部である斜航流体力係数の計測を行い,その流体力学的特性について明らかにするとともに,無人高速電車用のPMM試験機の設計・開発を行い操縦性微係数の計測を行った.平成11年度には,平成10年度に作製したPMM試験装置を用いて,滑走艇模型の操縦流体力の計測実験を実施し,同システムによって同流体力が実用上満足できる制度で計測できることを確認すると共に,パソコンを用いた解析プログラムを作成し,計測した流体力から微係数を即座に算出できるシステムを構築した.平成12年度は,上下揺れ,縦揺れおよび横揺れを自由にした状態で模型船に左右揺れと船首揺れを強制的に与える,新しいタイプのPMM試験法を開発し,運動の計測を実施した.その結果,横揺れが大きくなるときに,縦運動が横揺れ周期の半分の周期で大きくなる運動が計測された.この運動は,コークスクリューと呼ばれているスラロームなどの周期的操縦運動や微小な船首揺れに伴う上下揺れと縦揺れの大振幅動揺であり,この大振幅動揺発生メカニズムは,横揺れによって生じる上下揺れおよび縦揺れへの連成流体力が引き金となってポーポイジングが発生したものであることをシミュレーションによって確かめた.上記のように高速滑走艇に特有な操縦性能を評価できる新しい一評価手法を提案できた.本研究で開発された実験システムは,今後の高速滑走艇の操縦性能評価において有用な多くの情報を得るための重要な道具となるものと思われる.